JP2006075969A - ワイヤソー装置 - Google Patents

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義之 北條
Kimihiko Kajimoto
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Abstract

【課題】ワイヤの脱線頻度を小さくすることができるワイヤソー装置を提供すること。
【解決手段】本発明のワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイド1に螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤ2を走行させるとともに、その状態でワイヤ2と被加工物3との間に切削送りを付与して被加工物3に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイド1の各V溝の間に存在する仕切り壁の幅を50μm以上とすることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば半導体材料、磁性材料、セラミック等の脆性材料をワイヤにより切断するワイヤソー装置に関するものである。
まず、ワイヤソー装置の一般的な加工方法について図7を用いて説明する。図7に示すワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイド51を備え、これらのワイヤガイド51には、切断用のワイヤ52が螺旋状に巻きつけられている。ワイヤ52の末端は、ボビン56,57に巻きつけられており、ワイヤ52には、テンションアーム55によって張力が加えられている。ワイヤ52は、通常、ワイヤガイド51の回転により走行する。
ワイヤ52が走行している間に、ワイヤには、スラリーノズル54から砥粒を含むスラリーが供給され(又は、あらかじめ砥粒を固着させたワイヤを用いる。)、ワイヤ52と被加工物53との間に切削送りを付与することにより、被加工物53はウエハ状にスライスされる。
半導体用のシリコンウエハをスライスする場合に用いられるワイヤガイドおよびワイヤは、例えば
特許文献1の実施例では、ガイドピッチ1.15mm、ワイヤ径0.2mm
特許文献2の実施例では、ガイドピッチ1.05mm、ワイヤ径0.18mm、
特許文献3の実施例では、ガイドピッチ1.02mm、ワイヤ径0.16mmのような比較的大きなガイドピッチ、ワイヤ径で行われており、スライス後に研磨等を行って0.625mm厚のウエハが得られている。
しかしながら、太陽電池用のシリコンウエハはコストダウンを目的に薄型化されており、ワイヤ径やワイヤガイドのV溝間の間隔、V溝の深さは特許文献1から特許文献3の値に比べて小さくなっている。特許文献4の実施例では、図8(a)に示すように、ガイドピッチ0.65mm、V溝角50°、深さ0.368mmの形状をしたワイヤガイドを用い、直径が0.1〜0.25mmのワイヤ52を用いてスライスを行う実施例を開示している。なお、図8(a)は、ワイヤガイド表面のV溝58部分の拡大図である。
特許文献4に記載のようなガイドピッチが0.65mmのときはV溝58の深さが比較的大きく設定し、かつ、仕切り壁の幅も大きく設定することが可能であり、そのため、ワイヤ52に横向きの負荷が印加された場合でもワイヤガイドの反力で元のV溝に戻り、また、ワイヤ52が浮き上がった場合も、隣のV溝までの距離が大きいため元の溝に戻る。
しかしながら、特許文献4に記載のようなV溝の角度50°を維持したままガイドピッチを小さく、例えばガイドピッチを400μmとした場合、図8(b)のように仕切り壁の幅を0にするか、図8(c)のようにV溝58の深さを浅くするしかできない。ワイヤガイドには一般的にウレタン等の弾性材料が用いられるため、図8(b)のような形状は強度が弱いため、ワイヤ52に横向きの負荷が印加されるとワイヤ52の脱線が容易に発生する。また、図8(c)の場合はV溝58の深さが浅いために、ワイヤ52が浮き上がった場合、ワイヤ52の脱線が容易に発生する。ワイヤ52の脱線が発生することにより、ウエハの厚みばらつきが発生するため、良品ウエハの取れ数(歩留り)が低下する。
特許文献5では、V溝の形状を傾斜溝側面の開口角度を50〜90°、傾斜溝底面の開口角度を90〜100°と二段階に加工して、仕切り壁の厚みを確保することにより、ワイヤの脱線を防止している。しかしながら、特許文献5では、仕切り壁の幅が大きければ大きいほどワイヤの脱線を防止できることは記載しているが、仕切り壁の幅の具体的数値に関しては言及されていない。また、V溝を二段階に加工することはそれだけの手間を要する。更に、V溝の傾斜溝底面の開口角度を大きくすれば、ワイヤとワイヤガイドとの接触面積が大きくなるため、ワイヤガイドの磨耗も大きくなり、ワイヤガイドの耐久性が低いという問題が起こる。
