JP2006183469A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、その先端へのデポジット付着を抑制するとともに、付着したデポジットを除去可能な燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】 気筒内に燃焼室106と、燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射弁2と、点火する点火装置105とを有し、点火装置105の点火により空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に着火する内燃機関100に用いられ、
前記燃料噴射弁2を備え、その先端部側に設けられた噴射部から燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
先端部20、83に付着しているデポジットを検出する検出手段2cと、デポジットを先端部側からとばすデポジット除去手段105と、検出手段により先端部に付着したデポジットを検出し、所定以上となった場合に、デポジット除去手段によりデポジットをとばす制御手段200とを備えている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料噴射装置に関し、例えば内燃機関の燃料噴射装置において、燃料を噴射する燃料噴射弁の噴孔部等先端に付着するデポジットを抑制する装置に適用して好適なものである。
燃料噴射装置としては、例えば内燃機関の燃焼室に直接あるいは間接的に燃料を噴射供給するものが知られている。噴射供給された燃料は、吸気管あるいは燃焼室において空気と混合され、燃焼室内に可燃混合気を形成する。燃焼室内の可燃混合気はピストン運動により圧縮された後、点火装置により着火燃焼し、内燃機関の動力として利用されている。この種の燃料噴射装置は、燃料を噴射する噴孔などの噴孔部と、燃料噴射を停止および供給する弁部とを有する燃料噴射弁がある(特許文献1参照)。
噴孔部などに残留する未燃燃料が燃焼以外の化学反応を起こしたり、燃料中の不純物が析出することによりデポジット(炭素系の化合物)を生じることがある。デポジットが噴孔部の内部あるいはその周辺部に付着すると、燃料噴射量が低下もしくは変動する場合がある。その結果、初期の噴射特性を維持することが難しくなり、内燃機関の性能を左右する噴射燃料と空気との混合比が変化するため、デポジット生成および付着を防止することが重要となっている。特に燃焼室に直接噴射を行なう燃料噴射装置においては、噴孔部の内部あるいはその周辺部が火炎および未燃燃料を含む燃焼ガスにより被曝するので、その影響が顕著である。
特許文献1の開示する技術では、内燃機関の気筒に搭載され、エンジンヘッド内の燃料噴射弁取付用孔に取付けられる燃料噴射弁と、その燃料噴射弁取付用孔とのシール面に高熱伝導率の部材を設けている。この技術では燃料噴射弁先端の熱を、高熱伝導率の部材を介して逃がし、先端温度を低下させてデポジットの生成量低減を実現しようとしている。
特開2000−337227号公報
しかしながら、特許文献1による従来技術では、デポジットの生成を抑制する効果はあるが、付着したデポジットを完全に消失させることはできす、内燃機関を長期間運転した際には、その運転過程で少量ながらもデポジットが堆積するおそれがある。デポジットが堆積すると、噴孔部の流量低下等、燃料噴射特性の性能が損なわれるという問題が発生する可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制するとともに、付着したデポジットを除去可能な燃料噴射装置を提供することにある。
また、別の目的は、内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制し、かつ付着したデポジットを除去可能であるとともに、デポジット付着による燃料噴射特性への影響回避が図れる燃料噴射装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を備える。
即ち、請求項1乃至10記載の発明では、気筒内に燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射弁と、点火する点火装置とを有し、点火装置の点火により空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に着火する内燃機関に用いられ、
前記燃料噴射弁を備え、その先端部側に設けられた噴射部から燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段と、デポジットを先端部側からとばすデポジット除去手段と、検出手段により先端部に付着したデポジットを検出し、所定以上となった場合に、デポジット除去手段によりデポジットをとばす制御手段とを備えていることを特徴としている。
これによると、燃料噴射弁の先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段と、デポジットを先端部側からとばすデポジット除去手段と、これらを制御する制御手段とを備え、制御手段は、先端部に付着したデポジットを検出し、所定以上となった場合にデポジットをとばすように構成されている。これにより、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制するとともに、付着したデポジットの除去が可能である。
なお、デポジットをとばすとは、デポジットを先端部側から、物理力により引き離す方法、あるいは化学的に消失させる方法など、デポジットを先端部からなくすように作用するものであればいずれでもよい。
また、請求項2に記載の発明では、検出手段は、先端部の抵抗値に基づいてデポジットを検出することを特徴としている。
これによると、先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段としては、先端部の抵抗値に基づいてデポジットを検出するので、導電性を有するデポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の抵抗値の変化に基づいて行なうことができる。さらに、デポジットの付着により変化した抵抗値の大きさに基づいてデポジット量を推定できる。
また、請求項3に記載の発明では、先端部に絶縁層を設け、検出手段は、絶縁層の抵抗値に基づいてデポジットを検出することを特徴としている。
これによると、先端部に絶縁層を設け、検出手段により絶縁層の抵抗値に基づいてデポジットを検出することが好ましい。これにより、デポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の抵抗値が無限大の値を示しているか否かで容易に判定することができる。また、絶縁層および付着したデポジットの抵抗値に基づいて絶縁層の表面に付着したデポジット量を計測することができる。
また、請求項4に記載の発明では、噴射部は、複数の噴孔を有する薄板状の噴孔プレートから構成され、噴孔プレートが絶縁性材料で形成されていることを特徴としている。
これによると、噴射部は、複数の噴孔を有する薄板状の噴孔プレートから構成されている場合において、噴孔プレートを絶縁性材料で形成するように構成することが好ましい。これにより、噴孔プレートの噴孔周縁に付着するデポジットのみならず、噴孔の内部に付着するデポジットを計測することができる。
また、請求項5に記載の発明では、検出手段は、先端部の温度に基づいてデポジットを検出することを特徴とすることを特徴としている。
これによると、先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段としては、先端部の温度に基づいてデポジットを検出するので、デポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の温度に基づいて例えばデポジットの付着し易い温度との比較判定により行なうことができる。
デポジットの付着し易い温度とは、例えばデポジットが先端部の被付着部材に急激に付着する温度であり、デポジットが消失する温度よりは低い温度である。
また、請求項6に記載の発明では、デポジット除去手段は、点火装置の点火時期を進角させることによりデポジットをとばすことを特徴としている。
