JP2002175931A - 希土類磁石およびその製造方法 - Google Patents

希土類磁石およびその製造方法

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JP2002175931A JP2001290765A JP2001290765A JP2002175931A JP 2002175931 A JP2002175931 A JP 2002175931A JP 2001290765 A JP2001290765 A JP 2001290765A JP 2001290765 A JP2001290765 A JP 2001290765A JP 2002175931 A JP2002175931 A JP 2002175931A
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earth magnet
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Shigeru Takagi
繁 高木
Akira Makita
顕 槇田
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類磁石用合金粉末の粉末として性質を改
善し、焼結磁石の磁気特性を向上させる。 【解決手段】 フラウンホーファ前方散乱による光散乱
法で測定された粒径が2.0μmよりも大きく5.0μ
m以下の粒子が体積比率で45%以上を占め、しかも、
前記粒径が10μmよりも大きな粒子が体積比率で1%
未満のR−Fe−B系希土類磁石用合金粉末から成形体
を作製し、焼結する。この焼結により、平均結晶粒径が
5μm以上7.5μm以下、酸素濃度が原子比率で2.
2%以上3.0%以下のR−Fe−B系希土類磁石を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R−Fe−B系希
土類磁石および当該磁石用合金粉末の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】希土類焼結磁石は、希土類磁石用合金
(原料合金)を粉砕して形成した合金粉末をプレス成形
した後、焼結工程および時効熱処理工程を経て作製され
る。現在、希土類焼結磁石としては、サマリウム・コバ
ルト系磁石と希土類・鉄・ホウ素系磁石の二種類が各分
野で広く用いられている。なかでも希土類・鉄・ホウ素
系磁石(以下、「R−Fe−B系磁石」と称する。Rは
Yを含む希土類元素、Feは鉄、Bはホウ素である)
は、種々の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示
し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採
用されている。なお、Feの一部は、Co等の遷移金属
元素と置換されていても良いし、B(ホウ素)の一部が
C(炭素)によって置換されていても良い。
【0003】R−Fe−B系希土類磁石用原料合金の粉
末は、原料合金の粗粉砕を行う第1粉砕工程と、原料合
金の微粉砕を行う第2粉砕工程とを含む方法によって作
製される。通常、第1粉砕工程では、水素粉砕装置によ
って原料合金を数百μm以下のサイズ(平均粒径)に粗
く粉砕し、第2粉砕工程では、粗粉砕された合金(粗粉
砕粉)をジェットミル粉砕装置などによって平均粒径が
数μm程度のサイズに細かく粉砕する。
【0004】原料合金自体の作製方法には大きく分けて
2種類ある。第1の方法は、原料合金の溶湯を鋳型に入
れ、比較的ゆっくりと冷却するインゴット鋳造法であ
る。第2の方法は、合金の溶湯を単ロール、双ロール、
回転ディスク、または回転円筒鋳型等に接触させて急速
に冷却し、合金溶湯からインゴット合金よりも薄い凝固
合金を作製するストリップキャスト法や遠心鋳造法に代
表される急冷法である。
【0005】この急冷法による場合、合金溶湯の冷却速
度は102℃/秒以上104℃/秒以下の範囲にある。そ
して、急冷法によって作製された急冷合金の厚さは、
0.03mm以上10mm以下の範囲にある。合金溶湯
は冷却ロールの接触した面(ロール接触面)から凝固
し、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長して
ゆく。その結果、上記急冷合金は、短軸方向サイズが
0.1μm以上100μm以下で長軸方向サイズが5μ
m以上500μm以下のR214B結晶相と、R214
結晶相の粒界に分散して存在するRリッチ相(希土類元
素Rの濃度が相対的に高い相)とを含有する微細結晶組
織を持つにいたる。Rリッチ相は希土類元素Rの濃度が
比較的に高い非磁性相であり、その厚さ(粒界の幅に相
当する)は10μm以下である。
【0006】急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金
型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)
に比較して、相対的に短時間で冷却されているため、組
織が微細化され、結晶粒径が小さい。また、結晶粒が微
細に分散して粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内を
薄く広がっているため、Rリッチ相の分散性にも優れ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】希土類合金(特に急冷
合金)に水素ガスをいったん吸蔵させ、いわゆる水素粉
