JP7007650B2 - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents
ニッケル粉の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7007650B2 JP7007650B2 JP2018143488A JP2018143488A JP7007650B2 JP 7007650 B2 JP7007650 B2 JP 7007650B2 JP 2018143488 A JP2018143488 A JP 2018143488A JP 2018143488 A JP2018143488 A JP 2018143488A JP 7007650 B2 JP7007650 B2 JP 7007650B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nickel
- nickel powder
- seed crystal
- added
- amount
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
Description
また、湿式プロセスによりニッケル粉を製造する方法として、特許文献2に示されるような、溶液中に還元剤を添加し、ニッケルイオンを還元して粉末を生成する方法や、特許文献3に示されるような、高温で還元雰囲気中にニッケル溶液を噴霧し、熱分解反応によりニッケル粉を得る噴霧熱分解法などがある。
しかし、上述のこれらの方法は、高価な試薬類や多量の熱エネルギーを必要とするため、工業的な生産に対しては経済的とは言い難い課題がある。
この方法は、非特許文献1に示すように、原料のニッケルを硫酸溶液に溶解後、不純物を除去する工程を経て、得た硫酸ニッケル溶液にアンモニアを添加し、ニッケルのアンミン錯体を形成させ、この生成した硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に高温高圧下で水素ガスを供給して錯体溶液中のニッケル錯イオンを還元してニッケル粉を得る方法である。
さらに、水素ガスによる還元時に、種結晶と呼ばれる粒子を共存させ、そこに還元剤を供給して種結晶を成長させることで、ほぼ一定のサイズのニッケル粉を効率良く得ることができるなど、工業的に有用な方法である。
溶液の装入、排出、温度・圧力調整それぞれの工程がシーケンシャルであるため、反応稼動率が低く、単位設備あたりの稼動率が低かった。また、種結晶の添加量の基準がなく、還元率がばらつく原因となるなどの課題があり、一定の範囲でしか商業化されていなかった。
(2)前記混合スラリーを密閉容器内で撹拌しながら、前記混合スラリーに前記密閉容器内の圧力が1.5~3.5MPaの範囲に維持するように水素ガスを供給し、前記密閉容器内の温度が150~185℃の範囲に維持して前記錯体溶液中のニッケル錯イオンを還元してニッケルを析出させてニッケル粉を含む還元スラリーを産出する還元工程(2)。
(3)前記還元工程で産出したニッケル粉を含む還元スラリーを固液分離してニッケル粉を回収し、前記回収したニッケル粉の一部のニッケルを種結晶添加工程(1)の種結晶として使用する固液分離工程(3)。
以下、本発明に係るニッケル粉の製造方法を、図1に示す工程フローに沿って説明する。
本発明に用いる硫酸ニッケルアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、ニッケルおよびコバルト混合硫化物、ニッケルおよびコバルト混合水酸化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫化ニッケル、ニッケル粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのニッケル含有物を、その成分に合わせて硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるニッケル浸出液(ニッケルを含む溶液)を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液にアンモニアを添加し、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液としたもの等が適している。
上記の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液には、種結晶が添加される。
ここで添加する種結晶は、流動性が良好である直径75μm以下のものが好ましく、平均粒径が0.1μm~50μmの粉末が好適であり、後工程である還元工程(2)で生成したニッケル粉、又は、そのニッケル粉を分級して得られる篩下のニッケル粉を利用しても良い。平均粒径が0.1μm未満の粉は本製造方法で作製することは難しく、また、50μmを超えても種結晶の表面にニッケルを析出させる効果は変わらない。
なお、本発明において上記のように「A~B」と記載した数値範囲は、「A以上、B以下」であることを示すものである。
その総表面積が0.05[m2/g]未満では、種結晶量が不十分であり反応が十分に進まず、0.5[m2/g]を超える量は機械的に混合することが難しくなるため商業化は難しい。
本発明で用いる分散剤としては、ポリアクリル酸塩であれば特に限定されないが、工業的に安価に入手できるものとしてポリアクリル酸ナトリウム(PAA)が好適である。
添加する分散剤の量は、0.1g/L~0.5g/Lとなる濃度が好適である。
その添加量が、0.1g/L未満では十分な分散効果が得られず、また、0.5g/Lを超えて添加しても分散効果や自発核の生成効果に影響はなく、過剰な添加となる。
具体例として、内容積が3Lの加圧容器(オートクレーブ)に、硫酸アンモニウム(硫安)200g/L、ニッケルアンミン錯体溶液(Ni濃度で55g/L)の組成の溶液に、ポリアクリル酸(PAA)を0.04g/Lあるいは0.1g/Lとなる濃度で添加し、さらに溶液中のニッケル量に対して比率が0.1(10分の1の量)もしくは0.5(2分の1の量)となる量の種結晶を添加、混合して形成した試験1~試験4に係るスラリーのそれぞれを、1L装入した。種結晶は、平均粒径がD50=24μmと75μmの2種類を使用した。以上の試験条件を纏めて表1に示す。
なお、それぞれの場合で、加圧容器内で種結晶が完全に分散した状態のままニッケルが水素で還元されて析出するとした理論的な産出粒子径(計算粒径)を試算し、その計算結果を併せて表1に記した。
このように、PAAの添加量と錯体溶液中のニッケル量との種結晶量の比(種結晶比とする)を制御することで目的とするニッケル粉の粒径を制御できる。
次に、行なわれる還元工程(2)では、上記で種結晶を添加した混合スラリーを、耐圧耐熱容器の密閉容器である反応槽内に供給し、その反応槽内に水素ガスを吹き込んで、混合スラリー中のニッケル錯イオンを還元処理し、一部は添加した種結晶上にニッケルとして析出させ、一部は自発核生成し、微細なニッケル粉が生成され、それらのニッケル粉を含む還元スラリーを産出する。反応後のスラリーは抜き出されてニッケル粉が回収される工程である。
その反応温度が、150℃未満では還元率が低下し、185℃以上にしても反応への影響はなく、むしろ熱エネルギー等のロスが増加するので適さない。
さらに、反応時の圧力は1.5MPa~3.5MPaが好ましい。圧力が、1.5MPa未満では反応効率が低下し、3.5MPaを超えても反応への影響はなく、水素ガスのロスが増加する。
還元工程(2)で生成したニッケル粉と溶液を分離してニッケル粉を回収する。
固液分離には工業的に用いられている遠心分離機やフィルター濾過機、真空濾過器などを用いることができる。
固液分離工程(3)により回収したニッケル粉の一部は種結晶として、上記種結晶添加工程(1)で繰り返し利用することができる。
具体的な分級方法として、例えば篩い分けして分別する方法や、遠心力をもちいて細かい粒子を分別回収する方法や、溶液中の沈降速度の差を利用して大きい粒子を沈め、沈んでいない小さな粒子を回収する方法などを用いることができる。
次いで密閉容器内部の温度を170℃に保ちつつ、水素ガスを吹込み、水素ガスの吹込み流量を調整して所定の圧力を維持し、ニッケル錯イオンの還元処理を行なってニッケルを析出させてニッケル粉を得た。なお、反応時の圧力は1.9~3.5MPaとした。
