JP2003082406A - 希土類合金の水素化処理装置およびそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

希土類合金の水素化処理装置およびそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法

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JP2003082406A
JP2003082406A JP2002179690A JP2002179690A JP2003082406A JP 2003082406 A JP2003082406 A JP 2003082406A JP 2002179690 A JP2002179690 A JP 2002179690A JP 2002179690 A JP2002179690 A JP 2002179690A JP 2003082406 A JP2003082406 A JP 2003082406A
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gas
internal space
upper opening
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JP2002179690A
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English (en)
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Akihito Tsujimoto
章仁 辻本
Katsumi Okayama
克己 岡山
Shinji Kidowaki
伸次 木戸脇
Chukichi Muneto
忠吉 宗藤
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 希土類元素の酸化を防ぎ、且つ、従来よりも
高い生産性で水素化処理できる装置を提供する。 【解決手段】 水素化粉砕装置100は、上部開口部を
備え希土類合金塊が収容された容器10を受容する内部
スペース20を有する筐体30と、内部スペース20に
水素ガスおよび不活性ガスを導くためのガス導入口32
と、内部スペース20内のガスを排気するためのガス排
気口34と、内部スペース20内に流気を生成させる流
気発生手段40と、内部スペース20に対して流気の上
流に配置され、容器10の上部開口の近傍に生成される
流気の強さを低減させる防風板50とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類合金塊の水
素化粉砕などの水素化処理に好適に用いられる希土類合
金の水素化処理装置およびそれを用いた希土類焼結磁石
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類焼結磁石は、磁性合金を粉砕して
形成した合金粉末をプレス成形した後に、焼結工程およ
び時効工程を経て作製される。現在、希土類焼結磁石と
してはサマリウム・コバルト系磁石とネオジム・鉄・ボ
ロン系磁石の二種類が各分野で広く用いられている。な
かでもネオジム・鉄・ボロン系磁石(「R−Fe−B
系」と呼ばれることもある。以下では、「R−T−
(M)−B系磁石」と呼ぶことにする。)は、種々の磁
石の中で最も高い最大磁気エネルギー積を示し価格も比
較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されてい
る。
【0003】ネオジム・鉄・ボロン系磁石の組成式R−
T−(M)−B中のRはYを含む希土類元素であり、T
は鉄、または鉄と遷移金属元素との混合物、Mは添加元
素、Bはボロンまたはボロンと炭素との混合物である。
Tは特に、Fe、または、FeとNiおよびCoの少な
くとも一方との混合物であることが好ましく、Tに占め
るFeの割合は50at%以上であることが好ましい。
また、添加元素Mは、Al、Ti、Cu、V、Cr、N
i、Ga、Zr、Nb、Mn、Mo、In、Sn、H
f、TaおよびWの少なくとも1種であることが好まし
い。添加量は添加元素の合計が1質量%以下であること
が好ましい。また、Bがボロンと炭素との混合物の場
合、ボロンの割合はボロンと炭素との合計の50at%
以上であることが好ましい。本発明が好適に適用される
R−T−(M)−B系焼結磁石は、例えば、米国特許第
4,770,723号および米国特許第4,792,3
68号の明細書に記載されている。
【0004】このような磁石となるR−T−(M)−B
系合金を作製するために、従来は、インゴット鋳造法が
用いられてきた。一般的なインゴット鋳造法によると、
出発原料である希土類金属、電解鉄およびフェロボロン
合金を高周波溶解し、得られた溶湯を鋳型内で比較的ゆ
っくりと冷却することによって合金インゴットが作製さ
れる。
【0005】近年、合金の溶湯を単ロール、双ロール、
回転ディスク、または回転円筒鋳型の内面などと接触さ
せることによって、比較的速く冷却し、合金溶湯から、
インゴットよりも薄い凝固合金(「合金フレーク」とい
うことにする。)を作製するストリップキャスト法や遠
心鋳造法に代表される急冷法が注目されている。このよ
うな急冷法によって作製された合金フレークの厚さは、
一般に、約0.03mm以上約10mm以下の範囲にあ
る。急冷法によると、合金溶湯は冷却ロールに接触した
面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から
厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。その結果、スト
リップキャスト法などによって作製された急冷合金は、
短軸方向のサイズが約0.1μm以上約100μm以下
