JP4178626B2 - 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法 - Google Patents

熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4178626B2
JP4178626B2 JP32275398A JP32275398A JP4178626B2 JP 4178626 B2 JP4178626 B2 JP 4178626B2 JP 32275398 A JP32275398 A JP 32275398A JP 32275398 A JP32275398 A JP 32275398A JP 4178626 B2 JP4178626 B2 JP 4178626B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
heat treatment
gas
furnace
hydrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP32275398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000144242A (ja
Inventor
浩之 冨澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP32275398A priority Critical patent/JP4178626B2/ja
Publication of JP2000144242A publication Critical patent/JP2000144242A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4178626B2 publication Critical patent/JP4178626B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Muffle Furnaces And Rotary Kilns (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素雰囲気熱処理に好適に用いられる熱処理装置、およびその熱処理装置を用いた熱処理方法に関する。また、本発明は、各種モータ、アクチュエータ等に適した希土類系ボンド磁石ならびに焼結磁石に用いられる永久磁石用希土類系合金粉末を前記熱処理装置を用いて製造する方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類系永久磁石用合金粉末の水素処理法には、HDDR(Hydrogenation-Disproportionation-Desorption-Recombination)処理法と呼ばれるものがある。「HDDR」は、水素化(Hydrogenation)、不均化(Disproportionation)、脱水素化(Desorption)、および再結合(Recombination)を順次実行するプロセスを意味している。本願明細書では、このような「HDDR処理」を「水素雰囲気熱処理」と呼ぶことにする。この水素雰囲気熱処理は、R−T−(M)−B系原料合金(RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCoとの混合物、Mは添加元素、Bはボロン)のインゴットまたは粉末をH2ガス雰囲気またはH2ガスと不活性ガスとの混合雰囲気中で温度500℃〜1000℃に保持し、それによって上記合金のインゴットまたは粉末に水素を吸蔵させた後、H2分圧13Pa以下の真空雰囲気またはH2分圧13Pa以下の不活性ガス雰囲気になるまで温度500℃〜1000℃で脱水素処理し、次いで冷却することによって合金磁石粉末を得る方法を意味するものとする。
【0003】
水素処理法によって希土類系永久磁石用合金粉末を製造する方法は、例えば特開平1−132106号公報に開示されている。水素処理法で製造されたR−T−(M)−B系合金磁石粉末は大きな保磁力を有しており、組成および処理条件の選択によっては磁気的な異方性を有する。このような性質を有するのは、金属組織が実質的に0.1〜1μmの非常に微細な結晶の集合体となるためである。より詳細には、上記水素処理によって得られる極微細結晶の粒径が正方晶R214B系化合物の単磁区臨界粒径に近いために高い保磁力を発揮し、しかも、極微細結晶粒が結晶方位をある程度そろえて集合しているためである。
【0004】
特開平2−4901号公報には、水素処理法に用いられ得る種々のヒートパターンが開示されている。この公報では、原料合金に対して水素処理の前に均一化熱処理を行うことも提案されている。
【0005】
特開平3−146608号公報および特開平4−17604号公報には、水素処理中の温度変化が磁性合金粉末の磁気的性質に影響すること、および、この温度変化が水素処理中に生じる化学反応の反応熱に起因することを指摘している。これらの公報は、このような温度変化を最小にするために蓄熱材を混入して水素処理を行うことを提案している。
【0006】
特開平5−163510号公報では、処理設備の操業能率を低下させる蓄熱材を用いることなく、温度変化を50℃以内に抑えることができる処理炉の構造が提案されている。
【0007】
また、特開平5−156320号公報には、水素吸蔵合金の平衡水素圧を利用して、水素と比処理物との反応の進行度合いに関係なく雰囲気の水素分圧を一定に制御する技術が開示されている。この技術によれば、水素使用量も低減される。
【0008】
特開平5−214437号、特開平5−247526号、特開平5−247527号、特開平5−247528号、および特開平6−73512号の各公報には、複数の処理装置の連結や水素吸蔵合金の使用による水素ガスの繰り返し使用方法、シリンダ上圧力制御手段によって雰囲気の水素分圧を制御する方法等が開示されている。
【0009】
雰囲気ガスとして水素を用いる量産規模の熱処理装置としては、例えば、特開平2−57895号公報に記載されている構成を有する装置がある。この装置は、真空容器内部に発熱体を持つ内熱方式の熱処理装置であり、水素ガスの熱対流による熱損失を低減するために、炉内に気密室を設けている。水素ガスは気密室内にのみ導入される。気密室の外部には、水素ガスよりも熱伝導性に劣るアルゴンガスなどの不活性ガスが導入される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
熱処理装置のヒータの材料としては、グラファイトや炭化珪素が利用されている。また、断熱材の材料としては、グラファイトやアルミナウールなどが広く利用されている。これらの材料は、希土類系磁石合金の水素雰囲気熱処理に際して、希土類系磁石合金の性質に強い悪影響を及ぼしうる不純物(炭素、酸素、シリコン、カルシウム、マグネシウムなど)を含んでいる。希土類系磁石合金の磁気性能がこのような不純物に極めて敏感であり、水素雰囲気熱処理の効果に甚大な影響を及ぼすことが本発明者の実験によってわかった。
【0011】
従来、水素雰囲気での熱処理を実行するためには、鉄鋼材料の熱処理を意図して製造され熱処理装置を用いることが多かった。鉄鋼材料の熱処理に際しては、熱処理装置内に配されるヒータや断熱材に起因する不純物の汚染が特に問題視されることはなかった。実際、鉄鋼材料の特性はヒータや断熱材に起因する不純物によって大きな影響を受けなかったと考えられる。
【0012】
熱処理装置内のヒータによって加熱された雰囲気ガスは、炉内で熱対流し、ヒータおよび/または断熱材と接触するうちにヒータや断熱材に含まれる不純物を大量に吸収する。盛んに熱対流する雰囲気ガスと被熱処理物が直接に接触する場合、被熱処理物が希土類系磁石合金のように活性であると、雰囲気ガスによって運ばれてきた不純物は被熱処理物内に大量に取り込まれてしまうことになる。特に水素雰囲気ガスは、約600℃以上の温度領域でヒータや断熱材から大量の不純物を取り込みやすい。このため、600℃以上の温度で水素雰囲気熱処理を受ける希土類系磁石合金の特性は、ヒータなどの不純物の影響をうけて大きく変動することになる。
【0013】
