JP4860493B2 - 永久磁石の製造方法及び永久磁石の製造装置 - Google Patents

永久磁石の製造方法及び永久磁石の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石、特に、Nd−Fe−B系の焼結磁石の結晶粒界相にDyやTbを拡散させてなる高磁気特性の永久磁石の製造方法及び永久磁石の製造装置に関する。
Nd−Fe−B系の焼結磁石(所謂、ネオジム磁石)は、鉄と、安価であって資源的に豊富で安定供給が可能なNd、Bの元素の組み合わせからなることで安価に製造できると共に、高磁気特性(最大エネルギー積はフェライト系磁石の10倍程度)を有することから、電子機器など種々の製品に利用され、近年では、ハイブリッドカー用のモーターや発電機への採用も進んでいる。
他方、上記焼結磁石のキュリー温度は、約300℃と低いことから、採用する製品の使用状況によっては所定温度を超えて昇温する場合があり、所定温度を超えると、熱により減磁するという問題がある。また、上記焼結磁石を所望の製品に利用するのに際しては、焼結磁石を所定形状に加工する場合があり、この加工によって焼結磁石の結晶粒に欠陥(クラック等)や歪などが生じて磁気特性が著しく劣化するという問題がある。
上記問題を解決すべく、Yb、Eu、Smの中から選択された希土類金属をNd−Fe−B系の焼結磁石と混合した状態で処理室内に配置し、この処理室を加熱することで希土類金属を蒸発させ、蒸発した希土類金属原子を焼結磁石へ収着させ、さらにはこの金属原子を焼結磁石の結晶粒界相に拡散させることで、焼結磁石表面並びに結晶粒界相に希土類金属を均一かつ所望量導入して、磁化および保磁力を向上または回復させることが知られている(特許文献1)。
他方、希土類金属のうちDy、Tbは、Ndより大きい4f電子の磁気異方性を有し、Ndと同じく負のスティーブンス因子を持つことで、主相の結晶磁気異方性を大きく向上させることが知られている。但し、焼結磁石作製の際にDyやTbを添加したのでは、Dy、Tbは主相結晶格子中でNdと逆向きのスピン配列をするフェリ磁性構造を取ることから磁界強度、ひいては、磁気特性を示す最大エネルギー積が大きく低下する。このことから、Dy、Tbを用い、上記方法によって、特に結晶粒界相にDy、Tbを均一かつ所望量導入することが提案される。
特開2004−296973号公報(例えば、特許請求の範囲の記載参照)
上記方法を用いた場合、焼結磁石表面にもDyやTbが存するように(つまり、焼結磁石表面にDyやTbの薄膜が形成されるように)、蒸発したDy、Tbの金属原子が供給されると、焼結磁石表面で堆積した金属原子が再結晶し、焼結磁石表面を著しく劣化させる(表面粗さが悪くなる)という問題が生じる。また、焼結磁石表面にDy、Tbの薄膜が形成されるように焼結磁石表面に過剰に金属原子が供給されると、処理中に加熱されている焼結磁石表面に堆積し、DyやTbの量が増えることで表面付近の融点が下がり、表面に堆積したDy、Tbが溶けて特に焼結磁石表面に近い結晶粒内に過剰に進入する。結晶粒内に過剰に進入した場合、上述したようにDy、Tbは主相結晶格子中でNdと逆向きのスピン配列をするフェリ磁性構造を取ることから、磁化および保磁力を効果的に向上または回復させることができない虞がある。
このことから、処理室内に鉄−ホウ素−希土類系の焼結磁石及びDy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料を離間して配置し、真空中で処理室を加熱して、焼結磁石を所定温度に加熱すると共に金属蒸発材料を蒸発させ、この蒸発したDy、Tbの金属原子を、焼結磁石表面への供給量を調節して付着させ、この付着した金属原子を、焼結磁石表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に焼結磁石の結晶粒界相に拡散させ(真空蒸気処理)、永久磁石を得ることが提案される。
ところで、Dy、Tbの金属原子を焼結磁石の結晶粒界相に拡散させた後、真空中の処理室から永久磁石を取り出す場合、例えば常温まで冷却した後に、処理室を大気開放する必要がある。この場合、この処理室内に大気を導入して大気開放すると、永久磁石表面やDy、Tbが付着した処理室の内面で急激な酸化反応が起こり、これに起因して永久磁石表面や処理室の内面が発火して発熱する。この発熱によって永久磁石の表面がさらに急激に酸化、窒化して磁石表面や処理室の内面にDyやTbの煤が付着して着色し、また、磁気特性が低下するという不具合がある。このため、永久磁石から煤を取り除く後工程が必要になって生産性が悪い。他方で、処理室の内面に煤が付着すると、処理の再現性が損なわれる等の不具合があるため、そのクリーニングが必要になり、また、発熱した処理室からの永久磁石の取り出し作業も困難である。