で、長軸方向のサイズが約5μm以上約500μm以下
のR2Fe14B結晶相と、R2Fe 14B結晶相の粒界に分
散して存在するRリッチ相とを含有する組織を持つにい
たる。Rリッチ相は希土類元素Rの濃度が比較的高い非
磁性相である。
【0006】急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金
型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)
に比較して相対的に短い時間(冷却速度:102℃/秒
以上、104℃/秒以下)で冷却されているため、組織
が微細化され、結晶粒径が小さいという特徴を有してい
る。また、粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内に広
く広がっているため、Rリッチ相の分散性にも優れると
いう利点がある。これらの特徴が故に、急冷合金を用い
ることによって、優れた磁気特性を有する磁石を製造す
ることができる。
【0007】また、Ca還元法(あるいは還元拡散法)
と呼ばれる方法も知られている。この方法は以下の工程
を含む。まず、希土類酸化物のうちの少なくとも1種
と、鉄粉および純ボロン粉と、フェロボロン粉およびホ
ウ素酸化物のうちの少なくとも1種とを所定の割合で含
む混合粉、あるいは上記構成元素の合金粉または混合酸
化物を所定の割合で含む混合粉に、金属カルシウム(C
a)および塩化カルシウム(CaCl)を混合し、不活
性ガス雰囲気下で還元拡散処理を施す。得られた反応生
成物をスラリー化し、これを水処理することによって、
R−T−(M)−B系合金の固体が得られる。
【0008】なお、本明細書においては、固体合金の塊
を「合金塊」と呼び、従来のインゴット鋳造法によって
得られる合金インゴットおよびストリップキャスト法な
どの急冷法によって得られる合金フレークなどの溶湯を
冷却して得られた凝固合金だけでなく、Ca還元法によ
って得られる固体合金など、種々の形態の固体合金を含
むものとする。
【0009】プレス成形に供される合金粉末は、これら
の合金塊を、例えば水素化粉砕法および/または種々の
機械的粉砕法(例えば、フェザーミル、パワーミルやデ
ィスクミルが用いられる)で粉砕し、得られた粗粉末
(例えば、平均粒径10μm〜1000μm)を例えば
ジェットミルを用いた乾式粉砕法で微粉砕することによ
って得られる。プレス成形に供せられる合金粉末の平均
粒径は、磁気特性の観点から、1.5μm〜7μmの範
囲内にあることが好ましい。なお、粉末の「平均粒径」
は、特にことわらない限り、ここでは、質量中位径(ma
ss median diameter:MMD)を指すことにする。微粉砕
は、ボールミルやアトライターを用いても行うことが出
来る。
【0010】水素化粉砕法とは、希土類合金原料(典型
的には合金塊)が水素ガス雰囲気にさらされると、希土
類元素の水素化物を生成し、この水素化過程で起こる体
積膨張によって合金塊中に微細なクラックが発生する、
という現象を利用した粉砕法である。水素化粉砕法を用
いると機械的粉砕法に比べて、生産性が向上し、また、
その後の工程における希土類元素の酸化を抑制すること
ができる。原料合金塊として急冷合金を用いると、水素
化粉砕によって1mm以下(典型的には、平均粒径10
μm〜1000μm)の粗粉末が得られ、インゴット合
金や還元合金を用いると平均粒径が1cm程度の粗粉末
が得られる。
【0011】従来、R−T−(M)−B系合金を水素化
粉砕するにあたっては、原料となる希土類合金塊をSU
S304等のステンレス鋼から形成された容器内に充填
し、水素炉内において水素の吸蔵/放出を実行させるこ
とによって行っていた。
【0012】まず、容器内に収容された合金塊は水素炉
内に投入され、水素炉内が減圧雰囲気にされる。その
後、水素炉内に水素ガスを供給し合金塊に水素を吸蔵さ
せる。この過程で、合金塊中の希土類元素が水素化さ
れ、水素化された部分の体積が膨張し、合金塊中にクラ
ックを生成する。所定の時間が経過した後に、水素炉内
の水素ガスを排気し減圧雰囲気としながら、炉内を加熱
することによって、水素化物から水素を放出させる。こ
の後、水素炉内に不活性ガスを導入することによって、
粗粉末を冷却する。また、不活性ガスによる冷却効率を
高めるために、水素炉の内部に設けたファンで、水素炉
内に流気を生成することがなされている。さらに、この
ときの冷却効率を向上するために、本願出願人による特
許第31 20 080号公報に記載されているような容
器(水素粉砕用ケース)を用いることが好ましい。
【0013】上記の水素化粉砕工程において、水素炉の
気密性には限界があるので、特に水素炉内が減圧になっ
ている場合、大気中の酸素が水素炉内に流入する。水素
炉内に酸素が存在すると、希土類元素が酸化され、最終
的に得られる焼結磁石の磁気特性の低下を招く。この酸
化を抑制するために、水素炉内へのガスの導入および水
素炉内からのガスの排出は、急速に行われる。また、生
産性を向上させるために、不活性ガスの流気による冷却
の速度もできるだけ速いほうが好ましい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術の水素化粉砕法によると、酸化を抑制するため
に、および/または冷却効率を向上するために、ガスの
導入排出を短時間で実行したり、水素炉内に強い流気を
発生させたりすると、水素化粉砕によって生成された粉
末が水素炉内に飛散することがあった。飛散される粉末
は比較的小さな粒子が多く、この小さな粒子は比較的多
くの希土類元素を含んでいるため、これらが飛散すると
容器内の粗粉末の全体の組成が所望の組成からずれてし
まい、所望の磁気特性が得られないことがある。また、
水素炉内に散乱し残留したこれらの粉末は、水素炉が大
気に開放された際に酸化され、酸化された合金粉末が、
次の水素化粉砕の過程で、次のバッチの粗粉末に混入
