JP5750915B2 - 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
特にネオジウム・鉄・ボロン系磁石(以下、「R−T−B系磁石」と称する。)は、種々の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電気機器に採用されている。
R−T−B系磁石は、主にR2T14Bの正方晶化合物からなる主相、Rリッチ相及びBリッチ相から構成されている。R−T−B系磁石では、基本的に、主相であるR2T14Bの正方晶化合物の存在比率を増加させれば、磁気特性が向上する。しかし、Rは雰囲気中の酸素と反応し易く、R2O3などの酸化物を作る。従って、製造工程中にR−T−B系磁石用原料合金やその粉末が酸化すると、R2T14Bの存在比率が低下するとともに、Rリッチ相が少なくなり、磁気特性が急激に低下する。すなわち、製造工程中における酸化を防止し、R−T−B系磁石用の原料合金やその粉末の酸素含有量を低減させれば磁気特性が向上する。
上記のR−T−B系磁石等の希土類系磁石は、原料合金を粗粉砕及び微粉砕して形成した合金粉末をプレス成形した後、焼結工程及び熱処理工程を経て作製される。希土類系磁石を製造するにあたり、原料合金を粗粉砕する過程で、粉砕効率が高いことから水素粉砕が多用されている。
水素粉砕とは、原料合金に水素を吸蔵させ、脆化させることで原料合金を粉砕する手法であり、次の工程により行なわれる。
まず、原料である合金を水素炉内に挿入した後、水素炉内部を真空引きによって減圧する。その後、水素ガスを水素炉内に供給し、原料合金に水素を吸蔵させる(水素吸蔵工程)。所定時間経過後、水素炉内の真空引きを行ないながら原料合金を加熱し(加熱工程)、原料合金から水素を放出させた後、冷却して(冷却工程)水素粉砕は終了する。これにより原料合金は脆化し、粗粉砕粉となる。
水素粉砕後の粗粉砕粉(以下「水素粉砕粉」という)は、次工程の微粉砕工程で、数μmの微粉砕粉に粉砕される。
希土類元素はそれ自体活性であり大気に触れると酸化するため、希土類元素を用いた磁石はそれぞれの製造工程における酸化防止がその磁気特性向上に有効であり、各工程で酸化防止の対策が採られている。
希土類系磁石を製造する工程において、比較的粒の大きい希土類系磁石用原料合金の粗粉砕粉においても、途中工程で大気に接触させると、急激に酸化が進行し、酸素含有量が増えることで、最終的に得られる焼結磁石の磁気特性が低下することが知られている。
なお、希土類系磁石の粗粉砕前の原料合金を得る方法として、急冷法の一種であるストリップキャスト法は、最終的に高い磁気特性の焼結磁石を得ることができるため、現在多用されている。また他の急冷法として遠心鋳造法が提案されている。
急冷法で作製された原料合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された原料合金に比較して、相対的に短時間で冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さい。また粒界の総面積が大きく、Rリッチ相の分散性にも優れる。
また、急冷法による原料合金は、水素粉砕法によれば粒界で破断しやすいため、得られた合金粉末の粒子表面にRリッチ相が表れやすくなる。Rリッチ相のRは酸素と反応しやすいため、急冷法による原料合金の粉末は極めて酸化しやすく、磁気特性の劣化も激しい。
そこで、水素粉砕粉の酸化を防止するために、水素粉砕粉を水素粉砕装置から排出するための回収室での工程を不活性ガス中で行う技術(特許文献3)が提案されている。
特許文献3には記載されていないが、堆積した水素粉砕粉を残存させず回収するためには、例えば箱状筒型容器下部の濾斗形状部に載置したエアーハンマー等により落とすことも考えられるが、大掛かりな装置が必要となるとともに、エアーハンマーのみでは前記濾斗形状部以外の場所、例えば搬送容器が出入りする搬入口、搬送装置、回収室上部などに残存した水素粉砕粉を全て排出することは困難である。
このように、回収室内に残存する水素粉砕粉は、徐々に酸化し、次回に処理される水素粉砕粉に混入し、結果として、得られる焼結磁石の酸素含有量を上昇させ磁気特性の低下を招く。このため、特に回収室内における水素粉砕粉の残留を無くすことで、酸化された水素粉砕粉の混入を防止することが必要である。
しかし、水素粉砕以降の各工程、特に、粒径が小さく酸化しやすい微粉砕粉の酸化を防止するには、特許文献1や2に記載されるように新たな装置や工程を採用しなければならず、製造コストが増加するという問題がある。また、微粉砕粉は極めて活性であるため、急激な酸化により微粉砕粉が発火する可能性もあり、取扱いが危険であるという問題もある。
そこで、微粉砕粉の取扱いの安全性を向上させるため、特定量の酸素を含む不活性ガス中でジェットミル粉砕を行い、微粉砕粉表面に酸化被膜を形成して微粉砕粉を安定化する技術(特許文献4)が提案されている。この技術によれば、微粉砕粉の発火を防止でき、大気中でのプレス成形が可能となって、プレス成形の効率を向上させることができ、R−T−B系磁石を安価にして提供することができる。
このように、希土類系磁石、特にR−T−B系磁石においては、酸素含有量を低減させ磁気特性を向上させた磁石(以下「低酸素磁石」という)と、該磁石よりも酸素含有量が多く磁気特性は劣るものの比較的安価な磁石(以下「通常酸素磁石」という)が市場に提供されている。
通常酸素水素粉砕粉を準備するために、低酸素水素粉砕粉を大気中に暴露して酸化させることも可能であるが、得られる水素粉砕粉の酸素含有量は、暴露した大気の状態(季節変化に伴う室温や湿度あるいはそれ以外の外部環境)の影響を受けるため安定せず、このような水素粉砕粉を用いて微粉砕粉の酸素含有量を制御し、安定化するのは困難である。
従って、従来はこれらの低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉は異なる水素粉砕装置によって製造されていた。
しかし、複数の水素粉砕装置を稼働させることは、製造コストの増大を招くとともに、製造ラインが複雑化するという問題がある。また、一般的に、量産規模の製造工程においては、工程内で使用する設備の仕様を統一化し、設備のメンテナンスに要する費用を抑え、製品のコストを低減することが望ましい。
このように、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉は共通の水素粉砕装置を用いて製造することが望ましく、これには、水素粉砕粉の酸素含有量を調整することができる水素粉砕装置が必要であるが、従来、そのような水素粉砕装置は提案されていなかった。
また、本発明の目的は、上記の製造方法及び製造装置において、水素粉砕粉の酸素含有量を調整し、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の製造方法及び製造装置において、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉の水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置を提供することにある。
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記反転手段による上下反転を行った後に、前記開口部を下方に向けた状態で前記反転手段によって揺動動作を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、請求項2又は請求項3に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記処理容器は前記処理容器の前記開口部を覆う蓋体を有し、前記真空排気手段による減圧時には前記蓋体によって前記開口部を覆い、前記真空排気手段によって前記回収室内を減圧した後で、前記反転手段による上下反転を行う前に、前記蓋体を前記開口部から取り外すことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記処理容器の前記開口部を前記蓋体で覆った状態で、前記水素吸蔵工程、前記加熱工程、及び前記冷却工程を行うことを特徴とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記処理容器からの前記水素粉砕粉の排出を、前記回収室内が1000Paから1Paの減圧下で行うことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記回収室内の前記所定圧力を、予め不活性ガス及び/又は酸素含有ガスの導入によって所定の酸素濃度となした前記回収容器内の圧力と同圧にすることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項1に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記潤滑剤の添加を前記回収容器内に配設されたバケットにより行うことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明は、請求項1又は請求項8に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記回収容器の冷却を、回収容器外面に配設した水冷ジャケットにより行うことを特徴とする。
