JP5632692B2 - 高熱伝導性鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性に優れた鋼板に関するものであり、特に、熱源が当該鋼板に対して局部的に接しており、高い熱伝導性が要求される電子機器部品の素材として好適に用いられる高熱伝導性鋼板に関するものである。この様な電子機器部品としては、代表的に電気機器部品や光学機器部品が挙げられる。具体的にはヒートシンク、プラズマディスプレイテレビのバックシャーシ、熱源を内蔵する電子機器部品や複写機の光源カバーなどの光学機器部品、これらを収納する金属製筺体(ケーシング)等が挙げられる。
以下では、電子機器部品類を中心に説明するが、本発明はこの用途に限定する趣旨ではない。
ICチップや回路基板を内蔵する電子機器では、これら部品から発生する熱によって部品に局部的な高温箇所が生じたり、筐体内の温度が上昇するという問題がある。例えば液晶テレビやプラズマディスプレイテレビ(PDP−TV)は薄型化が進む中で、熱問題が深刻化している。特にPDP−TVでは、バックシャーシの熱伝導率が低いとプラズマ放電により発生した熱によってパネル内の温度が高くなると共に、温度勾配が生じて発光面の色ムラやガラス基板に割れが生じるなどの不具合が生じる原因となる。
こうした状況の下で、電気機器メーカー各社は、製品の動作中の温度を1℃下げるのに多大な努力を行い、高価な熱対策部品を使用しているのが現状である。
従来の熱対策としては、熱伝導率の高いアルミ製ヒートシンクや放熱シートなどの熱対策部材を介して筐体に熱伝導を促す処置等が施されている。例えば、PDP−TVのバックシャーシは、熱源であるプラズマ素子とガラスパネルを介して局部的に接している部品であり、この様に熱源と接している熱対策部品では、熱伝導性材料として現状では、熱伝導性に優れたアルミニウムを素材としたものが広く用いられている。
一方、PDP−TV等の薄型TV市場では、コスト競争も激化しており、高価なアルミニウム部品から安価な鋼材部品に代えることができれば製品の大幅なコストダウンが可能となる。また熱対策部品の使用は設計自由度を低下させることから、その使用量を減らすことができれば、設計の自由度が向上するだけでなく、部品点数減少による低コスト化も図ることができる。
しかしながら、アルミニウム部品の方が鋼材部品よりも熱伝導率が高いため、単純にどの様な鋼板でも良いという訳ではない。即ち、鋼材部品に代替するためには、従来の鋼板より少しでも熱源温度を低くできる性能が求められることになる。
これまでにも、電子機器部品に用いられる鋼材部品について、様々提案されている。例えば、特許文献1には、優れた耐食性または放熱性を有する安価なプラズマディスプレイ固定板に関する技術について提案されている。この技術は、連続鋳造鋼からなる鋼片を高圧下率で熱間圧延した後に急冷し、フェライト中にマルテンサイトが分散してなる組織の熱延板とし、次いでこの熱延板を一次冷間圧延した後焼鈍し、更に二次冷間圧延した鋼板に、Znめっきを施し、その上に耐食性あるいは放熱性を向上させる化成処理層を形成するものである。しかしながら、この技術では原板(素地鋼板)の熱伝導率を向上させることについては何ら考慮されておらず、十分な効果が得られていない。
一方、特許文献2には、熱伝導率10W/m・K〜100W/m・Kのシャーシを備えるプラズマディスプレイ装置用シャーシ組立体に関して提案されている。また、この技術では、熱伝導率の高い方が、熱放出能力において有利であることも開示されている。しかしながらこの技術は、気温が降下することに起因して生じる放電遅延現象を減少させるという観点からなされたものであって、十分な効果が発揮されているとは限らない。
特開2006−307260号公報 特開2005−222042号公報
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、高い熱伝導性を発揮し、熱源が局部的に接するような電子機器部品の素材として有用な高熱伝導性鋼板を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の高熱伝導性鋼板とは、熱源に局部的に接する部材として用いられる高熱伝導性鋼板であって、素地鋼板は、C:0.03%以下(0%を含まない)(「質量%」の意味、以下同じ)、Si:0.1%以下(0%を含まない)、Mn:0.05〜0.90%、sol−Al:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.10%、並びにCu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種:各0.1%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、該素地鋼板の両面に片面当りの付着量が10g/m2以上の純亜鉛めっきが施されると共に、下記式(1)を満足する点に要旨を有するものである。