し、焼結体に部分的な焼結不良(部分的な焼結密度の低
下)が生じるという問題が発生することもある。すなわ
ち、水素化粉砕工程における小さな粉末の飛散は材料の
歩留まりの低下を招く。また、炉内の一部がカーボンで
構成されている場合には、希土類合金原料の炭素含有量
が増加し、最終的に得られる焼結磁石の磁気特性が低下
するという問題もあった。
【0015】逆に、小さな粉末が飛散しないような条件
でガスの導入排出や流気の生成を行うと、冷却に要する
時間が長くなったりするので、スループットの低下を招
く。また、外気(酸素)が炉内に多く侵入する可能性が
あり、磁気特性の低下や、ひどい場合には、原料が発火
する危険がある。
【0016】特に、急冷法で作製された合金塊を水素化
粉砕することによって生成された粉末粒子は細かく、酸
化されやすく、さらに、炉内に飛散されやすい小さな粉
末粒子を多く含む。また、細かい粉末粒子は容器内に緻
密に充填されるので、通気性が悪く、冷却効率が低いた
めに、粗い粉末粒子と同等の冷却効率を得るためにはよ
り強い流気が必要となる。従って、上述した粉末の飛散
に起因する問題は、急冷法で作製された合金塊の水素化
粉砕において顕著となる。
【0017】上述の希土類合金塊の水素化粉砕における
問題は、これ以外の水素化処理(例えば、異方性ボンド
磁石を製造するためのHDDR処理)においても同様に
発生する。
【0018】本発明は上述の諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、希土類元素の酸化を防ぎ、且
つ、従来よりも高い生産性で水素化処理できる装置およ
びそれを用いた希土類焼結磁石の製造方法を提供するこ
とにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明による水素化処理
装置は、上部開口部を備え希土類合金塊が収容された容
器を受容する内部スペースを有する筐体と、前記内部ス
ペースに水素ガスおよび不活性ガスを導くためのガス導
入口と、前記内部スペース内のガスを排気するためのガ
ス排気口と、前記内部スペース内に流気を生成させる流
気発生手段と、前記内部スペースにおいて前記流気の上
流に配置され、前記容器の前記上部開口の近傍に生成さ
れる流気の強さを低減させる防風板とを備え、そのこと
によって上記目的が達成される。
【0020】前記容器は、底面と側面とをさらに有し、
前記防風板は、前記容器の前記上部開口部に対応する高
さに遮蔽部を有し、前記容器の前記側面の少なくとも1
つに対向する位置に少なくとも1つの開口部を有するこ
とが好ましい。
【0021】前記容器は、前記側面の内の前記防風板に
対向するように配置されている一対の側面の間を連結
し、前記一対の側面と実質的に連続な内面を有する少な
くとも1つの中空パイプを有することが好ましい。
【0022】前記防風板が有する少なくとも1つの開口
部は、前記少なくとも1つの中空パイプと対向するよう
に配置されていることが好ましい。
【0023】前記容器の前記上部開口部を覆うさらなる
防風板を有しても良い。
【0024】前記さらなる防風板は、少なくとも1つの
開口部を有してもよい。
【0025】本発明による他の水素化処理装置は、上部
開口部を有し希土類合金塊が収容された容器を受容する
内部スペースを有し、前記内部スペース内を減圧状態に
制御できる筐体と、前記内部スペースにガスを供給する
ガス供給手段と、前記容器の前記上部開口の近傍に生成
される流気の強さを低減させる防風板とを備えることを
特徴とする。
【0026】本発明による希土類焼結磁石の製造方法
は、底面と側面と上部開口部とを備え希土類合金塊が収
容された容器を用意する工程と、上記のいずれかの水素
化処理装置を用いて前記希土類合金塊を水素化粉砕する
工程と、前記水素化粉砕によって得られた粗粉末から微
粉末を作製する工程と、前記微粉末から成形体を形成
し、得られた成形体を焼結する工程とを包含し、そのこ
とによって、上記目的が達成される。
【0027】前記希土類合金塊は、希土類合金溶湯から
急冷法を用いて作製された希土類合金フレークであって
よい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態を説明する。以下では、本発明による水素
化処理の実施形態として、希土類合金塊の水素化粉砕を
例示するが、本発明はこれに限られない。
【0029】図1、図2および図3は、それぞれ、本発
明による水素化粉砕装置(「水素炉」ともいう。)10
0の上面図、側面図および正面図を示す。
【0030】水素化粉砕装置100は、希土類合金塊が
収容された複数の容器(例えば図7参照)10を受容す
る内部スペース20を有する筐体30と、内部スペース
20に水素ガスおよび不活性ガスを導くためのガス導入
口32と、内部スペース20内のガスを排気するための
ガス排気口34と、内部スペース20内に流気を生成さ
せる流気発生手段としてのファン40と、内部スペース
20に対して流気の上流に配置され、容器10の上部開
口10aの近傍に生成される流気の強さを低減させる防
風板50とを備えている。なお、本明細書において、
「流気」とは、内部スペース20内に存在する雰囲気ガ
スの流れを指し、ガスの種類や組成に関係なく、力学的
な気体の流れを言う。また、「流気の強さ」とは、気体
の流れの速度(流速:フローレート)であり、圧力でも
ある。
【0031】この防風板50は、図8を参照しながら後
に詳述するように、内部スペース20内に受容された容
器の上部開口部10aに対応する高さに遮蔽部50bを
有し、容器10の側面12に対向する位置に少なくとも
1つの開口部50aを有している。従って、容器10の
上部開口部10a付近に生成される流気の強さを弱め、
容器10の側面12付近に生成される流気を相対的に強
くする。その結果、上部開口部10a付近に生成される
流気によって容器10内の粉末が飛散することが抑制さ
