JP2023031095A - 濾過設備の運転方法、脱亜鉛処理方法、及び、ニッケル酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

濾過設備の運転方法、脱亜鉛処理方法、及び、ニッケル酸化鉱石の製錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数基の濾過機を並列に接続して固液分離処理を行う濾過設備を構成している脱亜鉛プラントにおいて、フィルターの洗浄処理後のスラリー供給の再開時に、亜鉛除去率の低下を回避すること。【解決手段】並列に接続された複数基の濾過機13、23、33からなる濾過設備10の運転方法を、濾過設備10の立ち上げ運転を行う時には、濾過設備10へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機13の目的流量の50%未満である場合を除いて、各々の濾過機13、23、33に分配されるスラリーの供給流量が、各々の濾過機13、23、33の目的流量の50%未満となることがないように、各々の濾過機13、23、33に分配するスラリーの供給流量を個別に制御する、濾過設備10の運転方法とする。【選択図】図2

Description

本発明は、濾過設備の運転方法、脱亜鉛処理方法、及び、ニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。より詳しくは、本発明は、湿式工程からなるニッケル酸化鉱石の製錬方法において、ニッケル、コバルト、及び亜鉛を含有する中和終液から亜鉛を分離してニッケル回収用母液を生成する脱亜鉛工程の実施手段として好適な、濾過設備の運転方法、脱亜鉛処理方法、及び、ニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石の製錬方法として、硫酸を用いた高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach)が注目されている。この製錬方法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱の製錬方法である乾式製錬法と異なり、還元及び乾燥工程を含まず、一貫した湿式工程からなる方法であるため、エネルギー及びコストの面で有利である。
高圧酸浸出法によるニッケル製錬処理が行われる製錬設備には、一般的に、以下の(a)~(d)の各プラントが含まれている。
(a) 浸出及び固液分離プラント・・・ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、続いて浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離して、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る。
(b) 中和プラント・・・(a)の「浸出及び固液分離プラント」において得られた浸出液のpHを調整して、不純物元素を含む中和澱物を分離し、ニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る。
(c) 脱亜鉛プラント・・・(b)の「中和プラント」において得られた中和終液に硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を形成し、その亜鉛硫化物を固液分離処理によって分離して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液(ニッケル回収用母液)を得る。
(d) ニッケル回収プラント・・・(c)の「脱亜鉛プラント」において得られた浸出液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を形成し、その混合硫化物を分離する。
高圧酸浸出法によるニッケル製錬処理においては、上記(a)~(d)の各プラントのうち、(c)の「脱亜鉛プラント」において、中和終液中の亜鉛(Zn)濃度を、1mg/L以下にまで低下させることが要求される。この要求を満たすために、上記の「脱亜鉛プラント」では、微細な硫化亜鉛澱物を除去するための濾過機として、ポリッシングフィルターに代表される密閉型の濾過機が広く用いられている。
ポリッシングフィルター等の密閉型の濾過機は、定期的に、操業を中断してフィルターの洗浄処理を行うことが必須とされている。そして、「脱亜鉛プラント」においては、この洗浄処理後にフィルターへのスラリー供給を再開する際に、スラリーの流量を各濾過機における目的流量(通常操業時の適切な流量)にまで最速で一気には増加させずに、段階的に一定以上の時間をかけて目的流量にまで増加させる操業を行っている。このような操業方法により、フィルター上に良質なケーク層を形成して濾過処理の効率を向上させることができるからである(特許文献1参照)。
一方で、高圧酸浸出法によるニッケル製錬処理においては、脱亜鉛工程において生成した亜鉛硫化物をより高い処理能力で除去することを目的として、複数の濾過機が並列に接続された濾過設備を用いることが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、複数基の濾過機を並列に接続した濾過設備を備える脱亜鉛プラントにおいては、フィルターの洗浄処理後のスラリー供給の再開時に、スラリーの流量を、特許文献1に開示されているように、段階的に一定以上の時間をかけて増加させていった場合に、濾過率が低下してニッケル及びコバルトを含む浸出液中の亜鉛品位が規定値を超えてしまう事があった。
