JP5749908B2 - 熱伝導性と放熱性に優れた電子機器用樹脂被覆鋼板 - Google Patents

熱伝導性と放熱性に優れた電子機器用樹脂被覆鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、高い熱伝導性と放熱性が要求される電子機器用鋼板に関するものである。この様な鋼板の用途としては、代表的に電気機器部品や光学機器部品が挙げられる。具体的にはヒートシンク、プラズマディスプレイテレビのバックシャーシ、熱源を内蔵する電子機器部品や複写機の光源カバーなどの光学機器部品、これらを収納する金属製筺体(ケーシング)等が挙げられる。
以下では、電子機器部品類を中心に説明するが、本発明はこの用途に限定する趣旨ではない。
ICチップや回路基板を内蔵する電子機器では、これら部品から発生する熱によって部品に局部的な高温箇所が生じたり、筐体内の温度が上昇するという問題がある。例えば液晶テレビやプラズマディスプレイテレビ(PDP−TV)は薄型化が進む中で、熱問題が深刻化している。特にPDP−TVでは、バックシャーシの熱伝導率が低いとプラズマ放電により発生した熱によってパネル内の温度が高くなると共に、温度勾配が生じて発光面の色ムラやガラス基板に割れが生じるなどの不具合が生じる原因となる。
こうした電子部品等の熱問題の対策としては、熱伝導率の高いアルミ製ヒートシンクや放熱シートなどの熱対策部材を介して筐体に熱伝導を促す処置等が施されている。
一方、コスト競争も激化しており、高価なアルミニウム部品から安価な鋼材部品に代えることができれば製品の大幅なコストダウンが可能となる。また熱対策部品の使用は設計自由度を低下させることから、その使用量を減らすことができれば、設計の自由度が向上するだけでなく、部品点数減少による低コスト化も図ることができる。
これまでにもアルミニウム部品に代替する鋼材部品が提案されているが、アルミニウム部品のほうが鋼材部品よりも熱伝導率が高いため、単純にどの様な鋼板でも良いという訳ではない。また例えば筐体に使用する鋼板の放射率を高くする手法も提案されているが、放射率のみを高めても、その効果は不十分であることが分かっている。
近年、電子機器部品に用いられる鋼材部品について、様々提案されている。
一方、特許文献2には、熱伝導率10W/m・K〜100W/m・Kのシャーシを備えるプラズマディスプレイ装置用シャーシ組立体が提案されており、この技術では、熱伝導率の高い方が、熱放出能力において有利であることが開示されている。しかしながらこの技術は、気温が降下することに起因して生じる放電遅延現象を減少させるという観点からなされたものであって、十分な効果が発揮されているとは限らない。
また特許文献3には、100℃で80W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導性物質を含み、赤外線放射率0.7以上有する熱吸収性皮膜を形成した表面処理金属板が提案されている。しかしながらこの技術は、表面処理鋼板の熱吸収率と熱放射率を高めることによって、筐体内部の電子部品等の発熱部と非接触状態で、該部品から発せられる熱を吸収・放射して筐体内部の温度上昇を抑制するものであって、熱放射性が考慮されているにすぎない。
また特許文献4には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の片面に2層以上の塗膜を形成した鋼板が提案されている。しかしながらこの鋼板は熱放射率は40%以上であるものの、この技術も特許文献3と同様、鋼板の熱放射率を高めることによって、筐体内部の電子部品等の発熱部と非接触状態で、該部品から発せられる熱を吸収・放射して筐体内部の温度上昇を抑制するものであって、熱放射性が考慮されているにすぎない。
更に電子機器類の筺体は、指紋が付着すると目立ちやすいという問題を抱えており、使用箇所によっては耐指紋性も要求されるが、上記放熱性等の問題と共に、こうした耐指紋性の改善も図る技術は提供されていないのが現状である。
特開2005−222042号公報 特開2009―286091号公報 国際公報第2005/105432号パンフレット
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、熱伝導性と放熱性に優れた特性を発揮し、更に必要に応じて要求される耐指紋性を兼ね備えており、電子機器部品の素材として有用な電子機器用樹脂被覆鋼板を提供することにある。
上記課題を達成し得た本発明の鋼板は、素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する電子機器用樹脂被覆鋼板であって、前記素地鋼板は熱伝導率が60W/m・K以上有すると共に、前記樹脂皮膜の厚さは0.3〜11μmであることに要旨を有する。
前記素地鋼板は、C:0.1%以下(0%を含まない)(「質量%」の意味、以下同じ)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.05〜0.90%、及びsol−Al:0.01〜0.1%、を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなるものであることが好ましい。
また本発明の鋼板は、Tiを含有する素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する電子機器用樹脂被覆鋼板であって、前記素地鋼板は熱伝導率が60W/m・K以上有すると共に、前記樹脂皮膜の厚さは0.1〜15μmであることに要旨を有する。
前記素地鋼板は、C:0.1%以下(0%を含まない)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.05〜0.90%、sol−Al:0.01〜0.1%、及びTi:0.01〜0.1%、を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなるものであることが好ましい。
前記素地鋼板の少なくとも片面に片面当たりの付着量が10g/m2以上の亜鉛めっき皮膜が形成されていることも望ましい実施態様である。