砕処理によって粗粉砕を行う場合(本明細書では、この
ような粉砕方法を「水素粉砕法」と称する)、粒界に位
置するRリッチ相が水素と反応し、膨張するため、Rリ
ッチ相の部分(粒界部分)から割れる傾向にある。その
ため、希土類合金を水素粉砕することによって得られた
粉末の粒子表面にはRリッチ相が表れやすくなる。ま
た、急冷合金の場合は、Rリッチ相が微細化されてお
り、その分散性も高いため、水素粉砕粉の表面にはRリ
ッチ相が特に露出しやすい。
【0008】本発明者の実験によると、このような状態
の粗粉砕粉をジェットミル粉砕装置などによって微粉砕
すると、Rリッチな超微粉(粒径が1μm以下の微粉)
が生成される。Rリッチな超微粉は、希土類元素Rの含
有量が相対的に少ない他の粉末粒子(相対的に大きな粒
径を持っている)に比べて極めて酸化しやすいため、R
リッチ微粉を粉末から除去せずに、そのまま焼結磁石を
作製すると、焼結工程時に希土類元素の酸化反応が著し
く進行してしまう。その結果、希土類元素Rが酸素との
結合に消費され、主相であるR214B型結晶相の生成
量が低下してしまう。このことは、磁石の保磁力や残留
磁束密度を低下させ、減磁曲線の角形性を劣化させると
いう結果を招く。
【0009】Rリッチな微粉砕粉の酸化を防止するに
は、粉砕工程から焼結工程までの全ての工程を不活性雰
囲気中で実施することが理想的であるが、これを工場施
設内において量産規模で実行することは極めて困難であ
る。
【0010】一方、微量の酸素を導入した不活性雰囲気
中で微粉砕工程を実行することによって意図的に微粉砕
粉の表面を薄い酸化膜で覆い、それによって粉末と大気
との急激な酸化を抑制する方法が提案されている。
【0011】しかしながら、このような技術による場
合、保磁力増大を目的として粉末粒径を単純に小さくし
てゆくと、同一重量の粉末中に存在する粒子の総表面積
が大きくなるため、粉末粒子の表面に吸着される総酸素
量が増大し、その結果、焼結磁石に含有される酸素濃度
が著しく高くなってしまうことになる。焼結磁石に含有
される酸素は希土類元素Rと結合するため、主相である
214B型結晶相の生成量が低下し、かえって保磁力
が低下してしまう。
【0012】通常、保磁力を高めるためには、主相であ
るR214B型結晶相の結晶粒径を小さくし、単磁区粒
子径(約0.5μm)に近づけることが必要と考えられ
ているが、上述したように、発火の問題を回避するには
粉末粒子の表面を薄く酸化する必要があり、そのことで
却って保磁力が低下してしまうことになる。このため、
保磁力を高めるには、粉末粒径を小さくするだけでは限
界があり、保磁力増大効果のあるDyやTbなどの高価
な希少元素を添加するという対応策がとられている。
【0013】しかしながら、このような高価で希少な元
素を添加することは、磁石の価格を上げ、磁石の安定供
給に問題をもたらすおそれもある。そこで、Dy等を実
質的に添加することなしに、保磁力を向上させた希土類
磁石を提供することが強く求められている。
【0014】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、大気との接触による酸化・発
火の問題を避けながら、保磁力を向上させることのでき
るR−Fe−B系希土類磁石の製造方法を提供すること
にある。
【0015】本発明の他の目的は、上記の製造方法によ
り製造される高性能のR−Fe−B系希土類磁石を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によるR−Fe−
B系希土類磁石の製造方法は、フラウンホーファ前方散
乱による光散乱法で測定された粒径が2.0μmよりも
大きく5.0μm以下の粒子が体積比率で45%以上を
占め、しかも、前記粒径が10μmよりも大きな粒子が
体積比率で1%未満のR−Fe−B系希土類磁石用合金
の粉末を用意する工程と、前記粉末を成形し、成形体を
作製する工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含す
る。
【0017】前記焼結工程によって、平均結晶粒径が5
μm以上7.5μm以下の焼結磁石を作製することが好
ましい。
【0018】前記焼結磁石に含有される酸素の濃度を原
子比率で2.2%以上3.0%以下に調節することが好
ましい。
【0019】前記R−Fe−B系希土類磁石用合金粉末
は、Dyを実質的に含んでいないことが好ましい。
【0020】好ましい実施形態において、前記R−Fe
−B系希土類磁石用合金粉末を製造する工程は、急冷法
によって作製した希土類磁石用原料合金の粗粉砕を行う
第1粉砕工程と、前記原料合金の微粉砕を行う第2粉砕
工程とを含み、前記第2粉砕工程は、粉砕装置を用い、
酸化性ガスを含む不活性ガスで満たされた粉砕室内でR
−Fe−B系希土類磁石用合金の粉砕を行なう。
【0021】前記粉砕装置の後段に分級機を接続し、前
記粉砕装置から出た粉末を分級することが好ましい。
【0022】好ましい実施形態において、前記希土類磁
石用原料合金は、原料合金溶湯を102℃/秒以上104
℃/秒以下の冷却速度で冷却したものである。
【0023】前記原料合金溶湯の冷却は、ストリップキ
ャスト法によって行うことが好ましい。
【0024】本発明のR−Fe−B系希土類磁石は、平
均結晶粒径が5μm以上7.5μm以下であり、酸素濃
度が原子比率で2.2%以上3.0%以下であることを
特徴とする。
【0025】前記R−Fe−B系希土類磁石用合金粉末
は、Dyを実質的に含んでいないことが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明者は、フラウンホーファ前