71.16−47.92[C]−4.72[Mn]−71.59[sol−Al]+39.32[Ti]+27.01[X]+0.0024[Y]≧68.5・・・(1)
(式中[ ]内は各元素の含有量(質量%)、[X]はCu、Ni、Cr、Moの合計含有量、[Y]は鋼板両面の純亜鉛めっき付着量の合計(g/m2))
本発明の高熱伝導性鋼板は、電子機器部品や光学機器部品などに用いられるものとして有効である。特に、PDP−TVのバックシャーシでは、使用される面積が広いため特に有用である。
本発明では、素地鋼板の化学成分組成を適切に規定すると共に、素地鋼板表面(両面)に形成する純亜鉛めっきの付着量を適切に制御することによって、高い熱伝導性を発揮し、熱源が局部的に接するような電子機器部品の素材として有用な高熱伝導性鋼板が実現できた。本発明の鋼板は、後記する図1A及び図1Bの装置を用いて熱伝導性を評価したとき、熱伝導率が68.5W/m・k以上の高い熱伝導性を発揮できる。
熱伝導性を評価するための実験装置の構成を説明するための概略説明図である。 熱伝導性を評価するための実験条件の概略説明図である。
本発明者らは、高い熱伝導性を発揮するめっき鋼板を実現するべく、様々な角度から検討した。そして、まずめっきの下地となる素地鋼板の成分の種類と熱伝導率の関係を調査した結果、C、Si、Mn、sol−Al、Ti等の成分は、鋼板の熱伝導率に影響を及ぼすこと、また、Cu、Ni、Mo、Crといった本来不可避不純物として混入する元素も熱伝導率に影響を及ぼすことが判明した。更に上記素地鋼板の表面(両面)に純亜鉛めっき被膜(以下、単に「亜鉛めっき」と略記する場合がある。)の付着量も熱伝導率に影響を及ぼしており、当該付着量も併せて制御することによって、熱伝導性能を一層向上でき、このようなめっき鋼板は、上記目的に適う高熱伝導性鋼板になり得ることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明で規定する各要件について説明する。
(素地鋼板の化学成分組成)
本発明で用いる素地鋼板は、その化学成分組成を適切に規定すると共に、後記する式(1)を満足するように制御することが必要である。これら各成分の限定理由は、以下の通りである。
[C:0.03%以下(0%を含まない)]
Cは、鋼板(素地鋼板)の熱伝導率に大きな悪影響を及ぼす元素であることから、本発明ではC含有量の上限を低く設定している。即ち、C含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Cは0.03%以下とする必要がある。好ましくは、0.02%以下、より好ましくは0.01%以下である。その一方で、Cは薄鋼板としたときの強度を確保する上で有用な元素である。強度が不足した鋼板では、バックシャーシのような大型の電子機器部品として用いる場合、構造を支持したり、鋼板の平坦度を確保することが難しくなる。そこで、他の元素との組み合わせによって、バックシャーシとして必要な強度を確保する必要があるが、強度を低下させることなくバックシャーシとして使用できる範囲のC含有量の下限として、0.001%以上とする。好ましくは0.0015%以上、より好ましくは0.0020%以上である。
[Si:0.1%以下(0%を含まない)]
Siは、鋼板の熱伝導率に悪影響を及ぼす元素である。Si含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Siは0.1%以下とする必要がある。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下である。一方、Siは固溶強化元素として作用し、薄鋼板の強度を確保するのに作用する元素でもある。したがって鋼板の強度を確保するためには、Siは好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.002%以上、更に好ましくは0.003%以上である。
[Mn:0.05〜0.90%]