不純物源を炉内から排除するために、金属系材料から形成されたヒータを用いたり、断熱材の使用を避けることが考えられる。断熱材の代わりに金属製反射板を炉内に配すれば、加熱効率を維持しながら、炉内の均熱化を達成することは可能である。しかし、水素のような熱伝導率の高い雰囲気ガスを使用する場合、反射板方式では均熱化を充分に達成することは困難であり、また、熱効率が著しく低下するという問題が生じる。水素雰囲気中で使用可能な金属製ヒータや反射板の材料としてMoが知られているが、Mo製ヒータや反射板は非常に高価である。
【0014】
従って、安価なグラファイト製ヒータや断熱材を用いながら、その不純物の影響を簡単に排除できる熱処理装置および熱処理装置の開発が強く望まれる。
【0015】
なお、希土類系合金は水素雰囲気熱処理時に雰囲気中の水素ガスを吸収し、水素化物を形成する。このため、水素化反応時には充分な量の水素ガスを希土類合金へ供給しなければ、水素ガスの供給不足から炉内が減圧状態になり、水素爆発の危険性が高くなる。逆に大量の水素ガスを炉内に供給することは、不経済である。また、水素化反応時には充分な量の水素ガスを希土類合金へ均一に供給しなければ、希土類合金の特性が大きくばらついてしまう。従来の熱処理装置によれば、被熱処理物に対して充分な量の水素ガスを均一に、しかも無駄なく安全に供給することが難しいという問題もあった。
【0016】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、被熱処理物に悪影響を及ぼし得る不純物源が炉内に存在する場合でも、その不純物の影響が被熱処理物に及びにくい熱処理装置および熱処理方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような熱処理装置を用いて水素雰囲気熱処理を実行し、それによって磁気特性に優れた永久磁石用希土類系合金粉末を製造する方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱処理装置は、ガス導入口および排気口を有する密閉可能な第1チャンバーと、前記第1チャンバー内に設けられた第2チャンバーと、前記第1チャンバー内において前記第2チャンバーの外部に設けられたヒータとを備え、前記第2チャンバーが、被熱処理物を受け入れる空間と、前記空間を囲む金属壁と、前記ガス導入口から前記第1チャンバー内に供給された雰囲気ガスの一部を前記空間内に流入させ得る開口部とを備えている。
【0018】
本発明の他の熱処理装置は、排気口を有する密閉可能な第1チャンバーと、前記第1チャンバーの外部から直接的にガスを導入させ得るガス導入口を有し、前記第1チャンバー内に設けられた第2チャンバーと、前記第1チャンバー内において前記第2チャンバーの外部に設けられたヒータとを備え、前記第2チャンバーが、被熱処理物を受け入れる空間と、前記空間を囲む金属壁と、前記ガス導入口から前記第2チャンバー内に供給された雰囲気ガスを前記第1チャンバー内において前記第2チャンバーの外部に流出させ得る開口部とを備えている。
【0019】
前記第2チャンバーの前記金属壁は前記空間を囲む本体部分と蓋部分とを有しており、前記本体部分と前記蓋部分との間に形成される隙間が前記開口部として機能することが好ましい。
【0020】
前記第2チャンバーの前記金属壁は、前記空間を囲む本体部分と、前記本体部分に対して移動可能に支持されている複数の蓋部分とを有しており、前記本体部分と前記複数の蓋部分との間に複数の隙間が形成されているときは前記複数の隙間の各々が前記開口部として機能することが好ましい。
【0021】
前記第2チャンバーの前記複数の蓋部分は前記本体部分に対して密着可能であり、熱処理工程中に前記複数の蓋部分を前記本体部分に密着させることによって前記開口部を一時的に閉じることができることが好ましい。
【0022】
前記複数の隙間が対称に形成されるように前記複数の蓋部分の配置と前記本体部分の配置とが関係付けられていることが好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、前記第2チャンバー内の前記雰囲気ガスの圧力を検知し、前記圧力を調整する圧力制御部を備えている。なお、本熱処理装置では、開口部の存在によって、第1チャンバー内と第2チャンバー内との間に圧力差がほとんど生じないか、生じたとしても圧力差の存在する時間が比較的に短いため、第1チャンバーの圧力を検知することによって第2チャンバー内の圧力を実質的に検知することができる。
【0024】
好ましい実施形態では、前記第1チャンバー内において前記第2チャンバーの外部に設けられた断熱材を更に有している。
【0025】
本発明の熱処理方法は、上記熱処理装置を用いて行う熱処理方法であって、前記第2チャンバー内に被熱処理物を挿入する工程と、前記ガス導入口を通じて活性ガスを前記第1チャンバー内に供給し、前記第2チャンバーの前記開口部を介して前記第2チャンバー内に前記活性ガスを供給する工程と、前記ヒーターを用いて前記被熱処理物に対する熱処理を実行する工程と、前記第2チャンバー内の前記活性ガスを前記第2チャンバーの前記開口部から前記第1チャンバーの前記排気口を介して前記第1チャンバーの外部へ排気する工程とを包含する。
【0026】
本発明の熱処理方法は、上記熱処理装置を用いて行う熱処理方法であって、前記第2チャンバー内に被熱処理物を挿入する工程と、前記ガス導入口を通じて活性ガスを前記第2チャンバー内に直接的に供給する工程と、前記ヒーターを用いて前記被熱処理物に対する熱処理を実行する工程と、前記第2チャンバー内の前記活性ガスを前記第2チャンバーの前記開口部から前記第1チャンバーの前記排気口を介して前記第1チャンバーの外部へ排気する工程とを包含する。
【0027】
前記熱処理を実行している間に前記開口部の大きさを変化させる工程を更に備えていてもよい。
【0028】
本発明の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法は、R−T−(M)−B系合金粉末(RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCoとの混合物、Mは添加元素、Bはボロン)に対して水素雰囲気熱処理を行う永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法であって、前記水素雰囲気熱処理は、前記熱処理装置を用いて行うことを特徴とする。
【0029】
好ましい実施形態において、前記水素雰囲気熱処理は、前記R−T−(M)−B系合金粉末を前記第2チャンバー内にセットする工程と、前記ガス導入口を通じて水素ガスを前記第1チャンバー内に供給し、前記第2チャンバーの前記開口部を介して前記第2チャンバー内に前記水素ガスを供給する工程と、前記ヒーターを用いて前記R−T−(M)−B系合金粉末に対する熱処理を実行する工程と、前記第2チャンバー内の前記ガスを前記第2チャンバーの前記開口部から前記第1チャンバーの前記排気口を介して前記第1チャンバーの外部へ排気する工程と、前記熱処理を実行しながら、前記第2チャンバー内の水素ガス圧力を減少させる脱水素工程とを包含する。
【0030】
好ましい他の実施形態において、前記水素雰囲気熱処理は、前記R−T−(M)−B系合金粉末を前記第2チャンバー内にセットする工程と、前記ガス導入口を通じて水素ガスを前記第2チャンバー内に供給する工程と、前記ヒーターを用いて前記R−T−(M)−B系合金粉末に対する熱処理を実行する工程と、前記第2チャンバー内の前記ガスを前記第2チャンバーの前記開口部から前記第1チャンバーの前記排気口を介して前記第1チャンバーの外部へ排気する工程と、前記熱処理を実行しながら、前記第2チャンバー内の水素ガス圧力を減少させる脱水素工程とを包含する。
【0031】
本発明による更に他の熱処理装置は、被熱処理物を受け入れる内部空間を有する炉本体と、前記炉本体の前記内部空間内に設けられたヒータおよび断熱材と、前記ヒータおよび断熱材から前記被熱処理物への雰囲気ガスの対流を実質的に遮断し、それによって前記ヒータおよび前記断熱材から出た不純物が前記被熱処理物へ付着することを抑制する対流遮蔽手段とを備え、前記対流遮蔽手段が金属から形成されており、前記被熱処理物を実質的に覆っている。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明者は、不純物の影響を極力排除できる熱処理装置の構造および熱処理方法を種々検討した結果、炉(本願明細書では、「第1チャンバー」と称する。)内に金属製の第2チャンバーを設置し、その第2チャンバー内で熱処理を実行すれば、炉内で盛んに生じる雰囲気ガスの熱対流が被熱処理物に影響を与えず、それによって不純物の問題を解決できることを見いだした。