方散乱による光散乱法で測定された粒径が2.0μmよ
りも大きく5.0μm以下の粒子が体積比率で45%以
上を占め、しかも、前記粒径が10μmよりも大きな粒
子が体積比率で1%未満のR−Fe−B系希土類磁石用
合金の粉末を用いて焼結磁石を作製すると、大気との接
触による粉末の酸化・発火の問題を避けながら、しか
も、Dyを実質的に含んでいない場合でもDyを添加し
た場合と同様に高い保磁力が発現することを見出し、本
発明を想到するに至った。なお、本明細書において「D
yを実質的に含んでない」場合とは、Dy濃度が合金全
体の0.1原子%以下である状態にある場合をさすもの
とする。
【0027】本発明では、焼結磁石に含まれる酸素の濃
度を原子比率で2.2%以上3.0%以下に調節するこ
とにより、上記の粒度分布を持つR−Fe−B系希土類
磁石用合金粉末の粒子表面を最適なレベルで酸化しつ
つ、含有酸素に起因して保磁力の低下が引き起こされな
いようにしている。
【0028】本発明で用いるR−Fe−B系希土類磁石
用合金粉末の平均粒径は、現在、R−Fe−B系希土類
磁石を量産する場合において実際に用いられているR−
Fe−B系希土類磁石用合金粉末の平均粒径に比べて極
めて小さい。このため、相対的に低い温度で焼結プロセ
スを進行させることができ、その結果、最終的に得られ
る焼結磁石の平均結晶粒径を従来にくらべて大幅に低下
させることが可能である。このことが、含有酸素量の最
適化による効果と組み合わせられ、保磁力の増大に大き
く寄与している。
【0029】本発明では、フラウンホーファ前方散乱に
よる光散乱法で測定された粒径が10μmよりも大きな
粒子を粉末から取り除いているが、実験によると、この
ような粒子が体積比率で1%以上存在すると、残留磁束
密度および最大磁気エネルギ積が低下することもわかっ
た。
【0030】なお、フラウンホーファ前方散乱による光
散乱法で測定された粒径が2.0μm〜5.0μmとい
う比較的に狭い範囲内にある粒子が体積比率で全体の4
5%以上を占めるということは、粉末の粒度分布が極め
てシャープであることを意味している。粉末の粒度分布
がブロードであれば、粉末粒子の平均粒径が小さい場合
でも、焼結磁石の保磁力が低下してしまうことが本発明
者の実験により確認されている。保磁力を更に向上させ
るには、上記粒径が2.0μm〜5.0μmの範囲内に
ある粒子を体積比率で全体の50%以上に調整すること
が好ましい。なお、本発明では、Rリッチな超微粉(粒
径:1μm以下)を体積比率で全体の5%以下に調節し
ている。
【0031】本発明では、希土類磁石用原料合金の粗粉
砕を行った(第1粉砕工程)後、原料合金の微粉砕を行
う(第2粉砕工程)に際して、Rリッチな超微粉および
粒径の大きな粒子をできる限り除去し、上述の粒度分布
を持った粉末を作製する。
【0032】なお、Rリッチな超微粉に含まれる希土類
元素Rの濃度は、粉末全体に含まれる希土類元素Rの平
均濃度よりも高いため、このような超微粉を一部でも除
去すれば、粉末全体に含まれる希土類元素Rの濃度は低
下することになる。希土類元素Rは、ハード磁性を担う
主相であるR214B型結晶相に不可欠なものであり、
また焼結に必要な液相を生成する上でも不可欠であるの
で、希土類元素Rの濃度低下は好ましくないように思わ
れるが、取り除かれる超微粉に含まれる希土類元素Rは
酸素との結合に消費され、R214B型結晶相や液相の
生成には充分に寄与しない。このため、Rリッチな超微
粉を除去することによって、結果的に粉末中の酸素量を
低減できるので、焼結磁石に含まれるR214B型結晶
相の量は却って増加し、磁石の磁気特性が改善されるこ
とになる。
【0033】本発明者の実験によると、Rリッチな超微
粉は、前述のように急冷合金(例えばストリップキャス
ト合金)を粉砕する場合に生成されやすく、また、粗粉
砕を水素粉砕法によって行う場合にも生成されやすい。
したがって、以下の説明では、水素粉砕法によって急冷
合金を粗く粉砕した後、微粉砕工程を行う場合を例にと
って本発明の実施形態を説明する。なお、不活性ガスの
高速気流を用いて合金の微粉砕を実行するジェットミル
粉砕装置を使用する場合、ジェットミル粉砕装置に気流
(遠心力)分級機と分級ロータを設ければ、気流によっ
て運ばれてきた微粉砕粉からRリッチな超微粉(粒径1
μm以下)や粒径が10μm以上の大きな粒子を効率的
に除去することが可能である。故に、以下の実施形態で
は、ジェットミル粉砕装置を用いて微粉砕工程を行う例
を説明する。
【0034】以下、図面を参照しながら、本発明の実施
形態を説明する。
【0035】[原料合金]まず、公知のストリップキャ
スト法で所望の組成を有するR−Fe−B系磁石用合金
の原料合金を用意し、所定の容器に保管しておく。具体
的には、まず、Nd:8〜30at%(原子%)、B:
2〜28at%、残部Feおよび不可避不純物からなる
組成を有する合金を高周波溶解によって溶融し、合金溶
湯を形成する。合金には、Al、Ti、Cu、V、C
r、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、H
f、Ta、Wなどを添加しても良い。この合金溶湯を1
350℃に保持した後、単ロール法によって、合金溶湯
を急冷し、厚さ約0.3mmのフレーク状合金鋳塊を得
た。このときの急冷条件は、ロール周速度約1m/秒、
冷却速度500℃/秒、過冷却200℃とした。こうし
て作製した急冷合金鋳片を、次の水素粉砕前に、1〜1
0mmの大きさのフレーク状に粉砕する。なお、ストリ
