JP6245314B2 - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ニッケル粉の製造方法に関するものであり、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加圧容器内で水素還元してニッケル粉を得るニッケル粉の製造方法に関する。
湿式製錬プロセスを用いてニッケルメタルを製造する方法として、例えば特許文献1に示される方法がある。具体的に、特許文献1には、ニッケルを含有する原料を硫酸溶液に溶解し、原料に含有される不純物を除去する処理を行い、次いで、不純物を分離した硫酸ニッケルの溶液にアンモニアを添加してニッケルをアンミン錯体の形態とし、そして、その硫酸ニッケルアンミン錯体の溶液を容器に入れて高温高圧下とし、水素ガスを吹き込むことによって溶液中のニッケルイオンを還元して、ニッケルの粉末を製造するという方法が開示されている。
このような方法は、コンパクトな設備で高品質のニッケルメタルを得る効率的な方法であるが、一方で、工業的な規模で行う場合には、設備の耐久性等の問題が大きかった。
すなわち、工業的な実施に際しては、上述した処理を行うに際して、加圧容器への原料装入と加圧容器からの反応生成物の取り出しを連続的に行うことが必須となるが、反応容器と外部の圧力差が極めて大きいことから、反応容器の取り出し口の部分ではスラリーが音速を超えるほどの流速となる。その結果、排出されるニッケル粉を含んだスラリーと反応容器との接触による設備の摩耗が激しくなり、排出後にニッケル粉が設備に衝突する際の衝撃力の大きさから、設備の耐久性が短くなるという問題があった。
特に、加圧容器で生成した粗大なニッケルの粉末を取り扱う際には、そのニッケル粉末が排出口を制御するバルブに閉塞してしまい、バルブ開閉が制御できなくなるおそれがあるなど、操業の安定性にも影響することもあった。
このような摩耗や衝撃に耐え得るものであって、かつ工業的に利用に適した材質は未だ見出されておらず、頻繁に設備を停止させて部品を交換するといった補修が欠かせず、補修コストの増加や修理時間の増加による生産性の低下等が問題となっている。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、加圧容器から排出する際に発生するニッケル粉と設備との摩耗や衝撃による設備の損耗を防止して、安価にかつ安定的にニッケル粉を製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶としてのニッケル粉との混合スラリーを反応容器に装入し、水素ガスを連続的に供給しながら加圧下で水素還元することによって還元ニッケル粉を製造した後、得られた還元ニッケル粉を含む反応後スラリーを取り出すに際して、一旦、加圧した反応容器の内部の圧力と等圧あるいは僅かに減圧した加圧貯留容器(レシービングベッセル)に移すようにし、次いで、そのレシービングベッセルを大気圧まで徐々に減圧させてから反応後スラリーを取り出す方法を見出した。これにより、反応容器の損耗を効果的に防ぐことができ、安価にかつ安定的にニッケル粉を製造できることが分かり、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と、種晶としての0.1μm以上300μm以下の粒径のニッケル粉とを反応容器に供給し、該反応容器の内部を150℃以上250℃以下の温度範囲に維持しながら、水素ガスを連続的に供給して該反応容器の内部の気相部の圧力を2.5MPa以上3.5MPa以下の範囲とすることによって該硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケルイオンをニッケルに還元して、該反応容器に供給した前記種晶であるニッケル粉の表面に析出させ、次いで、前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液とニッケル粉とを含む反応後スラリーを、前記反応容器に接続され、該反応容器の内部の圧力と等圧あるいは僅かに減圧した加圧貯留容器に移送し、次いで、前記反応後スラリーが移送された加圧貯留容器を減圧した後に、該加圧貯留容器から反応後スラリーを抜き出し、ニッケル粉を回収する、ニッケル粉の製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記加圧貯留容器の内部圧力を、前記反応容器の内部圧力よりも0.2MPa以上1.0MPa以下の範囲で低く維持した状態で、該反応容器から前記反応後スラリーを該加圧貯留容器に移送する、ニッケル粉の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記加圧貯留容器に不活性ガスを吹き込むことで加圧し、あるいは、該加圧貯留容器から該不活性ガスを排出することで減圧して、該加圧貯留容器の内部圧力を調整し維持する、ニッケル粉の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記加圧貯留容器の内部を100℃以下にまで冷却することによって、該加圧貯留容器の内部圧力を低下させる、ニッケル粉の製造方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記反応後スラリーが移送された前記加圧貯留容器の内部圧力を大気圧まで減圧した後、該加圧貯留容器から反応後スラリーを抜き出し、抜き出した反応後スラリーを固液分離することによってニッケル粉を回収する、ニッケル粉の製造方法である。