【0033】
また、本発明では、第2チャンバーとして完全な気密室を用いるのではなく、隙間(開口部)を意図的に設けたチャンバーを使用する。本発明者は、複数の開口部を第2チャンバーの適切な位置に設けることによって、第2チャンバー内における雰囲気ガスの流れを対称化し、気密室内での熱処理に比較してより均一な熱処理を達成できることを見いだした。
【0034】
このような構成によれば、グラファイト製の断熱材やヒータを炉内に設けたとしても、断熱材やヒータの不純物は第2チャンバー内の被熱処理物にまではほとんど供給されない。これは、第2チャンバーが雰囲気ガスの熱対流を実質的に遮断する機能を発揮するからである。この機能は、第2チャンバーに設けた小さな開口部の存在によっては妨げられない。
【0035】
本発明の熱処理装置によれば、断熱材やヒータに含まれる不純物によって特性が大きく変動しうる被熱処理物に対しても、安定した熱処理を均一に施すことが可能になる。
【0036】
以下、本発明の熱処理装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0037】
[熱処理装置1]
まず、図1を参照する。本実施形態にかかる熱処理装置10は、図1に示すように、ガス導入口1および排気口2aおよび2bを有する密閉可能な第1チャンバー3と、第1チャンバー3内に設けられた第2チャンバー4とを備えている。排気口2aは雰囲気ガスの放出口として機能し、排気口2bは炉内圧力を真空引きする際の真空排気口として機能する。第1チャンバー3は、円筒状本体3aと、円筒状本体3aの両端に設けられた蓋体3bおよび3cとを備えている。熱処理時、蓋体3bおよび3cが閉じることによって第1チャンバー3の内部は密閉空間となる。
【0038】
グラファイト製の断熱材5が第1チャンバー3内において第2チャンバー4を取り囲むように設けられている。同じくグラファイト製のヒータ6が、断熱材5と第2チャンバー4との間に配置されている。ヒータ6は、輻射によって第2チャンバー4を加熱するとともに、ヒータ6の近傍の雰囲気ガスを加熱し、そのガスを熱対流させる。ヒータ6によって加熱された雰囲気ガスは、第2チャンバー4の外側周辺で対流し、第2チャンバー4の外面の加熱に寄与する。
【0039】
第2チャンバー4は、処理空間7を囲む金属壁(肉厚:3〜30mm)8から構成されている。金属壁8には開口部9が設けられ、ガス導入口1から第1チャンバー3内に供給された雰囲気ガスの一部を処理空間7内に流入させることができる。より詳細には、第2チャンバー4の金属壁8は、処理空間7を囲む本体部分8aと一対の蓋部分8bおよび8cとに分かれており、本体部分8aと各蓋部分8b、8cとの間に形成される隙間がそれぞれ開口部9として機能する。
【0040】
蓋部分8b、8cは、本体部分8aに対して移動可能となるように、それぞれ対応する蓋体3b、3cによって支持されている。より詳細には、支持部材23が蓋体3bおよび3cの各々の中央部に設けられており、支持部材23を出し入れすることによって蓋部分8b、8cの位置を調整することができる。蓋体3bおよび3cを閉じた状態で、支持部材23によって蓋部分8b、8cを水平方向に移動させれば、それによって本体部分8aと蓋部分8b、8cとの間に隙間を形成することも、その隙間を完全に閉じ、蓋部分8b、8cと本体部分8aとを密着させることも可能である。本体部分8aと蓋部分8b、8cとを密着させた状態のとき、開口部9は完全に閉じており、第2チャンバー4は金属製気密室として機能する。
【0041】
図1の構成によれば、一対の開口部9が本体部分8aの両側の対称な位置に形成され得る。このことは、第2チャンバー4の処理空間7と第1チャンバー3との間でガスの流出入が生じる際、処理空間7内の気流の流れを対称的に引き起こすことを可能にする。
【0042】
断熱材5およびヒータ6に接触した雰囲気ガスは、開口部9の存在によって、第2チャンバー4の処理空間7内に進入できるが、その進入ガスの流量は僅かである。第2チャンバー3が無い場合には、被熱処理物の表面は、盛んに熱対流する雰囲気ガスと直接に接触するため、断熱材5およびヒータ6を起源とする不純物と頻繁に接触することになる。第2チャンバー3は、そのような熱対流雰囲気ガスと被熱処理物との直接的な接触を遮断するため、断熱材5およびヒータ6から出た不純物が被熱処理物へ付着することを抑制できる。この意味で、第2チャンバー3は、気密室としてではなく、雰囲気ガスの対流遮蔽手段として機能する。
【0043】
前述のように、本実施形態の熱処理装置10によれば、水素雰囲気熱処理の最中に開口部9を介して第1チャンバー3から第2チャンバー4の処理空間7内に水素ガスを供給することができる。このとき、処理空間7の対称な位置に複数の開口部9を設けていれば、水素雰囲気熱処理が処理空間7内で均一に進行する上で効果的である。
【0044】
なお、ヒータ6の材料は、グラファイトに限定されるわけではなく、炭化珪素(SiC)であってもよい。
【0045】
[熱処理装置2]
図2を参照する。この熱処理装置20は、ガス導入口21の構成を除けば、図1の装置と同様の構成を備えている。同様の構成部分については、ここで説明を繰り返さない。以下、異なる部分を詳細に説明する。
【0046】
装置20の第2チャンバー4は、第1チャンバー3の外部から直接的にガスを導入させ得るガス導入口21を有している。ガス導入口21から第2チャンバー4の処理空間7内に供給された雰囲気ガスは、開口部9を介して第2チャンバー4の外部に流出させられる。雰囲気ガスは、最終的には、第1チャンバー3の排気口2aおよび2bを介して外部に排気される。
【0047】
図2の構成によれば、断熱材5およびヒータ6に接触した雰囲気ガスは、開口部9を介して、第2チャンバー4の処理空間7内に進入することはほとんど無い。
【0048】
第2チャンバー4の開口部9は、処理空間7からその外部へガスを流出される働きを担っているだけである。このため、断熱材5およびヒータ6を起源とする不純物を含む雰囲気ガスは、第2チャンバー4の処理空間7内に導入されるおそれはほとんど無い。
【0049】
本実施形態の装置20によれば、水素雰囲気熱処理プロセスの最中にガス導入口21を介して第1チャンバー3の外部から第2チャンバー4の処理空間7内に水素ガスを断熱材5やヒータ6と接触させることなく直接的に供給することができる。このとき、処理空間7の圧力が第1チャンバー3内の圧力よりも高いため、水素ガスは開口部9から第2チャンバー4の外側に流出するばかりである。一対の開口部9が本体部分8aの両側の対称な位置に形成されていると、処理空間7内の気流の流れを対称的に引き起こすことができ、その結果、処理空間7内での処理反応を空間的に均一化できる。
【0050】
このような開口部9を設ける代わりに、通常のガス放出口を第2チャンバー3のどこか一カ所に設けたとする。その場合、処理空間7内のガスの流れが偏り、均一な水素雰囲気熱処理を達成することは困難になる。従って、意図的に複数の開口部9を設け、その開口部9を介して処理空間7内のガスを第1チャンバー3に放出させる構造は、水素雰囲気熱処理にとって極めて有効である。
【0051】
上記各熱処理装置10および20の第2チャンバー4は、金属から形成されている。グラファイトは、金属材料と異なり、熱膨張率が小さく、高温強度が大きいという優れた点を有しているが、前述のようにグラファイトに含まれる炭素が希土類元素と反応しやすい。そのため、被熱処理物として希土類合金が用いられる場合、その性能を著しく劣化させるのでグラファイトを使用することは不適当である。特に、希土類系合金に対する水素雰囲気熱処理を行う場合において、炉内雰囲気を600℃以上に加熱すると、グラファイトから出た炭素その他の不純物が大量に希土類合金に取り込まれてしまうという問題が生じる。従って、本発明の場合は、グラファイトを第2チャンバー4の材料に用いることはできない。
【0052】
