JPH11235667A - ベース円板型研削砥石 - Google Patents

ベース円板型研削砥石

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JPH11235667A
JPH11235667A JP5435498A JP5435498A JPH11235667A JP H11235667 A JPH11235667 A JP H11235667A JP 5435498 A JP5435498 A JP 5435498A JP 5435498 A JP5435498 A JP 5435498A JP H11235667 A JPH11235667 A JP H11235667A
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JP
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base disk
grinding wheel
base
fiber
grinding
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Application number
JP5435498A
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English (en)
Inventor
Kanemasa Yokoi
謙政 横井
Yoshiharu Terada
好晴 寺田
Kenji Ito
健二 伊藤
Takeshi Nonokawa
岳司 野々川
Tsuyoshi Fujii
剛志 藤井
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高周速下においてもベース円板の伸びが小さい
ため高精度の研削加工ができる、安全性の高いベース円
板型回転研削用砥石の提供。 【解決手段】砥粒層をベース円板に接着してなるベース
板型の回転研削用の研削砥石において、ベース円板とし
てセラミックス質のマトリックス中に繊維が分散した複
合材を用い、その熱膨脹係数が5×10-6/℃以下、密
度が3.5(×10-3kg/cm3)以下、及び密度
(kg/cm3)/縦弾性率(kgf/cm2)の比率
(N)が2×10-9/cm 以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研削面にダイヤモ
ンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)等の超砥粒層、或い
は一般砥粒層を接合した高周速回転研削用ベース円板型
砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回転研削用研削砥石のベース円板
として、鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、又はフェノール
樹脂製のものが用いられている。しかしながら、このよ
うな材質のベース円板を用いた回転研削用砥石は、遠心
力によるベース円板の伸びが大きいため、加工精度が低
いという問題がある。特に鋼・鋳鉄で製作されたものは
重いため、研削盤で研削砥石を回転する際に、モータや
砥石軸に加わる負荷が大きく、モータや軸受け部分での
発熱量が大きい。それ故、これらの熱がベース円板にも
伝熱して、ベース円板の熱膨脹を更に大きくする原因と
もなっている。そこで、最近、ベース円板として従来の
金属に比べ軽量で変形に強い金属基複合材料、CFR
P、また一部セラミックス等から形成されたものが提案
されている。
【0003】また、砥粒層に関し、ダイヤモンド又は立
方晶窒化ホウ素超砥粒などの超砥粒を用いた研削砥石
は、砥粒自体が一般の砥粒に比べて非常に硬質であるた
め、砥粒摩耗が少ない。そのため、摩耗による寸法の変
化やバラツキも少なく、高精度の研削加工が可能とな
る。それ故、主として難削材の研削に使用されている。
【0004】特開昭56−22683号公報には、炭化
ケイ素砥粒もしくは酸化アルミニウム砥粒をビトリファ
イド結合してなる母体に、ダイヤモンド砥粒もしくはC
BN砥粒を固着した研削砥石が提案されている。特開昭
61−152374号公報には、ベース円板材料として
LE鋳鉄(商品名、日立造船株式会社製)を用いて、こ
れにダイヤモンド砥粒あるいはCBN砥粒を固着した研
削砥石が提案されている。特開平3−234474号公
報には、ベース円板材料としてプラスチック中に繊維を