請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記水冷ジャケットに20℃〜30℃の冷媒を供給することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明は、請求項1及び請求項8から請求項10のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法において、前記水素粉砕粉と前記潤滑剤の混合を前記回収容器自体を回転させることにより行うことを特徴とする。
請求項14に記載の本発明は、請求項12又は請求項13に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記反転手段が、前記処理容器を上下反転させ前記処理容器の前記開口部を下方に向けた状態でさらに前記処理容器を揺動させることを特徴とする。
請求項15に記載の本発明は、請求項12から請求項14のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記処理容器は前記処理容器の前記開口部を覆う蓋体と前記蓋体を取り外す蓋開閉手段を有し、前記蓋開閉手段が、前記蓋体に設けられた係合片と前記回収室内に設けられた前記係合片とを係合させ、前記回収室内に設けられた係合片の上方への移動によって前記蓋体を取り外すことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明は、請求項15に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記蓋体に設けられた前記係合片は前記蓋体の上部に、前記回収室内に設けられた前記係合片は前記回収室内の上部にそれぞれ配置されており、一方の前記係合片がT字状の断面形状をなし、他方の前記係合片が略C字状の断面形状をなしていることを特徴とする。
請求項17に記載の本発明は、請求項12から請求項16のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記回収室は、前記処理容器を前記処理室から搬入するコンベア手段を有し、前記反転手段は、前記処理容器を前記コンベア手段とともに反転することを特徴とする。
請求項18に記載の本発明は、請求項17に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記コンベア手段の前記処理容器搬送方向の両側に、反転時に前記処理容器の移動を阻止する移動阻止手段をそれぞれ設け、前記コンベア手段の前記処理容器搬入方向に直交する方向の両側に、反転時に前記処理容器の前記コンベア手段からの離脱を阻止する離脱阻止手段をそれぞれ設け、前記反転手段による反転時には、一対の前記移動阻止手段と一対の前記離脱阻止手段とによって前記コンベア手段に対して前記処理容器が所定の位置に保持されることを特徴とする。
請求項19に記載の本発明は、請求項18に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記コンベア手段が複数本のローラで構成され、前記移動阻止手段が、前記ローラの間から前記処理容器側に出没可能に設けられていることを特徴とする。
請求項20に記載の本発明は、請求項18又は請求項19に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記離脱阻止手段がL状の断面形状をなし、前記処理容器の前記開口部近傍の外周に設けられる鍔部の上部に位置するように配置されていることを特徴とする。
請求項21に記載の本発明は、請求項12から請求項20のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記排出口にはバルブを有し、前記バルブが、筒状部材の内周面に配置される環状膨張部材と、前記筒状部材の径方向を回動軸とするディスク部材とから構成されていることを特徴とする。
請求項22に記載の本発明は、請求項12に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記回収容器内の前記バケットを反転させることにより前記回収容器内に前記潤滑剤を排出することを特徴とする。
請求項23に記載の本発明は、請求項12に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置において、前記回収容器外面の前記水冷ジャケットに20℃〜30℃の冷媒を供給することを特徴とする。
また、排出口から回収容器に排出する際には、不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して回収室内を所定圧力にしているのでスムーズな排出を行うことができる。従って、大掛かりな装置を必要としない。また、本発明の製造方法によれば、水素粉砕粉の歩留まりを大幅に向上することができる。
また、水素粉砕粉を前記回収容器に回収する前に、回収室内に不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して所定酸素濃度としておくことにより、水素粉砕粉の酸素含有量を所望の範囲内に制御することができ、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる。そのため、製造コストの低減、製造ラインの簡素化、設備のメンテナンスに要する費用削減を図ることができる。
また、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加する際に、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い固形状や粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加し、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
また、処理容器を反転手段によって上下反転させるため、一度に多量の水素粉砕粉を回収室内に排出することができるので、水素粉砕粉の回収に要する時間を大幅に短縮することができる。さらに、上下反転という比較的簡単な動作を採用しているため、大掛かりな装置が不要となり、回収装置全体の小型化を図ることができる。また、本発明の製造装置によれば、水素粉砕粉の歩留まりを大幅に向上することができる。
また、希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を前記回収室内へ排出後、回収容器に回収する前に、前記回収室内に第一のガス導入手段及び/又は第二のガス導入手段によって不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して所定酸素濃度としておくことにより、水素粉砕粉の酸素含有量を所望の範囲内に制御することができ、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる。そのため、製造コストの低減、製造ラインの簡素化、設備のメンテナンスに要する費用削減を図ることができる。
また、回収容器内に潤滑剤を収納するためのバケットが配設されているため、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加することができる。そのため、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、回収容器外面に回収容器を冷却するための水冷ジャケットが配設されているため、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合することができる。そのため、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に少量の酸素が含有され、混合中にその酸素により水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器には、回収容器内に潤滑剤を収納するためのバケットと回収容器外面に回収容器を冷却するための水冷ジャケットが配設されているため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
ここで、「酸素含有ガス」とは、例えば、空気または空気と不活性ガスとの混合ガス、あるいは酸素(100%酸素)または酸素と不活性ガスとの混合ガスのことをいう。また、「不活性ガス」とは、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガスなどの反応性の低いガスのことをいう。
また、水素粉砕粉を回収容器に回収する前に、回収室内に不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して回収室内を所定酸素濃度とすることにより、水素粉砕粉の酸素含有量を所定の値に調整することができる。例えば、回収室内に不活性ガスを導入すれば酸素含有量の極めて少ない、低酸素磁石用として好適な低酸素水素粉砕粉が得られる。また、回収室内に酸素含有ガスあるいは酸素含有ガスと不活性ガスを導入すれば、通常酸素磁石用として好適な酸素含有量の通常酸素水素粉砕粉を得ることもできる。
このように、本実施の形態によれば、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる。そのため、製造コストの低減、製造ラインの簡素化、設備のメンテナンスに要する費用削減を図ることができる。