また、アルミナ等のセラミックス材料を用いて第2チャンバー4を作製することも好ましくない。セラミックスには、成型・焼結を容易にするためのシリカ等の添加剤が含まれているため、これが不純物として希土類合金の特性を劣化するからである。また、セラミックスはもろく、機械的加工処理が困難であり、使用時に破損のおそれもある。
【0053】
これらの材料に比較して、金属は本質的に炭素やシリコン等の不純物をほとんど含んでおらず、被熱処理物に悪影響を与えない。本発明の第2チャンバー4の材料として好ましい金属は、熱処理温度(使用温度)に耐える金属または金属合金でなければならない。また、雰囲気ガスと反応しない金属であることが必要である。特に水素雰囲気熱処理を行う場合は、水素脆化の生じにくいことが好ましい。例えば、Ni−Cr−Fe、Ni−Cr−Co−Fe、Ni−Mo−Fe等のNi系耐熱合金や高合金ステンレス等のFe系耐熱合金が好適に使用され得る。Mo、W、またはTa等の金属も耐熱性に優れており、第2チャンバー4の材料として好ましい。
【0054】
なお、金属は熱膨張率がグラファイトなどに比較して大きいため、熱処理の昇温・降温時に寸法変化を考慮して第2チャンバー4を設計する必要がある。前述のように、熱処理装置10および20では、第2チャンバー4の蓋部分8bおよび8cと本体部分8aとの間に開口部(隙間)が存在し、この隙間が熱膨張・収縮に伴う部材の変形を吸収する機能も担っている。従って、本体部分8aがその軸方向に伸縮しても、第2チャンバー4に強い応力が発生するおそれがない。
【0055】
[熱処理システム]
図3は、図2の装置を含む熱処理システムの全体構成を示している。図1の装置についても、同様のシステムが構築されるが、ここでは、簡単のため図2の装置に関するシステムを説明する。
【0056】
図3の中央部には熱処理装置20が模式的に記載されている。熱処理装置20の第2チャンバー(図3において不図示)内に対しては、ガス導入口21を介して直接に雰囲気ガスが導入される。この例では、水素(H2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)が炉内に供給され得る。なお、熱処理の種類に応じて、炉内に供給すべきガスの種類は適宜変更される。
【0057】
水素ガスは、圧力調整弁31a、水素弁33aをおよびガス導入弁34を介して炉内に供給される。アルゴンガスは圧力調整弁31b、流量調整弁32b、アルゴン弁33bをおよびガス導入弁34を介して炉内に供給される。不活性ガスとして、アルゴンガスに代えてヘリウムを使用する場合、ヘリウムガスは圧力調整弁31c、流量調整弁32c、ヘリウム弁33cをおよびガス導入弁34を介して炉内に供給されることになる。各ガスは、可能な限り不純物を含まないように清浄化されていることが好ましい。なお、水素ガスは、単独で、または他の不活性ガスとともに炉内に導入され得る。
【0058】
炉内の雰囲気ガスは、ガス放出口2a、ガス放出弁35、および逆止弁36を介して炉外へ放出され、必要であれば、そこで回収される。一方、炉内雰囲気ガスの圧力を大気圧よりも低いレベルに減じる場合、雰囲気ガスは真空排気口2b、真空排気弁39、およびロータリーポンプ43を介して排気される。炉内を高真空状態に減圧する場合、炉内は真空排気口2bを介して拡散ポンプ42に接続される。
【0059】
炉内雰囲気ガスの圧力は、2種類の圧力計38a、38bによって検知される。炉内雰囲気ガスが大気圧以上となる場合、その圧力は圧力計38aによって測定され、測定圧力に基づいて圧力制御器40が水素弁33aおよびガス放出弁35の開閉度を調節する。その結果、炉内の雰囲気ガス圧力が設定範囲(大気圧以上の圧力範囲)内に制御されることになる。一方、炉内雰囲気ガスが大気圧未満の場合、その圧力は圧力計38bによって測定され、測定圧力に基づいて圧力制御器41がアルゴン弁33b、ヘリウム弁33c、および真空排気弁39の開閉度を調節する。そうして炉内の雰囲気ガス圧力が設定範囲(大気未満の圧力範囲)内に制御されることになる。なお、炉内圧力が危険なレベルにまで上昇しないように、安全弁37が設けられている。
【0060】
また、通常の熱処理システムと同様に、ヒータ出力を制御する温度制御装置(不図示)が設けられている。炉内所定箇所の温度が検知され、検知温度が設定温度範囲内に入るようにヒータを流れる電流の量や水冷システム(不図示)の動作が制御される。
【0061】
上記システムは、以下に述べる熱処理プロセス(加圧・減圧雰囲気の両方で熱処理を実行するプロセス)に特に適した構成を有しているが、熱処理の種類に応じて圧力制御の方法等を適宜変更してもよい。図3のシステムは、本発明の熱処理装置を好適に動作させるシステムの一例に過ぎない。
【0062】
[熱処理プロセス]
次に、本発明による熱処理方法の実施形態を説明する。
【0063】
ここでは、R−T−(M)−B系合金(RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCoとの混合物、Mは添加元素、Bはボロン)に対する水素雰囲気熱処理を例にとる。また、熱処理装置としては図1の装置を用いる。
【0064】
まず、R−T−(M)−B系合金の粉末を処理容器に充填した後、図1の第2チャンバー4内に処理容器を挿入する。第1チャンバー3の蓋3bおよび3cを閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.01〜1.0MPaの範囲に属する所定の値に設定する。このとき、第2チャンバー4の本体部分8aと各蓋部分8b、8cとの間には10mm程度の隙間を設けておく。この隙間が開口部9として機能する。開口部9を介して、第2チャンバー4の内部空間7に水素ガスが供給され、炉内はほぼ同一の雰囲気ガスによって占められることになる。その後、ヒータ6に供給する電力を増大させ、炉内温度を15℃/分程度のレートで昇温し、最終的には650〜950℃程度の熱処理温度まで増加させる。その温度で5分〜10時間程度保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、1〜30分間炉内の水素ガスをArガスで置換する。その後、温度を維持したまま、ガス導入口1を介してArガスを例えば5〜500リットル/分の流量にて第1チャンバー3内に導入しつつ、真空排気弁39およびロータリポンプ43によって排気を行う。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を0.01〜100kPaに保持し、そのまま5分〜10時間のあいだ脱水素工程を続ける。
【0065】
なお、特に高い磁気的異方性を有する磁粉を得るためには、水素化処理の過程における中間生成物相を規定する必要がある。すなわち、高い磁気異方性を有する磁粉を得るには、水素雰囲気中での加熱および高温保持によって生成する中間生成物が、R水素化物相、T−B化合物相、T相、およびR214B相の少なくとも4相を示し、R214B相の磁化容易方向がある程度そろっていることが必要である。これを実現するため、水素雰囲気での昇温速度を600℃〜750℃の温度領域において10℃/mim〜200℃/mimとし、750℃〜900℃の温度範囲で15分〜8時間保持することが好ましい。脱水素処理においては、雰囲気の総圧を100Pa〜50kPaの範囲に保持し、脱水素反応の速度を適切に制御し、それよって処理量に依存することなく高い保磁力および大きな磁気異方性を達成できる。
【0066】
なお、R214B化合物を主相とする合金では、0.1MPaの水素雰囲気下で昇温すると、150℃付近で水素の吸収を開始する。更に昇温を続けると、再び水素を徐々に放出するが、再び650℃以上で多量の水素を吸収する。この水素は、炉内を減圧するか、900℃以上に昇温すると、放出される。いずれにしても、この種の材料を水素雰囲気で熱処理する場合、雰囲気の圧力を一定にして、熱処理を行うためには、水素ガスを炉内に供給する必要がある。
【0067】
第2チャンバー4に設ける開口部9は、本体にピンホール状の孔を複数設けることによって形成しても良い。開口部9の大きさおよび数は、雰囲気ガスと被熱処理物との間に生じる反応の速度、第2チャンバー4の容積、被熱処理物の量等を考慮して適宜好ましいものが選択され得る。なお、被熱処理物の量が少ない場合や、被熱処理物と雰囲気ガスとの間に反応量が少ない場合は、開口部9を実質的に閉じても良い。
【0068】