れる。
【0032】図1〜図3を参照ながら、水素化粉砕装置
100の構成をさらに詳しく説明する。
【0033】水素化粉砕装置100は、筐体30と、筐
体30内の内部スペース20に対して容器10を出し入
れするために、筐体30の開口部30aを開閉する蓋体
36とを有している。容器10を受容する内部スペース
20は、温度、雰囲気ガスの圧力、流気の強さが所定の
範囲に制御される領域として、筐体30内の中央付近に
規定される。筐体30や蓋体36の材料は、耐水素脆性
の観点から、例えばSUS304L、SUS316、S
US316L等のステンレス鋼が好適であり、筐体30
の内部容積は例えば3.0〜5.2m3程度である。
【0034】筐体30内には、断熱材(例えば、カーボ
ン)から形成されている筒体22と、筒体22の前方開
口部22aを開閉する前方蓋体24aと、筒体22の後
方開口部22bを開閉する後方蓋体24bとが設けられ
ている。前方蓋体24aおよび後方蓋体24bは、筒体
22と同じ断熱材から形成されており、それぞれ、開閉
用シリンダ25aおよび25bによって開閉される。図
1中の一点鎖線(中央線)の上側は前方蓋体24aおよ
び後方蓋体24bが閉じた状態を示し、下側は前方蓋体
24aおよび後方蓋体24bが開いた状態を示してい
る。
【0035】筒体22、前方蓋体24aおよび後方蓋体
24bを閉じると、筒体22、前方開口部22aおよび
後方開口部22bによって、密閉した空間が形成され
る。この空間内に内部スペース20を加熱するためのヒ
ータ26が設けられている。このヒータ26は内部スペ
ース20をほぼ均一に加熱できるように、筒体22の内
周の全体に配置されている(例えば図3参照)。ヒータ
26は、水素ガスに対して耐性を有するカーボングラフ
ァイト等で形成されている。内部スペース20の温度を
モニタするために設けられた上部熱電対28aおよび下
部熱電対28bからの出力に基づいて、電極26aから
ヒータ26に供給される電力の量を調整することによっ
て、内部スペース20内の温度が制御される。なお、電
極26aは、ヒータ26を支持する部材としても機能す
る。
【0036】希土類合金塊が収容されたケース10は、
ラック15(例えば図4参照)に複数個が載置された状
態で内部スペース20内に配置される。水素化粉砕装置
100は、ラック15の底部を支持するととも移動を容
易にするための底面ガイドロール62と側面ガイド64
とを有し、ラック15を内部スペース20内の所定の位
置に導く。このラック15が配置されるヒータ26で包
囲された空間が内部スペース20である。水素化粉砕装
置100内に複数のラック15を挿入し、これらに対し
て同時に水素化処理を実行してもよい。1つのラック1
5に収容される容器10の個数および1つのラック15
の大きさは、作業効率を考慮して適宜変更され得る。こ
こでは、図4〜図6に示したように、1つのラック15
に容器10が4段×3列で収容され、3つのラック15
が内部スペース20に配置される。すなわち合計36個
の容器10に収容された希土類合金塊が同時に水素化処
理を受けることになる。
【0037】筐体30に設けられているガス導入口32
から、筐体30内に水素ガスおよび不活性ガス(Arま
たはHeなど)が導入される。ガス導入口32は冷却装
置(不図示)に接続されており、筐体30の内部に導入
するガスの温度は冷却装置によって調整される。また、
いずれのガスが導入されるかは、水素化粉砕の工程によ
って異なり、バルブ(不図示)操作等によって切り替え
られるように構成されている。また、ガス排出口34
は、ルーツポンプおよび油回転ポンプ等の不図示の排気
装置に接続されており、ここから筐体30内のガスが排
出される。これらの構成は、特開2000−30310
7号公報に記載されている構成を好適に用いることがで
きる。ここで例示した水素化粉砕装置100は、バッチ
処理タイプの装置であるが、連続処理タイプの装置(例
えばULVAC社製の連続真空炉FSシリーズ)を用い
た場合にも防風板を設けることによって、本発明の効果
を得ることができる。
【0038】なお、本発明における「不活性ガス」は、
微量の活性ガス(酸素ガスや窒素ガス)を含んでいても
良い。ただし、「不活性ガス」中における酸素ガス量は
5mol%を超えず、窒素ガス量は20mol%を超え
ないことが好ましい。また、不活性ガス中の酸素ガス量
は1mol%以下、窒素ガス量は4mol%以下である
ことが更に好ましい。
【0039】筐体30の内部における雰囲気ガスの種類
や圧力は、筐体30内に供給するガスの流量や筐体30
から排気するガスの流量を調整することによって、あら
かじめ設定したプログラム通りに制御される。また、水
素化粉砕装置100の内部の雰囲気ガス温度は、炉内部
に設けた温度検知器の出力を参照しながら、設定温度の
プロファイルに従うようにヒータ26を動作させること
によって制御できる。また、雰囲気ガスの流気の強さは
ファン40によって制御され、ファン40と内部スペー
ス20との間に配置された冷却器(冷却用パイプ)42
によって雰囲気ガスの温度を低下させることができる。
さらに、不活性ガスの温度は、ガス導入口32に接続さ
れた冷却装置(不図示)によっても調整される。このよ
うな温度の制御は、不図示の制御装置によって統制され
る。
【0040】ファン40を動作させることによって、図
1の中心線の下側に矢印で示したような、流気が生成さ
れる。これは、筒体22、前後の蓋体24aおよび24
bと、流路制限壁44aおよび44bによって、ガス導
入口32(図2参照)から筐体30と筒体22との間に
導入されたガスの流路が制限されるからである。
【0041】水素化粉砕装置100の蓋体36は、少な
くとも水素化粉砕の間には閉じており、水素化粉砕中の
筐体30内の空間は外部から完全に密閉された状態に維
持される。容器10(すなわちラック15)の出し入れ
を行うとき、水素化粉砕装置100の蓋体36は駆動機
