<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
(スロットマシンシステム)
まず、スロットマシンシステムについて図1を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる封入式のスロットマシンを備えるスロットマシンシステムを示す図である。
図1に示すように、スロットマシンシステムは、封入式のスロットマシン1とメダル貸出ユニット200とを備えている。スロットマシン1では、メダル貸出ユニット200から枚数データの形式で遊技者に貸し出されるメダルが疑似投入されることにより賭け数が設定されて遊技が実行される。
また、本実施の形態では、スロットマシンシステムにおいて、遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データはメダル貸出ユニット200に保持されている。そして、後で詳細に説明するように、スロットマシン1にメダルが疑似投入されて所定枚数分の賭け数が設定されると、メダル貸し出しユニット200に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データから、賭け数である所定枚数分の枚数データが減算される。また、入賞することによりスロットマシン1から遊技者に対して所定の利益として所定の払出枚数のメダルが付与される場合には、本実施の形態では、メダルが払い出される代わりに、メダル貸し出しユニット200に保持される遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データに、所定の払出枚数分の枚数データが加算されることにより、遊技者にメダルが疑似払出される。以下では、まず、メダル貸出ユニット200について詳細に説明した後に、スロットマシン1について詳細に説明する。
(メダル貸出ユニット)
図1に示すように、メダル貸出ユニット200は、遊技に使用可能なメダルを枚数データの形式で遊技者に貸し出すものであり、メダル枚数表示装置210、現金残高表示装置211、メダルカード装置220、現金カード装置230、ユニット制御装置240を備えている。
メダル枚数表示装置210は、ユニット制御装置240において保持されている枚数データに基づいて、遊技に使用可能なメダル枚数を表示するものである。メダル枚数表示装置210は、複数の7セグメントLED(図示省略)により構成されたり、液晶表示器(図示省略)により構成される。
現金残高表示装置211は、メダルを借り受けるためにメダル貸出ユニット200(現金カード装置230)に投入された現金の残高を表示するものである。現金残高表示装置211は、複数の7セグメントLED(図示省略)により構成されたり、液晶表示器(図示省略)により構成される。
メダルカード装置220は、ICカード等により形成されたメダルカード(図示省略)が排出されるものであり、メダルの枚数データをメダルカードに記録するものである。なお、メダルカードにメダルの枚数データを記録する際に、記録される枚数データに基づくメダル枚数を視認することができるようにメダルカードの表面にメダル枚数が表示されるようにしてもよい。
現金カード装置230は、メダル貸出ユニット200からメダルを借り受けるために紙幣等の現金が投入されたり、ICカード等により形成された現金カード(図示省略)が挿入されるものであり、遊技者により投入された現金や現金カードを検出する。また、現金カードは、メダルを借り受けるために現金カード装置230に投入された現金の残高が記録されるものであり、無記録状態の複数の現金カードが予め現金カード装置230に内蔵されている。
そして、遊技を開始するために現金が現金カード装置230に投入されると、無記録状態の複数の現金カードのうちの一枚に、投入された金額が記録されることにより、メダルの貸し出しが可能な状態となる。また、メダルが貸し出されると、貸し出されたメダル枚数分の金額が現金カードに記録された金額から減算される。その後、更に現金が現金カード装置230に投入されると、当該現金カードに投入された金額が加算される。
また現金に代えて、メダルを借り受けるのに使用可能な金額が記録された現金カードが現金カード装置230に挿入されると、メダルの貸し出しが可能な状態となる。また、メダルが貸し出されると、貸し出されたメダル枚数分の金額が現金カードに記録された金額から減算される。その後、更に現金が現金カード装置230に投入されると、当該現金カードに投入された金額が加算される。なお、遊技を終了する際に、現金カードに残金が記録されていれば、当該現金カードが遊技者に返却される。
ユニット制御装置240は、メダル貸出ユニット200全体の制御を行うものであり、現金カード装置230に現金が投入された場合に、もしくは、メダルの借り受けに使用可能な金額が記録された現金カードが挿入された場合に、遊技者にメダルを枚数データの形式で貸し出すものである。また、ユニット制御装置240は、遊技者がスロットマシン1における遊技を終了する場合に、遊技に使用可能なメダル枚数がまだ残っていれば、残っているメダル枚数に関する枚数データをメダルカード装置220に挿入されたメダルカードに記録するものである。ユニット制御装置240は、データ保持手段241、貸出手段242、減算手段243、加算手段244、返却手段245を備えている。
データ保持手段241は、遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データを保持するものである。
貸出手段242は、所定の貸出枚数の枚数データをデータ保持手段241に保持させることにより、遊技者に遊技に使用可能なメダルを枚数データの形式で貸し出すものである。また、貸出手段242により遊技者(スロットマシン1)にメダルが枚数データの形式で貸し出された場合には、所定の貸出枚数分(例えば50枚分)の貸出料金が現金カード装置230に挿入状態の現金カードに記録されている金額から減算される。なお、本実施の形態では、スロットマシン1に搭載されている貸出スイッチ12が操作されることにより(図2参照)、貸出スイッチ用センサ12aの出力がスロットマシン1の中継基板に搭載されているI/Oポート(図示省略)を介してメダル貸出ユニット200に入力された場合に、貸出手段242により遊技者に対してメダルが枚数データの形式で貸し出される。
減算手段243は、スロットマシン1へのメダルの疑似投入枚数分の枚数データをデータ保持手段241から減算するものである。また、加算手段244は、スロットマシン1からのメダルの疑似払出枚数分の枚数データをデータ保持手段241に加算するものである。なお、疑似投入枚数および疑似払出枚数に関する枚数データはスロットマシン1からメダル貸出ユニット200に出力される。
返却手段245は、データ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データをメダルカードに記録することにより、遊技者にメダルを枚数データの形式で返却するものである。また、返却手段245により遊技者にメダルが枚数データの形式で返却された場合には、データ保持手段241に保持されている枚数データが初期化される。なお、本実施の形態では、スロットマシン1に搭載されている返却スイッチ13が操作されることにより(図2参照)、返却スイッチ用センサ13aの出力がスロットマシン1の中継基板に搭載されているI/Oポート(図示省略)を介してメダル貸出ユニット200に入力された場合に、返却手段245により遊技者に対してメダルが枚数データの形式で返却される。また、現金カードに残金が記録されていれば、当該現金カードがメダルカードと一緒に遊技者に返却される。
(スロットマシン)
スロットマシン1の構成の概略について、図1も参照しつつ図2を参照して説明する。図2はスロットマシンの正面図である。
本実施の形態における封入式のスロットマシン1では、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8の操作により、遊技を開始させるための所定条件を成立させるために筐体内の封入メダルを用いたメダルの疑似投入が行われる。また、メダルの疑似投入により所定枚数分の賭け数が設定されて所定条件が成立したことを条件として、遊技者によりスタートスイッチ9が操作されると、各々複数個の図柄が配列された複数の回転リール6L,6M,6Rが回転を開始する。また、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作により各回転リール6L,6M,6Rが停止したときの停止図柄表示結果が所定の入賞態様であれば、予め定められた所定の払出枚数分のメダルの疑似払出が筐体内の封入メダルを用いて行われることにより1回の遊技が終了する。
スロットマシン1は、例えば、図2に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシン1では、前面が開放された箱型の筐体の前面が前面パネル2により開閉自在に閉塞され、この前面パネル2のほぼ中央高さの位置に操作板3が配設されると共に、この操作板3の上方に正面板4が配設されている。そして、この正面板4には横長矩形の表示窓5が設けられている。また、表示窓5の内側には、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右回転リール6L,6M,6Rが配置されている。
左・中・右回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面には、所定の個数の図柄が所定の配列で設けられている。また、左・中・右回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面に設けられた複数の図柄には、種類が異なる複数種類の図柄が含まれている。なお、各回転リール6L,6M,6Rは、複数種類の図柄が印刷されたリールテープが回転リールの周面に貼り付けられて形成されている。また、各回転リール6L,6M,6Rが回転すると、各回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面に設けられた複数種類の図柄が所定の順序でそれぞれ表示窓5に変動表示される。また、各回転リール6L,6M,6Rの回転が停止すると、各回転リール6L,6M,6Rのそれぞれについて、表示窓5の上段、中段および下段のそれぞれに1個ずつの合計3個の図柄が表示されるように設定されている。すなわち、全ての回転リール6L,6M,6Rが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓5に停止表示される。
また、各回転リール6L,6M,6Rをそれぞれ独立して回転駆動できるように、各回転リール6L,6M,6Rには、それぞれステッピングモータにより構成される回転リール用のモータが連結されている。また、各回転リール6L,6M,6Rを支持する支持枠体が筐体内の後壁に固定されて設けられており、各回転リール6L,6M,6Rは支持枠体に支持されて筐体内に配設されている。
また、操作板3には、ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、レバー状のスタートスイッチ9、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rが設けられている。ベットスイッチ7は、後述する投入・払出装置100に、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241に保持されている枚数データから1枚ずつのメダルの疑似投入を指示するためのものである。最大ベットスイッチ8は、後述する投入・払出装置100に、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241に保持されている枚数データから1ゲーム(遊技)あたりの最大投入枚数(規定枚数:3枚に設定されている)のメダルの疑似投入を指示するためのものである。なお、ベットスイッチ7および最大ベットスイッチ8は、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データにより示されるメダル枚数が1枚以上である場合に有効化されるように設定されている。また、最大ベットスイッチ8が操作されたときに、データ保持手段241に保持されている枚数データが示すメダル枚数が規定枚数(例えば3枚)よりも少ない場合には、メダルの貸し出しを遊技者に促す報知を行うようにしてもよいし、規定枚数(例えば3枚)より少ない所定枚数で遊技できるようにしてもよい。