上記熱処理時の炉内温度および圧力の時間変化について、その一例を図4(a)および(b)に示す。この例では、図4(b)に示すように、時刻t1で昇温を開始し、時刻t2で所定の熱処理温度(例えば800℃)に到達する。時刻t2〜t5は一定温度に保持される。水素化反応は、上記所定温度に達する前であっても、炉内温度が充分に上昇した時点(例えば700℃になったとき)から開始される。
【0069】
炉内の圧力は、時刻t1〜t3の間、所定の圧力P1を中心にした設定範囲内に維持されるように制御される。例えば、炉内圧力は0.2MPaを中心に±0.005MPaの範囲内に制御される。この間に水素化反応が進行する。この時刻t1〜t3の間、水素化反応の進行によって雰囲気水素が消費されると、その分、雰囲気ガスの圧力が低下する。消費された水素を補うようにして、炉外から炉内に水素ガスが供給されることになる。雰囲気ガスの圧力が設定範囲内にある場合、雰囲気ガスの供給/排気が停止されるため、炉内は封入状態になる。時刻t3〜t4の間、Arガスが第1チャンバー3内に導入され、その後、時刻t4から減圧が開始される。時刻t5までの間、炉内圧力はP2に維持される。脱水素化反応は、時刻t3〜t5の間に進行する。
【0070】
時刻t5〜t6の間では、被処理物を速やかに冷却するため、不活性ガス(アルゴンまたはヘリウム)を圧力P3で加圧封入する。このとき、炉内雰囲気をファンなど撹拌すると、冷却効率が向上する。
【0071】
上記時刻t1〜t3の間、より厳密には、時刻x〜yの間、第2チャンバー4内では被熱処理物によって水素ガスが消費される。その結果、内部空間7の圧力が幾分減少し、開口部9を介して第2チャンバー4の外部から内部空間7へ水素ガスの供給が行われる。時刻y〜t3の間、被熱処理物による水素の消費はほとんどなく、この間、第2チャンバー4の開口部9を閉じ、第2チャンバー4をほぼ完全な気密室とすることが好ましい。これは、雰囲気ガスの拡散によって、第2チャンバー4の外部から不純物が内部空間7に進入することを可能な限り抑制するためである。
【0072】
時刻t3〜t4の間、第2チャンバー4の開口部9を部分的に開放し、ガス導入口1から第1チャンバー3内に不活性ガス(アルゴンまたはヘリウム)を導入するとき、ガス放出口2aから雰囲気ガスを放出しつつ、圧力P1を大気圧Paにまで減少させる。こうして、雰囲気ガスの置換(水素ガス置換)が実行される。これは、次工程である脱水素工程において雰囲気ガスを真空ポンプによって排気する前に、炉内の水素ガス濃度(水素分圧)を低減し、安全性を向上させるためである。なお、水素ガス濃度の低下によって、脱水素反応も開始する。
【0073】
時刻t4〜t5の間、第2チャンバー4の開口部9を開放したまま、ガス導入口1から不活性ガス(アルゴンまたはヘリウム)を導入しつつ、真空ポンプを用いて真空排気口2bから減圧する。このとき、ガス導入量とガス排気量とをバランスさせることによって圧力P2を維持する。第2チャンバー4内では、被熱処理物から水素が放出されるが、この水素は開口部9、真空排気口2bおよび真空ポンプを経て、炉外に排気される。
【0074】
熱処理装置として図2の装置20を用いる場合、時刻t1〜t3の間、水素ガスはガス導入口21を介して炉外部から第2チャンバー4の内部へ直接に供給される。また、時刻t3〜t6の間は、不活性ガスがガス導入口21から第2チャンバー4内に導入される。これらの点を除けば、図1の装置10を用いた場合と同様のプロセスで水素雰囲気熱処理が実行される。
【0075】
以下に、上記熱処理装置を用いて永久磁石用希土類系合金粉末を製造する方法の実施例を説明する。
【0076】
[実施例1]
まず、27.5重量%Nd−10.0重量%Co−0.8重量%Ga−0.15重量%Zr−1.02重量%B−残部Feの組成を有する合金インゴットを用意した。この合金インゴットに対して、Ar雰囲気中において1100℃で36ksec(=36×1000秒)の均質化熱処理を行う。その後、合金インゴットを0.2MPaの水素雰囲気中で10.8ksec保持し、脆化させた後、300μmのふるいを通して原料粉末を得た。
【0077】
この原料粉末を処理容器に充填した後、図1の装置10の第2チャンバー4内に処理容器を挿入した。処理容器としては、開口部のサイズが15mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。SUS310Sは、Niを20%、Crを25%含有する耐水素性に優れた金属材料である。
【0078】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0079】
使用した装置のヒータおよび断熱材はグラファイトから形成されたものであった。また、第2チャンバーはSUS310Sから形成されたものであった。
【0080】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。この実施例では、第2チャンバー4内で水素化反応が進行しているとき、第2チャンバー4内で消費された水素ガスを補うようにして第1チャンバー3から水素ガスが第2チャンバー4内に開口部9を介して供給される。
【0081】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図5は、炭素濃度(C、単位wt%)、残留磁束密度(Remanence:Br、単位:T)、固有保磁力(Intrinsic Coercivity:HCJ、単位:MAm-1)、および減磁曲線の角形性(Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0082】
図5からわかるように、処理容器に充填した粉末の表面近傍では、炭素濃度が幾分高く、磁気特性がわずかに劣化している。これは、不純物による悪影響が充填粉末の表面近傍に及んでいることを意味している。しかし、その影響は小さく、また全体として見た場合、炭素濃度は充分に低く、磁気特性も極めて良好であるといえる。
【0083】
[実施例2]
実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を処理容器に充填した後、図2の装置20の第2チャンバー4内に処理容器を挿入した。処理容器としては、開口部のサイズが15mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。
【0084】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口21を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0085】
使用した装置のヒータおよび断熱材はグラファイトから形成されたものであった。また、第2チャンバーはSUS310Sから形成されたものであった。
【0086】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。この実施例では、第2チャンバー4内で水素化反応が進行しているとき、第2チャンバー4内で消費された水素ガスを補うようにして炉外から第2チャンバー4内に直接に水素ガスが供給される。
【0087】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図6は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0088】
図5および図6を比較してわかるように、本実施例の場合、処理容器に充填した粉末の表面近傍での炭素濃度の増加量は少なく、表面の粉末についても磁気特性の劣化がほとんどない。これは、不純物による悪影響が充填粉末にほとんど及んでいないことを意味している。
【0089】
[実施例3]
実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を処理容器に充填した後、図2の熱処理装置の第2チャンバー内に処理容器を挿入した。処理容器としては、開口部のサイズが70mm×250mmの長方形形状を持つ深さ25mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。
【0090】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで820℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0091】