更に本発明の鋼板は、素地鋼板の少なくとも片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有し、前記素地鋼板の他方の面、または前記合金化溶融亜鉛めっき皮膜の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する電子機器用樹脂被覆鋼板であって、素地鋼板は熱伝導率が60W/m・K以上有すると共に、前記合金化溶融亜鉛めっき皮膜の片面当たりの付着量は30g/m2以上であり、前記樹脂皮膜の厚さは0.1〜15μmであることに要旨を有する。
前記素地鋼板は、C:0.1%以下(0%を含まない)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.05〜0.90%、及びsol−Al:0.01〜0.1%、を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなるものであることに要旨を有する。
前記素地鋼板は、更にTiを0.01〜0.1%含有するものであることも望ましい実施態様である。
本発明に係る第1の鋼板によれば、素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する樹脂被覆鋼板において、好ましくは素地鋼板の化学成分組成を適切に制御することによって熱伝導性が高められ、且つ、樹脂皮膜の膜厚を適切に制御することによって当該素地鋼板の高い熱伝導性を損なうことなく放熱性が高められた電子機器用樹脂被覆鋼板を実現できた。上記鋼板は、更にめっき皮膜(めっきの種類は限定されない)を有していても良く、当該めっき皮膜のめっき付着量を適切に制御することにより熱伝導性が一層高められる。更に上記のように樹脂皮膜の膜厚を適切に制御することによって耐指紋性も向上した。
また本発明に係る第2の鋼板によれば、素地鋼板の少なくとも片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有し、前記素地鋼板の他方の面、または前記合金化溶融亜鉛めっき皮膜の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する樹脂被覆鋼板において、好ましくは素地鋼板の化学成分組成を適切に制御することによって熱伝導性が高められ、且つ、樹脂皮膜の膜厚およびめっき付着量を適切に制御することによって、熱伝導性および放熱性が高められた電子機器用樹脂被覆鋼板を実現できた。更に上記のように樹脂皮膜の膜厚を適切に制御することによって耐指紋性も向上した。
本発明の鋼板は、後記するレーザーフラッシュ法で熱伝導性を評価したとき、熱伝導率が60W/m・K以上の高い熱伝導性を発揮できる。
本発明の鋼板は熱伝導性と放熱性に優れており、電子機器に好適に用いることができ、特に熱源に局部的に接する電子機器に用いることができる。
熱伝導性を評価するための熱伝導シミュレーションを説明するための概略説明図である。 熱伝導性を評価するための熱伝導シミュレーションにおける外部空間条件の概略説明図である。
本発明者らは、高い熱伝導性、放熱性と耐指紋性を兼ね備えた電子機器用鋼板を実現するべく、様々な角度から検討した。
そして、樹脂皮膜を形成した鋼板の放熱性、耐指紋性、及び熱伝導率の関係を調査した結果、樹脂皮膜の厚みが放熱性、更には耐指紋性に影響を及ぼし、素地鋼板の化学成分組成が熱伝導性に影響を及ぼすこと、まためっき皮膜のめっき付着量も熱伝導性に影響を及ぼすことを見出した。また、種々のめっき皮膜のなかでも合金化溶融亜鉛めっき皮膜は、高い放熱性を有しており、上記素地鋼板に合金化溶融亜鉛めっき皮膜および樹脂皮膜が形成された鋼板は、熱伝導性、放熱性、耐指紋性のすべてに優れることを見出し、本発明を完成した。
以下では、素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する樹脂被覆鋼板を第1の鋼板と呼び、素地鋼板の少なくとも片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有し、前記素地鋼板の他方の面、または前記合金化溶融亜鉛めっき皮膜の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する樹脂被覆鋼板を第2の鋼板と呼び、両者を区別する場合がある。
まず、上記第1および第2の鋼板に共通する素地鋼板について、説明する。
(素地鋼板の熱伝導率)
本発明に用いられる素地鋼板は、60W/m・K以上の熱伝導率を有するものとした。素地鋼板の熱伝導率が60W/m・K未満だと、鋼板面内の温度勾配を下げる効果が得られないからである。熱伝導率は好ましくは65W/m・K以上、より好ましくは68W/m・K以上である。
本発明における熱伝導率は、レーザーフラッシュ法で測定したときの熱伝導率であるが、具体的な測定条件、測定方法については後記実施例に記載の通りである。
(素地鋼板の化学成分組成)
本発明に用いられる素地鋼板は、その化学成分組成を適切に規定することが必要である。これら各成分の限定理由は、以下の通りである。
[C:0.1%以下(0%を含まない)]
Cは、鋼板(素地鋼板)の熱伝導率に大きな悪影響を及ぼす元素である。C含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Cは0.1%以下とする必要がある。好ましくは、0.06%以下、より好ましくは0.04%以下である。その一方で、Cは薄鋼板としたときの強度を確保する上で有用な元素である。強度が不足した鋼板では、バックシャーシのような大型の電子機器部品として用いる場合、構造を支持したり、鋼板の平坦度を確保することが難しくなる。そこで、他の元素との組み合わせによって、バックシャーシとして必要な強度を確保する必要があるが、強度を低下させることなくバックシャーシとして使用できる範囲のC含有量の下限として、0.001%とする。好ましくは0.0015%以上、より好ましくは0.0020%以上である。
[Si:0.1%以下(0%を含まない)]
