JP7034439B2 - ニッケル粉の回収方法 - Google Patents
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Description
しかしバッチ式の製造方法では、反応容器を開け、溶液を装入し、密栓して昇温し、温度と圧力を制御し、水素ガスを吹き込んで還元し、冷却し、反応物を取出す一連の操作を段階ごとに行う必要があり、多大な手間と時間を要し、稼動率が低くなり効率的ではなかった。さらに、反応前後の加熱途中や降温中の影響などが無視できず、この間にスケーリングと称する不均一な析出や粒径のばらつきが生じることがあり、その影響や除去する手間の問題も重なって、反応稼動率の維持と製品品質を一定に保つのが難しかった。
しかしながら、上記方法では、高圧の反応槽から直接スラリーを取り出すと、急激な減圧に伴ってスラリーが飛散するなど操業の安全性から問題を生じていた。
なお、実操業では前記高温高圧反応槽と降圧槽との間は、接続配管を介して接続されるのが一般的である。このため弁は高温高圧反応槽の吐出口と降圧槽の給液側の双方に設けることが接続配管の耐圧性の点で好ましい。
特に工業的には自動制御を行うために電磁弁が一般に用いられるが、ニッケルのような強磁性の粉末の場合、電磁弁の磁石に反応し、開閉機構に磁着する恐れが強い。
さらに接続配管の途中の配管内部にニッケル粉が析出してスケールとなることもあった。
ニッケル粉の生成の連続化には、このような障害を乗り越える必要があり、そのため、ニッケル粉の工業的な回収方法は、生産性の低いバッチ反応による生成が主体となっていた。
原料給液を供給する開閉弁付き給液管と、水素ガスを前記原料給液に吹き込む開閉弁付き水素導入管と、前記還元スラリーを排出する開閉弁付き吐出管を備え、前記原料給液を貯留、撹拌し、前記原料給液中のニッケル錯イオンを前記水素ガスにより還元処理して生成されたニッケル粉を含む還元スラリーを形成する反応槽と、
一端が前記吐出管に連結された接続配管と連結している開閉弁付き流入管と、固液分離装置に接続する開閉弁付き排出管を備え、前記反応槽から接続配管を介して還元スラリーを貯留後、前記還元スラリーを常圧まで降圧して常圧後還元スラリーとし、前記常圧後還元スラリーからニッケル粉を回収するために前記排出管を介して固液分離装置に排出する降圧槽と、
一端が前記接続配管の中間部で分岐する開閉弁付き洗浄配管と、開閉弁付き洗浄水給液管を有し、前記洗浄水給液管を介して洗浄水を貯め込み、前記洗浄配管を介して洗浄水を前記反応槽又は降圧槽、或いは前記反応槽と降圧槽の両者に供給する洗浄水貯留槽を備え、
前記接続配管に洗浄配管を介して前記洗浄水貯留槽から洗浄水を供給し、前記接続配管から降圧槽に向かう方向への洗浄と、前記接続配管から前記反応槽に向かう方向への逆洗浄が、前記洗浄水貯留槽から供給される洗浄水の圧力を、前記反応槽の内部圧力P R よりも、0.2[MPa]から0.5[MPa]の高い圧力で、前記洗浄配管に供給されることを可能とした構造のニッケル粉の回収装置。
通常、供給配管15、15a、供給弁V4、供給弁V4aを介して反応槽10内に所定容量の混合スラリー(原料給液)40を貯留する。なお、混合スラリー40は硫酸ニッケルアンミン錯体溶液60及び種晶スラリー61を別個に反応槽20に供給して槽内で混合スラリー40としても良く、或いは、それらの混合物である混合スラリーの形で供給して貯留しても良い。
この給液の際には、吐出弁V1は「閉」状態、供給弁V4、V4aは「開」で行なわれる。