これによると、デポジットを先端部側からとばす、つまりなくすようにするデポジット除去手段としては、点火装置の点火時期を進角させるので、例えば燃焼温度を増大させ、先端温度をデポジットが消失する温度まで増大等することができる。これにより、点火時期を進角させて例えば化学反応等によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
また、請求項7に記載の発明では、デポジット除去手段は、燃料噴射弁に供給する燃料の燃圧を増加させることによりデポジットをとばすことを特徴としている。
これによると、デポジットを先端部側からなくすようにするデポジット除去手段としては、燃料噴射弁に供給する燃料の燃圧を増加させるので、例えば先端部の噴孔等の噴射部において、噴射部内から噴射する燃料の燃圧による流体力を増大することができる。これにより、燃料噴射弁に供給する燃料の燃圧を増加させて例えば噴孔等の噴射部内から噴射する燃料の流体力を増大させることによりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
また、請求項8に記載の発明では、燃料噴射弁に燃料を加圧して供給するポンプを有しており、デポジット除去手段は、ポンプの吐出量を増加させることによりデポジットをとばすことを特徴としている。
一般に、内燃機関の燃焼室に直接燃料を噴射供給する燃料噴射装置では、吸入行程もしくは圧縮行程中の燃焼室への燃料噴射が、噴霧形状などの燃料噴射特性に影響ない程度に行なえるように、加圧した燃料を燃料噴射弁に供給するためのポンプを有している。
これに対して、請求項8に記載の発明では、上記ポンプを有するものである場合には、ポンプの吐出量を増加させることで、容易に燃料噴射弁に供給する燃料の燃圧を増加させられる。
また、請求項9に記載の発明では、内燃機関は、燃焼室へ空気を流入および流入停止する吸気弁を有しており、デポジット除去手段は、吸気弁を早く閉じることによりデポジットをとばすことを特徴としている。
これによると、デポジットを先端部側からなくすようにするデポジット除去手段としては、燃焼室へ空気を流入および流入停止する吸気弁を早く閉じるように構成するので、燃焼室内のいわゆる筒内圧力をさせて、燃焼温度を増大させることができる。これにより、吸気弁を早く閉じさせて例えば化学反応等によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
また、請求項10に記載の発明では、デポジット除去手段は、先端部を加熱することによりデポジットをとばすことを特徴としている。
これによると、デポジットを先端部側からなくすようにするデポジット除去手段としては、先端部を加熱するので、先端温度をデポジットが消失する温度まで増大することができる。これにより、先端部を加熱して化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
以下、本発明の内燃機関の燃料噴射装置を、ガソリンエンジンに燃料を噴射供給するものに適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図2は、図1中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図3は、本実施形態に係わる先端部の抵抗値と、デポジットの付着量との関係を説明する模式的グラフである。図4は、本実施形態に係わるデポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。なお、図22は、本発明の燃料噴射装置を搭載する内燃機関の一実施例の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、燃料噴射装置は、燃料噴射弁2と、燃料噴射弁を制御する制御手段としての制御装置(以下、ECUと呼ぶ)200とを含んで構成されている。なお、ECU200は、周知構成のマイクロコンピュータであり、バッテリ等の電源を用いて、燃料噴射弁2のターミナル65への通電開始および通電停止を実行することで、燃料噴射弁2への通電期間を制御する。
図22に示すように、燃料噴射弁2は、内燃機関、特にガソリンエンジンに用いられる。燃料噴射弁2は、例えば多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジン(以下、エンジンと呼ぶ)の吸気管または各気筒に取付けられて、気筒内の燃焼室106に燃料を噴射供給する。なお、図22に示すように、エンジン100は、シリンダブロック101と、シリンダヘッド102と、ピストン104と、シリンダブロック(以下、シリンダと呼ぶ)101の内周壁、ピストン104およびシリンダヘッド102の天井内壁とで区画される燃焼室106と、可燃混合気もしくは燃料等に着火する点火装置105とを備える周知の内燃機関である。なお、ピストン104のシリンダ101内周壁内における往復運動はコンロッド(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)の連続回転運動に変換される。燃焼室106は、ピストン104の往復移動により容積が増減する。なお、ここで、図22では、図面作図上、4気筒のうちの1気筒のみを示している。点火装置105は、点火プラグ等を有する周知構造の点火のための装置である。点火装置105は、点火することで、燃焼室106内に形成される空気と燃料が混合した可燃混合気もしくは燃料に着火する。
また、シリンダヘッド102は、図22に示すように、吸入空気が流れる通路を形成する吸気管(図示せず)に接続し、吸入吸気が導かれる吸気ポートと、燃焼ガス等が流れる通路を形成する排気管(図示せず)に接続し、排気を排出する排気ポートとを備えている。図22に示すように、吸気弁(以下、吸気バルブと呼ぶ)107は、吸気ポートの内壁に着座、および離座することで、吸気ポートに導かれた吸入空気または燃料と空気が混合した可燃混合気の燃焼室106への流れを遮断および許容する。
なお、以下、本実施形態では、図22に示すように燃料噴射弁2は各気筒に設けられているものとする。燃料噴射弁2には、燃料ポンプ3により加圧された燃料が、燃料分配管8を介して供給される。燃料分配管8には、一般に、図示しない燃料タンク内の燃料を燃料ポンプ3により吸い上げ吐出し、その吐出された燃料が導かれている。なお、吐出される燃料は、プレーシャレギュレータ等の調圧装置4によって所定の圧力に調圧されて、燃料分配管8へ送られる。なお、エンジンが直噴エンジンの場合には、エンジン100の燃焼室106へ供給する燃料の圧力が約2Mpa以上とするため、燃料ポンプ3によって燃料タンクから吸上げられた低圧(例えば0.2Mpa)の燃料を、高圧ポンプ5で加圧し、この加圧された所定の燃料(例えば、2〜13Mpaの範囲の所定の燃料)が、燃料分配管8を介して燃料噴射弁2に供給されている。燃料ポンプ3から吐出される燃料、高圧ポンプ5から燃料分配管へ供給された燃料は、プレーシャレギュレータ等の調圧装置4、9によって所定の圧力に調圧されている。なお、以下、本実施例で説明するエンジン100は、ガソリン直噴エンジンとする。なお、ここで、高圧ポンプ5は、請求範囲に記載のポンプを構成している。
燃料噴射弁2は、図1に示すように、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、内部の燃料通路を経由して他端から燃料を噴射する。燃料噴射弁2は、燃料の噴射を遮断および許容する弁部2aと、弁部2aを駆動する電磁駆動部2bと、デポジットを検出するデポジット検出部2cとを備えており、一端から燃料通路内に流入した燃料を弁部2aからエンジン100の気筒に噴射供給する。
弁部2aは、図1に示すように、弁ボディ12と、弁部材としてのニードル30とを含んで構成されている。弁ボディ12の内周には、上記内部燃料通路内を流れる燃料が導かれている。弁ボディ12は燃料流れ方向の噴孔21側に向けて縮径する内周面としての円錐面13を有している。円錐面13には、ニードル30が離座および着座可能である。ニードル30は略軸状に形成され、弁ボディ12内を軸方向に往復移動可能である。なお、ここで、円錐面13は、ニードル30が離座および着座可能な弁座14を構成する。具体的には、弁座14には、ニードル30の当接部31が離座および着座する。なお、ここで、弁座14と当接部31は、弁部が燃料の噴射を停止するための油密機能の働きをするシート部を構成している。
弁座14の中央側には、弁座14の燃料流れの下流側に向かって、内部燃料通路と連通可能な噴孔21が配置されている。詳しくは、弁ボディ12の先端側に略薄板状部材としての噴孔プレート20が配置されている。噴孔プレート20は、図2に示すように、有底筒状に形成されており、弁ハウジング16の底部の内壁と弁ボディ12の底部の内壁との間に挟持されている。