Siは、鋼板の熱伝導率に悪影響を及ぼす元素である。Si含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Siは0.1%以下とする必要がある。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下である。一方、Siは固溶強化元素として作用し、薄鋼板の強度を確保するのに作用する元素でもある。したがって鋼板の強度を確保するためには、Siは好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.002%以上、更に好ましくは0.003%以上である。
[Mn:0.05〜0.90%]
Mnは、鋼板の熱伝導率に悪影響を及ぼす元素である。Mn含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Mnは0.90%以下とする必要がある。好ましくは、0.40%以下、より好ましくは0.30%以下である。一方、Mnは焼入れ性の向上に作用する元素でもある。従って、鋼板の強度を確保するためには、Mnは0.05%以上含有させることが必要である。好ましくは、0.08%以上、より好ましくは0.10%以上である。
[sol−Al:0.01〜0.1%]
Alは、鋼板の熱伝導率に大きな悪影響を及ぼす元素の一つである。熱伝導率を良好に維持するためには、sol−Al含有量は0.1%以下とする必要がある。好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.06%以下である。しかしながら、Alは脱酸元素として作用し、こうした作用を有効に発揮させるには、sol−Alの含有量は0.01%以上とする必要がある。好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.020%以上である。
素地鋼板の好ましい基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。不可避的不純物として、代表的なものとしては、P、S、N等が挙げられるが、これらの不可避的不純物は下記のように調整することが好ましい。
[S:0.04%以下(0%を含む)]
Sは不可避的不純物であるが、Mnと結合して鋼板の延性を劣化させるため、少ないほど好ましく、こうした観点から0.04%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.02%以下であり、更に好ましくは0.01%以下である。また、この範囲であれば、鋼板の熱伝導率には悪影響を及ぼすこともない。
[P:0.05%以下(0%を含む)]
Pは不可避的不純物であるが、粒界偏析による粒界破壊を助長させるので、その含有量はできるだけ少ない方が望ましい。こうした観点から、P含有量は0.05%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.04%以下であり、更に好ましくは0.025%以下である。また、この範囲であれば、鋼板の熱伝導率には悪影響を及ぼすこともない。
[N:0.01%以下(0%を含まない)]
Nは不可避的不純物である。Nは、粗大な介在物(TiNなど)を形成し、鋼板の靭性を劣化させる元素であるため、できるだけ低減することが望ましい。こうした観点から、N含有量は、0.01%以下とするのが良い。より好ましくは0.008%以下であり、更に好ましくは0.004%以下である。また、この範囲であれば、熱伝導率には悪影響を及ぼさない。
上記以外の不可避的不純物としては、Cu、Ni、Mo、Cr等が挙げられる。これらの元素は下記範囲で制御することも好ましい。
[Cu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種:各0.1%以下(0%を含まない)]
Cu、Ni、Mo、Crは、もともと鋼中に不可避的不純物として含まれ得る元素であるが、いずれも焼き入れ性を向上させる元素であると共に、熱伝導率が鉄(Fe:80W/m・K)よりも高い(Cu:401W/m・K、Ni:91W/m・K、Mo:138W/m・K、Cr:94W/m・K)ことから、鋼板の熱伝導率向上に寄与する元素である。鋼板の強度や加工性に影響を及ぼさない範囲で、熱伝導特性を改善させるために、Cu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.01%以上添加するのが好ましい。これらの元素は単独、或いは2種以上を併用してもよい。但し、これらの元素の含有量が過剰になると鋼板の強度や加工性に悪影響を及ぼすだけでなく、めっき性も悪くなるため、各々0.1%以下とする。Crの好ましい上限は0.08%、Ni、Mo、Cuの好ましい上限はいずれも0.05%である。
本発明で用いる素地鋼板には、上記基本元素以外に、必要に応じて、更に他の元素として、Tiを含有させることも有用であり、これによって本発明の鋼板(素地鋼板)の特性が更に改善される。Tiを含有させる場合の好ましい範囲とその限定理由は次の通りである。
[Ti:0.01〜0.1%]
Tiは、鋼板の熱伝導率の向上に寄与する元素である。Cとカーバイドを形成して固溶Cを低減させ、またNと窒化物を形成して熱伝導率向上に寄与する元素である。こうした効果を発揮させるためには0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.02%以上、更に好ましくは0.03%以上である。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、鋼板の強度を劣化させるので、その上限は0.1%とする。Ti含有量のより好ましい上限は0.07%であり、更に好ましい上限は0.06%である。
次に、第1の鋼板における樹脂皮膜、更には好ましく形成される亜鉛めっき皮膜について説明する。
(第1の鋼板に用いられる樹脂皮膜)