構によって上方向に動かされ、水素化粉砕装置100の
開口部30aが開放される。図1では、蓋体36が閉じ
た状態を示している。筐体30および蓋体36は、炉内
部が加圧状態および減圧状態の何れの状態にも耐える強
度を持つように構成されているため、種々の水素化処理
を安全に実行できる。
【0042】本実施形態では、図4、図5および図6に
示すように、複数の容器(例えば、300mm×150
mm×500mm)10をラック15に搭載し、ラック
15に搭載された状態で、内部スペース20に載置され
るように構成されている。図4、図5および図6は、内
部スペース20内に配置された状態の容器10の配置を
示す模式図であり、それぞれ、上面図、側面図および正
面図である。容器10は、ラック15内に保持された状
態において、隣接する容器10の間にガスが流れやすく
なるように、水平方向および垂直方向に間隙を設けて配
置されている。
【0043】容器10およびラック15は、例えば、耐
水素脆性に優れたSUS304L等のステンレス鋼から
形成されていることが好ましい。容器10は、典型的に
は箱形容器であり、希土類合金塊の水素化が均一に行わ
れるように、薄型のもの(深さ10cm程度以下)が好
ましく、表面からの深さが10cm程度になるように合
金塊が充填されることが好ましい。これは合金塊の出来
るだけ広い面積(好ましくは全体)が水素雰囲気と均一
に接触しやすくするためである。底の深い容器10に大
量の合金塊を充填した場合、合金塊に対して均一な水素
化粉砕を行うことが困難になるおそれがある。容器10
を支持するラック15は、十分な強度を有するととも
に、容器10の底面および側面ができるだけ広い面積で
雰囲気ガスと直接的に熱交換できるように容器10の各
面を露出するように構成されることが好ましい。
【0044】希土類合金塊を収容する容器10として
は、図7に示す、特許第3120080号公報に記載さ
れているような容器10を用いることが好ましい。
【0045】容器10のケース本体11は、量産性を考
慮して、長手の上部開口部10aを有する直方体形状の
函体(例えば、500mm×185mm×85mm)と
して形成したものである。ケース本体11の中央部に仕
切板15が設けられている。ケース本体11の短い方の
側面12間には、伝熱・放熱効果を高めるために、側面
12の高さの真中辺りに外径12mm、内径9mmの3
本の中空パイプ14を仕切板15を貫通させて、その両
端の開口部14aをケース側面12に設けた開口12b
に連通させた状態で取り付けてある。また、長い方の側
面12間にも、短い方の側面12間に設けられている中
空パイプ14の上方に、外径10mm、内径8mmの6
本の中空パイプ14をその両端の開口部14aをケース
側面12に設けた開口12bに連通させた状態で取り付
けてある。すなわち、中空パイプ14は、側面12と実
質的に連続な内面14a(開口部14aと同じ参照符号
で示す)を有している。尚、中空パイプ14はケース側
面12に設けた開口12bに対して面一状態で連通させ
るようにしたが、中空パイプ14はケース側面12から
突出させて設けてもよい。中空パイプ14内を両端の開
口部14aを介して外気と連通状態にできればよい。な
お、内部スペース20内に生成される流気の方向にほぼ
直交するように配置される側面(ここでは長い方の側
面)12が特に伝熱・放熱に寄与するので、これらの側
面12間には中空パイプ14を設けることが特に好まし
く、他方の側面12間の中空パイプ14を省略しても良
い。
【0046】また、容器10の強度を向上するために、
ケース本体11の側面12上端縁に補強用耳部(例えば
銅板)13を形成することが好ましい。さらに、ケース
本体11の底面の周辺部を包囲するように補強用下枠1
7を設けることが好ましい。ケース本体11、中空パイ
プ14、仕切り板15および補強用下枠17も、耐水素
脆性に優れたSUS304L等のステンレス鋼から形成
されていることが好ましい。さらなる熱伝導性を得るた
めには、銅やアルミ合金等、熱伝導率が2.35W/c
m・deg以上の材料を用いて形成することが好まし
い。
【0047】上述のような容器10が、図4〜6に示し
たように、ラック15に載置されている。容器10の長
い方の側面12が、正面を向くように配置されており、
内部スペース20内に生成される流気の方向(図5中の
矢印)に対して、長い方の側面12がほぼ直交するよう
に配置されている。
【0048】ラック15の正面(開口部30a側)に
は、防風板50が取り付けられており、防風板50を通
過したガスが、ラック15に載置されている容器10の
周辺を流れるようになっている。
【0049】図8を参照しながら、防風板50と内部ス
ペース20内に受容された容器10との相対配置を説明
する。
【0050】防風板50は、開口部50aと遮蔽部50
b(開口部50a以外の部分)とを有している。開口部
50aは、ラック15内に複数段(ここでは4段)に重
ねて配置されたそれぞれの容器10の周辺に流気を生成
するために、各段に対応して設けられる。また、各段の
容器10の側面12に対して、なるべく均等に流気が当
たるように、各段ごとに複数の開口部50aを設けるこ
とが好ましい。
【0051】さらに、防風板50は、容器10の上部開
口部10aの付近に生成される流気を弱めるように、そ
の開口部50aが容器10の上部開口部10aに対向し
ないように配置されている。具体的には、開口部50a
の上端が、容器10の上部開口部10aと同じかそれよ
りも低い位置になるように配置されており、開口部50
aの下端は、容器10の底面と同じかそれよりも高い位
置に配置されている。
【0052】典型的には、防風板50の開口部50a
が、容器10の側面12の中央付近に対向するように配
置される。容器10が、防風板50に対向する側面12
間に設けられた中空パイプ14を有する場合には、開口
部50aの上端と下端との間に、中空パイプ14の開口
