JP2019019211A - ポリウレタン、及びその硬化物 - Google Patents

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清隆 赤尾
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Abstract

【課題】2−メチル−1,3−プロパンジオール由来のポリカーボネートポリオールの耐加水分解性、耐薬品性、及び破断点応力保持率を維持したまま、優れた低温特性(低いガラス転移温度)を付与したポリウレタンを提供する。【解決手段】下記式(A)の繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と、ポリエステルポリオール由来の構造と、ポリイソシアネート由来の構造とを有する、ポリウレタン。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン、及びその硬化物に関する。
従来、各種ポリウレタン樹脂の原料として、ポリカーボネートポリオールが盛んに使用されている。
その中でも、2−メチル−1,3−プロパンジオール由来のポリカーボネートポリオールは、非晶性のポリカーボネートポリオールとして知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
その中でも、特許文献3には、2−メチル−1,3−プロパンジオールと及び炭素原子数2〜20のジオール由来のポリカーボネートジオールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとエチレングリコールとをジメチルホルムアミド中で反応させてポリウレタンを合成する方法が開示されている。
特開2005−325219号公報 特開2006−225543号公報 国際公開第2006/088152号(特許第5068159号公報) 特開2012−46659号公報(特許第5614637号公報)
以上、いずれの特許文献においても、2−メチル−1,3−プロパンジオール由来のポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから誘導されるポリウレタンについては何ら開示されていなかった。
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、2−メチル−1,3−プロパンジオール由来のポリカーボネートポリオールの耐加水分解性、耐薬品性、及び破断点応力保持率を維持したまま、優れた低温特性(低いガラス転移温度)を付与したポリウレタンを提供することを課題とする。
本発明の課題は、
下記式(A)の繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と、ポリエステルポリオール由来の構造と、ポリイソシアネート由来の構造とを有する、ポリウレタンによって解決される。
本発明により、耐加水分解性、耐薬品性、及び破断点応力保持率を維持したまま、優れた低温特性(低いガラス転移温度)が付与されたポリウレタンを提供することができる。
[ポリウレタン]
本発明のポリウレタンは、下記式(A)の繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と、ポリエステルポリオール由来の構造と、ポリイソシアネート由来の構造とを有する、ポリウレタンである。
当該ポリウレタンは、前記ポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって得られるものである。
前記式(A)は、2−メチル−1,3−プロパンジオール由来の繰り返し単位であり、具体的には、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオールと炭酸エステルとの反応などにより構成される繰り返し単位である。
(繰り返し単位)
以下に示すポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位とは、ポリカーボネートポリオールを構成するモノマーに由来する成分であり、全繰り返し単位数は、このモノマー数に相当する。
従って、ポリカーボネート中に含まれるモノマーの数を測定することにより、全繰り返し単位数(全モノマーの合計モル数)、及び各々の繰り返し単位数(各々のモノマーのモル数)を算出することができる。
前記モノマーの測定方法としては、例えば、ポリカーボネートポリオール、エタノール及び塩基を混合し、混合液を加熱して加アルコール分解させることによってモノマーを得、得られたモノマーをガスクロマトグラフィーで分析するなどの方法により測定できる。
なお、ポリカーボネートポリオールを直接プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により測定することもできる。
[ポリカーボネートポリオール]
前記ポリカーボネートポリオールは、下記式(A)を繰り返し単位として有するポリカーボネートポリオールである。
前記式(A)を繰り返し単位として有するポリカーボネートポリオールの中でも、特に下記の(1)〜(7)のポリカーボネートポリオールが好適に使用される。
[ポリカーボネートポリオール(1)]
(1)下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である
ポリカーボネートポリオールである。
なお、式(D)は、2−メチル−1,3−ペンタンジオール由来の繰り返し単位であり、具体的には、例えば、2−メチル−1,3−ペンタンジオール(プロピレン基を主鎖とした場合;1−エチル−2−メチルプロパンジオール)と炭酸エステルとの反応などにより構成される繰り返し単位である。
なお、式(D)は、位置異性体である下記式(D’)で示される繰り返し単位も含む(式(D)と式(D’)は繰り返し単位としては等価である)。
更に、式(D)は下記式で示す通り「配座異性体」が存在しうる。即ち、側鎖のメチル基とメチル基が反対側にあるトランス型(式(D−1)と式(D−2))と、同じ側にあるシス型(式(D−3)と式(D−4))が存在しうる。
これら4種の繰り返し単位がポリカーボネート中に存在していても良いが、トランス型の繰り返し単位が過剰にあることにより、ポリカーボネートポリオールの直線性が担保され、その結果としてポリカーボネートポリオールより得られるポリウレタンの弾性率が増すと想定される。そのため、トランス型/シス型(モル比)は、好ましくは1.05〜100、更に好ましくは1.1〜50、より好ましくは1.2〜30である。
