JP2002219643A - ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法 - Google Patents

ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2002219643A
JP2002219643A JP2001017850A JP2001017850A JP2002219643A JP 2002219643 A JP2002219643 A JP 2002219643A JP 2001017850 A JP2001017850 A JP 2001017850A JP 2001017850 A JP2001017850 A JP 2001017850A JP 2002219643 A JP2002219643 A JP 2002219643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
roller
groove
wire saw
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001017850A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahito Iguchi
真仁 井口
Masako Kataoka
昌子 片岡
Shinji Sakamoto
信治 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2001017850A priority Critical patent/JP2002219643A/ja
Publication of JP2002219643A publication Critical patent/JP2002219643A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性に優れたワイヤーソー用ローラを
提供することである。また、溝加工に用いられる砥石の
摩耗を従来品よりも少なく抑えることができるワイヤー
ソー用ローラを提供することである。 【解決手段】 少なくとも周面の表層側がセラミックス
から構成されたローラ本体部Aと、その周面を覆うよう
設けられた樹脂層Bと、この樹脂層Bを分断し、かつ、
溝底が上記ローラ本体部Aの側に存在する、周方向に沿
って形成されたワイヤー溝Cとを具備してなるワイヤー
ソー用ローラ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、円柱状の
シリコン塊などを薄く切断するためのワイヤーソーにお
いて使用されるワイヤーソー用ローラに関するものであ
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】シリコンウエハーなど
の製造に用いられているワイヤーソーは、所定の位置関
係で配置した数個のローラに、1本のワイヤーを等間隔
で何度も巻き付けた構造を有する。つまりローラ間に
は、連動する数十〜数百本のワイヤーが、互いに平行に
張設された状態となっている。したがってワイヤーを高
速で走行(往復動)させれば、それに当接する円柱状の
シリコン塊は等しい厚みに切断され、この結果、一度に
数十〜数百枚のシリコン薄板(シリコンウエハー)が得
られる。
【0003】さて、こうしたワイヤーソーを構成するワ
イヤーのガイドに用いられている上記ローラ(ワイヤー
ソー用ローラ)は、周知のように、その全体がセラミッ
クスから構成されている。これは、言うまでもなく、セ
ラミックスが耐摩耗性に非常に優れた材料だからであ
る。また、その他の理由としては、セラミックスは熱膨
張率が極めて低いため、高速で往復動するワイヤーとの
摩擦で温度が上昇しても問題となるような変形が生じ
ず、それゆえ加工精度が低下しないといったことが挙げ
られる。
【0004】しかし、こうした従来型のワイヤーソー用
ローラには、次のような改善を必要とする点があった。
同ローラは、セラミックス製筒状体の外周面に、高い精
度でワイヤー溝形成加工(以下、単に溝加工とも言う)
を施すことにより製造されたものである。ところで、セ
ラミックスは極めて高い硬度を有する反面、非常に脆い
材料でもある。このため微細なワイヤー溝を密に、つま