部14aが位置するように配置されることが好ましい。
すなわち、図8に示したように、開口部50aの上端と
下端とで規定される高さ方向における幅W1内に、容器
10の中空パイプ14の開口部14aが位置するように
配置されることが好ましい。また、中空パイプ14の開
口部14aが側面12の高さ方向の中央に設けられてい
る場合、このW1は、側面12の高さ方向の幅V1の3
分の1以下であることが好ましく、4分の1以下である
ことがさらに好ましい。一般に、開口部50aの上端と
容器10の上部開口部10aとの高さの差が、開口部5
0aの高さ方向の幅W1と同程度以下であることが好ま
しい。この高さの差が小さすぎると、開口部10a付近
に生成される流気が強すぎるために、容器10内の合金
粉末の飛散を十分に抑制できないことがある。
【0053】開口部50aは、この幅W2内に全ての開
口部14aが位置するように形成する必要は必ずしも無
い。即ち、開口部14aのいくつかは開口部50aに対
向しなくてもよく、容器10に対してほぼ均一な流気を
生成でき、且つ、中空パイプ14内に十分な流気を生成
できるように幅W2を設定すればよい。
【0054】このように、本実施形態の水素化粉砕装置
100は、希土類合金塊を収容した容器10の上部開口
部10aに対応する高さに遮蔽部50bを有する防風板
50を備えているので、内部スペース20内に流気を生
成した場合に、容器10の上部開口部10a付近に生成
される流気を相対的に弱く出来るので、水素化粉砕によ
って作製された合金粉末が飛散することが抑制・防止さ
れる。その結果、容器10内の合金粉末の全体の組成の
ばらつきが抑制され、材料の歩留まりを向上することが
できる。この効果は、最終焼結体(希土類焼結磁石)に
おける希土類元素の質量分率が29.5質量%〜32.
0質量%の範囲に制御されている場合に特に顕著であ
り、31.0質量%以下であることが更に好ましい。
【0055】さらに、内部スペース20に対するガスの
流量(流速)を従来よりも多く(速く)しても、粉末の
飛散の原因となる上部開口部10a付近に生成される流
気の強さ(流速)を従来よりも低くできるので、プロセ
スタイム(ガス交換に要する時間および/または冷却に
要する時間)を短く出来るので、スループットを向上す
ることができる。さらに、筐体30内に散乱し残存する
合金粉末粒子が減少するので、筐体30内を大気に開放
したときに、粉末粒子が急激に酸化されることによる危
険性が低下する。
【0056】本実施形態の水素化粉砕装置100におい
ては、図2に示したように、内部スペース20の上下に
位置するガス導入口32とガス排気口34との間にヒー
タ26を設けているため、内部スペース20の縦方向に
発生する流気はヒータ26によって弱められ、ヒータ2
6の長手方向(内部スペース20の横方向)にのみ強い
流気が発生する。従って、この強い流気を弱めるため
に、容器10の前面(側面)側にのみ防風板50を設け
る構成とした。
【0057】しかしながら、ヒータ26を設けない場合
など、内部スペース20の縦方向にも強い流気が生じる
場合には、容器10の上部開口部10aにも防風板を設
けることが好ましい。例えば、図7(b)に示すよう
に、容器10の上部開口部10aを覆うように蓋(防風
板)18を配置し、粉末が流気によって飛散することを
防止する。流気による熱交換効率を向上するためには、
蓋18に孔19を設けることが好ましい。また、蓋18
とケース本体11の側面12の上端部との間には、隙間
19aを形成することが好ましい。勿論、内部スペース
20内に発生する流気の方向によっては、水素化粉砕装
置100における防風板50を省略し、蓋18を防風板
として用いてもよい。
【0058】[焼結磁石の製造方法]以下に、上述した
水素化粉砕装置100を用いた水素化粉砕工程を含む、
本発明による焼結磁石の製造方法の実施形態を説明す
る。ここでは、本発明による水素化粉砕が特に効果的な
急冷法によって作製された合金塊(フレーク)を用いる
例を示す。
【0059】まず、公知のストリップキャスト法で所望
の組成を有するR−T−(M)−B系磁石用合金の原料
合金を用意し、所定の容器に保管しておく。ストリップ
キャスト法で作製されたとき、この原料合金の厚さは
0.03mm以上10mm以下の範囲にある。このスト
リップキャスト合金は、短軸方向サイズが0.1μm以
上100μm以下で長軸方向サイズが5μm以上500
μm以下のR214B結晶粒と、R214B結晶粒の粒界
に分散して存在するRリッチ相とを含有する。Rリッチ
相の厚さは10μm以下である。原料合金は、水素化処
理の前において、平均粒径1〜10mmのフレーク状に
粗粉砕されていることが好ましい。ストリップキャスト
法による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第
5,383,978に開示されている。このような急冷
法によって作製された合金塊は、インゴット法によって
作製された合金塊よりも、水素化粉砕によって細かな粒
子を生成するので、本発明の防風板を設けることによる
効果が顕著である。
【0060】次に、粗粉砕された原料合金塊を複数の容
器10に充填し、ラック15に搭載する。この後、例え
ば原料搬送装置などを用いて、容器10が搭載されたラ
ック15を水素化粉砕装置100の前まで搬送し、水素
化粉砕装置100の内部へ挿入する。
【0061】次に、水素化粉砕装置100の蓋体36を
閉じ、水素化粉砕を開始する。水素化粉砕は、例えば図
9に示すような温度プロファイルに従って実行する。図
9の例では、まず真空引き過程Iを0.5時間実行す
る。この時の圧力は、例えば1〜10Paである。この
後、水素吸蔵過程IIを2.5時間実行する。水素吸蔵過
程IIでは、筐体30内に水素ガスを供給し、内部スペー
ス20を水素雰囲気にする。そのときの水素圧力は、2
00〜400kPa程度が好ましい。合金塊が水素を吸
