JP5750737B2 - ワイヤソー用メインローラー、そのローラー本体及び製造方法 - Google Patents

ワイヤソー用メインローラー、そのローラー本体及び製造方法 Download PDF

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本発明は、ワイヤソーに用いられるメインローラーと、このメインローラーを構成するローラー本体と、メインローラーの製造方法に関するものである。
単結晶・多結晶などシリコンインゴット等の半導体の切断には、従来、内周刃切断機やバンドソーが使われていたが、切断ロスを少なくし、単位時間あたりの生産性を向上させるため、ワイヤソーが一般的に用いられるようになってきた。ワイヤソーの概略構成を第3図に示す。ワイヤソー1は、インゴット等の被削物2との管でワイヤ3を往復させながら、徐々に新しいワイヤを供給するよう構成されているおり、ワイヤ3は予めリール4に数キロメートル巻かれている。メインローラー5同士は、所定の間隔で配置されており、メインローラー5近傍には、切削液ノズル6が設けられている。メインローラー5の外周面には、被削物2の所望する厚みに応じて、溝が設けられている。2つのリール4の間で両端が巻き付けられたワイヤ3は、この溝にガイドされながら、メインローラー5の間を往復するよう張架されている。
ワイヤソー1を用いて被削物2を切断する場合、メインローラー5及びリール4をモータで回転させ、ワイヤ3を2つのリール4の間で往復運動させる。このワイヤ3に被削物2を押圧することにより、被削物2は多数枚の基板に加工される。この際、メインローラー5の外周面に形成された溝と被削物2の間には、ワイヤ3の走行方向に切削液ノズル6から、砥粒が液体に分散された、いわゆるスラリが供給され、ワイヤ3の走行方向に同伴され切削部へ到達する。
特開2001−138204号公報に記載されているように、S45C等の機械構造用炭素鋼と機械構造用軸受部を溶接施工によって接合し、メインローラーを構成する。その外周面に樹脂を巻きつけ、ワイヤガイド溝を作成するのが一般的である。
ワイヤソーは、生産性を向上させること、一度に多量の基板を切断加工することが求められている。そこで、切削面積を増加させるために、メインローラーは大型化される傾向にあり、これに伴いメインローラーの重量が大きなものとなっている。メインローラーを軸心と平行方向に長軸化すると、張架されるワイヤ数に比例して、ワイヤ張力が増加し、結果として大きな曲げ応力が発生する。このため、長軸化するだけでなく、メインローラーの大径化も合わせて行う必要があり、さらに重量は増加する。
メインローラー表面のワイヤガイド溝は、消耗すると形状の崩れた溝を旋盤などで切削し新しい溝を作成するため、メインローラーを取り外す。そのため、メインローラーの重量増加は作業性を悪化させ、好ましくない。さらに、機械構造用炭素鋼をメインローラーの材質として用いると、加工時に発生する熱によってメインローラーが熱膨張し、基板の面精度に悪影響を及ぼす。メインローラーに伝達される熱は、大きく分けて2つあると考えられる。1つ目は、ワイヤソー本体のスピンドルを円滑に回転させるための、ベアリングの摺動発熱である。この対策として、ワイヤソーのベアリング部とスピンドル内部を水などの液体によって、冷却する機構を備えた装置があるが、メインローラー内部構造やワイヤソー本体の機構が複雑となるため、好ましくない。2つ目は、ワイヤとワイヤをガイドしている溝との接触により発生する摩擦熱である。
特開2001−138204号公報には、このメインローラーを、金属・セラミックス複合材料製支持部と、それに接着されたアルミナ製ローラーとで構成し、メインローラーの重量を軽減すると共に、摩擦熱を抑制し、被削物の加工精度を向上させることが記載されている。同公報の[0009]段落には、ワイヤソーメインローラー支持部を金属−セラミックス複合体で製作することが記載されている。同公報の表1には、種々の金属−セラミックス複合材料の比重が記載されている。
特開平11−245156号公報には、第4図のように、メインローラー10を、スーパーインバーなどの低熱膨張性金属材よりなるメインローラー支持シャフト11と、このシャフトの両端にそれぞれ摩擦圧接により取り付けられたS45Cなどの機械構造用炭素鋼製軸受部14と、シャフト外周に設けられた溝付きスリーブ12とで構成することにより、切断面の精度を高めることが記載されている。符号15はメインローラー10を支持して回転駆動させるためのスピンドルを示す。同公報の[0007]段落には、メインローラーの熱膨張係数を1×10−6/℃以下とすることが記載されている。
特開2001−138204号公報 特開平11−245156号公報