Mnは、鋼板の熱伝導率に悪影響を及ぼす元素である。Mn含有量が少ないほど熱伝導率は高くなるため、Mnは0.90%以下とする必要がある。好ましくは、0.50%以下、より好ましくは0.30%以下である。一方、Mnは焼入れ性の向上に作用する元素でもある。従って、鋼板の強度を確保するためには、Mnは0.05%以上含有させることが必要である。好ましくは、0.08%以上、より好ましくは0.10%以上である。
[sol−Al:0.01〜0.10%]
sol−Alは、鋼板の熱伝導率に大きな悪影響を及ぼす元素の一つである。熱伝導率を良好に維持するためには、sol−Alの含有量は0.10%以下とする必要がある。好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.06%以下である。しかしながら、sol−Alは脱酸元素として作用し、こうした作用を有効に発揮させるには、sol−Alの含有量は0.01%以上とする必要がある。好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.020%以上である。
[Ti:0.01〜0.10%]
Tiは、鋼板の熱伝導率の向上に寄与する元素である。詳細にはTiは、Cとカーバイドを形成して固溶Cを低減させ、またNと窒化物を形成して熱伝導率向上に寄与する元素である。こうした効果を発揮させるためには0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.02%以上、更に好ましくは0.03%以上である。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、鋼板の強度を劣化させるので、その上限は0.10%とする。Ti含有量のより好ましい上限は0.07%であり、更に好ましい上限は0.06%である。
[Cu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種:各0.1%以下(0%を含まない)]
Cu、Ni、Mo、Crは、もともと鋼中に不可避的不純物として含まれ得る元素であるが、いずれも焼き入れ性を向上させる元素であると共に、熱伝導率が鉄(Fe:80W/m・K)よりも高い(Cu:401W/m・K、Ni:91W/m・K、Mo:138W/m・K、Cr:94W/m・K)ことから、鋼板の熱伝導率向上に寄与する元素である。鋼板の強度や加工性に影響を及ぼさない範囲で、熱伝導特性を改善させるために、Cu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種を0.01%以上添加するのが好ましい。これらの元素は単独、或いは2種以上を併用してもよい。但し、これらの元素の含有量が過剰になると鋼板の強度や加工性に悪影響を及ぼすだけでなく、めっき性も悪くなるため、各々0.1%以下とするが、各元素の単独量としては、Crの好ましい上限は0.08%、Ni、Mo、Cuの好ましい上限はいずれも0.05%である。
素地鋼板の好ましい基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物である。不可避的不純物として、代表的なものとしては、P、S、N等が挙げられるが、これらの不可避的不純物は下記のように調整することが好ましい。
[S:0.04%以下(0%を含む)]
Sは不可避的不純物であるが、Mnと結合して鋼板の延性を劣化させるため、少ないほど好ましく、こうした観点から0.04%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.02%以下であり、更に好ましくは0.01%以下である。また、この範囲であれば、鋼板の熱伝導率には悪影響を及ぼすこともない。
[P:0.05%以下(0%を含む)]
Pは不可避的不純物であるが、粒界偏析による粒界破壊を助長させるので、その含有量はできるだけ少ない方が望ましい。こうした観点から、P含有量は0.05%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.04%以下であり、更に好ましくは0.025%以下である。また、この範囲であれば、鋼板の熱伝導率には悪影響を及ぼすこともない。
[N:0.01%以下(0%を含まない)]
Nは不可避的不純物である。Nは、粗大な介在物(TiNなど)を形成し、鋼板の靭性を劣化させる元素であるため、できるだけ低減することが望ましい。こうした観点から、N含有量は、0.01%以下とするのが良い。より好ましくは0.008%以下であり、更に好ましくは0.004%以下である。また、この範囲であれば、熱伝導率には悪影響を及ぼさない。