り極めて小さな間隔で形成しようとすると、加工中にチ
ッピングと呼ばれる、ひび割れを生じることがある。ま
た、ローラとなるセラミックス製筒状体は高硬度材料で
あるゆえ、溝加工用の砥石は急速に摩耗する。したがっ
て、加工速度(切り込み速度)をかなり低く抑えて作業
を行わねばならなかった。
【0005】更に言えば、製造工程上のさまざまな制約
から、通常、作業中は砥石を新しいものと交換すること
ができない。このため、形成されるワイヤー溝の本数が
多くなる場合、溝加工が終了する頃には、砥石の摩耗に
より所期の寸法精度を確保できなくなることがあった。
【0006】このように従来のワイヤーソー用ローラ
は、その製造が非常に難しく、しかも溝加工用の砥石が
急速に摩耗するので、製造コストが高く付いていた。更
に、ワイヤー溝の本数が多くなると、その寸法精度を確
保するのが困難なものとなっていた。
【0007】したがって本発明が解決しようとする課題
は、生産性に優れたワイヤーソー用ローラおよびその製
造方法を提供することである。また、溝加工に用いられ
る砥石の摩耗を従来品よりも少なく抑えることができる
ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題は、少なくとも
周面の表層側がセラミックスから構成されたローラ本体
部と、このローラ本体部の周面を覆うよう設けられた樹
脂層と、この樹脂層を分断し、かつ、溝底が前記ローラ
本体部側に存在する、周方向に沿って形成されたワイヤ
ー溝とを具備してなることを特徴とするワイヤーソー用
ローラによって解決される。
【0009】あるいは、上記の課題は、少なくとも周面
の表層側がセラミックスから構成され、かつ、周方向に
沿って複数の環状溝が形成されたローラ本体部と、この
ローラ本体部の周面上であって、かつ、前記環状溝同士
の間に設けられた、樹脂からなる環状凸部とを具備し、
ワイヤーソーを構成するワイヤーが、前記環状溝および
この環状溝を挟んで互いに対向する一対の前記環状凸部
から形成されるワイヤー溝内に、前記環状溝の内面(内
表面)に接触した状態で収納され、前記ワイヤー溝によ
ってガイドされるよう構成されてなることを特徴とする
ワイヤーソー用ローラによって解決される。
【0010】なお、ワイヤーを特に良好に保持できるよ
うにするため、上記ワイヤー溝のローラ本体部側の部分
は、同ワイヤーの少なくとも半分が納まるような断面形
状を有するものであることが好ましい。
【0011】また、上記樹脂層を形成する樹脂として
は、フッ素系樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリイミ
ド系樹脂よりなる群の中から選ばれた一つを挙げること
ができる。
【0012】ひるがえって、先の課題は、上記ワイヤー
ソー用ローラの製造方法であって、溝が設けられていな
い状態のローラ本体部の周面上に、この周面を覆うよう
樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、加工用工具を用い
て、前記樹脂層形成工程の後、前記樹脂層を分断し、か
つ、溝底が前記ローラ本体部に達するワイヤー溝を周方
向に沿って形成するワイヤー溝形成工程とを具備するこ
とを特徴とするワイヤーソー用ローラの製造方法によっ
て解決される。
【0013】さて、上記構成のワイヤーソー用ローラで
は、セラミックスからなるローラ本体部が、常時、ワイ
ヤーと接触して、このワイヤーからの力を主として受け
止める。これに対して樹脂からなる部分(環状凸部)
は、巻き付け時や走行中、ワイヤーに弛みが生じた場合
に、それが溝から外れないよう規制する障壁としての役
割を果たす。よって本発明に係るワイヤーソー用ローラ
は、何ら問題なく高速で走行(往復動)するワイヤーを
ガイドすることができる。
【0014】その一方で、本発明に係るワイヤーソー用
ローラは、ワイヤー溝が、セラミックス製のローラ本体
部と樹脂層とに跨って形成されている。つまり同ワイヤ
ー溝は、セラミックス部分の空隙と樹脂部分の空隙とか
らなる。よって、高い硬度を有するセラミックス部分の
切削量を大幅に低減できる(樹脂層の切削は極めて容易
である)。そしてこの結果、高い生産性が実現する。特
に、微細なワイヤー溝が密に形成されたものを製造する