スタートスイッチ9は、各回転リール6L,6M,6Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させるものである。左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rは、左・中・右回転リール6L,6M,6Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させるものである。なお、スタートスイッチ9は、後述する投入・払出装置100により所定枚数分のメダルが疑似投入されることにより有効化されるように設定されている。また、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rは、スタートスイッチ9の操作により回転開始した各回転リール6L,6M,6Rが所定の加速期間が経過して定速回転するようになった後に有効化されるように設定されている。
さらに、操作板3には、精算スイッチ11、貸出スイッチ12、返却スイッチ13が設けられている。精算スイッチ11は、後述する投入・払出装置100に、疑似投入された枚数分のメダルの疑似払出を行わせることによって、メダル貸出ユニット200の加算手段244に、疑似投入された枚数分の枚数データをデータ保持手段241に加算させてメダル貸出ユニット200に戻すことにより、一旦設定された賭け数を初期化するためのものである。貸出スイッチ12は、メダル貸出ユニット200の貸出手段242に、データ保持手段241に所定の貸出枚数分の枚数データを加算させることによって、メダル貸出ユニット200にメダル貸し出しを行わせるためのものである。返却スイッチ13は、メダル貸出ユニットの返却手段245に、データ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データをメダルカード装置220に挿入されたメダルカードに記録させることによって、メダル貸出ユニット200にメダルを枚数データの形式で遊技者に対して返却させるものである。また、返却スイッチ13が操作されたときに、現金カード装置230に挿入された現金カードに残金が記録されていれば、当該現金カードがメダルカードと一緒に遊技者に返却される。
なお、精算スイッチ11は、メダルの疑似投入枚数が1枚以上である場合に有効化されるように設定されている。本実施の形態では、1ゲーム(1回の遊技)に必要な賭け数(所定枚数)は、1枚、2枚、3枚の3種類が設定されている。また、各回転リール6L,6M,6Rそれぞれにより複数種類の図柄を可変表示する可変表示列が形成されており、各ストップスイッチ10L,10M,10Rは、各回転リール6L,6M,6Rのそれぞれに対応して設けられている。
また、正面板4の上方のほぼ中央には、動画などを表示して遊技者に当選や入賞などを告知したり、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作態様を報知する演出を行うための液晶表示器14が設けられている。液晶表示器14は液晶ディスプレイ(LCD)の駆動回路が設けられた液晶制御基板14a(図3参照)を備え、液晶制御基板14aにより駆動されることによって液晶表示器14に種々の映像が表示される。
また、液晶表示器14の紙面に向って左側に隣接して、投入・払出装置100が配設されている。なお、投入・払出装置100の構成については後で詳細に説明する。
また、正面板4の上方の左右には、音楽や音声などによる演出を行うための上部スピーカ15が設けられている。また、操作板3の下方には、装飾画などが表示された下部パネル18が設けられ、この下部パネル18の左右には、音楽や音声などによる演出を行うための下部スピーカ16が設けられている。
また、前面パネル2の上側の周縁部分に上部ランプ部21が設けられ、前面パネル2の下部パネル18の左右に下部ランプ部22が設けられている。各ランプ部21,22それぞれは、発光ダイオードや有機EL等の発光素子、一般的な電球などの発光手段を備え、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行う。
(スロットマシンの電気的な構成の概略)
スロットマシン1の電気的な構成の概略について、図1および図2も参照しつつ図3を参照して説明する。図3はスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、各ストップスイッチ10L,10M,10R、精算スイッチ11、貸出スイッチ12、返却スイッチ13それぞれは、ボタン状の操作部と、操作部の内部に配置され遊技者による操作部の操作に伴い移動する検知片を検出するセンサとを備えている。すなわち、ベットスイッチ7はベットスイッチ用センサ7aを備え、最大ベットスイッチ8は最大ベットスイッチ用センサ8aを備え、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rそれぞれは左・中・右ストップスイッチ用センサ10La,10Ma,10Raを備えている。また、精算スイッチ11は精算スイッチ用センサ11aを備え、貸出スイッチ12は貸出スイッチ用センサ12aを備え、返却スイッチ13は返却スイッチ用センサ13aを備えている。
また、ボタン状の操作部は、遊技者により操作されていない状態ではセンサが検知片を検知しないように、遊技者による操作部の押圧方向とは反対の方向に常時ばねで付勢されている。そして、ボタン状の操作部を備える「ベットスイッチ」等の各ボタン状スイッチの操作部が遊技者により押し込まれると、「ベットスイッチ」等の各ボタン状スイッチに対する操作状態が押圧状態となる。また、遊技者による操作部の押し込みに伴い検知片が移動し、移動した検知片がセンサにより検知される。その後、遊技者が手を離すことにより「ベットスイッチ」等の各ボタン状スイッチに対する押圧状態が解除されると、ばねの付勢力によってボタン状の操作部が初期位置に復帰移動することにより、検知片がセンサにより検知されなくなるので、センサによる検知片の検知状態が解除される。
スタートスイッチ9は、レバー状の操作部と、遊技者による操作部の操作に伴い移動する検知片を検出するスタートスイッチ用センサ9aとを備えている。スタートスイッチ9は、遊技者によるレバー状の操作部に対する操作状態と、スタートスイッチ用センサ9aによる検知片の検知状態との関係を除いて、上記した「ベットスイッチ」等のボタン状スイッチとほぼ同様の構成を備えている。
すなわち、本実施の形態では、遊技者によりスタートスイッチ9のレバー状の操作部が下方に押し込まれると、スタートスイッチ9に対する操作状態が押圧状態となる。そして、遊技者によるレバー状の操作部の押し込みに伴い検知片が移動し、移動した検知片がスタートスイッチ用センサ9aにより検知されなくなって、スタートスイッチ用センサ9aによる検知片の検知状態が解除される。その後、遊技者が手を離すことによりスタートスイッチ9に対する押圧状態が解除されると、ばねの付勢力によってレバー状の操作部が初期位置に復帰移動することにより、検知片がスタートスイッチ用センサ9aにより検知される。
なお、各センサと検知片との関係は、上記した例に限定されるものではない。すなわち、各センサと検知片との関係は、各スイッチが備える操作部が遊技者により操作されると、操作部が初期位置にあるときとセンサによる検知片の検知状態が異なる状態になる関係であればよい。このようにすると、各スイッチの操作部が遊技者により操作されたことを検知ことができる。したがって、センサと検知片との関係は適宜変更可能である。
また、このスロットマシン1では、少なくとも遊技の進行に関する制御を行うメインCPU31が実装されたメイン制御基板32と、メイン制御基板32から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブCPU41が実装されたサブ制御基板42とが別々に設けられており、メイン制御基板32からサブ制御基板42に対して各種のデータがコマンド形式で一方通行で送信される。
メイン制御基板32のRAM33はスロットマシン1の遊技に関するデータを一時的に記憶するものであり、疑似投入枚数および疑似払出枚数に関する枚数データなどの各種のデータを格納するための各種の記憶領域がRAM33に形成される。また、メイン制御基板32のROM34は各種のデータを予め記憶するものであり、抽選テーブルなどの予め設定されたデータを含む遊技機用プログラム(スロットマシン1用のプログラム)が格納されている。したがって、ROM34に格納された遊技機用プログラムがCPU31により実行されることにより、メイン制御基板32において各種の機能が実現される。
また、メイン制御基板32のメインCPU31は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM34に格納された遊技機用プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を行う。また、メインCPU31は、後述する抽選手段60(図1参照)による役抽選処理における抽選結果に関するデータ、各ベットスイッチ7,8等の遊技者により操作される操作器具の操作に関するデータ、などのメイン制御基板32における遊技の進行状況やスイッチ、センサの作動状況に関する情報を示す種々のデータをコマンド形式でサブ制御基板42のサブCPU41に送信する。
また、本実施の形態では、後述する投入・払出装置100が駆動することによりスロットマシン1に疑似投入されたメダルの枚数に関する枚数データやスロットマシン1から疑似払出されたメダルの枚数に関する枚数データが、メイン制御基板32からI/Oポート(図示省略)を介してメダル貸出ユニット200に出力される。そして、メダル貸出ユニット200において、メイン制御基板32から出力された疑似投入枚数に関する枚数データに基づいて減算手段243によりデータ保持手段241から疑似投入枚数分の枚数データが減算され、メイン制御基板32から出力された疑似払出枚数に関する枚数データに基づいて加算手段244によりデータ保持手段241に疑似払出枚数分の枚数データが加算される。
なお、約1.8ミリ秒ごとにメインCPU31において実行されるタイマ割込処理のタイミングで、種々のデータがコマンド形式でメイン制御基板32からI/Oポートを介してサブ制御基板42およびメダル貸出ユニット200に送信される。また、本実施の形態では、貸出スイッチ用センサ12aおよび返却スイッチ用センサ13aの出力がメイン制御基板32を介さずにメダル貸出ユニット200に出力されている。しかしながら、貸出スイッチ用センサ12aおよび返却スイッチ用センサ13aの出力が、一旦、メイン制御基板32に入力された後に、メイン制御基板32からI/Oポートを介して貸出スイッチ12および払出スイッチ13の操作に関するデータがメダル貸出ユニット200に送信されるようにしてもよい。
サブ制御基板42のRAM43は、各種データを一時的に記憶するものであり、各種のデータを格納するための各種の記憶領域がRAM43に形成される。また、サブ制御基板42のROM44には、演出用の各種データや各種プログラムなどが格納されている。また、サブ制御基板42のサブCPU41は、タイマ割込などの割込機能を有し、メインCPU31から送信されるスロットマシン1に関する各種のデータ(抽選手段60による役抽選処理における抽選結果、各ストップスイッチ10L,10M,10R、スタートスイッチ9等の操作器具が操作されたか、などに関するデータ)に基づいてROM44に格納されたプログラムを実行することで、遊技者に対して実行される遊技に関連する演出の内容を決定する。
また、サブ制御基板42が有するI/Oポートを介して、液晶表示器14(液晶制御基板14a)や各スピーカ15,16、各ランプ部21,22などの各種の演出機器がサブ制御基板42に接続されている。そして、サブCPU41において決定された演出の内容に基づく制御信号(演出コマンド)が各演出機器に対して出力される。そして、サブ制御基板42から出力された演出コマンドに応じて、サブCPU41において決定された内容に基づく演出が各演出機器において実行される。
なお、約1.2ミリ秒ごとにサブCPU41において実行されるタイマ割込処理のタイミングで、サブCPU41において決定された内容に基づいてサブ制御基板42の出力バッファに設定されている演出コマンドがサブ制御基板42からI/Oポートを介して各演出機器に対して出力される。