ップキャスト法による原料合金の製造方法は、例えば、
米国特許第5,383,978号明細書に開示されてい
る。
【0036】[第1粉砕工程]フレーク状に粗く粉砕さ
れた原料合金鋳片を複数の原料パック(ステンレス鋼)
に充填し、ラックに搭載する。この後、原料パックが搭
載されたラックを水素炉の内部へ挿入する。次に、水素
炉の蓋体を閉じ、水素粉砕工程(第1粉砕工程)を開始
する。水素粉砕処理は、例えば図1に示す温度プロファ
イルに従って実行する。図1の例では、まず真空引き過
程Iを0.5時間実行した後、水素吸蔵過程IIを2.5
時間実行する。水素吸蔵過程IIでは、炉内に水素ガスを
供給し、炉内を水素雰囲気にする。そのときの水素圧力
は、200〜400kPa程度が好ましい。
【0037】続いて、0〜3Pa程度の減圧下で脱水素
過程IIIを5.0時間実行した後、アルゴンガスを炉内
に供給しつつ、原料合金の冷却過程IVを5.0時間実行
する。
【0038】冷却過程IVにおいて炉内の雰囲気温度が比
較的に高い段階(例えば、100℃を超えるとき)で
は、常温の不活性ガスを水素炉の内部に供給し、冷却す
る。その後、原料合金温度が比較的低いレベルに低下し
た段階(例えば、100℃以下のとき)で、常温よりも
低い温度(例えば室温マイナス10℃程度)に冷却した
不活性ガスを水素炉10内部に供給することが冷却効率
の観点から好ましい。アルゴンガスの供給量は、10〜
100Nm3/min程度にすればよい。
【0039】原料合金の温度が20〜25℃程度にまで
低下したら、ほぼ常温(室温よりも低いが、室温との差
が5℃以下の範囲の温度)の不活性ガスを水素炉内部に
送風し、原料の温度が常温レベルに達するのを待つこと
が好ましい。こうすることによって、水素炉の蓋体を開
放した際に、炉内部で結露が生じる事態を避けることが
できる。結露によって炉内部に水分が存在していると、
真空引き工程でその水分が凍結・気化するため、真空度
を上昇させにくくなり、真空引き過程Iに要する時間が
長くなってしまうので好ましくない。
【0040】水素粉砕後の粗粉砕合金粉末を水素炉から
取り出す際、粗粉砕粉が大気と接触しないように、不活
性雰囲気下で取り出し動作を実行することが好ましい。
そうすれば、粗粉砕粉が酸化・発熱することが防止さ
れ、磁石の磁気特性が向上するからである。次に、粗粉
砕された原料合金は複数の原料パックに充填され、ラッ
クに搭載される。
【0041】水素粉砕によって、希土類合金は0.1m
m〜数mm程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は5
00μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料合金を
ロータリクーラ等の冷却装置によって、より細かく解砕
するともに冷却することが好ましい。比較的高い温度状
態のまま原料を取り出す場合は、ロータリクーラ等によ
る冷却処理の時間を相対的に長くすれば良い。
【0042】[第2粉砕工程]次に、第1粉砕工程で作
製された粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕装置を用い
て微粉砕を実行する。本実施形態で使用するジェットミ
ル粉砕装置に超微粉除去に適したサイクロン分級機が接
続されている。
【0043】以下、図2を参照しながら、ジェットミル
粉砕装置を用いて行う微粉砕工程(第2粉砕工程)を詳
細に説明する。
【0044】図示されるジェットミル粉砕装置10は、
第1粉砕工程で粗く粉砕された希土類合金(被粉砕物)
を供給する原料投入機12と、原料投入機12から投入
された被粉砕物を粉砕する粉砕機14と、粉砕機14で
被粉砕物を粉砕して得られた粉体を分級するサイクロン
分級機16と、サイクロン分級機16によって分級され
た所定の粒度分布を有する粉末を集める回収タンク18
とを備えている。
【0045】原料投入機12は、被粉砕物を収容する原
料タンク20と、原料タンク20からの被粉砕物の供給
量をコントロールするモータ22と、モータ22に接続
されたスパイラル状の供給機(スクリューフィーダ)2
4とを有している。
【0046】粉砕機14は、縦長の略円筒状の粉砕機本
体26を有しており、粉砕機本体26の下部には、不活
性ガス(例えば窒素)を高速で噴出させるノズルを取り
付けるための複数のノズル口28が設けられている。粉
砕機本体26の側部には、粉砕機本体26内に被粉砕物
を投入するための原料投入パイプ30が接続されてい
る。
【0047】原料投入パイプ30には、供給する被粉砕
物を一旦保持し粉砕機14内部の圧力を閉じ込めるため
のバルブ32が設けられており、バルブ32は、一対の
上バルブ32aと下バルブ32bとを有している。供給
機24と原料投入パイプ30とはフレキシブルパイプ3
4によって連結されている。
【0048】粉砕機14は、粉砕機本体26の内部上方
に設けられた分級ロータ36と、粉砕機本体26の外部
上方に設けられモータ38と、粉砕機本体26の上方に
設けられた接続パイプ40とを有している。モータ38
は分級ロータ36を駆動し、接続パイプ40は分級ロー
タ36で分級された粉体を粉砕機14の外部に排出す
る。分級ロータ36により、大きな粉末粒子(粒径が1
0μmを超える粒子)が除去された粉体がサイクロン分
級機16に送られる。
【0049】粉砕機14は、支持部となる複数の脚部4
2を備えている。粉砕機14の外周近傍には基台44が
配設され、粉砕機14は、脚部42によって基台44上
に載置される。本実施形態では、粉砕機14の脚部42