本発明の電子機器用樹脂被覆鋼板は、素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する。具体的には素地鋼板の表面、或いは後記するめっき鋼板(「めっき」には電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき等の亜鉛めっきを含む意味である。以下、同じ)のめっき表面に樹脂皮膜を形成する。樹脂皮膜で被覆すると放熱性と耐指紋性が向上するからである。
なお、素地鋼板のTi含有量と樹脂被膜の膜厚の関係を調べたところ、所定量のTiを含有する場合、素地鋼板の熱伝導性の特性が高くなり、十分な熱伝導率を確保できることが分かった。
樹脂皮膜の膜厚は、放熱性と耐指紋性を向上させるという観点から、厚くすることが望ましく、樹脂皮膜を素地鋼板又は亜鉛めっき鋼板に形成する場合、樹脂皮膜の膜厚(上記Ti含有量の素地鋼板の場合)は片面あたり、少なくとも0.1μm以上とすることが必要である。一方、Ti含有量が上記範囲を外れる素地鋼板の場合、樹脂皮膜の膜厚は片面当たり、少なくとも0.3μm以上とすることが必要である。いずれの場合も好ましくは0.8μm以上、更に好ましくは2.0μm以上である。
但し、樹脂皮膜は鋼板よりも熱伝導率が低いため、樹脂皮膜が厚すぎると熱伝導率が低下する。そのため、樹脂皮膜を素地鋼板または亜鉛めっき鋼板に形成する場合、樹脂皮膜の膜厚(上記Ti含有量の素地鋼板の場合)は片面あたり、15μm以下とすることが必要である。一方、Ti含有量が上記範囲を外れる素地鋼板の場合、樹脂皮膜の膜厚は片面当たり、11μm以下とすることが必要である。いずれの場合も好ましくは8.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下である。
本発明において、素地鋼板又はめっき皮膜の表面を被覆する樹脂皮膜の種類は、放熱性の観点からは特に限定されず、ICチップや回路基板を内蔵する電子機器等の部品から発生する熱に起因して溶融しない樹脂であればよい。このような樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、およびこれらの混合または変性した樹脂等を適宜使用することができ、これらの中でも加工性に優れているポリエステル系樹脂が好ましい。また樹脂には各種添加材を所望の特性を得るために添加してもよく、例えば樹脂皮膜強度を確保するメラミン系樹脂等の架橋材、耐食性や硬度を強化するシリカ、タルク等の添加材、色調調整や熱放射性を有するカーボンブラック等の顔料、導電性を付与する金属微粒子などの導電性材料などを適宜添加することも可能である。これらの中でも特にカーボンブラックは樹脂皮膜の放熱性向上作用を有する添加剤として好適である。
また、樹脂皮膜には任意のコーティング材で被覆されていてもよく、例えば耐指紋性を更に高める観点から、クリアーコートなどが施されていてもよい。
さらに、樹脂皮膜形成前に、素地鋼板またはめっき鋼板に、密着性を向上させるため、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の下地処理を行ってもよい。
(第1の鋼板に用いられるめっき皮膜)
本発明の電子機器用樹脂被覆鋼板は、素地鋼板に好ましくは亜鉛めっき皮膜が形成されていてもよい。亜鉛の熱伝導率(116W/m・K)は、鉄の熱伝導率(80W/m・K)よりも高いことから、めっき皮膜を素地鋼板の表面に形成すると、素地鋼板の熱伝導性を向上できる。めっき皮膜は素地鋼板の少なくとも片面に形成すればよい。
片面当たりの亜鉛めっき付着量(目付け量)は、熱伝導率を向上させるという観点から、できるだけ多くすることが望ましく、亜鉛めっき付着量は、片面当り10g/m2以上とすることが望ましい。好ましくは15g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上である。但し、亜鉛めっき付着量が過剰になると、表面外観が非常に悪化するため、亜鉛めっき付着量の上限値は200g/m2とすることが好ましい。より好ましくは180g/m2以下、更に好ましくは150g/m2以下である。
次に、第2の鋼板における樹脂皮膜および合金化溶融亜鉛めっき皮膜について説明する。
(第2の鋼板に用いられる樹脂皮膜)
第2の鋼板に用いられる樹脂皮膜は、前述した第1の鋼板(Tiを所定量含有しない鋼板)に用いられる樹脂皮膜と、厚さが異なること以外は同じである。
以下では、第2の鋼板の膜厚設定理由について説明する。その他の要件は、前述した第1の鋼板に用いられる樹脂皮膜の説明を参照することができる。
樹脂皮膜を形成する母材が、素地鋼板又は亜鉛めっき鋼板(合金化亜鉛めっき鋼板は含まない)である場合(Tiを所定量含有しない鋼板)と、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合とで形成する樹脂皮膜の厚みの範囲は異なる理由は、めっきを合金化することで放射率(実施例において測定している赤外線積分放射率)が高くなり、鋼板の放熱性が良好となるからである。したがって合金化溶融亜鉛めっき鋼板は亜鉛めっき鋼板(Tiを所定量含有しない鋼板)よりも形成する樹脂皮膜の膜厚が薄くても優れた放熱性を確保することができる。
したがって、素地鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを施した鋼板は上記したように放射率が高くなることから、樹脂被膜が薄くても十分な放熱性が得られ、樹脂皮膜が厚くても十分な熱伝導性を確保できる。そのため亜鉛めっき鋼板(合金化亜鉛めっき鋼板は含まない)とは異なり、素地鋼板にTi含有の有無に係わらず、樹脂皮膜が下記範囲であれば優れた効果を発揮する。
第2の鋼板に用いられる樹脂皮膜は、放熱性向上の観点から、樹脂皮膜の膜厚は片面当たり、少なくとも0.1μm以上とすることが必要である。樹脂皮膜の膜厚は好ましくは0.4μm以上、より好ましく0.8μm以上である。一方、樹脂皮膜の膜厚を厚くしすぎると素地鋼板の熱伝導率が低下することから、樹脂皮膜の膜厚は片面当たり、15μm以下とすることが必要である。樹脂皮膜の膜厚は好ましくは12μm以下、より好ましく8μm以下である。
