JP5744995B2 - 燃料供給装置 - Google Patents
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Description
また、配管途中で凝縮した液体燃料を排出するための手段を設けた場合、気体燃料と液体燃料とを適切に分離することができなければ、液体燃料の排出時に気体燃料の一部が同時に排出される。すると、気体燃料の一部が有効に使用されずに消費されることとなる。
この出願に係る発明において気化燃料室で気化せずに残留した液体燃料については、上記の従来技術における問題と同様の問題が生じる。すなわち、液体燃料を気体燃料から適切に分離して排出することができなければ、吸気通路に供給される気化燃料の気化精度が低下するという問題が生じる。また、気化燃料室から液体燃料を排出する時に気化燃料の一部が同時に排出されると、生成した気体燃料の一部が有効に使用されずに消費されることとなる。この場合、気化燃料を生成するために、例えば燃料ポンプが液体燃料を汲み上げてサブインジェクタに供給するという仕事がなされている。この燃料ポンプ等の仕事によって生成された気化燃料の全体量に対する「燃焼室に供給されて有効に使用される気化燃料の量」の割合を「仕事効率」という。気化燃料の一部が有効に使用されずに消費されると、仕事効率が低下する。
気化燃料タンクは、液体燃料を気化させるための気化チャンバを内部に形成する。
気化チャンバ噴射弁は、気化チャンバに液体燃料を噴射する。
燃料ポンプは、気化燃料タンクの重力方向下側に設けられる燃料タンク内の燃料タンク室から液体燃料を汲み上げ、気化チャンバ噴射弁に供給する。
リターン通路部材は、気化チャンバ内に残留した液体燃料を重力で燃料タンク室に戻すためのリターン通路を形成する。
液体排出弁は、リターン通路を連通または遮断する。
弁開閉制御手段は、液体排出弁の開閉を制御する。
これにより、内圧検出手段の検出情報に基づいて、気化チャンバ内に残留した液体燃料を効率的に排出することができる。
これにより、内圧検出手段を設けることなく、気化チャンバ内に残留した液体燃料を簡易的に排出することができる。
請求項4に記載の発明によると、気化チャンバ噴射弁に供給される燃料は、燃料加熱手段によって加熱される。これにより、噴射される液体燃料の温度を上昇させ、気化チャンバでの気化燃料の生成を促進することができる。
なお、第1〜第5実施形態は、参考形態に相当する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料供給装置が適用される内燃機関システム99を図1に示す。内燃機関システム99は、4気筒の内燃機関10にガソリン等の燃料および空気を供給するシステムである。図1は、4気筒のうちの1つの気筒の断面を示している。
点火プラグ14は、ECU(電子制御装置)100からの指令により火花放電用の高電圧が印加されることにより、燃焼室19内に導入された燃料混合気に火花着火する。
シリンダブロック11の外側には、熱交換室51を有する熱交換部材50が設けられている。熱交換室51には熱交換液Hwが循環し、シリンダブロック11の高熱と熱交換液Hwの低熱とが熱交換される。熱交換液Hwは、例えばエンジン冷却水である。
燃料ポンプ33は、燃料タンク室31の液体燃料を、燃料通路部材320によって形成される燃料通路32を経由して汲み上げる。燃料ポンプ33の吐出側では、燃料通路は、燃料通路部材340によって形成される燃料通路34と、分岐通路部材350によって形成される分岐通路35とに分岐する。
分岐通路35は、燃料供給装置1を構成するサブインジェクタ38に連通する。
燃料供給装置1は、気化チャンバ41を形成する気化燃料タンク40、「気化チャンバ噴射弁」としてのサブインジェクタ38、燃料ポンプ33、リターン通路部材61、63、フロート弁装置70等を備えている。
気化燃料タンク40に隣接する熱交換室51の内壁52には、温度センサ53が設けられる。温度センサ53が検出した温度検出値は、ECU100に出力される。
また、加熱室57より燃料ポンプ33側の分岐通路35には逆止弁39が設けられている。逆止弁39は、加熱された液体燃料が燃料ポンプ33側に逆流することを防止する。