と基台44との間には、ロードセルなどの重量検出器4
6が設けられる。この重量検出器46からの出力に基づ
いて、制御部48はモータ22の回転数を制御し、それ
によって被粉砕物の投入量をコントロールすることがで
きる。
【0050】サイクロン分級機16は、分級機本体64
を有し、分級機本体64の内部には、排気パイプ66が
上方から挿入されている。分級機本体64の側部には、
分級ロータ36で分級された粉体を導入する導入口68
が設けられ、導入口68はフレキシブルパイプ70によ
って接続パイプ40と接続されている。分級機本体64
の下部には取出口72が設けられ、この取出口72に微
粉砕粉末の回収タンク18が接続されている。
【0051】フレキシブルパイプ34および70は、樹
脂もしくはゴム等によって構成されたもの、または剛性
の高い材料を蛇腹状もしくはコイル状に構成することに
よって柔軟性を持つように構成されたものであることが
好ましい。このような柔軟性のあるパイプ34および7
0を用いると、原料タンク20、供給機24、分級機本
体64、および回収タンク18の重量変化が粉砕機14
の脚部42には伝達されない。そのため、脚部42に設
けた重量検出器46によって重量を検出すれば、粉砕機
14内に滞留した被粉砕物の重量やその変化量を正確に
検知でき、粉砕機14内に供給する被粉砕物の量を正確
に制御することができる。
【0052】次に、上記のジェットミル粉砕装置10に
よる粉砕方法を説明する。
【0053】まず、被粉砕物を原料タンク20に投入す
る。原料タンク20内の被粉砕物は、供給機24によっ
て粉砕機14へ供給される。このとき、モータ22の回
転数を制御することによって被粉砕物の供給量を調節す
ることができる。供給機24から供給される被粉砕物
は、バルブ32において一旦堰き止められる。ここで一
対の上バルブ32a、下バルブ32bは、交互に開閉動
作を行っている。すなわち、上バルブ32aが開のと
き、下バルブ32bは閉状態となり、上バルブ32aが
閉状態のとき、下バルブ32bは開状態となる。このよ
うに一対のバルブ32a、32bを交互に開閉すること
によって、粉砕機14内の圧力が原料投入機12側に漏
れないようにすることができる。その結果、被粉砕物
は、上バルブ32aが開状態となったときに一対の上バ
ルブ32aと下バルブ32bとの間に供給される。そし
て、次に下バルブ32bが開状態となったときに、原料
投入パイプ30に導かれ、粉砕機14内に導入されるこ
とになる。バルブ32は制御回路48とは別のシーケン
ス回路(図示せず)によって高速に駆動され、被粉砕物
が粉砕機14内に連続的に供給される。
【0054】粉砕機14内に導入された被粉砕物は、ノ
ズル口28からの不活性ガスの高速噴射によって粉砕機
14内に巻き上げられ、装置内において高速気流ととも
に旋回する。そして、被粉砕物同士の相互衝突によって
細かく粉砕される。
【0055】このようにして微粉砕された粉末粒子は上
昇気流に乗って分級ロータ36に導かれ、分級ロータ3
6で気流分級され、粗い粉体は再度粉砕されることにな
る。一方、所定粒径以下に粉砕された粉体は、接続パイ
プ40、フレキシブルパイプ70を経由して導入口68
からサイクロン分級機16の分級機本体64内に導入さ
れる。分級機本体16内では、所定粒径以上の相対的な
大きな粉末粒子が下部に設置された回収タンク18に堆
積されるが、超微粉は不活性ガス気流とともに排気パイ
プ66から外部に排出される。本実施形態では、排気パ
イプ66を通じて超微粉を除去し、それによって回収タ
ンク18で捕集する粉末に占める超微粉(粒径:1.0
μm以下)の個数比率を10%以下に調節する。このよ
うにしてRリッチな超微粉が取り除かれると、焼結磁石
中の希土類元素Rが酸素との結合に消費される量を少な
くし、磁石特性を向上させることができる。
【0056】上述のように本実施形態では、ジェットミ
ル粉砕装置(粉砕機14)の後段に接続する遠心分級機
としてブローアップ付きのサイクロン分級機16を用い
ている。このようなサイクロン分級機16によれば、所
定粒径以下の超微粉は回収タンク18に捕集されること
なく反転上昇し、パイプ66から装置外へ排出される。
【0057】パイプ66から装置外へ取り除く微粉の粒
径は、例えば工業調査会の「粉体技術ポケットブック」
の第92頁から第96頁に記載されているようなサイク
ロンの各部パラメータを適切に規定し、不活性ガス流の
圧力を調整することによって制御することができる。
【0058】また、原料供給量を少なくしつつ、分級ロ
ータ36の回転数を増加させることにより、最終的に得
られる粉末粒径を小さくし、所望の粒度分布を与えるこ
とができる。
【0059】本実施形態によれば、フラウンホーファ前
方散乱による光散乱法で測定された粒径が2.0μmよ
りも大きく5.0μm以下の粒子が体積比率で45〜8
0%程度を占め、しかも、前記粒径が10μmよりも大
きな粒子が体積比率で1%未満の粉末を得ることができ
る。また、前記粒径が1.0μm以下の超微粉の体積比
率が粉末全体の個数の5%以下である合金粉末を得るこ
とができる。
【0060】粉砕工程における酸化を適切な範囲内に制
御するためには、微粉砕を行う際に用いる高速気流ガス
(不活性ガス)中の酸素量を体積比率で5000〜50
000ppm程度に調節することが好ましい。高速気流
ガス中の酸素濃度を制御する微粉砕方法は、例えば特公
平6−6728号公報に記載されている。
【0061】上述のように微粉砕時における雰囲気中に
含まれる酸素の濃度を制御することによって、微粉砕後
における合金粉末の酸素含有量(重量)を0.8〜4.