なお、上記のように水素粉砕粉に酸素を接触させることにより水素粉砕粉の酸素含有量を調整する場合、酸素と接触させる前の段階で水素粉砕粉を十分に冷却しておくことが好ましい。水素粉砕粉を十分に冷却しておくことにより、水素粉砕粉と雰囲気中酸素との反応を厳密に制御することができ、水素粉砕粉の酸素含有量を所定の値により正確に調整すること可能となる。
酸素含有ガスとしては、例えば、大気圧露点−10℃以下の乾燥した酸素含有ガスを用いることにより、ガス中に含まれる水分が起因となる水素粉砕粉の酸化に与える影響を抑制することができ、水素粉砕粉の酸素含有量を所定の値により正確に調整することが可能となる。
また、本実施形態によれば、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加するため、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、本実施形態によれば、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、通常酸素水素粉砕粉に、例えばパラフィンワックスなどの比較的融点の低い固形状や粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加し、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
本実施形態において、潤滑剤としては、炭化水素系潤滑剤、脂肪酸、又は脂肪酸の誘導体の少なくともいずれかを含み、固形状や粒状あるいは粉末状のものを用いることができる。例えば、炭化水素系潤滑剤としてはパラフィンワックス、脂肪酸及び/又は脂肪酸の誘導体としてはステアリン酸亜鉛などである。特に、本実施の形態によれば、回収容器内の温度上昇を防止することができるので、比較的融点が低いパラフィンワックスなどを水素粉砕粉に均一に混合することができるという利点を有する。
本実施の形態によれば、処理容器の下部を開放して水素粉砕粉を落下させる場合に比較して、開口部周辺や蓋体周辺に水素粉砕粉が残留することが少なく、更に減圧した状態なので、反転動作による気流の発生による水素粉砕粉の舞い上がりの影響も生じない。
本実施の形態によれば、処理容器に残存する少量の水素粉砕粉も完全に落下せしめることができる。
本実施の形態によれば、減圧動作時に水素粉砕粉をガスとともに排出してしまうことを防止でき、蓋体の開放時の気流の発生による水素粉砕粉の舞い上がりも生じることがない。
本実施の形態によれば、蓋体で覆った状態で、水素吸蔵工程、加熱工程、及び冷却工程での各処理を行うことができ、更に回収室における減圧時にはガスとともに水素粉砕粉を排出してしまうことがない。
本実施の形態によれば、回収室内での気流の発生を無くすことができ、水素粉砕粉が舞うことによる回収室内壁面などへの付着を防止できる。
本実施の形態によれば、回収容器内での酸化を抑制できるとともに、回収室から回収容器への水素粉砕粉の排出を容易に行うことができる。
本実施の形態によれば、回収容器内での酸化を制御できるとともに、回収室から回収容器への水素粉砕粉の排出を容易に行うことができる。
本実施の形態によれば、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、通常酸素水素粉砕粉に100℃以下の比較的融点の低い潤滑剤を添加した場合においても、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
本実施の形態によれば、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
本実施の形態によれば、水冷ジャケットによって回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
本実施の形態によれば、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
本実施の形態によれば、水素粉砕粉と潤滑剤の混合に際して、別の容器に移し替える必要がないので、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、処理容器を反転手段によって上下反転させるため、一度に多量の水素粉砕粉を回収室内に排出することができるので、水素粉砕粉の回収に要する時間を大幅に短縮することができる。さらに、上下反転という比較的簡単な動作を採用しているため、大掛かりな装置が不要となり、回収装置全体の小型化を図ることができる。また、本発明の製造装置によれば、水素粉砕粉の歩留まりを大幅に向上することができる。
また、希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を回収室内へ排出後、回収容器に回収する前に、回収室内に第一のガス導入手段及び/又は第二のガス導入手段によって不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して所定酸素濃度としておくことにより、水素粉砕粉の酸素含有量を所望の範囲内に制御することができ、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる。そのため、製造コストの低減、製造ラインの簡素化、設備のメンテナンスに要する費用削減を図ることができる。
また、回収容器内に潤滑剤を収納するためのバケットが配設されているため、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加することができる。そのため、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、回収容器外面に回収容器を冷却するための水冷ジャケットが配設されているため、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合することができる。そのため、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に少量の酸素が含有され、混合中にその酸素により水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器には、回収容器内に潤滑剤を収納するためのバケットと回収容器外面に回収容器を冷却するための水冷ジャケットが配設されているため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
本実施の形態によれば、酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度に基づいて、不活性ガス及び/又は酸素含有ガスの導入量を調整することにより、回収室内の酸素濃度を制御して、回収される水素粉砕粉の酸素含有量を所望の値に調整することが可能となる。
本実施の形態によれば、反転時に水素粉砕粉が回収室内で舞うことなく落下するため、回収室内壁面などへの付着を防止できる。
本実施の形態によれば、処理容器に残存する少量の水素粉砕粉も完全に落下せしめることができる。
本実施の形態によれば、回収室に搬入される移送動作を利用して係合片同士を係合させるため、蓋開閉手段は、係合片を上方へ移動させるだけで蓋体を開口部から取り外すことができる。
本実施の形態によれば、係合片同士の係合を確実に行うことができる。
本実施の形態によれば、コンベア手段を処理容器とともに反転させることで、処理容器から排出する水素粉砕粉がコンベア手段に付着することがなく、水素粉砕粉を確実に回収室の下部に落下させることができる。
本実施の形態によれば、一対の移動阻止手段と離脱阻止手段とによってコンベア手段に対して処理容器を所定の位置に保持することができ、狭い空間においても反転動作を確実に行わせることができる。
本実施の形態によれば、ローラ間の隙間を利用するために装置の小型化を図れるとともに、ローラとの位置関係を正確に維持しやすいため、処理容器の確実な保持を行える。
本実施の形態によれば、鍔部を形成することで、搬送動作によって鍔部と離脱阻止手段とを対応させることができ、処理容器を所定の位置に保持することができる。
本実施の形態によれば、水素粉砕粉の付着による影響を無くし、密閉性を維持することができる。
本実施の形態によれば、回収容器を解放することがなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
本実施の形態によれば、回収容器内の雰囲気中に多量の酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が酸化しても、回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
以下本発明の一実施例による希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置について説明する。
図1は、本発明の実施例による希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法は、水素吸蔵工程、加熱工程、冷却工程とからなる水素粉砕工程、水素粉砕粉の回収工程、水素粉砕粉に潤滑剤を添加する潤滑剤添加工程、水素粉砕粉と潤滑剤を混合する混合工程を有している。