(投入・払出装置)
投入・払出装置100の構成について、図1および図2も参照しつつ図4および図5を参照して説明する。図4は投入・払出装置の正面図である。また、図5は投入・払出装置が備える疑似投入用メダル保持体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図、(c)は(a)のB−B線矢視断面図である。なお、図4および図5では正面板101が図示省略されている。また、図5(b),(c)では、封入メダルMが図示省略されている。
投入・払出装置100(本発明の「メダル検出装置」に相当)は、封入メダルMを用いることにより、スロットマシン1へのメダルの疑似投入と、スロットマシン1からのメダルの疑似払出を行うための装置である。図1に示すように、投入・払出装置100は、正面板101がスロットマシン1の正面側から遊技者が視認できるように前面パネル2の液晶表示器14の左側に配設されている。また、投入・払出装置100は、疑似投入用メダル保持体110(本発明の「メダル保持体」に相当)および疑似払出用メダル保持体120(本発明の「メダル保持体」に相当)を備えている。疑似投入用メダル保持体110および疑似払出用メダル保持体120それぞれは、少なくとも1枚(本実施の形態ではそれぞれ7枚)の封入メダルMを、一巡可能な内部のメダル通路111,121を移動可能に封入状態で保持する。また、正面板101には、図4中に点線で示す位置に、メダル通路111,121それぞれを通過(落下)する封入メダルMを遊技者が視認できるように、疑似投入メダル視認用窓102および疑似払出メダル視認用窓103が形成されている。
なお、図4に示すように、疑似投入用メダル保持体110および疑似払出用メダル保持体120それぞれは、メダル通路111,121が正面視でほぼ線対称となるように配置されている以外はほぼ同様の構成を備えるため、以下の説明では、図4および図5(a)〜(c)を参照して疑似投入用メダル保持体110の説明を中心に行い、疑似払出用メダル保持体120については相当符号を付すことによりその構成の説明は省略する。
疑似投入用メダル保持体110のメダル通路111は、封入メダルMの外周面が摺接してスライド移動できる幅で対向配置された外周壁面111aおよび内周壁面111bと、外周壁面111aと内周壁面111bとに挟まれた通路の図4および図5(a)の紙面に向って奥側に配置される環状の底面111cとを備えている。そして、外周壁面111aが環状の底面111cの外周に沿って配置され、内周壁面111bが環状の底面111cの内周に沿って配置されることによって、封入メダルMの厚みより若干厚い断面凹状のメダル通路111が形成される。なお、メダル通路111の同図に向って手前側が図示省略された正面板101により閉塞される。これにより、各封入メダルMが、メダル通路111内をスライド移動することができるように、疑似投入用メダル保持体110によって封入状態で保持される。
また、図5(a)に示すように、メダル通路111は、上下方向に延びてほぼ平行に並設された2本の縦通路部112a,112bと、両縦通路部112a,112bそれぞれの上端側を連通する上側通路部112cと、両縦通路部112a,112bそれぞれの下端側を連通する下側通路部112dとを備えている。また、一方の縦通路部112aは、他方の縦通路部112bよりも上下方向に長く形成されると共に、両縦通路部112a,112bの上端側が高さを揃えて配置されることにより、上側通路部112cはほぼ水平に配置されている。また、下側通路部112dは、他方の縦通路部112bの他端側から一方の縦通路部112aの下端側に向って単調に下る傾斜が形成されるように傾けた状態で配置されている。
また、図5(a)〜(c)に示すように、一方の縦通路部112aの下端部分(下側通路部112dとの連接部分)の底面111cに、上下方向に延びる2個の長孔113がほぼ平行に配置されて設けられている。また、両長孔113それぞれに側面視で略十字状に形成された送りローラ114が配設されている。両送りローラ114それぞれは、その回転軸114aが封入メダルMの移動方向である一方の縦通路部112aの配置方向(上下方向)に対して正面視でほぼ直交するように配置される。また、同図(b),(c)に示すように、両送りローラ114それぞれは、その回転軸114aを回転中心として一方向に回転する際に、十字状の4つの先端部114bそれぞれを順番に各長孔113を介して底面111c側に突出させながら一方向に回転するように配置されている。
また、図5(b)に示すように、2個の送りローラ114は、回転軸114aを回転中心とする位相角がほぼ同一となるように回転軸114aにより連結される。これにより、両送りローラ114は、側面視で重なるように配置される。また、図5(a)に示すように、両送りローラ114の2個の長孔113から突出する各先端部114bそれぞれは、2個の長孔113が設けられた一方の縦通路部112aの下端部分に位置する封入メダルMの下端縁に係合するように設けられている。なお、両送りローラ114の各先端部114bそれぞれは、封入メダルMの下端縁に確実に係合することができるように、その上端側が円弧状に形成されている。
したがって、図5(b)に示す右側面視において、両送りローラ114が回転軸114aを回転中心として時計回り方向に回転すると、一方の縦通路部112aの下端部分に位置する封入メダルMが次のように移動する。すなわち、同図(a)に示すように、両長孔113それぞれから突出する両送りローラ114それぞれの先端部114bが、封入メダルMの下端縁の両側に係合している。したがって、両送りローラ114が回転軸114aを回転中心として時計回り方向に回転すると、封入メダルMは、回転する両送りローラ114の先端部114bにより上方に持ち上げられることによって、一方の縦通路部112aを上方に移動する。また、一方の縦通路部112aの下端部分に位置する封入メダルMが上方に移動するのに伴い、当該封入メダルMの上方の縦通路部112a内および該縦通路部112aの上端側に連接する上側通路部112c内に密接配置された各封入メダルMが、順次、にメダル通路111を一方向(図5(a)の紙面に向って反時計回り方向)に移動する。
また、各封入メダルMが、逐次、メダル通路111を一方向に移動することにより、上側通路部112cの左端に位置する封入メダルMが他方の縦通路部112bに押し出されて、他方の縦通路部112bを下方に落下する。そして、他方の縦通路部112bを下方に落下した封入メダルMは、下側通路部112dの傾斜に沿って移動することにより、送りローラ114によって封入メダルMが持ち上げられた後の一方の縦通路部112aの下端部分に到達する。このとき、他方の縦通路部112bを下方に落下する封入メダルMは、図5(a)中に点線で示す疑似投入メダル視認用窓102の位置を通過することにより遊技者に視認される。
なお、本実施の形態では、封入メダルMが所定の時間間隔ごとに他方の縦通路部112bを下方に落下するので、疑似投入メダル視認用窓102を通る各封入メダルMは間欠的に遊技者により視認される。したがって、本実施の形態では、後述するように、疑似投入メダル視認用窓102を通過した封入メダルMがスロットマシン1に疑似投入されるが、各封入メダルMのうち、疑似投入される封入メダルMのみが疑似投入メダル視認用窓102において遊技者により視認される。また、メダル通路111の上側通路部112cの左端に位置する封入メダルMが、振動等により他方の縦通路部112bに落下しないように、予期せぬ落下を防止するための係止部がゴムやラバー、樹脂などにより形成されてメダル通路111に設けられていてもよい。
また、メダル通路111の他方の縦通路部112bの疑似投入メダル視認用窓102を通過した直後の位置に設定された所定の検出位置Pを通過する封入メダルMを検出するための投入センサ115が配設されている。
投入センサ115は、発光部および検出部を有し、発光部と検出部との間を他方の縦通路部112bを下方に落下する封入メダルMが通過するように配設されることにより、通常状態では、発光部の光が検出部に届くようになっている。そして、各封入メダルMが一方向に移動することにより、上側通路部112cの左端に位置する封入メダルMが他方の縦通路部112bに押し出されて、他方の縦通路部112aを下方に落下する封入メダルMが投入センサ115の位置を通過すると、検出部に届いていた発光部の光が落下する封入メダルMにより遮断される。したがって、封入メダルMが発光部と検出部との間を通過したことを検出することができるので、検出位置Pを通過する封入メダルMを、投入センサ115により検出することができる。そして、検出位置Pを通過する封入メダルMが投入センサ115により検出されると、投入センサ115の検出部からメダル検出信号がメイン制御基板32に対して出力される。
一方、図4に示すように、疑似投入用メダル保持体110と同様に、疑似払出用メダル保持体120のメダル通路121の一方の縦通路部122aの下端部分である下側通路部122dとの連接部分の底面121cに、上下方向に延びる2個の長孔123がほぼ平行に配置されて設けられている。そして、図4の疑似投入用メダル保持体120の左側面視において、両長孔123それぞれに設けられた送りローラ124が回転軸124aを回転中心として反時計回り方向に回転すると、一方の縦通路部122aの下端部分に位置する封入メダルMが次のように移動する。
すなわち、同図に示すように、両長孔123それぞれから突出する両送りローラ124それぞれの先端部124bが、封入メダルMの下端縁の両側に係合している。したがって、両送りローラ124が回転軸124aを回転中心として反時計回り方向に回転すると、封入メダルMは、回転する両送りローラ124の先端部124bにより上方に持ち上げられることによって、一方の縦通路部122aを上方に移動する。また、一方の縦通路部122aの下端部分に位置する封入メダルMが上方に移動するのに伴い、当該封入メダルMの上方の縦通路部122a内および該縦通路部122aの上端側に連接する上側通路部122c内に密接配置された各封入メダルMが、順次、外周壁面121aおよび内周壁面121b間のメダル通路121を一方向(図4の紙面に向って時計回り方向)に移動する。
また、各封入メダルMが、逐次、メダル通路121を一方向に移動することにより、上側通路部122cの右端に位置する封入メダルMが他方の縦通路部122bに押し出されて、他方の縦通路部122bを下方に落下する。そして、他方の縦通路部122bを下方に落下した封入メダルMは、下側通路部122dの傾斜に沿って移動することにより、送りローラ124によって封入メダルMが持ち上げられた後の一方の縦通路部122aの下端部分に到達する。このとき、他方の縦通路部122bを下方に落下する封入メダルMは、図4中に点線で示す疑似払出メダル視認用窓103の位置を通過することにより遊技者に視認される。
なお、上記した疑似投入用メダル保持体110と同様に、本実施の形態では、封入メダルMが所定の時間間隔ごとに他方の縦通路部122bを下方に落下するので、疑似払出メダル視認用窓103を通る各封入メダルMは間欠的に遊技者により視認される。したがって、本実施の形態では、後述するように、疑似払出メダル視認用窓103を通過した封入メダルMがスロットマシン1から疑似払出されるが、各封入メダルMのうち、疑似払出される封入メダルMのみが疑似払出メダル視認用窓103において遊技者により視認される。また、上記した疑似投入用メダル保持体110と同様に、メダル通路121の上側通路部122cの右端に位置する封入メダルMが、振動等により他方の縦通路部122bに落下しないように、予期せぬ落下を防止するための係止部がゴムやラバー、樹脂などにより形成されてメダル通路121に設けられていてもよい。
また、メダル通路の121の他方の縦通路部122bの疑似払出メダル視認用窓103を通過した直後の位置に設定された所定の検出位置Pを通過する封入メダルMを検出するための払出センサ125が配設されている。