分散させた複合材を用いた研削砥石が提案されている。
特開平3−256674号公報には、ベース円板材料と
して金属マトリックス中にセラミックスの繊維又は粒子
を分散させた複合材が提案されている。同公報の実施例
には、熱膨張係数が6〜13×10-6/℃、比率N(密
度(kg/cm3)/縦弾性率(kgf/cm2))が
1.5〜2.1×10-9/cmであるベース円板材質が
開示されている。特開平7−52049号公報には、ア
ルミニウム合金にセラミックス長繊維ないし金属長繊維
からなるクロスを一体化したアルミニウム複合材料を用
いた研削砥石用ベース円板が提案されている。
【0005】また、特開平8−90424号公報には、
表面にダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素等の砥粒を固
着した円板状基台を、炭素繊維と炭素マトリックスの複
合材で形成する研削砥石用の円板状基台が提案され、そ
の実施例として、円板状基台を炭素繊維と炭素マトリッ
クスの複合材(C.C材)で形成し、円板状基台の周面
にエポキシ層を介して酸化アルミニウム、炭化ケイ素、
ムライト等からなるベース層を形成し、さらにベース層
の周面にダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素等の砥粒層
を形成した4層構造の研削砥石が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年における加工能率
の向上や砥石寿命の向上に対するニーズは益々強まる一
方であり、加工精度においても公差の厳しい精密なもの
が一層要求されてきている。
【0007】上記特開昭61−152374号公報に提
案されているような金属製ベース円板は、強度及び靭性
は高いが伸び易く且つ重いため、特に高周速研削を行う
場合、熱膨張や遠心力による伸びが問題となってくる。
そこで、最近では研削の高周速化が進む中で、軽量で且
つ強度、弾性率が共に高く特性面で優れているCFRP
やセラミックが特に砥石のベース円板として注目・採用
されてきている。しかしながら、セラミックスは金属と
比較して伸びにくい反面、破壊靭性が低く衝撃によって
カケが生じたり、破壊が脆性的であるためベース円板が
破壊した場合、加工装置及び砥石を操作する作業者への
安全性確保が問題となってくる。上記特開昭56−22
683号公報に提案されているような、セラミックス基
のベース円板はこのような問題を抱えている。
【0008】特開平3−256674号公報に提案され
た金属マトリックス中にセラミックスの繊維又は粒子を
分散させた複合材を用いたベース円板は、鋼製より比重
が低く、又伸びにくいが、依然として熱膨脹率が大きい
という問題を有する。
【0009】従来のベース円板は、通常、超砥粒層より
も熱膨脹係数が大きくなっている。そのため、研削時の
摩擦熱或いは軸受装置から伝達する熱によってベース円
板が熱膨脹し、研削砥石全体も熱膨脹する。これは、加
工物の寸法精度の低下や、ベース円盤と超砥粒層との熱
膨脹係数の差による超砥粒層の剥離などの砥石破損をま
ねく原因となっている。超砥粒を用いた場合上記問題点
が顕著にあらわれるが、一般砥粒を用いた場合でも同様
な問題が生じる。
【0010】また、特開平8−90424号公報に提案
されているようなC.C材製のベース円板は、C.C材
の縦弾性率が0.65×106kgf/cm2(6500
kg/mm2)と低いため、軽量であるが伸びやすいと
いう問題がある。また、同公報に開示されたベース円板
は多層構造であるため、単層構造のベース円板に比べて
製作コストが大幅に上昇するという問題がある。
【0011】本発明は、上記事情に鑑み、高周速下にお
いてもベース円板の伸びが小さく高精度の研削加工がで
きる、安全性の高いベース円板型回転研削用砥石を提供
しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の各視点は次の要
件をそれぞれ含む。第1の視点によれば、ベース円板材
質としてセラミックス質のマトリックス中に長繊維が分
散した複合材を用いる。ベース円板の熱膨脹係数が5×
10-6/℃以下である。ベース円板の密度が3.5(×
10-3kg/cm3)以下である。ベース円板の密度
(kg/cm3)/縦弾性率(kgf/cm2)の比率
(N)が2×10-9/cm 以下である。縦弾性率は縦
弾性率が最大となる方向の縦弾性率をとり、通常繊維方
向である。第2の視点によれば、マトリックスは、窒化