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対する式(A)で示される繰り返し単位の割合をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導化されたポリウレタンの高い柔軟性、即ち、高い破断点伸度と高い破断点応力が発現する。また、良好なタック性能が得られる。
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対する式(D)で示される繰り返し単位の割合は、0.1〜0.9モル%、好ましくは0.1〜0.8モル%である。
この範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導化されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。また、式(D)が有する2級水酸基の影響によりウレタン化する際の反応速度を低減させることもない。
[ポリカーボネートポリオール(2)]
(2)前記式(A)で示される繰り返し単位と、前記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である
ポリカーボネートポリオールが、更に下記式(B)で示される繰り返し単位を、ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して0.5モル%以下の割合で有する、
ポリカーボネートポリオールである。
なお、式(B)は、1,4−ブタンジオール由来の繰り返し単位であり、具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールと炭酸エステルとの反応などにより構成される繰り返し単位である。
式(B)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。
[ポリカーボネートポリオール(3)]
(3)前記式(A)で示される繰り返し単位と、前記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である
ポリカーボネートポリオールが、更に下記式(C)で示される繰り返し単位を、ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して0.2モル%以下の割合で有する、
ポリカーボネートポリオールである。
なお、式(C)は、γ−ブチロラクトンの開環、ヒドロキシブタン酸の縮合やヒドロキシブタン酸エステルの脱アルコールなどにより構成される繰り返し単位である。
式(C)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンの耐溶剤性、特に汗の成分であるオレイン酸に対する耐久性(耐オレイン酸性)が向上する。
[ポリカーボネートポリオール(4)]
(4)ポリカーボネートポリオールが、下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(B)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(B)の割合が0.5モル%以下である、
ポリカーボネートポリオールである。
なお、式(B)は、1,4−ブタンジオール由来の繰り返し単位であり、具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールと炭酸エステルとの反応などにより構成される繰り返し単位である。
式(B)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。
[ポリカーボネートポリオール(5)]
(5)ポリカーボネートポリオールが、
下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(C)の割合が0.5モル%以下である、
ポリカーボネートポリオールである。
なお、式(C)は、γ−ブチロラクトンの開環、ヒドロキシブタン酸の縮合やヒドロキシブタン酸エステルの脱アルコールなどにより構成される繰り返し単位である。
式(C)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンの耐溶剤性、特に汗の成分であるオレイン酸に対する耐久性(耐オレイン酸性)が向上する。
[ポリカーボネートポリオール(6)]
(6)ポリカーボネートポリオールが、下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(C)の割合が0.5モル%以下であるポリカーボネートポリオールが、更に下記式(B)で示される繰り返し単位を、ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して0.5モル%以下の割合で有する、
ポリカーボネートポリオールである。
式(B)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。
式(C)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンの耐溶剤性、特に汗の成分であるオレイン酸に対する耐久性(耐オレイン酸性)が向上する。
[ポリカーボネートポリオール(7)]
(7)ポリカーボネートポリオールが、
下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(B)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、下記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
下記式(B)の割合が0.5モル%以下であり、
下記式(C)の割合が0.5モル%以下であり、
下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である、
ポリカーボネートポリオールである。
式(B)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。
式(C)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンの耐溶剤性、特に汗の成分であるオレイン酸に対する耐久性(耐オレイン酸性)が向上する。
式(D)の繰り返し単位をこの範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導化されたポリウレタンのタック性能を低下させることなく、より高い柔軟性、即ち、より高い破断点伸度とより高い破断点応力が発現する。また、式(D)が有する2級水酸基の影響によりウレタン化する際の反応速度を低減させることもない。
(その他の繰り返し単位)