本実施例の製造方法は、水素粉砕工程における回収工程において、回収室を減圧した後に水素粉砕粉を回収することにより、水素粉砕粉が回収室内壁面に付着することを防止して、低酸素水素粉砕粉を量産することができる。しかし、磁気特性に優れた低酸素磁石を製造するには、水素粉砕以降の各工程、特に、粒径が小さく酸化しやすい微粉砕粉の酸化を防止するために、特許文献1や2に記載されるように新たな装置や工程を採用しなければならず、製造コストが増加する。このため、希土類系磁石の用途によっては、特許文献4に記載されるように、特定量の酸素を含む不活性ガス中でジェットミル粉砕を行い、微粉砕粉表面に酸化被膜を形成して微粉砕粉を安定化することにより、大気中でのプレス成形を可能となし、プレス成形の効率を向上させ、製造コストを低減した通常酸素磁石も要求される。しかし、通常酸素磁石の製造に際して低酸素磁石用の低酸素水素粉砕粉を用いると、特定量の酸素を含む不活性ガス中でジェットミル粉砕を行っても、酸素含有量の増加には限界があり、微粉砕粉表面の酸化被膜の形成が十分ではなく、完全に安定化することができず、大気中でのプレス成形の際に急激な酸化により微粉砕粉が発火するなどの問題が発生する。すなわち、通常酸素磁石の製造に際しては、予め特定量の酸素が含有された通常酸素磁石用の通常酸素水素粉砕粉を準備する必要がある。そのため、水素粉砕粉の段階で酸素含有量を特定の範囲内に制御することが必要となる。
以上の通り、本実施例による製造方法によれば、回収工程において回収室内に酸素含有ガス及び/又は不活性ガスを同時に導入することにより、水素粉砕粉の酸素含有量を調整して、その用途に対応した酸素含有量のものとして回収することができる。したがって低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することが可能となる。
また、本実施例による製造方法では、回収工程によって回収された水素粉砕粉を収容した回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加する。これにより、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、本実施例による製造方法では、潤滑剤が添加された水素粉砕粉を収容した回収容器を冷却しながら混合する。これにより、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加し、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
なお、上記においては、回収容器1を回収室40から離脱させる前に潤滑剤を添加したが、回収容器1を回収室40から離脱させた状態で潤滑剤を添加することも可能である。
混合装置70は、回収容器1を固定する回収容器固定部71、本体72、接続部73、冷媒経路74及びロータリージョイント75を備えている。
回収容器固定部71は、回収容器1を収容固定するものであり、破線で示したように上方側の一端を軸として他端が回動可能となっている。これにより、回収容器1を容易に収容することができる。この回収容器固定部71は、接続部73を介して本体72と接続されており、図中に二点鎖線で示すように、接続部73を軸として、回転するようになっている。なお、回収容器固定部71の回転方向は上記と逆方向であっても良い。
なお、上記においては、回収容器1内の雰囲気中に酸素が含有されている場合について述べたが、例えば、低酸素水素粉砕粉を製造する場合など、回収容器1内の雰囲気中に酸素が含有されていなくても、混合時に水素粉砕粉同士の摩擦によって回収容器1内の温度が上昇する。これらの場合においても、本実施例による回収容器1を用いて冷却しながら混合することにより、上記と同様の効果を得ることができる。
また、通常酸素水素粉砕粉を製造する場合、回収容器1内を低酸素(20ppm以下)となしていても、回収室から回収容器1に水素粉砕粉を回収する際に、酸素含有量を調整するために導入した酸素含有ガスが、水素粉砕粉と一緒に回収容器1内に少量混入される場合がある。これらの場合においても、本実施例による回収容器1を用いて冷却しながら混合することにより、上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施例による製造装置においては、回収容器1は回収室に脱着できる構造となっており、その脱着部の構造上、回収容器1内を真空排気手段によって減圧することが難しい。従って、回収容器1内は不活性ガスの流気によって酸素濃度を低下させることになるが、例えば、何らかのトラブルで酸素濃度が所定値(20ppm以下)まで下がらなかったり、酸素濃度測定手段の故障などによって、回収室内に微量な酸素が混入したりすることも考えられる。このような突発的なトラブルが生じても、本実施例による製造装置によれば、潤滑剤が回収容器1内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがないので、回収容器1がトラブルの影響を受けることがない。
なお、図3では説明の便宜上、回収容器1の中心付近における水の流れを矢印で示したが、本実施例の水冷ジャケット1bは回収容器1の全体に配設されており、図3の手前側及び奥側の面にも冷却水が流れている。ただし、水冷ジャケット1bは必ずしも回収容器1の全体に配設される構成でなくてもよい。
また、本実施例においては、冷媒注入口1a及び冷媒排出口1cと冷媒経路74の端部には、カプラ(コネクター)が設けられており、容易に脱着可能となっている。また、冷媒経路74にはロータリージョイント75が設けられているから、回収容器固定部71の回転に応じて冷媒経路74を回転させることができる。
なお、潤滑剤は、操作棒(図示せず)によってバケット1dを反転させることでバケット1dから容易に排出することができる。
また、図4に破線で示すように、バケット1dの内面形状を半球状とすることにより、バケット1dからより容易に潤滑剤を排出することができる。また、水素粉砕粉が回収室から回収容器1内に落下する際に、一部の水素粉砕粉がバケット1d内に入り込み、バケット1d内の潤滑剤が少しずつ押し出されて回収容器1内にこぼれ落ちることとなり、より効率よく潤滑剤を添加することができる。
本実施例の製造方法は、回収工程において、回収室を減圧した後に水素粉砕粉を回収することにより、水素粉砕粉が回収室内壁面に残留することを防止して、低酸素の水素粉砕粉を量産することができる。しかし、上述の通り、磁気特性に優れた低酸素磁石を製造するには、水素粉砕以降の各工程、特に、粒径が小さく酸化しやすい微粉砕粉の酸化を防止するために、特許文献1や2に記載されるように新たな装置や工程を採用しなければならず、製造コストが増加する。このため、希土類系磁石の用途によっては、特許文献4に記載されるように、特定量の酸素を含む不活性ガス中でジェットミル粉砕を行い、微粉砕粉表面に酸化被膜を形成して微粉砕粉を安定化することにより、大気中でのプレス成形を可能となし、プレス成形の効率を向上させ、製造コストを低減した通常酸素磁石も要求される。しかし、通常酸素磁石の製造に際して低酸素磁石用の低酸素水素粉砕粉を用いると、特定量の酸素を含む不活性ガス中でジェットミル粉砕を行っても、酸素含有量の増加には限界があり、微粉砕粉表面の酸化被膜の形成が十分ではなく、完全に安定化することができず、大気中でのプレス成形の際に急激な酸化により微粉砕粉が発火するなどの問題が発生する。すなわち、通常酸素磁石の製造に際しては、予め特定量の酸素が含有された通常酸素磁石用の通常酸素水素粉砕粉を準備する必要がある。そのため、水素粉砕粉の段階で酸素含有量を特定の範囲内に制御することが必要となる。
このように、本実施例の製造方法によれば、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉を共通の水素粉砕装置を用いて製造することができる。そのため、製造コストの低減、製造ラインの簡素化、設備のメンテナンスに要する費用削減を図ることができる。
また、潤滑剤添加工程において、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加するため、回収容器を解放する必要がなくなり、回収容器内へ酸素が混入することを防止できる。従って、無酸素の状態を保持しながら、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を行うことができ、酸素含有量が極めて少ない低酸素水素粉砕粉を製造することができる。
また、混合工程において、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、通常酸素水素粉砕粉に比較的融点の低い固形状や粉末状の潤滑剤を添加する場合など、回収容器内の雰囲気中に酸素が含有され、混合中に水素粉砕粉が徐々に酸化しても、その反応熱による回収容器内の温度上昇を防止することができる。従って、潤滑剤が回収容器内壁にこびりついたり、その潤滑剤が次の混合時に剥がれ落ちたりすることがなく、所定量の潤滑剤を水素粉砕粉に均一に混合することができる。
このように、回収容器内で水素粉砕粉に潤滑剤を添加し、回収容器を冷却しながら水素粉砕粉と潤滑剤を混合するため、低酸素水素粉砕粉と通常酸素水素粉砕粉のいずれの場合においても、水素粉砕後の水素粉砕粉の回収、水素粉砕粉への潤滑剤の添加、水素粉砕粉と潤滑剤の混合を共通の容器で行うことができる。
図6に示すように、本実施例による希土類系磁石用原料合金の水素粉砕装置は、希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵室10と、水素吸蔵により粉砕された希土類系磁石用原料合金を加熱により脱水素する加熱室20と、加熱された希土類系磁石用原料合金を冷却する冷却室30と、冷却された希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を回収容器1に回収する回収室40とを備えている。