0原子%(2000〜10000ppm)程度に調整す
ることが好ましい。希土類合金粉末中の酸素量が4.0
原子%(10000ppm)を超えて多くなりすぎる
と、焼結磁石中において非磁性酸化物の占める割合が増
加し、最終的な焼結磁石の磁気特性が劣化してしまう。
また、低過ぎても、粉砕後に大気中の酸素と反応として
酸化されてしまうため、最終的に得られる焼結磁石中の
酸素濃度が増加することになる。
【0062】なお、本実施形態では図2に示す構成を備
えたジェットミル粉砕装置10を用いて第2粉砕工程を
実行したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を備
えたジェットミル粉砕装置、あるいはその他のタイプの
微粉砕装置(例えばボールミルや振動ミルなど)を用い
てもよい。また、超微粉を除去するための分級機とし
て、サイクロン分級機以外に、ファトンゲレン分級機や
ミクロセパレータなどの遠心分級機を用いても良い。
【0063】[潤滑剤の添加]本実施形態では、上記方
法で作製された微粉砕粉に対し、ロッキングミキサー内
で潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤で
合金粉末粒子の表面を被覆する。潤滑剤としては、脂肪
酸エステルを石油系溶剤で希釈したものを用いることが
できる。本実施例では、脂肪酸エステルとしてカプロン
酸メチルを用い、石油系溶剤としてはイソパラフィンを
用いる。カプロン酸メチルとイソパラフィンの重量比
は、例えば1:9とする。このような液体潤滑剤は、粉
末粒子の表面を被覆し、粒子の酸化防止効果を発揮する
とともに、プレス時の配向性および粉末成形性を向上さ
せる機能(成形体の密度が均一となり、ワレ・ヒビなど
の欠陥を無くすこと)を発揮する。
【0064】なお、潤滑剤の種類は上記のものに限定さ
れるわけではない。脂肪酸エステルとしては、カプロン
酸メチル以外に、例えば、カプリル酸メチル、ラウリル
酸メチル、ラウリン酸メチルなどを用いても良い。溶剤
としては、イソパラフィンに代表される石油系溶剤やナ
フテン系溶剤等を用いることができる。潤滑剤添加のタ
イミングは任意であり、例えばジェットミル粉砕装置に
よる微粉砕前、微粉砕中、微粉砕後のいずれであっても
良い。液体潤滑剤に代えて、あるいは液体潤滑剤ととも
に、ステアリン酸亜鉛などの固体(乾式)潤滑剤を用い
ても良い。
【0065】[プレス成形]公知のプレス装置を用い、
上述の方法で作製した磁性粉末を配向磁界中で成形す
る。プレス成形が終了した後、粉末成形体は下パンチに
よって押し上げられ、プレス装置の外部へ取り出され
る。上記のような合金粉末を用いることにより、大気中
でのプレス成形が可能となる。
【0066】次に、成形体は、例えばモリブデン材料か
ら形成された焼結用台板に載せられ、台板とともに焼結
ケースへ搭載される。焼結体を搭載した焼結ケースは焼
結炉内に移送され、その炉内で公知の焼結処理を受け
る。成形体は焼結プロセスを経て、焼結体に変化する。
その後、必要に応じて時効熱処理や焼結体の表面に対す
る研磨加工や保護膜堆積処理を実施する。
【0067】本実施形態の場合、成形する粉末中に酸化
しやすいRリッチ超微粉が少ないため、酸化による発熱
・発火がプレス成形直後においても生じにくくなってい
る。Rリッチな超微粉を取り除くことによって、磁気特
性の向上だけではなく、安全性の向上も実現することが
できる。
【0068】[実施例と比較例]本実施例では、原子比
率で希土類元素Rが13〜15%、ホウ素(B)が6〜
7%、鉄(Fe)が残部を占める原料に対して、前述の
サイクロン分級機に接続されたジェットミル粉砕装置を
用いて微粉砕工程を行い、種々の試料A〜Lを作製し
た。これらの試料の粉末について、まず、粒度分布、酸
素量を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】表1では、FSSS(Fisher Sub-Sieve S
izer)粒度とD50粒度(Mass Median Diameter)を併記
している。ここで、試料A、D〜H、およびKは、本発
明の実施例であり、試料B、C、I、J、およびLは比
較例である。試料Cには1原子%のDyを加えたが、そ
れ以外の試料にはDyを添加していない。
【0071】各試料の粉末を得るための粉砕条件は、下
記の表2に示すとおりである。
【0072】
【表2】
【0073】原料の供給速度を相対的に遅くし、分級ロ
ータの回転数を上昇させることにより、本発明の粒度分
布を有する微粉が得られる。
【0074】図3は、試料A、B、およびFの粉末粒度
分布を示すグラフである。この粉末粒度分布は、フラウ
ンホーファ前方散乱による光散乱法で測定されたもので
ある。比較例である試料Bの粒度分布と比較して、実施
例である試料AおよびFの粒度分布はシャープである。
試料AおよびFでは、粒径が2.0μmよりも大きく
5.0μm以下の粒子が体積比率で45%以上を占め、
しかも、粒径が10μmよりも大きな粒子が体積比率で
1%未満である。これに対し、試料Bでは、粒径が2.