特許文献1(特開2001−138204)のように、メインローラーの構成材をセラミックス又は金属・セラミックス複合体とすることで、鋼製メインローラーと比較して熱膨張係数および比重が小さくなるものの、比重はさらに十分小さいことが望まれる。特許文献2(特開平11−245156)のスーパーインバーは、熱膨張係数は十分小さいが、比重は機械構造用炭素鋼よりも大きく、定期的に交換が必要なメインローラーの材質として使用するには不向きである。さらに重量の増加は、単位時間あたりの平均線速を向上させる、即ち高速回転による加工効率の向上のためには好ましくない。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、低熱膨張であると共に、軽量かつ高強度であり、高速回転させてインゴット等を精度よく、かつ効率よく切断することができるワイヤソー用メインローラーと、そのローラー本体及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究した結果、炭素繊維強化プラスチックス(以下、「CFRP」と略記する場合がある。)が、低熱膨張率であるとともに軽量で、しかも必要な強度及び剛性を満たすことから、ワイヤソーのメインローラー材料として、好適であることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
請求項1のワイヤソー用メインローラーは、筒状のローラー本体と、該ローラー本体の外周を取り巻く筒状の外装体とを有し、該外装体の外周面にワイヤ溝が設けられたワイヤソー用メインローラーにおいて、該ローラー本体が炭素繊維強化プラスチックス製であって、該炭素繊維強化プラスチックスの炭素繊維が、前記ローラー本体の軸方向に対し0〜±20°方向に延在する第1の炭素繊維と、該軸方向に対して±30〜±60°の方向に延在する第2の炭素繊維と、該軸方向に対して±80〜±90°の方向に延在する第3の炭素繊維とを含み、全炭素繊維に対する第1の炭素繊維の割合が20%以上であり、第2の炭素繊維の割合が20%以上であり、第3の炭素繊維の割合が6.7%以上であることを特徴とするものである。
請求項2のワイヤソー用メインローラーは、請求項1において、前記外装体が合成樹脂又はセラミックス製であることを特徴とするものである。
請求項3のワイヤソー用メインローラーは、請求項1又は2において、前記外装体とローラー本体との間に金属製スリーブが介在していることを特徴とするものである。
請求項4のワイヤソー用メインローラーは、請求項1ないし3のいずれか1項において、金属製のボス部が前記ローラー本体の両端部または一端部に固着されていることを特徴とするものである。
請求項5のワイヤソー用メインローラーは、請求項4において、前記ローラー本体の両端部の全面または、一端部の全面に前記金属製のボス部が固着されていることを特徴とするものである。
請求項のワイヤソー用メインローラーは、請求項1ないしのいずれか1項において、前記ローラー本体の軸方向の熱膨張係数が−1.5×10−6〜+1.5×10−6/℃であることを特徴とするものである。
請求項のワイヤソー用メインローラーのローラー本体は、ワイヤソー用メインローラーのローラー本体において、炭素繊維強化プラスチックス製であって、該炭素繊維強化プラスチックスの炭素繊維が、前記ローラー本体の軸方向に対し0〜±20°方向に延在する第1の炭素繊維と、該軸方向に対して±30〜±60°の方向に延在する第2の炭素繊維と、該軸方向に対して±80〜±90°の方向に延在する第3の炭素繊維とを含み、全炭素繊維に対する第1の炭素繊維の割合が20%以上であり、第2の炭素繊維の割合が20%以上であり、第3の炭素繊維の割合が6.7%以上であることを特徴とするものである。
請求項のワイヤソー用メインローラーの製造方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体に対し筒状の外装体を嵌着した後、外装体の外周面にワイヤ溝を形成することを特徴とするものである。
請求項のワイヤソー用メインローラーの製造方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体に対し筒状の金属製スリーブを嵌着し、該スリーブの外周側に筒状の外装体を嵌着後、外装体の外周面にワイヤ溝を形成することを特徴とするものである。
請求項10のワイヤソー用メインローラーの製造方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体を金型内に配置し、ローラー本体の外周と金型内周面との間に樹脂材料を供給して硬化させて外装体を形成し、脱型後、外装体にワイヤ溝を形成することを特徴とするものである。