[式(1):71.16−47.92[C]−4.72[Mn]−71.59[sol−Al]+39.32[Ti]+27.01[X]+0.0024[Y]≧68.5]
(式中[ ]内は各元素の含有量(質量%)、[X]はCu、Ni、Cr、Moの合計含有量(質量%)、[Y]は鋼板両面の純亜鉛めっき付着量の合計(g/m2))
上記のように、C、Mn、Alは鋼板の熱伝導率に悪影響を及ぼす元素であり、一方、Ti、X(Cu、Ni、Cr、Moよりなる群から選択される少なくとも一種)は鋼板の熱伝導率を向上させる元素である。Y(鋼板両面の純亜鉛めっき付着量)も後述するように熱伝導率を向上させる因子である。そこで本発明では、これらの量を適正に制御することによって、鋼板の強度や加工性といった鋼板に要求される基本的な特性を確保しつつ、熱伝導率を向上させている。特に本発明では熱伝導率に影響を与える要件としてC、Mn等の基本元素を制御するだけでなく、不可避的不純物の影響や亜鉛めっき付着量も考慮している点に特徴を有する。
上記式(1)の値が68.5以上となるように各元素の含有量やめっき付着量(Y)を制御することによって、高い熱伝導率が得られる。式(1)の値は好ましくは69.0以上、より好ましくは70.0以上である。
(亜鉛めっき)
本発明の高熱伝導性鋼板は、素地鋼板の両面に純亜鉛めっき被膜を形成したものであるが、この亜鉛めっきの付着量(目付け量)は、熱伝導率を向上させるという観点から、できるだけ多くする必要がある。亜鉛めっき付着量は、片面当り10g/m2以上とする必要がある。好ましくは15g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上である。但し、亜鉛めっき付着量が過剰になると、表面外観が非常に悪化するため、亜鉛めっき付着量の上限値は200g/m2とすることが好ましい。より好ましくは180g/m2以下、更に好ましくは150g/m2以下である。
もっとも、鋼板両面に同量のめっきを付着させることは必ずしも必要ではなく、少なくとも片面あたりのめっき付着量が上記要件を満足していればよい。亜鉛めっきの付着量はICP発光分析装置を用いて測定する。
めっき方法については特に限定されず、電気亜鉛めっき(EG)、溶融亜鉛めっき(GI)など各種公知のめっき処理を採用できる。
本発明における純亜鉛めっきとは、Zn純度96%以上を意味し、上記要件を満足する限り、亜鉛めっき相に不可避的に混入し得る不純物も含まれ得る。例えば微量のAlが含まれていてもよく、Zn−0.2%Alなどでもよい。上記本発明の素地鋼板に上記付着量の亜鉛めっきを施した場合、各種合金成分(Si、Pb、Fe、Ti、Cr、Ni、希土類元素など)を含む亜鉛合金めっきと比べて熱伝導率が向上する。
なお、本発明の高熱伝導性鋼板は、素地鋼板の両面に純亜鉛めっきが施されたものであり、めっき層の上には更なる樹脂被膜等を有していないものである。そして本発明では上記構成を採用することによって、高い熱伝導性が発揮する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
鋼板の成分が下記表1のNo.1〜13に示す組成(残部:鉄及び不可避的不純物、単位は質量%である)となるように化学成分組成について調整したスラブを1200℃で熱間圧延、900℃で仕上げ圧延を行い、500〜700℃で巻き取りを行った後、得られた熱延鋼板を酸洗し、圧下率が30〜60%になるように冷間圧延して、板厚:0.8mmの薄鋼板(縦150mm×横250mm)とした。各成分の分析については、C、Sについては燃焼−赤外線吸収法、Nについては不活性ガス融解−熱伝導度法、その他の成分については誘導結合プラズマ発光分光分析法によった。
得られた各薄鋼板の両面に下記条件の電気亜鉛めっき処理(鋼種:EG)又は溶融亜鉛めっき処理(鋼種:GI)を施して試験片を作製した(表中、鋼種で記載)。めっき付着量は片面をシールした50cm角のサンプルを、希釈した塩酸で亜鉛めっき層を溶解し、溶解した液をICP発光分析装置(島津製作所製ICPS−7510)で分析した。なお、No.4、5には亜鉛めっき処理を施していない(薄鋼板まま:CR)。またNo.14(EG)とNo.15(Al)は、熱伝導シミュレーション用の数値としてEGとAlの熱伝導率の値を設定したものであり、具体的な材料の実験値ではない。
[電気亜鉛めっき処理(工程)]
(1) アルカリ水溶液浸漬脱脂:3質量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒
(2) アルカリ水溶液電解脱脂:3質量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒、10〜30A/dm2
(3) 水洗
(4) 酸洗 :3〜7質量%硫酸水溶液、40℃、2秒
(5) 水洗
(6) 電気亜鉛めっき :下記[電気亜鉛めっき条件]の通り
(7) 水洗
(8) 乾燥
[電気亜鉛めっき条件]
めっきセル :横型めっきセル
めっき浴組成:ZnSO4・7H2O 300〜400g/L
Na2SO4 50〜100g/L
2SO4 25〜35g/L
電流密度:50〜200A/dm2
めっき浴温度:60℃
めっき浴流速:1〜2m/秒
電極(陽極):IrO2合金電極
めっき付着量 :15〜30g/m2(片面当たり)
[溶融亜鉛めっき処理(工程)]
上記冷延鋼板を、酸洗工程を通すことなく、溶融亜鉛めっきを施した。溶融亜鉛めっきは、還元性ガス雰囲気中での加熱による還元、めっき浴浸漬、ガスワイピングする装置を使用し、溶融亜鉛めっきを施した。
[溶融めっき条件]
還元温度:780℃〜860℃
還元時間:10〜80秒
めっき浴組成:Zn−0.2%Al
めっき浴温度:455〜465℃
亜鉛付着量:60〜133g/m2
[熱伝導率の評価]
得られた各鋼板について、レーザーフラッシュ法によって熱伝導率を測定した。この方法の概要は次の通りである。
(レーザーフラッシュ法)
測定装置:レーザーフラッシュ法熱定数測定装置 「TC−7000アルバック 理工株式会社製」
まず下記の方法によって各鋼板の熱拡散率を測定する。
(熱拡散率の測定)
(1)25mm角の試料(鋼板)を作製し、その表裏面をカーボンスプレーによって黒化する。
(2)試料の黒化した面に赤外線レーザー光を瞬間的に照射し、裏面の温度変化を熱電対または赤外線検出器を用いて測定する。
(3)得られた時間−温度上昇曲線から熱拡散率を求める。
(4)レーザー光照射点と温度検出点との距離(即ち、各鋼板の厚さに相当)をL(mm)、試料裏面での最高到達温度の1/2の温度に到達するまでの時間をt1/2(sec)とすると、熱拡散率α(m2/sec)は下記の式で示される(このような測定方法をハーフタイム法と呼ぶ)。
熱拡散率α=1.37(L/π)2・1/t1/2 [m2/sec]
次に、下記の方法によって各鋼板の比熱を測定する。
(比熱の測定)
試料にレーザー光を瞬間的に照射したときに、試料に吸収された熱量をQ(J/cm2)、試料の質量をM(g)、温度上昇量をΔT(K)とすると、比熱Cp(J/(g・K))は以下の式で示される。なお、各試料の質量は50〜60gであり、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製 DSC220C)を用いて室温、アルゴン雰囲気下における比熱を測定した。
比熱Cp=Q/(M・ΔT) [J/(g・K)]
(密度の測定)
25mm角の試料を作製し、該試料を用いて室温で水中置換法により密度を測定した。
上記によって得られた熱拡散率α(m2/sec)および比熱Cp(J/(g・K))、密度ρ(g/cm3)に基づいて、下記の方法によって各鋼板の熱伝導率を測定した。
(熱伝導率の測定)
熱拡散率をα(m2/sec)、比熱をCp(J/(g・K))、密度をρ(g/cm3)とすると、熱伝導率η[W/m・K]は以下の式で示される。密度ρはアルキメデス法によって測定した値を採用した。
熱伝導率η=Cp・α・ρ [W/(m・K)]
[熱伝導シミュレーション]
図1Aに示すような軸対称2次元モデルを用い、長さ100mm×厚さ0.8mmの鋼板を設定し、熱伝導性を熱伝導シミュレーションによって評価した。
鋼板は均一な熱伝導率を有すると仮定し、上記レーザーフラッシュ法による測定値を採用した。鋼板の中心とヒーターの中心が接触するようにヒーター(縦30mm×幅5mm:発熱量60W:熱伝導率20W/m・K)を設定した。この際、鋼板と接触しないヒーターの他の部分は断熱とし、ヒーターから鋼板側へ全ての熱が移動する設定とした。また鋼板側面(厚み側)を断熱とし、ヒーターからの受熱は、ヒーター設置面と反対面(ヒーター設置面と板対面)双方に移動することとした。また鋼板内部の伝熱経路は、鋼板の中心から垂直方向の軸を介してヒータ設置面から反対面に至る任意の直線とした。外部環境として鋼板の中心から半径1000mmの空間を設定した(図1B)。雰囲気(空気)温度を35℃、外部境界の放射率を0.01に設定し、鋼板と雰囲気の熱伝達、鋼板と外部境界の放射、空間内の流動も計算に含めた。鋼板の温度評価は、次の部分の温度とした。