第2の鋼板は、素地鋼板の少なくとも片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有するものであるが、素地鋼板の片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜が形成されている場合は、該めっき皮膜の表面、或いは素地鋼板の他方の面(該めっき皮膜が施されていない面)に樹脂皮膜を形成することができる。また素地鋼板の両面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜が形成されている場合は、少なくとも片面に樹脂皮膜を形成することができる。
(第2の鋼板に用いられる合金化溶融亜鉛めっき皮膜)
第2の鋼板は、素地鋼板の少なくとも片面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を有する。上記した様に亜鉛めっきを合金化することで放射率が高くなり、鋼板の放熱性が良好となることから、鋼板の熱伝導性が向上する。このような効果を得るには合金化溶融亜鉛めっき付着量は、片面当たり30g/m2以上とする必要がある。好ましくは45g/m2以上、より好ましく50g/m2以上である。但し、合金化溶融亜鉛めっき付着量が過剰になると、めっき密着性が低下するため、合金化溶融亜鉛めっき付着量の上限は80g/m2以下とすることが好ましく、より好ましく60g/m2以下である。
上記第1の鋼板、及び第2の鋼板に用いられるめっき皮膜としては、片面あたりのめっき付着量が上記要件を満足していればよく、必ずしも両面にめっき付着量を同じにする必要はない。本発明においては亜鉛めっきの付着量はICP発光分析装置を用いて測定する。
素地鋼板にめっきを施す方法については特に限定されず、電気亜鉛めっき処理(EG)、溶融亜鉛めっき処理(GI)、合金化溶融亜鉛めっき処理(GA)など各種公知のめっき処理、及び合金化処理を採用できる。
第1の鋼板に用いられる亜鉛めっきの組成は、特に限定されず、例えば純亜鉛、或いは亜鉛に微量のAl(例えば0.08〜0.3%程度)を含有したものであってもよく、またSi、Pb、Fe、Ti、Cr、Ni、希土類元素などの補助成分を1種以上含むものであってもよい。
なお、本発明の樹脂被覆鋼板は、必要に応じて素地鋼板の少なくとも片面にめっき皮膜を形成するものであるが、樹脂皮膜はめっき皮膜上に必ずしも形成しなくてもよい。例えば素地鋼板の片面にめっき皮膜を形成した場合、該めっき皮膜の直上に樹脂皮膜を形成してもよいし、めっき皮膜を形成していない側の素地鋼板表面に樹脂皮膜を形成してもよい。本発明ではいずれの構成でも高い熱伝導性と放熱性を発揮することができるからである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
鋼板の成分が下記表1に示す化学成分組成(残部:鉄及び不可避的不純物、単位は質量%である)となるように化学成分組成について調整したスラブを1200℃で熱間圧延、900℃で仕上げ圧延を行い、500〜700℃で巻き取りを行った後、得られた熱延鋼板を酸洗し、圧下率が30〜60%になるように冷間圧延して、板厚:0.8mmの薄鋼板(縦150mm×横250mm)とした。各成分の分析については、C、Sについては燃焼−赤外線吸収法、Nについては不活性ガス融解−熱伝導度法、その他の成分については誘導結合プラズマ発光分光分析法によった。
得られた各薄鋼板の両面に下記条件の電気亜鉛めっき処理(鋼種:EG)、溶融亜鉛めっき処理(鋼種:GI)、合金化溶融亜鉛めっき処理(鋼種:GA)を施して試験片を作製した。めっき付着量(表中、めっき単位はg/m2)は、片面をシールした50cm角のサンプルを希釈した塩酸で亜鉛めっき層を溶解し、溶解した液をICP発光分析装置(島津製作所製ICPS−7510)で分析した。一部試験片(No.55〜72にはめっき皮膜を施さなかった。また一部試験片(1、10、19、28、37、46、55、64)には樹脂皮膜を形成しなかった。なお、No.73と74は、熱伝導シミュレーション用の数値として熱伝導率の値を設定したものであり、具体的な材料の測定値ではない。
[電気亜鉛めっき処理(EG)]
(1) アルカリ水溶液浸漬脱脂:3質量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒
(2) アルカリ水溶液電解脱脂:3質量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒、10〜30A/dm2
(3) 水洗
(4) 酸洗 :3〜7質量%硫酸水溶液、40℃、2秒
(5) 水洗
(6) 電気亜鉛めっき :下記[電気亜鉛めっき条件]の通り
(7) 水洗
(8) 乾燥
(電気亜鉛めっき条件)
めっきセル :横型めっきセル
めっき浴組成:ZnSO4・7H2O 300〜400g/L
Na2SO4 50〜100g/L
2SO4 25〜35g/L
電流密度:50〜200A/dm2
めっき浴温度:60℃
めっき浴流速:1〜2m/秒
電極(陽極):IrO2合金電極
めっき付着量:15〜30g/m2(片面当たり)
[溶融亜鉛めっき処理(GI)]
上記冷延鋼板を、酸洗工程を通すことなく、溶融亜鉛めっきを施した。溶融亜鉛めっきは、還元性ガス雰囲気中での加熱による還元、めっき浴浸漬、ガスワイピングする装置を使用し、溶融亜鉛めっきを施した。
[溶融めっき条件]
還元温度:780℃〜860℃
還元時間:10〜80秒
めっき浴組成:Zn−0.2%Al
めっき浴温度:455〜465℃
亜鉛付着量:60〜133g/m2(片面当たり)
[合金化溶融亜鉛めっき処理(GA)]
(合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)の作製)
上記溶融亜鉛めっき鋼板に下記条件にて合金化加熱処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。具体的にはFe−ZnおよびFe−Al合金化速度の違いによる粒界内の空洞発生を抑制するため、加熱速度は10〜30℃/s、合金化温度を550〜700℃の範囲で制御した。また、合金化反応が停止する400℃までの冷却は、めっき層表面にFe−Zn皮膜が生成し、めっき層中に液状で残留したZnが最後に合金化して体積収縮による空洞発生を抑制するため、冷却速度を10〜30℃/sの範囲で制御した。合金めっき層中のFe%はパウダリングなど加工性を考慮して5〜20%の範囲で制御した。