払出センサ125は、発光部および検出部を有し、発光部と検出部との間を他方の縦通路部122bを下方に落下する封入メダルMが通過するように配設されることにより、通常状態では、発光部の光が検出部に届くようになっている。そして、各封入メダルMが一方向に移動することにより、上側通路部122cの右端に位置する封入メダルMが他方の縦通路部122bに押し出されて、他方の縦通路部122aを下方に落下する封入メダルMが払出センサ125の位置を通過すると、検出部に届いていた発光部の光が落下する封入メダルMにより遮断される。したがって、封入メダルMが発光部と検出部との間を通過したことを検出することができるので、検出位置Pを通過する封入メダルMを、払出センサ125により検出することができる。そして、検出位置Pを通過する封入メダルMが払出センサ125により検出されると、払出センサ125の検出部からメダル検出信号がメイン制御基板32に対して出力される。
以上のように、投入センサ115および払出センサ125が本発明の「メダル検出手段」として機能している。
また、図4に示すように、両メダル保持体110,120間の送りローラ114,124が配置された付近に、ステッピングモータ等のモータを備える駆動部130が設けられている。そして、駆動部130のモータの回転軸131が、両送りローラ114,124それぞれの回転軸114a,124aに連結されている。なお、駆動部130は、モータの回転軸131と、両送りローラ114,124それぞれの回転軸114a,124aとがクラッチ等のギア機構を介して連結されることにより、両送りローラ114,124のいずれか一方のみを回転駆動することができるように構成されている。したがって、各封入メダルMは、駆動部130により回転駆動された送りローラ114,124に駆動されてメダル通路111,121を一方向に移動する。
以上のように、両送りローラ114,124および駆動部130が、封入メダルMを駆動してメダル通路111,121を移動させる本発明の「駆動制御手段」として機能している。また、投入・払出装置100はメイン制御基板32の投入制御手段140および払出制御手段150により駆動制御される。投入制御手段140および払出制御手段150については次の項目において詳細に説明する。
なお、駆動部130が、両送りローラ114,124を個別に回転駆動することができるように、それぞれの回転軸114a,124aに個別に連結される2個のモータを備えていてもよい。
(メイン制御基板の機能)
メイン制御基板32の機能について図2、図3および図4も参照しつつ図1を参照して説明する。
(1)遊技制御手段50
遊技制御手段50は、封入式のスロットマシン1において実行される遊技を制御するためのものである。このスロットマシン1の遊技では、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8が操作されてメダルの疑似投入の指示があると、投入・払出装置100による疑似投入が行われて賭け数が設定される。そして、所定枚数の賭け数が設定された後にスタートスイッチ9が操作されると、まず、当選か否かを決定する抽選手段60による乱数抽選が行われ、ほぼ同時に、3個すべての回転リール6L,6M,6Rの回転が開始する。
その後に、3個のストップスイッチ10L,10M,10Rのうちの1個が操作されると、当該操作されたストップスイッチに対応した回転リール6L,6M,6Rのうちのいずれかの回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ10L,10M,10Rに対する操作が終了すると、3個すべての回転リール6L,6M,6Rの回転が停止する。このとき、所定の図柄が所定の位置に停止すると入賞になり、投入・払出装置100による遊技者に対する所定枚数のメダルの疑似払出、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241に保持された遊技者所有のメダル枚数に関する枚数データの減算を行うことなく次回の遊技を実行可能なリプレイ、などの所定の利益が遊技者に対して付与される。
(2)投入制御手段140
投入制御手段140は、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8が操作された場合に、投入・払出装置100にスロットマシン1へのメダルの疑似投入を許容し、所定枚数のメダルの疑似投入を行うことにより賭け数を設定して、遊技を開始するための所定条件を成立させるものである。また、投入制御手段140は、スロットマシン1に疑似投入されたメダル枚数分の枚数データに関する情報をメダル貸出ユニット200に送信する。メダル貸出ユニット200では、投入制御手段140から疑似投入枚数に関する枚数データが受信されると、データ保持手段241から疑似投入枚数分の枚数データが減算手段243により減算される。投入制御手段140は以下の機能を備えている。
(2−1)疑似投入用作動制御部141
疑似投入用作動制御部141は、ベットスイッチ用センサ7aまたは最大ベットスイッチ用センサ8aからの信号がメイン制御基板32に入力されると、投入・払出装置100の駆動部130のモータを駆動して疑似投入用メダル保持体110の両送りローラ114を作動することにより、封入メダルMを駆動してメダル通路111を一方向(図4の紙面に向って反時計回り方向)に移動させる。
(2−2)投入メダル計数部142
投入メダル計数部142(本発明の「メダル計数手段」に相当)は、メダル通路111の他方の縦通路部112bを下方に落下する封入メダルMが検出位置Pを通過することにより投入センサ115から出力されるメダル検出信号の出力回数に基づいて、検出位置Pを各封入メダルMが通過した回数を、スロットマシン1へのメダルの疑似投入枚数として、所定条件が成立する、すなわち、所定枚数分の賭け数が設定されるまで計数する。なお、投入メダル計数部142により計数された疑似投入枚数が、スロットマシン1の遊技を行うための賭け数として設定される。
また、本実施の形態では、投入メダル計数部142により疑似投入されたメダルの枚数が計数される毎に、すなわち、メダル検出信号が投入センサ115から出力される毎に、1枚のメダルが疑似投入されたという情報が投入制御手段140からメダル貸出ユニット200に対して送信される。したがって、メダル通路111を一方向に移動する各封入メダルMが検出位置Pを通過することにより投入センサ115からメダル検出信号が出力される毎に、スロットマシン1において賭け数が加算されると共に、メダル貸出ユニット200においてデータ保持手段241から1枚分の枚数データが減算手段243により減算される。
また、疑似投入用作動制御部141は、投入メダル計数部142により計数された疑似投入枚数が、各ベットスイッチ7,8に設定されている疑似投入枚数(ベットスイッチ7では1枚、最大ベットスイッチ8では3枚)に達するか、データ保持手段241の枚数データが0枚になると、投入・払出装置100の駆動部130のモータの回転を停止させることにより、メダル通路111における各封入メダルMの一方向への移動を停止させる。
(3)抽選手段60
抽選手段60は、本実施の形態では、スタートスイッチ9の操作を契機に、複数の役のいずれかに当選かまたはハズレかの抽選を行うためのものである。また、抽選手段60は、乱数発生手段、乱数抽出手段、抽選テーブル、および抽選判定手段を備えている。乱数発生手段は、抽選用の乱数を、所定の範囲内(本実施の形態では、例えば、10進数で0〜16383)で発生させるものである。この乱数発生手段は、発振回路と、この発振回路が発生させたクロック信号をカウントするカウンタ回路とによって構成されている。乱数抽出手段は、乱数発生手段が発生させた乱数を抽出するもので、乱数発生手段が発生させた乱数をスタートスイッチ9の操作を契機として抽出する。なお、乱数発生手段は、カウンタ回路などによって構成されるため、乱数発生手段が発生させる数値は、厳密には乱数ではない。ただし、スタートスイッチ9が操作されるタイミングは、ランダムであると考えられるため、乱数抽出手段が抽出する数値は、実質的には乱数として取り扱うことができる。なお、乱数発生器により乱数を生成してもよい。
抽選テーブルは、乱数発生手段が発生させる範囲内の各乱数について、予め設定されている抽選結果のいずれかに該当するか否かが予め定められたものである。抽選判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数と、抽選テーブルとを照合して、抽出された乱数が、複数の抽選結果のいずれに該当するかを判定するものである。
(4)停止制御手段70
停止制御手段70は、遊技者によるストップスイッチ10L,10M,10Rに対する操作態様と抽選手段60の抽選結果とに基づき、回転リール6L,6M,6Rの停止制御を行うものである。本実施の形態では、抽選手段60による抽選結果が複数の役のいずれかへの当選であった場合に、停止制御手段70は、遊技者がストップスイッチ10L,10M,10Rを操作したタイミングが適切であれば、後述の判定手段80により当選した役に入賞したと判定されるように、回転リール6L,6M,6Rの停止制御を行う。なお、ストップスイッチ10L,10M,10Rの遊技者による操作態様としては、前述の操作タイミングに限らず、いずれのストップスイッチ10L,10M,10Rを最初に操作したか等の操作順序であってもよい。また、当選役の種類によっては、ストップスイッチ10L,10M,10Rが遊技者によりどのようなタイミングで操作されても、当該当選役に対応した入賞態様で停止図柄が表示されるように、各回転リール6L,6M,6R上での各図柄の配置位置が設定されている。
(5)判定手段80
判定手段80は、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作により全ての回転リール6L,6M,6Rが停止したときの停止図柄の表示態様を判定するものである。本実施の形態では、各回転リール6L,6M,6Rが停止したときの図柄の表示結果が所定の入賞態様であるかどうかが判定手段80により判定される。なお、入賞と判定される表示態様は、当選役毎に異なる表示態様が予め定められている。
(6)払出制御手段150
払出制御手段150は、判定手段80により停止図柄表示結果が所定の入賞と判定された場合、もしくは、精算スイッチ11が操作された場合に、投入・払出装置100にスロットマシン1からのメダルの疑似払出を許容し、所定の払出枚数のメダルの疑似払出を行うものである。また、払出制御手段150は、スロットマシン1から疑似払出されたメダル枚数分の枚数データに関する情報をメダル貸出ユニット200に送信する。メダル貸出ユニット200では、払出制御手段150から疑似払出枚数に関する枚数データが受信されると、データ保持手段241に疑似払出枚数分の枚数データが加算手段244により加算される。払出制御手段150は以下の機能を備えている。
(6−1)疑似払出用作動制御部151
疑似払出用作動制御部151は、判定手段80により停止図柄表示結果が所定の入賞と判定されるか、もしくは、精算スイッチ用センサ11aからの信号がメイン制御基板32に入力されると、投入・払出装置100の駆動部130のモータを駆動して疑似払出用メダル保持体120の両送りローラ124を作動することにより、封入メダルMを駆動してメダル通路121を一方向(図4の紙面に向って時計回り方向)に移動させる。
(6−2)払出メダル計数部152
払出メダル計数部152(本発明の「メダル計数手段」に相当)は、メダル通路121の他方の縦通路部122bを下方に落下する封入メダルMが検出位置Pを通過することにより払出センサ125から出力されるメダル検出信号の出力回数に基づいて、検出位置Pを各封入メダルMが通過した回数を、スロットマシン1からのメダルの疑似払出枚数として、所定の払出枚数に達するまで計数する。なお、所定の払出枚数として、判定手段80により入賞と判定された場合には、入賞の種類に応じて予め設定されている入賞枚数が設定され、精算スイッチ11が操作された場合には、投入メダル計数部142により計数されることにより賭け数として設定されている枚数が設定される。
また、本実施の形態では、払出メダル計数部152により疑似払出されたメダルの枚数が計数される毎に、すなわち、メダル検出信号が払出センサ125から出力される毎に、1枚のメダルが疑似払出されたという情報が払出制御手段150からメダル貸出ユニット200に対して送信される。したがって、メダル通路121を一方向に移動する各封入メダルMが検出位置Pを通過することにより払出センサ125からメダル検出信号が出力される毎に、メダル貸出ユニット200においてデータ保持手段241に1枚分の枚数データが加算手段244により加算される。
また、疑似払出用作動制御部151は、払出メダル計数部152により計数された疑似払出枚数が、所定の払出枚数(入賞では入賞の種類に応じた払出枚数、精算スイッチ11では賭け数)に達すれば、投入・払出装置100の駆動部130のモータの回転を停止させることにより、メダル通路111における各封入メダルMの一方向への移動を停止させる。