反応槽10に貯留されていたニッケル粉を含む還元スラリー41を、降圧槽20に排出し、降圧槽20で常圧後還元スラリー42とした後、抜出弁V6を「開」にして、全量を固液分離装置50に移送して降圧槽20内を「空」状態にする。その後、抜出弁V6を「閉」とし、流入弁V2及び洗浄水調整弁V3を「開」状態にして洗浄水Wwを流して分岐点AよりC側に配置されている接続配管13及び流入弁V2、並びに洗浄水Wwが貯まる降圧槽20の洗浄が行なわれる。洗浄が終了した時には、降圧槽20に備わるドレーン(図示せず)から洗浄水Wwが外部に排出されるか、一部は抜出弁V6、固液分離装置50に流され、その洗浄に使用される。
上記「洗浄」と同時に、又は別個に実施が可能である。
同時に行なう場合には、洗浄水調整弁V3、流入弁V2を「開」状態としたまま、吐出弁V1を「開」状態にすることで、洗浄配管14と接続配管13の分岐点Aにおける反応槽10側の接続配管13a、吐出弁V1、吐出管11、反応槽10の順に洗浄水が流れることにより、各部の洗浄が行なわれる。なお、この洗浄水の流れの方向が、還元スラリーの移送方向とは逆の方向であることから「逆洗浄」と称している。
又、別個に実施する際には、流入弁V2を「閉」状態とし、洗浄水調整弁V3、吐出弁V1を「開」状態とすることで、分岐点AよりB方向に向い、反応槽10側の接続配管13a、吐出弁V1、吐出管11、反応槽10の順に洗浄を行なうものである。
洗浄水貯留槽30は、洗浄水Wwを供給、貯留する開閉弁の洗浄水供給弁V5付きの洗浄水供給管16と、洗浄水Wwを反応槽10、降圧槽20、各種配管、付属する弁に供給する吐出管31及びその流量調整を担う洗浄水調整弁V3を備え、さらに洗浄水の圧力調整を担う雰囲気ガスIGを洗浄水貯留槽30に導入する槽内圧力調整弁GV2付き圧力調整管17を有している。
なお、各種溶液やスラリーの移送、供給、給液、抜出、排出は、図1には図示されていない高圧ポンプなどを用いて行なわれている。
図1に示すニッケル粉の回収装置1を用いて実施例を行なっている。
同時に、種晶になる粒径が45μm以下のニッケル粉を66~124g/Lの濃度で含有する種晶スラリー61を用い、0.5L/分の供給量で高圧スラリーポンプ(図示せず)を介して連続して反応槽10内に供給した。
また、洗浄水貯留槽30の吐出管31には洗浄配管14を接続し、洗浄配管14は電磁弁の洗浄水調整弁V3を介して分岐点Aで接続配管13、接続配管13aに接続した。
また、反応槽の圧力PRは、水素ガスの吹込み量を調整し、2.9~3.1MPaに維持した。高温高圧状態の反応槽に貯留液量が92リットルとなったら、吐出弁V1と流入弁V2を開けて還元スラリー41を、高温高圧状態の反応槽10から吐出管11を介して排出させ、接続配管13a、13を通って降圧槽20に移送され、降圧槽20内で常圧まで減圧して抜取り、固液分離装置50に送られて固液分離され、ニッケル粉と濾液51に分離した。
所定の洗浄時間で経過後、吐出弁V1と洗浄水調整弁V3を「閉」として洗浄サイクルを終了した。なお、接続配管13aから吐出管11を経て高温高圧状態の反応槽10方向(AからBの接続配管13aおよび吐出弁V1)の洗浄時間は、反応槽10の内部温度変化が1.0℃未満になるように調整した。
この洗浄ならびに逆洗浄を行う効果により24H以上経過しても配管や弁の閉塞することなく連続運転が可能となった。
上記実施例1と同じ反応槽10に、同じ組成の硫酸ニッケルアンミン錯体溶液60を同じ1.0L/分で供給し、種晶に同じ粒径の種晶スラリー61を同じく0.5L/分の流量で供給した。反応槽10の温度を同じく185℃に保ち、水素ガスを吹込み、反応槽内10の圧力PRを3.1MPaとして還元処理を行なった。
しかし、実施例1とは異なり、洗浄水貯留槽30からの降圧槽20側への洗浄と高温高圧状態の反応槽10側への逆洗浄は行わなかった。
