JP6442298B2 - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)硫酸ニッケル(NiSO4)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NH4OH)を添加してニッケルのアンミン錯体を形成させ、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を得る錯化工程。
(2)前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、空隙を有する種晶となるニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、次いで界面活性剤を添加して混合スラリーを形成する種晶・界面活性剤添加工程。
(3)前記(2)の種晶・界面活性剤添加工程で得られた混合スラリーに、水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケルを還元して種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、洗浄、濾過による固液分離処理して前記還元ニッケル粉を回収する還元工程。
(4)前記(3)の還元工程で回収した還元ニッケル粉を、前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に加えてニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを形成し、前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを、前記(3)の還元工程において用いる混合スラリーとして前記(3)の還元工程に供し、水素ガスによる還元処理を施して前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリー中のニッケル粉を成長させる処理を少なくとも2回以上行い、製品ニッケル粉を生成する成長工程。
さらに、図3に示す緻密なニッケル粉が得られ、そのかさ密度も増加し、容器への充填時に容積を小さくできる効果を奏する。
なお、錯化工程以前の硫酸ニッケル溶液を得る方法としては、例えばニッケル酸化鉱石を公知の方法により加圧浸出し、得た浸出液を中和して不純物を除去し、不純物を除去した後の溶液に硫化剤を添加してニッケルを硫化物として沈殿させ、次いでこのニッケルを含有する硫化物を硫酸等で溶解し、公知の溶媒抽出等の方法でニッケルとそれ以外の不純物を分離して硫酸ニッケル溶液とする方法などがある。
この工程は、硫酸ニッケル(NiSO4)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NH4OH)を添加し、ニッケルのアンミン錯体を形成する工程である。
このときのアンモニウム濃度は溶液中のニッケル濃度に対しモル比で1.9以上になるようにアンモニアを添加する。1.9未満では一部のニッケルがアンミン錯体を形成せず、水酸化ニッケルの沈殿が生成されてしまう。
この工程では、上記(1)の「錯化工程」で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、種晶となる平均粒径が10〜200μmのニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、さらに、平面を平滑化させるための界面活性剤を、種晶スラリー中のニッケル粉の重量に対して1〜20wt%添加して混合スラリーを形成する。
この工程は、(2)の「種晶、界面活性剤添加工程」で得られた混合スラリーに水素ガスを吹き込み、溶液中のニッケルを種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、この還元スラリーを固液分離処理に供して、還元ニッケル粉の成長前ニッケル粉を生成するものである。
150℃未満では還元効率が低下し、200℃を超えても反応への影響はなく熱エネルギー等のロスが増加する。
また、反応時の圧力は1.0〜4.0MPaが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく水素ガスのロスが増加する。
この工程は、(3)の「還元工程」で生成した還元スラリーを固液分離処理して回収された「成長前ニッケル粉」に、(1)の「錯化工程」で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加えて形成したニッケル錯体スラリーを、再度(3)の「還元工程」における「混合スラリー」として供し、水素ガスによる還元処理を施してニッケル錯体スラリー中の「成長前ニッケル粉」から「成長後ニッケル粉」へと成長させ、「製品ニッケル粉」を生成する工程である。
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにノニオン系の界面活性剤ポリエチレングリコール「PEG−20000」(日油株式会社製)を2.5g(3wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
また、このニッケル粉末を50ccの出荷容器に充填したが、飛散することはなく、局所排気装置を運転せずに作業できた。
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにノニオン系の界面活性剤としてポリビニルアルコール「PVA−2000」(関東化学株式会社製)を5.0g(7wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで、平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
また、このニッケル粉末を50ccの出荷容器に充填したが、飛散することはなく、局所排気装置を運転せずに作業できた。
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにアニオン系の界面活性剤ポリアクリル酸Na「PAA−6000」(東亜合成株式会社製T−50:固形分40%)を3.73g(2wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで、図2に示す通り平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーのみを添加して混合スラリーを作製した。
次に、この作製した混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温し、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を施した。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、水素ガスの供給を停止して、オートクレーブを冷却後、得られたスラリーを洗浄・濾過し、ニッケル粉を回収した。
この回収したニッケル粉は、その外表面が種晶と同様の凹凸を持つニッケル粉であった。
Claims (5)
- ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、空隙を有するニッケル粉の種晶を加え、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加して形成した混合スラリーを、圧力容器内において高温高圧状態下で、水素還元して前記混合スラリーから還元ニッケルの粉を生成して得られた前記還元ニッケル粉を含む還元スラリーを、洗浄、濾過による固液分離処理によって前記還元ニッケル粉を回収し前記回収した還元ニッケル粉を前記種晶として用いることを、少なくとも2回以上繰り返して成長させたニッケルの粉末を得ることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
- ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶を添加し、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加してニッケルの粉末を形成するニッケル粉の製造方法であって、
前記種晶が、空隙を有するニッケル粉の種晶であり、
下記(1)〜(4)の工程を順に経てニッケルの粉末を形成することを特徴とするニッケル粉の製造方法。
(記)
(1)硫酸ニッケル(NiSO4)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NH4OH)を添加してニッケルのアンミン錯体を形成させ、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を得る錯化工程。
(2)前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、空隙を有する種晶となるニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、次いで界面活性剤を添加して混合スラリーを形成する種晶・界面活性剤添加工程。
(3)前記(2)の種晶・界面活性剤添加工程で得られた混合スラリーに、水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケルを還元して種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、洗浄、濾過による固液分離処理して前記還元ニッケル粉を回収する還元工程。
(4)前記(3)の還元工程で回収した還元ニッケル粉を、前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に加えてニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを形成し、前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを、前記(3)の還元工程において用いる混合スラリーとして前記(3)の還元工程に供し、水素ガスによる還元処理を施して前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリー中のニッケル粉を成長させる処理を少なくとも2回以上行い、製品ニッケル粉を生成する成長工程。 - 前記ノニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記アニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記ノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤の添加量が、前記ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に添加される前記種晶の種晶重量の1〜20wt%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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