本発明では、ワイヤソー用メインローラーのローラー本体をCFRPにて構成している。このCFRPは、低比重かつ高強度であると共に、熱膨張係数が低い。そのため、ワイヤソー用メインローラーを高速回転させてインゴット等を効率よく切断することができると共に、ローラー本体の軸方向の熱膨張係数を−1.5×10−6〜+1.5×10−6/℃程度の低熱膨張率とすることが可能であることから切断精度を向上させることができる。
本発明では、ローラー本体と外装体との間に金属製スリーブを介在させてもよい。このようにすれば、切削液の種類を選ぶことなく、CFRP製ローラー本体の使用が可能となる。また、切断中にワイヤが断線した場合でも、CFRP製ローラー本体部が直接傷つくことを防止できる。
本発明では、金属製のボス部をローラー本体の両端部または一端部に設けることにより、ワイヤソー用メインローラーをワイヤソー装置のメインローラー駆動部に強固に取り付けることが可能となる。
また、ローラー本体を構成するCFRPの炭素繊維を、軸方向(ローラー本体の軸心と平行方向。以下、同様)と、この軸方向に対して交差方向とに延在させることにより、ワイヤソー用メインローラーの必要とする強度・剛性を維持しながら低熱膨張率とすることが可能である。
本発明のワイヤソー用メインローラーを製造する場合、CFRP製ローラー本体に対し、必要に応じ金属製スリーブを嵌着した後、筒状外装体を嵌着し、次いで外装体にワイヤ溝を形成する。即ち、例えば予めCFRP製ローラー本体の外径に適合するように樹脂を硬化させて円筒状の外装体を形成し、この外装体の中空部にローラー本体を圧入した後、ワイヤ溝を形成する。もしくは、CFRP製ローラー本体を金型内に配置し、ローラー本体と金型内周面との間に樹脂材料を注入して外装体を形成し、脱型後、ワイヤ溝を形成する。このようにワイヤ溝を後から形成することにより、ワイヤ溝を高精度にて設けることができる。
実施の形態に係るワイヤソー用メインローラーの断面図である。 別の実施の形態に係るワイヤソー用メインローラーの断面図である。 ワイヤソー装置の概略図である。 従来例に係るワイヤソー用メインローラーの断面図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るワイヤソー用メインローラーのメインローラー軸心線方向の断面図、第2図は別の実施の形態に係るワイヤソー用メインローラーのメインローラー軸心線方向の断面図である。
第1図の実施の形態に係るワイヤソー用メインローラー20は、円筒状のCFRP製のローラー本体21と、該ローラー本体21の外周に装着された外装体としての円筒状のアウタースリーブ22と、ローラー本体21の両端に装着されたボス部24とを備えている。なお、ボス部24は、ローラー本体21の一端側にのみ装着されてもよい。
CFRP製ローラー本体21は、通常は外径(直径)Dが100〜500mm、特に150〜400mm程度であり、内径が20〜500mm、特に30〜300mm程度である。肉厚(外周半径と内周半径との差)はローラー本体21の直径の2〜49%、特に5〜40%程度であることが好ましい。ローラー本体21の軸心線方向長さLは、通常50〜2000mm、特に300〜1200mm程度である。
CFRPの炭素繊維としては、平均繊維径が5〜20μm、好ましくは7〜12μmであり、引張弾性率が100〜1000GPa、特に200〜800GPa程度のものが好適である。CFRPのマトリックスとしては、エポキシ、フェノール、ビスマレイミド等の熱硬化性樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリアミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂などが好適である。CFRP中に占める炭素繊維の体積%は40〜80%、特に50〜70%が好適である。
ただし、これらの寸法、材料等は好適な一例を示すものであって、本発明はこれらに限定されるものではない。
CFRP中の炭素繊維としては、ローラー本体21の軸方向に配向したものと、軸方向に対し角度θにて交差方向に配向したものとを含むことが好ましい。また、角度θが異なる2以上の交差方向炭素繊維を含んでもよい。
好適な炭素繊維の配向例の一例を示すと次の通りである。
軸方向に対し0〜±20°方向の炭素繊維:20〜80%(全炭素繊維に対する割合
。以下、同様。)
軸方向に対し±30〜±60°方向の炭素繊維:20〜80%
軸方向に対し±80〜±90°方向の炭素繊維: 0〜20%
