JP5745317B2 - レトルトカレー及びレトルトカレーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、特にスッキリとして爽やかなスパイスの香味を有するレトルトカレーに関するものである。
特許文献1には、アミロースを実質的に含まないアミロペクチン系澱粉及び微細食物繊維を含み、粘度1000〜6000mPa・s(25℃、B型粘度計で測定した値)であることを特徴とする上掛け用流動状食品が記載されている。上記の食品は、レトルトカレーを含み、温かいご飯、パン、麺類等に常温のまま掛ける用途等に適する。一般に、レトルト食品はパウチごと熱湯で温めて食し、前記のように常温のまま食する場合には、レトルトカレーのスパイスの香り立ちが弱くなる傾向がある。
特許文献2には、大豆蛋白含有食品の製造において、茶類より抽出されたポリフェノール類を添加するレトルト食品等の大豆蛋白含有食品の製造方法が記載されている。大豆蛋白は食品の増量や品質改良の目的で広く食品に使用されるが、大豆蛋白等の植物性蛋白は特有の不快な風味により食品の風味を損なうことが問題となっている。
特開2001−224346号公報 特開平8−103225号公報
本発明の目的は、香り立ちのよいレトルトカレーを供することである。本発明の別の目的は、植物性たん白を含む香味品質の改善されたレトルトカレーを供することである。本発明の別の目的は、香味品質の改善された常温のまま食べるためのレトルトカレーを供することである。さらに、本発明の別の目的は、これらの性能のレトルトカレーを製造するための方法を供することである。
本発明のレトルトカレーによれば、青唐辛子を含有することにより、スッキリとして爽やかなスパイスの香味を発現することができるという利点がある。
本発明は、本発明は以下の発明を包含する。
(1)青唐辛子を含有することを特徴とするレトルトカレー。
(2)青唐辛子を、生のものである場合は0.1〜5重量%、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、抽出物である場合には0.001〜0.3重量%の割合で含有する(1)記載のレトルトカレー。
(3)カルダモンを含有する(1)又は(2)記載のレトルトカレー。
(4)カルダモンを、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、抽出物である場合には0.001〜0.2重量%の割合で含有する(3)記載のレトルトカレー。
(5)植物性たん白を含有する(1)〜(4)の何れかに記載のレトルトカレー。
(6)植物性たん白を0.1〜10重量%含有する(5)記載のレトルトカレー。
(7)常温のまま食べるものである(1)〜(6)の何れかに記載のレトルトカレー。
(8)青唐辛子を含有してレトルトカレーを製造することを特徴とするレトルトカレーの製造方法。
本発明のレトルトカレーは、青唐辛子を含有することにより、スッキリとして爽やかなスパイスの香味を有するものとなる。さらに、レトルトカレーが大豆蛋白を含む場合には、大豆特有の不快な風味を低減でき、スッキリとして爽やかなスパイスの香味が活かされたものとなり、レトルトカレーが常温のまま食べるものである場合にも、前記の香味が活かされるという利点がある。
原料について説明する。
青唐辛子
青唐辛子とは、Capsicum annuum Lに属する辛味種唐辛子の未熟果をいい、ハラペーニュ、ヤラピノが挙げられる。
青唐辛子としては、辛味種唐辛子の未熟果の生のもの、冷凍品、乾燥品、これらを適宜細かくした磨砕物、粉末等の形態で使用してもよいし、水又は有機溶媒による抽出物の形態で使用してもよい。抽出溶媒としては、アルコールやヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いることが好ましい。アルコール等の親水性有機溶媒と水との混合溶媒による抽出物も用いることができる。親水性有機溶媒と水との混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。アルコールとしてはエタノールが好ましい。アセトン等の有機溶媒による植物抽出物も用いることができる。青唐辛子の抽出物としては、市販の青唐辛子フレーバー等を使用できる。
青唐辛子は、レトルトカレー中に、生のものである場合は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、好ましくは0.02〜0.2重量%、抽出物である場合には0.001〜0.3重量%、好ましくは0.002〜0.1重量%の割合で含有するのがよい。青唐辛子を上記の範囲で含むことにより、スッキリとして爽やかなスパイスの香味を有するレトルトカレーを得ることが可能となる。なお、本明細書で、原料の含有量は、レトルトカレー全体に占める割合で示す。