0μmよりも大きく5.0μm以下の粒子が体積比率で
38%であり、粒径が10μmよりも大きな粒子の体積
比率は4%である。
【0075】図4は、上記試料A、B、およびFの粉末
の頻度分布を示したグラフである。累積頻度が全体の5
0%となる粒径(D50)は、試料AおよびFの粉末で
は、それぞれ、3.2μmおよび3.8μmであるが、
試料Bでは5.0μmと大きい。これらの粒径は、FS
SS粒径に換算すると、それぞれ、2.1μm、2.4
μm、および3.1μmとなる。
【0076】上記試料A〜Lの粉末をプレスして15m
m×15mm×15mmのサイズを持つ成形体を作製し
た。プレス圧力は、100MPaとした。プレスに際
し、プレス方向と直交する方向に配向磁界(0.8MA
/m)を印加した。プレス後、アルゴン雰囲気中で成形
体を焼結した。焼結条件は、下記の表3に示す通りとし
た。
【0077】
【表3】
【0078】各試料A〜Lの焼結磁石について、結晶粒
度、酸素濃度、磁気特性、および密度を評価した。その
結果を下記の表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】なお、表4の酸素量は、焼結磁石中の酸素
量を以下の方法で測定したものである。すなわち、焼結
磁石を不活性雰囲気中で数十〜数百μmの大きさに粉砕
した後、この粉末を電極付きカーボン坩堝内に入れ、電
流を流して3000℃程度に加熱する。すると、磁石中
の酸素原子(O)と坩堝の炭素原子(C)とが反応して
COやCO2ガスが発生するので、流れ出た上記ガスを
赤外線吸収検出器に通し、ガスの赤外線透過率からガス
濃度(酸素濃度)を求めることができる。このような酸
素濃度の測定には、堀場製作所製の測定装置(EMGA
−620W)を使用した。また、画像解析装置を用い、
焼結体の断面写真(研磨面の写真)から切片長を求め、
その切片長を1.5倍した値を「平均結晶粒径」とし
た。
【0081】なお、上記試料のうち、特に試料A、B、
およびFの粉末から作製した焼結磁石の結晶組織を示す
顕微鏡写真(倍率640倍)を、それぞれ、図5、図
6、および図7に示しておく。これらの写真上における
6.4mmの長さが現実の10μmに相当する。
【0082】上記表4からわかるように、焼結磁石の平
均結晶粒径が5μm以上7.5μm以下、酸素濃度が原
子比率で2.2%以上3.0%以下の範囲内にある実施
例の磁気特性は、粒度分布がこの範囲から外れている比
較例(試料Cを除く)の磁気特性に比べて著しく優れて
いることがわかる。試料Cの磁気特性は本発明の実施例
と同様に優れた磁気特性を示しているが、その原因は、
添加したDyが磁気特性の改善に寄与するからである。
言いかえると、本発明によれば、高価なDyを添加しな
い場合であっても、Dyを1原子%添加した場合と同等
レベルの優れた磁気特性を得ることができ、製造コスト
を大きく低減することが可能になる。また、希少資源で
あるDyを使用しなくてもすむ。
【0083】なお、本発明で用いる希土類合金の粉末粒
子は強磁性体であるため、磁力によって凝集し、2次粒
子を形成する傾向がある。このため、従来の粒度分布測
定方法を用いた場合、正確な測定結果が得られないおそ
れがある。本実施例では、粒度分布の測定を、以下のよ
うにして実行した。
【0084】試料セル中に強いガス流をあてて粉末粒子
の凝集を防ぎつつ、粒度分布測定装置のレーザ光源から
放射されたレーザビームを試料セルに照射し、高速でス
キャンする。そして、試料セルを透過したレーザビーム
の強度変化を検知し、それに基づいて試料セル内に分散
している粒子の粒度分布を測定する。このような粒度分
布測定は、例えばsympatec社製の粒度分布測定
装置(品番HELOS Particle Size Analyzer)を用いて行
うことができる。この粒度分布測定装置は、高速スキャ
ンされるレーザビームが粒子によって遮れたときに透過
光量の減少が生じることを利用し、レーザビームが粒子
を通過するのに要した時間から粒径を直接的に求めるこ
とができる。
【0085】以上、ストリップキャスト法で作製した急
冷合金について本願発明を説明してきたが、本発明の適
用範囲はこれに限定されない。インゴット法によって作
製された合金を用いる場合でもRリッチな超微粉が形成
されるため、本発明の効果が奏される。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、粒度が揃い、かつ、従
来よりも細かい粉末を用い、しかも酸素濃度を適切に調
節しているため、希土類元素Rの酸化に起因する磁石特
性の劣化を充分に防止し、保磁力などの磁石特性を大き
く改善することができるとともに、磁石製造工程中の安
全性も向上させることが可能になる。
【0087】本発明は、Rリッチな超微粉が生成されや
すい急冷合金(例えばストリップキャスト合金)を使用
する場合や水素粉砕工程を実行する場合に特に顕著な効
果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における粗粉砕工程で実行する水素粉砕
処理の温度プロファイルの一例を示すグラフである。
【図2】本発明における微粉砕工程を行うために好適に
用いられるジェットミル粉砕装置の構成を示す断面図で
ある。