特開平6−126733号公報 特開2000−117726号公報 特開2003−159642号公報 特開平10−44140号公報 特開2001−79748号公報
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、以下の課題を解決するものである。
(1)ワイヤの脱線頻度を小さくすることができるワイヤソー装置を提供すること。
(2)ワイヤガイドの磨耗を抑えることができるワイヤソー装置を提供すること。
第1の発明に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の間に存在する仕切り壁の幅を50μm以上とすることを特徴とする。
第2の発明に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の深さを、ワイヤをワイヤガイドに巻きつけた際の仕切り壁とワイヤの高さの差がワイヤの半径以上となるような深さとすることを特徴とする。
第3の発明に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の先端の曲率直径または面取りの大きさは、ワイヤの直径の0.7倍以下であることを特徴とする。
第1の発明によれば、該ワイヤガイドの各V溝の間に存在する仕切り壁の幅を50μm以上とすることによって、ワイヤの脱線頻度を小さくすることができるワイヤソー装置が得られる。
第2の発明によれば、ワイヤガイドの各V溝の深さを、ワイヤをワイヤガイドに巻きつけた際の仕切り壁とワイヤの高さの差がワイヤの半径以上となるような深さとすることにより、ワイヤの脱線頻度を小さくすることができるワイヤソー装置が得られる。
第3の発明によれば、ワイヤガイドの各V溝の先端の曲率直径または面取りの大きさをワイヤの直径の0.7倍以下とすることにより、ワイヤガイドの磨耗を抑えることができるワイヤソー装置が得られる。
1.第1の実施形態
第1の実施形態に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の間に存在する仕切り壁の幅を50μm以上とすることを特徴とする。
ワイヤガイドは、ショア硬度が80〜120であることが好ましい。ショア硬度が80以上の場合、ワイヤの張力によるワイヤガイドの変形が小さく、ショア硬度が120以下の場合、ワイヤとワイヤガイドの間の摩擦によるワイヤ又はワイヤガイドの磨耗が小さいからである。また、ワイヤガイドは、ショア硬度が90〜100であることがさらに好ましい。この場合、上記変形が特に小さく、また、上記磨耗が特に小さくなるからである。
ここで、ショア硬度は、JIS Z 2246で規定される方法で測定することができ、具体的には、本発明では、ある一定の高さhoから落下させたハンマーのはね返り量をhとしたとき、
ショア硬度=10000÷65×h÷ho
で定義される。
ワイヤガイドは、具体的には、ウレタンなどの樹脂類、セラミック(通常は、ショア硬度が90〜100である。)などで形成することができる。
ワイヤガイドには、複数のV溝が形成されている。これらのV溝は、例えば、V形状のバイトを用いて、旋盤によりワイヤガイドに形成することができる。ワイヤガイドの各V溝の間に存在する仕切り壁の幅(図1AのCを参照)は、50μm以上であればよく、例えば、55,60,65,70,75,80,85,90,95,100μmである。薄厚のウエハを得るために、仕切り壁の幅は、これらの何れかの幅以下であることが好ましい。V溝の角度(図1Aのθを参照)は、例えば、20,30,40,50,60,70,80,90度であるか、これらの何れか2つの間の値であることが好ましい(例えば、40〜60度)。V溝の角度が小さすぎると、ワイヤが十分に溝に挟まれずワイヤの脱線頻度が大きくなり、V溝の角度が大きすぎると、ワイヤと溝との接触が大きくなり、ワイヤガイドの磨耗が大きくなる。ワイヤガイドの各V溝の深さ及びワイヤガイドの各V溝の先端の形状などについては、後述する第2及び第3の実施形態での説明が本実施形態についても当てはある。
ワイヤは、例えば、鋼線などからなり、好ましくは、真鍮などでめっき加工されたものが用いられる。ワイヤの半径は、例えば、50,60,70,80,90,100μmであるか、これらの何れか2つの間の値であることが好ましい(例えば、70〜80μm)。