カルダモン
カルダモンは、学名Elettaria cardamomum Maton.で、ショウガ科(Zingiberaceae)の多年生草で、その近縁種も含む。カルダモンとしては、種子の乾燥品、これらを適宜細かくした粉末等の形態で使用してもよいし、油脂又は有機溶媒による抽出物の形態で使用してもよい。抽出溶媒としては、アルコールやヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いることが好ましい。カルダモンの抽出物としては、市販のカルダモンオイル等を使用できる。
カルダモンは、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%含有するのがよい。カルダモンの抽出物である場合には0.001〜0.2重量%を含むのがよい。カルダモンを上記の範囲で含むことにより、カルダモンの香味が活かされた、スッキリとした爽やかな香りのレトルトカレーを得ることが出来る。
植物性たん白
植物性たん白は、大豆たん白、菜種たん白、落花生たん白等の油糧種子たん白、小麦たん白が挙げられ、大豆たん白が特に好ましい。植物性たん白は、乾燥品の粉末、あるいは懸濁液、植物性たん白、澱粉及び水を含む原料をエクストルーダーによる処理により組織化した組織化植物性たん白等の形態で使用すればよい。組織化植物性たん白としては、『植物性たん白の日本農林規格』(JAS)で定義された「粒状植物性たん白質」が挙げられる。組織化植物性たん白を使用することが望ましく、粒径が2〜15mm程度のものが好ましく、粒径が5mm程度のものが最も好ましい。植物性たん白は、増量や品質改良の目的で広く使用することができ、上記の組織化植物性たん白を使用すると、カレーに肉様乃至ミンチ肉様の食感を与え、粘性に厚みを付与することが可能となる。
植物性たん白は、乾燥物換算のたん白質含有率として0.1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%含むことができる。上記の範囲により、増量や品質改良の目的を果たし、組織化植物性たん白の場合は、カレーに肉様乃至ミンチ肉様の食感を与え、粘性に厚みをつけることが可能となる。
以上の原料の他、求めるレトルトカレーに応じて適宜の原料を用い得る。
粘性材
小麦粉、各種澱粉、食物繊維が挙げられる。特許文献1に記載の発明に準じて、アミロースを実質的に含まないアミロペクチン系澱粉及び微細食物繊維を含み、粘度1000〜6000mPa・s(25℃、B型粘度計で測定した値)のレトルトカレーを製造することができる。これにより、常温での保存中に離水、粘性低下が抑制され、温めずに冷蔵〜常温での喫食に適したレトルトカレーを得ることが可能となる。微細食物繊維は、玉葱ペースト、リンゴパルプ、ポテトペースト、トマトペースト、小麦ファイバー、ニンジンパルプ、生姜、ガーリック等微細な粒子、糸状物等である。なお、本発明には、特許文献1に記載された発明事項を含む。
粘性材は、求めるレトルトカレーに応じて適宜の量を用い得る。前記のアミロペクチン系澱粉及び微細食物繊維を含む場合には、乾燥物換算で前者を1〜4重量%、後者を1〜7重量%用いるとよい。
固形食品
固形食品としては、野菜、果実、豆類、きのこ類、肉類、魚介類、チーズが挙げられ、任意の組合せと量で含むことができる。
油脂
各種油脂を任意の量で用い得る。温めずに冷蔵〜常温での喫食に適したレトルトカレーを得る上で、融点25℃以下の油脂を1〜10重量%含むことができる。
その他の原料
青唐辛子、カルダモン以外のスパイス、増粘剤、調味料、塩類、糖類、乳原料、乳化剤、ソース、醤油、香料、水等を含むことができる。
レトルトカレーを製造する場合は、以上の原料を混合し、必要によりクッキング等の加熱処理を施し、レトルト殺菌処理を施して製造することができる。原料配合、製法等は、レトルトカレーが前記の構成と性能を達成し得るように適宜構成される。
本発明のレトルトカレーの使用形態について説明する。レトルトカレーをパウチごと熱湯で温めてから、温かいご飯、パン、麺類等に掛けて食することができる。また、温かいご飯、パン、麺類等に常温のまま掛けて用いることができる。レトルトカレーを常温のまま食する場合には、スパイスの香り立ちが弱くなる傾向があるが、レトルトカレーに青唐辛子を含有することにより、この問題を解消して、スッキリとして爽やかなスパイスの香味を発現することができる。したがって、本発明は特にこの用途において有用である。勿論、熱湯で温めて食するレトルトカレーにおいても、前記の香味を発現することができる。
実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限らず、種々の応用変形を含むことは勿論である。
実施例1
