JP2002018722A - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

研削砥石及びその製造方法

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JP2002018722A
JP2002018722A JP2000203791A JP2000203791A JP2002018722A JP 2002018722 A JP2002018722 A JP 2002018722A JP 2000203791 A JP2000203791 A JP 2000203791A JP 2000203791 A JP2000203791 A JP 2000203791A JP 2002018722 A JP2002018722 A JP 2002018722A
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grinding wheel
resin
fibers
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carbon fiber
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JP2000203791A
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English (en)
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Mitsuhiro Hasegawa
光洋 長谷川
Kiyoshi Narita
成田  潔
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NITOLEX HONSHA KK
Nitolex Corp
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NITOLEX HONSHA KK
Nitolex Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱膨張率が小さく、実用上十分な比弾性率を
持ち、価格も安価であるベース円盤を備えた研削砥石、
及びその製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】 炭素繊維をエポキシ樹脂の中に含浸して
なる炭素繊維樹脂層と、ガラス繊維をエポキシ樹脂の中
に含浸してなるガラス繊維樹脂層とを、所定の順序で積
層する。この時、それぞれの繊維は一定の角度ずつずら
して積層し、全体として繊維の方向性を持たないように
する。この積層物を、金型の中に挿入し、120℃まで
昇温し、20MPaで2時間加圧して、複合成型体を得
た。更にこの複合成型体を、所定の寸法に機械加工して
ベース円盤3とした後、その外周を囲むように、砥粒層
2を形成し、研削砥石を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、使用周速
が毎秒100mを越える高速研削に用いる研削砥石及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高速研削に用いる研削砥石と
して、図1に示す様な、ベース円盤の外周部に砥粒層を
接着したタイプの研削砥石が使用されてきた。この研削
砥石は、ベース円盤の中心に、砥石取り付け軸を接続
し、その軸を駆動することにより、砥粒層の周速が毎秒
100m以上となる高速で回転させて使用する。
【0003】この種の研削砥石に使用されるベース円盤
の材料としては、アルミ合金、鋼、CFRP(炭素繊維
強化プラスチック)が使用されてきた。上記のベース円
盤は、高速回転時に、遠心力で最外周が外側に伸びる
(直径が大きくなる)が、その伸び量が大きいと、砥粒
層の破壊や、加工精度の低下の原因となる。それを防ぐ
ため、ベース円盤には、比弾性率が小さいことが要求さ
れる。
【0004】又、研削砥石は、使用時には被研削材との
摩擦により高温となるため、ベース円盤の熱膨張率が大
きいと、やはり、砥粒層の破壊や、加工精度の低下の原
因となる。そのため、ベース円盤は、熱膨張率が小さい