水素吸蔵室10は、前室からの搬入口には遮断扉11を、加熱室20への搬出口には遮断扉21を有して、室内の密封を保てるように構成されている。水素吸蔵室10は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段12と、室内のガスを排出する真空排気手段13と、水素ガスを導入する水素導入手段14と、処理容器50を搬送するコンベア手段15を備えている。
加熱室20は、水素吸蔵室10からの搬入口には遮断扉21を、冷却室30への搬出口には遮断扉31を有して、室内の密封を保てるように構成されている。加熱室20は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段22と、室内のガスを排出する真空排気手段23と、室内を加熱する加熱手段24と、処理容器50を搬送するコンベア手段25を備えている。
冷却室30は、加熱室20からの搬入口には遮断扉31を、回収室40への搬出口には遮断扉41を有して室内の密封を保てるように構成されている。冷却室30は、不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段32と、室内のガスを排出する真空排気手段33と、室内を冷却する冷却手段34と、処理容器50を搬送するコンベア手段35を備えている。
回収室40は、冷却室30からの搬入口には遮断扉41を、炉外への搬出口には遮断扉2を有して、室内の密封を保てるように構成されている。回収室40は、不活性ガスを導入する第一のガス導入手段42aと、酸素含有ガスを導入する第二のガス導入手段42bと、室内のガスを排出する真空排気手段43と、処理容器50を上下反転させる反転手段44と、処理容器50を搬送するコンベア手段45を備えている。また、回収室40の下部にはバルブ60を有しており、バルブ60を介して回収容器1が接続されている。なお、回収容器1には容器を密封するためのバルブ(図示せず)が設けられている。
処理容器50は、希土類系磁石用原料合金を収納した状態で、水素吸蔵室10、加熱室20、冷却室30、及び回収室40に移送される。
また、酸素含有ガスとして空気を用いる場合は、第二のガス導入手段42bの前段部に、ドライエアー発生装置を設けることが好ましい。ドライエアー発生装置を設けることにより、空気中に含まれる水分が起因となる水素粉砕粉の酸化に与える影響を抑制することができ、水素粉砕粉の酸素含有量を所定の値により正確に調整することが可能となる。ドライエアー発生装置としては、冷凍式や吸着式など公知の発生装置を用いることができる。ドライエアー発生装置にて発生させるドライエアーは、大気圧露点−10℃以下であることが好ましい。
Rは、Nd、Pr、Dy、Tbのうち少なくとも一種から選択される。ただし、Rは、Nd又はPrのいずれか一方を必ず含むことが望ましい。更に好ましくは、Nd−Dy、Nd−Tb、Nd−Pr−Dy、又はNd−Pr−Tbで示される希土類元素の組合せを用いる。
Rのうち、DyやTbは、特に保磁力の向上に効果を発揮する。上記元素以外に少量のCeやLaなど他の希土類元素を含有してもよく、ミッシュメタルやジジムを用いることもできる。また、Rは純元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で、製造上不可避な不純物を含有するものでも差し支えない。含有量は、従来から知られる含有量を採用することができ、例えば、25質量%以上35質量%以下が好ましい範囲である。25質量%未満では高磁気特性、特に高保磁力が得られず、35質量%を超えると残留磁束密度が低下するためである。
Tは、Feを必ず含み、その50%以下をCoで置換することができる。Coは温度特性の向上、耐食性の向上に有効であり、通常は10質量%以下のCo及び残部Feの組合せで用いる。Tの含有量は、RとBあるいはRとBとMとの残部を占める。
Bの含有量についても公知の含有量で差し支えなく、例えば、0.9質量%〜1.2質量%が好ましい範囲である。0.9質量%未満では高保磁力が得られず、1.2質量%を超えると残留磁束密度が低下するため好ましくない。なお、Bの一部はCで置換することができる。C置換は磁石の耐食性を向上させることができ有効である。B+Cとした場合の含有量は、Cの置換原子数をBの原子数で換算し、上記のBの濃度の範囲内に設定されることが好ましい。
上記元素に加え、保磁力向上のためにM元素を添加することができる。M元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、Wのうち少なくとも一種である。添加量は2質量%以下が好ましい。5質量%を超えると残留磁束密度が低下するためである。
また、不可避的不純物も許容することができる。例えば、Feから混入するMn、Crや、Fe−B(フェロボロン)から混入するAl、Si、Cuなどである。
急冷法によって作製した希土類系磁石用原料合金(急冷合金)の厚さは0.03mm以上10mm以下の範囲にあり、フレーク形状である。合金溶湯は冷却ロールの接触した面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)に比較して、短時間に冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さい。また粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内に大きく広がっているため、Rリッチ相の分散性に優れる。このため水素粉砕法により粒界で破断し易い。急冷合金を水素粉砕することで、水素粉砕粉(粗粉砕粉)の平均サイズを例えば1.0mm以下とすることができる。
処理容器50は、上面に開口部を有し、この開口部には蓋体51が設けられる。ここで、蓋体51は開口部を密閉するものではなく開口部との間に水素ガスや不活性ガスなどが出入りできる隙間を有している。つまり、処理容器50の開口部を蓋体で覆った状態になっている。処理容器50は、耐熱性があり加工も比較的簡単なステンレスが適している。容積や板厚は一回に処理する量や、水素粉砕装置の寸法に合わせて適宜決定すればよい。処理容器50は、上部が開放されていれば、形状にはこだわらないが、一般的には箱型としている。水素吸蔵、加熱、冷却の効率を向上させるため、一つの台座に複数の箱型容器を一定の間隔をもって配置することも好ましい構成の一つである。ちなみに、本実施例においては、一つの台座に箱型容器を4列×2列で所定の間隔を開けて配置した処理容器を用いている。また、処理容器50には、内部を貫通するパイプを備えていることが望ましい。原料合金は処理容器50に投入されて堆積しているため、処理容器50内部は加熱や冷却による温度変化が遅くなり、脱水素や脱水素後の冷却が十分ではなく、最終的に得られる磁石の磁気特性がばらつく原因となるため、内部を貫通するパイプの内部に加熱や冷却用の不活性ガスを通過させることで、処理容器50表面の原料合金と内部の原料合金の温度変化に差が少なくなり、品質が安定する。前記パイプは、直径が異なるものを組合せたり、配置場所や配置間隔を選定することで、さらに原料合金の温度変化を改善することができる。
処理容器50は、開口部を蓋体51で覆った状態で、水素吸蔵室10、加熱室20、及び冷却室30に移送される。
水素吸蔵室10に搬入される処理容器50には、例えば急冷法によって製造されたフレーク状の希土類系磁石用原料合金が収納されている。
水素吸蔵室10の遮断扉11を開放して水素吸蔵室10内に処理容器50を搬入する。搬入後に遮断扉11を閉塞し、真空排気手段13を動作させて水素吸蔵室10内を真空引きする。
水素吸蔵室10内を真空排気し、真空排気手段13の動作を終了した後に、水素導入手段14を動作させて水素吸蔵室10内に水素ガスを導入する。水素ガスの導入により水素吸蔵室10内を0.1〜0.18MPaの圧力とし、処理容器50内の希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させ、水素吸蔵工程を実施する。
所定時間経過後(水素吸蔵終了後)に、水素導入手段14の動作を終了させて水素ガスの導入を停止し、水素吸蔵室10内の水素ガスを真空排気手段13を動作させることによって真空排気する。これによって水素吸蔵工程は終了し、次の加熱工程へ移る。このとき、希土類系磁石用原料合金は水素を吸蔵して脆化し粉砕され、水素粉砕粉(粗粉砕粉)となっている。
そこで、水素吸蔵室を加熱できるように構成しておき、水素吸蔵時の発熱反応による原料合金の温度上昇を利用して、その温度を低下させずに、高温保持状態で水素吸蔵を行なう方法を採用することは好ましい手段の一つである。高温保持状態で水素吸蔵を行なうことにより、主として粒界のRリッチ相で水素吸蔵を行うため、原料合金の脆化を十分に進行させながら、水素吸蔵工程の時間短縮、導入水素量を低減することができる。また、高温保持状態を維持しながら続く加熱工程へ移ると、加熱室の温度低下を防止することもできるので、加熱室における加熱工程の時間短縮、加熱に要する電力消費を低減することができる。