蔵することによって、内部スペース20内の温度は一旦
300℃程度にまで上昇する。
【0062】続いて、0〜3Pa程度の減圧下で脱水素
過程IIIを5.0時間実行する。この脱水素過程IIIは、
前方蓋体24aと後方蓋体24bとで筒体22を密閉
し、ヒータ26によって550℃程度に加熱された状態
で実行される。この後、アルゴンガスを筐体30内に供
給しつつ、得られた粗粉末の冷却過程IVを5.0時間実
行する。
【0063】冷却過程IVにおいて、内部スペース20内
の雰囲気温度が比較的に高い段階(例えば、100℃を
超えるとき)では、常温のアルゴンガスを筐体30内に
供給し、冷却する。この過程では、前方蓋体24aと後
方蓋体24bとを開放し、筒体22内の内部スペース2
0にアルゴンガスが供給される。その後、粗粉末の温度
が比較的低いレベルに低下した段階(例えば、100℃
以下のとき)で、常温よりも低い温度(例えば室温マイ
ナス10℃程度)に冷却したアルゴンガスを筐体30内
に供給することが冷却効率の観点から好ましい。アルゴ
ンガスの供給量は、10〜100Nm3/min程度に
すればよい。
【0064】粗粉末の温度が20〜25℃程度にまで低
下したら、ほぼ常温(室温よりも低いが、室温との差が
5℃以下の範囲の温度)のアルゴンガスを内部スペース
20内に送風し、粗粉末の温度が常温レベルに達するの
を待つことが好ましい。こうすることによって、水素化
粉砕装置100の蓋体36を開放した際に、筐体30内
部で結露が生じる事態を避けることができる。結露によ
って筐体30内部に水分が存在していると、真空引き工
程でその水分が凍結・気化するため、真空度を上昇させ
にくくなり、真空引き過程Iに要する時間が長くなって
しまうので好ましくない。
【0065】水素化粉砕が終了した容器10(ラック1
5)の取り出しは、例えば、本願出願人により特開20
00−303107号公報に記載されている方法で実行
することが好ましい。
【0066】本発明による水素化粉砕装置100は、希
土類合金塊が収容された容器10が配置される内部スペ
ース20に対して流気の上流側(ラック15の前面側)
に防風板50が配置されているので、ガスの導入、排気
および冷却のための送風時に発生する流気による粉末の
飛散が抑制される。例えば、1つの容器10に約20〜
25kgの合金塊を充填した場合、防風板50を設けな
いと飛散による粉末の減少量が約25〜30gであるの
に対し、防風板50を備える水素化粉砕装置100を用
いると、減少量は2〜3gに減少した。防風板50を用
いずに、飛散による減少量を2〜3gに抑えるために
は、内部スペース20に生成される流気を弱める必要が
あり、スループットを低下させなければ実現できない。
また、焼結体中の炭素量を測定したところ、防風板50
を設けていない場合には平均値が470ppm(質量基
準)であったのに対し、防風板50を設けた場合には、
平均値が450ppmまで低下した。
【0067】室温程度にまで冷却された粗粉末に対し
て、ジェットミルなどの粉砕装置を用いて更なる粉砕を
行い、原料の微粉末を製造する。この微粉末に潤滑剤を
混ぜた後、プレス成形装置を用いて粉末を所望形状に成
形すれば、プレス成形体が作製される。このプレス成形
体は、脱潤滑剤処理、焼結処理、冷却処理、時効処理な
どの一連の処理を受け、希土類系合金の焼結磁石の製造
工程が終了する。
【0068】本発明による水素化粉砕装置100を用い
ると、飛散した粒子の混入による焼結体の部分的な焼結
不良(部分的な焼結密度の低下)の発生が抑制され、且
つ、原料粉末に混入する炭素量を減らすことができる。
【0069】以上、ストリップキャスト合金について本
願発明を説明してきたが、本願発明の適用範囲はこれに
限定されない。例えば、特開平9−31609号公報に
記載されているような遠心鋳造法によって急冷凝固させ
た合金の粉砕に対しても、本発明は好適に適用される。
【0070】上述の実施形態においては、板状の部材を
用いて構成した防風板50を例示したが、防風板は流気
を弱めることが出来ればよく、棒状の部材を例えば格子
状やネット状に組み合せて防風板50を構成してもよ
い。また、防風板50をラック15に設ける構成を例示
したが、容器10の側面に一体に設けても良い。更に、
容器10をラック15に収容した状態で水素化粉砕装置
100の内部スペース20に載置した例を示したが、容
器10を内部スペースに直接載置してもよい。但し、隣
接する容器10の間にガスが流れやすくなるように、例
えばスペーサなどを用いて、水平方向および垂直方向に
間隙を設けて配置することが好ましい。なお、容器10
として底面と側面とを有する箱状の容器を例示したが、
底面と側面とが一体となって連続的な形状を形成する、
例えば、おわん状の容器を用いることができる。
【0071】
【発明の効果】本発明によると、希土類元素の酸化を防
ぎ、且つ、従来よりも高い生産性で水素化処理できる水
素化処理装置が提供されるとともに、従来よりも生産性
が高い希土類焼結磁石の製造方法が提供される。
【0072】本発明による水素化処理装置は、希土類磁
石の製造プロセスにおける希土類合金塊の水素化粉砕に
好適に用いられ、材料の歩留まりおよびスループットを
向上する。特に、急冷法で作製された希土類合金塊の水
素化粉砕において顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態の水素化粉砕装置100
の構造を模式的に示す上面図である。
【図2】本発明による実施形態の水素化粉砕装置100
の構造を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明による実施形態の水素化粉砕装置100
の構造を模式的に示す正面図である。
【図4】水素化粉砕装置100内の容器10の配置を模
式的に示す上面図である。
【図5】水素化粉砕装置100内の容器10の配置を模
式的に示す側面図である。