ケイ素、炭化ケイ素、ムライト、サイアロンの一種又は
二種以上から構成される。長繊維は、炭素繊維、炭化ケ
イ素質繊維、窒化ケイ素質繊維の一種又は二種以上であ
るセラミックス質長繊維である。第3の視点によれば、
ベース円板の縦弾性率が1.5×10−6kgf/cm2
以上である。第3の視点によれば、ベース円板の引張強
度が250MPa以上である。
【0013】本発明の概略を説明する。高周速回転研削
中、ベース円板には熱膨張及び遠心力による伸びが生じ
る。ベース円板の材質として、熱膨張率が小さく、軽量
で、弾性率が高いものを採用することで、伸びを小さく
することができる。しかし、密度が所定値より小さい場
合であっても弾性率が低くければ伸びは大きくなり、弾
性率が高くとも密度が高ければその重さにより伸びは大
きくなる。従って、ベース円板の密度と弾性率を共に制
御することが重要である。また、高速回転によってベー
ス円板の穴部には大きな応力がかかることから、十分な
強度が必要である。
【0014】この点、セラミックスは、金属と比較して
伸びにくく強度も高いが、破壊靭性が低く衝撃によって
欠けが生じるおそれがある。また、破壊が脆性的である
ためベース円板が破壊した場合の安全性確保が問題とな
る。一方、鋼、アルミニウム合金など金属製のベース円
板は、セラミックス製ベース円板とは反対の特性を有
し、破壊靭性は高いが、比重が大きく伸び易いという問
題がある。また、金属質材料はセラミックス質材料より
熱膨張が高くなる傾向がある。
【0015】本発明において規定する特性を備えたFR
C(繊維強化セラミックス)は、ベース円板の熱膨脹あ
るいは回転時の遠心力による、高周速研削時の砥石伸び
が小さくなり、高周速研削時においても高い加工精度を
得ることができる。また、本発明に基づくベース円板型
砥石は、従来のベース円板型砥石に比して軽量であるた
め、研削砥石の回転に伴うモータへの負荷、砥石軸への
負荷が小さく、これらに於ける発熱量が少ない。そのた
め、ベース円板への伝熱量が少なく、研削砥石の熱膨脹
が一層減少するという相乗効果を奏する。この結果、高
周速研削において表面粗さが0.5μm以下、さらに
0.4μm以下という高精度加工が達成される。
【0016】なお、本発明が規定する特性を備えた長繊
維強化セラミックスは、アルミニウム合金及び長繊維強
化されたアルニウム基複合材料に比して、熱膨脹係数が
低い。つまり、金属に比して、該セラミックスに長繊維
を添加した複合材の方が、熱膨張係数が低くなるため、
ベース円板材料として優れている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を説
明する。好ましくは、ベース円板は、母材である窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、ムライト、又はサイアロンの一種以
上からなるセラミックスマトリックス中に、炭素繊維、
または炭化ケイ素質繊維、窒化ケイ素質繊維等セラミッ
ク繊維の一種又は二種以上よりなる繊維を分散させた複
合材を用いてなる。
【0018】また、長繊維(強化繊維)としては、炭素
繊維をはじめ、炭化ケイ素質繊維(例えば、商品名 ニ
カロン、ハイニカロン、いずれも日本カーボン(株)
製)、窒化ケイ素質繊維(例えば、商品名 TSNF
東燃(株)製)、炭化ケイ素・炭化チタン質繊維(例え
ば、商品名 チラノ(株)宇部興産製)が挙げられる。
更に、所定の効果を得るためには、使用する強化繊維と
して直径5〜20μmのものを用いることが好ましい。
【0019】ベース円板を構成する複合材料は母材とな
るセラミックマトリックス中に、炭素繊維ないしセラミ
ックス繊維を配向させたもので、FRC(fiber reinf
orced ceramics)などと称されているものであり、C
FRP(炭素繊維強化プラスチック)やGFRP(ガラ
ス繊維強化プラスチック)と同様、外部からの衝撃に強
く、且つ破壊靭性が高く即時破断しないため、セラミッ
クスの脆さという弱点を克服することができる。更に、
FRCの繊維方向の熱膨張係数は、CFRPやGFRP
と同様、従来の金属に比べて格段に低いため、モーター
や軸受けからの熱による変形が小さい。
【0020】加えて、ベース円板の半径方向に繊維を配
するような場合、ベース円板材質としてFRCを用いる
ことにより、円板厚み方向の熱膨張係数もセラミックス
と同程度に低く、砥粒層と同等となるため、熱変形とい
う問題が生じない。一方、CFRPではその厚み方向の