噴孔プレート20は、例えば薄い金属板状の薄板状体で形成され、複数(本実施例では、図2に作図の便宜上2個)の噴孔21が配置されている。この噴孔21は、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔軸線の方向、噴孔配列等が決定される。また、噴孔の開口面積は、開弁時の流量を規定する。したがって、燃料噴射弁2の燃料噴射量は、噴孔21の開口面積、ニードル30のリフト量と、開弁期間とによって調量されている。ニードル30が弁座14に着座すると噴孔21からの燃料噴射が停止され、ニードル30が弁座14から離座すると噴孔21から燃料が噴射される。
なお、弁ボディ12は、弁ハウジング16の燃料噴射側端部の内壁に溶接等により固定されている。弁ボディ12は段付きの略有底円筒状に形成され、弁ハウジング16の下端部の内周側に挿入されている。
電磁駆動部2bは、図1に示すように、筒部材40、可動コア50、固定コア54、およびコイル60とを有する。
筒部材40は、弁ボディ12(詳しくは弁ハウジング16)の反噴孔側の内周壁に挿入され、溶接により弁ボディ12に固定されている。筒部材40は、噴孔21側から第1磁性筒部42、非磁性筒部44、および第2磁性筒部46により構成されている。非磁性筒部44は第1磁性筒部42と第2磁性筒部46との磁気的短絡を防止する。この磁気的短絡防止により、コイル60の通電により発生する電磁力による磁束を、可動コア50、固定コア54、および緩衝コア52に効率的に流れるようにしている。
可動コア50は磁性材料で段付きの略円筒状体に形成されており、ニードル30の反噴孔側の端部と溶接等により固定されている。可動コア50はニードル30とともに往復移動する。可動コア50の筒壁を貫通する流出孔52は、可動コア50の筒内外を連通する燃料通路を形成している。
固定コア54は磁性材料で略円筒状に形成されている。固定コア54は筒部材40内に挿入されており、筒部材40と溶接により固定されている。固定コア54は可動コア50に対し反噴孔側に設置され、可動コア50に向きあっている。アジャスティングパイプ56は固定コア54の内周に圧入され、内部に燃料通路を形成している。付勢部材としてのスプリング58は一端部でアジャスティングパイプ56に係止され、他端部で可動コア50に係止されている。アジャスティングパイプ56の圧入量を調整することにより、可動コア50に付勢するスプリング58の荷重が変更される。スプリング58の付勢力により可動コア50およびニードル30は弁座14に向けて付勢されている。言い換えると、スプリング58は可動コア50をニードル30の着座方向に付勢する付勢手段を構成する。
コイル60はスプール62に巻回されている。ターミナル65はコネクタ64にインサート成形されており、コイル60と電気的に接続している。コイル60に通電すると、可動コア50と固定コア54との間に磁気吸引力が働き、圧縮スプリング58の付勢力に抗して可動コア50は固定コア54側に吸引される。
なお、ここで、弁ボディ12とニードル30とは燃料の噴射を遮断および許容する弁部2aを構成する。弁部2aのうち、弁座14と当接部31はシート部を構成する。噴孔プレート20(詳しくは、噴孔21)は燃料を微粒化し、噴霧を形成する燃料噴霧形成手段を構成する。噴孔21は、請求範囲に記載の燃料を噴射する噴射部を構成する。噴孔プレート20および弁部2aは、請求範囲に記載の燃料噴射弁2の先端部を構成している。特に、噴孔プレート20は、噴射部を構成する噴孔21を有しており、デポジットが付着すると燃料噴射特性に影響を受ける噴射部および噴射部周縁を構成している。
また、コイル60と可動コア50と固定コア54と筒部材40とスプリング58とは弁部2aを駆動する電磁駆動部2bを構成する。上述の構成を有する燃料噴射弁2は、ターミナル65からコイルに供給する電流を制御することでニードル30のリフトを制御し、内部燃料通路に流入した燃料を弁部2aからエンジン100の燃焼室106に噴射する。燃料噴射弁2はニードル30を着座方向に付勢するスプリング58を有しており、コイル60への電流供給が停止されると、コイルへ60の電流供給の停止時には、弁部2aが閉弁して噴射を終了する。
デポジット検出部2cは、図1および図2に示すように、抵抗計測器80と、上記先端部に絶縁層を形成する絶縁体部83と、抵抗計測器80と絶縁体部83を接続する導体配線としての導線82とを備えている。抵抗計測器80は、被計測物の抵抗値を検出可能な周知構造の抵抗値を計測する計測器である。なお、抵抗計測器80は、図1および図2に示すようにECU200内の一機能として構成されるように構成してもよい。なお、本実施形態では、ECU200に絶縁体部83の抵抗値を計測する計測機能を有するものとして説明する。
また、図2に示すように、導線82のうち、絶縁体部83に接続する側の少なくとも弁ハウジング16などの導電性部材の外周に配置される部分は、シリコン等の絶縁性部材84により被覆されている。
絶縁体部83はセラミック等の非導電性の絶縁材料で形成する。図2に示すように、絶縁体部83は、先端部としての噴孔プレート20と雰囲気との間に絶縁層を形成するように、噴孔プレート20の下面の表面に沿って延在している。また、絶縁体部83は、噴孔プレート20に設けられた噴孔21に対向する部位に、噴射燃料が流通可能な出口側噴孔83aが設けられており、出口側噴孔83aは、噴孔21から噴射される燃料の燃料噴射特性を損なわない程度の形状等に形成されている。
なお、ここで、絶縁体83は、先端部つまり噴孔プレートの表面側に形成された絶縁層を構成している。
ECU200は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート、出力ポートを相互に双方向性バスで接続した周知のマイクロコンピュータとして構成されている。このECU200は、バッテリ等の電源を用いて、燃料噴射弁2のターミナル65への通電開始および通電停止を実行することで、燃料噴射弁2への通電期間を制御する。エンジン100の回転速度、吸気管圧力(または吸入空気量)、冷却水温等のエンジン100の運転状態を検出する図示しない各種センサの信号を読み込み、エンジン用の各種プログラム(図示せず)に従って、燃料噴射弁2の電磁駆動部2bの動作を制御する。なお、詳しくは、クランクシャフトの回転状態に応じて720°CA毎にパルス信号を出力する基準位置センサと、より細かなクランク角毎(例えば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転角センサとが設けられている。エンジン100の図示しないシリンダ(ウォータジャケット)などには、冷却水温を検出するための水温センサが配設されている。吸気管には、吸入空気流量を検出するエアフローメータなどが配設されている。排気管には、排ガス中の酸素濃等に比例し、空燃比信号を出力する空燃比センサなどが設けられている。また、運転者の要求等を検出するためのアクセルペダルセンサ、スロットル開度センサ等が設けられている。
なお、エンジン100は、駆動弁装置を構成する吸気バルブ107の開閉タイミングをエンジン100の運転状態に応じて変更するバルブタイミング調整装置(以下、吸気VVT装置と呼ぶ)210を有するように構成されていてもよい。ECU200は、各種センサから検出したエンジン100の運転状態に応じて吸気VVT装置210を駆動制御して吸気バルブ107の開閉タイミングを制御し、例えば吸気バルブ107を早めに閉じたり遅く閉じたりすることが可能である。
ECU200は、絶縁体部83の抵抗値を検出することで、絶縁層83を有する噴孔プレートつまり上記先端部の抵抗値を計測する。ECU200は、検出した抵抗値に基づいて、先端部(詳しくは、絶縁体部83付き噴孔プレート20)に付着しているデポジット量を計測する。詳しくは、図3に示すように、横軸を経過時間とすると、デポジットが付着していない状態では、絶縁体部83の抵抗値は無限大の値を示す。そして、エンジン100の長時間運転等により、先端部つまり絶縁体部83にデポジットが付着すると、導電性を有するデポジットにより抵抗値が低下する。そして、図3に示すように、一旦付着すると、付着したデポジットの上にさらに付着してデポジットが堆積していくので、その抵抗値の変化から絶縁体部83に付着したデポジット量を計測することが可能となる。