(動作)
次に、本実施の形態における動作の一例について図10を参照しつつ説明する。図10はスロットマシンにおいて遊技が行われる際の各部の状態を示す状態遷移図である。
また、以下で説明する動作は、上記した種々の機能および手段と、説明は省略したが、メイン制御基板32のメインCPU31およびメダル貸出ユニット200のユニット制御装置240のCPUが種々のプログラムを実行することにより実現されるその他の機能とにより実行される処理である。また、以下の処理で実行される各種のフラグをON(オン)またはOFF(オフ)に設定したり、各種のフラグに値を設定したり、カウンタの値を更新する処理については、周知の技術であるので、その詳細な説明は省略する。
1.貸出・返却処理
図7および図8を参照して貸出・返却処理について説明する。図7および図8は貸出・返却処理を示すフローチャートであって、図8は図7に続くフローチャートである。なお、貸出・返却処理はメダル貸出ユニット200において繰り返し実行される処理である。
また、貸出・返却処理が実行されているときに、スロットマシン1の貸出スイッチ12が操作されると、スロットマシン1における遊技に使用可能なメダルが枚数データの形式で遊技者に貸し出される。また、貸出・返却処理が実行されているときに、スロットマシン1の返却スイッチ13が操作されると、データ保持手段241に保持されている、スロットマシン1における遊技に使用可能なメダルの枚数データがメダルカードに記録されることにより、メダルが枚数データの形式で遊技者に返却される。また、返却スイッチ13が操作されたときに、現金カード装置230に挿入された現金カードに残金が記録されていれば、当該現金カードがメダルカードと一緒に遊技者に返却される。
貸出・返却処理では、まず、現金カード装置230に現金が投入されたか否か、もしくは、現金カードが挿入されたか否かが判定され(ステップS1)、現金が投入されるか、もしくは、現金カードが挿入されるまで待機する(ステップS1でNO)。現金カード装置230に現金が投入されるか、もしくは、現金カードが挿入されると(ステップS1でYES)、現金が投入されたか否かが判定される(ステップS2)。現金カード装置230に現金(例えばA円)が投入されると(ステップS2でYES)、現金カード装置230に投入された現金の残高(A円)が現金カード装置230内の現金カードに記録される(ステップS3)。ステップS3において現金カードに残高が記録された後、もしくは、ステップS2でNO(現金カード装置230への現金カードの挿入)であれば、現金カード装置230に挿入状態の現金カードに記録されている残高が0円であるか否かが判定される(ステップS4)。現金カードの残高が0円でないと判定されれば(ステップS4でNO)、貸出スイッチ12および返却スイッチ13の操作が有効化される(ステップS5)。
続いて、スロットマシン1の貸出スイッチ12が操作されたか否かが判定されて(ステップS6)、貸出スイッチ12が操作されていれば(ステップS6でYES)、現金カード装置230において、所定の貸出枚数(例えば50枚)分のメダルの貸出料金(例えばB円)が徴収される(ステップS7)。そして、データ保持手段241(仮想下皿)に所定の貸出枚数分の枚数データが貸出手段242により加算されることによって、遊技者にメダルが枚数データの形式で貸し出されて(ステップS8)、ステップS4からの処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS6において、貸出スイッチ12が操作されていないか(ステップS6でNO)、もしくは、ステップS4でYES(現金カードの残高が0円)であれば、スロットマシン1の返却スイッチ13が操作されたか否かが判定される(ステップS9)。このとき、現金カードの残高が0円であれば、貸出スイッチ12の操作が無効化される。返却スイッチ13が操作されていなければ(ステップS9でNO)、現金カード装置230に現金が投入されたか否かが判定されて(ステップS10)、現金が投入されていなければ(ステップS10でNO)、ステップS4からの処理が繰り返し実行される。また、現金が投入されていれば(ステップS10でYES)、現金カードの残高に投入された金額が加算されて(ステップS11)、ステップS4からの処理が繰り返し実行される。
また、返却スイッチ13が操作されたと判定されれば(ステップS9でYES)、データ保持手段214に保持されている遊技に使用可能な枚数データが0枚であるか否かが判定される(ステップS12)。データ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダルの枚数データが0枚でなければ(ステップS12でNO)、データ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データが、返却手段245により、メダルカード装置220に挿入されたメダルカードに記録されることによって、メダルが枚数データの形式で遊技者に対して返却される(ステップS13)。そして、メダルカード装置220に挿入されたメダルカードが返却される(ステップS14)。なお、この際、データ保持手段241に保持されている枚数データが初期化される。
そして、ステップS14においてメダルカードが返却された後、もしくは、ステップS12でYES(データ保持手段241に保持されている遊技に使用可能なメダルの枚数データが0枚)であれば、続いて、現金カード装置230に挿入されている現金カードの残高が0円であるか否かが判定される(ステップS15)。現金カードの残高が0円でなければ(ステップS15でNO)、現金カード装置230から残金が記録された現金カードが遊技者に対して返却される(ステップS16)。そして、ステップS16において現金カードが遊技者に対して返却された後、もしくは、ステップS15でYES(現金カードの残高が0円)であれば、ステップS17に進み貸出スイッチ12および返却スイッチ13の操作が無効化され、ステップS1に戻って、再度、現金が投入されるか、現金カードが挿入されるまで待機する(ステップS1でNO)。
なお、遊技者は、ステップS16において返却された残金が記録された現金カードを再度現金カード装置230に挿入することにより、現金カードに記録された残金に応じた枚数のメダルを借り受けることができる。
2.メイン制御処理
図9および図10を参照してメイン制御処理について説明する。図9および図10はメイン制御処理を示すフローチャートであって、図10は図9に続くフローチャートである。なお、メイン制御処理はメイン制御基板32において実行される処理である。
スロットマシン1の電源がオンされれば、メイン制御基板32が備えるRAM33の状態がチェックされ、メモリにエラーが生じていないかどうかが判定されて、各種の初期設定が行われる。
次に、各メモリのチェックが終了し、異常が無ければメダル貸出ユニット200のデータ保持手段241(仮想下皿)に保持されている遊技に使用可能なメダルの枚数データが0枚であるか否かが判定され(ステップS101)、データ保持手段241にメダルが貸し出されるまで待機する(ステップS101でYES)。データ保持手段241にメダルが枚数データの形式で貸し出されると(ステップS101でNO)、ベットスイッチ7の操作が有効化され(ステップS102)、最大ベットスイッチ8の操作が有効化される(ステップS103)。
続いて、最大ベットスイッチ8が操作されたか否かが判定され(ステップS104)、最大ベットスイッチ8が操作されていれば(ステップS104でYES)、最大ベットスイッチ8の操作が有効化されているか否かが判定される(ステップS105)。そして、最大ベットスイッチ8の操作が有効化されていれば(ステップS105でYES)、後述する最大ベット処理(図11参照)が実行される(ステップS106)。
そして、ステップS106において最大ベット処理が実行された後、もしくは、ステップS104でNO(最大ベットスイッチ8が操作されていない場合)、ステップS105でNO(最大ベットスイッチ8が有効化されていない場合)であれば、ベットスイッチ7が操作されたか否かが判定される(ステップS107)。ベットスイッチ7が操作されていれば(ステップS107でYES)、ベットスイッチ7の操作が有効化されているか否かが判定される(ステップS108)。そして、ベットスイッチ7の操作が有効化されていれば(ステップS108でYES)、後述するベット処理(図12参照)が実行される(ステップS109)。
そして、ステップS109においてベット処理が実行された後、もしくは、ステップS107でNO(ベットスイッチ7が操作されていない場合)、ステップS108でNO(ベットスイッチ7の操作が有効化されていない場合)であれば、精算スイッチ11が操作されたか否かが判定される(ステップS110)。精算スイッチ11が操作されていれば(ステップS110でYES)、精算スイッチ11の操作が有効化されているか否かが判定される(ステップS111)。そして、精算スイッチ11の操作が有効化されていれば(ステップS111でYES)、後述する投入精算処理(図13参照)が実行される(ステップS112)。
そして、ステップS112において投入精算処理が実行された後、もしくは、ステップS110でNO(精算スイッチ11が操作されていない場合)、ステップS111でNO(精算スイッチ11の操作が有効化されていない場合)であれば、スタートスイッチ9が操作されたか否かが判定される(ステップS113)。スタートスイッチ9が操作されていなければ(ステップS113でNO)、ステップS104からの処理を繰り返し実行する。なお、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8の操作により、所定枚数分の賭け数が設定されていなければ、スタートスイッチ9の操作は無効化されており、ステップS113においてNOと判定される。本実施の形態では、上記したように、1枚、2枚、3枚のいずれかの賭け数が設定されていれば、スタートスイッチ9の操作が有効化される。
一方、スタートスイッチ9が操作されれば(ステップS113でYES)、各ベットスイッチ7,8、スタートスイッチ9および精算スイッチ11が無効化されて、遊技処理が実行される(ステップS114)。ステップS114の遊技処理においては、抽選手段60による役抽選処理が実行され、各々複数個の図柄が配列された複数の回転リール6L,6M,6Rが回転を開始する。そして、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作に応じて停止制御手段70により各回転リール6L,6M,6Rが停止したときの停止図柄表示結果が、判定手段80により判定される。
ステップS114の遊技処理が終了すると、判定手段80による判定結果が、リプレイ(再遊技役)への入賞であったか否かが判定され(ステップS115)、リプレイに入賞していれば(ステップS115でYES)、スタートスイッチ9の操作が有効化された状態、かつ、ベットスイッチ7および最大ベットスイッチ8の操作が無効化された状態で、すなわち、所定枚数分の賭け数が設定された状態でステップS113からの処理が繰り返し実行される。なお、リプレイへ入賞した場合には所定枚数分の賭け数は設定されるが、メダルの疑似投入は行われていないので、投入メダル計数部142に計数されている疑似投入枚数は0枚であり、精算スイッチ11の操作は無効化されている。次に、判定手段80による判定結果が、リプレイへの入賞でなければ(ステップS115でNO)、判定手段80による判定結果が、所定の当選役への入賞であるか否かが判定される(ステップS116)。
判定手段80による判定結果が、所定の当選役への入賞であれば(ステップS116でYES)、当該入賞役に対応して予め設定されている払出枚数がメダルの疑似払出の払出枚数として払出メダル計数部152に設定され(ステップS117)、後述する払出処理(図14参照)が実行される(ステップS118)。なお、払出枚数は、当選役(入賞役)の種類に対応して予め設定されている。そして、ステップS118において払出処理が実行された後、もしくは、ステップS116でNO(判定手段80による判定結果が入賞でなかった場合)であれば、ステップS101からの処理が繰り返し実行される。
3.最大ベット処理