ワイヤガイドに巻きつけられたワイヤは、通常は、ワイヤガイドの回転によって、駆動されて走行する。この際、ワイヤには、例えば、10,20,30,40,50,60Nであるか、これらの何れか2つの間の値の張力が加えられる(例えば、20〜40N)。ワイヤの送り速度は、例えば、300,400,500,600,700,800,900m/minであるか、これらの何れか2つの間の値であることが好ましい(例えば、500〜700m/min)。また、ワイヤと被加工物との間の切削送りの速度は、例えば、0.1,0.15,0.2,0.25,0.3,0.35,0.4mm/minであるか、これらの何れか2つの間の値であることが好ましい(例えば、0.2〜0.3mm/min)。
2.第2の実施形態
第2の実施形態に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の深さを、ワイヤをワイヤガイドに巻きつけた際の仕切り壁とワイヤの高さの差がワイヤの半径以上となるような深さとすることを特徴とする。
第1及び第3の実施形態についての説明は、その趣旨に反しない限り、第2の実施形態についても当てはまる。第2の実施形態では、ワイヤガイドの各V溝の深さを、ワイヤをワイヤガイドに巻きつけた際の仕切り壁とワイヤの高さの差がワイヤの半径以上となるような深さとする。この場合、ワイヤの脱線頻度を小さくすることができる。「仕切り壁とワイヤの高さの差」とは、仕切り壁の最も高い(すなわち、ワイヤガイドの中心から最も離れた)位置と、ワイヤの最も高い位置との間の距離をいう(図1AのBを参照)。この高さの差は、ワイヤの半径以上であればよく、例えば、ワイヤの半径の1.2,1.4,1.6,1.8,2倍である。仕切り壁の幅を小さくしすぎずに薄厚のウエハを得るために、この高さの差は、これらの何れかの値以下であることが好ましい。
3.第3の実施形態
第3の実施形態に係るワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、該ワイヤガイドの各V溝の先端の曲率直径または面取りの大きさは、ワイヤの直径の0.7倍以下であることを特徴とする。
第1及び第2の実施形態についての説明は、その趣旨に反しない限り、第3の実施形態についても当てはまる。第3の実施形態では、ワイヤガイドの各V溝の先端の曲率直径または面取り(以下、併せて「曲率直径等」と呼ぶ。)の大きさは、ワイヤの直径の0.7倍以下である。この場合、ワイヤガイドの磨耗を抑えることができる。「V溝の先端の曲率直径」とは、V溝の先端の曲率半径(図1Aのrを参照)の2倍である。「V溝の先端の面取り」は、図1B中のXのように、V溝の先端部であって、V溝の角度が大きくなっている部位の幅で定義される。V溝の先端の曲率直径等は、ワイヤの直径の0.7倍以下であればよく、例えば、ワイヤの直径の0.6,0.5,0.4,0.3,0.2,0.1倍である。加工容易性などの観点からV溝の先端の曲率直径等は、これらの何れかの値以上であることが好ましい。
V溝の先端の曲率直径等が、ワイヤの直径の0.7倍以下である場合にワイヤガイドの磨耗が抑えられる作用は以下のように説明される。ワイヤは通常ある程度の張力が加えられてワイヤガイドに巻きつけられる。この張力によってワイヤガイドがある程度変形する。V溝の先端の曲率直径等が、ワイヤの直径の0.7倍より大きい場合、ワイヤガイドが僅かに変形するとワイヤがV溝の先端に接触し、ワイヤとワイヤガイドとの間の摩擦が大きくなる。一方、V溝の先端の曲率直径等が、ワイヤの直径の0.7倍以下である場合、ワイヤガイドが変形しても、ワイヤはV溝の先端に接触せず、ワイヤとワイヤガイドとの間の摩擦が大きくならない。従って、V溝の先端の曲率直径等が、ワイヤの直径の0.7倍以下である場合にワイヤガイドの磨耗が抑えられる。
まず、本実施例で使用したワイヤソー装置について、図2を用いて説明する。図2に示すワイヤソー装置は、それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイド1を備え、これらのワイヤガイド1には、切断用のワイヤ2が螺旋状に巻きつけられている。ワイヤ2の末端は、ボビン6,7に巻きつけられており、ワイヤ2には、テンションアーム5の位置を制御することによって一定の張力が加えられる。ワイヤ2は、ワイヤガイド1の回転により走行する。ワイヤ2は、鋼線に真鍮めっき加工を施したものである。この状態で、ブロック3に対し、図示しないステージを用いて、切削送りを付与して切断加工を施す。スラリーは図示しないスラリー供給タンクからスラリーノズル4を通って供給される。