場合、加工中に、チッピングと呼ばれるひび割れを生じ
ることがなくなり、歩留りが格段に向上する。
【0015】また、セラミックス部分の切削量が大幅に
少なくなることから、形成される溝1本あたりの砥石の
摩耗量を大きく低減させることができる。よって、これ
までよりも加工速度(切り込み速度)を増大させて作業
を行うことが可能であり、この結果、更なる生産効率の
向上が図れる。一方、加工速度を低く抑えれば、砥石の
長寿命化が図れ、その交換頻度が減るから製造コストが
低減する。加えて、形成されるワイヤー溝の本数が多く
なる場合でも、加工速度を調整すれば、砥石を問題とな
るほど摩耗させずに最後まで溝加工が行える。よって、
砥石の摩耗により、所期の寸法精度を確保できなくなる
といった問題は起きない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3を用い、本発明
の一実施形態を具体的に説明する。なお、図1は本実施
形態に係るワイヤーソー用ローラの外観図、図2はその
要部を拡大して示す断面図、図3(a)〜(c)は同ワ
イヤーソー用ローラの製造手順を示す概略図である。
【0017】本実施形態に係るワイヤーソー用ローラ
(以下、本ワイヤーソー用ローラと言う)は、シリコン
ウエハーなどの製造に用いられているワイヤーソーを構
成するものである。すなわち、数個の本ワイヤーソー用
ローラを所定の位置関係で回転自在に配置し、このロー
ラ群に1本のワイヤーを等間隔で数十〜数百回程度巻き
付けることでワイヤーソーが形成されている。したがっ
て本ワイヤーソー用ローラは、張設されたワイヤーを、
走行(往復動)中に位置ずれしないようガイドする役割
を果たす。なお、こうしたワイヤーソーの構造は公知で
あるから、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0018】さて本ワイヤーソー用ローラは、図1から
判るように、主要構成要素としてローラ本体部Aおよび
樹脂層Bを具備する。このうちローラ本体部Aは円筒状
のものであって、正確には、上記ワイヤーを受ける円筒
状の大径部1の一端側に、同じく円筒状の小径部2を一
体的に設けた構造となっている。なお、ローラ本体部A
の中空部(中心貫通孔)には、図示していない軸が位置
させられる。ローラ本体部Aは、この軸を用い、それを
中心として回転自在であるよう設置される。この際、先
の小径部2は、軸受け(図示せず)に直接セットされる
ことになる。
【0019】ローラ本体部Aは、その全体がアルミナな
どのセラミックスから構成されている。但し、ローラ本
体部Aはその全体がセラミックスからできていなくとも
よく、少なくとも、その周面の表層側のみが、例えば深
さ数mm程度までの部分がセラミックスから構成されて
いるだけでもよい。
【0020】次に樹脂層Bについてであるが、これは上
記ローラ本体部Aの周面を覆うよう均一な厚さに設けら
れている。なお、ローラ本体部A(正確には大径部1)
の端部については、基本的にワイヤーのガイドには関与
しない。よって、この部分には樹脂層Bを形成していな
い。本実施形態では、この樹脂層Bを構成する樹脂とし
て、摩擦係数の小さなフッ素系のものを用いたが、これ
以外にも、例えばナイロンやポリエチレン、更にはポリ
イミド系樹脂などを採用できる。要するに、ラッピング
オイルに対して耐性のある樹脂ならばどのようなもので
もよく、特にその種類は問わない。
【0021】本ワイヤーソー用ローラは、上記構成要素
に加えて、更に環状のワイヤー溝Cを複数本、例えば数
十〜数百本程度具備する。このワイヤー溝C個々は連続
した切れ目のないものであり、その本数は、言うまでも
なく、上記ローラ群に対するワイヤーの巻回数と等しく
なるよう設定される。
【0022】ワイヤー溝Cは、図2に拡大して示すごと
く、断面が略三角形状のものであって、ローラ自身の周
方向に沿って、等しい間隔で形成されている。そして、
このワイヤー溝Cは、上記樹脂層Bをローラの軸方向に
分断し、かつ、その溝底が上記ローラ本体部Aの側に存
在するようなものとなっている。つまりワイヤー溝C
は、セラミックス製のローラ本体部Aと樹脂層Bとに跨
って設けられている。
【0023】本ワイヤーソー用ローラの構造は次のよう
にも言える。すなわち、同ローラは、周方向に沿って複