ここで、ECU100は、アクセル開度やエンジン回転数等の入力情報に基づいて、メインインジェクタ37およびサブインジェクタ38の燃料噴射やパージバルブ95の開閉等を制御する。なお、図1においてECU100に入出力される制御線は、煩雑になることを避けるため一部を省略した。
すなわち、上部リターン通路62、及び、浮き72上側の空間の内圧は気化チャンバ内圧Pchに等しく、浮き72下側の下部リターン通路64の内圧は燃料タンク室内圧Ptaに等しい。そして、気化チャンバ内圧Pchは、燃料タンク室内圧Ptaより大きい。そこで、下部リターン通路64の内径をDとすれば、浮き72の上下には、式(1)で計算される吸着力Fdが下向きに作用する。
Fd=πD2/4×(Pch−Pta)・・・式(1)
そのため、フロート弁装置70は、エッジ74を備えている。エッジ74は、燃料圧シリンダ73に一体に形成され、燃料圧シリンダ73の往復移動に伴って浮き72と弁座71dとの間にくさび状に進入する。
次に、第1実施形態の燃料供給装置1の作用について説明する。
内燃機関システム99において、燃焼室19への燃料供給は2つの系統で行なわれる。一方の系統では、燃料ポンプ33により燃料タンク室31から汲み上げられ高圧燃料ポンプ36により加圧された高圧燃料をメインインジェクタ37から燃焼室19へ噴射する。他方の系統では、燃料供給装置1で生成された気化燃料を、気化燃料通路93を経由して吸気通路29に導入し、吸気と共に燃焼室19へ供給する。燃料供給装置1は、燃料ポンプ33により燃料タンク室31から汲み上げられた液体燃料をサブインジェクタ38から気化チャンバ41へ噴射し、気化チャンバ内41で燃料を気化させて貯留する。
上記の構成により、第1実施形態の燃料供給装置1は、以下の効果を奏する。
(1)液面検出手段および液体排出弁としてのフロート弁装置70において、弁体としての浮き72は、気化チャンバ41から流入する液体燃料によりフロート室71aの液面高さが切替高さL0より高くなると開弁する。これにより、気化チャンバ41内に残留した液体燃料を適切に分離して、フロート弁装置70の排出口71cから下部リターン通路64を経由して燃料タンク室31に排出することができる。したがって、気化チャンバ41内の気化燃料中に含まれる液体成分を低減することができ、気化チャンバから吸気通路29に供給される気化燃料の気化精度を向上することがきる。
続いて、本発明の第2〜第5実施形態を図3〜図7に基づいて説明する。
図3に示すように、第2〜第5実施形態の燃料供給装置2〜5は、第1実施形態の燃料供給装置1におけるフロート弁装置70に代えて独立した液面検出手段80、及び、「液体排出弁」としてのリリーフ弁69を備えており、さらに、「弁開閉制御手段」としてのECU100を備えている。
第2〜第5実施形態は、それぞれ液面検出手段80の形態が異なる。
図4に示すように、第2実施形態の液面検出手段802は、同一仕様の2組のヒータ771、772、熱電対781、782および熱起電力計791、792から構成される。
熱電対781、782は、例えばK熱電対である。第1熱電対781の測温接点の高さは第一高さL1に設定され、第2熱電対782の測温接点の高さは第一高さL1より低位置の第二高さL2に設定される。ヒータ771、772は、例えば棒状カートリッジヒータまたはシースヒータである。第1ヒータ771は、第1熱電対781の測温接点の近くに設けられ、第2ヒータ772は、第2熱電対782の測温接点の近くに設けられる。第1ヒータ771と第1熱電対781の測温接点との距離は、第2ヒータ772と第2熱電対782の測温接点との距離とほぼ等しい。第1熱起電力計791および第2熱起電力計792は、それぞれ、第1熱電対781および第2熱電対782の熱起電力から測温接点の温度を検出する。
図5に示すように、第3実施形態の液面検出手段803は、同一仕様の2組の光源811、812および光量センサ821、822から構成される。また、リターン通路部材67は、光透過部材で形成される。