[合金化条件]
・加熱速度:25℃/s
・合金化加熱温度:650℃
・冷却速度:25℃/s
・合金めっき中のFe%:12%
[樹脂皮膜の被覆処理]
(下地処理)
上記各めっき鋼板(めっき処理を施していない場合は素地鋼板)に、下地処理としてノンクロメート皮膜(CTE−213A:日本パーカーライジング社製)を用い、その付着量が100mg/m2となるように下地処理を行った。
(樹脂皮膜)
樹脂は、有機溶剤型ポリエステル樹脂(「バイロン(登録商標)29」東洋紡績社製)を用いた。架橋剤として、メラミン樹脂(「スミマール(登録商標)M−40ST」:住友化学社製・固形分80%)を用いた。更にシンナーとしてキシレン50%+シクロヘキサノン50%混合溶剤(大伸化学製)を用いた。ポリエステル樹脂と架橋剤を質量比(ドライ)100:20で混合した。希釈溶剤としてキシレン/シクロヘキサノン混合溶剤を用い、樹脂固形分濃度が5〜15%となるよう溶剤で希釈した後、ディスパー攪拌機で3000rpm×5分攪拌して樹脂皮膜用原料組成物を調整した。
上記樹脂皮膜用原料組成物を、皮膜厚さが所望の膜厚(下記表参照)となるように、各めっき鋼板(或いは素地鋼板)の裏面側にバーコーターで塗布し、熱風乾燥炉内にて到達温度220℃で約120秒間焼付けて試験片を作製した。このときの樹脂皮膜の厚さは皮膜の質量を測定し、比重換算で算出した値である。
各試験片について、下記方法によって、各種特性を評価した。
[熱伝導率の評価]
得られた各鋼板について、レーザーフラッシュ法によって熱伝導率を測定した。この方法の概要は次の通りである。
(レーザーフラッシュ法)
測定装置:レーザーフラッシュ法熱定数測定装置 「TC−7000アルバック 理工株式会社製」
まず下記の方法によって各鋼板の熱拡散率を測定する。
(熱拡散率の測定)
(1)25mm角の試料(鋼板)を作製し、その表面をカーボンスプレーによって黒化する。
(2)試料の黒化した面に赤外線レーザー光を瞬間的に照射し、裏面の温度変化を熱電対または赤外線検出器を用いて測定する。
(3)得られた時間−温度上昇曲線から熱拡散率を求める。
(4)レーザー光照射点と温度検出点との距離(即ち、各鋼板の厚さに相当)をL(mm)、試料裏面での最高到達温度の1/2の温度に到達するまでの時間をt1/2(sec)とすると、熱拡散率α[m2/sec]は下記の式で示される(このような測定方法をハーフタイム法と呼ぶ)。
熱拡散率α=1.37(L/π)2・1/t1/2 [m2/sec]
次に、下記の方法によって各鋼板の比熱を測定する。
(比熱の測定)
試料にレーザー光を瞬間的に照射したときに、試料に吸収された熱量をQ[J/cm2]、試料の質量をM(g)、温度上昇量をΔT(K)とすると、比熱Cp[J/(g・K)]は以下の式で示される。なお、各試料の質量は50〜60gであり、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製 DSC220C)を用いて室温、アルゴン雰囲気下における比熱を測定した。
比熱Cp=Q/(M・ΔT) [J/(g・K)]
(密度の測定)
25mm角の試料を作製し、該試料を用いて室温で水中置換法により密度を測定した。
上記によって得られた熱拡散率α[m2/sec]および比熱Cp[J/(g・K)]、密度ρ[g/cm3]に基づいて、下記の方法によって各鋼板の熱伝導率を測定した。
(熱伝導率の測定)
熱拡散率をα[m2/sec]、比熱をCp[J/(g・K)]、密度をρ[g/cm3]とすると、熱伝導率η[W/m・K]は以下の式で示される。密度ρはアルキメデス法によって測定した値を採用した。
熱伝導率η=Cp・α・ρ [W/m・K]
[放射率(赤外線放射率)の評価]
「赤外線積分放射率」とは、換言すれば、赤外線(熱エネルギー)の放出し易さ(吸収し易さ)を意味する。従って、上記赤外線積分放射率が高い程、放出(吸収)される熱エネルギー量は大きくなることを示す。例えば物体(本発明では樹脂皮膜)に与えられた熱エネルギーを100%放射する場合には、当該赤外線積分放射率は1となる。
本発明では、100℃に加熱したときの赤外線積分放射率を定めているが、これは、本発明の表面処理鋼板は電子機器部品用途(部品等によっても相違するが、通常の雰囲気温度は概ね、50〜70℃で、最高で約100℃)に適用されることを考慮し、当該実用レベルの温度と一致させるべく、加熱温度を100℃に定めたものである。
以下の方法によって試験片の赤外線積分放射率を算出した。
装置:日本電子(株)製「JIR−5500型フーリエ変換赤外分光光度計」および放射測定ユニット「IRR−200」
測定波長範囲:4.5〜15.4μm
測定温度:試料の加熱温度を100℃に設定する
積算回数:200回
分解能 :16cm-1
上記装置を用い、赤外線波長域(4.5〜15.4μm)における試験片の分光放射強度(実測値)を測定した。尚、上記試験片の実測値は、バックグラウンドの放射強度および装置関数が加算/付加された数値として測定される為、これらを補正する目的で、放射率測定プログラム[日本電子(株)製放射率測定プログラム]を用い、積分放射率を算出した。算出方法の詳細は以下の通りである。
式中、
ε(λ) :波長λにおける試料の分光放射率(%)
E(T) :温度T(℃)における試料の積分放射率(%)
M(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における試料の分光放射強度(実測値)
A(λ) :装置関数
FB(λ) :波長λにおける固定バックグラウンド(試料によって変化しないバックグラウンド)の分光放射強度
TB(λ,TTB):波長λ、温度TTB(℃)におけるトラップ黒体の分光放射強度
B(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における黒体の分光放射強度(ブランクの理論式からの計算値)