青唐辛子フレーバー0.01重量部、カルダモン抽出オイル0.002重量部、粒状大豆たん白質(粒径が5mm程度のもの)4重量部、ワキシコーンスターチ(アミロペクチン含有量100%)3重量部、ソテーオニオン10重量部、リンゴパルプ8重量部(ソテーオニオンとリンゴパルプにより乾燥物換算で約4部の微細食物繊維が含まれる)、ミンチ肉5重量部、パーム油(融点約10℃)2重量部、スパイス(青唐辛子、カルダモン以外)1重量部、食塩1重量部、砂糖2重量部及び水残量(以上計100重量部)を、加熱釜に入れて、約90℃で20分間加熱混合後、180gずつレトルトパウチに充填密封し、120℃で20分間レトルト殺菌処理してレトルトカレーを製造した。
前記のレトルトカレーを常温で保存し、炊飯した米飯約200gに常温のまま掛けて食したところ、スッキリとして爽やかなスパイスの香味が十分に醸し出された、滑らかな粘度と口どけを有する高品質のものであった。また、カレーがご飯の上に層状に上掛けされ、光沢とてり感があり、喫食の間を通じてこの状態が維持された。レトルトカレーを熱湯で温めてから同様に米飯に掛けて食した場合も、スッキリとして爽やかなスパイスの香味が発現された。
実施例2
青唐辛子フレーバーを使用せず、生の青唐辛子の磨砕物1.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、常温のまま掛けて食した場合、温めてから食した場合ともに、実施例1のレトルトカレーと同等の風味、物性を有していた。
実施例3
青唐辛子フレーバーを使用せず、青唐辛子粉末物0.15重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、常温のまま掛けて食した場合、温めてから食した場合ともに、実施例1のレトルトカレーと同等の風味、物性を有していた。
実施例4
カルダモン抽出オイルを使用しない以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、常温のまま掛けて食した場合、温めてから食した場合ともに、実施例1のレトルトカレーと同等の風味、物性を有していた。
比較例1
青唐辛子フレーバー及びカルダモン抽出オイルを使用しない以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、米飯に常温のまま掛けて食した場合に、大豆特有の不快な風味が感じられ、実施例1のレトルトカレーと比べて、明らかにスッキリとして爽やかなスパイスの香味が感じられなかった。温めてから食した場合も、実施例1のレトルトカレーとと比べて、上記の香味が感じられなかった。
比較例2
青唐辛子フレーバー及びカルダモン抽出オイルを使用せず、パプリカ粉末物0.2重量部、クミン抽出オイル0.05重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、米飯に常温のまま掛けて食した場合に、大豆特有の不快な風味が感じられ、実施例1のレトルトカレーと比べて、スッキリとして爽やかなスパイスの香味が弱く感じられた。温めてから食した場合も、実施例1のレトルトカレーとと比べて、上記の香味が弱く感じられた。
比較例3
青唐辛子フレーバー及びカルダモン抽出オイルを使用せず、赤唐辛子粉末物0.15重量部を使用した以外は、実施例1と同様にしてレトルトカレーを製造して喫食した。
得られたレトルトカレーは、米飯に常温のまま掛けて食した場合に、大豆特有の不快な風味が感じられ、実施例1のレトルトカレーと比べて、辛味が感じられ、スッキリとして爽やかなスパイスの香味が感じられなかった。温めてから食した場合も、実施例1のレトルトカレーとと比べて、上記の香味が感じられなかった。
本発明のレトルトカレーは、温かいご飯、パン、麺類等に常温のまま掛けて用いる用途に適用できる。

Claims (3)

  1. 青唐辛子を、生のものである場合は0.1〜5重量%、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、抽出物である場合には0.001〜0.3重量%の割合で含有し、カルダモンの抽出物を0.001〜0.2重量%の割合で含有し、かつ、粒状大豆たん白を0.1〜10重量%含有することを特徴とするレトルトカレー。
  2. 常温のまま食べるものである請求項1記載のレトルトカレー。
  3. 青唐辛子を、生のものである場合は0.1〜5重量%、乾燥物である場合は0.01〜0.5重量%、抽出物である場合には0.001〜0.3重量%の割合で含有し、カルダモンの抽出物を0.001〜0.2重量%の割合で含有し、かつ、粒状大豆たん白を0.1〜10重量%含有することを特徴とするレトルトカレーの大豆たん白の不快な風味を低減する方法。
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