前記ポリカーボネートポリオールは、式(A)〜式(D)以外に、その他の繰り返し単位(その他の原料モノマーに由来する構造)を含んでいてもよく、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、3−オキサ−1,5−ペンタンジオール(ジエチレングリコール)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの炭素原子数2〜12のジオール;ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの炭素原子数4〜12のラクトン;ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸などの炭素原子数4〜12のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール中のその他の繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位から、式(A)〜式(D)の繰り返し単位の合計割合を引いた割合であり、好ましくは0.05〜0.35モル%である。
この範囲内にあることで、本発明のポリカーボネートポリオールの機能を損なうことがない。
(ポリカーボネートポリオールの数平均分子量)
本発明のポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、目的に応じて適宜調整するが、好ましくは100〜5000、更に好ましくは200〜4000、より好ましくは300〜3000である。
なお、数平均分子量は、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とする。具体的には、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1000×価数)/水酸基価を用いて算出する(この式において、水酸基価の単位は[mgKOH/g]である)。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
この範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールの取り扱いが容易な液状となるとともに、ポリカーボネートポリオールから誘導化されたポリウレタンの低温特性が良好となる。
(ポリカーボネートポリオールの製造)
本発明のポリカーボネートポリオールの製造方法(以下、「本発明の反応」と称することもある)は特に限定されないが、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール(式(A)の構成成分)と、2−メチル−1,3−ペンタンジオール(式(D)の構成成分)及びその他のモノマー(その他の繰り返し単位の構成成分)、炭酸エステル及び触媒を混合して、低沸点成分(例えば、副生するアルコールなど)を留去しながら、反応させるなどの方法によって好適に行われる。
なお、本発明の反応は、一旦、ポリカーボネートポリオールのプレポリマー(目的とするポリカーボネートポリオールより低分子量)を得た後、更に分子量を上げるために反応させるなど、反応を複数回に分けて行うこともできる。
前記2−メチル−1,3−ペンタンジオールやその他のモノマーは、主原料となる2−メチル−1,3−プロパンジオールに予め含有されていても良い。
(炭酸エステル)
本発明の反応において使用する炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチルなどの炭酸ジアルキル;炭酸ジフェニルなどの炭酸ジアリール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、トリメチレンカーボネート)、ブチレンカーボネート(4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラメチレンカーボネート)、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどの環状カーボネートが挙げられるが、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートが使用される。
なお、これらの炭酸エステルが、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記炭酸エステルの使用量は、2−メチル−1,3−プロパンジオール1モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは0.9〜1.5モルである。
この範囲することで、十分な反応速度で、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
(反応温度、及び反応圧力)
本発明の反応における反応温度は、炭酸エステルの種類に応じて適宜調整するが、好ましくは50〜250℃、更に好ましくは70〜230℃である。
また、本発明の反応における反応圧力は、低沸点成分を除去しながら反応させる態様となるような圧力ならば特に制限されず、好ましくは常圧又は減圧下で行われる。
この範囲とすることで、逐次反応や副反応が起こることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
(触媒)
本発明の反応で使用する触媒として、公知のエステル交換触媒を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、セリウムなどの金属、及びそれらの水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機金属などが挙げられるが、好ましくは水素化ナトリウム、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキサイドが使用される。
なお、これらの触媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記触媒の使用量は、2−メチル−1,3−プロパンジオール1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1ミリモル、更に好ましくは0.005〜0.05ミリモル、より好ましくは0.01〜0.03ミリモルである。
この範囲とすることで、後処理を煩雑とすることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
なお、当該触媒は、反応開始時に一括で使用しても、反応開始時、及び反応開始後に分割して使用(添加)しても良い。
[ポリエステルポリオール]