上記実施例1と同じ反応槽10と硫酸ニッケルアンミン錯体溶液と種晶を用い、同じ流量、温度で反応させながら、同じく92リットルになった時点で吐出弁V1と流入弁V2を開け、吐出管11、接続配管13a、13を経て、降圧槽20に断続的に還元スラリー41を抜出した。
この還元スラリー41の降圧槽20への排出後、実施例1と同じく洗浄配管14から降圧槽20側への「洗浄」を行った。
しかし、洗浄配管14から反応槽20側への「逆洗浄」は行わなかった。
10 反応槽
11、31 吐出管
12 水素導入管
13、13a 接続配管
14 洗浄配管
15、15a 供給配管
16 洗浄水供給管
17 圧力調整管
18 抜出管
20 降圧槽
21 流入管
30 洗浄水貯留槽
40 混合スラリー
41 還元スラリー
42 常圧後還元スラリー
50 固液分離装置
51 濾液
60 硫酸ニッケルアンミン錯体溶液(給液原料)
61 種晶スラリー
A 分岐点
B 反応槽方向
C 降圧槽方向
M 撹拌機
V1 吐出弁
V2 流入弁
V3 洗浄水調整弁
V4、V4a 原料供給弁
V5 洗浄水供給弁
V6 抜出弁
GV1 水素供給弁
GV2 槽内圧力調整弁
W 水(工業用水等)
Ww 洗浄水
Claims (2)
- 硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を含む原料給液から連続して前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に含まれるニッケル錯イオンを水素により還元処理して生成されたニッケル粉を含む還元スラリーに含まれるニッケル粉の回収方法であって、
前記原料給液が、さらに種晶を含む混合スラリーであり、
前記ニッケル粉が、前記還元処理により前記種晶上に析出したニッケルを有し、
下記回収装置を用いて製造されることを特徴とするニッケル粉の回収方法。
(記)
原料給液を供給する開閉弁付き給液管と、水素ガスを前記原料給液に吹き込む開閉弁付き水素導入管と、前記還元スラリーを排出する開閉弁付き吐出管を備え、
前記原料給液を貯留、撹拌し、前記原料給液中のニッケル錯イオンを前記水素ガスにより還元処理して生成されたニッケル粉を含む還元スラリーを形成する反応槽と、
一端が前記吐出管に連結された接続配管と連結している開閉弁付き流入管と、固液分離装置に接続する開閉弁付き排出管を備え、
前記反応槽から接続配管を介して還元スラリーを貯留後、前記還元スラリーを常圧まで降圧して常圧後還元スラリーとし、前記常圧後還元スラリーからニッケル粉を回収するために前記排出管を介して固液分離装置に排出する降圧槽と、
一端が前記接続配管の中間部で分岐する開閉弁付き洗浄配管と、開閉弁付き洗浄水給液管を有し、
前記洗浄水給液管を介して洗浄水を貯め込み、前記洗浄配管を介して洗浄水を前記反応槽又は降圧槽、或いは前記反応槽と降圧槽の両者に供給する洗浄水貯留槽を備え、
前記接続配管に洗浄配管を介して前記洗浄水貯留槽から洗浄水を供給し、前記接続配管から降圧槽に向かう方向への洗浄と、前記接続配管から前記反応槽に向かう方向への逆洗浄が前記洗浄水貯留槽から供給される洗浄水の圧力を、前記反応槽の内部圧力P R よりも、0.2[MPa]から0.5[MPa]高い圧力で、前記洗浄配管に供給されることを可能とした構造のニッケル粉の回収装置。 - 前記接続配管に供給される洗浄水に、前記還元スラリーを固液分離して得た濾液を用いることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の回収方法。
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