【図6】水素化粉砕装置100内の容器10の配置を模
式的に示す正面図である。
【図7】(a)本発明の実施形態で好適に用いられる、
希土類合金塊を収容する容器10を示す斜視図であり、
(b)は、容器10に蓋18を配置した状態を(a)の
矢印A方向からみた側面図である。
【図8】本発明による水素化粉砕装置100が備える防
風板50の構造を模式的に示す図である。
【図9】水素化粉砕の温度プロファイルの一例を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
100 水素化粉砕装置 10 容器 10a 容器の上部開口部 15 ラック 18 蓋 19 蓋の孔 19a 容器10と蓋18との間の隙間 20 内部スペース 22 筒体 22a 前方開口部 22b 後方開口部 24a 前方蓋体 24b 後方蓋体 25a、25b 開閉用シリンダ 26 ヒータ 26a 電極 28a 上部熱電対 28b 下部熱電対 30 筐体 30a 筐体の開口部 32 ガス導入口 34 ガス排気口 36 蓋体 40 ファン 42 冷却用パイプ 44a、44b 流路制限壁 50 防風板 50a 防風板の開口部 50b 防風板の遮蔽部 62 底面ガイドロール 64 側面ガイド
フロントページの続き (72)発明者 木戸脇 伸次 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友特殊金 属株式会社和歌山事業所内 (72)発明者 宗藤 忠吉 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友特殊金 属株式会社和歌山事業所内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA06 BB12 CA07 DA04 EA03 EA08 EK07 4K063 AA05 AA15 BA03 CA06 DA07 DA13 DA15 DA19 DA26 EA04 5E040 BD01 CA01 HB19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部開口部を備え希土類合金塊が収容さ
    れた容器を受容する内部スペースを有する筐体と、 前記内部スペースに水素ガスおよび不活性ガスを導くた
    めのガス導入口と、 前記内部スペース内のガスを排気するためのガス排気口
    と、 前記内部スペース内に流気を生成させる流気発生手段
    と、 前記内部スペースにおいて前記流気の上流に配置され、
    前記容器の前記上部開口の近傍に生成される流気の強さ
    を低減させる防風板と、 を備える水素化処理装置。
  2. 【請求項2】 前記容器は、底面と側面とをさらに有
    し、前記防風板は、前記容器の前記上部開口部に対応す
    る高さに遮蔽部を有し、前記容器の前記側面の少なくと
    も1つに対向する位置に少なくとも1つの開口部を有す
    る、請求項1に記載の水素化処理装置。
  3. 【請求項3】 前記容器は、前記側面の内の前記防風板
    に対向するように配置されている一対の側面の間を連結
    し、前記一対の側面と実質的に連続な内面を有する少な
    くとも1つの中空パイプを有する請求項2に記載の水素
    化処理装置。
  4. 【請求項4】 前記防風板が有する少なくとも1つの開
    口部は、前記少なくとも1つの中空パイプと対向するよ
    うに配置されている、請求項3に記載の水素化処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記容器の前記上部開口部を覆う遮蔽部
    を有する、さらなる防風板を備える、請求項1から4の
    いずれかに記載の水素化処理装置。
  6. 【請求項6】 前記さらなる防風板は、少なくとも1つ
    の開口部を有する、請求項5に記載の水素化処理装置。
  7. 【請求項7】 上部開口部を有し希土類合金塊が収容さ
    れた容器を受容する内部スペースを有し、前記内部スペ
    ース内を減圧状態に制御できる筐体と、 前記内部スペースにガスを供給するガス供給手段と、 前記容器の前記上部開口の近傍に生成される流気の強さ
    を低減させる防風板と、を備える水素化処理装置。
  8. 【請求項8】 上部開口部を備え希土類合金塊が収容さ
    れた容器を用意する工程と、 請求項1から7のいずれかに記載の水素化処理装置を用
    いて、前記希土類合金塊を水素化粉砕する工程と、 前記水素化粉砕によって得られた粗粉末から微粉末を作
    製する工程と、 前記微粉末から成形体を形成し、得られた成形体を焼結
    する工程と、 を包含する希土類焼結磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記希土類合金塊は、希土類合金溶湯か
    ら急冷法を用いて作製された希土類合金フレークであ
    る、請求項8に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012160545A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Hitachi Metals Ltd 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置
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KR101522805B1 (ko) * 2011-01-31 2015-05-26 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 R-t-b계 소결자석의 제조방법

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