図11を参照して最大ベット処理について説明する。図11は最大ベット処理を示すフローチャートである。
まず、疑似投入されることにより設定された現在のメダルの賭け数が0枚であるか否かが判定される(ステップS201)。設定されている賭け数が0枚でなければ(ステップS201でNO)、すなわち、ベットスイッチ7の操作により1枚以上のメダルが疑似投入されていれば、後述する投入精算処理が実行されることにより(ステップS202)、疑似投入された枚数分のメダルの疑似払出が行われて、一旦、設定された賭け数が初期化される。
そして、ステップS202において投入精算処理が実行されて賭け数が初期化されるか、もしくは、ステップS201でYES(賭け数が設定されていない場合)であれば、疑似投入用作動制御部141により投入・払出装置100の駆動部130のモータが駆動されて両送りローラ114の回転が開始することによって、疑似投入用メダル保持体110のメダル通路111に配置された各封入メダルMの一方向への移動が開始される(ステップS203)。続いて、投入・払出装置100の投入センサ115からメダル検出信号が出力されるまで待機し(ステップS204でNO)、メダル検出信号が出力されれば(ステップS204でYES)、1枚のメダルの疑似投入が行われたことが投入メダル計数部142により計数されると共に、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241(仮想下皿)から疑似投入された1枚分の枚数データが減算手段243により減算される(ステップS205)。
続いて、データ保持手段241に保持されている枚数データが0枚であるか否かが判定され(ステップS206)、保持されている枚数データが0枚でなければ(ステップS206でNO)、投入メダル計数部142により計数されたメダルの疑似投入枚数が規定枚数(例えば3枚)であるか否かが判定される(ステップS207)。疑似投入枚数が規定枚数に達していなければ(ステップS207でNO)、ステップS204からの処理が繰り返し実行される。
そして、疑似投入枚数が規定枚数に達したか(ステップS207でYES)、もしくは、ステップS206でYES(データ保持手段241に保持されている枚数データが0枚の場合)であれば、疑似投入用作動制御部141により投入・払出装置100の駆動部130のモータの回転が停止されると共に、スタートスイッチ9の操作が有効化される(ステップS208)。続いて、精算スイッチ11の操作が有効化され(ステップS209)、最大ベットスイッチ8の操作が無効化されて(ステップS210)、元の処理に復帰する。
4.ベット処理
図12を参照してベット処理について説明する。図12はベット処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、図6の状態遷移図に示すように、ベットスイッチ7が操作された際に、既に最大ベットスイッチ8が操作されメダルが疑似投入されて賭け数が設定されている場合には、疑似投入された枚数分のメダルの疑似払出が行われることにより、一旦、設定された賭け数が初期化される。
まず、最大ベットスイッチ8の操作が有効化されているか否かが判定されることにより(ステップS301)、図11の最大ベット処理が既に実行されているか否かが判定される。すなわち、図11の最大ベット処理が既に実行されていれば、ステップS210において最大ベットスイッチ8の操作が無効化されるので、最大ベットスイッチ8の操作が有効化されているか否かを判定することにより、図11の最大ベット処理が既に実行されたか否かを判定することができる。
図11の最大ベット処理が既に実行されており、最大ベットスイッチ8の操作が無効化されていれば(ステップS301でNO)、後述する投入精算処理が実行されることにより(ステップS302)、疑似投入された枚数分のメダルの疑似払出が行われて、一旦、設定された賭け数が初期化される。そして、ステップS302において投入精算処理が実行されて賭け数が初期化されるか、もしくは、ステップS301でYES(最大ベットスイッチ8が操作されていない場合)であれば、疑似投入用作動制御部141により投入・払出装置100の駆動部130のモータが駆動されて両送りローラ114の回転が開始することによって、疑似投入用メダル保持体110のメダル通路111に配置された各封入メダルMの一方向への移動が開始される(ステップS303)。
続いて、投入・払出装置100の投入センサ115から投入メダル検出信号が出力されるまで待機し(ステップS304でNO)、投入メダル検出信号が出力されれば(ステップS304でYES)、疑似投入用作動制御部141により投入・払出装置100の駆動部130のモータの回転が停止されると共にスタートスイッチ9の操作が有効化される(ステップS305)。そして、1枚のメダルの疑似投入が行われたことが投入メダル計数部142により計数されると共に、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241(仮想下皿)から疑似投入された1枚分の枚数データが減算手段243により減算される(ステップS306)。
次に、データ保持手段241に保持されている枚数データが0枚であるか否かが判定され(ステップS307)、保持されている枚数データが0枚でなければ(ステップS307でNO)、投入メダル計数部142により計数されたメダルの疑似投入枚数が規定枚数(例えば3枚)であるか否かが判定される(ステップS308)。疑似投入枚数が規定枚数に達していなければ(ステップS308でNO)、精算スイッチ11の操作が有効化されて(ステップS310)、元の処理に復帰する。
また、疑似投入枚数が規定枚数に達したか(ステップS308でYES)、もしくは、ステップS307でYES(データ保持手段241に保持されている枚数データが0枚)であれば、ベットスイッチ7の操作が無効化され(ステップS309)、精算スイッチ11の操作が有効化されて(ステップS310)、元の処理に復帰する。
5.投入精算処理
図13を参照して投入精算処理について説明する。図13は投入精算処理を示すフローチャートである。
まず、賭け数として設定されているメダルの疑似投入枚数が払出枚数として払出メダル計数部152に設定されて(ステップS401)、後述する払出処理が実行される(ステップS402)。続いて、精算スイッチ11の操作が無効化され(ステップS403)、ベットスイッチ7の操作が有効化され(ステップS404)、最大ベットスイッチ8の操作が有効化されて(ステップS405)、元の処理に復帰する。
6.払出処理
図14を参照して払出処理について説明する。図14は払出処理を示すフローチャートである。
まず、疑似払出用作動制御部151により投入・払出装置100の駆動部130のモータが駆動されて両送りローラ124の回転が開始することによって、疑似払出用メダル保持体120のメダル通路121に配置された各封入メダルMの一方向への移動が開始される(ステップS501)。続いて、投入・払出装置100の払出センサ125から払出メダル検出信号が出力されるまで待機し(ステップS502でNO)、疑似払出メダル検出信号が出力されれば(ステップS502でYES)、1枚のメダルの疑似払出が行われたことが払出メダル計数部152により計数されると共に、メダル貸出ユニット200のデータ保持手段241(仮想下皿)に疑似払出された1枚分の枚数データが加算手段244により加算される(ステップS503)。
なお、本実施の形態では、図14の払出処理が実行される前に、図10のステップS117や図13のステップS401において、入賞枚数や疑似投入枚数が払出枚数として払出メダル計数部152に予め設定されている。そして、1枚のメダルの疑似払出が行われると(メダル検出信号が1回出力されると)、ステップS503において、予め設定された払出枚数から1減算されることにより、1枚のメダルの疑似払出が行われたことが払出メダル計数部152により計数される。
続いて、予め設定された払出枚数分の疑似払出が行われたか否かが判定され(ステップS504)、疑似払出枚数が予め設定された払出枚数に達していなければ(ステップS504でNO)、ステップS502からの処理が繰り返し実行される。そして、疑似投入枚数が予め設定された払出枚数に達すれば(ステップS504でYES)、疑似払出用作動制御部151により投入・払出装置100の駆動部130のモータの回転が停止されて(ステップS505)、元の処理に復帰する。
以上のように、この実施形態では、一巡可能な内部のメダル通路111,121を移動可能に封入状態で両メダル保持体110,120により保持された各封入メダルMが、駆動部130により回転駆動された送りローラ114,124により駆動されて、メダル通路111,121を移動する。また、メダル通路111,121に設定された所定の検出位置Pを通過する封入メダルMが各センサ115,125により検出されてメダル検出信号を出力され、メダル検出信号から、検出位置Pを封入メダルMが通過した回数が各メダル計数部142,152により計数される。したがって、従来の構成と異なり、各封入メダルMがメダル通路111,121をスライドしながら移動するので、各封入メダルMの動きが自然であり、各封入メダルMの自然な動きを演出することができる投入・払出装置100を提供することができる。
また、各メダル通路111,121は、並設された2本の縦通路部112a,112b,122a,122bを有し、駆動部130により回転駆動された送りローラ114,124により駆動された各封入メダルMは、一方の縦通路部112a,122aを上方に移動し、他方の縦通路部112b,122bを下方に落下してメダル通路111,121を一方向に移動する。そして、他方の縦通路部112b,122bに設定された検出位置Pを通過する封入メダルMが各センサ115,125により検出される。したがって、他方の縦通路部112b,122bを落下する封入メダルMを遊技者に見せることにより、より自然な動きをする封入メダルMを用いた演出を行うことができる。
また、各々複数個の図柄が配列された各回転リール6L,6M,6Rの回転を開始させるのに、所定枚数の賭け数を設定するためのベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8の操作が行われると、賭け数を設定するための投入・払出装置100(投入制御手段140)による疑似投入が行われる。また、投入・払出装置100によるメダルの疑似投入が行われて、遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データを保持するデータ保持手段241から所定枚数分の枚数データが減算手段243により減算されて、所定枚数の賭け数が設定されることを条件としてスタートスイッチ9が操作されると、各回転リール6L,6M,6Rが回転開始する。
また、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作により各回転リール6L,6M,6Rが停止したときの図柄の表示結果が所定の入賞態様であるかどうかが判定手段80により判定される。また、判定手段80により停止図柄表示結果が所定の入賞態様であると判定されると、投入・払出装置100(払出制御手段150)による疑似払出が行われる。また、投入・払出装置100による疑似払出が行われて、入賞態様の種類に対応して予め設定された所定の払出枚数分の枚数データがデータ保持手段241に加算手段244により加算される。
ところで、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8の操作に応じて投入・払出装置100による疑似投入が許容されると、疑似投入用メダル保持体110の一巡可能な内部のメダル通路111に移動可能に封入状態で保持された少なくとも1枚の封入メダルMが、疑似投入用作動制御部141により駆動部130のモータが回転駆動されて送りローラ114が回転することにより一方向に移動開始する。そして、検出位置Pを通過する封入メダルMが投入センサ115により検出されて投入メダル検出信号が出力される。
また、検出位置Pを封入メダルMが通過した回数、すなわち、メダル検出信号の出力回数が疑似投入枚数として、所定枚数の賭け数が設定されるまで投入メダル計数部142により計数される。そして、投入メダル計数部142により計数されたメダル検出信号の出力回数分の枚数データが、枚数データを保持するデータ保持手段241から疑似投入枚数として減算手段243により減算される。