数の環状溝11が等間隔で形成されたセラミックス製の
ローラ本体部Aと、その周面上であって、かつ、環状溝
11同士の間に設けられた、樹脂からなる断面が台形状
の環状凸部21とを主要構成要素とする。そして、ワイ
ヤーソーを構成するワイヤーW(図2中、一点鎖線で示
す)は、環状溝11およびこれを挟んで互いに対向する
一対の環状凸部21から形成される上記ワイヤー溝C内
に、環状溝11の内表面(テーパー面)に接触した状態
で収納されるようになっている。本ワイヤーソー用ロー
ラは、このようにしてワイヤーWがワイヤー溝Cによっ
てガイドされるよう構成されている。
【0024】なお本実施形態では、上記ワイヤー溝Cの
ローラ本体部A側の部分、つまり環状溝11を、ワイヤ
ーWの半分以上が納まるような断面形状としている。よ
って、図2においては、ワイヤーWの中心は環状溝11
内に存在する。これは、ワイヤーWをセラミックス面で
受けるようにするためであり、仮に環状溝11の開き角
度がかなり大きければ、環状溝11はこうした断面形状
となっていなくともよい。つまり、ワイヤーWの中心が
環状溝11内に存在していなくとも、それをセラミック
ス面で受け止めることが可能な場合もある。
【0025】ちなみに本実施形態では、ワイヤー溝Cを
構成する上記環状溝11の深さdをワイヤーWの半径r
の2〜4倍程度に、また、環状凸部21の高さhを、同
じくワイヤーWの半径rの2〜6倍程度に設定してい
る。
【0026】続いて、図3を用い、本発明に係る上記ワ
イヤーソー用ローラの製造方法(以下、本製造方法と言
う)について説明する。本製造方法を用いて上記ワイヤ
ーソー用ローラを得るに際しては、まず、環状溝11が
設けられていない状態のセラミックス製の筒状体A’の
周面上に、同面を覆うよう樹脂層を形成する〔樹脂層形
成工程:図3(a)参照〕。なお、ここでは樹脂として
テフロン(登録商標)樹脂を用い、またスプレー塗布に
よって、それをローラ本体部Aとなる筒状体A’の周面
に均一な厚みとなるよう塗着して、上記樹脂層Bを得
た。この樹脂層Bが完成した状態は、図3(b)に示す
とおりである。
【0027】ちなみに、この樹脂層Bを形成する方法と
しては、スプレー方式などの塗布方法以外にも、例え
ば、液状樹脂に浸漬するディッピング法や、あらかじめ
形成しておいた樹脂製の超薄肉筒状体に上記筒状体A’
を圧入する方法、更には溶射といった方法を採用でき
る。
【0028】上記樹脂層形成工程に続いては、加工用工
具である砥石Sを用いて、ワイヤー溝Cを所定の間隔で
必要な本数だけ形成する。更に具体的に言うと、まず樹
脂層Bが形成されたセラミックス製の筒状体A’を高速
回転させる。次いで、それに対して砥石Sの先端を圧接
させ、樹脂層Bおよび筒状体A’を所定の深さまで切削
する。この後、砥石Sをいったん後退させ、更に軸方向
に沿ってワイヤー溝Cの間隔分だけ移動させる。以後
は、この操作を繰り返し行い、ワイヤー溝Cを1本ずつ
形成していく〔ワイヤー溝形成工程:図3(c)参
照〕。これによって、樹脂層Bを分断し、かつ、溝底が
ローラ本体部Aに達する上記ワイヤー溝Cが、周方向に
沿って所定の本数だけ形成される。
【0029】こうした製造方法を用いて得られた上記ワ
イヤーソー用ローラでは、セラミックスからなるローラ
本体部A、特にその環状溝11が、常時、ワイヤーWと
接触して、このワイヤーWからの力を主として受け止め
る。これに対して樹脂からなる部分、つまり環状凸部2
1は、ワイヤーWの巻き付け時や走行中、それに弛みが
生じた場合に、ワイヤーWがワイヤー溝Cから外れない
よう規制する障壁として機能する。よって本ワイヤーソ
ー用ローラは、何ら支障なく高速で走行(往復動)する
ワイヤーWをガイドすることができる。
【0030】その一方で、本ワイヤーソー用ローラにお
ける上記ワイヤー溝Cは、セラミックス製のローラ本体
部Aと樹脂層Bとに跨って形成されている。すなわちワ
イヤー溝Cは、セラミックス部分の空隙と樹脂部分の空
隙とからできている。よって、この空隙を得るために必
要な切削量、特に加工が困難な高硬度を有するセラミッ
クス部分の切削量を大幅に低減できる(樹脂層の切削は
極めて容易である)。そしてこの結果、高い生産性が実
現する。殊に上記構成を採用すれば、微細なワイヤー溝
Cが密に形成されたものを製造する際、加工中にチッピ