ものでなければならない。更に、ベース円盤には、価格
が安いことも必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アルミ合金製
のベース円盤は、熱膨張率が大きいため、温度変化が大
きい使用条件下では、ベース円盤の膨張により加工精度
が低下したり、砥粒層が破損するという問題があった。
【0006】又、鋼製のベース円盤は、比重が重いた
め、(a)砥石取り付け軸を駆動するために大きな動力
を必要とすること、(b)砥石取り付け軸に懸かる負荷
が大きいため、砥石取り付け軸が変形し易く、加工精度
が低下すること、という問題があった。
【0007】又、上記(b)の対策として、砥石取り付
け軸を太くして剛性を高めた場合には、砥石取り付け軸
が重くなるため、一層大きな駆動動力が必要となってし
まう。更に、研削盤が大型化してしまうこと、砥石取り
付け軸の軸受け内径が大きくなることにより、軸受けの
許容回転数が小さくなり、高速回転が得られないこと、
という別の問題も発生する。
【0008】CFRP製ベース円盤は、比弾性率、熱膨
張率等の性能面では優れているが、非常に価格が高いと
いう問題があった。つまり、上記の様に、性能と価格を
ともに満足するベース円盤は従来存在しなかった。
【0009】本発明は上記の点に鑑みなされたものであ
り、熱膨張率が小さく、実用上十分な比弾性率を持ち、
価格も安価であるベース円盤を備えた研削砥石、及びそ
の製造方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】(1)請
求項1の発明は、ベース円盤と、前記ベース円盤の外周
に沿って設けられた砥粒層とを備え、回転させて使用す
る研削砥石であって、前記ベース円盤が、炭素繊維とガ
ラス繊維と樹脂とを含むことを特徴とする研削砥石を要
旨とする。
【0011】本発明の研削砥石を構成するベース円盤
は、例えば、樹脂を基材とし、その中に炭素繊維とガラ
ス繊維とを補強材として含むものである。本発明の研削
砥石は、以下の優れた特性を有する。 本発明の研削砥石を構成するベース円盤の熱膨張率が
低いため、高温環境下で使用しても、熱膨張によるベー
ス円盤の外周の広がりは小さく、砥粒層が破壊された
り、加工精度が低下することがない。
【0012】本発明の研削砥石のベース円盤は、炭素
繊維に比べて価格の安いガラス繊維を含むため、CFR
P製ベース円盤に比べて、製造コストが低い。 必要な特性と価格に応じた研削砥石を容易に選択する
ことができる。つまり、本発明の研削砥石では、ガラス
繊維の炭素繊維に対する比率が高いほど製造コストが安
くなり、逆に、炭素繊維のガラス繊維に対する比率が高
いほど、特性(例えば、比弾性率)が優れているが、炭
素繊維とガラス繊維の比率の変更は、製造時に投入する
材料(炭素繊維とガラス繊維)の比率を変えることによ
り、容易に行うことができる。
【0013】従って、使用時に必要な特性を満たしつ
つ、なるべく価格の安い研削砥石を容易に設計すること
ができる。例えば、実際に研削砥石を使用する時の回転
数から、ベース円盤に要求される比弾性率を算出し、そ
の比弾性率を満たすように、ベース円盤における炭素繊
維とガラス繊維の比率を設定することができる。
【0014】例えば、使用時における砥粒層の周速が8
0〜130m/sの場合には、全繊維(炭素繊維及びガ
ラス繊維)の体積に対する炭素繊維の好ましい体積の割
合は、20〜40%であり、周速が130〜200m/
sの場合には、好ましい炭素繊維の割合は40〜60%
であり、周速が200〜260m/sの場合には、好ま
しい炭素繊維の割合は、60〜80%である。
【0015】・尚、本発明の研削砥石のベース円盤で
は、熱膨張率は、炭素繊維/ガラス繊維の比率に影響さ
れず、常に小さい。 (2)請求項2の発明は、前記ベース円盤において、前
記炭素繊維は全体として、繊維の方向性を持たず、前記
ガラス繊維は、全体として、繊維の方向性を持たないこ
とを特徴とする前記請求項1に記載の研削砥石を要旨と
する。
【0016】本発明は、ベース円盤における炭素繊維及
びガラス繊維の配列を例示している。本発明におけるベ
ース円盤では、炭素繊維を、例えば、互いに角度を変え
て積層することにより、ベース円盤に含まれる炭素繊維
全体としては、特定の方向性を持たないようにしてい