発熱体温度(T0):ヒーターと鋼板の接触面の中心温度
面内最高温度(Tmax):鋼板の反対面の中心温度
最低温度(Tmin):鋼板の反対面の周辺端部(角部)温度
面内温度差(Tdiff):面内最高温度(Tmax)から最低温度(Tmin)を引いた値
尚、計算には汎用流体解析コードFLUENT6.3(ANSYS社)を用いて、乱流モデルはK−ωSSTモデル、放射はD0モデルを採用した。
(発熱体温度(T0)の評価基準)
鋼板No.15(アルミ板:熱伝導率120.0W/m・K)のシミュレーション値(T0=94.5℃)と、鋼板No.14(電気めっき鋼板:熱伝導率50.0W/m・K)のシミュレーション値(T0=97.9℃)の中間値96.2℃([94.5℃+97.9℃]/2)を基準値として、鋼板の発熱体温度(T0)が中間値(96.2℃)以下の場合を合格とし(○:T0≦96.2℃)、中間値を超える場合を不合格(×:T0>96.2℃)と評価した。
(面内温度差(Tdiff)の評価基準)
鋼板No.15のシミュレーション値(Tdiff=14.6℃)と、鋼板No.14のシミュレーション値(Tdiff=21.9℃)の中間値18.3℃を基準値として、試験片の面内温度差(Tdiff)が18.3+0.5℃未満の場合を合格とし(○:Tdiff<18.3+0.5℃)、更に18.3℃以下の場合を特に優れているとした(◎:Tdiff≦18.3℃)。また面内温度差(Tdiff)が18.3+0.5℃以上の場合を不合格(×:Tdiff≧18.3+0.5℃)と評価した。
結果を表2に示す。
この結果から、次のように考察できる。
まず、実験No.1、2、6〜8、10、12、13は素地鋼板の化学成分組成が本発明で規定する鋼を用いて素地鋼板の熱伝導率を向上させ、純亜鉛めっき付着量を増加したものである。素地鋼板が高熱伝導化されているため、さらに最高温度が低下しており、良好な熱伝導性が発揮されていることが分かる。
実験No.3、11は、素地鋼板の化学成分組成(C、Ti)が本発明で規定する範囲外のものであって、(1)式の値が本発明で規定する範囲を下回っている例である。この実施No.3、11は熱伝導率が低いため、面内温度差も劣っていた。
実験No.4は、素地鋼板の化学成分組成(C、Ti)が、実験No.5は素地鋼板の化学成分組成(C、Mn、Ti)が本発明で規定する範囲外のものであって、純亜鉛めっきを付着せず、また(1)式の値が本発明で規定する範囲を下回っている例である。この実施No.4、5は熱伝導率が達成されておらず、しかも純亜鉛めっきを付着させていないため、発熱体温度(T0)が高くなっており(No.5)、鋼板の熱伝導性が良好でないことが分かる。また面内温度差も劣っており(No.4、5)、熱伝導性が良好でないことがわかる。
実験No.9は、素地鋼板の化学成分組成(C、Ti)が本発明で規定する範囲外のものであって、(1)式の値が本発明で規定する範囲を下回っている例である。この実施No.9は、面内温度差が劣っており、熱伝導性が良好でないことが分かる。

Claims (2)

  1. 熱源に局部的に接する部材として用いられる高熱伝導性鋼板であって、素地鋼板は、
    C:0.03%以下(0%を含まない)(「質量%」の意味、以下同じ)、
    Si:0.1%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.05〜0.90%、
    sol−Al:0.01〜0.10%、
    Ti:0.01〜0.10%、並びに
    Cu、Ni、Mo、及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種:各0.01%以上0.1%以
    を夫々含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、前記素地鋼板の両面に片面当りの付着量が10g/m2以上の純亜鉛めっきが施されると共に、下記式(1)を満足することを特徴とする高熱伝導性鋼板。
    71.16−47.92[C]−4.72[Mn]−71.59[sol−Al]+39.32[Ti]+27.01[X]+0.0024[Y]≧68.5・・・(1)
    (式中[ ]内は各元素の含有量(質量%)、[X]はCu、Ni、Mo、及びCrの合計含有量(質量%)、[Y]は鋼板両面の純亜鉛めっき付着量の合計(g/m2))
  2. 電子機器部品に用いられるものである請求項1に記載の高熱伝導性鋼板。
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