使用した装置のヒータおよび断熱材はグラファイトから形成されたものであった。また、第2チャンバーはSUS310Sから形成されたものであった。
【0092】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。
【0093】
本実施例と前記実施例2との差異は、処理容器が異なる点にある。本実施例では、開口部が広く、深さの比較的に浅い処理容器を用いた。
【0094】
水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図7は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って12等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0095】
図7および図6を比較してわかるように、本実施例の磁気特性は実施例2の粉末の磁気特性よりも僅かに劣っている。処理容器の開口部が広いと、同じ熱処理装置を用いても、処理容器内の位置によって水素雰囲気熱処理の反応速度や反応熱による温度にばらつきが生じやすくなり、その結果として、磁気特性に変化が生じるものと推察される。
【0096】
[実施例4]
実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を30個の処理容器に充填した後、図2の熱処理装置の第2チャンバー4内に30個の処理容器を挿入した。30個の処理容器を第2チャンバー4内で25mm間隔で3段に重ねて配置した。処理容器としては、開口部のサイズが20mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、それぞれの処理容器中に750グラムの原料粉末を充填した。
【0097】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、10分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を3kPaに保持し、そのまま3.6ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0098】
使用した装置のヒータおよび断熱材はグラファイトから形成されたものであった。また、第2チャンバーはインコネル合金(ニッケル−クロム−鉄合金)から形成されたものであった。
【0099】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。
【0100】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について求めた減磁曲線を図8に示す。図8から、優れた磁気特性が得られたことがわかる。このことは、本発明が量産に適していることを意味している。
【0101】
水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価も行った。図9は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。なお、処理容器のうち、第2チャンバー内で最上段に配置されたサンプルの中で水素雰囲気処理を受けた粉末のデータを四角印で示す。同様に中段に配置されたサンプルのデータは丸印で、最下段に配置連れたサンプルのデータは三角印で表示している。図9から、処理容器の配置位置にほとんど依存しない優れた磁気特性が得られていることがわかる。
【0102】
[比較例1]
本比較例では、図1の熱処理装置の第2チャンバー4をグラファイト製のチャンバーに置き換えたものを比較例の熱処理装置(不図示)として用いた。従って、ヒータおよび断熱材もグラファイトから形成されたものであった。
【0103】
まず、実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を処理容器に充填した後、比較例の熱処理装置におけるグラファイト製第2チャンバー内に処理容器を挿入した。処理容器としては、開口部のサイズが15mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。
【0104】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0105】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。雰囲気ガスの供給は、第1チャンバー3内への供給を通じて行った。従って、第2チャンバー内へのガス供給は、第2チャンバーの開口部を介して行った。
【0106】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図10は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0107】
図10からわかるように、処理容器に充填した粉末の表面近傍では、炭素濃度が高く、磁気特性が大きく劣化している。また、表面から全体の20%程度の深さまで、不純物による悪影響が及んでいることがわかる。
【0108】
[比較例2]
本比較例では、図2の熱処理装置の第2チャンバー4をグラファイト製のチャンバーに置き換えたものを比較例の熱処理装置(不図示)として用いた。ヒータおよび断熱材もグラファイトから形成されたものであった。
【0109】
まず、実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を処理容器に充填した後、上記比較例の熱処理装置のグラファイト製第2チャンバー内に処理容器を挿入した。処理容器としては、開口部のサイズが15mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。
【0110】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0111】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。雰囲気ガスの供給は、第1チャンバー3内への供給を通じて行った。従って、第2チャンバー内へのガス供給は、第2チャンバーの開口部を介して行った。
【0112】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図11は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0113】
図11からわかるように、処理容器に充填した粉末の表面近傍では、炭素濃度が高く、磁気特性が大きく劣化しているが、比較例1に比べれば、不純物の影響は幾分緩和されている。
【0114】
[比較例3]
実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を処理容器に充填した後、比較例2で用いた熱処理装置のグラファイト製第2チャンバー内に処理容器を挿入した。ヒータおよび断熱材はグラファイトから形成されたものであった。
【0115】
処理容器としては、開口部のサイズが70mm×250mmの長方形形状を持つ深さ25mmのSUS310S製容器を用い、その中に550グラムの原料粉末を充填した。
【0116】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで820℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、5分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を5kPaに保持し、そのまま1.8ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0117】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。
【0118】
水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価とを行った。図12は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って12等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。