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸又はその誘導体とのエステル交換反応によって得られるポリエステルポリオールや、ポリカルボン酸又はその誘導体と前記ポリオールとの縮合重合によって得られるポリエステルポリオール、環状エステル及び/又はヒドロキシカルボン酸とポリオールとをエステル交換反応することによって得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
また、ポリオールとポリカルボン酸とを共重合させることによって得られるポリエステルポリオールも含む。
なお、ポリカルボン酸誘導体とは、具体的には、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸無水物、ポリカルボン酸ハライドなどを示す。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ポリカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ポリカルボン酸が挙げられる。
なお、これらのポリカルボン酸は、複数種を併用してもよく、ポリカルボン酸誘導体を複数併用しても、ポリカルボン酸とポリカルボン酸誘導体を併用してもよい。
前記ポリオールとしては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールなどの直鎖状ジオール:3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオールなどの分岐状ジオール:1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの環状ジオールが挙げられる。
なお、これらのジオールは、複数種を併用しても良い。
前記ポリエステルポリオールは、部分的にポリカーボネート結合を含んでいるものも使用することができる。そのようなポリエステルポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとの反応によって得られるポリカーボネートポリオールをカプロラクトンで変性したポリカーボネートポリエステルポリオール(例えば、ETERNACOLL(登録商標)UHCシリーズ、宇部興産(株)製)、1,4−シクロヘキサンジメタノールと炭酸エステルとの反応によって得られるポリカーボネートポリオールをカプロラクトンで変性したポリカーボネートポリエステルポリオール(例えば、ETERNACOLL(登録商標)UCCシリーズ、宇部興産(株)製)、1,6−ヘキサンジオールと炭酸エステルとの反応によって得られるポリカーボネートポリオールを無水マレイン酸で変性したポリカーボネートポリエステルポリオール、及び1,6−ヘキサンジオールと1,4−シクロヘキサンジオールと炭酸エステルとの反応によって得られるポリカーボネートポリオールを無水マレイン酸で変性したポリカーボネートポリエステルポリオール(例えば、ETERNACOLL(登録商標)UDシリーズ、宇部興産(株)製)を使用することができる。
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートとしては、目的や用途に応じて適宜選択するが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート;4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが使用される。
なお、これらのポリイソシアネートは、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、その構造の一部又は全部がイソシアヌレート化、カルボジイミド化、又はビウレット化など誘導化されていても良い。
ポリイソシアネートの使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基とポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールとの合計の水酸基との比(イソシアネート基/水酸基(モル比))が、好ましくは0.8〜1.5、更に好ましくは0.9〜1.3である。
[ポリウレタン]
本発明のポリウレタンは、下記式(A)の繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と、ポリエステルポリオール由来の構造と、ポリイソシアネート由来の構造とを有するものであるが、当該ポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールとポリイソシアネートを反応(以下、「ポリウレタン化反応」と称することもある)させることによって得ることができる。
(鎖延長剤)
ポリウレタン化反応においては、分子量を増大させることを目的として、鎖延長剤を用いることができる。使用する鎖延長剤としては、目的や用途に応じて適宜選択できるが、例えば、
水;
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサンなどの低分子ポリオール;
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどの高分子ポリオール;
エチレンジアミン、イソホロンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン
が使用される。
なお、鎖延長剤については、例えば、「最新ポリウレタン応用技術」(株式会社CMC社、1985年に発行)を参照することができ、前記高分子ポリオールについては、例えば、「ポリウレタンフオーム」(高分子刊行会、1987年)を参照することができる。
(ウレタン化触媒)
ポリウレタンを化反応においては、反応速度を向上させるために公知の重合触媒を用いることができ、例えば、第三級アミン、スズ又はチタンなどの有機金属塩が使用される。
なお、重合触媒については、吉田敬治著「ポリウレタン樹脂」(日本工業新聞社刊、1969年)の第23〜32頁を参照することができる。
(溶媒)
ポリウレタン化反応は溶媒の存在下で行うことができ、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−カプロラクトンなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、2−エトキシエタノールなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類が使用される。
ポリウレタン化反応は、分子量を調整するために末端停止剤を添加して行うことができる。