【図3】試料A、B、およびFについて、フラウンホー
ファ前方散乱による光散乱法で測定した粉末粒度分布を
示すグラフである。
【図4】試料A、B、およびFの粉末の頻度分布を示し
たグラフである。このグラフは、図3のグラフに示され
ている測定データに基づいて作製されたものでる。
【図5】試料Aの粉末から作製された焼結磁石の結晶組
織を示す顕微鏡写真(倍率640倍)である。
【図6】試料Bの粉末から作製された焼結磁石の結晶組
織を示す顕微鏡写真(倍率640倍)である。
【図7】試料Fの粉末から作製された焼結磁石の結晶組
織を示す顕微鏡写真(倍率640倍)である。
【符号の説明】
10 ジェットミル粉砕装置 12 原料投入機 14 粉砕機 16 サイクロン分級機 18 回収タンク 20 原料タンク 22 モータ 24 供給機(スクリューフィーダ) 26 粉砕機本体 28 ノズル口 30 原料投入パイプ 32 バルブ 32a 上バルブ 32b 下バルブ 34 フレキシブルパイプ 36 分級ロータ 38 モータ 40 接続パイプ 42 脚部 44 基台 46 重量検出器 48 制御部 64 分級機本体 66 排気パイプ 68 導入口 70 フレキシブルパイプ 72 取出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/06 H01F 1/06 A Fターム(参考) 4K017 AA01 AA04 BA06 BB12 CA06 CA07 DA04 EE01 FA01 FA03 4K018 AA27 BA18 BB04 BC12 CA00 DA00 KA45 5E040 AA04 CA01 HB03 NN01 NN18 5E062 CD04 CG02 CG03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラウンホーファ前方散乱による光散乱
    法で測定された粒径が2.0μmよりも大きく5.0μ
    m以下の粒子が体積比率で45%以上を占め、しかも、
    前記粒径が10μmよりも大きな粒子が体積比率で1%
    未満のR−Fe−B系希土類磁石用合金の粉末を用意す
    る工程と、 前記粉末を成形し、成形体を作製する工程と、 前記成形体を焼結する工程と、 を包含するR−Fe−B系希土類磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼結工程によって、平均結晶粒径が
    5μm以上7.5μm以下の焼結磁石を作製する請求項
    2に記載のR−Fe−B系希土類磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼結磁石に含有される酸素の濃度を
    原子比率で2.2%以上3.0%以下に調節する請求項
    1または2に記載のR−Fe−B系希土類磁石の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記R−Fe−B系希土類磁石用合金粉
    末は、Dyを実質的に含んでいない請求項1から3のい
    ずれかに記載のR−Fe−B系希土類磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記R−Fe−B系希土類磁石用合金粉
    末を製造する工程は、急冷法によって作製した希土類磁
    石用原料合金の粗粉砕を行う第1粉砕工程と、前記原料
    合金の微粉砕を行う第2粉砕工程とを含み、 前記第2粉砕工程は、粉砕装置を用い、酸化性ガスを含
    む不活性ガスで満たされた粉砕室内でR−Fe−B系希
    土類磁石用合金の粉砕を行なう請求項1から4のいずれ
    かに記載のR−Fe−B系希土類磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粉砕装置の後段に分級機を接続し、
    前記粉砕装置から出た粉末を分級する請求項5に記載の
    R−Fe−B系希土類磁石用合金粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記希土類磁石用原料合金は、原料合金
    溶湯を102℃/秒以上104℃/秒以下の冷却速度で冷
    却したものであることを特徴とする請求項1から6の何
    れかに記載のR−Fe−B系希土類磁石用合金粉末の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記原料合金溶湯の冷却はストリップキ
    ャスト法によって行うことを特徴とする請求項1から7
    の何れかに記載のR−Fe−B系希土類磁石用合金粉末
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 平均結晶粒径が5μm以上7.5μm以
    下であり、酸素濃度が原子比率で2.2%以上3.0%
    以下であることを特徴とするR−Fe−B系希土類磁
    石。
  10. 【請求項10】 前記R−Fe−B系希土類磁石用合金
    粉末は、Dyを実質的に含んでいない請求項9に記載の
    R−Fe−B系希土類磁石。
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