スラリー供給タンクは200L〜300L程度の大きさのものを使用した。スラリーは、砥粒(比重:3.21)と分散媒(比重:1、分散媒にはPG(プロピレングリコール)PEG(ポリエチレングリコール)などをベースとして、水や分散剤などを添加したものを使用した。)を1:1の質量比に混合したものを使用した。ここで、砥粒は、SiC(シリコンカーバイド)、ダイヤモンド、CBN、アルミナなどが使用可能であるが、本実施例ではSiCを使用した。砥粒の番手はGC#800のものを用いた。分散媒は、砥粒を混合して、切断に使用し、同時に発生する切屑を排出する役目を有している。
ワイヤガイドは円筒の外周に一定のピッチでV溝加工を施したものであり、断面形状は図1Aに示す通りである。ワイヤ2はV溝8の谷部分に保持されるとともに、テンションアームで一定の張力をかけられることにより、決められた位置を走行する。この状態で、インゴット(ブロック)に対して切削送りを付与することにより、一定の厚さのウエハが得られる。したがって、V溝の形状は、切削により得られるウエハの厚さ、反り等の形状品質に非常に大きな影響を与える。
ワイヤのワイヤガイドからの脱線は、ウエハスライス時にワイヤが隣り合うV溝に移動してしまう現象で、V溝の形状に起因する場合、たとえば、V溝内にワイヤが十分沈み込んでいない場合や、V溝の山側の強度が不十分な場合や、V溝とワイヤ間に切削粉や切削屑などの異物が混入することによりワイヤがV溝から浮き、元のV溝に戻らないことによって発生する。ガイドピッチが大きい場合はワイヤがワイヤガイドから浮いても元のV溝に戻ることが多いが、ガイドピッチが小さくなることにより、ワイヤがワイヤガイドから浮いた後、隣接するV溝にはまりこみ、脱線する確率が高くなる。特にV溝の形状に起因する場合、たとえば、V溝内にワイヤが十分沈み込んでいない場合や、V溝の山側の強度が不十分な場合に、本発明は特に有効である。
実施例1では、図1Aに示す形状のV溝8を有するワイヤガイドを用いた。ワイヤガイドは、ウレタン(ショア硬度:90〜100)製の基体からなり、その表面にV形状のバイトを用いてV溝が形成されている。このワイヤガイドを用いて、仕切り壁の幅Cを変えてワイヤソーで切断加工を行った。加工条件および、加工後のワイヤの脱線頻度を表1A(ワイヤ径140μm)、表1B(ワイヤ径160μm)に示す。図2に示すマルチワイヤソーを用いた場合、ワイヤの脱線は下ローラーで発生しやすいため、脱線数は下ローラーで測定した数を示す。なお、ワイヤの送り速度は600m/minとし、テーブルスピード(ブロック3の送り速度)は、0.25mm/minとした。
表1A,1Bにおいて、
AはV溝の頂点とワイヤの高さの差、
Bは仕切り壁とワイヤの高さの差、
Cは仕切り壁の幅、
DはV溝の頂点と仕切り壁の高さの差、
EはV溝の加工深さ、
Rはワイヤの半径、
rはV溝の曲率半径、
θはV溝の角度、
Pはガイドピッチ
を示す(それぞれ図1Aを参照)。V溝数はワイヤガイドのV溝加工を施している部分の長さをガイドピッチで除した数である。
Figure 2006075969
Figure 2006075969
ここで、表1A及び1Bで得られた結果を図3A及び3Bに図示する。図3Aは、ワイヤの半径が70μmの場合における(表1A)、仕切り壁の幅Cと脱線率との関係を示すグラフである。図3Bは、ワイヤの半径が80μmの場合における(表1B)、仕切り壁の幅Cと脱線率との関係を示すグラフである。
図3A及び3Bから明らかなように、ワイヤ径によらず、仕切り壁の幅Cが50μmより小さくなると脱線頻度が極端に大きくなることがわかる。したがって、仕切り壁の幅Cを50μm以上にすると脱線を防止することが可能となる。
実施例2では、図1Aに示すワイヤガイドを用いて、仕切り壁とワイヤの高さの差Bを変えてワイヤソーで切断加工を行った。実施例2で用いたワイヤソー装置は、実施例1のものと同様である。加工条件および、加工後のワイヤの脱線頻度を表2A(ワイヤ径140μm)、表2B(ワイヤ径160μm)に示す。なお、ワイヤの送り速度は600m/minとし、テーブルスピード(ブロック3の送り速度)は、0.25mm/minとした。
Figure 2006075969
Figure 2006075969
ここで、表2A及び2Bで得られた結果を図4A及び4Bに図示する。図4Aは、ワイヤの半径が70μmの場合における(表2A)、仕切り壁とワイヤの高さの差Bと脱線率との関係を示すグラフである。図4Bは、ワイヤの半径が80μmの場合における(表2B)、仕切り壁とワイヤの高さの差Bと脱線率との関係を示すグラフである。
図4A及び4Bから明らかなように、仕切り壁とワイヤの高さの差Bがワイヤ半径R(それぞれ70μm、80μm)より小さくなるとワイヤの脱線頻度が極端に大きくなることがわかる。また、条件1〜6とも仕切り壁の幅は50μm以上あるが、仕切り壁とワイヤの高さの差Bがワイヤ半径Rより小さくなるとワイヤの脱線頻度が高くなることがわかる。