また、判定手段80による停止図柄表示結果が所定の入賞態様であるとの判定結果に応じて、投入・払出装置100による疑似払出が許容されると、疑似払出用メダル保持体120の一巡可能な内部のメダル通路121に移動可能に封入状態で保持された少なくとも1枚の封入メダルMが、疑似払出用作動制御部151により駆動部130のモータが回転駆動されて送りローラ124が回転することにより一方向に移動開始する。そして、検出位置Pを通過する封入メダルMが払出センサ125により検出されて投入メダル検出信号が出力される。
また、検出位置Pを封入メダルMが通過した回数、すなわち、払出メダル検出信号の出力回数が疑似払出枚数として、入賞態様に応じて設定された所定の払出枚数に達するまで払出メダル計数部152により計数される。そして、払出メダル計数部152により計数されたメダル検出信号の出力回数分の枚数データが、枚数データを保持するデータ保持手段241に疑似払出枚数として加算手段244により加算される。
以上のように、疑似投入用メダル保持体110に保持された封入メダルMを介した疑似投入により、枚数データを保持するデータ保持手段241から所定枚数分の枚数データを疑似投入枚数として減算して遊技の賭け数を設定することができる。また、疑似払出用メダル保持体120に保持された封入メダルMを介した疑似払出により、枚数データを保持するデータ保持手段241に所定の払出枚数分の枚数データを疑似払出枚数として加算して遊技者に所定の利益を付与することができる。そのため、従来のクレジット機能と異なり、データ保持手段241が保持する枚数データの上限枚数が法規制による制限を受けない。したがって、データ保持手段241に保持される枚数データを介して遊技を行うことにより、遊技者がメダルに触れることなく遊技をすることが可能な封入式のスロットマシン1を提供することができる。したがって、メダル投入の煩わしさを低減したり、偽造メダル対策などのセキュリティの向上を図り、メダルに関連する不正を予防することができる。また、従来、遊技を行うために大量に必要であった消耗品であるメダルが不要であるため、エコな構成のスロットマシンを提供することができる。
また、疑似投入の際に疑似投入用メダル保持体110のメダル通路111を移動する封入メダルMの移動状態を疑似投入メダル視認用窓102を介して視認することができる。また、疑似払出の際に疑似払出用メダル保持体120のメダル通路121を移動する封入メダルMの移動状態を疑似払出メダル視認用窓103を介して視認することができる。したがって、遊技者は疑似投入が行われていることや、入賞することによる利益が付与されていることを実感することができる。したがって、遊技者の遊技に対する興趣を高めることができる。
なお、この実施形態では、疑似投入に対して疑似投入用メダル保持体110を用意し、疑似払出に対して疑似払出用メダル保持体120を用意したが、1つのメダル保持体を疑似投入および疑似払出の両方に共通して使用してもよい。この場合には、検出位置Pを通過する封入メダルMを検出する1つのセンサ(メダル検出手段)のメダル検出信号に基づいて、疑似投入枚数および疑似払出枚数の両方を計数するようにすればよい。また、検出位置Pを通過する封入メダルMを検出する2つセンサ(メダル検出手段)を用意し、一方のセンサのメダル検出信号に基づいて疑似投入枚数を計数し、他方のセンサのメダル検出信号に基づいて疑似払出枚数を計数するようにしてもよい。
また、常に疑似投入メダル視認用窓102および疑似払出メダル視認用窓103を介して封入メダルMを視認できるように構成してもよいし、疑似投入時には疑似投入メダル視認用窓102からのみ封入メダルMを視認でき、疑似払出時には疑似払出メダル視認用窓103からのみ封入メダルMを視認できるようにしてもよい。また、メダル通路は、封入メダルMが一巡可能であると共に、封入メダルMが落下する箇所がある通路であればよく、本実施形態の形状に限定されない。また、封入メダルMが落下した際の落下音や、落下した際の衝撃による封入メダルMの摩耗や破損を抑える部材がメダル通路に配置されていてもよい。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について図15を参照して説明する。図15は本発明の第2実施形態にかかるスロットマシンが備える投入・払出装置を説明するための図であって、(a)は正面図、(b)は下面図である。なお、図15(b)では送りローラ314が図示省略されている。
この実施形態の投入・払出装置300が上記した第1実施形態と異なるのは、図15に示すように、メダルの疑似投入およびメダルの疑似払出の両方に共通して使用されるメダル保持体310を備えている点である。また、図15中に点線で示す位置に、メダルの疑似投入の際、および、メダルの疑似払出の際の両方において、メダル通路311を通過する封入メダルMを遊技者が視認できるように、メダル視認用窓104が設けられている。その他の構成および動作については上記した第1実施形態と同様であるため、以下では、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明を行い、上記した第1実施形態と同様の構成および動作については、同一符号を引用することによりその説明は省略する。
メダル保持体310は、この実施形態では8枚の封入メダルMを、一巡可能な内部のメダル通路311を移動可能に封入状態で保持するものであり、図15(a)に示すように、メダル通路311は、正面視でトラック状に形成されている。また、メダル通路311の底面311cには、メダル通路311の幅方向におけるほぼ中央の位置を通るようにトラック状のガイド孔313が形成されている。また、各封入メダルMそれぞれの裏面側のほぼ中央位置に突起Maが設けられている。そして、図15(b)に示すように、各封入メダルMは、それぞれの突起Maがメダル保持体310の裏面側に突出するようにガイド孔313に挿通されることにより、ガイド孔313に沿って移動可能な状態でメダル通路311に配置されている。
また、各封入メダルMは、メダル通路311に互いに密接した状態で配置されている。したがって、メダル保持体310に保持されている複数の封入メダルMのうちの1つが駆動されてメダル通路311を一方向に移動すると、当該移動する封入メダルMに押されることにより各封入メダルMがメダル通路311を一方向に移動する。
また、図15(a)に示すように、メダル保持体310の裏面側のほぼ中央位置に平面視で略十字状に形成された送りローラ314が配設されている。また、送りローラ314は、その回転軸314aが各封入メダルMの移動する所定の平面にほぼ直交するように配置される。したがって、図15(a)に示す正面視において、送りローラ314が回転軸314aを回転中心として例えば反時計回り方向に回転することにより、送りローラ314の上下に配置された封入メダルMそれぞれのメダル保持体310の裏面側に突出する突起Maに送りローラ314の先端部314bが係止する。
そして、封入メダルMの突起Maと送りローラ314の先端部314bとが係止しつつ送りローラ314がさらに反時計回り方向に回転することにより、突起Maが送りローラ314の先端部314bにより押圧されて封入メダルMがメダル通路311を一方向に移動する。なお、送りローラ314によりメダル通路311を一方向に移動する封入メダルMにより押されることにより、メダル通路311に配置された全ての封入メダルMが一方向に移動する。また、図示省略するが、上記した実施形態と同様に、駆動部130のモータの回転軸131が送りローラ314の回転軸314aに連結されることにより、送りローラ314は駆動部130により回転駆動される。
また、送りローラ314により駆動されてメダル通路311を移動する封入メダルMは、図15中に点線で示すメダル視認用窓104の位置を通過することにより遊技者に視認される。また、本実施の形態では、メダルの疑似投入の際、および、メダルの疑似払出の際の両方において、封入メダルMはメダル視認用窓104の位置を同じ方向に移動する。
また、図15(a),(b)に示すように、トラック状のメダル通路311の長軸方向における左端位置に設定された所定の検出位置P1を通過する封入メダルMを検出するための投入センサ115が配設されている。そして、各封入メダルMが一方向に移動することにより、所定の検出位置P1に配置された投入センサ115の位置を通過すると、投入センサ115の検出部からメダルの疑似投入枚数を計数するためのメダル検出信号がメイン制御基板32に対して出力される。
また、図15(a),(b)に示すように、トラック状のメダル通路の311の長軸方向における右端位置に設定された所定の検出位置P2を通過する封入メダルMを検出するための払出センサ125が配設されている。そして、各封入メダルMが一方向に移動することにより、所定の検出位置P2に配置された払出センサ125の位置を通過すると、払出センサ125の検出部からメダルの疑似払出枚数を計数するためのメダル検出信号がメイン制御基板32に対して出力される。
また、本実施の形態では、両検出位置P1,P2とメダル視認用窓104とが離れて配置されている。しかしながら、両検出位置P1,P2とメダル視認用窓104は、両検出位置P1,P2それぞれにおいて封入メダルMが両センサ115,125それぞれにより検出されるタイミングで、他の封入メダルMがメダル視認用窓104を通過するように位置決めされている。したがって、両センサ115,125のいずれかにより封入メダルMが検出された回数だけ、メダル視認用窓104を封入メダルMが通過する。
なお、疑似投入の際と疑似払出の際とで、各封入メダルMの移動方向を異ならせてもよい。また、所定の検出位置を通過する封入メダルMを検出する1つのセンサ(メダル検出手段)のメダル検出信号に基づいて、疑似投入枚数および疑似払出枚数の両方を計数するようにしてもよい。
(変形例)
1.変形例(1)
図16を参照して投入・払出装置の変形例(1)について説明する。図16は投入・払出装置の変形例(1)を説明するための正面図である。図16に示す変形例(1)である投入・払出装置300が、図15に示す投入・払出装置300と異なるのは、上記した第1実施形態と同様に、図16中に点線で示す位置に、メダルの疑似投入の際にメダル通路311を通過する封入メダルMを遊技者が視認できるように疑似投入メダル視認用窓102が設けられ、メダルの疑似払出の際にメダル通路311を通過する封入メダルMを遊技者が視認できるように疑似払出メダル視認用窓103が設けられている点である。その他の構成は上記した投入・払出装置300と同様であるため、同一符号を引用することによりその構成の説明は省略する。
また、この変形例(1)では、検出位置P1と疑似投入メダル視認用窓102とが離れて配置され、検出位置P2と疑似払出メダル視認用窓103とが離れて配置されているが、検出位置P1と疑似投入メダル視認用窓102との配置関係と、検出位置P2と疑似払出メダル視認用窓103との配置関係とは、図15に示す検出位置P1,P2とメダル視認用窓104との配置関係と同様に設定されている。したがって、投入センサ115により封入メダルMが検出された回数だけ、疑似投入メダル視認用窓102を封入メダルMが通過する。また、払出センサ125により封入メダルMが検出された回数だけ、疑似払出メダル視認用窓103を封入メダルMが通過する。
また、この変形例(1)では、送りローラ314により駆動されてメダル通路311を一方向に移動する封入メダルMが、図16中に点線で示す疑似投入メダル視認用窓102または疑似払出メダル視認用窓103を通過することにより遊技者に視認される。したがって、この変形例(1)では、メダルの疑似投入の際に疑似投入メダル視認用窓102を通過する封入メダルMと、メダルの疑似払出の際に疑似払出メダル視認用窓103を通過する封入メダルMとは異なる方向に移動する。
なお、メダルの疑似投入の際とメダルの疑似払出の際とで送りローラ314の回転方向を切り換えることにより封入メダルMの移動方向を切り換えることによって、メダルの疑似投入の際に疑似投入メダル視認用窓102を通過する封入メダルMと、メダルの疑似払出の際に疑似払出メダル視認用窓103を通過する封入メダルMとが同じ方向に移動するようにしてもよい。また、常に疑似投入メダル視認用窓102および疑似払出メダル視認用窓103を介して封入メダルMを視認できるように構成してもよいし、疑似投入時には疑似投入メダル視認用窓102からのみ封入メダルMを視認でき、疑似払出時には疑似払出メダル視認用窓103からのみ封入メダルMを視認できるようにしてもよい。
2.変形例(2)