る。又、ガラス繊維についても、同様に、ガラス繊維全
体として、方向性を持たないようにしている。
【0017】つまり、炭素繊維及びガラス繊維には、そ
の織り方に方向性があるため、炭素繊維及びガラス繊維
を含有する材料では、それら繊維の向きが揃っている場
合には、繊維の向きに対する方向によって、材料の特性
(例えば比弾性率)が異なってしまう(特性の方向依存
性がある)が、本発明におけるベース円盤では、炭素繊
維及びガラス繊維のそれぞれについて、繊維が全体とし
て方向性を持たないため、ベース円盤には特性の方向依
存性が無い。
【0018】そのため、例えば、本発明の研削砥石を高
速で回転した場合に、遠心力による最外周部分の伸び量
(変形量)は、場所に依らず均一である。従って、高速
回転時に、ベース円盤がいびつな形に変形し、砥粒層の
破壊や研削程度の低下を招くことはない。
【0019】尚、全体として方向性を持たない様に繊維
(炭素繊維又はガラス繊維)を積層する方法として、例
えば、1の繊維に対して、織り目の方向をA度ずらして
2の繊維を積層し、更に2の炭素繊維に対して、織り目
の方向をA度ずらして3の炭素繊維を積層する、という
ように、積層してゆく方法がある。
【0020】又、例えば、n枚の繊維を、上記のように
して互いに180/n度ずつずらして積層したものを1
セットとし、必要な数のセットを更に積層する方法があ
る。この方法では、各セットには繊維の方向性が無いの
で、セット同士の積層においては、方向性を気にしない
でも良い。
【0021】又、炭素繊維とガラス繊維の配列の順序に
ついては、ベース円盤の厚み方向について対称とするこ
とによって、回転砥石のバランスを良くすることができ
る。つまり、図2はベース円盤の断面図であるが、中心
面Sを対称面として、その両側の炭素繊維及びガラス繊
維の配置を対称となるようにすることによって、研削砥
石の重心を中心面Sと一致させることができる。
【0022】(3)請求項3の発明は、前記ベース円盤
は、所定の枚数の前記炭素繊維から成る炭素繊維セット
と、所定の枚数の前記ガラス繊維から成るガラス繊維セ
ットとを備え、前記炭素繊維セットと前記ガラス繊維セ
ットとは交互に積層され、前記炭素繊維セットでは、前
記炭素繊維は全体として方向性を持たず、前記ガラス繊
維セットでは、前記ガラス繊維は全体として方向性を持
たないことを特徴とする前記請求項1又は2に記載の研
削砥石を要旨とする。
【0023】本発明は、ベース円盤における炭素繊維及
びガラス繊維の配列を例示している。本発明におけるベ
ース円盤内では、炭素繊維は所定の枚数集まって炭素繊
維セットを作り、又、ガラス繊維は所定の枚数集まって
ガラス繊維セットを作っており、更に炭素繊維セットと
ガラス繊維セットとが、交互に積層されている。
【0024】そして、それぞれの炭素繊維セットは、全
体として炭素繊維の方向性が無いように炭素繊維が積層
されており、それぞれのガラス繊維セットも又、全体と
してガラス繊維の方向性がないようにガラス繊維が積層
されている。従って、本発明におけるベース円盤は、セ
ット全体として繊維の方向性を持たない炭素繊維セット
と、セット全体として繊維の方向性を持たないガラス繊
維セットとが積層されたものであるので、ベース円盤全
体としても、炭素繊維とガラス繊維のどちらについて
も、全体として方向性を持たない。
【0025】その結果、本発明の研削砥石は、前記実施
例2の研削砥石と同様に、特性(例えば比弾性率)の方
向依存性は無い。又、本発明の研削砥石では、ベース円
盤内に含まれる炭素繊維とガラス繊維の比率を容易に変
更することができる。例えば、ベース円盤内における炭
素繊維とガラス繊維の比率を2:1としたい場合には、
例えば、一つの炭素繊維セット内の炭素繊維の枚数を1
0とし、一つのガラス繊維セット内のガラス繊維の枚数
を5とすれば良い。
【0026】尚、炭素繊維セット及びガラス繊維セット
において、全体として方向性を持たない様に繊維(炭素
繊維又はガラス繊維)を積層する方法としては、例え
ば、一定の角度ずつずらしながら繊維を積層する方法が
ある。 (4)請求項4の発明は、前記炭素繊維と前記ガラス繊
維との体積比が、90:10〜30:70であること特
徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の研削砥石