そこで、上記点に鑑み、本発明の第一の目的は、磁石表面の着色が防止され、高い生産性で高磁気特性の永久磁石が作製できる永久磁石の製造方法を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、大気開放時に急激な酸化反応に起因した発熱が防止できる永久磁石の製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の永久磁石の製造方法は、真空中で処理室内に配置した鉄−ホウ素−希土類系の焼結磁石を所定温度に加熱すると共に、同一または他の処理室に配置したDy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料を加熱して蒸発させ、この蒸発したDy、Tbの金属原子を、焼結磁石表面への供給量を調節して付着させ、この付着した金属原子を、焼結磁石表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に焼結磁石の結晶粒界相に拡散させる第一工程と、真空下の前記処理室内に、大気より酸素濃度を低くした不活性ガスを導入し、Dy、Tbの少なくとも一方が結晶粒界相に拡散した焼結磁石表面及び処理室内を酸化させた後、大気開放する第二工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、Dy、Tbの金属原子を焼結磁石の結晶粒界相に拡散させた後、真空中の処理室から永久磁石を取り出すときに、先ず、大気より酸素濃度を低くした窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを導入することで、永久磁石表面及び処理室内を酸化させる。次いで、処理室内に大気や不活性ガスなどを導入して大気開放する。この場合、大気開放に先立って、磁石表面及び処理室内を一旦酸化させるため、その後に大気や不活性ガスを処理室内に導入して大気開放しても、急激な酸化が起こらず、これに起因した永久磁石表面や処理室の内面の発熱が防止される。その結果、永久磁石表面にDyやTbの煤が付着して着色すること及び磁気特性が低下することが防止され、後工程が不要になって生産性を向上できる。
大気開放して処理室から永久磁石を取り出す際に、真空蒸気処理後の永久磁石表面にDyやTbの煤が付着して着色することを防止するには、前記窒素ガスの酸素濃度を5000〜50000ppmの範囲に設定しておけばよい。
前記不活性ガスは窒素ガスであり、前記第二工程を200℃以下で行うようにすれば、大気開放時の急激な窒化が防止され、これに起因した永久磁石表面や処理室の内面の発熱が防止される。
さらに、上記課題を解決するために、請求項4記載の永久磁石の製造装置は、箱部と蓋体とからなり、大気中の真空チャンバ内に出入れ自在に設置され、真空チャンバを減圧するのに伴って内部空間が所定圧力に減圧できる箱体を備え、この箱部内に鉄−ホウ素−希土類系の焼結磁石及びDy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料を離間して配置し、焼結磁石を所定温度まで加熱されると共に金属蒸発材料が蒸発し、この蒸発した金属原子が焼結磁石表面に供給されるように箱体の加熱を可能とする加熱手段を設けた永久磁石の製造装置であって、前記真空チャンバに、大気中の空気成分から窒素ガスを分離して供給できる窒素ガス発生装置を設け、真空下の前記処理室内に、大気より酸素濃度を低くした窒素ガスを導入し、Dy、Tbの少なくとも一方が結晶粒界相に拡散した焼結磁石表面及び処理室内を酸化させた後、大気開放するように構成したことを特徴とする。

これによれば、急激な酸化、窒化に起因した永久磁石表面や処理室の内面の発火やこの発火による発熱が防止されるため、永久磁石の取り出し作業が容易であり、永久磁石製造時の作業安全性も向上でき、その上、処理室内に煤が付着して汚染させることもない。
この場合、前記窒素ガス発生装置から処理室に通じるガス管に、流量制御手段を介設した酸素ガス源に通じる他のガス管を接続し、酸素ガスの流量を変更して、処理室内に導入される窒素ガスの酸素濃度を変更自在としておけばよい。