処理容器50は、遮断扉21を開放し、コンベア手段15及びコンベア手段25の駆動により、水素吸蔵室10から加熱室20に搬入される。搬入後に遮断扉21を閉塞し、加熱室20内を真空排気手段23によって更に真空引きするとともに加熱手段24によって加熱する。加熱室20内は、加熱手段24によって500〜600℃の温度に維持され、真空排気手段23によって1Pa程度の圧力に維持される。これによって水素粉砕粉の脱水素が行われる。水素粉砕粉の加熱工程においては、上記のように加熱室20内を真空排気するが、真空排気と同時に不活性ガス(例えば、アルゴンガス)を導入して、所定の圧力で流気状態にすることによって、原料合金の昇温速度を速くすることができ、加熱工程に要する時間短縮をはかることもできる。
加熱室20内にある処理容器50は、遮断扉31を開放し、コンベア手段25及びコンベア手段35の駆動により、加熱室20から冷却室30に搬入される。搬入後に遮断扉31を閉塞し、冷却室30内を冷却手段34によって冷却する。
冷却は、ファンによる冷却又は冷却室内の冷却水循環による冷却あるいはそれらを併用することによって行なう。
冷却室30内にある処理容器50は、遮断扉41を開放し、コンベア手段35及びコンベア手段45の駆動により、冷却室30から回収室40に搬入される。
回収室40への搬入にあたって、回収室40内は第一のガス導入手段42aを動作させることによって不活性ガス(アルゴンガス)が導入され、冷却室30内の雰囲気に近づけた後、第一のガス導入手段42aの動作を終了させる。
なお、低酸素水素粉砕粉を製造する場合は、上記のように第一のガス導入手段42aを動作させて不活性ガスを導入し、通常酸素水素粉砕粉を製造する場合は、前記の不活性ガスに代えて、第二のガス導入手段42bによって酸素含有ガスを導入したり、第一のガス導入手段42aと第二のガス導入手段42bによって不活性ガスと酸素含有ガスを同時に導入することもできる。ただし、この場合、冷却室30内にも酸素含有ガスが流れ込むこととなり、冷却室30内の酸素濃度の管理面においてはあまり好ましくない。従って、酸素含有ガスの導入は水素粉砕粉を回収室40内に排出した後に導入することが好ましく、ここでは、不活性ガスを用いることが好ましい。
回収室40内に処理容器50が搬入されると、遮断扉41を閉塞し、回収室40内は、真空排気手段43を動作させることによって真空排気される。回収室40内が真空排気され、1000Paから1Pa、好ましくは5Pa〜1Paの圧力にした状態で、蓋体51を取り外して反転手段44を動作させ、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内底部に落下させて排出する。なお、前記反転手段44は、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内に排出する手段として好ましい手段であるが、本発明の回収方法における主たる特徴の一つは、処理容器50内の水素粉砕粉を回収室40内に排出する際に回収室40内を減圧していることにある。従って、回収室40内が減圧されていれば、反転手段44以外の排出手段を用いても構わない。
回収室40内は、回収工程終了後、空になった処理容器50を遮断扉2から取り出した後、遮断扉2を閉じて真空排気され、冷却室から次の処理容器50が来るまで真空排気が継続されている。
そして、次の処理容器50が搬入される直前で冷却室の雰囲気に近づけるために不活性ガス(アルゴンガス)により復圧されるため、回収室40内の酸素量は十分低減されており(例えば20ppm以下)、水素粉砕粉の酸化防止の観点ではほとんど酸素量を考慮する必要はない。従って、1000Paから1Paという圧力は、水素粉砕粉が回収室内で舞わないという条件を規定したものである。一方、水素粉砕装置のサイクルスピードが速かったり、回収室40内の点検や整備などで、冷却室から次の処理容器50が来るまでに十分な真空排気ができていなかった場合などは、回収室40内の酸素量を十分に低減させ、好ましくは酸素量が20ppm以下とするために、回収室40内の圧力を5Pa〜1Paにすることが好ましい。すなわち、5Pa〜1Paという圧力は、回収室40内の酸素量を20ppm以下とするための条件を規定したものである。当然ながら、5Paは1000Paよりも高真空であるため、水素粉砕粉が回収室内で舞うことはない。このように、回収室40内の圧力は、通常は1000Pa以下で十分であり、5Pa以下であればより好ましい。
本発明は水素粉砕粉の酸化や水素粉砕粉の回収室40内での舞いを防ぐ意味では1Pa以下の真空度は必ずしも必要ではないが、たとえ1Pa以下であっても本発明を実施できる。
回収室40内に水素粉砕粉を落下させた後、真空排気手段43の動作を終了し、回収室40内に第一のガス導入手段42a及び/又は第二のガス導入手段42bを動作させることによって不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して所定圧力とした後、第一のガス導入手段42a及び/又は第二のガス導入手段42bの動作を終了する。
なお、回収容器1には、回収容器1に設けられたバルブ(図示せず)が開放されており、回収容器1内の空気を酸素濃度が20ppm以下となるように不活性ガスにてあらかじめ置換している。また、回収室40内への不活性ガス(アルゴンガス)の導入により、回収室40内の所定圧力は、回収容器1内の圧力と同圧としている。この状態で、バルブ60を開放して回収容器1内に水素粉砕粉を回収する。
回収容器1への水素粉砕粉の回収が終了すると、バルブ60及び回収容器1に設けられたバルブ(図示せず)をそれぞれ閉塞し、回収容器1を回収室40から離脱させる。その後遮断扉2を開放して処理容器50を回収室40外へ移送する。
この時、回収室40にて調整された水素粉砕粉の酸素濃度を、次工程となる微粉砕工程まで維持するには、上記のように、回収容器1内を予め不活性ガスを導入して酸素濃度が20ppm以下となるようしておくことが好ましい。一方、回収室40にて調整された水素粉砕粉の酸素濃度をさらに増加させたい場合は、回収容器1内に不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入して酸素濃度が20ppmを超える酸素濃度に調整しておいてもよい。
また本実施例では、回収室40には、処理容器50を上下反転させる反転手段44を有し、処理容器50は、上面に開口部を有し、処理容器50内の希土類系磁石用原料合金の排出を、反転手段による上下反転によって行う。従って、処理容器50の下部を開放して水素粉砕粉を落下させる場合に比較して、開口部周辺や蓋体周辺に水素粉砕粉が残留することが少なく、更に減圧した状態なので、反転動作による気流の発生による水素粉砕粉の舞い上がりの影響も生じない。
また本実施例では、処理容器50の開口部を蓋体51で覆った状態で、水素吸蔵室10による水素吸蔵工程、加熱室20による加熱工程、及び冷却室30による冷却工程を行うことができ、更に回収室40における減圧時にはガスとともに水素粉砕粉を排出してしまうことがない。
また本実施例では、処理容器50からの希土類系磁石用原料合金の排出を、回収室40内が1000Paから1Paの減圧下で行うことで、回収室40内での気流の発生を無くすことができ、水素粉砕粉が舞うことによる回収室40内壁面などへの付着を防止できる。
また本実施例では、回収容器1内の空気を、酸素濃度を20ppm以下となるように不活性ガスにてあらかじめ置換し、回収室40内の所定圧力を回収容器1内の圧力と同圧とすることで、回収容器1内での酸化を防止できるとともに、回収室40から回収容器1への水素粉砕粉の排出を容易に行うことができる。
図7は同水素粉砕装置における回収室(希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の回収装置)の要部正面図、図8は同回収室の要部側面図、図9は図8の要部拡大図、図10は同回収室の要部上面図である。
なお、図8から図10においては、遮断扉41、第一のガス導入手段42a、第二のガス導入手段42b、及び真空排気手段43については図示していない。
回収室40は、その下部がロート状になっており、堆積した希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉をロート状下部の排出口40aから回収容器1(図7から図10では図示せず)に排出できるようになっている。排出口40aには、バルブ60が設けられている。また、回収容器1にもバルブ(図示せず)が設けられている。なお、回収室40の下部にエアーハンマーを設けてもよい。
回収室40には、処理容器50を搬入搬出するコンベア手段45を有している。コンベア手段45は、複数本のローラで構成されている。また、回収室40には後述する反転手段44と、回収室40内の圧力を測定する圧力測定手段を有している。
回収室40内には、コンベア手段45の搬送方向への処理容器50の移動を阻止する移動阻止手段46a、46bを処理容器50の搬送方向の両側に有している。この移動阻止手段46a、46bは、コンベア手段45を構成するローラの間に配置され、ローラによる搬送面から処理容器50側に出没可能に設けられている。移動阻止手段46aは処理容器50の搬送方向の前側に設け、移動阻止手段46bは、処理容器50の搬送方向の後側に設けている。
また、回収室40内には、処理容器50のコンベア手段45からの離脱を阻止する離脱阻止手段47を処理容器50の搬入方向に直交する方向の両側に設けている。離脱阻止手段47は処理容器50の開口部側に設けている。処理容器50の開口部近傍の外周には鍔部52を有している。