熱膨脹係数がエポキシ樹脂と同等となり、厚み方向に熱
変形が生じるという問題がある。
【0021】特に、ベース円板材質として、窒化ケイ素
マトリックスに炭素繊維、炭化ケイ素質繊維、ないし窒
化ケイ素質繊維を分散させたもの、ないしムライトマト
リックスに炭素繊維、炭化ケイ素質繊維ないし窒化ケイ
素質繊維を分散させたものが好ましい。強化繊維の巻き
方としては、フィラメントワインディング法、積層方法
などの種々の方法を単独で、又は複合して用いることが
できる。
【0022】上記強化繊維は、セラミックスマトリック
ス中に10〜65vol%含有されることが望ましい。
10%以上で高周速回転時のマトリックスの破断が効果
的に防止され、65%以下で繊維方向に沿ったせん断破
壊が防止され、材料の強度が高くなるので好ましい。
【0023】本発明のベース円板として好ましい熱膨脹
係数は5×10-6/℃以下、さらに好ましくは2×10
-6/℃以下、より好ましくは1×10-6/℃以下であ
る。好ましい密度は、3.5×10-3kg/cm2
下、さらに好ましくは3×10-3kg/cm2以下、よ
り好ましくは2.7×10-3kg/cm2以下である。
好ましい比率N(密度/縦弾性率)は2×10-9/cm
以下、さらに好ましくは1.5×10-9/cm以下、よ
り好ましくは1×10-9/cm以下である。好ましい縦
弾性率は、1.5×106kgf/cm2以上、さらに好
ましくは1.7×106kgf/cm2以上である。好ま
しい引張強度は250MPa以上、さらに好ましくは2
80又は300MPa以上、より好ましくは350MP
a以上である。
【0024】ベース円板と砥粒層の接着にはエポキシ樹
脂等の接着剤を用いることができる。砥粒としては、ダ
イヤモンド、CBN等の超砥粒を用いることにより、本
発明の効果が顕著にあらわれるが、アルミナ、炭化ケイ
素等の一般砥粒を用いてもよい。砥粒層における砥粒の
結合は、ビトリファイドボンド、レジノイドボンド、ま
たは、メタルボンドなどにより行うことができる。本発
明に基づくベース円板もマトリックスがセラミックス質
であるため、超砥粒をビトリファイボンド(セラミック
ス質となる)によって結合した砥粒層を該ベース円板に
接着することにより、ベース円板と砥粒層の熱膨張特性
が似たものとなるため砥粒層の剥離が防止される。ま
た、本発明に基づくベース円板は引張強度が大きいの
で、破壊回転数が大きくなる。よって高い周速度での使
用が可能となり、研削能率の向上・加工精度の向上が期
待できる。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図1及び図2に示すような形状の研削砥石を作
製して研削加工を行い、表面粗さを測定した。その結果
を表1、図3及び図4に示す。まず、研削砥石の製造例
について記述する。
【0026】超砥粒層からなるセグメントチップ1(図
1参照)を作製した。出来上がりの超砥粒層の構造は、
CBN砥粒(#325/400):50容量部、ビトリフ
ァイドボンド:18容量部、気孔:32容量部である。
次に、得られたセグメントチップ1を、中央部に回転軸
用穴20を有する種々の材質(表1参照)のベース円板
2に、エポキシ樹脂系接着剤を用いてそれぞれ接着し、
外径が305mm、回転軸用の穴の径が76.2mm、
厚みが15mmの研削砥石を10種類作製した。
【0027】なお、表1中、「ベース円板材質」の欄に
おいて左側がマトリックス相、右側が長繊維の材質を示
す。詳細には、実施例1及び4では直径10〜20μm
の炭素繊維を用いた。実施例2及び5では直径8〜15
μmのニカロン繊維(商品名、日本カーボン(株)製、
炭化ケイ素質繊維)を用いた。実施例:No.3におい
ては、直径10〜15μmの窒化ケイ素繊維(商品名
TSNF 東燃(株)製)を用いた。
【0028】なお、実施例1〜5のFRC製ベース円板
は次のように製造したものである。実施例4のFRC円
板の製造例について詳細に説明する。他の実施例の円板
も実施例4と同様に作成されたものであって、後述する
ように、実施例4では、ベース円板原料として、ムライ
ト粉末とカーボン繊維を用いているが、他の実施例では
下記の原料を用いている。すなわち、実施例1ではムラ
イト粉末を窒化珪素粉末に代える。実施例2ではムライ
ト粉末を窒化珪素粉末に、カーボン繊維をニカロン繊維
に代える。実施例3ではムライト粉末を窒化珪素粉末
に、カーボン繊維を窒化珪素繊維に代える。実施例5で
はカーボン繊維をニカロン繊維に代える。
【0029】[実施例4に係るFRC製ベース円板の製