以上説明したように、本発明の永久磁石の製造方法は、磁石表面の着色が防止され、高い生産性で高磁気特性の永久磁石が作製でき、また、永久磁石の製造装置は、大気開放時に処理室や永久磁石表面の発熱が防止できるという効果を奏する。
図1及び図2を参照して説明すれば、本発明の永久磁石Mは、Dy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料Vを蒸発させ、蒸発した金属原子を、所定形状に加工されたNd−Fe−B系の焼結磁石Sの表面に付着させ、この付着したDyやTbの金属原子を焼結磁石の結晶粒界相に拡散させて均一に行き渡らせる一連の処理(真空蒸気処理)を同時に行って作製される。
出発材料であるNd−Fe−B系の焼結磁石Sは、公知の方法で次のように作製されている。即ち、Fe、B、Ndを所定の組成比で配合して、公知のストリップキャスト法により0.05mm〜0.5mmの合金を先ず作製する。他方で、公知の遠心鋳造法で5mm程度の厚さの合金を作製するようにしてもよい。また、配合の際、Cu、Zr、Dy、Tb、AlやGaを少量添加してもよい。次いで、作製した合金を、公知の水素粉砕工程により一旦粉砕し、引き続き、ジェットミル微粉砕工程により微粉砕して合金原料粉末を得る。次いで、公知の圧縮成形機によって、合金原料粉末を磁場配向して金型で直方体や円柱など所定形状に成形した後、所定の条件下で焼結させて上記焼結磁石が作製される。
合金原料粉末を圧縮成形する際に、合金原料粉末に公知の潤滑剤を添加している場合には、焼結磁石Sの作製の各工程において条件をそれぞれ最適化し、焼結磁石Sの平均結晶粒径が4μm〜8μmの範囲にすることが好ましい。これにより、焼結磁石内部に残留する炭素の影響を受けずに、焼結磁石表面に付着したDyやTbが結晶粒界相に効率よく拡散できれる。
この場合、平均結晶粒径が4μmより小さいと、DyやTbが結晶粒界相に拡散したことで、高い保磁力を有する永久磁石となるが、磁界中での圧縮成形時に流動性を確保し配向性を向上させるという合金原料粉末への潤滑剤添加の効果が薄れ、焼結磁石の配向度が悪くなり、その結果、磁気特性を示す残留磁束密度及び最大エネルギー積が低下する。他方で、平均結晶粒径が8μmより大きいと、結晶が大きいため保磁力が低下し、その上、結晶粒界の表面積が少なくなることで、結晶粒界付近の残留炭素の濃度比が高くなることで、保磁力がさらに大きく低下する。また、残留炭素がDyやTbと反応し、Dyの結晶粒界相への拡散が妨げられ、拡散時間が長くなって生産性が悪い。
図2に示すように、上記処理を実施する真空蒸気処理装置1は、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、拡散ポンプなどの真空排気手段11を介して所定圧力(例えば1×10−5Pa)まで減圧して保持できる真空チャンバ12を有する。真空チャンバ内12には、上面を開口した直方体形状の箱部21と、開口した箱部21の上面に着脱自在な蓋部22とからなる箱体2が設置される。
蓋部22の外周縁部には下方に屈曲させたフランジ22aがその全周に亘って形成され、箱部21の上面に蓋部22を装着すると、フランジ22aが箱部21の外壁に嵌合して(この場合、メタルシールなどの真空シールは設けていない)、真空チャンバ11と隔絶された処理室20が画成される。そして、真空排気手段11を介して真空チャンバ12を所定圧力(例えば、1×10−5Pa)まで減圧すると、処理室20が真空チャンバ12より略半桁高い圧力(例えば、5×10−4Pa)まで減圧されるようになっている。処理室20の容積は、蒸発金属材料の平均自由行程を考慮して蒸気雰囲気中の金属原子が直接または衝突を繰返して複数の方向から焼結磁石Sに供給されるように設定されている。また、箱部21及び蓋部22の壁面の肉厚は、後述する加熱手段によって加熱されたとき、熱変形しないように設定され、金属蒸発材料と反応しない材料から構成されている。
即ち、金属蒸発材料VがDy、Tbであるとき、一般の真空装置でよく用いられるAlを用いると、蒸気雰囲気中のDy、TbとAlが反応してその表面に反応生成物を形成すると共に、Al原子がDyやTbの蒸気雰囲気中に侵入する虞がある。このため、箱体2を、例えば、Mo、W、V、Taまたはこれらの合金(希土類添加型Mo合金、Ti添加型Mo合金などを含む)やCaO、Y、或いは希土類酸化物から作製するか、またはこれらの材料を他の断熱材の表面に内張膜として成膜したものから構成している。また、処理室20内で底面から所定の高さ位置には、例えばMo製の複数本の線材(例えばφ0.1〜10mm)を格子状に配置することで載置部21aが形成され、この載置部21aに複数個の焼結磁石Sを並べて載置できるようになっている。他方、金属蒸発材料Vとしては、主相の結晶磁気異方性を大きく向上させるDyやTb、または、DyやTbの少なくとも一方を含む合金が用いられ、処理室20の底面、側面または上面等に適宜配置される。