λ1,λ2 :積分する波長の範囲を夫々、意味する。
ここで、上記A(λ:装置関数)、および上記KFB(λ:固定バックグラウンドの分光放射強度)は、2つの黒体炉(80℃、160℃)の分光放射強度の実測値、および当該温度域における黒体の分光放射強度(ブランクの理論式からの計算値)に基づき、下記式によって算出したものである。
式中、
160℃(λ,160℃):波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
80℃(λ,80℃) :波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
160℃(λ,160℃):波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度(ブランクの理論式からの計算値)
80℃(λ,80℃):波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度(ブランクの理論式からの計算値)を夫々、意味する。
尚、赤外線積分放射率E(T=100℃)の算出に当たり、KTB(λ,TTB)を考慮しているのは、測定に当たり、試料の周囲に、水冷したトラップ黒体を配置しているためである。上記トラップ黒体の設置により、変動バックグランド放射(試料によって変化するバックグラウンド放射を意味する。試料の周囲からの放射が試料表面で反射されるので、試料の分光放射強度の実測値は、このバックグランド放射が加算された数値として表れる)の分光放射強度を低くコントロールすることができる。上記のトラップ黒体は、放射率0.96の疑似黒体を使用しており、前記KTB[(λ,TTB):波長λ、温度TTB(℃)におけるトラップ黒体の分光放射強度]は、以下の様にして算出する。
TB(λ,TTB)=0.96×KB(λ,TTB
式中、KB(λ,TTB)は、波長λ、温度TTB(℃)における黒体の分光放射強度を意味する。
[熱伝導シミュレーション]
図1Aに示すような軸対称2次元モデルを用い、長さ100mm×厚さ0.8mmの鋼板を設定し、熱伝導性を熱伝導シミュレーションによって評価した。
鋼板は均一な熱伝導率を有すると仮定し、上記レーザーフラッシュ法による測定値を採用した。鋼板の中心とヒーターの中心が接触するようにヒーター(縦30mm×幅5mm:発熱量60W:熱伝導率20W/m・K)を設定した。この際、鋼板と接触しないヒーターの他の部分には断熱材を設けてヒーター発熱部の鋼板接触面から鋼板側へ全ての熱が移動するようにした。また鋼板側面(厚み側)を断熱とし、ヒーターからの受熱は、ヒーター設置面と反対面(ヒーター設置面と反対側)にのみ移動するようにした。また鋼板内部の伝熱経路は、鋼板の中心から垂直方向の軸を介してヒータ設置面から反対面に至る任意の直線とした。外部環境として鋼板の中心から半径1000mmの空間を設定した(図1B)。雰囲気(空気)温度を35℃、外部境界の放射率を0.01に設定し、鋼板と雰囲気の熱伝達、鋼板と外部境界の放射、空間内の流動も計算に含めた。鋼板の温度評価は、次の部分の温度とした。
発熱体温度(T0):ヒーターと鋼板の接触面の中心温度
面内最高温度(Tmax):鋼板の反対面の中心温度
最低温度(Tmin):鋼板の反対面の周辺端部(角部)温度
面内温度差(Tdiff):面内最高温度(Tmax)から最低温度(Tmin)を引いた値
尚、計算には汎用流体解析コードFLUENT6.3(ANSYS社)を用いて、乱流モデルはK−ωSSTモデル、放射はD0モデルを採用した。
(発熱体温度(T0)の評価基準)
鋼板No.74(アルミ板:熱伝導率120W/m・K)のシミュレーション値(T0=94.5℃)を基準値として、鋼板の発熱体温度(T0)が95.5℃(94.5℃+1℃)以下の場合を合格とし(○:T0≦95.5℃)、更に94.5℃以下の場合を、特に優れているとした(◎:T0≦94.5℃)。また95.5℃を超える場合を不合格(×:T0>95.5℃)と評価した。
(面内温度差(Tdiff)の評価基準)
鋼板No.74のシミュレーション値(Tdiff=14.6℃)と、鋼板No.73のシミュレーション値(Tdiff=21.9℃)の中間値18.3℃を基準値として、鋼板の面内温度差(Tdiff)が19.3℃以下の場合を合格とし(○:Tdiff≦19.3℃)、更に18.3℃以下の場合を特に優れているとした(◎:Tdiff≦18.3℃)。また面内温度差(Tdiff)が19.3℃を超える場合を不合格(×:Tdiff>19.3℃)と評価した。
[耐指紋性の評価]
鋼板(50×120mm)をワセリン飽和アセトン溶液(50℃)に浸漬した(浸漬時間10秒)。浸漬後乾燥させた後、鋼板について同時測定光方式分光式色差計(日本電色工業製SQ−2000)を用いて色差(ΔE)を算出して評価した。
浸漬前後の試験片の色差(ΔE)が3以下を合格とし(○:ΔE≦3)、色差が1以下の場合を特に優れるとした(◎:ΔE≦1)。また色差が3を超える場合を不合格(×:ΔE>3)と評価した。
以上の結果を表2に示す。
この結果から、次のように考察できる。
まず、No.2〜8、12〜16、20〜26、30〜34、38〜44、47〜53は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成、樹脂皮膜の膜厚、めっき付着量を満足する例である。これらの例では熱伝導率、放熱性、耐指紋性に優れた特性が発揮されていることが分かる。
No.1、10、19、28、37、46は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成、及びめっき付着量を満足するが、樹脂皮膜を形成していない例である。
No.1と10は、素地鋼板に電気亜鉛めっき処理を施して亜鉛めっき皮膜を形成したものであるが、樹脂皮膜が形成されていないため、放熱性が低く、また発熱体温度(T0)が高くなっており、耐指紋性も劣っていた。