なお、ここで、ECU200は、噴孔21周縁に付着するデポジットが所定量以上であるか否かを判断する機能を有する。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図4に従って説明する。図4に示すように、S1101(Sはステップ)では、絶縁体部83の抵抗値Rの計測いわゆるモニタを開始する。S1102では、抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値R以上であれば、エンジン100の長時間運転等により抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さくなるまでS1101の制御処理を繰返す。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいならば、デポジットが所定以上付着していると判断し、S1103へ移行する。なお、ここで、所定の抵抗値Rは、上記先端部に付着するデポジット量が所定値である(図3参照)ことを示す閾値を構成する。
S1103では、点火装置105の点火時期を進角させる。これにより、点火時期を進角させて燃焼温度を増大させることが可能である。点火時期を進角させて燃焼温度を増大させることで、上記先端部の温度をデポジットが消失する温度T2(例えば、本実施例では600℃以上)に増大させることが可能である。なお、点火時期を進角させて燃焼温度を増大させることで、上記先端部(詳しくは絶縁体部83付き噴孔プレート20)の温度をデポジットが消失する温度T2にする方法に限らず、点火時期を進角させて一時的にノックを発生させることで、振動によってデポジットを上記先端部側からなくすようにする方法であってもよい。
なお、以下本実施形態では、点火時期を進角させることで上記先端部の温度を温度T2に増大させるものとする。なお、S1103では、例えば所定の位相分だけ、点火時期を進角させるものとする。
S1105では、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になったか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さい状態ならば、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超えるまで、S1103を繰返す。この場合、S1103の処理を実行する度に、点火時期の進角を所定の位相分ずつ増加していく。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になっていれば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1106へ移行する。
S1106では、点火時期を、デポジット除去のため進角させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適な点火時期に戻す。詳しくはECU200は、ECU200で最適な点火時期を記憶する点火時期マップのデータ値に戻すようにする。
なお、ここで、絶縁体部83の抵抗値に基づいて所定の抵抗値の大きさとの比較判定する制御処理(詳しくは、S1102)は、燃料噴射弁2の先端部に付着しているデポジットを検出するデポジット検出手段を構成する。また、ECU200にて点火装置105の点火時期を進角させる制御処理(詳しくは、S1103)は、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段を構成する。
次に、上述した構成を有する本実施形態の燃料噴射装置の作動を説明する。車両のエンジンキーをIG位置にして、図示しないイグニッションスイッチがオン(ON)する等することで、燃料ポンプ3が駆動され、燃料タンク内に燃料が燃料ポンプ3により吸い上げられる。吸い上げられた燃料は、プレッシャレギュレータ4により調圧され、低圧燃料が高圧ポンプ5へ供給される。高圧ポンプ5によって所定の燃料に加圧され、加圧された燃料が燃料分配管8へ供給される。燃料分配管8へ供給された燃料は、プレッシャレギュレータ9により所定の高圧燃料に調圧されて、燃料分配管8内の各分配口から燃料噴射弁2へ供給される。
燃料噴射弁2の燃料噴射時には、燃料噴射弁2のコイル60に電流が供給され、ニードル30が弁座14から離座しリフトを開始すると、弁部2aは開弁され燃料の噴射を開始する。燃料は、噴孔21から噴射され噴霧化されてエンジン100の燃焼室106等へ供給される。一方、燃料噴射停止時には、コイル60への電流供給が停止され、スプリング58によりニードル30のリフトが減少する。そして、ニードル30が弁座14に着座すると、噴射が終了する。コイル60への通電期間を調節することにより、燃料噴射弁2から噴射される燃料(燃料噴霧)の噴射期間つまり燃料噴射量が調節される。
さらに本実施形態では、エンジン100が長期間運転される等で、燃料噴射弁2の先端部にデポジットが付着する場合があったとしても、デポジット検出部2cによりデポジットを検出し、所定値以上である場合には、ECU200にて点火装置105の点火時期を進角させることによりデポジットをとばすことができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段として、デポジット検出部2cを有し、ECU200により絶縁体部83の抵抗値Rに基づいて所定の抵抗値Rの大きさとの比較判定する制御処理(詳しくは、S1102)を実行する。これにより、デポジットは導電性を有しているため、デポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の抵抗値の変化に基づいて行なうことができる。さらに、デポジットの付着により変化した抵抗値Rの大きさに基づいてデポジット量を推定できる。
さらに、検出したデポジットが所定以上である場合(詳しくは絶縁体部83の抵抗値R<Rの場合)には、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段として、ECU200にて点火装置105の点火時期を進角させる制御処理(詳しくは、S1103)を実行する。これにより、燃焼温度を増大させ、先端温度をデポジットが消失する温度まで増大等することができるので、点火時期を進角させて例えば化学反応等によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
したがって、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制するとともに、付着したデポジットの除去が可能である。
(2)なお、先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段は、デポジット検出部2cを有し、ECU200により絶縁体部83の抵抗値Rに基づいて所定の抵抗値Rの大きさとの比較判定する制御処理を実行するものに限らず、他のデポジットを検出する方法であってもよい。また、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段は、ECU200にて点火装置105の点火時期を進角させる制御処理を実行するものに限らず、他のデポジットをとばす方法であってもよい。
言い換えると、先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段と、デポジットを先端部側からとばすデポジット除去手段と、検出手段により先端部に付着したデポジットを検出し、所定以上となった場合に、デポジット除去手段によりデポジットをとばす制御手段とを備えているものであればいずれでもよい。
(3)さらになお、本実施形態では、デポジットを検出するために先端部の抵抗値を計測する方法として、先端部(詳しくは噴孔プレート20)に絶縁層としての絶縁体部83を設け、絶縁体部83の抵抗値Rに基づいてデポジットを検出することが好ましい。これにより、デポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の抵抗値Rが無限大の値を示しているか否かで容易に判定することができる。また、デポジットの導電性を利用することで、絶縁体部83および付着したデポジットによる抵抗値Rに基づいて絶縁体部83の表面に付着したデポジット量を直接的に計測することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したデポジット除去手段として、図5に示すように、ECU200にて燃料噴射弁2に供給する燃圧を増加させる制御処理を実行する。図5は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