好適な一例にあっては、ローラー本体21の最内層に軸方向に対し90°方向の炭素繊維配向層を設け、その上に中間層として、0〜±20°の配向層を設け、最外層に±30〜±60°の配向層を設ける。ただし、最内層、中間層、最外層の配置をこれとは逆としても良く、また当該積層を繰り返す等、他の構成としてもよい。
このCFRP製ローラー本体の軸方向の熱膨張係数は−1.5×10−6〜+1.5×10−6/℃であることが好ましい。
ローラー本体21を製造するには、フィラメントワインディング法によるのが好適である。即ち、マンドレルの周囲に未硬化合成樹脂を付着させた炭素繊維を例えば、上記の配向例のように巻き付けた後、合成樹脂を硬化させ、次いでマンドレルを脱芯する。
ボス部24は、S45C等の機械構造用炭素鋼、アルミ合金、低熱膨張率金属材料などによって構成するのが好ましい。このボス部24には、ワイヤソー装置のスピンドルと係合させるためのテーパ部24aが設けられている。ローラー本体21とボス部24とは、接着剤を用いて固着させる。
アウタースリーブ22は、好ましくは合成樹脂又はセラミックスよりなる。アウタースリーブの合成樹脂としては、ポリウレタン、ポリエチレンなどが好適である。合成樹脂製アウタースリーブの場合、厚さは1〜30mm、特に3〜20mm程度が好適である。
セラミックスとしては、アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ステアタイト(MgO・SiO)、ジルコニア(ZrO)等が好適である。セラミックス製アウタースリーブの場合、厚さは0.2〜30mm、特に0.5〜10mm程度が好適である。
アウタースリーブ22が熱硬化性合成樹脂よりなる場合は、ローラー本体21を円筒形金型の軸心位置に配置した後、ローラー本体21の外周面と金型の内周面との間に未硬化合成樹脂を流し込み、その後、加熱して合成樹脂を硬化させ、アウタースリーブ22とローラー本体21とを一体化させることができる。また、セラミックス製アウタースリーブなどは、予め成形された後、ローラー本体21に外嵌めして、一体化することができる。さらに、セラミックス製アウタースリーブは、ローラー本体21の最表面に溶射により直接形成させてもよい。
また、同様にアウタースリーブ22は、予め成形された後、ローラー本体21に外嵌めし、接着剤によって接着されても良い。接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤などを用いることができるが、これに限定されない。
アウタースリーブ22とローラー本体21とを一体化させた後、又はローラー本体21に装着される前のアウタースリーブ22に対し、溝23を形成する。
溝23のピッチは、スライスされたウェハ等の厚みに対応したものとなる。溝23の断面形状は、V形が好適である。溝23は、切削加工によってアウタースリーブ22の外周面に設けるのが、簡便で好適であるが、アウタースリーブの成形用金型に凸部を設けておくことによって形成されてもよい。
第2図の実施の形態に係るワイヤソー用メインローラー20Aは、ローラー本体21の外周面とアウタースリーブ22の内周面との間に金属製スリーブ(以下、メタルスリーブという。)25を設けたものである。この実施の形態では、メタルスリーブ25はローラー本体21とボス部24の外周面の全体を覆っている。
このメタルスリーブ25の材質としては、耐食性の良好なステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、低熱膨張率金属材料などが好適である。メタルスリーブ25の厚みは0.1〜5mm、特に0.2〜2mm程度が好適である。このメタルスリーブ25は予め円筒形に成形された後、ローラー本体21に外嵌めされ、必要に応じ接着剤で接着されたものである。
このメタルスリーブ25の外周面にメッキ層を設けてもよい。メッキ金属としては、耐食性の良好なニッケル、クロムなどが好適である。また、ローラー本体21に、直接ダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜)などを成長させることも好適である。
このようなメタルスリーブ25やメッキ層または、DLC膜を設けることにより、切削液などによるCFRP製ローラー本体21の劣化が防止される。
第2図のその他の構成は第1図と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
このように構成されたメインローラー20,20Aは、前記第3図のようにワイヤソー装置に組み込まれ、単結晶・多結晶シリコンインゴット、GaAs、GaN,GaP,サファイア、SiC、III族窒化物半導体等の切断に用いられる。