真空チャンバ12にはまた、加熱手段3が設けられている。加熱手段3は、箱体2と同様にDy、Tbの金属蒸発材料と反応しない材料製であり、例えば、箱体2の周囲を囲うように設けられ、内側に反射面を備えたMo製の断熱材と、その内側に配置され、Mo製のフィラメントを有する電気加熱ヒータとから構成される。そして、減圧下で箱体2を加熱手段3で加熱し、箱体2を介して間接的に処理室20内を加熱することで、処理室20内を略均等に加熱できる。
次に、上記真空蒸気処理装置1を用いた永久磁石Mの製造について説明する。先ず、箱部21の載置部21aに上記方法で作製した焼結磁石Sを載置すると共に、箱部21の底面に金属蒸発材料VであるDyを設置する(これにより、処理室20内で焼結磁石Sと金属蒸発材料が離間して配置される)。そして、箱部21の開口した上面に蓋部22を装着した後、真空チャンバ12内で加熱手段3によって周囲を囲まれる所定位置に箱体2を設置する(図2参照)。そして、真空排気手段11を介して真空チャンバ12を所定圧力(例えば、1×10−4Pa)に達するまで真空排気して減圧し、(処理室20は略半桁高い圧力まで真空排気される)、真空チャンバ12が所定圧力に達すると、加熱手段3を作動させて処理室20を加熱する。
減圧下で処理室20内の温度が所定温度に達すると、処理室20の底面に設置したDyが、処理室20と略同温まで加熱されて蒸発を開始し、処理室20内にDy蒸気雰囲気が形成される。Dyが蒸発を開始した場合、焼結磁石SとDyとを離間して配置したため、溶けたDyは、表面Ndリッチ相が溶けた焼結磁石Sに直接付着することはない。そして、Dy蒸気雰囲気中のDy原子が、直接または衝突を繰返して複数の方向から、Dyと略同温まで加熱された焼結磁石S表面に向かって供給されて付着し、この付着したDyが焼結磁石Sの結晶粒界相に拡散されて永久磁石Mが得られる。
ところで、図3に示すように、Dy層(薄膜)L1が形成されるように、Dy蒸気雰囲気中のDy原子が焼結磁石Sの表面に供給されると、焼結磁石S表面で付着して堆積したDyが再結晶したとき、永久磁石M表面を著しく劣化させ(表面粗さが悪くなる)、また、処理中に略同温まで加熱されている焼結磁石S表面に付着して堆積したDyが溶解して焼結磁石S表面に近い領域R1における粒界内に過剰に拡散し、磁気特性を効果的に向上または回復させることができない。
つまり、焼結磁石S表面にDyの薄膜が一度形成されると、薄膜に隣接した焼結磁石表面Sの平均組成はDyリッチ組成となり、Dyリッチ組成になると、液相温度が下がり、焼結磁石S表面が溶けるようになる(即ち、主相が溶けて液相の量が増加する)。その結果、焼結磁石S表面付近が溶けて崩れ、凹凸が増加することとなる。その上、Dyが多量の液相と共に結晶粒内に過剰に侵入し、磁気特性を示す最大エネルギー積及び残留磁束密度がさらに低下する。
本実施の形態では、焼結磁石の1〜10重量%の割合で、単位体積当たりの表面積(比表面積)が小さいバルク状(略球状)のDyを処理室20の底面に配置し、一定温度下における蒸発量を減少させるようにした。それに加えて、金属蒸発材料VがDyであるとき、加熱手段3を制御して処理室20内の温度を700℃〜1050℃、好ましくは900℃〜1000℃の範囲に設定することとした(例えば、処理室内温度が900℃〜1000℃のとき、Dyの飽和蒸気圧は約1×10−2〜1×10−1Paとなる)。
処理室20内の温度(ひいては、焼結磁石Sの加熱温度)が700℃より低いと、焼結磁石S表面に付着したDy原子の結晶粒界層への拡散速度が遅くなり、焼結磁石S表面に薄膜が形成される前に焼結磁石の結晶粒界相に拡散させて均一に行き渡らせることができない。他方、1050℃を超えた温度では、Dyの蒸気圧が高くなって蒸気雰囲気中のDy原子が焼結磁石S表面に過剰に供給される。また、Dyが結晶粒内に拡散する虞があり、Dyが結晶粒内に拡散すると、結晶粒内の磁化を大きく下げるため、最大エネルギー積及び残留磁束密度がさらに低下することになる。