ワイヤ2とV溝8の曲率半径rの概略図を図5に示す。図5(a)のように、rがワイヤの半径Rより大きい場合、ワイヤが左右にぶれるため、ウエハ厚さが不均一になり、望ましくない。図5(b),(c)のように、rがワイヤの半径Rと一致した場合、新品のワイヤガイドを用いた場合はワイヤの遊びが無いためウエハの厚みは均一であるが、ワイヤガイドとワイヤとの接触面積が大きいため、ワイヤガイドの磨耗が大きく、ワイヤガイドの交換頻度が高くなるためコスト高となる。したがって、V溝の頂点は理想的には図5(d)のように、r=0となることが望ましいが、切削工具の形状、ガイドの材質は一般的に弾性材料を用いることから実現は困難である。したがって、rは0以上R以下であることが望ましいことは容易に推測できる。
実施例3では、ワイヤガイドのrを変化させて切断を行ったときの、ワイヤガイド使用回数とワイヤガイドの磨耗量との関係を求めた。初期のワイヤガイドのV溝の形状は、A:95μm、B:95μm、C:90μm、D:330μm、E:280μm、θ:50度、P:400μmであった。V溝の曲率半径rは、40,50,60,70,80μmとした。用いたワイヤの半径Rは、70μmであった。その他の条件は、基本的に実施例1のものと同様である。ワイヤガイドの磨耗量は、触針式の表面形状測定機を用いて測定した。
図6は、上記条件の下で得られたワイヤガイド使用回数とワイヤガイドの磨耗量との関係を示すグラフである。図6から明らかなように、V溝の曲率半径rが50μm以下の場合、磨耗量が、非常に小さくなることが分かる。r=50μmは、用いたワイヤの半径Rの約0.7倍であり、V溝の曲率半径rがワイヤ半径Rの0.7以下となれば、ワイヤガイドの磨耗量が小さくなることが分かる。
本発明に係るワイヤガイドのV溝形状を示す断面図である。 本発明に係るワイヤガイドのV溝形状(V溝先端部が面取り)を示す断面図である。 本発明の実施例1〜3で用いたワイヤソー装置の構成を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係る、ワイヤの半径が70μmの場合における、仕切り壁の幅Cと脱線率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る、ワイヤの半径が80μmの場合における、仕切り壁の幅Cと脱線率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る、ワイヤの半径が70μmの場合における、仕切り壁とワイヤの高さの差Bと脱線率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る、ワイヤの半径が80μmの場合における、仕切り壁とワイヤの高さの差Bと脱線率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例3に係る、種々のV溝形状を示す断面図である。 本発明の実施例3に係る、ワイヤガイド使用回数とワイヤガイドの磨耗量との関係を示すグラフである。 従来のワイヤソー装置の構成を示す斜視図である。 従来のワイヤガイドのV溝形状を示す断面図である。
符号の説明
1,51:ワイヤガイド 2,52:ワイヤ 3,53:被加工物 4,54:スラリーノズル 5,55:テンションアーム 6,7,56,57:ボビン 8,58:V溝 C:仕切り壁の幅

Claims (5)

  1. それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、
    該ワイヤガイドの各V溝の間に存在する仕切り壁の幅を50μm以上とすることを特徴とするワイヤソー装置。
  2. ワイヤガイドは、ショア硬度が80〜120である材料で形成される請求項1に記載のワイヤソー装置。
  3. ワイヤガイドは、ショア硬度が90〜100である材料で形成される請求項1に記載のワイヤソー装置。
  4. それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、
    該ワイヤガイドの各V溝の深さを、ワイヤをワイヤガイドに巻きつけた際の仕切り壁とワイヤの高さの差がワイヤの半径以上となるような深さとすることを特徴とするワイヤソー装置。
  5. それぞれ複数のV溝を有する複数本のワイヤガイドに螺旋状に巻きつけられた切断用ワイヤを走行させるとともに、その状態でワイヤと被加工物との間に切削送りを付与して被加工物に対して切断加工を施すようにしたワイヤソー装置において、
    該ワイヤガイドの各V溝の先端の曲率直径または面取りの大きさは、ワイヤの直径の0.7倍以下であることを特徴とするワイヤソー装置。
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