このメインローラー20,20Aは、ローラー本体21がCFRP製であり、低比重であり、鋼製ローラー本体に比べて軽量である。そのため、メインローラー20,20Aを高速回転させてインゴット等を効率よく切断することができる。また、CFRPは低熱膨張であるので、インゴット等を高精度にて切断することができる。
なお、この実施の形態では、金属製ボス部24をローラー本体21に固着しているので、メインローラー20,20Aをワイヤソーに確実に装着することができる。
第1図のメインローラー20は、メタルスリーブを有しておらず、その分だけさらに軽量である。
第2図のメインローラー20Aでは、メタルスリーブ25を設けたことにより、前述の通り、CFRPに影響を与える切削液を使用した場合であっても、CFRP製ローラー本体21の劣化が防止されるので、メインローラー20Aの耐久性が向上する。
なお、メインローラー20,20Aを使用していると、アウタースリーブ22が次第に磨耗してくるので、適宜アウタースリーブを交換する。第2図のようにメタルスリーブ25を装着してあると、ローラー本体21を傷つけることなくアウタースリーブ22を容易に交換することができる。また、メタルスリーブを装着しない場合、ローラー本体21の外装部に、0.1〜5mm、特に好ましくは、0.5〜1.5mm程度の厚さのCFRP製保護層を設けてもよい。
ワイヤソーの運転条件の好適な一例を次に示す。
ワイヤ径:40〜250μm
ワイヤ線速:300〜1500m/min
ワイヤ張力:ワイヤ線径に応じ、5〜50N
ワイヤ往復サイクル:加減速0.2〜10s、一定速度10〜60s
(サイクル不問、一方向送りでも可)
切断速度:5mm/h〜100mm/h
新線供給量:1〜20m/min
砥粒:GC#400〜#3000
なお、ワイヤソーは、ワイヤ自体にダイヤを固着しているいわゆる、固定砥粒ワイヤで被削物を加工するよう構成したものであってもよい。
以下に、本発明の具体的な実施態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施態様1]
直径130mmのマンドレルを用いて、フィラメントワインディング法により、外径250mm、内径165mmのCFRP製ローラー本体を作製する。即ち、このマンドレルの外周に、未硬化エポキシ樹脂を付着させた、平均繊維径10μm、引張弾性率640GPaの炭素繊維(三菱樹脂(株)製「K63712」)を巻きつける。積層構成および比率を表1に示す。炭素繊維角度は、軸方向を0°としている。
Figure 0005750737
次いで、硬化炉でエポキシ樹脂を150℃にて硬化させた後に、マンドレルを脱芯して、CFRP製ローラー本体を製作する。このCFRPの炭素繊維含有割合は55体積%である。また、このCFRP製ローラー本体の重量は、27kgであり、軸方向の熱膨張係数は、−0.9×10−6/℃である。
このCFRP製ローラー本体の長さを550mmで切断し、S45C製のボス部をエポキシ系接着剤にて固着する。
これとは別に、内径250mm、外径280mm、長さ530mmのポリウレタン製のアウタースリーブを金型によって成形する。上記のCFRP製ローラー本体の外周面にエポキシ系接着剤を付着させておき、このアウタースリーブを外嵌めし、アウタースリーブとローラー本体とを一体化させる。
その後、アウタースリーブの外周面に、V字形のワイヤ溝を372μm間隔で、1350本切削加工し、メインローラーを形成する。
[実施態様2]
軸方向に対して、±45°の方向に炭素繊維として三菱樹脂(株)製「K63A12」(平均繊維径10μm、引張弾性率790GPa)を配向させ、±15°及び90°方向にそれぞれ東レ社製「T700」(平均繊維径7μm、引張弾性率230GPa)を配向させる他は、実施態様1と同様にして、CFRP製メインローラー本体を製作し、同様にメインローラーを形成する。このCFRP製ローラー本体の重量は、27kgであり、軸方向の熱膨張係数は−0.6×10-6/℃である。
[実施態様3]
使用する全ての炭素繊維に三菱樹脂(株)製「K63712」(平均繊維径12μm、引張弾性率640GPa)を使用し、積層する炭素繊維の角度を、±15°、±45°、90°とし、積層比率をそれぞれ、4:2:3とする他は、実施態様1と同様にして、CFRP製メインローラー本体を製作し、同様にメインローラーを形成する。このCFRP製ローラー本体の重量は、27kgであり、軸方向の熱膨張係数は、−0.3×10−6/℃である。
[実施態様4]
実施態様1と全く同様の外径250mm、内径165mmのCFRP製ローラー本体を製作する。その外周に肉厚1mmのステンレスリーブを圧入により装着し、実施態様1と同様にV字形のワイヤ溝を形成し、最終的に外径252mmのステンレス被覆CFRPメインローラーを製造する。
[参考例1]