本発明によれば、加圧容器から排出する際に発生するニッケル粉と設備との摩耗や衝撃による設備の損耗を防止しながら、ニッケル粉を製造することができる。これにより、設備の修理に要するコストを有効に低減し、設備稼働率を向上させて、安価にかつ安定的にニッケル粉を製造することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.水素還元によるニッケル粉の製造について≫
本実施の形態に係るニッケル粉の製造方法では、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を反応容器に装入して加圧下で水素ガスと接触させ還元することにより、ニッケル粉を得る。
本実施の形態に係るニッケル粉の製造方法では、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を反応容器に装入して加圧下で水素ガスと接触させ還元することにより、ニッケル粉を得る。
具体的に、このニッケル粉の製造方法においては、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と、種晶としてのニッケル粉との混合スラリーを反応容器に供給し、その反応容器の内部の温度を所定の範囲に維持しながら、水素ガスを連続的に供給して反応容器の内部における気相部の圧力を調整することによって、加圧下で硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケルイオンをニッケルに還元し、種晶としてのニッケル粉の表面に析出させる。
このような方法により、高い品質を有し、最適な形状のニッケル粉を、連続的な操業により効率的に製造することができる。
反応容器としては、所定の温度条件、圧力条件に調整し維持することができる加圧反応容器であれば、特に限定されない。例えば、オートクレーブ等を用いることができる。また、その大きさについても、原料となる硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶であるニッケル粉との混合スラリーの処理物量等に応じて適宜設定することができる。
硫酸ニッケルアンミン錯体溶液は、ニッケルをアンミン錯体の形態として含有する溶液であり、例えば、硫酸ニッケル(NiSO4)溶液に、アンモニアガス又はアンモニア水(NH4OH)を添加することによって得ることができる。
硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を製造するにあたり、添加するアンモニアの濃度としては、特に限定されないが、例えば、溶液中のニッケル濃度に対してモル比で1.9以上となるようにアンモニアを添加することが好ましい。これにより、溶液中のニッケルがアンミン錯体を形成せずに水酸化ニッケルの沈殿となってしまうことを防ぐことができる。
種晶として添加するニッケル粉としては、平均粒径が0.1μm以上300μm以下のものを用いることが好ましく、10μm以上200μm以下のものを用いることがより好ましい。種晶のニッケル粉の粒径が0.1μm未満であると、ニッケル粉が微細になり過ぎて、種晶としての効果が得られない可能性がある。一方で、種晶のニッケル粉の粒径が300μmを超えると、粗大なものであるために、設備の摩耗を抑制する効果が得られず、またこのような粗大なニッケル粉を用意することは経済的に不利となる。
種晶としてのニッケル粉は、市販品のニッケル粉を用いることができ、また、公知の方法により化学的に析出させたニッケル粉を分級して用いることができる。さらに、本実施の形態に係る製造方法で得られたニッケル粉を繰り返して用いることもできる。
なお、この種晶としてのニッケル粉は、原料である硫酸アンミン錯体溶液と共にスラリーポンプ等の供給装置を用いて連続して反応容器に供給される。
反応容器の内部の温度、すなわち水素還元反応の反応温度としては、150℃以上250℃以下の範囲とする。また、好ましくは、150℃以上185℃以下の範囲とする。反応溶液の内部の温度は、例えば加温装置等により加温して調整し、維持する。