造方法]FRCのマトリックスは以下のように製造され
る。マトリックスとなるスラリーの溶媒としてトルエン
中にポリシラザンを溶解させた。この溶液をポットに入
れ、ムライト粉末(共立窯業原料(株)製、商品名:K
Mムライト)を添加した。次いでこれに玉石を入れ、ポ
ットを回転させて混合し含浸液を調整した。この含浸液
を含浸層に流し込み、カーボン繊維(日本グラファイト
ファイバー(株)、XN−40、3k、PAN系)をス
プール台に取付け、含浸層内の含浸液の中を通過させて
カーボン繊維に含浸液を均一に含浸させ、巻き取りドラ
ムに含浸液を保持したカーボン繊維を一様な間隔で巻目
をずらしながら巻き取った(フィラメントワインデイン
グ法)。尚、カーボン繊維は巻き取り前に熱風を供給
し、トルエンをカーボン繊維より揮発させて、ポリシラ
ザンに接着性を持たせた状態で巻き取った。巻き取りド
ラムより外されたカーボン繊維の成形体(以下、「UD
プリプレグ」という)を、所定寸法に切断後、擬似等方
積層体とするために、各UDプリプレグを45°づつず
らして所定厚みになるまで重ね合わせ、擬似等方積層体
とし、等方加圧深絞り装置(C.I.P)にて加圧成形
した後、オーブン中に放置し、完全にトルエンを揮発さ
せた。続いてこの成形体に含まれるポリシラザンの不融
化処理を行い完全にガラス化させた。この処理によっ
て、成形体は同時に脱脂される。次に、成形体に離型剤
を付着させて型中に入れ、アルゴン雰囲気中で1600
℃に昇温し、一軸加圧下焼結を行った。得られた焼結体
の寸法は350mm×350mm、厚み35mmであっ
た。これに機械加工を施し、外径291mm、内径7
6.2mm、厚み15mmの回転円板とした。実施例4
のベース円板の特性は、表1に示す通り、曲げ強度36
0MPa、平面方向の熱膨張0.3×10-6/℃であ
る。但し、積層方向の熱膨張率は3.5×10-6(平面
方向の約10倍、Si34程度)である。
【0030】作製した研削砥石を用いて回転研削加工を
行い、被削材の表面粗さを測定した。研削条件は下記の
通りである。研削砥石周速度:2700m/min、テ
ーブル送り速度:20m/min、切込量:5μm/p
ass、被削材:SKH51、被削材寸法:長さ300
mm×幅10mm。表1に、表面粗さの測定結果を示
す。なお、表1中のRaはJIS−B0601により定
められた中心線平均粗さをいう。
【0031】
【表1】
【0032】表1を参照して、実施例1〜5のべース円
板と、比較例C1〜C5の測定結果を対比すると、実施
例によれば比較例の約4倍以上も加工精度が高くなって
いる。さらに、図3に、ベース円板の熱膨張係数と表面
粗さの関係を示す。図3より、熱膨張係数α≧2×10
-6/℃である比較例1〜5によれば、表面粗さが1.4
μRa以上となる。これに対し、すなわち、熱膨張係数
<2×10-6/℃(0.8×10-6/℃未満)である比
較例1〜5によれば、表面粗さが0.4μRa以下とな
る。
【0033】また、実施例1〜5のベース円板材質の密
度はいずれも2.6〜2.7×10-3kg/cm3の範
囲内にあり比較例C2のそれとほぼ同じであるが、実施
例1〜5のベース円板の熱膨張係数は比較例C2の半分
以下と著しく小さい。従って、比率Nに関して、実施例
1〜5のベース円板は比較例C1〜5に比して全て半分
以下となる。図4に、ベース円板の比率N(密度/縦弾
性率)と表面粗さの関係を示す。図4より、比率N>3
×10-6/cmである比較例1〜5によれば、表面粗さ
が1.4μm以上となる。これに対し、比率N<2×1
-6/cmである実施例1〜5によれば、表面粗さが
0.4μm以下となる。表1、図3及び図4に示したよ
うに、熱膨脹係数、密度及び比率Nが小さいほど表面
(加工面)粗さが小さくなることが分かる。さらに、実
施例1〜5のベース円板は、縦弾性率が1.7×106
kgf/cm2以上、常温での引張強度250MPa以
上の特性を有するので、特に、超砥粒、ビトリファイド
ボンドを用い、60m/s以上の高周速研削を行う砥石
のベース円板として優れている。
【0034】また、実施例のベース円板は、特に比較例
C1に比較して軽量であるため、高周速回転時にモータ
にかかる負荷が小さく、例えば空回転した場合のモータ
電力は実施例が0.5kW、比較例C1が1.0kWで
あった。このようにモータ電力が小さいということは、
研削砥石の回転に対するモータ負荷、回転軸負荷が小さ
いということである。従って、より軽量な実施例の研削
砥石を用いることにより、モータの発熱、軸受の発熱量