特開2014-133925号公報 特開2020-59909号公報
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものであり、複数基の濾過機が並列に接続されてなる濾過設備において、スラリー供給の再開時に発生する濾過率の低下を回避することを目的とする。
本発明者は、並列に接続された複数基の濾過機に対して、各々の濾過機に分配されるスラリーの供給流量の割合を最適化することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 並列に接続された複数基の濾過機からなる濾過設備の運転方法であって、前記濾過設備の立ち上げ運転を行う時には、前記濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%未満である場合には、目的流量が最も小さい濾過機にのみ前記スラリーを供給し、前記濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%以上である場合には、各々の前記濾過機に分配される前記スラリーの供給流量が、各々の前記濾過機の目的流量の50%未満となることがないように、各々の前記濾過機に分配するスラリーの供給流量を個別に制御する、濾過設備の運転方法。
(1)の濾過設備の運転方法によれば、複数基の濾過機が並列に接続されてなる濾過設備において、スラリー供給の再開時に発生する濾過率の低下を回避することができる。
(2) 各々の前記濾過機に分配される前記スラリーの供給流量を、以下の(i)、(ii)、及び(iii)の分配規則に基づいて制御する、(1)に記載の濾過設備の運転方法。
(i)
濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%未満の流量である時は、目的流量が最も小さい濾過機のみにスラリーを供給する。
(ii)
濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%以上の流量である時は、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、目的流量の50%以上の流量での供給が可能な濾過機のうちで目的流量が最も大きい濾過機に優先的にスラリーを供給する。
但し、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する濾過機以外の他の濾過機にも適量のスラリーを供給することができる。
(iii)
全ての濾過機に供給されるスラリーの流量が、各々の濾過機毎に、それぞれの目的流量に達するまで、各々の濾過機へのスラリーの供給流量を段階的に増加させていく。尚、“段階的”とは、スラリーを送液させるポンプの最大能力で流量を増加させていく“流量増加のステップ”と“流量維持のステップ”を1セットとして、所定の時間毎に複数セット(複数段階)実施するスラリーの流量の調整状態のことを言う。
(2)の濾過設備の運転方法によれば、複数基の濾過機が並列に接続されてなる濾過設備において、スラリー供給の再開時に発生する濾過率の低下を、より高い精度で回避することができる。
(3) スラリー中の亜鉛硫化物を固液分離処理によって分離除去する脱亜鉛処理を、(1)又は(2)に記載の濾過設備の運転方法によって行う、脱亜鉛処理方法。
(3)の脱亜鉛処理方法によれば、複数基の濾過機が並列に接続されてなる濾過設備を備える脱亜鉛プラントにおいて、スラリー供給の再開時に発生する亜鉛除去率の低下を回避することができる。
(4) 前記スラリーが、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、該ニッケル酸化鉱石の浸出液を中和して得られたニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液に対し、硫化処理を施して亜鉛硫化物を形成させたスラリーであって、前記亜鉛硫化物を分離除去する脱亜鉛処理を、(3)に記載の脱亜鉛処理方法によって行う、ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
(4)のニッケル酸化鉱石の製錬方法によれば、ニッケル酸化鉱石の製錬において、硫化剤の添加量の増加等に依存することなく、ニッケル及びコバルトを含む浸出液中の亜鉛品位を十分に低減させることができる。
本発明によれば、複数基の濾過機が並列に接続されてなる濾過設備を備える脱亜鉛プラントにおいて、スラリー供給の再開時に発生する亜鉛除去率の低下を回避することができる。
本発明の濾過設備の運転方法又は脱亜鉛処理方法を用いて実施することができる高圧酸浸出法によるニッケル酸化鉱石の製錬方法の工程図である。 本発明に係る濾過設備の構成を示すブロック図である。 スラリー供給の再開時に、段階的にスラリーの流量を増加させた場合の所要時間とスラリーの流量との関係を示すグラフ図である。 スラリー供給の再開時に、送液ポンプの最大送液能力で急速に一気に目的流量までスラリーの流量を増加させた場合の所要時間とスラリーの流量との関係を示すグラフ図である。 濾過機に通液するスラリーの積算通液量と、亜鉛除去率の関係を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
<ニッケル酸化鉱石の製錬方法>
本発明の「ニッケル酸化鉱石の製錬方法(以下、単に「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」とも言う)」は、高圧酸浸出法(HPAL法)等を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させて回収するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法である。
「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」は、上述の通り、「浸出及び固液分離プラント」、「中和プラント」、「脱亜鉛プラント」、及び、「ニッケル回収プラント」を含んでなる製錬設備において行われる。
そして、「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」は、上記製錬設備において、図1に示す通り、「浸出工程S1」、「固液分離工程S2」、「中和工程S3」、「脱亜鉛工程S4」、及び、「ニッケル回収工程S5」を順次行う全体プロセスである。
「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」は、上記各プロセスのうち、「脱亜鉛工程S4」において、従来とは異なる独自の「濾過設備の運転方法」によって濾過機を運転し、従来とは異なる独自の「脱亜鉛処理方法」によって脱亜鉛処理を行うことを主たる特徴とする全体プロセスである。以下においては、先ず、「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」の全体プロセスとしての流れについて説明し、続いて、本発明の「濾過設備の運転方法」及び「脱亜鉛処理方法」の詳細について説明する。
[浸出工程]
浸出工程S1は、ニッケル酸化鉱石のスラリーに対して、高圧酸浸出法等を用いた浸出処理を施す工程である。浸出工程S1において、具体的には、原料となるニッケル酸化鉱石を粉砕して得られた鉱石スラリーに硫酸を添加し、高温加圧容器(オートクレーブ)を用いて、220℃以上280℃以下の高温度条件下で加圧することによって鉱石スラリーを攪拌し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する。
浸出工程S1における浸出処理では、例えば下記式(1)~(5)で表される浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれる。
(浸出反応)
MO+HSO→MSO+HO・・・(1)
(尚、式中のMは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す。)
2Fe(OH)+3HSO→Fe(SO+6HO・・・(2)
FeO+HSO→FeSO+HO・・・(3)
(高温熱加水分解反応)
2FeSO+HSO+1/2O→Fe(SO+HO・・・(4)
Fe(SO+3HO→Fe+3HSO・・・(5)
尚、浸出工程S1では、次工程の固液分離工程S2で生成されるヘマタイトを含む浸出残渣の濾過性の観点から、得られる浸出液のpHが0.1~1.0にとなるように調整することが好ましい。
[固液分離工程]
固液分離工程S2は、浸出工程S1において形成された浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離装置を用いて洗浄して残渣を分離し、ニッケル及びコバルトの他、不純物元素として亜鉛を含む浸出液を得る工程である。固液分離工程S2において、具体的には、先ず、スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合に応じて減少させることができる。実操業では、このような機能を持つシックナーを多段に連結して用いることにより、ニッケル及びコバルトの回収率の向上を図ることができる。
<中和工程>
中和工程S3は、固液分離工程S2にて分離された浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離して、ニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る工程である。中和工程S3において、具体的には、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和終液のpHが4以下、好ましくは3.0~3.5、より好ましくは3.1~3.2となるように、その浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加し、ニッケル回収用の母液の元となる中和終液と、不純物元素として3価の鉄を含む中和澱物スラリーとを形成する。中和工程S3では、このようにして浸出液に対する中和処理を施すことで、高圧酸浸出法による浸出処理で用いた過剰の酸を中和してニッケル回収用の母液の元となる中和終液と生成すると共に、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等の不純物を中和澱物として除去する。
中和工程S3においては、続く脱亜鉛工程S4の脱亜鉛反応槽に移送する中和終液(硫化処理始液)の濁度が0NTUを超え100NTU以下となるように、その中和終液中に中和澱物及び浸出工程S1で得られた浸出残渣からなる懸濁物を残留させることが好ましい。このようにして、懸濁物を残留させて中和終液の濁度を調整することで、脱亜鉛工程S4にて形成される脱亜鉛硫化物の濾過性を向上させることができる。
[脱亜鉛工程]
脱亜鉛工程S4は、中和工程S3から得られた中和終液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化処理を施すことにより亜鉛硫化物を生成させ、その亜鉛硫化物を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液(脱亜鉛終液)を得る工程である。脱亜鉛工程S4においては、具体的には、例えば、加圧された容器内にニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を導入し、気相中へ硫化水素ガスを吹き込むことによって、亜鉛をニッケル及びコバルトに対して選択的に硫化し、亜鉛硫化物とニッケル回収用母液とを生成する。
脱亜鉛工程S4は、上記の「脱亜鉛プラント」において行うことができる。「脱亜鉛プラント」は、中和終液に対し硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込んで硫化反応を行う「脱亜鉛反応槽」、生成した亜鉛硫化物と硫化反応終液とからなるスラリーを貯留する「脱亜鉛終液貯留槽」、及び、硫化亜鉛澱物を分離除去する「ポリッシングフィルター」等の濾過機によって構成される濾過設備を含んで構成される(図1の脱亜鉛工程S4参照)。このうち、「脱亜鉛終液貯留槽」には、「濾過設備」にスラリーを送液する際のスラリーの流量を調整するための機能が付与されていることが好ましい。
[ニッケル回収工程]
ニッケル回収工程S5は、脱亜鉛工程S4を経て得られたニッケル回収用母液を始液として、その始液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込むことにより硫化反応を生じさせ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケルやコバルトの濃度を低い水準で安定させた貧液(硫化終液)とを生成させる工程である。尚、ニッケル回収用母液は、ニッケル及びコバルトを含む硫酸水溶液である。ニッケル回収工程S5においては、硫化反応槽等を用いた硫化処理により、始液中に含まれるニッケル及びコバルトを硫化物として固定化して回収する。そして、硫化反応の終了後においては、得られたニッケル・コバルト混合硫化物を含むスラリーを、シックナー等の沈降分離装置に装入して沈降分離処理を施し、その硫化物のみをシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分は、シックナーの上部からオーバーフローさせて貧液として回収する。
<脱亜鉛処理方法>
本発明の「脱亜鉛処理方法(以下、単に「脱亜鉛処理方法」とも言う)」は、上述の「ニッケル酸化鉱石の製錬方法」において行われる上記各プロセス(S1~S5)のうち、「脱亜鉛工程S4」を行うために用いることができる処理方法である。そして、この「脱亜鉛処理方法」は、スラリー中の亜鉛硫化物を、固液分離処理によって分離除去する脱亜鉛処理を、以下に詳細を説明する本発明の「濾過設備の運転方法」によって実施する処理方法である。
<濾過設備の運転方法>
本発明の「濾過設備の運転方法(以下、単に「濾過設備の運転方法」とも言う)」は、並列に接続された複数基の濾過機によって構成される濾過設備を実施対象とする運転方法である。
[濾過設備]
本発明の「濾過設備の運転方法」の実施対象となる「濾過設備」の一例として、図2に示すように、3基の濾過機13、23、33が並列に接続されている濾過設備10を挙げることができる。
濾過設備10を構成する各々の濾過機13、23、33は、スラリーを処理対象とする固液分離処理を行うものであって、それぞれ所定の目開きの濾布を有する濾過機であればよいが、密閉型の濾過機である「ポリッシングフィルター」であることが好ましい。
濾過設備10は、並列に接続された各々の濾過機13、23、33それぞれに分配するスラリーの供給流量を個別に制御することができる「スラリー分配機構」を備えるものとする。これにより、当該設備において「濾過設備の運転方法」を実施することができる。この「スラリー分配機構」は、後述する逆洗操作後等に行われる、濾過設備10の「立ち上げ運転」を行う時に、各々の濾過機13、23、33に分配されるスラリーの供給流量を、各々の濾過機毎に個別に制御することができるものであればよい。
上記の「スラリー分配機構」は、並列に接続された各々の濾過機13、23、33それぞれに分配するスラリーの供給流量を個別に制御できるものであれば、特定の機構に限定されないが、その好ましい構成の一例として、図2に示すように、スラリータンク(脱亜鉛終液貯留槽)1から送液されるスラリーの送液配管が3本に分岐していて、各々の分岐管11、21、31に、濾過機13、23、33が接続されていて、各濾過機の一次側配管として一次側バルブ14、24、34、二次側配管として二次側バルブ15、25、35が設けられている構成を挙げることができる。
濾過機13、23、33の備える濾布の材質は特に限定されないが、透過流束0.5m/hr・m以上3.0m/hr・m以下程度を達成可能なポリプロピレン製の濾布であることが好ましい。又、濾過機13、23、33における濾過面積(濾過可能面積)にも特に限定はなく、目的とするスラリーの流量等に応じて適宜設定することができるが、一般的には10m以上30m以下程度とすることが好ましい。
濾過設備10においては、各々の濾過機13、23、33で固形分が分離されることで、各濾過機から濾液として排出される硫化反応終液は濾液タンク2に送られる。
[濾過設備の運転方法]
ここで、濾過設備10においては、操業中に、濾過機13、23、33の濾布に目詰まりが発生する場合がある。何れかの濾過機において濾布の目詰まりが発生した場合には、該当する濾過機に対して、逆洗ユニット40(図2参照)から供給される温水等の逆洗液を、逆洗液供給配管系41(図2参照)を介して供給し、通常の通液方向(即ち一次側から二次側)とは逆の方向(即ち二次側から一次側)に逆洗液を流す操作により、目詰まりの原因となっている微細な粒子で構成される湿潤ケーキを剥離して洗い流す。尚、この逆洗により剥離されたケーキは、洗浄排液と共に逆洗排液排出配管系42(図2参照)を介して系外に排出される。この逆洗操作は、一般的に、脱亜鉛プラント全体の操業を停止させ(プラントの立ち下げ)、液抜きを行った後に行われる。そして、その後の点検とプラントの「立ち上げ運転」を行うことによって通常操業に復帰させることになる。
(従来の濾過機の運転方法)
上記のような脱亜鉛プラントの「立ち上げ運転」を行う際には、脱亜鉛処理後のスラリーを濾過機に送液させ、その濾布表面に所定量の亜鉛澱物をコーティングすることでケーク層を形成させるために、所定の時間内で、スラリーの流量を段階的に増加させて目的流量となるように調整する態様で濾過機の運転を行なっている(特許文献1参照)。
上述のスラリーの流量を段階的に増加させる流量の調整は、具体的には、図3に示すように、スラリーを送液させる送液ポンプを最大の流量増加率で運転した場合における、スラリー供給開始から目的とするスラリーの流量に到達するまでの時間をT1としたときに、下記の関係式(i)を満足する時間T2で、その濾過機に供給するスラリーの流量を段階的に増加させて目的とするスラリーの流量となるように調整することが好ましい。
3×T1≦T2≦5×T1・・・(i)
ここで、送液ポンプを最大の流量増加率で運転した場合における、スラリー供給開始から目的とするスラリーの流量に到達するまでの時間T1とは、図4のグラフに示す立ち上げ運転終了時(通常運転開始時)までの時間である。又、段階的に増加させる調整に際しての「段階的」とは、図3のグラフに示す“流量増加のステップ”と“流量維持のステップ”を1セットとして、所定の時間毎に複数セット(複数段階)実施する調整状態のことを言う。
より詳しくは、先ず、第1のステップとして、立ち上げ運転の開始直後は、送液ポンプの流量を最大の流量増加率となるように設定して、スラリーの流量の増加操作を一定時間行う(図3中の丸囲み部X)。つまり、図3のグラフにおける立ち上げ運転の開始直後の所要時間に対するスラリーの流量の傾きが、図4のグラフにおける立ち上げ運転の開始直後からの所要時間に対するスラリーの流量増加の傾きと同じになるように流量調整する。次に、第2のステップとして、その一定時間が経過した後に、その時点の流量を所定時間維持するように送液ポンプを運転させて流量調整する(図3中の丸囲み部Y)。そして、この第1のステップ(X)と第2のステップ(Y)を1セット(段階)として、所定時間毎に繰り返すことによって、スラリーの流量を段階的に増加させるように流量調整することができる。このようにして、スラリーの流量を段階的に増加させていき、そのスラリーの流量が通常運転時のスラリーの流量(目的流量)まで到達したときに、そのスラリーの流量を維持するようにポンプ運転を調整する。尚、又、スラリーの流量は、3段階~6段階で段階的に増加させるように調整することがより好ましい。
尚、上述した第1のステップと第2のステップの送液ポンプの制御は、例えばそのポンプに供給する電力をインバーター制御することによって容易に実行することができる。又、このようにして形成されたケーク層は、濾布表面に微細な粒子(固液分離で分離しきれないほどに小さな脱亜鉛澱物)がゆっくりと付着して通液のための流路となる小さな隙間が作られるように形成されたケーク層であり、しかも、通常操業の流量(目的流量)になっても壊れない厚みまで成長したケーク層となっている。
(本発明の「濾過機の運転方法」)
本発明の発明者は、上述した「従来の運転方法」を、図2に例示されるような、複数基の濾過機が並列に接続されている「濾過設備」において実施する場合には、各濾過機へのスラリーの分配を本発明特有の特定の分配規則に基づいて制御することによって、複数基の濾過機が並列に接続されている「濾過設備」の立ち上げ運転を行う時に、各々の濾過機へのスラリーの流量をより早い段階で増加させてケーク層をより早期に形成して、その結果として、亜鉛の除去率を向上させることができることを突き止めた。これは、ケーク層中の金属元素とスラリー中に含まれる亜鉛イオンとの間でセメンテーション反応が生じるため、ケーク層をより早い段階で形成することにより、その分、より多くの亜鉛を除去することができるからであると考えられる。
例えば、図5は、「濾過機」に通液するスラリーの積算通液量と、亜鉛除去率の関係を示した図であるが、この濾過機の場合は、通算通液量が500mを超えたところから、800mくらいにかけて急激に亜鉛除去率が上昇している。従って、濾過設備の立ち上げ運転を行う時において、この濾過機へ通液する場合は、濾過機に対するスラリーの流量をより早い段階で増加させてできるだけ早く800mを超えるように流量を制御し、目的流量に到達させるようにすれば、その分、より多くの亜鉛を除去することができる。
本発明の実施対象となる「濾過設備」は、一例として、3基の濾過機が並列に接続されている。この場合において、各々の濾過機に接続されている一次側バルブの開度を調節することによって、各々の濾過機に供給するスラリーの流量を調節することができる。つまり、この「濾過設備」では、各々の濾過機について、一次側バルブの開度を調節すれば、濾過設備に供給されるスラリーを、任意の適当な割合で各濾過機に分配することができる。
本発明の「濾過設備の運転方法」によれば、「濾過設備」の立ち上げ運転を行う時に、ケーク層がより早い段階で形成されるように、「濾過設備」に供給されるスラリーの供給流量が増加する各段階で、各濾過機に設置されているバルブの開度を個別に調整することによって、複数基の濾過機が並列に接続されている「濾過設備」において、スラリーからの固体分の分離回収率を向上させることができる。
本発明の「濾過設備の運転方法」は、並列に接続された複数基の濾過機からなる「濾過設備」の立ち上げ運転を行う際、ケーク層がより早い段階で形成されるように、各々の濾過機に、以下の態様でスラリーを分配する。即ち、「濾過設備」へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%未満である場合には、目的流量が最も小さい濾過機にのみスラリーを供給する。又、「濾過設備」へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%以上である場合には、各々の濾過機に分配されるスラリーの供給流量が、各々の濾過機の目的流量の50%未満となることがないように、各々の濾過機に分配するスラリーの供給流量を個別に制御する。
又、本発明の「濾過設備の運転方法」における、濾過設備の立ち上げ運転を行う際の各々の濾過機に分配されるスラリーの供給流量は、より具体的には、一例として、下記表1に示す(i)、(ii)及び(iii)の分配規則に基づいて制御することがより好ましい。
Figure 2023031095000002
尚、目的流量が等しい複数の濾過機が、規則(ii)における「目的流量の50%以上の流量での供給が可能な濾過機のうちで目的流量が最も大きい濾過機」に該当する場合には、それらのうち任意の何れかの濾過機に優先的にスラリーを供給すればよい。
又、規則(ii)における「(目的流量が最も大きい)特定の濾過機」への「優先的」なスラリーの供給とは、必ずしも、当該「特定の濾過機」のみに、濾過設備に供給されるスラリーの全量を供給することを意味しない。規則(ii)後段に示す通り、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する上記の「特定の濾過機」以外の他の濾過機にも適量のスラリーを供給することもできる。
規則(iii)に従って「各々の濾過機へのスラリーの供給流量を段階的に増加させていく」際においては、“流量維持のステップ”におけるスラリーの流量が、規則(i)、及び(ii)に規定されるスラリーの供給流量に係る条件を満たすこととなるようにスラリーの流量を調整する。
又、通常、各々の濾過機毎の目的流量は、各々の濾過機の最大処理流量の80%程度に設定されているので、この場合には、上述のように、目的流量の50%以上の流量を確保するために、代替的な指標として最大処理流量を採用して、その65%以上の流量を確保するように、各々の濾過機に分配するスラリーの流量を制御してもよい。
一例として、図2に示すように、3基の濾過機13、23、33が並列に接続されていて、各々の濾過機の目的流量と最大処理流量が、下記表2に記す通りの流量である濾過設備10において、スラリーの分配は、具体的には、下記段落[0060]~[0070]に例示する制御態様で行うことができる。
Figure 2023031095000003
(スラリーの全供給流量が50m/h未満である場合)
立ち上げ運転の開始直後等であって、濾過設備10に供給されるスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機(濾過機13)の目的流量(100m/h)の50%未満の流量(例えば、40m/h)である時は、この目的流量が最も小さい濾過機(濾過機13)のみにスラリーを供給する(規則i)。
この場合の「スラリー分配機構」の具体的操作としては、濾過機23及び濾過機33の一次側バルブ24、34を閉止した状態で濾過機13の一次側バルブ14を開放して、濾過機13のみにスラリーが供給されるようにする。この操作により、濾過設備10に供給されるスラリーの全量を濾過機13に集中させることができるので、良好なケーク層を形成しながら、3基の濾過ユニットに等量分散させる場合と比べて、濾過機13のスラリーの流量を目的流量により早く到達させることができる。
(スラリーの全供給流量が50m/h以上100m/h未満である場合)
立ち上げ運転の開始後、濾過設備10に供給されるスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機(濾過機13)の目的流量(100m/h)の50%以上の流量(例えば、90m/h)となった場合、この場合も、依然として、目的流量の50%以上の流量での供給が可能な濾過機は濾過機13のみであり、従って、上記同様に濾過機13のみにスラリーを供給する(規則ii)。
(スラリーの全供給流量が100m/h以上200m/h未満である場合)
立ち上げ運転を更に継続し、濾過設備に供給されるスラリーの全供給流量が、濾過機23、33の目的流量(200m/h)の50%以上の流量(例えば、150m/h)となった場合には、目的流量の50%以上の流量での供給が可能な濾過機のうちで目的流量が最も大きい濾過機(濾過機23)に優先的にスラリーを供給する(規則ii)。尚、上述の通り、濾過機23と濾過機33の目的流量が同量である場合、何れの濾過機へのスラリーの供給をより優先するかについては特に限定されず、何れかの濾過機を任意に選択すればよい。
この場合の「スラリー分配機構」の具体的操作としては、濾過機13及び濾過機33の一次側バルブ14、34を閉止した状態で濾過機23の一次側バルブ24を開放して濾過機23のみにスラリーが供給されるようにする。この操作により、濾過設備10に供給されるスラリーの全量を濾過機23に集中させることができ、且つ、濾過機23へ供給するスラリーの流量は濾過機23の目的流量の50%以上を維持することもできるので、良好なケーク層を形成しながら、3基の濾過ユニットに等量分散させる場合と比べて、濾過機23のスラリーの流量を目的流量により早く到達させることができる。
尚、上記のように、濾過設備へのスラリーの全供給量が、「目的流量が最も小さい濾過機13」の目的流量の50%の流量と「その他の濾過機23」の目的流量の50%の流量の合計流量以上に達している場合には、全ての濾過機において、目的流量の50%以上の流量での供給が可能である限りにおいて、「優先的にスラリーを供給する濾過機23」以外の濾過機へのスラリーの供給を行ってもよい。
(スラリーの全供給流量が200m/h以上250m/h未満である場合)
立ち上げ運転を更に継続し、濾過設備に供給されるスラリーの全供給流量が、優先的にスラリーを供給する濾過機を含む複数の濾過機に対して、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上の流量を供給することが可能な流量(例えば、200m)となった場合には、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する濾過機23以外の濾過機13にもスラリーを供給する(規則ii後段)。
この場合の「スラリー分配機構」の具体的操作としては、濾過機33の一次側バルブ34を閉止した状態で濾過機23の一次側バルブ24に加えて、濾過機13の一次側バルブ14を更に開放して、且つ、開放した一次側バルブ14、24の開度を調節して、濾過機13へ供給するスラリーの流量を目的流量(100m/h)の50%以上(例えば、50m/h)確保しながら、且つ、濾過機23へ供給するスラリーの流量も目的流量(200m/h)の50%以上(例えば、150m/h)となるように設定する。この操作により、濾過設備10に供給されるスラリーを濾過機13と濾過機23に分配しながら、且つ、両方の濾過機へ供給するスラリーの流量を、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上に維持することもできるので、良好なケーク層を形成しながら、3基の濾過ユニットに等量分散させる場合と比べて、濾過機13、23のスラリーの流量を目的流量により早く到達させることができる。
(スラリーの全供給流量が250m/h以上300m/h未満である場合)
立ち上げ運転を更に継続し、濾過設備に供給されるスラリーの全供給流量が、優先的にスラリーを供給する濾過機を含む複数の濾過機に対して、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上の流量を供給することが可能な更に大きな流量(例えば、250m)となった場合にも、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する濾過機23以外の濾過機13にもスラリーを供給する(規則ii後段)。
この場合の「スラリー分配機構」の具体的操作としては、濾過機33の一次側バルブ34を閉止した状態で、濾過機23の一次側バルブ24及び濾過機13の一次側バルブ14を開放し続け、且つ、開放した一次側バルブ14、24の開度を調節して、濾過機13へ供給するスラリーの流量を目的流量(100m/h)の50%以上(例えば、100m/h)確保しながら、且つ、濾過機23へ供給するスラリーの流量も目的流量(200m/h)の50%以上(例えば、150m/h)となるように設定する。この操作により、濾過設備10に供給されるスラリーを濾過機13と濾過機23に分配しながら、且つ、両方の濾過機へ供給するスラリーの流量を、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上に維持することもできるので、良好なケーク層を形成しながら、3基の濾過ユニットに等量分散させる場合と比べて濾過機23のスラリーの流量を目的流量により早く到達させることができる。
(スラリーの全供給流量が300m/h以上である場合)
立ち上げ運転を更に継続し、濾過設備に供給されるスラリーの全供給流量が、優先的にスラリーを供給する濾過機を含む複数の濾過機に対して、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上の流量を供給することが可能な更に大きな流量(例えば、400m)となった場合にも、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する濾過機23以外の濾過機13、33にもスラリーを供給する(規則ii後段)。
この場合の「スラリー分配機構」の具体的操作としては、全ての濾過機13、23、33の一次側バルブ14、24、34を開放し、且つ、開放した一次側バルブ14、24、34の開度を調節して、濾過機13へ供給するスラリーの流量を目的流量(100m/h)の50%以上(例えば、100m/h)確保し、濾過機23、33へ供給するスラリーの流量も、それぞれ目的流量(200m/h)の50%以上(例えば、150m/h)確保することができるように設定する。この操作により、濾過設備10に供給されるスラリーを濾過機13、23、33に分配しながら、且つ、全ての濾過機へ供給するスラリーの流量を、それぞれの濾過機の目的流量の50%以上に維持することもできるので、良好なケーク層を形成しながら、3基の濾過ユニットに等量分散させる場合と比べて、濾過機13、23、33のスラリーの流量を目的流量により早く到達させることができる。
次に、本発明を適用した実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。本実施例においては、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬に脱亜鉛プラントにおいて、定期点検を行った後、この脱亜鉛プラントの立ち上げに際して、スラリー中の亜鉛硫化物を固液分離処理によって分離除去する脱亜鉛処理を行う「濾過設備」を、本発明の「濾過設備の運転方法」によって運転した場合の濾過率の向上効果について検証を行った。
(実施例)
本発明の「濾過設備の運転方法」により、「濾過設備」の立ち上げ運転を行い、その後、立ち上げ運転期間(2日)も含めて4か月(2020年9月~2020年12月)の試験操業を実施した。立ち上げ運転時には、上記段落[0058]~[0070]において例示した制御条件と同一条件で一次側バルブ14、24、34を制御して、各々の濾過機へ分配するスラリーの流量を調整した。
(比較例)
従来通り、各々の濾過機にスラリーを常に等量分散するようにして、「濾過設備」の立ち上げ運転を行い、その後、立ち上げ運転期間(2日)も含めて8か月(2020年1月~2020年8月)の試験操業を実施した。
(効果の検証)
実施例、比較例、それぞれの試験操業について、終液であるニッケル及びコバルトを含む浸出液中の亜鉛品位が規定値を超えてしまった場合を「不良」と評価して、「不良率」を求めた。結果は表3に示す通りであった。
Figure 2023031095000004
表3に示す通り、脱亜鉛処理を行う「濾過設備」の「立ち上げ運転」を、本発明の「濾過設備の運転方法」によって行うことによって、濾過処理に係る不良の発生を1/3に抑制することができることが確認された。
1 スラリータンク(脱亜鉛終液貯留槽)
10 濾過設備
11、21、31 分岐管
13、23、33 濾過機(ポリッシングフィルター)
14、24、34 一次側バルブ
15、25、35 二次側バルブ
40 逆洗ユニット
41 逆洗液供給配管系
42 逆洗排液排出配管系
2 濾液タンク
S1 浸出工程
S2 固液分離工程
S3 中和工程
S4 脱亜鉛工程
S5 ニッケル回収工程

Claims (4)

  1. 並列に接続された複数基の濾過機からなる濾過設備の運転方法であって、
    前記濾過設備の立ち上げ運転を行う時には、
    前記濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%未満である場合には、目的流量が最も小さい濾過機にのみ前記スラリーを供給し、
    前記濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%以上である場合には、各々の前記濾過機に分配される前記スラリーの供給流量が、各々の前記濾過機の目的流量の50%未満となることがないように、各々の前記濾過機に分配するスラリーの供給流量を個別に制御する、
    濾過設備の運転方法。
  2. 各々の前記濾過機に分配される前記スラリーの供給流量を、以下の(i)、(ii)及び(iii)の分配規則に基づいて制御する、
    請求項1に記載の濾過設備の運転方法。
    (i)
    濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%未満の流量である時は、目的流量が最も小さい濾過機のみにスラリーを供給する。
    (ii)
    濾過設備へのスラリーの全供給流量が、目的流量が最も小さい濾過機の目的流量の50%以上の流量である時は、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、目的流量の50%以上の流量での供給が可能な濾過機のうちで目的流量が最も大きい濾過機に優先的にスラリーを供給する。
    但し、スラリーを供給する全ての濾過機において、各々の濾過機の目的流量の50%以上の流量での供給が可能な限りにおいて、優先的にスラリーを供給する濾過機以外の他の濾過機にも適量のスラリーを供給することができる。
    (iii)
    全ての濾過機に供給されるスラリーの流量が、各々の濾過機毎に、それぞれの目的流量に達するまで、各々の濾過機へのスラリーの供給流量を段階的に増加させていく。尚、“段階的”とは、スラリーを送液させるポンプの最大能力で流量を増加させていく“流量増加のステップ”と“流量維持のステップ”を1セットとして、所定の時間毎に複数セット(複数段階)実施するスラリーの流量の調整状態のことを言う。
  3. スラリー中の亜鉛硫化物を固液分離処理によって分離除去する脱亜鉛処理を、請求項1又は2に記載の濾過設備の運転方法によって行う、
    脱亜鉛処理方法。
  4. 前記スラリーが、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、該ニッケル酸化鉱石の浸出液を中和して得られたニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液に対し、硫化処理を施して亜鉛硫化物を形成させたスラリーであって、
    前記亜鉛硫化物を分離除去する脱亜鉛処理を、請求項3に記載の脱亜鉛処理方法によって行う、
    ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
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