燃料噴射弁2に供給する燃圧を増加させる方法としては、図22に示す高圧ポンプ5の吐出量を増加させるように構成する。この様に構成することにより、高圧ポンプ5から燃料分配管8へ供給する燃料を増やし、その増やした燃料に応じて調圧装置9により所定の燃圧に増圧したものを燃料噴射弁2へ供給することができる。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図5に従って説明する。図5に示すように、S1101にて絶縁体部83の抵抗値Rのモニタを開始し、S1102にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値R以上であれば、エンジン100の長時間運転等により抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さくなるまでS1101の制御処理を繰返す。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいならば、デポジットが所定以上付着していると判断し、S1203へ移行する。
S1203では、燃料噴射弁2へ供給する燃圧を増大させる。これにより、上記先端部の噴孔21等の噴射部において、噴射部内から噴射する燃料の燃圧による流体力を増大することができる。したがって、燃料噴射弁2に供給する燃料の燃圧を増加させて、噴孔21等の噴射部内から噴射する燃料の流体力を増大させることにより、流体力により噴孔21および噴孔21の周縁からデポジットを剥離させるなど引き離すことができ、デポジットを先端部側からなくすようにすることが可能である。なお、S1203では、例えば所定の燃圧の増加分だけ、燃料噴射弁2への供給燃料の燃圧を増加させるものとする。
S1105にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になったか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さい状態である場合には、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超えるまでS1203を繰返す。この場合、S1203の処理を実行する度に、燃圧を所定の増加分ずつ増加していく。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になっていれば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1106へ移行する。
S1206では、燃圧を、デポジット除去のため増加させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適な燃圧に戻す。詳しくはECU200は、ECU200で最適な燃圧を記憶する燃圧マップのデータ値に戻すようにする。
なお、ここで、ECU200にて燃料噴射弁2へ供給する燃圧を増加させる制御処理(詳しくは、S1203)は、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段を構成する。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段として、ECU200にて燃料噴射弁2へ供給する燃圧を増加させる制御処理(詳しくは、S1203)を実行する。これにより、噴孔21等の噴射部内から噴射する燃料の流体力を増大させて、その流体力により噴孔21および噴孔21の周縁からデポジットを剥離させるなど引き離すことができる。したがって、燃料噴射弁2へ供給する燃圧を増加させてその燃料の流体力によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
(2)なお、本実施形態では、燃料噴射弁2に供給する燃圧を増加させる方法として、加圧した燃料を燃料噴射弁2に供給する高圧ポンプ5を有する燃料噴射装置である場合には、高圧ポンプ5の吐出量を増加させることで、容易に燃料噴射弁2に供給する燃料の燃圧を増加させられる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明したデポジット除去手段として、図6に示すように、ECU200にて吸気VVT装置210を駆動制御して吸気バルブ107を早めに閉じる制御処理を実行する。図6は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、S1101にて絶縁体部83の抵抗値Rのモニタを開始し、S1102にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値R以上であれば、エンジン100の長時間運転等により抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さくなるまでS1101の制御処理を繰返す。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいならば、デポジットが所定以上付着していると判断し、S1303へ移行する。
S1303では、吸気バルブ107を閉じるタイミングを進角させる。これにより、吸気バルブ107を閉じるタイミングを進角させて筒内の圧力を増大させることができ、従って燃焼温度を増大させることができる。したがって、吸気バルブ107を閉じるタイミングを進角させて上記先端部の温度をデポジットが消失する温度T2に増大させることが可能であるので、吸気バルブ107を早めに閉じて化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
S1105にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になったか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さい状態である場合には、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超えるまでS1303を繰返す。この場合、S1303の処理を実行する度に、吸気バルブ107を閉じるタイミングを所定の増加分ずつ進角させていく。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になっていれば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1306へ移行する。
S1306では、吸気バルブ107を閉じるタイミングを、デポジット除去のため進角させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適なタイミングに戻す。
詳しくはECU200は、ECU200で吸気バルブ107の最適な閉じるタイミングを記憶する吸気バルブ107の閉タイミングのデータ値に戻すようにする。
なお、ここで、ECU200にて吸気VVT装置210の駆動制御により吸気バルブ107を早めに閉じる制御処理(詳しくは、S1303)は、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段を構成する。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段として、ECU200にて吸気VVT装置210の駆動制御により吸気バルブ107を早めに閉じる制御処理(詳しくは、S1303)を実行する。これにより、筒内の圧力を増大させて、燃焼温度を増大させることができる。したがって、吸気バルブ107を早めに閉じて化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第1の実施形態で説明したデポジット除去手段として、図7に示すように、デポジット検出部102cにデポジットを検出する機能に加えて、高電圧を付与する機能を有するように構成する。図7は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図8は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、デポジット検出部102cとしての絶縁体部83に、高電圧を印加する高電圧発生装置90を備えるように構成する。高電圧発生装置90は、電源91と、絶縁体部83に高電圧の印加の断続を行なうスイッチ装置92とから構成されている。電源91は、例えば車載用のバッテリ、もしくはバッテリの電源を昇圧する昇圧する昇圧装置などから構成される周知の電圧供給回路等、電圧供給装置である。例えばスタータを駆動する高電圧回路等を利用するものであってもよい。スイッチ装置92は、高電圧を遮断、通電可能なものであれば、周知のスイッチ、あるいはスイッチング素子を用いたいわゆるスイッチング回路等いずれでもよい。なお、これら電源91およびスイッチ装置92のうち少なくともいずれかを、ECU200の構成に有するようにしてもよい。