図17を参照して投入・払出装置の変形例(2)について説明する。図17は投入・払出装置の変形例(2)を説明するための正面図である。図17に示す変形例(2)である投入・払出装置300aが、図17に示す投入・払出装置300と異なるのは、投入・払出装置300aが、上記した第1実施形態と同様に、疑似投入用と疑似払出用の2個のメダル保持体310を備え、2個のメダル保持体310のそれぞれに保持された各封入メダルMが、駆動部130が備えるモータにより回転駆動された送りローラ314により駆動される点である。その他の構成は上記した投入・払出装置300と同様であるため、同一符号を引用することによりその構成の説明は省略する。
なお、本変形例(2)において、疑似投入と疑似払出とで送りローラ314を同方向に回転させてもよいし、異なる方向に回転させてもよい。また、上記した第1実施形態と同様に、両メダル保持体310のそれぞれに対して送りローラ314が個別に設けられていてもよい。また、この場合には、両送りローラ314それぞれが駆動部130が備える1個のモータによりクラッチ等のギア機構を介して回転駆動されてもよいし、両送りローラ314それぞれが駆動部130が備える2個のモータによりクラッチ等のギア機構を介して個別に回転駆動されてもよい。また、常に両メダル視認用窓104を介して封入メダルMを視認できるように構成してもよいし、疑似投入時には疑似投入用のメダル保持体310のメダル視認用窓104からのみ封入メダルMを視認でき、疑似払出時には疑似払出用のメダル保持体310のメダル視認用窓104からのみ封入メダルMを視認できるようにしてもよい。
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について、図18を参照して説明する。図18は本発明の第3実施形態にかかる封入式のスロットマシンを備えるスロットマシンシステムを示す図である。
この実施形態のスロットマシンシステムが上記した第1実施形態と異なるのは、遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データを保持するデータ保持手段190と、データ保持手段190から疑似投入枚数分の枚数データを減算する減算手段191と、データ保持手段190に疑似払出枚数分の枚数データを加算する加算手段192とが、スロットマシン1aの筐体内に配設されている点である。その他の構成および動作については上記した第1実施形態と同様であるため、以下では、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明を行い、上記した第1実施形態と同様の構成および動作については、同一符号を引用することによりその説明は省略する。
(メダル貸出ユニット)
図18に示すように、メダル貸出ユニット200aのユニット制御装置240が備える貸出手段242は、スロットマシン1aに搭載されている貸出スイッチ12が操作された場合に、所定の貸出枚数の枚数データをI/Oポートを介してスロットマシン1aのメイン制御基板32に送信することにより、遊技者に遊技に使用可能なメダルを枚数データの形式で貸し出すものである。なお、スロットマシン1aのメイン制御基板32に送信された枚数データは、データ保持手段190により保持される。
また、返却手段245は、スロットマシン1aに搭載されている返却スイッチ13が操作された場合に、スロットマシン1aのデータ保持手段190に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データをI/Oポートを介して受信してメダルカードに記録することにより、遊技者にメダルを枚数データの形式で返却するものである。また、返却手段245により遊技者にメダルが枚数データの形式で返却された場合には、スロットマシン1aのデータ保持手段190に保持されている枚数データが初期化される。
なお、返却スイッチ用センサ13aの出力がメイン制御基板32に出力されるようにしてもよい。この場合には、返却スイッチ用センサ13aの検出信号がメイン制御基板32に入力されると、データ保持手段190に保持されている枚数データがメダル貸出ユニット200aにI/Oポートを介して送信されるようにすればよい。
(スロットマシン)
図18に示すように、スロットマシン1aのメイン制御基板に、データ保持手段190、減算手段191、加算手段192が構成されている。
データ保持手段190は、遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データを保持するものであり、メダル貸出ユニット200aから送信された貸出枚数に関する枚数データを保持する。また、返却手段245によりデータ保持手段190に保持された枚数データ分のメダルが枚数データの形式で遊技者に返却された場合には、データ保持手段190に保持されている枚数データが初期化される。
減算手段191は、スロットマシン1aへのメダルの疑似投入枚数分の枚数データをデータ保持手段190から減算する。また、加算手段192は、スロットマシン1aからのメダルの疑似払出枚数分の枚数データをデータ保持手段190に加算する。
なお、データ保持手段190、減算手段191、加算手段192を備える制御基板がメイン制御基板32とは別個に構成されて、スロットマシン1aに搭載されるようにしてもよい。
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第1実施形態の構成と比較すると、スロットマシン1aとメダル貸出ユニット200aとの通信頻度を低減することができるので、スロットマシン1aおよび貸出ユニット20a間の通信信号を書き換えるゴト行為を防止することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態では、遊技を行うための所定枚数分の疑似投入が完了することを条件として、スタートスイッチ9の操作が有効化されるように設定されている。しかしながら、例えば最大ベットスイッチ8が操作されたり、ベットスイッチ7の操作が行われたタイミングでスタートスイッチ9の操作が有効化されるようにしてもよい。この場合には、スタートスイッチ9が操作されたタイミングで抽選手段60において乱数を取得し、各回転リール6L,6M,6Rが定速回転するまでに抽出された乱数を用いた抽選を行わなければならないという法規制を満足するために、例えば、次のような制御を行うとよい。
すなわち、スタートスイッチ9が操作されたときに、遊技を行うための所定枚数分の疑似投入が完了していなければ、所定枚数分の疑似投入が完了した後に乱数を用いた役抽選を行い、役抽選が行われた後に各回転リール6L,6M,6Rを回転開始させるとよい。また、スタートスイッチ9の操作により各回転リール6L,6M,6Rの回転を開始させるが、所定枚数分の疑似投入が完了して役抽選が終了するまでは各回転リール6L,6M,6Rが定速回転しないように、回転の初速を遅くしたり、回転加速度を小さくしてもよい。また、所定枚数分の疑似投入が完了するまでの時間を短縮するために、疑似投入に用いられる封入メダルの移動速度をより高速にしてもよい。
また、遊技者が2枚賭けもしくは3枚賭けを意図して各ベットスイッチ7,8を操作した場合に、遊技者が、2枚分もしくは3枚分の疑似投入が完了する前にスタートスイッチ9を操作した場合には、スタートスイッチ9が操作されたタイミングでの疑似投入枚数に基づいて役抽選を行うようにしてもよい。この場合には、スタートスイッチ9が操作されたタイミング以降の疑似投入は無効となるようにしてもよい。また、遊技者が、2枚分もしくは3枚分の疑似投入が完了する前にスタートスイッチ9を操作した場合に、遊技者の意図通り、2枚賭けもしくは3枚賭けに基づく役抽選を行うようにしてももちろんよい。
また、上記した投入・払出装置100は疑似投入および疑似払出の両方を行うことができるように構成されているが、疑似投入を行う投入装置と疑似払出を行う払出装置とが個別にスロットマシンに搭載されていてもよい。また、投入制御手段140を備える制御基板、または、払出制御手段150を備える制御基板、または、投入制御手段140および払出制御手段150の両方を備える制御基板が、メイン制御基板32とは別個に構成されて、スロットマシンに搭載されるようにしてもよい。また、各メダル保持体110,120,310のうちの少なくとも1つの駆動制御を、メダル貸出ユニット200,200aが行うようにしてもよい。
また、貸出スイッチ12および返却スイッチ13の少なくともいずれか一方がメダル貸出ユニット200,200aに搭載されていてもよい。
また、疑似投入の際には投入センサ115のみを有効化して払出センサ125を無効化し、疑似払出の際には払出センサ125のみを有効化して投入センサ115を無効化してもよい。また、1個のセンサにより疑似投入用のメダル検出手段および疑似払出用のメダル検出手段の両方の機能が実現されるようにしてもよい。
また、メダル通路の経路の形状は上記した例に限定されるものではない。また、疑似投入または疑似払出の際の各封入メダルの移動方向は上記した例に限定されるものではなく、疑似投入および疑似払出の両方の場合において同方向に各封入メダルが移動するようにしてもよいし、異なる方向に各封入メダルが移動するようにしてもよい。また、疑似投入および疑似払出それぞれの場合の各封入メダルの移動速度が異なるようにしてもよいし、同じ速度で各封入メダルが移動するようにしてもよい。また、疑似投入用メダル保持体、疑似払出用メダル保持体およびメダル保持体のそれぞれは少なくとも1枚の封入メダルを保持していればよく、各メダル保持体が保持する封入メダルの数は同数であってもよいし、異なっていてもよい。
また、図11に示す最大ベット処理では、既にメダルが疑似投入されて賭け数が設定されている場合に、一旦、投入精算処理を行い(図11のステップS202)、賭け数(疑似投入枚数)を0枚に初期化した後に、再度、疑似投入を行うように構成されている(図11のステップS203〜ステップS208)。しかしながら、この場合に、投入精算処理を行わずに、最大賭け数(疑似投入枚数)を超えない範囲内において、既に設定されている賭け数に加算するように疑似投入を行うようにしてもよい。
また、図12に示すベット処理では、ベットスイッチ7が操作されて疑似投入枚数(賭け数)が規定枚数(例えば3枚)に達している場合に(図12のステップS308でYES)、遊技者の意思により規定枚数の賭け数が設定されたことを尊重して、更なる賭け数の変更を禁止するために、ベットスイッチ7の操作が無効化される(図12のステップS309)。しかしながら、この場合に、ベットスイッチ7の操作を無効化せずに、更に賭け数(疑似投入枚数)を変更できるようにしてもよい。
また上記した実施形態では、遊技可能な賭け数(疑似投入枚数)として、複数の賭け数(例えば、1枚、2枚、3枚)が設定されたスロットマシンを例に挙げて説明しているが、規定の賭け数(例えば3枚)のみが設定されたスロットマシンでもよい。この場合、上記したように、規定枚数のメダルの疑似投入が検出されたタイミングでスタートスイッチ9の操作を有効すればよい。また、1枚のメダルの疑似投入が検出されたタイミングでスタートスイッチ9の操作を有効化し、規定枚数のメダルの疑似投入が検出されたタイミングで役抽選を行うようにしてもよい。
また、精算スイッチ11(精算スイッチ用センサ11a)が設けられていなくてもよい。この場合には、例えば、返却スイッチ13が操作されることにより、一旦、疑似投入された枚数分のメダルの疑似払出が行われて、疑似投入された枚数分の枚数データがデータ保持手段190,241に加算されるようにするとよい。そして、メダル貸出ユニットの返却手段245に、データ保持手段190,241に保持されている遊技に使用可能なメダル枚数に関する枚数データをメダルカード装置220に挿入されたメダルカードに記録させることによって、メダル貸出ユニット200にメダルを枚数データの形式で遊技者に対して返却させるようにするとよい。
また、上記した実施形態では、投入・払出装置100,300,300aはスロットマシンの筐体内に配置されているが、封入メダルMが確実に投入・払出装置100,300,300a内に封入されていれば、投入・払出装置100,300,300aは、スロットマシンの筐体外にその一部が突出するように配置されていたり、スロットマシンの筐体外に配置されていてもよい。
そして、所定枚数のメダルが疑似投入されることを条件として遊技が実行されるスロットマシンに本発明を広く適用することができる。