JP2018141203A - 種晶用ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、これらの方法は高価な試薬類や多量の熱エネルギーを必要とするため、経済的とは言えない。
また他の発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶の不溶性固体とポリアクリル酸塩からなる分散剤を加えて形成した混合液を反応槽内に装入する際、反応槽容積に対して前記混合液との接液面積が極小と成る量の混合液を装入し、前記装入された混合液の液温を170〜200℃の温度範囲に維持しながら、混合液中に、水素ガスを吹き込み、前記混合液中のニッケル錯イオンを還元して、前記不溶性固体の表面上にニッケル粒子を析出させ、前記析出したニッケル粒子を不溶性固体の表面上から分離してニッケル粉を作製することを特徴とする種晶用ニッケル粉の製造方法である。
以下、本発明のニッケル粉の製造方法を、図1に示す製造フロー図を参照して説明する。
本発明に用いる硫酸ニッケルアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、ニッケルおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケル粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのニッケル含有物を、硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるニッケル溶液を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液に、アンモニアを添加し、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液として得たものを用いることができる。
まず上記の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、分散剤と不溶性固体を添加する。
ここで用いる分散剤としては、アクリル酸塩を有するものを用いる。アクリル酸塩を有するものには、ポリアクリル酸カルシウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウム等があるが、これらの中で、工業的に広く使用されているポリアクリル酸塩が好ましい。
また、ニッケル粉を分離した後の不溶性固体は、必要に応じて洗浄等の前処理を行った後で再び繰り返して使用することもできる。
その添加量が、2重量%未満だと分散剤が少なすぎて不溶性固体の分散が十分となり、その結果、不適当に粗大な粒子となる。また、10重量%を越える量を添加しても分散剤同士が凝集して添加量に見合う効果は得られない。さらに過剰な添加は、製造コストの増加および製品品質の汚染を招くなど好ましくない。
次に、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に分散剤及び不溶性固体を添加して形成した混合液を、耐高圧高温容器の反応槽内に装入し、反応槽内の混合液に水素ガスを吹き込み、溶液中のニッケル錯イオンを還元してニッケルとして析出させる工程である。
さらに、反応時の圧力は1.0〜4.0MPaが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく、水素ガスのロスが増加する。
そこで、反応時のスケール生成への影響を精査した結果、その内筒缶に混合液を装入した際の内筒缶の内面と混合液との接液面積がスケール生成に与える影響として、その接液面積がスケール生成に対して極小値を有することを見出したものである。
なお、本発明における反応槽容積とは、通常反応槽内に被反応物を装入する際には、反応槽の内部に収納、設置される内筒缶と呼ばれる容器に被反応物を装入して反応処理が行われることから、その内筒缶と称す容器の容積を以て、反応槽容積としている。
このような条件による還元・析出処理によって、ニッケルの析出物が形成され、分散剤の効果により微細な粉状の析出物としてニッケルを溶液から抽出、回収できる。
この工程は、生成したニッケル析出物は、不溶性固体上に付着した状態であり、その状態では利用できないので、表面に形成されたニッケル析出物を不溶性固体と分離し、回収する。
ニッケル分で60gに相当する硫酸ニッケル六水和物269gと硫酸アンモニウム200g、25%アンモニア水を153ml含む溶液を用意し、これに種結晶として、平均粒径(D50)が約50μmのサイズのニッケル粉60gを添加し、さらに分散剤として分子量4000のポリアクリル酸ナトリウムを0.24g添加し、液量が1000mlになるように純水を添加して調整して混合液を形成した。
次いで、上記で作製した混合液をオートクレーブの内筒缶に装入し、撹拌しながら185℃に昇温した。目標温度に到達後、撹拌機を停止しボンベから水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力が3.5MPaになるように約1分間水素ガスを供給した。目標圧力に到達後、撹拌機の運転と同時に目標圧力を維持するように水素ガスを吹き込んだ。
なお、混合液1000mlは、使用した内筒缶に挿入した際には、その接液面積を最小にする量である。
水素ガスの供給流量が0L/minとなったところを反応終了の目安とし、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。冷却後、内筒缶内の還元後液を固液分離し、析出したニッケル粉を回収した。
その結果、実施例1に比べ装置壁へのスケール付着が増加していたが、比較例1よりは良好な結果を得た。なお、円筒型内筒缶の寸法は、式「S=πr2+2L/r」(S:接液面積[m2]、r:円筒型内筒缶半径[m]、L:混合液の液量[m3])で示され、実施例1はS=0.046[m2]、実施例2ではやや大きいS=0.069[m2]である。
[混合工程]
上記実施例1と同様の原料ならびに処理方法によって、混合液を形成した。
次いで、上記で作製した混合液をオートクレーブの内筒缶に装入し、撹拌しながら150℃に昇温した。目標温度に到達後、撹拌機を停止しボンベから水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力が3.5MPaになるように約1分間水素ガスを供給した。目標圧力に到達後、撹拌機の運転と同時に目標圧力を維持するように水素ガスを吹き込んだ。
水素ガスの供給から30分が経過した後に、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。冷却後、内筒缶内の還元後液を固液分離し、析出したニッケル粉を回収した。
Claims (2)
- 硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶の不溶性固体とポリアクリル酸塩からなる分散剤を加えて形成した混合液を反応槽内に装入し、装入された混合液の液温を170〜200℃の温度範囲に維持しながら、混合液中に、水素ガスを吹き込み、前記混合液中のニッケル錯イオンを還元して、前記不溶性固体の表面上にニッケル粒子を析出させ、前記析出したニッケル粒子を不溶性固体の表面上から分離してニッケル粉を作製することを特徴とする種晶用ニッケル粉の製造方法。
- 硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶の不溶性固体とポリアクリル酸塩からなる分散剤を加えて形成した混合液を反応槽内に装入する際、反応槽容積に対して前記混合液との接液面積が最小と成る量の混合液を装入し、前記装入された混合液の液温を170〜200℃の温度範囲に維持しながら、混合液中に、水素ガスを吹き込み、前記混合液中のニッケル錯イオンを還元して、前記不溶性固体の表面上にニッケル粒子を析出させ、前記析出したニッケル粒子を不溶性固体の表面上から分離してニッケル粉を作製することを特徴とする種晶用ニッケル粉の製造方法。
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WO2015146989A1 (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-01 | 国立大学法人高知大学 | ニッケル粉の製造方法 |
WO2016117138A1 (ja) * | 2015-01-22 | 2016-07-28 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
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