反応温度に関して、反応温度が150℃未満であると、硫酸アンミン錯体溶液中のニッケルイオンの還元効率が低下するため好ましくない。一方で、反応温度が250℃を超えても、還元反応への影響はなく、むしろ反応容器に供給する水素ガスのロスが増加する。また、熱エネルギーのロスが生じる。
また、この製造方法においては、反応容器の温度を150℃以上250℃以下に維持した状態で、その反応容器内で溶液が満たされていない気相部に、水素ガスを連続的に供給することによって、その気相部の圧力が2.5MPa以上3.5MPa以下の範囲となるようにする。具体的には、水素ガスを、例えばボンベ等から、反応容器内の気相部に直接吹き込む、あるいはスラリー内に吹き込む。
気相部の圧力に関して、内部圧力が2.5MPa未満であると、ニッケルイオンの還元反応の効率が低下する。一方で、内部圧力が3.5MPaを超えるように高圧の条件にしても、還元反応への影響はなく、かえって供給した水素ガスのロスが増加する。
このように、本実施の形態に係るニッケル粉の製造方法では、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶としてのニッケル粉との混合スラリーに対して、水素ガスを吹き込んで所定の圧力に調整することによって、加圧下で、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に含まれるニッケルイオンをニッケルに還元する。これにより、種晶として供給したニッケル粉の表面に、還元生成したニッケルが析出するようになり、還元ニッケル粉を得ることができる。
≪2.レシービングベッセルを用いた反応後スラリーの取り出し≫
さて、従来では、上述のようにして還元ニッケル粉を含む反応後のスラリー(以下、「反応後スラリー」という)を得た後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、例えば固液分離装置等に移送して、還元ニッケル粉を分離回収していた。このとき、反応後スラリーは、反応容器内における加圧下での還元反応により生じたものであることから、極めて速い流速で反応容器の取り出し口から排出されるようになり、その結果として、反応容器においては、その高速に流れるスラリー(より詳しくは、スラリーに含まれるニッケル粉)との接触により、摩耗が生じやすくなり、耐久性が低下していた。
さて、従来では、上述のようにして還元ニッケル粉を含む反応後のスラリー(以下、「反応後スラリー」という)を得た後、反応容器から反応後スラリーを取り出し、例えば固液分離装置等に移送して、還元ニッケル粉を分離回収していた。このとき、反応後スラリーは、反応容器内における加圧下での還元反応により生じたものであることから、極めて速い流速で反応容器の取り出し口から排出されるようになり、その結果として、反応容器においては、その高速に流れるスラリー(より詳しくは、スラリーに含まれるニッケル粉)との接触により、摩耗が生じやすくなり、耐久性が低下していた。
そこで、本実施の形態においては、反応容器の取り出し口(吐出口)に加圧貯留容器(以下、「レシービングベッセル」ともいう)の装入口を接続させ、反応容器内で生成した還元ニッケル粉を含む反応後スラリーを、そのレシービングベッセルに移送するようにする。そして、反応後スラリーが装入されたレシービングベッセルの内部圧力を徐々に低下させた後、その反応後スラリーを抜き出すことを特徴としている。
すなわち、反応容器で生成した還元ニッケル粉を含む反応後スラリーを取り出すに際して、その反応容器から大気圧に一気に減圧するのではなく、一旦、加圧した反応容器の内部の圧力と等圧あるいは僅かに減圧したレシービングベッセルに移すようにし、次いで、そのレシービングベッセルを大気圧まで徐々に減圧させてから、反応後スラリーを取り出す。なお、加圧した反応容器の内部の圧力とは、反応後スラリーが得られた際における圧力であり、およそ、上述した2.5MPa以上3.5MPa以下の範囲となる。
このような方法によれば、反応容器からの急激なスラリーの排出を抑制することができ、反応容器の吐出口でのニッケル粉による摩耗や取り出し後の衝撃発生を防ぐことができる。そして、このことにより、設備の安定操業を図ることができ、反応容器(設備)の修理頻度も有効に削減することができる。
具体的に、加圧した反応容器とレシービングベッセルとの圧力差としては、0.2MPa以上1.0MPa以下の範囲であることが好ましい。すなわち、加圧貯留容器の内部圧力を、反応容器の内部圧力よりも、好ましくは0.2MPa以上1.0MPa以下の範囲で低く維持した状態で、その反応容器から反応後スラリーを加圧貯留容器に移送する。
反応容器とレシービングベッセルとの圧力差が0.2MPa未満であると、反応容器からの反応後スラリーの取り出し(移送)が進みにくくなり、作業効率が低下する可能性がある。一方で、その圧力差が1.0MPaを超えると、反応容器からの排出速度が上がり過ぎてしまい、反応容器の吐出口やその吐出口に取り付けられたバルブ等の機器類の摩耗や衝撃を効果的に抑制することができない可能性がある。