光源811、812は、例えばLEDである。第1光源811と第1光量センサ821とは、リターン通路66を挟んで互いに反対側であって、第一高さL1に設けられる。第2光源812および第2光量センサ822は、リターン通路66を挟んで互いに反対側であって、第一高さL1よりも低位置の第二高さL2に設けられる。
第1光源811および第2光源812が発射した光は、リターン通路66の軸線に垂直に入射し、光の一部が反対側へ透過する。第1光量センサ821および第2光量センサ822は、透過光の光量を検出する。
図6に示すように、第4実施形態の液面検出手段804は、同一仕様の2組の光源811、812、光量センサ821、822、反射鏡831、832および光ファイバ841、842から構成される。
光ファイバ841、842は、燃料タンク室31側からリターン通路66に挿入される。第1光ファイバ841の先端部は、第一高さL1に設定され、第2光ファイバ842の先端部は、第一高さL1よりも低位置の第二高さL2に設定される。
第1光源811および第2光源812が発射した光は、反射鏡831、832で反射され、第1光ファイバ841および第2光ファイバ842の芯部(コア)を伝搬する。
図7に示すように、第5実施形態の液面検出手段805は、2つの電極861、862、交流電圧源87、抵抗値がRである抵抗88、及び、3つの電圧計891、892、893から構成される。
電極861、862は、例えば銅板である。電極861、862は、リターン通路66中で一定の距離を隔てて略平行に設置されている。交流電圧源87は、電極861、862間に交流電圧を印加する。
Cp=Vv/(4πf・R・Vc2)・・・式(2)
Vv={(−Vo+Vc+Vr)(Vo−Vc+Vr)(Vo+Vc−Vr)
(Vo+Vc+Vr)}1/2・・・式(3)
以上の第2〜第5実施形態では、液体と気体の物性差を利用した様々な液面検出手段による検出情報に基づいて、気化チャンバ41内に残留した液体燃料を効率的に排出することができる。
次に、本発明の第6実施形態を図8、図9に基づいて説明する。
第6実施形態の燃料供給装置6は、第2〜5実施形態の燃料供給装置2〜5の液面検出手段802〜805に代えて「内圧検出手段」としての圧力センサ90を備えている。圧力センサ90は、気化燃料タンク40に設けられ、気化チャンバ41の内圧を検出して、ECU100に出力する。また、第6実施形態の燃料供給装置6は、第2〜第5実施形態の燃料供給装置2〜5と同様、リターン通路66にリリーフ弁69が設けられる。
このとき、液体の管路粘性抵抗により、液体燃料の排出開始から排出完了までにいくらかの時間を要する。液体燃料の排出中、気化チャンバ41内に液体燃料が残留する間は、液体燃料の蒸気圧によって、気化チャンバ内圧Pchはほぼ一定値に保持される。
時刻t2で気化チャンバ内圧Pchが下限閾値Pvc未満となると、圧力センサ90からの検出信号に基づき、ECU100は、液体の排出が完了したとみなしてリリーフ弁69を閉弁する。
次に、本発明の第7実施形態を図10に基づいて説明する。
図10に示すように、第7実施形態の燃料供給装置7は、圧力センサを備えていない点以外は第6実施形態と同様である。ECU100は、サブインジェクタ38の燃料噴射が終了すると同時にリリーフ弁69を開弁し、液体燃料がリターン通路66に排出される。ここで、燃料噴射が終了してから液体燃料排出完了までの時間を多数回測定し、データ分布から、液体排出が高い確率で完了する有効排出時間を求める。例えば排出時間の平均値に標準偏差の3倍を加えた値を有効排出時間とすれば、有効排出時間内に99.7%の確率で液体排出が完了することとなる。そこで、燃料噴射終了から有効排出時間後にリリーフ弁69を閉弁することで、気化チャンバ41内に残留する液体燃料をほぼ確実に排出することができる。
(ア)第1実施形態では、燃料圧シリンダ73は、サブインジェクタ38の燃料噴射圧によって駆動される。しかし、燃料噴射圧以外の燃料圧、または作動油等の油圧によってシリンダを駆動し、離脱手段としてのエッジを作動させてもよい。あるいは、ソレノイド等の電磁駆動力による駆動手段を用いてもよい。この場合、ECUによる制御が容易となる。