No.19と28は、素地鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施して亜鉛めっき皮膜を形成したものであるが、樹脂皮膜が形成されていないため、放熱性が低く、発熱体温度(T0)が高くなっていた。
No.37と46は、素地鋼板に合金化溶融亜鉛めっき処理を施して亜鉛めっき合金皮膜を形成したものであるが、樹脂皮膜が形成されていないため、耐指紋性が劣っていた。
No.9、18、27、36、45、54は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成、及びめっき付着量を満足するが、樹脂皮膜の膜厚が本発明で規定する範囲を超えている例である。
これらの例ではいずれも本発明で規定する樹脂皮膜の膜厚が厚すぎるため、素地鋼板の熱伝導性が低くなり、面内温度差(Tdiff)を小さくすることができなかった。
またNo.11、17、29、35は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成、及びめっき付着量を満足するが、樹脂皮膜の膜厚が本発明で規定する範囲を超えている例である。
No.11、29は、本発明で規定する樹脂皮膜の膜厚が薄いため、放熱性が低く、また発熱体温度(T0)が高くなっている。
No.17、35は、本発明で規定する樹脂皮膜の膜厚が厚いため、素地鋼板の熱伝導性が低くなり、面内温度差(Tdiff)を小さくすることができなかった。
なお、No.11、20と同様のめっき処理が施され、樹脂皮膜の膜厚も同じであるNo.2(No.11に対応)、No.20(No.29に対応)は、樹脂皮膜の膜厚が薄いにもかかわらず、発熱体温度(T0)が悪化していないのは、素地鋼板に添加が望ましい元素であるTiを本発明で規定する範囲内で含有させているからである。Tiを含有させることによって素地鋼板の熱伝導率が向上するため、発熱体温度(T0)が悪化していない。
またNo.8(No.17に対応)、No.26(No.35に対応)についても、樹脂皮膜の膜厚が厚いにもかかわらず、面内温度差(Tdiff)を小さくできたのは、素地鋼板に本発明で規定する範囲のTiを含有させることによって、素地鋼板の熱伝導率が向上しているからである。
No.55〜63は、めっき皮膜は形成せずに、素地鋼板の表面に樹脂皮膜を形成した例である(No.55は樹脂皮膜を形成していない素地鋼板のみの例である)。
No.56〜61は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成、樹脂皮膜の膜厚を満足する例である。これらの例では熱伝導率、放熱性、耐指紋性に優れた特性が発揮されていることが分かる。
No.55は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成を満足するが、樹脂皮膜を形成していないため、放熱性が低く、発熱体温度(T0)が高くなっており、また耐指紋性も劣っていた。
No.62、63は、本発明で規定する素地鋼板の化学成分組成を満足するが、樹脂皮膜の膜厚が本発明で規定する範囲を超えている例である。これらの例は本発明で規定する樹脂皮膜の膜厚が厚すぎるため、素地鋼板の熱伝導性が低くなり、面内温度差(Tdiff)を小さくすることができなかった。
No.64〜72は、本発明で規定する化学成分組成を満足しない(C、Mn含有量が高い)鋼板を用い、まためっき皮膜を形成せずに、素地鋼板の表面に樹脂皮膜を形成した例である(No.64は樹脂皮膜を形成していない素地鋼板のみの例である)。
これらの例はいずれも本発明で規定する化学成分組成を満足しないため、素地鋼板の熱伝導性が低くなり、面内温度差(Tdiff)を小さくできなかった。特に樹脂皮膜を形成していないNo.64は面内温度勾配が劣るだけでなく、放熱性が低く、発熱体温度(T0)が高くなっており、また耐指紋性にも劣っていた。

Claims (3)

  1. 素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する電子機器用樹脂被覆鋼板であって、
    前記素地鋼板は、
    C:0.1%以下(0%を含まない)(「質量%」の意味、以下同じ)、
    Si:0.1%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.05〜0.90%、及び
    sol−Al:0.01〜0.1%、
    を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなると共に、
    前記素地鋼板は熱伝導率が60W/m・K以上有し、
    前記樹脂皮膜は、前記素地鋼板の表面、あるいは前記素地鋼板に形成された溶融亜鉛めっき、または電気亜鉛めっきの表面のいずれかに形成されており、
    前記樹脂皮膜の厚さは0.3〜μmであることを特徴とする熱伝導性及び放熱性に優れた電子機器用樹脂被覆鋼板。
  2. 素地鋼板の少なくとも片面に樹脂皮膜を有する電子機器用樹脂被覆鋼板であって、
    前記素地鋼板は、
    C:0.1%以下(0%を含まない)、
    Si:0.1%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.05〜0.90%、
    sol−Al:0.01〜0.1%、及び
    Ti:0.01〜0.1%、
    を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなると共に、
    前記素地鋼板は熱伝導率が60W/m・K以上有し、
    前記樹脂皮膜は、前記素地鋼板の表面、あるいは前記素地鋼板に形成された溶融亜鉛めっき、または電気亜鉛めっきの表面のいずれかに形成されており、
    前記樹脂皮膜の厚さは0.1〜μmであることを特徴とする熱伝導性及び放熱性に優れた電子機器用樹脂被覆鋼板。
  3. 前記溶融亜鉛めっき皮膜、または前記電気亜鉛めっき皮膜の片面当たりの付着量が10g/m2以上である請求項1または2に記載の電子機器用樹脂被覆鋼板。
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