反応容器からレシービングベッセルに反応後スラリーを移送するに際しては、予め、そのレシービングベッセルの圧力を、不活性ガスを吹き込むことによって加圧しておくことが好ましい。不活性ガスとしては、生成物である還元ニッケル粉の性質に影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を用いることができる。
また、反応容器とレシービングベッセルとの圧力差を、例えば、0.2MPa以上1.0MPa以下の範囲に調整するにあたっては、上述したように、レシービングベッセルに不活性ガスを吹き込むことによって加圧し、あるいは、そのレシービングベッセルから不活性ガスを排出させることによって減圧して、そのレシービングベッセルの内部圧力を調整し維持することができる。
次に、反応後スラリーが移送されたレシービングベッセルを減圧するにあたり、そのレシービングベッセルの減圧操作として、その気相部に設けた弁を徐々に開放することによって行うことができる。また、例えば、レシービングベッセルの外部にジャケット(冷却ジャケット)を設け、そのレシービングベッセルに反応後スラリーを移送させた後あるいは移送させる前から、そのジャケットに水やオイル等の冷却媒体を流してレシービングベッセル全体を冷却することによって、圧力を低下させる方法を用いてもよい。
具体的には、例えば、レシービングベッセルの内部の温度を100℃以下にまで冷却することにより、その内部圧力を低下させる。このように、レシービングベッセルの内部の温度を100℃以下の温度に冷却することにより、内部圧力を効率的に大気圧と同等とすることができ、反応後スラリーを安全にかつ安定して取り出すことができる。
ここで、レシービングベッセルとしては、加圧、減圧の操作を効率的に行うことが可能な貯留容器であれば特に限定されない。また、その大きさとしては、反応容器に供給する硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種結晶であるニッケル粉との混合スラリーの物量や、レシービングベッセルの減圧に要する時間等から適宜設定することができる。
また、レシービングベッセルとしては、1つの反応容器に対して2つ以上を並列に接続させておき、反応容器からの移送先を選択できるようにしておいてもよい。このようにすることで、一のレシービングベッセルにおける貯留量がいっぱいになった場合に、他のレシービングベッセルに切り替えて移送を継続し、その間に、いっぱいになった一のレシービングベッセルを減圧して反応後スラリーを取り出し、その後再度昇圧して切り替えに備えるようにすることができる。これにより、反応容器に装入した硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に水素ガスを供給して連続的に反応を生じさせるとともに、得られた反応後スラリーの取り出しについても、効率的に行うことができる。
また、反応容器に対して2つ以上のレシービングベッセルを直列に接続させるようにし、順次、例えば上述した0.2MPa以上1.0MPa以下の圧力差を維持しながら段階的に減圧していくようにしてもよい。
なお、レシービングベッセルを減圧した後に、そのレシービングベッセルから反応後スラリーを抜き出すと、例えば固液分離装置等に反応後スラリーを移送して、固液分離処理を施すことによって、得られた還元ニッケル粉を分離回収することができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
内容積が190リットルのオートクレーブを用いた反応容器(加圧容器)に、硫酸アンモニウムが362g/L、ニッケル粉が100g/Lの組成で含まれる溶液90リットルを装入し、密栓してその反応容器内の温度を185℃に昇温して維持した。そして、その反応容器の気相部に、水素ガスを吹き込むことによって、その気相部の内部圧力が2.5MPaとなるように調整し維持した。
内容積が190リットルのオートクレーブを用いた反応容器(加圧容器)に、硫酸アンモニウムが362g/L、ニッケル粉が100g/Lの組成で含まれる溶液90リットルを装入し、密栓してその反応容器内の温度を185℃に昇温して維持した。そして、その反応容器の気相部に、水素ガスを吹き込むことによって、その気相部の内部圧力が2.5MPaとなるように調整し維持した。
また、反応容器の排出口の吐出バルブに、容量が580リットルのレシービングベッセルの装入口を接続して、レシービングベッセルの内部に窒素ガスを通気させることによって空気と置換した後、そのレシービングベッセルの内圧が2.0MPaになるまで昇圧し保持した。
次に、反応容器に、ニッケル濃度75g/Lの硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と硫酸アンモニウム濃度330g/Lの組成からなる始液を毎分1リットルの割合で連続的に添加するとともに、粒径30μmのニッケル粉を用いた濃度150g/Lのニッケル粉スラリーを毎分0.5リットルの割合で連続的に添加した。さらに、反応容器の内部圧力が2.5MPaを維持するようにボンベの水素ガスを吹き込み、水素還元反応を生じさせた。
反応容器の液量を90L±5リットルの範囲で管理しながら、レシービングベッセルに反応後のスラリー(ニッケル粉スラリー)を移送させた。なお、この移送操作は、45分間の時間で行った。
次に、レシービングベッセルの周囲に設けたジャケットに熱媒を流して間接冷却した。ニッケル粉スラリーの受け入れ終了後、レシービングベッセルの大気開放弁を徐々に開放して大気圧まで降圧し、その後、レシービングベッセルからニッケル粉スラリーを抜き出した。
なお、ニッケル粉スラリーの温度は56℃だった。また、レシービングベッセルで回収したニッケル粉スラリーの量は65.5リットル(流量に換算して1.46L/分)であり、ニッケルスラリーのスラリー濃度は53g/Lであった。
次に、得られたニッケル粉スラリーを、ヌッチェを用いて固液分離し、ニッケル粉(還元ニッケル粉)と反応後の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液とに分離した。このようにして分離回収して得られたニッケル粉の平均粒径は75μmであった。また、反応容器での反応終了後に、反応容器の吐出バルブや配管、レシービングベッセルの内部を観察したが、摩耗や損傷等は見られなかった。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同様にして、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶としてのニッケル粉と水素ガスとを用いて、ニッケル粉を成長させ、反応容器に接続させたレシービングベッセルに移送させた。このとき、レシービングベッセルの内圧は、大気圧と同じとした。
比較例1では、実施例1と同様にして、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶としてのニッケル粉と水素ガスとを用いて、ニッケル粉を成長させ、反応容器に接続させたレシービングベッセルに移送させた。このとき、レシービングベッセルの内圧は、大気圧と同じとした。
反応容器での反応終了後、その反応容器の吐出バルブや配管、レシービングベッセルの内部を観察したところ、生成したニッケル粉による摩耗やニッケル粉が衝突したことによる内壁の傷等が観察され、その後長時間に亘った使用に耐えられないものと判断された。
Claims (4)
- 硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と、種晶としての0.1μm以上300μm以下の粒径のニッケル粉とを反応容器に供給し、該反応容器の内部を150℃以上250℃以下の温度範囲に維持しながら、水素ガスを連続的に供給して該反応容器の内部の気相部の圧力を2.5MPa以上3.5MPa以下の範囲とすることによって該硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケルイオンをニッケルに還元して、該反応容器に供給した前記種晶であるニッケル粉の表面に析出させ、
次いで、前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液とニッケル粉とを含む反応後スラリーを、前記反応容器に接続され、該反応容器の内部の圧力と等圧の、あるいは該反応容器の内部の圧力よりも0.2MPa以上1.0MPa以下の範囲で低く維持した加圧貯留容器に移送し、
次いで、前記反応後スラリーが移送された加圧貯留容器を減圧した後に、該加圧貯留容器から反応後スラリーを抜き出し、ニッケル粉を回収する
ニッケル粉の製造方法。 - 前記加圧貯留容器に不活性ガスを吹き込むことで加圧し、あるいは、該加圧貯留容器から該不活性ガスを排出することで減圧して、該加圧貯留容器の内部圧力を調整し維持する
請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。 - 前記加圧貯留容器の内部を100℃以下にまで冷却することによって、該加圧貯留容器の内部圧力を低下させる
請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。 - 前記反応後スラリーが移送された前記加圧貯留容器の内部圧力を大気圧まで減圧した後、該加圧貯留容器から反応後スラリーを抜き出し、抜き出した反応後スラリーを固液分離することによってニッケル粉を回収する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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