例えば、第二高さよりも少し高位置の第三高さにおける気液状態を判定し、第三高さにおいて流体が気体であると判定したとき液体排出弁の弁開度を絞り、排出速度を遅くするという制御をしてもよい。これにより、第一高さから第三高さまでは排出速度を速くして液体燃料を効率的に排出することができる。また、第三高さから第二高さまでは排出速度を遅くすることで、閉弁タイミングの遅れによる気体燃料の排出を防止することができ、液体燃料と気体燃料との分離精度をより高めることができる。
10 ・・・内燃機関、
11 ・・・シリンダブロック、
29 ・・・吸気通路、
30 ・・・燃料タンク、
31 ・・・燃料タンク室、
32、34・・・燃料通路、
33 ・・・燃料ポンプ、
35 ・・・分岐通路、
36 ・・・高圧燃料ポンプ、
37 ・・・メインインジェクタ、
38 ・・・サブインジェクタ(気化チャンバ噴射弁)、
40 ・・・気化燃料タンク、
41 ・・・気化チャンバ、
50 ・・・熱交換部材(気化燃料タンク加熱手段)、
65、67・・・リターン通路部材、
66 ・・・リターン通路、
69 ・・・リリーフ弁(液体排出弁)、
80、802、803、804、805・・・液面検出手段、
90 ・・・圧力センサ(内圧検出手段)、
93 ・・・気化燃料通路、
99 ・・・内燃機関システム、
100 ・・・ECU(弁開閉制御手段)、
Hw ・・・熱交換液(燃料加熱手段)、
L1 ・・・第一高さ、
L2 ・・・第二高さ、
Lq ・・・液体、液体燃料、
Vp ・・・気体、気化燃料、
Pch ・・・気化チャンバ内圧、
Pta ・・・燃料タンク室内圧、
Pvo ・・・上限閾値、
Pvc ・・・下限閾値。
Claims (4)
- 内燃機関(10)の吸気通路(29)へ気化燃料を供給する燃料供給装置(6)であって、
液体燃料を気化させるための気化チャンバ(41)を内部に形成する気化燃料タンク(40)と、
前記気化チャンバに液体燃料を噴射する気化チャンバ噴射弁(38)と、
前記気化燃料タンクの重力方向下側に設けられる燃料タンク(30)内の燃料タンク室(31)から液体燃料を汲み上げ、前記気化チャンバ噴射弁に供給する燃料ポンプ(33)と、
前記気化チャンバ内に残留した液体燃料を重力で前記燃料タンク室に戻すためのリターン通路(66)を形成するリターン通路部材(65)と、
前記気化チャンバの内圧を検出する内圧検出手段(90)と、
前記リターン通路を連通または遮断する液体排出弁(69)と、
前記液体排出弁の開閉を制御する弁開閉制御手段(100)と、
を備え、
前記弁開閉制御手段は、
前記内圧検出手段が検出する内圧検出値が所定の上限閾値を超えたとき、前記液体排出弁を開弁し、
前記内圧検出手段が検出する内圧検出値が所定の下限閾値未満となったとき、前記液体排出弁を閉弁することを特徴とする燃料供給装置。 - 内燃機関(10)の吸気通路(29)へ気化燃料を供給する燃料供給装置(7)であって、
液体燃料を気化させるための気化チャンバ(41)を内部に形成する気化燃料タンク(40)と、
前記気化チャンバに液体燃料を噴射する気化チャンバ噴射弁(38)と、
前記気化燃料タンクの重力方向下側に設けられる燃料タンク(30)内の燃料タンク室(31)から液体燃料を汲み上げ、前記気化チャンバ噴射弁に供給する燃料ポンプ(33)と、
前記気化チャンバ内に残留した液体燃料を重力で前記燃料タンク室に戻すためのリターン通路(66)を形成するリターン通路部材(65)と、
前記リターン通路を連通または遮断する液体排出弁(69)と、
前記液体排出弁の開閉を制御する弁開閉制御手段(100)と、
を備え、
前記弁開閉制御手段は、
前記気化チャンバ噴射弁が前記気化チャンバに燃料を噴射後、所定の期間前記液体排出弁を開弁し、当該所定の期間経過後前記液体排出弁を閉弁することを特徴とする燃料供給装置。 - 前記気化燃料タンクは、気化燃料タンク加熱手段(50)によって加熱されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給装置。
- 前記気化チャンバ噴射弁に供給される燃料は、燃料加熱手段(Hw)によって加熱されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
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