離脱阻止手段47は、処理容器50が搬入された状態で鍔部52の上部に位置するように配置している。ここで、例えば離脱阻止手段47は、L字状の断面形状を有するもので構成される。また、本実施例では、処理容器50に設ける鍔部52を処理容器50の開口部近傍の外周に配置しているが、一対の鍔部52の長手方向が搬送方向となるように処理容器50の両側に配置する構成としてもよい。
基台44aは、コンベア手段45のローラ軸に垂直な一対の対向する壁部によって構成され、回転軸44bはこの一対の対向する壁部に軸支されている。また、離脱阻止手段47も対向する壁面の対向面に設けている。なお、基台44aを回動する回転軸44bとコンベア手段45を構成する複数本のローラを回転させるための主回転軸は同軸配置されている。
回収室40内の上方には、係合片48aを備えた蓋開閉手段48を有している。この係合片48aは、蓋体51の上面に有する係合片53と係合する。処理容器50が冷却室30から回収室40に搬入される移送動作によって、回収室40内上方の係合片48aが蓋体51上面の係合片53と係合し、係合片48aを上方へ移動させることで蓋体51を開口部から取り外すことができる。
ここで、例えば係合片48aと係合片53は、一方の係合片がT字状の断面形状をなし、他方の係合片が略C字状の断面形状を有するもので構成される。本実施例では、係合片53が略C字状の断面形状を有するものであり、係合片48aが逆T字状の断面形状を有するものであり、係合片48a及び係合片53は、一方向に延びるレール状部材で形成される。なお本実施例では、断面が逆L字の一対の部材によってスリットを形成することで略C字状と称している。
また本実施例では、反転手段44は、コンベア手段45に処理容器50を載置した状態で、処理容器50をコンベア手段45とともに反転する。このように、コンベア手段45を処理容器50とともに反転させることで、処理容器50から排出する水素粉砕粉がコンベア手段45に付着することがなく、水素粉砕粉を確実に回収室40の下部に落下させることができる。また、コンベア手段45を保持する基台44aを回動する回転軸44bとコンベア手段45を構成する複数本のローラを回転させるための主回転軸を同軸配置しているため、反転を容易に行なうことができる。
また、反転動作は、回収室40の真空排気手段43を動作後、回収室40内の圧力を測定する圧力測定手段により測定された圧力の情報に基づき動作が開始されるように制御されている。例えば、圧力1000Pa以下で反転動作を開始させるようにする。圧力測定手段としては、各種の圧力計や真空計を用いることができる。これによって、反転時に水素粉砕粉が回収室40内で舞うことなく落下するため、回収室40内壁面などへの付着を防止できる。
図7に示すように、回収室40には、回収室40内の圧力を測定する圧力測定手段49aとともに酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段49bが設けられている。圧力測定手段49aにより測定された圧力の情報に基づき、回収室40内の圧力を制御し、酸素濃度測定手段49bにより測定された酸素濃度の情報に基づき回収室40内の酸素濃度を制御することにより、回収される水素粉砕粉の酸素含有量を制御することができる。また、回収室40内の圧力の情報に基づいて、反転動作を制御させたり、場合によっては、酸素濃度測定手段のみを用いて反転動作を制御しても構わない。
また本実施例では、移動阻止手段46a、46bを、処理容器50の搬送方向の前側と後側にそれぞれ設け、処理容器50のコンベア手段45からの離脱を阻止する離脱阻止手段47を処理容器50の開口部側に設け、反転手段44による反転時には、一対の移動阻止手段46a、46bと離脱阻止手段47とによってコンベア手段45に対して処理容器50を所定の位置に保持することができ、狭い空間においても反転動作を確実に行わせることができる。
本実施例では、移動阻止手段46a、46bをコンベア手段45を構成するローラの間から処理容器50側に出没可能に設けることで、ローラ間の隙間を利用するために装置の小型化を図れるとともに、ローラとの位置関係を正確に維持しやすいため、処理容器50の確実な保持を行える。
本実施例では、離脱阻止手段47を、処理容器50が搬入された状態で鍔部52の上部に位置するように配置している。このように、鍔部52を形成することで、搬送動作によって鍔部52と離脱阻止手段47とを対応させることができ、処理容器50を所定の位置に保持することができる。
また、本実施例では、第二のガス導入手段42bの前段部にドライエアー発生装置(図示せず)を配置しており、第二のガス導入手段42bから供給される酸素含有ガスは出口空気の圧力下露点が10℃(大気圧露点−17℃)となっている。これによって、酸素含有ガスとして空気を用いる場合は、空気中に含まれる水分が起因となる水素粉砕粉の酸化に与える影響を抑制することができ、水素粉砕粉の酸素含有量を所定の値により正確に調整することが可能となる。
図9は同回収室の出口に設けるバルブの動作を示す構成図である。
同図(a)はバルブ開の状態、同図(b)はバルブ閉動作途中の状態、同図(c)はバルブ閉の状態を示している。
バルブ60は、筒状部材61の内周面に配置される環状膨張部材62と、筒状部材61の径方向を回動軸63aとするディスク部材63とから構成される。
環状膨張部材62は、自身の材質や構造によって弾性変形可能な部材でもよいが、外部からのガス圧によって膨張可能であることが好ましい。
ディスク部材63は、回動軸63aによって回転し、同図(a)の状態において開放状態となる。また、同図(b)の状態によって筒状部材61を閉塞する位置に動作させた後に、環状膨張部材62を膨張変形させることで、ディスク部材63と環状膨張部材62との間は密閉される。
本実施例のバルブ60によれば、水素粉砕粉の付着による影響を無くし、密閉性を維持することができる。
バルブ60は、回収容器1内の酸素濃度が20ppm以下で、かつ回収室40の第一のガス導入手段42aによって回収室40内の圧力が回収容器1内の圧力と同圧になったとき、開閉動作を行なうことができるように制御されている。従って、回収容器1内での酸化を防止できるとともに、回収室40から回収容器1への水素粉砕粉の排出を容易に行うことができる。なお、回収容器1内の酸素濃度を20ppmを超える酸素濃度に調整した場合は、その時の圧力及び酸素濃度に応じて、バルブ60の開閉動作を制御する。
本実施例による水素粉砕装置で用いる希土類系磁石用原料合金として、最終的に得られる磁石組成にてNd23.24、Pr6.44、Dy0.55、B0.92、Al0.09、Ga0.08、Co2.00、Cu0.10(各mass%)となるように調整した組成物を用い、ストリップキャスト法により急冷合金を作製した。
そして、このストリップキャスト合金400kgを本装置に投入し、希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を回収容器1に回収した。
一方、同一材料、同一装置により比較実験を行った。上記実験例とは反転手段による上下反転時に、減圧を行うことなく水素粉砕粉を回収室内に落下させた。
なお、実施例1における反転時の内部圧力を5Paとし、反転後のアルゴンガス導入における圧力を大気圧と同圧とした。比較例1では、反転時の真空排気を行わず、反転時からアルゴンガス導入により圧力を大気圧と同圧とした。
実施例1では、その後回収室40内に残留する水素粉砕粉を集めたところ、水素粉砕粉は0.1g以下であった。比較実験では回収室40内から100gの水素粉砕粉が回収された。
本発明による水素粉砕装置によって、原料合金として酸素含有量200ppmのストリップキャスト合金を用い、水素吸蔵工程、加熱工程、冷却工程を行い、圧力が5Paの回収室内において処理容器を上下反転させて回収室内に水素粉砕粉を排出した。
次に、回収室内を回収容器と同じ圧力(大気圧)にするために、アルゴンガスを導入したのち、回収容器に水素粉砕粉を回収した。
回収した水素粉砕粉の酸素含有量を不活性ガス融解赤外線吸収法にて測定した結果、酸素含有量は500ppmであった。
アルゴンガスを導入する代わりに、大気圧露点−17℃の空気を導入する以外は実施例2と同様な方法で水素粉砕粉を回収した。
回収した水素粉砕粉の酸素含有量を実施例2と同様の方法で測定した結果、酸素含有量は1500ppmであった。
1b 水冷ジャケット
1d バケット
2 遮断扉
10 水素吸蔵室
11 遮断扉
12 不活性ガス導入手段
13 真空排気手段
14 水素導入手段
15 コンベア手段
20 加熱室
21 遮断扉
22 不活性ガス導入手段
23 真空排気手段
24 加熱手段
25 コンベア手段
30 冷却室
31 遮断扉
32 不活性ガス導入手段
33 真空排気手段
34 冷却手段
35 コンベア手段
40 回収室
41 遮断扉
42a 第一のガス導入手段
42b 第二のガス導入手段
43 真空排気手段
44 反転手段
45 コンベア手段
46a、46b 移動阻止手段
47 離脱阻止手段
48a 係合片
49a 圧力測定手段
49b 酸素濃度測定手段
50 処理容器
51 蓋体
52 鍔部
53 係合片
60 バルブ
61 筒状部材
62 環状膨張部材
63 ディスク部材
Claims (23)
- 処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、
水素吸蔵により粉砕された前記希土類系磁石用原料合金を加熱して脱水素する加熱工程と、
加熱された前記希土類系磁石用原料合金を冷却する冷却工程と、
冷却された前記希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を回収容器に回収する回収工程と、