焼結磁石S表面にDyの薄膜が形成される前にDyをその結晶粒界相に拡散させるために、処理室20の載置部21aに設置した焼結磁石Sの表面積の総和に対する処理室20の底面に設置したバルク状のDyの表面積の総和の比率が、1×10−4〜2×10の範囲になるように設定する。1×10−4〜2×10の範囲以外の比率では、焼結磁石S表面にDyやTbの薄膜が形成される場合があり、また、高い磁気特性の永久磁石が得られない。この場合、上記比率が1×10−3から1×10の範囲が好ましく、また、上記比率が1×10−2から1×10の範囲がより好ましい。
これにより、蒸気圧を低くすると共にDyの蒸発量を減少させることで、焼結磁石SへのDy原子の供給量が抑制されることと、焼結磁石Sの平均結晶粒径を所定範囲に揃えつつ焼結磁石Sを所定温度範囲で加熱することで拡散速度が早くなることとが相俟って、焼結磁石S表面に付着したDy原子を、焼結磁石S表面で堆積してDy層(薄膜)を形成する前に焼結磁石Sの結晶粒界相に効率よく拡散させて均一に行き渡らせることができる(図1参照)。その結果、永久磁石M表面が劣化することが防止され、また、焼結磁石表面に近い領域の粒界内にDyが過剰に拡散することが抑制され、結晶粒界相にDyリッチ相(Dyを5〜80%の範囲で含む相)を有し、さらには結晶粒の表面付近にのみDyが拡散することで、磁化および保磁力が効果的に向上し、その上、仕上げ加工が不要な生産性に優れた永久磁石Mが得られる。
ところで、図4に示すように、上記焼結磁石を作製した後、ワイヤーカット等により所望形状に加工すると、焼結磁石表面の主相である結晶粒にクラックが生じて磁気特性が著しく劣化する場合があるが(図4(a)参照)、上記真空蒸気処理を施すと、表面付近の結晶粒のクラックの内側にDyリッチ相が形成されて(図4(b)参照)、磁化および保磁力が回復する。他方で、上記真空蒸気処理を施すと、結晶粒界相にDyリッチ相を有し、さらには結晶粒の表面付近にのみDyが拡散しているため、ブロック状の焼結磁石に上記真空蒸気処理を施した後、後工程としてワイヤカッタ等により複数個の薄片に切断して永久磁石Mを得ても、この永久磁石の磁気特定は劣化し難い。これにより、所定寸法を有するブロック状の焼結磁石を複数個の薄片に切断し、この状態で箱体2の載置部21aに並べて収納した後、上記真空蒸気処理を施す場合と比較して、例えば箱体2への焼結磁石Sの出し入れが短時間で行うことができ、上記真空蒸気処理を施す前準備が容易になり、前工程及び仕上げ加工が不要なことと相俟って高い生産性が達成される。
また、従来のネオジム磁石では防錆対策が必要になることからCoを添加していたが、Ndと比較して極めて高い耐食性、耐候性を有するDyのリッチ相が表面付近の結晶粒のクラックの内側や結晶粒界相に存することで、Coを用いることなく、極めて強い耐食性、耐候性を有する永久磁石となる。尚、焼結磁石の表面に付着したDyを拡散させる場合、焼結磁石Sの結晶粒界にCoを含む金属間化合物がないため、焼結磁石S表面に付着したDy、Tbの金属原子はさらに効率よく拡散される。
次いで、上記処理を所定時間(例えば、1〜72時間)だけ実施した後、加熱手段3の作動を停止させると共に、図示しないガス導入手段を介して処理室20内に10kPaのArガスを導入し、金属蒸発材料Vの蒸発を停止させる。この場合、加熱手段3を構成する断熱材にはガス通路が形成され、ガス導入手段を介して真空チャンバ11にArガスを導入すると、ガス通路を介して箱体2の周囲の空間にArガスが導入され、箱部21と蓋部21と間の間隙を通して処理室20にArガスが供給される。この状態で、処理室20内の温度を例えば500℃まで一旦下げる(真空排気手段11の作動は停止しない)。引き続き、加熱手段3を再度作動させ、処理室20内の温度を450℃〜650℃の範囲に設定し、一層保磁力を向上または回復させるために、永久磁石の歪を除去する熱処理を施す。
最後に、ガス導入手段を介して処理室20内に10kPaのArガスを導入して室温まで冷却した後、真空チャンバ12に設けたベントバルブ(図示せず)を開放して、処理室20を含む真空チャンバ12を大気開放し、処理室20から箱体2を取り出す。ここで、処理室20を含む真空チャンバ12を大気開放(真空チャンバ11を大気圧にする)する場合、大気を導入すると、永久磁石M表面、Dy、Tbが付着した箱部21及び箱体22の内面、及び加熱手段3(断熱材)や真空チャンバ12の内面で急激な酸化反応が起こり、これに起因して永久磁石Mや箱部21及び箱体22の内面などが発火して発熱する。この発熱によって永久磁石M表面がさらに急激に酸化、窒化して、永久磁石M表面、箱部21及び箱体22の内面、及び加熱手段3(断熱材)や真空チャンバ12の内面にDyやTbの煤が付着して着色することから、これを防止する必要がある。また、発熱した真空チャンバ21から箱体2、永久磁石Mの取り出し作業が困難であることから、発熱を防止する必要もある。