ングと呼ばれるひび割れを生じることがなくなり、歩留
りが格段に向上する。
【0031】また、本ワイヤーソー用ローラでは、その
製造過程でのセラミックス部分の切削量が大幅に少なく
なることから、形成される溝1本あたりの砥石Sの摩耗
量が大きく低減する。よって、これまでよりも加工速度
(切り込み速度)を増大させて作業を行うことができ、
この結果、更なる生産効率の向上が図れる。あるいは加
工速度を抑えれば、砥石Sの長寿命化が図れ、その交換
頻度が減るから製造コストが低減する。加えて、形成さ
れるワイヤー溝Cの本数がかなり多くなる場合でも、加
工速度を調整すれば、砥石Sを問題となるほど摩耗させ
ずに最後まで溝加工が行える。よって、砥石Sの摩耗に
より、所期の寸法精度を確保できなくなるといった問題
は起きない。
【0032】
【実施例】以下の構造を有する上記実施形態に係るワイ
ヤーソー用ローラを、同じく以下の条件にて製作した
(これを実施例と言う)。まず、ローラ本体部としては
アルミナ(Al)製のものを用いた。その直径
(外径)は100mmであり、また長さは200mmで
ある。ローラ本体部の周面を覆う樹脂層はテフロンから
なり、ここではこの樹脂層を、粉体塗装法を用いて形成
した。樹脂層の厚みは0.2mmである。ワイヤー溝の
形成にはダイヤモンド砥石を使用した。その深さは0.
4mmであり、したがってそのローラ本体部側の部分す
なわち環状溝の深さは0.2mmである。また、ワイヤ
ー溝のピッチは0.6mmであり、計300本形成して
いる。ワイヤー溝形成時の加工速度(切り込み速度)で
あるが、樹脂層の部分については0.5mm/min
に、一方、ローラ本体部については0.2mm/min
に設定した。
【0033】比較のため、以下の条件にて、従来型のワ
イヤーソー用ローラを製作した(これを比較例と言
う)。ローラの原材としては、直径(外径)100m
m、長さ200mmのアルミナ製筒状体を用意した。そ
して、その周面にダイヤモンド砥石を用いて、周方向に
沿った環状のV形溝(ワイヤー溝)を複数形成し、ワイ
ヤーソー用ローラを得た。但し、このV形溝の深さは
0.4mmで、また、そのピッチは0.6mmである。
更に、溝の本数は300である。溝形成時の切り込み速
度は終始等しくなるよう設定し、具体的には0.2mm
/minとした。
【0034】上記二つのワイヤーソー用ローラが完成し
た後、その製作に使用した砥石の摩耗状況を調べた。す
ると、実施例のものの加工に用いた砥石に関しては、摩
耗は軽微であり、別のワイヤーソー用ローラの加工にも
再び使用することができた。また、実施例のワイヤーソ
ー用ローラについて、ワイヤー溝の深さや溝底部の曲率
半径を精査したところ、それらは全て均一であった。加
えて、溝の形成に係る加工速度が大幅に上がり、製造コ
ストの低減に大きな効果があることが確認された。
【0035】なお、実施例のワイヤーソー用ローラと線
径0.15mmのワイヤーとからワイヤーソーを構成
し、それをシリコンウエハーの製造に使用したが、その
途中、何も不具合は生じず、被切断物を良好に処理する
ことができた。
【0036】これに対し比較例の製作に用いた砥石は、
総摩耗量が甚大なものとなっていた。したがって当然の
ことながら、ワイヤー溝の深さは徐々に浅くなってお
り、また、溝底部の曲率半径も次第に増大しているのが
認められた。こうした理由から、比較例のワイヤーソー
用ローラを用いてワイヤーソーを構成した場合、被切断
物の処理に支障を来すのは確実であると考えられる。
【0037】ちなみに、比較例について、加工速度を先
の半分(0.1mm/min)にまで落としてみたとこ
ろ、ワイヤー溝の形状はほぼ均一なものとなった。しか
し、砥石の摩耗は無視できるほど軽微ではなく、その再
使用は困難な状況であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の技術によれば、ワイヤーソー用
ローラの生産性を大幅に向上させることができる。特
に、溝加工用の砥石の摩耗量を従来品よりも少なくで
き、この結果、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るワイヤーソー用ローラ
の外観図
【図2】本発明の実施形態に係るワイヤーソー用ローラ
の要部を拡大して示す断面図