を要旨とする。
【0027】本発明は、炭素繊維とガラス繊維の体積比
を例示している。炭素繊維の体積比が高いほど、特性
(例えば、比弾性率)の優れた研削砥石となり、ガラス
繊維の体積比が高いほど、価格の安い研削砥石となる。
本発明の研削砥石は、炭素繊維の体積比が30%以上で
あるので、前記特性に優れ、例えば、研削砥石の外周で
の周速が100m/s以上の条件で使用することができ
る。
【0028】又、炭素繊維の体積比が90%以下である
ので、例えば炭素繊維の体積比が100%の材料からな
るベース円盤を持つ研削砥石に比べて安価なものとする
ことができる。 (5)請求項5の発明は、前記樹脂が、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、又はフェノール樹脂の
うちのいずれか一種、またはそれらのうちのいずれか2
種以上の混合物であることを特徴とする前記請求項1〜
4のいずれかに記載の研削砥石を要旨とする。
【0029】本発明は、樹脂を例示している。上記樹脂
は、強度に優れ、又、適度な融点を持つので、例えば、
ベース円盤の製造時において、加熱成形がし易いという
長所を持つ。 (6)請求項6の発明は、前記砥粒層が、人造砥粒であ
ることを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載
の研削砥石を要旨とする。
【0030】本発明は砥粒を例示している。人造砥粒と
しては、例えば、ダイヤモンド、CBN、酸化アルミニ
ウム、炭化ケイ素等が挙げられる。人造砥粒は硬度が高
く、又、耐摩耗性が高いので、研削砥石の砥粒として優
れている。 (7)請求項7の発明は、前記請求項1〜6に記載の研
削砥石を製造する方法であって、炭素繊維を樹脂に含浸
してなる炭素繊維樹脂層と、ガラス繊維を樹脂に含浸し
てなるガラス繊維樹脂層とを積層する積層工程と、前記
積層物を加熱しながら加圧する成形工程と、前記成型体
の外周部に砥粒層を形成する砥粒層形成工程とを備える
ことを特徴とする研削砥石の製造方法を要旨とする。
【0031】積層工程において、炭素繊維樹脂層と、ガ
ラス繊維樹脂層とを積層する方法としては、例えば、炭
素繊維樹脂層と、ガラス繊維樹脂層とを、所定の割合で
相互に積層する方法がある。例えば、炭素繊維とガラス
繊維の比率を2:1とする場合には、炭素繊維樹脂層2
枚と、ガラス繊維樹脂層1枚とを、交互に積層してゆ
く。
【0032】又、別の方法として、炭素繊維樹脂層を所
定の枚数重ねたものを炭素繊維樹脂セットとし、ガラス
繊維樹脂層を所定の枚数重ねたものをガラス繊維樹脂セ
ットとし、炭素繊維樹脂セットとガラス繊維樹脂セット
とを必要な割合で積層する方法がある。
【0033】例えば、炭素繊維樹脂セットとガラス繊維
樹脂セットとがそれぞれ4枚から成り、ベース円盤中の
炭素繊維とガラス繊維の比率を2:1としたい場合に
は、炭素繊維樹脂セット2つと、ガラス繊維樹脂セット
セット1つとを、交互に積層する。(つまり、炭素繊維
樹脂層8層と、ガラス繊維樹脂層4層とが、交互に積層
されることになる。)この時、例えば、樹脂セット(炭
素繊維樹脂セット又はガラス繊維樹脂セット)内で、全
体として方向性を持たないように繊維(炭素繊維又はガ
ラス繊維)を積層しておけば、樹脂セット全体として繊
維の方向性がなく、樹脂セットを積層して成るベース円
盤も又、繊維の方向性がなく、特性が方向性を持たなく
なる。
【0034】更に、炭素繊維樹脂セットとガラス繊維樹
脂セットに含まれる繊維の枚数を変えることによって
も、炭素繊維とガラス繊維の比率を選択することができ
る。例えば、ベース円盤中の炭素繊維とガラス繊維の比
率を2:1としたい場合には、炭素繊維樹脂セットに含
まれる炭素繊維を8枚とし、ガラス繊維樹脂セットに含
まれるガラス繊維の枚数を4枚とし、炭素繊維樹脂セッ
トとガラス繊維樹脂セットとを、交互に積層する方法が
ある。この場合でも、樹脂セット内で、全体として方向
性を持たないように繊維を積層しておけば、樹脂セット
全体として繊維の方向性がなく、樹脂セットを積層して
成るベース円盤も又、繊維の方向性がなく、ベース円盤
の特性が方向性を持たなくなる。
【0035】成型工程としては、例えば、積層物を、樹
脂の融点を超える温度にまで加熱し、同時に加圧するこ