が小さくなる。そして、ベース円板の温度上昇も抑えら
れる結果、熱膨張によるベース円板の伸びも抑えられ、
より高精度の研削加工ができることとなる。それ故、研
削効率が高められる回転研削の高周速化を一層促進する
ことができる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、熱膨張及び遠心力によ
る変形の小さな回転研削砥石が提供される。特に、高周
速研削において本発明によって得られる利点が顕著にあ
らわれ、被削材の表面精度が大幅に改善される。詳細に
は、本発明に基づくベース円板は、熱膨張係数が小さ
く、密度が小さく、さらに密度/縦弾性率の比が小さ
い。これによって、熱膨張による伸びが小さくなる。か
つ、軽量であるため研削砥石の回転に伴うモータや砥石
軸に加わる負荷が小さく、これらに於ける発熱量が少な
い。そのため、ベース円板への伝熱量が少なく、研削砥
石の熱膨脹が相乗的に減少する。かつ、密度に比して縦
弾性率が大きいこと又は縦弾性率に比して密度が小さい
ことにより、モータや砥石軸に加わる負荷が小さく、遠
心力に起因するベース円板伸びも減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】セグメントチップを説明するための図である。
【図2】回転研削用研削砥石を説明するための図であ
る。
【図3】本発明の一実施例と比較例に係る研削加工の結
果を説明するための図であって、ベース円板の熱膨脹係
数と表面粗さの関係を示す。
【図4】本発明の一実施例と比較例に係る研削加工の結
果を説明するための図であって、比率Nと表面粗さの関
係を示す。
【符号の説明】
1 セグメントチップ 2 ベース円板
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 健二 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 野々川 岳司 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 藤井 剛志 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砥粒層をベース円板に接着してなるベース
    円板型の回転研削用研削砥石において、 前記ベース円板として、セラミックス質のマトリックス
    中に繊維が分散した複合材を用いてなり、かつ、該ベー
    ス円板の熱膨脹係数が5×10-6/℃以下、密度が3.
    5(×10-3kg/cm3)以下、及び密度(kg/c
    3)/縦弾性率(kgf/cm2)の比率(N)が2×
    10-9/cm 以下であることを特徴とするベース円板
    型研削砥石。
  2. 【請求項2】前記マトリックスは、窒化ケイ素、炭化ケ
    イ素、ムライト、サイアロンの一種以上から構成され、 前記繊維は長繊維であり、炭素繊維、炭化ケイ素質繊
    維、窒化ケイ素質繊維の一種以上であることを特徴とす
    る請求項1記載のベース円板型研削砥石。
  3. 【請求項3】前記ベース円板の縦弾性率は、1.5×1
    6kgf/cm2以上であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載のベース円板型研削砥石。
  4. 【請求項4】前記ベース円板の引張強度は、250MP
    a以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    一に記載のベース円板型研削砥石。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002540966A (ja) * 1999-04-05 2002-12-03 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 研摩物品、その製造方法および研摩装置
US6846233B2 (en) * 2002-02-12 2005-01-25 Noritake Co., Limited Segmental type grinding wheel
KR20190047159A (ko) * 2017-10-25 2019-05-08 신한다이아몬드공업 주식회사 고속회전 복합재 공구 및 이를 제조하는 방법

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