以下、本実施形態の説明では、ECU200に電源91およびスイッチ装置92の機能を有するものとする。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図8に従って説明する。図8に示すように、S1101にて絶縁体部83の抵抗値Rのモニタを開始し、S1102にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値R以上であれば、エンジン100の長時間運転等により抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さくなるまでS1101の制御処理を繰返す。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいならば、デポジットが所定以上付着していると判断し、S1403へ移行する。
S1403では、絶縁体部83に高電圧を印加する。これにより、上記先端部の温度を増大させることができる。したがって、絶縁体部83に高電圧を印加することにより上記先端部の温度を、デポジットが消失する温度T2に増大させられるので、化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
S1105にて抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になったか否かを判定する。抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さい状態である場合には、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超えるまでS1303を繰返す。逆に、抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になっていれば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1406へ移行する。
S1406では、絶縁体部83への高電圧印加を停止する。
なお、ここで、ECU200にてデポジット検出部102cの絶縁体部83に高電圧を印加する制御処理(詳しくは、S1403)は、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段を構成する。また、デポジット検出部としての絶縁体部83と、高電圧発生装置90は、上記先端部を加熱する加熱手段を構成する。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段として、デポジット検出部102cとしての絶縁体部83に高電圧を印加するように構成し、ECU200にてデポジット検出部102cの絶縁体部83に高電圧を印加する制御処理を実行する。これにより、デポジットが付着していないと絶縁体部83に電圧を付与しても電流は流れないが、デポジットが検出された場合には、デポジット付着時の絶縁体部83では図3中の抵抗特性を示すので、絶縁体部83に電圧をかけると電流が流れる。そのエネルギによってデポジットを高温にして消失させられる。
(2)なお、デポジット検出部102cとしての絶縁体部83に、高電圧を印加してデポジットをとばす除去手段を備えるので、デポジット付着時の絶縁体部83では抵抗特性から温度T2にするための高電圧値、あるいは所定の高電圧値における温度T2の到達時間などを容易に推定することが可能である。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、上記先端部を加熱する加熱手段として、第4の実施形態で説明した絶縁体部83と、高電圧発生装置90に代えて、図9に示すように、ヒータ190を用いる。図9は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図10は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、ヒータ190は弁部2aの内部に内蔵され、弁部2aの先端側を加熱する加熱装置である。ヒータ190は周知構造の加熱用ヒータであって、セラミックヒータ、巻線ヒータ等いずれの構成であってもよい。以下、本実施形態の説明ではヒータ190をセラミックヒータとする。
詳しくは、ヒータ190は、図9に示すように、噴孔プレート20の側面および弁ボディ12の側面に配置され、弁ハウジング16に形成された環状の凹部内に収容されている。これにより、ヒータ190を加熱することで、噴孔プレート20を加熱して、その絶縁層を形成する絶縁体部83の温度を効率的に上昇させることが可能である。デポジットが検出された場合には、ヒータ190を昇温させることでデポジットを消失させることができる。なお、デポジット検出部202cは、抵抗計測器80と絶縁体部83と導線82とを備えている。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図8に従って説明する。なお、第4の実施形態にて上記先端部を加熱する加熱手段による制御方法を説明しているので、ここでは異なる制御処理のみ説明する。
S1102で抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さいと判定されると、1503では、ヒータ190を加熱する。これにより、上記先端部の温度を増大させることができる。したがって、ヒータ190を加熱することにより上記先端部の温度を、デポジットが消失する温度T2に増大させられるので、化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
また、S1105で抵抗値Rが所定の抵抗値Rを超える状態になっていると判定されると、S1506では、ヒータ190の加熱を停止する。
なお、ここで、ECU200にてヒータ190を加熱する制御処理(詳しくは、S1503)は、デポジットを上記先端部からなくすようにとばすデポジット除去手段を構成する。
この様な構成にしても、第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、第1の実施形態で説明した絶縁層としての絶縁体部83付き噴孔プレート20に代えて、図11に示すように、噴孔プレート183自体を絶縁材料で形成するようにする。図11は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。
図11に示すように、絶縁材料からなる噴孔プレート183全体が、デポジット検出部2cを構成するようにする。なお、噴射プレート183には、複数の噴孔183aを有しており、この出噴孔183aは出口側噴孔に限らず、噴孔全体を構成している。なお、デポジット検出部302cは、抵抗計測器80と噴孔プレート183と導線82とを備えている。
この様な構成にしても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
さらに、噴孔プレート183の噴孔183a周縁に付着するデポジットのみならず、噴孔の183a内部に付着するデポジットを計測することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、デポジット付着量の検出方法として、第6の実施形態で説明したデポジット検出部の噴孔プレート183の抵抗値に代えて、図12に示すように、噴孔プレート283の温度を計測するようにする。図12は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図13は、本実施形態に係わる先端部の温度と、流量低下率との関係を説明するグラフである。図14は、実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、デポジット検出部402cは、温度計測器281と、噴孔プレート283の温度を計測する熱電対282とを備えている。温度計測器281は、被計測物の温度を検出可能な周知構造の温度を計測する計測器である。なお、温度計測器281は、図12に示すようにECU200内の一機能として構成されるように構成してもよい。なお、本実施形態では、ECU200に噴孔プレート283の温度を計測する計測機能を有するものとして説明する。