とにより、隣接する樹脂層を接合し、積層物を一体化す
る工程がある。砥粒層形成工程とは、例えば、成型体を
所定の寸法に機械加工し、外周に接着又は熱間プレスの
方法で砥粒層を形成する工程である。
【0036】本発明により製造される研削砥石は、前記
請求項1〜6のいずれかの研削砥石と同様の効果を奏す
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に本発明の研削砥石の実施の
形態の例(実施例)を説明する。まず、実施例について
説明する。 (実施例) イ)本実施例の研削砥石の構造を図1を用いて説明す
る。
【0038】本実施例における研削砥石は、ベース円盤
(円盤状台金)3と、ベース円盤3の外周に沿って設け
られた接着層2と、接着層2によってによってベース円
盤3の最外周と接合し、ベース円盤3を囲んで設けられ
た砥粒層1とから成る。ベース円盤3は、図2に示す様
に、中心に貫通孔(砥石孔4)を有するドーナツ型の形
状をしており、外径240mm、内径(砥石孔4の直
径)25mmである。又、ベース円盤3の厚みは、砥石
孔4の中心からの距離に応じて3段階に変化しており、
直径25〜90mmの範囲では厚み25mmであり、直
径90〜170mmの範囲では厚さ15mmであり、直
径170〜240mmの範囲では、厚さ5mmである。
【0039】そして、ベース円盤3は、エポキシ樹脂を
基材とし、炭素繊維とガラス繊維を含有している。この
炭素繊維とガラス繊維は、それぞれ、1方向性の編み方
をされたものである。又、砥粒層1は、24個の円弧型
の砥石(周長32.7mm)を、ベース円盤3の外周に
沿って張り合わせることにより構成されている。そし
て、砥粒層1の厚さ(ベース円盤3の半径方向)は5m
mであり、幅(ベース円盤3の厚み方向)は5mmであ
る。又、砥粒層1は、CBN砥粒(#140/170)
50容量部、ビトリファイドボンド20容量部、気孔3
0容量部からなる。
【0040】接着層2は、エポキシ樹脂から成り、砥粒
層1とベース円盤3との間に薄く広がり、それらを接着
している。 ロ)次に本実施例の研削砥石の製造方法を説明する。 炭素繊維をエポキシ樹脂の中に含浸してなる炭素繊維
樹脂層を準備する。この炭素繊維樹脂層は、直径260
mmの円形であり、厚み0.2mmである。そして、こ
の炭素繊維樹脂層中での炭素繊維とエポキシ樹脂の体積
比は、60:40である。又、ガラス繊維をエポキシ樹
脂の中に含浸してなるガラス繊維樹脂層を準備する。こ
のガラス繊維樹脂層も、前記炭素繊維樹脂層と同じ寸法
であり、ガラス繊維とエポキシ樹脂の体積比も又、6
0:40である。
【0041】炭素繊維樹脂層とガラス繊維樹脂層を、
所定の順序で積層する。具体的には、炭素繊維樹脂層
を、図3に示す様に、45度ずつずらして4枚積層した
ものを、炭素繊維樹脂層セットとする。同様に、ガラス
繊維樹脂層を、45度ずつずらして4枚積層したもの
を、ガラス繊維樹脂層セットとする。そして、炭素繊維
樹脂層セットをaセット積層し、ガラス繊維樹脂層セッ
トをbセット積層することを、厚さ45mmとなるまで
繰り返す。
【0042】この時、積層物中における炭素繊維とガラ
ス繊維の体積比は、a:bとなる。本実施例では、a:
bの比率が4:1、3:2、2:3のものをそれぞれ製
作し、それぞれ、実施例1〜3とした。尚、炭素繊維と
ガラス繊維の単位面積当たりの体積は同じである。
【0043】前記で得られた積層物を、金型の中に
挿入し、120℃まで昇温し、20MPaで2時間加圧
し、直径250mm、厚さ30mmの円柱形の複合成型
体を得た。 前記で得られた複合成型体を、旋盤を使用して、所
定の寸法に機械加工し、ベース円盤3を得た。
【0044】具体的には、複合成型体の中心に、直径2
5mmの貫通孔(砥石孔4)を形成し、又、前記イ)で
述べたような、砥石孔4の中心からの距離に応じて、厚
みが3段階に変化する形状に研削した。更に、外径を2
40mmに加工した。 ベース円盤3の外周を囲むように、砥粒層2を、エポ
キシ樹脂系接着剤を用いて接着し、研削砥石を得た。
【0045】ハ)次に、本実施例の効果を確認するため
に行った試験について説明する。尚、比較例1〜3とし
て、ベース円盤が、それぞれ、アルミ合金(JIS 5
052H)、鋼(JIS S45C)、CFRP(炭素