【0119】
図7と図12とを比較してわかるように、この比較例の磁気特性は著しく劣化している。
【0120】
[比較例4]
実施例1で用いた原料合金粉末と同様の粉末を30個の処理容器に充填した後、第2チャンバを取り除いた通常の炉(第1チャンバー3)内に30個の処理容器を挿入した。30個の処理容器は25mm間隔で3段に重ねて配置した。処理容器としては、開口部のサイズが20mm×250mmの長方形形状を持つ深さ50mmのSUS310S製容器を用い、それぞれの処理容器中に750グラムの原料粉末を充填した。
【0121】
第1チャンバー3の蓋を閉じた後、ガス導入口1を介して第1チャンバー3内に水素ガスを導入し、水素分圧を0.15MPaにした。その後、炉内温度を15℃/分のレートで800℃まで昇温した。その温度で7.2ksec保持した後、温度および炉内総圧を維持したまま、10分間、炉内の水素ガスをArガスで置換した。その後、温度を維持したまま、Arガスを5リットル/分の流量にて炉内に導入しつつ、ロータリポンプなどによって排気を行った。このとき、バルブ開度を調節することによって炉内の総圧を3kPaに保持し、そのまま3.6ksecのあいだ脱水素工程を続けた。
【0122】
水素化処理に際しては炉内の圧力を検知し、その圧力が所定範囲内から外れるときに水素ガスの供給/排気を実行し、それによって炉内圧力を所定範囲内に維持した。
【0123】
このような水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について求めた減磁曲線を図13に示す。図13から、不十分な磁気特性が得られたことがわかる。
【0124】
水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について、炭素濃度の分析と磁気特性の評価も行った。図14は、炭素濃度および磁気特性(残留磁束密度Br、保磁力HCJ、減磁曲線の角形性Hk)が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示している。グラフ中の各データは、処理容器に充填した粉末を深さ方向に沿って11等分し、等分された各部位毎に測定を実行することで得た。なお、処理容器のうち、第2チャンバー内で最上段に配置されたものの中で水素雰囲気処理を受けた粉末のデータを四角印で示す。同様に中段に配置されたもののデータは丸印で、最下段に配置連れたもののデータは三角印で表示している。図9と図14とを比較して、本比較例では、磁気特性が著しく劣化していることがわかる。
【0125】
【発明の効果】
本発明の熱処理装置によれば、被熱処理物に悪影響を及ぼし得る不純物源が炉内に配置されている場合でも、その不純物の影響が被熱処理物に及びにくい。そのような熱処理装置を用いて水素雰囲気熱処理を実行すれば、グラファイト製のヒータや断熱材を炉内に備えていても、炭素などの不純物に敏感な材料に対する熱処理を被熱処理物の性能を劣化させることになく実行することが可能である。本発明の熱処理装置は、希土類系合金の水素雰囲気熱処理だけではなく、水素吸蔵合金の初期活性化処理、水素吸蔵・放出によるTi系合金の組織微細化処理等にも利用できる。
【0126】
本発明の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法によれば、不純物に敏感な希土類系合金の水素雰囲気熱処理を安定かつ均一に実行することができ、高品質の永久磁石用合金粉末を量産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱処理装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明による熱処理装置の第2の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明による熱処理装置の熱処理システムの一例を示す構成図である。
【図4】(a)は、熱処理時の炉内温度の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、熱処理時の炉内圧力の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図8】本発明の第4の実施例について、水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について求めた減磁曲線を示すグラフである。
【図9】本発明の第4の実施例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図10】第1の比較例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図11】第2の比較例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図12】第3の比較例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【図13】第4の比較例について、水素雰囲気熱処理を施した原料合金粉末について求めた減磁曲線を示すグラフである。
【図14】第4の比較例について、水素雰囲気熱処理後の炭素濃度および磁気特性が処理容器の深さに依存してどのように変化しているかを示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガス導入口
2a ガス放出口
2b 真空排出口
3 第1チャンバー3
3a 第1チャンバー3の円筒状本体
3b 第1チャンバー3の蓋体
3c 第1チャンバー3の蓋体
4 第2チャンバー
5 グラファイト製の断熱材
6 グラファイト製のヒータ
7 処理空間
8 第2チャンバーの金属壁
8a 第2チャンバーの本体部分
8b 第2チャンバーの蓋部分
8c 第2チャンバーの蓋部分
9 開口部
10 熱処理装置
20 熱処理装置
21 ガス導入口
23 支持部材

Claims (5)

  1. R−T−(M)−B系合金粉末(RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCoとの混合物、Mは添加元素、Bはボロン)に対して水素雰囲気熱処理を行う永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法であって、
    前記水素雰囲気熱処理は、ガス排気口を有する密閉可能な第1チャンバーと、前記第1チャンバーの外部から直接的にガスを導入させるガス導入口を有し、前記第1チャンバー内に設けられた第2チャンバーと、前記第1チャンバー内において前記第2チャンバーの外部に設けられたヒーターとを備え、前記第2チャンバーが、被熱処理物を受け入れる空間と、前記空間を囲む金属壁と、前記ガス導入口から前記第2チャンバー内に供給された雰囲気ガスを前記第2チャンバーの外部に流出させ得る複数の対称な位置に設けられた開口部とを備えている熱処理装置を用いて行い、
    前記ガス導入口を通じて水素ガスを前記第2チャンバー内に供給する工程と、
    前記ヒーターを用いて前記R−T−(M)−B系合金粉末に対する熱処理を実行する工程と、
    前記第2チャンバー内の前記水素ガスを前記第2チャンバーの前記開口部から前記第1チャンバーの前記排気口を介して前記第1チャンバーの外部へ排気する工程と、
    前記熱処理を実行しながら、前記第2チャンバー内の水素ガス圧力を減少させる脱水素工程と、
    を包含する永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法。
  2. 前記第2チャンバーの前記金属壁は前記空間を囲む本体部分と蓋部分とを有しており、前記本体部分と前記蓋部分との間に形成される隙間が前記開口部として機能する請求項1に記載の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法。