【図3】(a)〜(c)は本発明の実施形態に係るワイ
ヤーソー用ローラの製造手順を示す概略図
【符号の説明】
A ローラ本体部 A’ セラミックス製の筒状体 B 樹脂層 C ワイヤー溝 1 ローラ本体部の大径部 2 ローラ本体部の小径部 11 環状溝 21 環状凸部 W ワイヤー S 砥石(加工用工具)
フロントページの続き (72)発明者 坂本 信治 山口県小野田市大字小野田6276 大村耐火 株式会社内 Fターム(参考) 3C058 AA05 AA09 AA14 AA18 AB08 CA02 CB03 DA03 3C069 AA01 BA06 BB03 CA04 EA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも周面の表層側がセラミックス
    から構成されたローラ本体部と、 このローラ本体部の周面を覆うよう設けられた樹脂層
    と、 この樹脂層を分断し、かつ、溝底が前記ローラ本体部側
    に存在する、周方向に沿って形成されたワイヤー溝とを
    具備してなることを特徴とするワイヤーソー用ローラ。
  2. 【請求項2】 少なくとも周面の表層側がセラミックス
    から構成され、かつ、周方向に沿って複数の環状溝が形
    成されたローラ本体部と、 このローラ本体部の周面上であって、かつ、前記環状溝
    同士の間に設けられた、樹脂からなる環状凸部とを具備
    し、 ワイヤーソーを構成するワイヤーが、前記環状溝および
    この環状溝を挟んで互いに対向する一対の前記環状凸部
    から形成されるワイヤー溝内に、前記環状溝の内面に接
    触した状態で収納され、前記ワイヤー溝によってガイド
    されるよう構成されてなることを特徴とするワイヤーソ
    ー用ローラ。
  3. 【請求項3】 ワイヤー溝のローラ本体部側の部分は、
    ワイヤーソーを構成するワイヤーの少なくとも半分が納
    まるような断面形状を有するものであることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載のワイヤーソー用ロー
    ラ。
  4. 【請求項4】 樹脂が、フッ素系樹脂、ナイロン、ポリ
    エチレン、ポリイミド系樹脂よりなる群の中から選ばれ
    た一つであることを特徴とする請求項1〜請求項3のい
    ずれかに記載のワイヤーソー用ローラ。
  5. 【請求項5】 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載のワイヤーソー用ローラの製造方法であって、 溝が設けられていない状態のローラ本体部の周面上に、
    この周面を覆うよう樹脂層を形成する樹脂層形成工程
    と、 加工用工具を用いて、前記樹脂層形成工程の後、前記樹
    脂層を分断し、かつ、溝底が前記ローラ本体部に達する
    ワイヤー溝を周方向に沿って形成するワイヤー溝形成工
    程とを具備することを特徴とするワイヤーソー用ローラ
    の製造方法。
JP2001017850A 2001-01-26 2001-01-26 ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法 Pending JP2002219643A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001017850A JP2002219643A (ja) 2001-01-26 2001-01-26 ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001017850A JP2002219643A (ja) 2001-01-26 2001-01-26 ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002219643A true JP2002219643A (ja) 2002-08-06

Family