回収された前記水素粉砕粉を収容した前記回収容器内で前記水素粉砕粉に潤滑剤を添加する潤滑剤添加工程と、
前記潤滑剤が添加された前記水素粉砕粉を収容した前記回収容器を冷却しながら前記水素粉砕粉と前記潤滑剤を混合する混合工程と、
を含む希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法であって、
前記回収工程が、前記水素吸蔵工程、前記加熱工程、前記冷却工程を行う一つあるいは複数の処理室に連接する回収室にて行なわれ、前記回収室には、
不活性ガスを導入する第一のガス導入手段と、
酸素含有ガスを導入する第二のガス導入手段と、
前記回収室内のガスを排出する真空排気手段と、
前記処理容器を前記処理室から前記回収室内へ搬入するための搬入口と、
前記回収室の下部に配置される排出口と、
前記排出口に接続された前記回収容器とを有し、
前記第一のガス導入手段によって前記回収室内に不活性ガスを導入した後に、
前記処理容器を前記処理室から前記回収室内へ前記搬入口より搬入し、
前記真空排気手段によって前記回収室内を減圧した後に、
前記処理容器内の前記水素粉砕粉を前記回収室内に排出し、
前記水素粉砕粉を前記回収室内に排出した後に、
前記回収室内に前記第一のガス導入手段及び/又は前記第二のガス導入手段によって不活性ガス及び/又は酸素含有ガスを導入し、前記回収室内を所定圧力及び所定酸素濃度とした後に、前記水素粉砕粉を前記回収容器に回収することを特徴とする希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。 - 前記回収室には、前記処理容器を上下反転させる反転手段を有し、前記処理容器は、上面に開口部を有し、前記処理容器内の前記水素粉砕粉の排出を、前記反転手段による上下反転によって行うことを特徴とする請求項1に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記反転手段による上下反転を行った後に、前記開口部を下方に向けた状態で前記反転手段によって揺動動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記処理容器は前記処理容器の前記開口部を覆う蓋体を有し、前記真空排気手段による減圧時には前記蓋体によって前記開口部を覆い、前記真空排気手段によって前記回収室内を減圧した後で、前記反転手段による上下反転を行う前に、前記蓋体を前記開口部から取り外すことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記処理容器の前記開口部を前記蓋体で覆った状態で、前記水素吸蔵工程、前記加熱工程、及び前記冷却工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記処理容器からの前記水素粉砕粉の排出を、前記回収室内が1000Paから1Paの減圧下で行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記回収室内の前記所定圧力を、予め不活性ガス及び/又は酸素含有ガスの導入によって所定の酸素濃度となした前記回収容器内の圧力と同圧にすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記潤滑剤の添加を前記回収容器内に配設されたバケットにより行うことを特徴とする請求項1に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記回収容器の冷却を、回収容器外面に配設した水冷ジャケットにより行うことを特徴とする請求項1又は請求項8に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記水冷ジャケットに20℃〜30℃の冷媒を供給することを特徴とする請求項9に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 前記水素粉砕粉と前記潤滑剤の混合を前記回収容器自体を回転させることにより行うことを特徴とする請求項1及び請求項8から請求項10のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法。
- 上面に開口部を有する処理容器に収容された希土類系磁石用原料合金を、水素吸蔵処理、加熱処理、冷却処理する一つあるいは複数の処理室と、前記処理室に連接する回収室とを有し、前記回収室には、不活性ガスを導入する第一のガス導入手段と、酸素含有ガスを導入する第二のガス導入手段と、前記回収室内のガスを排出する真空排気手段と、前記処理容器を前記処理室から前記回収室内へ搬入するための搬入口と、前記回収室の下部に配置される排出口とを有し、前記処理室から前記回収室に搬入した前記処理容器内の前記希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を前記回収室内へ排出し、前記排出口から回収容器に回収する希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置であって、
前記回収容器には、前記回収容器内に潤滑剤を収納するためのバケットと前記回収容器外面に前記回収容器を冷却するための水冷ジャケットが配設されており、
前記回収室には、前記処理容器を上下反転させる反転手段と、前記回収室内の圧力を測定する圧力測定手段を備え、前記真空排気手段を動作後、前記圧力測定手段により測定された圧力の情報に基づき前記反転手段を動作させ、前記処理容器を上下反転させて前記処理容器内の前記希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉を前記回収室内に排出することを特徴とする希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。 - 前記回収室内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記反転手段が、前記処理容器を上下反転させ前記処理容器の前記開口部を下方に向けた状態でさらに前記処理容器を揺動させることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記処理容器は前記処理容器の前記開口部を覆う蓋体と前記蓋体を取り外す蓋開閉手段を有し、前記蓋開閉手段が、前記蓋体に設けられた係合片と前記回収室内に設けられた係合片とを係合させ、前記回収室内に設けられた前記係合片の上方への移動によって前記蓋体を取り外すことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記蓋体に設けられた前記係合片は前記蓋体の上部に、前記回収室内に設けられた前記係合片は前記回収室内の上部にそれぞれ配置されており、一方の前記係合片がT字状の断面形状をなし、他方の前記係合片が略C字状の断面形状をなしていることを特徴とする請求項15に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記回収室は、前記処理容器を前記処理室から搬入するコンベア手段を有し、前記反転手段は、前記処理容器を前記コンベア手段とともに反転することを特徴とする請求項12から請求項16のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記コンベア手段の前記処理容器搬送方向の両側に、反転時に前記処理容器の移動を阻止する移動阻止手段をそれぞれ設け、前記コンベア手段の前記処理容器搬入方向に直交する方向の両側に、反転時に前記処理容器の前記コンベア手段からの離脱を阻止する離脱阻止手段をそれぞれ設け、前記反転手段による反転時には、一対の前記移動阻止手段と一対の前記離脱阻止手段とによって前記コンベア手段に対して前記処理容器が所定の位置に保持されることを特徴とする請求項17に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記コンベア手段が複数本のローラで構成され、前記移動阻止手段が、前記ローラの間から前記処理容器側に出没可能に設けられていることを特徴とする請求項18に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記離脱阻止手段がL状の断面形状をなし、前記処理容器の前記開口部近傍の外周に設けられる鍔部の上部に位置するように配置されていることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記排出口にはバルブを有し、前記バルブが、筒状部材の内周面に配置される環状膨張部材と、前記筒状部材の径方向を回動軸とするディスク部材とから構成されていることを特徴とする請求項12から請求項20のいずれかに記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記回収容器内の前記バケットを反転させることにより前記回収容器内に前記潤滑剤を排出することを特徴とする請求項12に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
- 前記回収容器外面の前記水冷ジャケットに20℃〜30℃の冷媒を供給することを特徴とする請求項12に記載の希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造装置。
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