本実施の形態では、真空チャンバ12内に、大気中の空気成分から窒素ガスを分離して所定の流量で供給できる窒素ガス発生装置4からの第1のガス管41を接続すると共に、第1のガス管41の途中に、マスフローコントローラ(流量制御手段)51が介設されたガスボンベ(酸素ガス源)52に通じる第2のガス管53を接続した。窒素ガス発生装置は、例えば、公知の構造を有するPSA方式やガス分離膜方式のものであり、95%〜99.99%の窒素ガスを一定の流量で供給できるものである。
そして、真空蒸気処理後に、処理室20が所定圧力になるまでArガスを導入して室温まで冷却した後、真空排気手段11によって、真空チャンバ12内の圧力が所定値(例えば、10Pa)に達するまで真空排気した後、窒素ガス発生装置4からの窒素ガスに、流量制御弁51によって所定流量に制御された酸素ガス(99.99%)を混合した、大気より酸素濃度の低い窒素ガスを、真空チャンバ12内の圧力が、所定時間内で所定値(例えば、10Pa)に達するまで導入し、永久磁石M表面、Dy、Tbが付着した箱部21及び箱体22の内面、及び加熱手段3(断熱材)や真空チャンバ12の内面を一旦酸化させることとした。この場合、永久磁石M表面にDyやTbの煤が付着して着色することを防止するには、窒素ガスの酸素濃度が5000〜50000ppm、より好ましくは、10000〜20000ppmの範囲になるように、流量制御弁51によって酸素ガスの流量が制御される。次いで、真空排気手段11によって、真空チャンバ12内の圧力が所定値(例えば、10Pa)に達するまで再度真空排気した後、真空チャンバに設けたベントバルブを開けて処理室20を含む真空チャンバ12を大気開放する。
これにより、大気開放に先立って、永久磁石M表面、Dy、Tbが付着した箱部21及び箱体22の内面、及び加熱手段3(断熱材)や真空チャンバ12の内面を一旦酸化させることで、その後に大気や窒素ガスを真空チャンバ12に導入して大気開放しても、急激な酸化反応に起因した永久磁石M表面などが発火し、発熱することが防止される。その結果、永久磁石表面にDyやTbの煤が付着して着色すること及び磁気特性が低下することが防止され、後工程が不要になって生産性を向上できる。また、真空チャンバ12内からの箱体2、ひいては永久磁石Mの取り出し作業が容易であり、永久磁石製造時の作業安全性も向上でき、また、箱部21及び箱体22の内面、及び加熱手段3(断熱材)や真空チャンバ12の内面に煤が付着して汚染されることもない。
尚、本実施の形態では、窒素ガス発生装置4からの窒素ガスに、流量制御弁51によって所定流量に制御された酸素ガス(99.99%)を混合したものを導入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アルゴンガス等の他の不活性ガスに酸素ガスを混合したものを用いてもよい。また、真空蒸気処理後に、処理室20にArガスを導入して室温まで冷却する場合について説明したが、ごれに限定されるものではなく、処理室内の温度が200℃以下であれば、大気開放時の急激な酸化、窒化が防止され、これに起因した永久磁石表面や処理室の内面の発熱が防止できる。
また、本実施の形態では、金属蒸発材料としてDyを用いるものを例として説明したが、拡散速度を早くできる焼結磁石Sの加熱温度範囲(900℃〜1150℃の範囲)で、蒸気圧が低いTbを用いることができ、またはDy、Tbの合金を用いてもよい。また、一定温度下における蒸発量を減少させるために比表面積が小さいバルク状の金属蒸発材料Vを用いることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、箱部21内に断面凹状の受皿を設置し、受皿内に顆粒状またはバルク状の金属蒸発材料Vを収納することで比表面積を減少させるようにしてもよく、さらに、受皿に金属蒸発材料Vを収納した後、複数の開口を設けた蓋(図示せず)を装着するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、処理室20内に焼結磁石Sと金属蒸発材料Vとを配置したものについて説明したが、焼結磁石Sと金属蒸発材料Vとを異なる温度で加熱できるように、例えば、真空チャンバ12内に、処理室20とは別個に蒸発室(他の処理室:図示せず)を設けると共に蒸発室を加熱する他の加熱手段を設け、蒸発室で金属蒸発材料を蒸発させた後、処理室20と蒸発室とを連通する連通路を介して、処理室20内の焼結磁石に、蒸気雰囲気中の金属原子が供給されるようにしてもよい。