ID=18883966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001017850A Pending JP2002219643A (ja) 2001-01-26 2001-01-26 ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002219643A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006075969A (ja) * 2004-09-13 2006-03-23 Sharp Corp ワイヤソー装置
JP2008272930A (ja) * 2007-04-25 2008-11-13 Siltronic Ag ワイヤー鋸用ワイヤー案内ロール
CN102225598A (zh) * 2011-05-03 2011-10-26 蒙特集团(香港)有限公司 太阳能硅片线切割导辊及制作方法与专用镀膜机和电镀机
WO2015043384A1 (zh) * 2013-09-30 2015-04-02 凡登(江苏)新型材料有限公司 一种定制槽型的多线切割用导轮及其制备方法
CN108247875A (zh) * 2018-01-16 2018-07-06 郭熹 一种太阳能电池切片用主辊及其制造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006075969A (ja) * 2004-09-13 2006-03-23 Sharp Corp ワイヤソー装置
JP2008272930A (ja) * 2007-04-25 2008-11-13 Siltronic Ag ワイヤー鋸用ワイヤー案内ロール
CN102225598A (zh) * 2011-05-03 2011-10-26 蒙特集团(香港)有限公司 太阳能硅片线切割导辊及制作方法与专用镀膜机和电镀机
WO2015043384A1 (zh) * 2013-09-30 2015-04-02 凡登(江苏)新型材料有限公司 一种定制槽型的多线切割用导轮及其制备方法
CN108247875A (zh) * 2018-01-16 2018-07-06 郭熹 一种太阳能电池切片用主辊及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9701043B2 (en) Dicing blade
EP2719511B1 (en) Scribing wheel, and scribing method
EP2147900B1 (en) Scribing apparatus and method
JP4140987B2 (ja) 糸鋸引き装置
KR20150020527A (ko) 고정 지립 와이어 톱과 그 제조 방법, 및 그것을 이용한 워크의 절단 방법
JP5750737B2 (ja) ワイヤソー用メインローラー、そのローラー本体及び製造方法
EP2925474B1 (en) Structured saw wire maintaining crimp property under slicing tension
JP2002219643A (ja) ワイヤーソー用ローラおよびその製造方法
CN202200407U (zh) 用于切割玻璃、瓷砖或石材的切割刀具
EP0827798B1 (en) A multi-wire saw
JP2000094297A (ja) マルチワイヤーソー
US5097637A (en) Multi-disc cutter and method of manufacture
JP5127759B2 (ja) キャプスタンロールおよび伸線機
KR102229135B1 (ko) 개별 절삭팁 부착형 cmp 패드 컨디셔너 및 그 제조방법
JP2002239889A (ja) ワイヤーソー用ローラ
JP2006075969A (ja) ワイヤソー装置
JP2562597B2 (ja) ワイヤソ−
JP2002233944A (ja) ワイヤーソー用ローラ
JP2007125737A (ja) セラミックハニカム構造体の製造方法
JPH0970747A (ja) ワイヤソー
RU2273550C1 (ru) Способ осциллирующей чистовой обработки зубьев
KR20230041784A (ko) 공작물로부터 복수의 디스크를 동시에 분리하기 위한 방법 및 장치
CN115805669A (zh) 晶锭切割方法
JP2562597C (ja)
JPS63200970A (ja) 研削砥石