系内のニッケル粉の総表面積との関係を図2に示した。系内の総表面積に対して反応速度定数は、図2に示す関係になり、系内の種結晶の総表面積を増加させることで反応速度が向上することが分かった。
なお、反応速度定数は以下の関係式(1)から算出した。
その時の還元処理における反応時間毎のニッケル粉の粒径変化を測定した結果、添加する種結晶の総表面積を調整することで、生成したニッケル粉の大きさが制御されていることを確認できた。
Claims (4)
- 硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を下記に示す種結晶添加工程(1)、還元工程(2)、及び固液分離工程(3)に記載される処理を行ない、ニッケル粉を製造する方法において、
前記種結晶添加工程(1)での種結晶の添加量が、添加する種結晶の総表面積の大きさで調整され、且つ、前記種結晶の添加量により、前記還元工程(2)における還元処理の還元反応速度を制御してニッケル粉の大きさを調整する、
ことを特徴とするニッケル粉の製造方法。
(記)
(1)前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、ニッケル粉を種結晶として添加、混合して混合スラリーを形成する種結晶添加工程(1)。
(2)前記混合スラリーを密閉容器内で撹拌しながら、前記混合スラリーに前記密閉容器内の圧力が1.5~3.5MPaの範囲に維持するように水素ガスを供給し、前記密閉容器内の温度が150~185℃の範囲に維持して前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケル錯イオンを還元してニッケルを析出させてニッケル粉を含む還元スラリーを産出する還元工程(2)。
(3)前記還元工程で産出したニッケル粉を含む還元スラリーを固液分離してニッケル粉を回収し、前記回収したニッケル粉の一部のニッケルを種結晶添加工程(1)の種結晶として使用する固液分離工程(3)。 - 前記種結晶添加工程(1)で添加する種結晶が、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に含まれるニッケル1gあたり、表面積の合計が0.05~0.5[m2/g]となる量のニッケル粉であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記種結晶添加工程(1)で添加する種結晶が、平均粒径0.1μm以上、75μm以下のニッケル粉であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液にポリアクリル酸が、0.0g/Lを超え、1.0g/L以下の量になるように添加することを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018143488A JP7007650B2 (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | ニッケル粉の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018143488A JP7007650B2 (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | ニッケル粉の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020019986A JP2020019986A (ja) | 2020-02-06 |
JP7007650B2 true JP7007650B2 (ja) | 2022-01-24 |
Family
ID=69589600
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018143488A Active JP7007650B2 (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | ニッケル粉の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7007650B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017155265A (ja) | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
WO2017150717A1 (ja) | 2016-03-04 | 2017-09-08 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
JP2017214605A (ja) | 2016-05-30 | 2017-12-07 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109689257A (zh) * | 2016-09-27 | 2019-04-26 | 住友金属矿山株式会社 | 镍粉的制造方法 |
-
2018
- 2018-07-31 JP JP2018143488A patent/JP7007650B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017155265A (ja) | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
WO2017150717A1 (ja) | 2016-03-04 | 2017-09-08 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
JP2017214605A (ja) | 2016-05-30 | 2017-12-07 | 住友金属鉱山株式会社 | ニッケル粉の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020019986A (ja) | 2020-02-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
AU2015211866B2 (en) | Manufacturing method for nickel powder | |
JP6493082B2 (ja) | 遷移金属水酸化物の製造方法 | |
US10092955B2 (en) | Method for producing nickel powder | |
CA2974483C (en) | Method for producing nickel powder | |
JP5796696B1 (ja) | ニッケル粉の製造方法 | |
WO2017073392A1 (ja) | コバルト粉の種結晶の製造方法 | |
JP6241617B2 (ja) | コバルト粉の製造方法 | |
JP7007650B2 (ja) | ニッケル粉の製造方法 | |
WO2017150305A1 (ja) | ニッケル粉の製造方法 | |
JP2017155319A5 (ja) | ||
JP7194349B2 (ja) | ニッケル粉の製造方法 | |
JP2018141203A (ja) | 種晶用ニッケル粉末の製造方法 | |
JP2020015971A (ja) | ニッケル粉の製造方法 | |
JP2018178232A (ja) | ニッケル粉の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210209 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211208 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211208 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211221 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7007650 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |