JP2016108646A - コバルト粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、これらの方法は高価な試薬類や多量のエネルギーを必要とするため、経済的とは言えない。
以下、本発明のコバルト粉の製造方法を、図1に示す製造フロー図を参照して説明する。
本発明に用いる硫酸コバルトアンミン錯体溶液は、特に限定はされないが、コバルトおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルト粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのコバルト含有物を、硫酸あるいはアンモニアにより溶解して得られるコバルト浸出液(コバルトを含む溶液)を、溶媒抽出法、イオン交換法、中和などの浄液工程を施すことにより溶液中の不純物元素を除去して得られる溶液に、アンモニアを添加し、硫酸コバルトアンミン錯体溶液としたもの等が適し、コバルトはコバルト錯イオンの形で含まれている。
このコバルト濃度の範囲限定は、アンモニアを添加する前の硫酸コバルトを含有する溶液には多くの場合、微量のカルシウムも含まれるが、カルシウムはコバルトと同じ挙動を取るので、コバルト濃度が100g/Lを超えて存在する溶液では、カルシウムが石膏として析出する懸念があるためである。
<不溶性固体の添加>
この工程では、上記の硫酸コバルトアンミン錯体溶液に、その錯体溶液に不溶であり、析出の母体となる不溶性固体を添加する。
ここで添加する不溶性固体は、硫酸コバルトアンミン錯体溶液、硫酸アンモニウム水溶液或いはアルカリ溶液に対して不溶、若しくは溶解度が小さいものであれば、特に限定はされず、例えば、コバルト粉、鉄粉、アルミナ粉、ジルコニア粉、シリカ粉などを用いることができる。
なお、不溶性固体の添加に際しては、その添加前に硫酸コバルトアンミン錯体溶液に分散剤を添加し、その後に不溶性固体の添加を行っても良く、使用する分散剤はカルボン酸を有するものであれば特に限定されないが、工業的に安価に入手できるものとしてポリアクリル酸が好適である。
形状や大きさも特に限定はしないが、後述するように互いに衝突させたり、振動を与えたりして表面に析出したコバルト粉は分離することがあるので、衝撃や摩擦に耐える強度を有し、コバルト粉が効果的に分離できるように表面がなだらかな形状であるものが適している。
また、不溶性固体とコバルト粉との効果的な分離を考えると、実操業では例えば直径0.1〜3mm程度の球状もしくは楕円形等の角が無い形状であるものが使いやすい。
また、コバルト粉を分離した後の不溶性固体は、必要に応じて洗浄等の前処理を行った後で再び繰り返して使用することもできる。
次に、この工程は前工程において不溶性固体を添加して形成したスラリーを、耐高圧高温容器の反応槽内に装入し、その反応槽内に貯留されたスラリー内に水素ガスを吹き込み、そのスラリー中のコバルト錯イオンを還元し、含まれる不溶性固体上にコバルトを析出させるものである。
このときの混合スラリーの温度、即ち反応温度は、150〜200℃の範囲が好ましい。150℃未満では還元効率が低下し、200℃以上にしても反応への影響はなく、むしろ熱エネルギー等のロスが増加するので適さない。
この工程では、前工程で生成したコバルト析出物は不溶性固体上にくっついた状態であり、その状態では利用できないので、表面に形成されたコバルト析出物を不溶性固体と分離、コバルト粉として回収するものである。
コバルト75g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤として40wt%ポリアクリル酸2.5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体として直径1mmのジルコニアボール190gを添加して混合スラリーを作製した。
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から120分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にコバルトの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが500μmの湿式篩に取り出した不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したコバルト粉とを分離した。
回収したコバルト粉を観察したところ、図2に示すように微細なコバルト粉が生成していることを確認した。また、コバルト粉の生成反応率は86%であった。
[混合工程]
コバルト75g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤に40wt%ポリアクリル酸5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体を添加せずに次の操作を行なった。
作製した溶液をオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から60分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内の溶液を濾過したが、コバルト粉は1gしか回収できず、内筒缶内の側壁や攪拌機に約15gの板状のコバルトのスケーリングが生成した。
[混合工程]
コバルト110g(硫酸コバルト溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml、分散剤として40wt%ポリアクリル酸2.5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液を作製した。
この溶液に、析出母体となる不溶性固体として直径1mmのジルコニアボール190gを添加して混合スラリーを作製した。
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から120分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にコバルトの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが500μmの湿式篩に取り出した不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したコバルト粉とを分離した。
Claims (6)
- 硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液に、前記溶液に不溶な不溶性固体を加えて、混合スラリーを形成する混合工程と、
前記混合スラリーを反応槽内に装入した後、前記混合スラリー内に水素ガスを吹き込んで、前記混合スラリーに含まれるコバルト錯イオンを還元して、前記不溶性固体表面にコバルト析出物を形成する還元・析出工程と、
前記不溶性固体表面のコバルト析出物を、前記不溶性固体表面から分離してコバルト粉を形成する分離工程を、
順に経てコバルト粉を作製することを特徴とするコバルト粉の製造方法。 - 前記硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中の硫酸アンモニウム濃度が、10〜500g/Lの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のコバルト粉の製造方法。
- 前記硫酸コバルトアンミン錯体を含有する溶液中のコバルト濃度が、50g/L以上、100g/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコバルト粉の製造方法。
- 前記還元工程における水素ガスを吹き込む際の混合スラリーの温度が、150〜200℃であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
- 前記還元工程における水素ガスを吹き込む際の反応槽内気相部の圧力が、1.0〜4.0MPaの範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
- 前記不溶性固体が、コバルト、アルミナ、ジルコニア、鉄、シリカの中から選択される1種もしくは2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコバルト粉の製造方法。
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CN113172233A (zh) * | 2021-04-23 | 2021-07-27 | 安徽寒锐新材料有限公司 | 一种纳米球形密排六方钴粉及其制备方法 |
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Citations (2)
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JPH08503999A (ja) * | 1992-10-26 | 1996-04-30 | シェリット インコーポレイテッド | 金属コバルト粉の製造方法 |
JP2014098186A (ja) * | 2012-11-14 | 2014-05-29 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | 銀粉 |
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