繊維強化プラスチック)からなる研削砥石を作成した。
この比較例1〜3のベース円盤及び砥粒層の寸法は、前
記実施例の研削砥石と同じである。
【0046】まず、実施例1〜3、及び比較例1〜3
のベース円盤の特性を、下記(a)〜(d)のようにし
て測定した。 (a)ベース円盤の体積と質量とから、密度を算出し
た。 (b)ベース円盤と同じ材質から成る試験片について引
張試験を行い、引っ張り力、試験片の伸び量、及び試験
片の断面積とから、縦弾性係数を算出した。
【0047】(c)上記(a)で求めた密度と、上記
(b)で求めた縦弾性係数とから比弾性率を算出した。 (d)押棒式示差熱膨張計を用いて熱膨張係数を測定し
た。 上記(a)〜(d)の測定結果を表1に示す。尚、表1
において、GFRPは、ガラス繊維強化プラスチックを
表している。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示す様に、実施例1〜3のベース円
盤3は、比較例1及び2と比べて遙かに小さい熱膨張率
を持ち、比較例3と同等の熱膨張係数を持つ。従って実
施例1〜3の研削砥石は、高温環境下で使用しても、ベ
ース円盤3の膨張量が少なく、砥粒層の破壊や、加工精
度の低下が起こりにくい。
【0050】又、実施例1〜3の研削砥石の比弾性率
は、炭素繊維とガラス繊維の比率によって変化する。つ
まり、炭素繊維の割合が高いほど、比弾性率が小さく、
研削砥石を高速回転した時の外周部の伸びが小さい。逆
に、炭素繊維の割合が低いほど、研削砥石の製造コスト
は低くなる。
【0051】従って、本実施例の研削砥石は、その使用
条件(最高回転数)に合わせて、必要十分な比弾性率を
持ち、尚かつ製造コストがなるべく低くなるように、炭
素繊維とガラス繊維の割合を設定することができる。
尚、比較例3の研削砥石は、比弾性率が低く、高速回転
時における最外周の伸びが小さいが、ベース円盤3が備
える繊維が全て炭素繊維であるため、価格が非常に高い
という欠点がある。
【0052】次に、実施例1〜3、及び比較例1〜3
の研削砥石における高速回転時の最外周の伸びを以下の
(a)〜(d)の手順に従って測定した。 (a)それぞれの研削砥石を、NC平面研削盤に取り付
け、回転しない状態で、固定されたワークに近づけてゆ
き、接触したときの研削砥石の位置座標(Z0)を読み
取る。
【0053】(b)研削砥石を一旦ワークから遠ざけ、
毎分30.000回転で回転させる。 (c)研削砥石をワークに近づけてゆき、ワークに接触
し始めた時の研削砥石の位置座標(Z1)を読み取る。
【0054】(d)(Z1−Z0)が研削砥石の最外周の
伸び量となる。その結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2に示す様に、実施例1〜3及び比較例
1〜3の研削砥石について、最外周の伸びは、上記表1
の比弾性率と同じ傾向を示している。従って、本実施例
の研削砥石は、炭素繊維とガラス繊維の比率を調整する
ことにより、最外周の伸びを許容範囲内に抑えつつ、製
造コストの低いものとすることができる。
【0057】尚、本発明は上記の形態に何等限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
形態で実施することができる。 ・例えば、炭素繊維樹脂、又はガラス繊維樹脂として、
矩形のものを使用してもよい。その場合、炭素繊維樹脂
又はガラス繊維樹脂を加熱成形してなる複合成型体は直
方体となるが、機械加工することにより、前記実施例1
〜3と同様の形状のベース円盤3を製造することができ
る。
【0058】・炭素繊維又はガラス繊維として、織物状
に編まれた物を使用できる。 ・一つの炭素繊維樹脂セット又はガラス繊維樹脂セット
に含まれる繊維の枚数は、4枚に限られず、他の枚数で
もよい。例えば、その枚数を6枚とすることができ、そ
の場合には、30度ずつずらして繊維を積層することに
より、炭素繊維樹脂セット又はガラス繊維樹脂セット全
体としては繊維の方向性を持たないようにすることがで
きる。
【0059】・ベース円盤に含まれる炭素繊維とガラス
繊維の比率は、炭素繊維樹脂セットと、ガラス繊維樹脂
セットのセット数の比率を変えることによって、他の比
率にも設定可能である。 ・炭素繊維とガラス繊維の比率の設定は、一つの炭素繊