ローラー本体を外径(直径)250mm、内径200mmのS45C製とすること以外は実施態様1と同様にしてメインローラーを製作する。このローラー本体の重量は78kgであり、軸方向の熱膨張係数は11×10−6/℃である。
Figure 0005750737
表2から明らかなように、ローラー本体材質をCFRPにすることで、メインローラーを低熱膨張とし、加工精度を大幅に向上させることができる。また、このように加工精度に優れることから、後工程にラッピング、ポリッシング工程を有する半導体基板の製造においても、工程を短縮可能である。また、CFRP化することによって、ローラー本体の重量も従来の35%程度とすることができ、メインローラー交換の作業性向上、作業時間短縮を図ることができると共に、高速回転による加工効率の向上を図ることができる。
20,20A メインローラー
21 ローラー本体
22 アウタースリーブ
23 溝
24 ボス部
25 メタルスリーブ

Claims (10)

  1. 筒状のローラー本体と、該ローラー本体の外周を取り巻く筒状の外装体とを有し、該外装体の外周面にワイヤ溝が設けられたワイヤソー用メインローラーにおいて、
    該ローラー本体が炭素繊維強化プラスチックス製であって、
    該炭素繊維強化プラスチックスの炭素繊維が、前記ローラー本体の軸方向に対し0〜±20°方向に延在する第1の炭素繊維と、該軸方向に対して±30〜±60°の方向に延在する第2の炭素繊維と、該軸方向に対して±80〜±90°の方向に延在する第3の炭素繊維とを含み、
    全炭素繊維に対する第1の炭素繊維の割合が20%以上であり、第2の炭素繊維の割合が20%以上であり、第3の炭素繊維の割合が6.7%以上であることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  2. 請求項1において、前記外装体は合成樹脂又はセラミックス製であることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  3. 請求項1又は2において、前記外装体とローラー本体との間に金属製スリーブが介在していることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、金属製のボス部が前記ローラー本体の両端部または一端部に固着されていることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  5. 請求項4において、前記ローラー本体の両端部の全面または一端部の全面に金属製のボス部が固着されていることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記ローラー本体の軸方向の熱膨張係数が−1.5×10−6〜+1.5×10−6/℃であることを特徴とするワイヤソー用メインローラー。
  7. ワイヤソー用メインローラーのローラー本体において、炭素繊維強化プラスチックス製であって、
    該炭素繊維強化プラスチックスの炭素繊維が、前記ローラー本体の軸方向に対し0〜±20°方向に延在する第1の炭素繊維と、該軸方向に対して±30〜±60°の方向に延在する第2の炭素繊維と、該軸方向に対して±80〜±90°の方向に延在する第3の炭素繊維とを含み、
    全炭素繊維に対する第1の炭素繊維の割合が20%以上であり、第2の炭素繊維の割合が20%以上であり、第3の炭素繊維の割合が6.7%以上であることを特徴とするワイヤソー用メインローラーのローラー本体。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体に対し筒状の外装体を嵌着した後、外装体の外周面にワイヤ溝を形成することを特徴とするワイヤソー用メインローラーの製造方法。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体に対し筒状の金属製スリーブを嵌着し、該スリーブの外周側に筒状の外装体を嵌着し、その後外装体の外周面にワイヤ溝を形成することを特徴とするワイヤソー用メインローラーの製造方法。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のワイヤソー用メインローラーを製造する方法であって、前記炭素繊維強化プラスチックス製のローラー本体を金型内に配置し、ローラー本体の外周と金型内周面との間に樹脂材料を供給して硬化させて外装体を形成し、脱型後、外装体にワイヤ溝を形成することを特徴とするワイヤソー用メインローラーの製造方法。
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