また、ポリウレタンには、目的に応じて、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、無機充填剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、難燃剤などを存在させることができる。
得られたポリウレタンは、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、熱可塑性ポリウレタン、溶剤系ポリウレタン溶液、水性ポリウレタン樹脂分散体などとすることができる。また、これらを使って、人工皮革や合成皮革、断熱材、クッション材、接着剤、塗料、コーティング剤、フィルム等の成形体などに加工することができる。
[ポリウレタン(メタ)アクリレート]
本発明のポリウレタンは、ポリウレタン(メタ)アクリレートへ誘導することができる。具体的には、例えば、ポリウレタンの末端がイソシアネート基であれば水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得ることができ、ポリウレタンの末端が水酸基であればイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得ることができる。
(水酸基含有(メタ)アクリレート)
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ヘプチル)メタアクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
が使用できる。
なお、これらのエチレンオキシ変性品やプロピレンオキシ変性品、ラクトン変性品も使用することができ、水酸基含有(メタ)アクリレートは複数種を併用しても良い。
(イソシアネート基含有(メタ)アクリレート)
イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」など)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」など)、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」など)、5−メタクロイルオキシ−3−オキシペンチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI−EG(登録商標)」など)などが使用できる。
なお、これらのエチレンオキシ変性品やプロピレンオキシ変性品、ラクトン変性品も使用することができ、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートは複数種を併用しても良い。
[水性ポリウレタン樹脂分散体]
本発明のポリウレタンは水性ポリウレタン樹脂分散体に誘導することもできる。水性ポリウレタン樹脂分散体は、具体的には、例えば、本発明のポリウレタン、及び酸性基含有ポリオールを、溶媒の存在下、または非存在下で反応させてウレタンプレポリマーとする工程、前記プレポリマー中の酸性基を中和剤により中和する工程、中和されたプレポリマーを水系媒体に分散させる工程、水系媒体に分散されたプレポリマーと鎖延長剤とを反応させる工程を順次行うことによって製造することができる。
なお、各工程では、必要に応じて触媒を使用することで、反応を促進させたり、副生成物を制御することができ、水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する過程においてポリカーボネートポリオールとポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させても良い。
本発明のポリウレタンから誘導される水性ポリウレタン樹脂分散体は、密着性、柔軟性、触感に優れる膜を与えるため、特に人工皮革や合成皮革に適用することができる。
ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、溶媒、及び鎖延長剤は、前記に記載のものを用いることができる。
水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する場合には、水系媒体へ分散させるために後述する酸性基含有ポリオールを使用する。そのため、前記ポリイソシアネートの使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオール(ポリカーボネートポリオール、後述する酸性基含有ポリオール、及び後述する低分子ポリオールなどの全てのポリオール)の合計水酸基との比(イソシアネート基/水酸基(モル比))が、好ましくは0.8〜2.0、更に好ましくは0.9〜1.8である。
(酸性基含有ポリオール)
前記酸性基含有ポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸;N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸などが挙げられるが、好ましくはジメチロールアルカン酸、より好ましくは2個のメチロール基を含む炭素数4〜12のアルカン酸が使用される。
なお、これらの酸性基含有ポリオールは、単独又は二種以上を混合して使用しても良いく、その使用量はポリウレタン樹脂が水系媒体にポリウレタン樹脂が分散できる量であれば特に制限されない。
(中和剤)
前記中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ塩類、アンモニアが挙げられるが、好ましくは有機アミン類、更に好ましくは三級アミンが使用される。
なお、これらの中和剤は、単独又は二種以上を混合して使用しても良いく、その使用量はポリウレタン樹脂中の酸性基を中和できる量であれば特に制限されない。
(水系媒体)
前記水系媒体としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水などの水や、水と親水性有機溶媒との混合媒体などが挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類;ジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;出光興産社製「エクアミド」に代表されるβ−アルコキシプロピオンアミドなどのアミド類;2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール(DMAP)などの水酸基含有三級アミンが挙げられる。
前記水系媒体中の前記親水性有機溶媒の量としては、好ましくは0〜20質量%である。
(鎖延長剤)