熱電対282は、噴孔プレート283に接触する一方の端部に検出部285を備え、他方の端部は温度計測器281に電気的に接続している。また、図12に示すように、熱電対282のうち、噴孔プレート283に接続する側の少なくとも弁ハウジング16などの導電性部材の外周に配置される部分は、シリコン等の絶縁性部材84により被覆されている。
噴孔プレート283は、金属材料、絶縁材料、あるいはこれらの複合材料などいずれで形成されていてもよい。
先端部(詳しくは、噴孔プレート283)の温度と、流量低下率との関係は、図13デポジット付着に起因した流量低下特性に示されるように、温度T1以上になると、燃料噴射弁2の燃料噴射量に係わる噴孔プレート283(詳しくは噴孔283a)の流量が低下し始める。そして温度T1の増加に従って流量がさらに低下する。なお、この温度T1をデポジット付着開始温度と呼ぶ。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図14に従って説明する。図14に示すように、熱電対282(詳しくは検出部285)により上記先端部(詳しくは噴孔プレート283およびその周縁)の温度を計測いわゆるモニタを開始する。
S1602では、検出した上記先端部の温度(以下、先端温度と呼ぶ)Tがデポジット付着開始温度T1より大きいか否かを判定する。先端温度Tがデポジット付着開始温度T1以下であれば、エンジン100の長時間運転等により抵抗値Rが所定の抵抗値Rより小さくなるまでS1601の制御処理を繰返す。逆に、先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きいならば、デポジットが所定以上付着していると判断し、S1103へ移行する。なお、ここで、デポジット付着開始温度T1は、上記先端部に付着するデポジット量が、流量低下に影響を及ぼさない程度の所定値あることを示す閾値を構成する。
S1103では、点火装置105の点火時期を進角させる。点火時期を進角させることで上記先端部の温度を、デポジットが消失する温度T2に増大させる。
S1605では、温度T2の持続時間が所定時間t1を越えているか(T2>t1)否かを判定する。温度T2の持続時間が所定時間t1に達していないならば、温度T2の持続時間が所定時間t1を越えるまで、S1103を繰返す。逆に、温度T2の持続時間が所定時間t1に達しているならば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1606へ移行する。
1106では、点火時期を、デポジット除去のため進角させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適な点火時期に戻す。
1607では、デポジット除去のため上記先端部を温度T2まで昇温させていたため、温度冷却時間t2経過するまでそのままの状態を保持する。なお、温度冷却時間t2経過した後、S1601の熱電対282により先端温度Tのモニタを開始する。
なお、ここで、上記先端部(詳しくは噴孔プレート20およびその周縁)の温度に基づいて所定の温度(詳しくはデポジット付着開始温度)T1の大きさとの比較判定する制御処理(詳しくは、S1602)は、燃料噴射弁2の先端部に付着しているデポジットを検出するデポジット検出手段を構成する。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、上記先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段として、デポジット検出部402cには上記先端部の温度を計測する熱電対282とを備えており、ECU200により上記先端部の温度に基づいて所定の温度T1の大きさとの比較判定する制御処理を実行する。これにより、デポジットが付着しているか否かの判別を、先端部の温度Tに基づいて行なうことができる。
さらに、先端部の温度Tに基づいて例えばデポジットの付着し易い温度あるいはデポジットの付着し影響のある温度T1などの特定温度との比較判定により行なうことができる。
なお、ここで、特定温度は、デポジットが消失する温度よりは低い温度である。また、デポジットの付着し易い温度とは、例えばデポジットが先端部の被付着部材に急激に付着する温度であり、デポジットが消失する温度よりは低い温度である。
(2)本実施形態をこの様な構成にしても、第1の実施形態や第6の実施形態などの他の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第8および第9の実施形態)
第8および第9の実施形態では、第7の実施形態で説明したデポジット除去手段の他の実施例を図15および図16に従って説明する。図15は、第8の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。図16は、第9の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
第8の実施形態では、第7の実施形態で説明した点火装置105の点火時期を進角させるものに代えて、図15に示すように、吸気VVT装置210を駆動制御して吸気バルブ107を早めに閉じる制御処理を実行する。なお、第7の実施形態にて上記先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段による制御方法を説明しているので、ここでは異なる制御処理のみ説明する。
S1602で先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きいと判定されると、S1303では、吸気バルブ107を閉じるタイミングを進角させる。これにより、筒内圧力を増大させることができ、従って燃焼温度を増大させることができる。したがって、吸気バルブ107を早めに閉じることで先端温度Tを温度T2に昇温できるので、化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
また、S1605で温度T2の持続時間が所定時間t1に達していると判定されると、S1306では、吸気バルブ107を閉じるタイミングを、デポジット除去のため進角させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適なタイミングに戻す。
第9の実施形態では、図16に示すように、燃料噴射弁2に供給する燃圧を増加させる制御処理を実行する。
S1602で先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きいと判定されると、S1203では、燃料噴射弁2へ供給する燃圧を増大させる。これにより、燃料噴射弁2に供給する燃料の燃圧を増加させることで、噴孔21等の噴射部内から噴射する燃料の流体力を増大させられる。したがって、燃圧の増大による流体力によって噴孔21および噴孔21の周縁からデポジットを剥離させるなど引き離すことができるので、デポジットを先端部側からなくすようにすることができる。
S1805では、燃圧を増大している時間(以下、燃圧増大時間と呼ぶ)が所定時間t3を越えているか(T2>t3)否かを判定する。燃圧増大時間が所定時間t3に達していないならば、燃圧増大時間が所定時間t3を越えるまで、S1203を繰返す。逆に、燃圧増大時間が所定時間t3に達しているならば、デポジットを上記先端部側からなくすようにすることができたと判断し、S1206へ移行する。なおS1206では、燃圧を、デポジット除去のため増加させていた状態から、通常のエンジン100の運転状態に最適な燃圧に戻す。
第8および第9の実施形態は、上記構成のいずれの場合であっても、第7の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、第7の実施形態で説明したデポジット除去手段の他の実施例を図17、図18、および図19に従って説明する。図17は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図17は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図18は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。図19は、本実施形態に係わる制御処理を説明する模式図であって、先端部の温度と、先端部を加熱するためのヒータ電圧特性との関係を説明するグラフである。