  3. 前記第2チャンバーの前記金属壁は、前記空間を囲む本体部分と、前記本体部分に対して移動可能に支持されている複数の蓋部分とを有しており、前記本体部分と前記複数の蓋部分との間に複数の隙間が形成されているときは前記複数の隙間の各々が前記開口部として機能する請求項1に記載の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法。
  4. 前記第2チャンバーの前記複数の蓋部分は前記本体部分に対して密着可能であり、熱処理工程中に前記複数の蓋部分を前記本体部分に密着させることによって前記開口部を一時的に閉じることができる請求項3に記載の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法。
  5. 前記複数の隙間が対称に形成されるように前記複数の蓋部分の配置と前記本体部分の配置とが関係付けられている請求項3に記載の永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法。
JP32275398A 1998-11-13 1998-11-13 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法 Expired - Lifetime JP4178626B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32275398A JP4178626B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32275398A JP4178626B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000144242A JP2000144242A (ja) 2000-05-26
JP4178626B2 true JP4178626B2 (ja) 2008-11-12

Family

ID=18147268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32275398A Expired - Lifetime JP4178626B2 (ja) 1998-11-13 1998-11-13 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4178626B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102331182A (zh) * 2011-08-10 2012-01-25 苏州恒瑞粉末冶金制造有限公司 拆分式烧结炉内箱

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002350068A (ja) * 2001-05-29 2002-12-04 Daido Steel Co Ltd 真空炉
JP5750915B2 (ja) * 2011-01-31 2015-07-22 日立金属株式会社 希土類系磁石用原料合金の水素粉砕粉の製造方法及び製造装置
CN112179137B (zh) * 2020-09-23 2022-08-23 江西荧光磁业有限公司 一种钕铁硼磁体加工用真空烧结炉

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102331182A (zh) * 2011-08-10 2012-01-25 苏州恒瑞粉末冶金制造有限公司 拆分式烧结炉内箱

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000144242A (ja) 2000-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101373266B1 (ko) 진공 증기 처리 장치
KR101823425B1 (ko) R-t-b계 소결 자석의 제조 방법
TWI433172B (zh) Method for manufacturing permanent magnets and permanent magnets
EP2639344B1 (en) METHOD FOR PRODUCING n-TYPE SiC MONOCRYSTAL
WO2013108830A1 (ja) R-t-b系焼結磁石の製造方法
WO2007102391A1 (ja) R-Fe-B系希土類焼結磁石およびその製造方法
EP0411571A2 (en) Rare earth permanent magnet powder, method for producing same and bonded magnet
JP5348124B2 (ja) R−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法およびその方法によって製造された希土類焼結磁石
TWI468536B (zh) Vacuum steam treatment device
KR101242466B1 (ko) 영구자석의 제조 방법 및 영구자석
US9613748B2 (en) RH diffusion source, and method for producing R-T-B-based sintered magnet using same
KR101373271B1 (ko) 영구자석 및 영구자석의 제조방법
JPH05163510A (ja) 希土類磁石合金粉末の製造法
JPWO2017033861A1 (ja) 拡散処理装置およびそれを用いたr−t−b系焼結磁石の製造方法
JP4178626B2 (ja) 熱処理装置および熱処理方法ならびに該熱処理装置を用いた永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法
US7018485B2 (en) Apparatus for subjecting rare earth alloy to hydrogenation process and method for producing rare earth sintered magnet using the apparatus
JP4860493B2 (ja) 永久磁石の製造方法及び永久磁石の製造装置
JP5818137B2 (ja) R−t−b系焼結磁石の製造方法
US9514870B2 (en) Rare earth magnet and method for producing the same
JP5210585B2 (ja) 焼結体の製造方法及びこの焼結体の製造方法により製造されるネオジム鉄ボロン系焼結磁石
JP2001115220A (ja) 永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法
US20240290538A1 (en) Method of increasing anisotropy of magnetic materials
Kwon et al. Study of Sm (Co, Fe, Cu, Zr) 7.1 magnets produced using a combination of hydrogen decrepitation and ball milling
JP2001155912A (ja) 永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法並びにその中間生成物の原料合金とその製造方法
JP4029499B2 (ja) 永久磁石用希土類系合金粉末の製造方法、該製造方法に使用される処理容器ならびに永久磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050725

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080318

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080501

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080805

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130905

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term