前記鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3.5.5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール化合物;ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水などが挙げられる。
なお、これらの鎖延長剤は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
(低分子ポリオール)
本発明のウレタン化反応においては、分子量を調整するために、低分子ポリオールを存在させることができる。使用できる低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
なお、これらの低分子ポリオールは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量)
数平均分子量の算出は下記式に基づいて行った。
数平均分子量=(56100×2)/水酸基価
なお、ポリカーボネートポリオールの水酸基価は、JIS K 1557に準拠して、滴定で求めた。ここで、水酸基価の単位は、mgKOH/gである。
(ポリカーボネートポリオール中の繰り返し単位)
ポリカーボネートポリオール1g、エタノール30g及び水酸化カリウム4gを混合し、95〜105℃で1時間攪拌した。
攪拌終了後、塩酸で中和し、生成した塩化ナトリウムを濾過した後、濾液をエタノールで3倍に希釈し、ガスクロマトグラフィーで分析した。
検出された2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、及びその他のモノマーを一点検量線法により定量し、全モノマー成分の合計量を100%として、それぞれの繰り返し単位(モル%)を算出した。
なお、2−メチル−1,3−ペンタンジオールの定量には、標準物質として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用いた。
ガスクロマトグラフィーによる分析条件は下記の通りである。
装置;ガスクロマトグラフGC−2010(島津製作所製)
カラム;DB−WAX(米国J&W社製)、膜厚0.25μm、長さ30m
カラム温度;60℃(5分間保持)→250℃(保持)
昇温速度;10℃/分
キャリアーガス;ヘリウム
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
注入量;1μL
(合成例1:ポリカーボネートポリオール(1)の合成)
精留塔、攪拌装置、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製丸底フラスコに、
2−メチル−1,3−プロパンジオール425.5g(4.72モル、純度98%以上)、炭酸ジメチル445.6g(4.95モル、99%以上)及び水酸化リチウム0.003g(0.13ミリモル)を混合し、常圧下、低沸点成分を留去しながら120〜200℃で12時間反応させた。
更に、減圧下(0.1〜6.7kPa)、2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む成分を留去しながら150〜170℃で8時間反応を行い、粘ちょうな液体としてポリカーボネートポリオール(1)を得た。
得られたポリカーボネートポリオールの数平均分子量は1951、水酸基価は57.5であり、組成は以下の通りであった。
繰り返し単位(A);99.6モル%
繰り返し単位(B);0.1モル%
繰り返し単位(D);0.3モル%
(合成例2:ポリカーボネートポリオール(2)の合成)
精留塔、攪拌装置、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製丸底フラスコに、
2−メチル−1,3−プロパンジオール4440.0g(4.88モル、純度98%以上)、炭酸ジメチル460.8g(5.12モル、99%以上)及び水酸化リチウム0.002g(0.08ミリモル)を混合し、常圧下、低沸点成分を留去しながら120〜200℃で12時間反応させた。
更に、減圧下(0.1〜6.7kPa)、2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む成分を留去しながら150〜170℃で8時間反応を行い、粘ちょうな液体としてポリカーボネートポリオール(1)を得た。
得られたポリカーボネートポリオールの数平均分子量は1986、水酸基価は56.5であり、組成は以下の通りであった。
繰り返し単位(A);99.4モル%
繰り返し単位(B);0.1モル%
繰り返し単位(D);0.5モル%
(合成例3:ポリカーボネートポリオール(3)の合成)
精留塔、攪拌装置、温度計及び窒素導入管を備えたガラス製丸底フラスコに、
2−メチル−1,3−プロパンジオール817.0g(9.07モル、純度98%以上)、炭酸ジメチル855.7g(9.50モル、99%以上)及び水酸化リチウム0.004g(0.17ミリモル)を混合し、常圧下、低沸点成分を留去しながら120〜200℃で12時間反応させた。
更に、減圧下(0.1〜6.7kPa)、2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む成分を留去しながら150〜170℃で8時間反応を行い、粘ちょうな液体としてポリカーボネートポリオール(3)を得た。
得られたポリカーボネートポリオールの数平均分子量は2033、水酸基価は55.2であり、組成は以下の通りであった。
繰り返し単位(A);99.9モル%
繰り返し単位(B);0.1モル%
(実施例1:ポリウレタン(1)の合成)
合成例1で合成したポリカーボネートポリオール25.0g、1,4−ブタンジオール4.6g、ポリエステルポリオール(豊国製油性、製品名:HS2H−201AP(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸との共重合体)、分子量2000タイプ)25.0g、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート21.2g(イソシアネート基/水酸基=1/1(モル比)なるように調整)、固形分30%となるようにN−エチルピロリドンで希釈し、75〜85℃で4時間反応させポリウレタンのN−エチルピロリドン溶液を得た。
得られたポリウレタンの溶液をガラス板上に塗布し、70℃で3時間、120℃で3時間乾燥させてポリウレタンフィルム(1)を得た。
(実施例2:ポリウレタン(2)の合成)
合成例2で合成したポリカーボネートポリオールを用いた以外は実施例1と同様の方法により、ポリウレタンフィルム(2)を得た。
(実施例3:ポリウレタン(3)の合成)