この場合、金属蒸発材料VがDyである場合、蒸発室を700℃〜1050℃(700℃〜1050℃のとき、Dyの飽和蒸気圧は約1×10−4〜1×10−1Paになる)の範囲で加熱すればよい。700℃より低い温度では、結晶粒界相にDyが拡散されて均一に行き渡るように、焼結磁石S表面にDyを供給できる蒸気圧に達しない。他方、金属蒸発材料VがTbである場合、蒸発室を900℃〜1150℃の範囲で加熱すればよい。900℃より低い温度では、焼結磁石S表面にTb原子を供給できる蒸気圧に達しない。他方、1150℃を超えた温度では、Tbが結晶粒内に拡散してしまい、最大エネルギー積及び残留磁束密度を低下させる。
また、DyやTbを結晶粒界相に拡散させる前に焼結磁石S表面に吸着した汚れ、ガスや水分を除去するために、真空排気手段11を介して真空チャンバ12を所定圧力(例えば、1×10−5Pa)まで減圧し、処理室20が真空チャンバ12より略半桁高い圧力(例えば、5×10−4Pa)まで減圧した後、所定時間保持するようにしてもよい。その際、加熱手段3を作動させて処理室20内を例えば100℃に加熱し、所定時間保持するようにしてもよい。
他方、真空チャンバ12内で、ArまたはHeプラズマを発生させる公知構造のプラズマ発生装置(図示せず)を設け、真空チャンバ12内での処理に先だってプラズマによる焼結磁石S表面のクリーニングの前処理が行われるようにしてもよい。同一の処理室20内に焼結磁石Sと金属蒸発材料Vとを配置する場合、公知の搬送ロボットを真空チャンバ12内に設置し、真空チャンバ12内で蓋部22をクリーニング終了後に装着するようにすればよい。
さらに、本実施の形態では、箱部21の上面に蓋部22を装着して箱体2を構成するものについて説明したが、真空チャンバ12と隔絶されかつ真空チャンバ12を減圧するのに伴って処理室20が減圧され、また、大気開放に先立って上記窒素ガスが供給できるものであれば、これに限定されるものではなく、例えば、箱部21に焼結磁石Sを収納した後、その上面開口を例えばMo製の箔で覆うようにしてもよい。他方、例えば、真空チャンバ12内で処理室20を密閉できるようにし、真空チャンバ12とは独立して所定圧力に保持できるように構成してもよい。
尚、焼結磁石Sとしては、酸素含有量が少ない程、DyやTbの結晶粒界相への拡散速度が早くなるため、焼結磁石S自体の酸素含有量が3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下であればよい。
Nd−Fe−B系の焼結磁石として、組成が30Nd−1B−0.1Cu−2Co−bal.Feで、40×10×5mmに加工したものを用いた。この場合、焼成磁石Sの表面を10μm以下の表面荒さを有するように仕上加工した後、アセトンを用いて洗浄した。
次に、上記真空蒸気処理装置1を用い、上記方法によって焼成磁石S表面にDy原子を付着させ、焼成磁石S表面にDyの薄膜が形成される前に結晶粒界相に拡散させて永久磁石Mを得た(真空蒸気処理)。この場合、200×170×60mmの外形寸法を有するMo製の箱体2内で載置部21a上に100個の焼結磁石Sを等間隔で配置することとした。また、金属蒸発材料として純度99.9%でφ1mmのバルク状のDyを用い、150gの総量で処理室20の底面に配置した。
次いで、真空排気手段を作動させて真空チャンバを1×10−4Paまで一旦減圧する(処理室内の圧力は5×10−3Pa)と共に、加熱手段3による処理室20の加熱温度を900℃に設定した。そして、処理室20の温度が900℃に達した後、この状態で12時間、上記真空蒸気処理を行った。
そして、真空蒸気処理後に、処理室20が50kPaになるまでArガスを導入して室温まで冷却し、次いで、真空排気手段11によって真空チャンバ12内の圧力が10Paに達するまで再度真空排気した後、窒素ガス発生装置4からの窒素ガスに、流量制御弁51によって所定流量に制御された酸素ガス(99.99%)を混合したものを、10分間で真空チャンバ12内の圧力が10Paに達するように導入した。次いで、真空排気手段11によって、真空チャンバ12内の圧力が10Paに達するまで再度真空排気した後、真空チャンバに設けたベントバルブを開けて処理室20を含む真空チャンバ12を大気圧に戻した。
図5は、窒素ガスの酸素濃度を変化させたときの永久磁石の表面状態と、磁気特性の平均値とを示す表である。尚、永久磁石の表面状態の合否判定は、真空チャンバ12内に取付けた熱電対によって大気開放時の温度変化を測定して行った。
これによれば、第1のガス配管41に設けた酸素濃度計で測定した酸素濃度が5000ppmより低いか、または50000ppmを超えると、大気開放時に真空チャンバが3℃以上温度上昇し、目視によって、取り出した永久磁石の表面状態を観察すると、大部分の永久磁石Mが黒に着色していた。また、永久磁石Mの表面が急激に酸化、または窒化することで、高磁気特性の永久磁石Mは得られていない。
それに対し、酸素濃度を10000ppmから20000ppmまでの範囲に設定すると、大気開放時の真空チャンバの温度上昇値は1℃以下であり、目視によって、取り出した永久磁石の表面状態を観察しても、真空蒸気処理前の焼結磁石Sの表面状態と同様、銀色(メタリック)のままであった。この場合、最大エネルギー積が約50MG0e、残留磁束密度が約14.3kG、かつ保磁力が約23k0eである高磁気特性の永久磁石が得られたことが判る。尚、酸素濃度計で測定した酸素濃度が5880または56734ppmであったとき、大気開放時の真空チャンバの温度上昇値は3℃以下であり、目視によって、取り出した永久磁石の表面状態を観察すると、銀色(メタリック)ではあるが、若干光沢がなくなった。この場合、最大エネルギー積が49MG0e、残留磁束密度が約14.2kG、かつ保磁力が約22.1K0eであり、磁気特性は上記とほぼ同等であった。
本発明で作製した永久磁石の断面を模式的に説明する図。 本発明の処理を実施する真空処理装置を概略的に示す図。 従来技術により作製した永久磁石の断面を模式的に説明する図。 (a)は、焼結磁石表面の加工劣化を説明する図。(b)は、本発明の実施により作製した永久磁石の表面状態を説明する図。 実施例1で作製した永久磁石の磁気特性と最適真空蒸気処理時間を示す表。
符号の説明
1 真空蒸気処理装置
12 真空チャンバ
20 処理室
21 箱体
22 蓋体
3 加熱手段
S 焼結磁石
M 永久磁石
V 金属蒸発材料

Claims (5)

  1. 真空中で処理室内に配置した鉄−ホウ素−希土類系の焼結磁石を所定温度に加熱すると共に、同一または他の処理室に配置したDy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料を加熱して蒸発させ、この蒸発したDy、Tbの金属原子を、焼結磁石表面への供給量を調節して付着させ、この付着した金属原子を、焼結磁石表面に金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に焼結磁石の結晶粒界相に拡散させる第一工程と、真空下の前記処理室内に、大気より酸素濃度を低くした不活性ガスを導入し、Dy、Tbの少なくとも一方が結晶粒界相に拡散した焼結磁石表面及び処理室内を酸化させた後、大気開放する第二工程を含むことを特徴とする永久磁石の製造方法。
  2. 前記不活性ガスの酸素濃度を5000〜50000ppmの範囲に設定したことを特徴とする請求項1記載の永久磁石の製造方法。
  3. 前記不活性ガスは窒素ガスであり、前記第二工程を200℃以下で行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の永久磁石の製造方法。
  4. 箱部と蓋体とからなり、大気中の真空チャンバ内に出入れ自在に設置され、真空チャンバを減圧するのに伴って内部空間が所定圧力に減圧できる箱体を備え、
    この箱部内に鉄−ホウ素−希土類系の焼結磁石及びDy、Tbの少なくとも一方を含有する金属蒸発材料を離間して配置し、焼結磁石を所定温度まで加熱されると共に金属蒸発材料が蒸発し、この蒸発した金属原子が焼結磁石表面に供給されるように箱体の加熱を可能とする加熱手段を設けた永久磁石の製造装置であって、
    前記真空チャンバに、大気中の空気成分から窒素ガスを分離して供給できる窒素ガス発生装置を設け、真空下の前記処理室内に、大気より酸素濃度を低くした窒素ガスを導入し、Dy、Tbの少なくとも一方が結晶粒界相に拡散した焼結磁石表面及び処理室内を酸化させた後、大気開放するように構成したことを特徴とする永久磁石の製造装置。
  5. 前記窒素ガス発生装置から処理室に通じるガス管に、流量制御手段を介設した酸素ガス源に通じる他のガス管を接続し、酸素ガスの流量を変更して、処理室内に導入される窒素ガスの酸素濃度を変更自在としたことを特徴とする請求項4記載の永久磁石の製造装置。
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