維樹脂セット又はガラス繊維樹脂セットに含まれる繊維
の枚数を調整することにより行うことができる。 例え
ば、一つの炭素繊維樹脂セットに含まれる炭素繊維を8
枚とし、一つのガラス繊維樹脂セットに含まれるガラス
繊維を4枚として、炭素繊維樹脂セットとガラス繊維樹
脂セットを交互に積層することにより、炭素繊維とガラ
ス繊維の比率が2:1のベース円盤を製造できる。この
場合、炭素繊維樹脂セットでは、炭素繊維を22.5度
ずつずらして積層することにより、炭素繊維樹脂セット
全体として繊維の方向性を持たないように、炭素繊維を
積層することができる。
【0060】・樹脂としては、ポリイミド樹脂又はフェ
ノール樹脂を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の研削砥石の説明図である。
【図2】 実施例1の研削砥石の説明図である。
【図3】 実施例1の研削砥石の製造方法の説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・・砥粒層 2・・・接着層 3・・・ベース円盤 4・・・砥石孔

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース円盤と、 前記ベース円盤の外周に沿って設けられた砥粒層と、 を備え、 回転させて使用する研削砥石であって、 前記ベース円盤が、炭素繊維とガラス繊維と樹脂とを含
    むことを特徴とする研削砥石。
  2. 【請求項2】 前記ベース円盤において、前記炭素繊維
    は全体として、繊維の方向性を持たず、 前記ガラス繊維は、全体として、繊維の方向性を持たな
    いことを特徴とする前記請求項1に記載の研削砥石。
  3. 【請求項3】 前記ベース円盤は、所定の枚数の前記炭
    素繊維から成る炭素繊維セットと、 所定の枚数の前記ガラス繊維から成るガラス繊維セット
    とを備え、 前記炭素繊維セットと前記ガラス繊維セットとは交互に
    積層され、 前記炭素繊維セットでは、前記炭素繊維は全体として方
    向性を持たず、 前記ガラス繊維セットでは、前記ガラス繊維は全体とし
    て方向性を持たないことを特徴とする前記請求項1又は
    2に記載の研削砥石。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維と前記ガラス繊維との体積
    比が、90:10〜30:70であること特徴とする前
    記請求項1〜3のいずれかに記載の研削砥石。
  5. 【請求項5】 前記樹脂が、エポキシ樹脂、ポリイミド
    樹脂、ウレタン樹脂、又はフェノール樹脂のうちのいず
    れか一種、またはそれらのうちのいずれか2種以上の混
    合物であることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれ
    かに記載の研削砥石。
  6. 【請求項6】 前記砥粒層が、人造砥粒であることを特
    徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の研削砥
    石。
  7. 【請求項7】 前記請求項1〜6に記載の研削砥石を製
    造する方法であって、炭素繊維を樹脂に含浸してなる炭
    素繊維樹脂層と、ガラス繊維を樹脂に含浸してなるガラ
    ス繊維樹脂層とを積層する積層工程と、 前記積層物を加熱しながら加圧する成形工程と、 前記成型体の外周部に砥粒層を形成する砥粒層形成工程
    と、 を備えることを特徴とする研削砥石の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6846233B2 (en) * 2002-02-12 2005-01-25 Noritake Co., Limited Segmental type grinding wheel
JP2011000665A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Mitsubishi Plastics Inc ワイヤソー用メインローラー、そのローラー本体及び製造方法

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