合成例3で合成したポリカーボネートポリオールを用いた以外は実施例1と同様の方法により、ポリウレタンフィルム(3)を得た。
(比較例1:ポリウレタン(4)の合成)
実施例1で合成したポリカーボネートポリオール48.5g、1,4−ブタンジオール4.4g、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート19.6g(イソシアネート基/水酸基=1/1(モル比)なるように調整)、固形分30%となるようにN−エチルピロリドンで希釈し、75〜85℃で4時間反応させポリウレタンのN−エチルピロリドン溶液を得た。
得られたポリウレタンの溶液をガラス板上に塗布し、70℃で3時間、120℃で3時間乾燥させてポリウレタンフィルム(4)を得た。
得られたポリウレタンフィルム(1)〜(4)について、下記の評価方法により、破断点応力、ガラス転移温度、耐加水分解性を測定した。
(ポリウレタンフィルムの作成)
厚さ約0.08mmのポリウレタンフィルムを形成し、このフィルムを20mm×5mmの短冊型に切り取り、23℃、50%RHの恒温室にて3日養生したものを評価サンプルとした。
(破断点応力保持率)
前記ポリウレタンフィルムを、80℃の水に257時間浸漬し、破断点応力を測定した。下記式に基づいて破断点応力保持率を計算した。
破断点応力保持率(%)=(浸漬後の破断点応力)/(浸漬前の破断点応力)×100
(耐加水分解性、耐薬品性)
前記ポリウレタンフィルムに、水、5%硫酸、5%水酸化ナトリウム水溶液をしみこませた脱脂綿を置いて室温で24時間静置し、ウェスでふき取った後のフィルムの状態を、下記の基準で目視により評価した。
◎;変化なし
○;微小なしわや若干変色あり
△;しわ多数あり
×;しわ及び膨れあり
(ガラス転移温度)
厚さ約0.06mmのポリウレタンフィルムを3mm×20mmに切り取り、固体粘弾性アナライザー(ティー・エイ・インスツルメント製、RSA−G2)を用いて、引っ張りモード、昇温速度3℃/分、温度範囲−100〜150℃、周波数1Hz、窒素気流中で動的粘弾性測定を行い、tanδピーク温度をガラス転移温度とした。
以上の結果を表1に示した。
以上の結果により、本発明のポリウレタンは、耐加水分解性、耐薬品性、及び破断点応力保持率を維持したまま、優れた低温特性(低いガラス転移温度)を有することが判明した。
本発明により、耐加水分解性、耐薬品性、及び破断点応力保持率を維持したまま、優れた低温特性(低いガラス転移温度)が付与されたポリウレタンを提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記式(A)の繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と、ポリエステルポリオール由来の構造と、ポリイソシアネート由来の構造とを有する、ポリウレタン。
  2. ポリカーボネートポリオールが、
    下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
    ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
    下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
    下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である
    請求項1記載のポリウレタン。
  3. さらに、下記式(B)で示される繰り返し単位を、ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して0.5モル%以下の割合で有する、請求項2記載のポリカーボネートポリオール。
  4. ポリカーボネートポリオールが、
    下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(B)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
    ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
    下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
    下記式(B)の割合が0.01〜0.5モル%である、
    請求項1記載のポリウレタン。
  5. ポリカーボネートポリオールが、
    下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
    ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
    下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
    下記式(C)の割合が0.5モル%以下である、
    請求項1記載のポリウレタン。
  6. ポリカーボネートポリオールが、下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
    ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
    下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
    下記式(C)の割合が0.5モル%以下であるポリカーボネートポリオールが、更に下記式(B)で示される繰り返し単位を、ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して0.5モル%以下の割合で有する、
    請求項1記載のポリウレタン。
  7. ポリカーボネートポリオールが、
    下記式(A)で示される繰り返し単位と、下記式(B)で示される繰り返し単位と、下記式(C)で示される繰り返し単位と、下記式(D)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有するポリカーボネートポリオールであって、
    ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対して、
    下記式(A)の割合が99.0〜99.8モル%であり、
    下記式(B)の割合が0.5モル%以下であり、
    下記式(C)の割合が0.5モル%以下であり、
    下記式(D)の割合が0.1〜0.8モル%である、
    請求項1記載のポリウレタン。
  8. 請求項1〜7のポリウレタンから得られる合皮。
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