図17に示すように、デポジット検出部502cは、温度計測器281と、噴孔プレート283の温度を計測する検出部285を有する熱電対282とを備えている。また、図9に示すように、ヒータ190が弁部2aの内部に内蔵され、弁部2aの先端側を加熱するように構成されている。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図18に従って説明する。なお、第7の実施形態にて上記先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段による制御方法を説明しているので、ここでは異なる制御処理のみ説明する。
S1602で先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きいと判定されると、S1903では、ヒータ190を加熱する。さらに、このとき、図19に示すように、検出部285による先端温度Tのモニタによりヒータ190の加熱制御することで、先端温度Tを温度T2に調節する。これにより、ヒータ190で加熱する上記先端部の温度Tを、デポジットが消失する温度T2に昇温できるので、化学反応によりデポジットを先端部側からなくすようにすることができる。さらに、S1903では、ヒータ190を加熱する際に、熱電対282により先端温度Tが温度T2に昇温される状態にあるか否かを直接モニタできる。そのため、例えばヒータ190の加熱するためのエネルギの無駄消費防止が図れる。
また、S1605で温度T2の持続時間が所定時間t1に達していると判定されると、S1506では、ヒータ190の加熱を停止する。なお、S1607では、温度冷却時間t2経過するまでそのままの状態を保持し、S1601に移行して先端温度Tのモニタを開始する。これにより、先端温度Tの時間経過特性に対し、図19に示すようにヒータ190の電圧特性とすることができ、デポジットを除去するためのヒータ190加熱エネルギの無駄消費が防止できる。
この様な構成にしても、第7の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第11の実施形態)
第11の実施形態では、第10の実施形態の説明したデポジット除去手段の他の実施例を図20および図21に従って説明する。図20は、本実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図21は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。
図20に示すように、デポジット検出部602cは、温度計測器281と、噴孔プレートの温度を計測する熱電対282とを備えている。なお、詳しくは噴孔プレートは金属材料からなる部分20と絶縁材料から部分283で構成される複合材料もしくは組物である。
本実施形態では、デポジット加熱手段として、絶縁体部283に高電圧を印加する高電圧発生装置90が設けられている。高電圧発生装置90は、図20に示すように、絶縁体部283に接続し、絶縁性部材84で被覆される導線82と、スイッチ装置92および電源91とから構成されている。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特にデポジットを検出し、その検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理の一実施例について、図21に従って説明する。
S1602で先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きいと判定されると、S2003では、噴孔プレート283、20(詳しくは絶縁体部283)に高電圧を印加する。先端温度Tがデポジット付着開始温度T1より大きい場合では、絶縁体部83にデポジットが付着しており、絶縁体部83に電圧をかけると電流が流れる。さらに、このとき、検出部285による先端温度Tのモニタにより電圧を制御することで、先端温度Tを温度T2に調節する。そのエネルギによってデポジットを高温にして消失させられる。
また、S1605で温度T2の持続時間が所定時間t1に達していると判定されると、S1506では、ヒータ190の加熱を停止する。
この様な構成にしても、第10の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、以上説明した本実施形態では、燃料の噴射を遮断および許容する弁部Bと、噴霧形成手段を有する噴孔プレート20、183、283とを有する燃料噴射弁2として説明したが、噴孔プレート20、183、283はなく、弁ボディ12の弁座14の下流側に噴孔21が配置され、噴霧形成手段を有する弁部であってもよい。
本発明の第1の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図1中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第1の実施形態に係わる先端部の抵抗値と、デポジットの付着量との関係を説明する模式的グラフである。 第1の実施形態に係わるデポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第3の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第4の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第4の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第5の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第6の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第7の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第7の実施形態に係わる先端部の温度と、流量低下率との関係を説明するグラフである。 第7の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第8の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第9の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第10の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第10の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 第10の実施形態に係わる制御処理を説明する模式図であって、先端部の温度と、先端部を加熱するためのヒータ電圧特性との関係を説明するグラフである。 第11の実施形態に係わる燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第11の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、デポジットの検出、および検出値が所定以上の場合にデポジットをとばす制御処理を示すフローチャートである。 本発明の燃料噴射装置を搭載する内燃機関の一実施例の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
2 燃料噴射弁
2a 弁部
2b 電磁駆動部
2c デポジット検出部
12 弁ボディ(接地電極)
14 弁座
20 噴孔プレート
21 噴孔
30 ニードル(弁部材)
31 当接部
80 抵抗計測器
82 導線
83 絶縁体部
83 出口側噴孔
84 絶縁性部材
100 エンジン(内燃機関)
105 点火装置
106 燃焼室
107 吸気バルブ(吸気弁)
109 排気バルブ(排気弁)
200 ECU(制御手段)

Claims (10)

  1. 気筒内に燃焼室と、前記燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射弁と、点火する点火装置とを有し、前記点火装置の点火により空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に着火する内燃機関に用いられ、
    前記燃料噴射弁を備え、その先端部側に設けられた噴射部から前記燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
    前記先端部に付着しているデポジットを検出する検出手段と、
    デポジットを前記先端部側からとばすデポジット除去手段と、
    前記検出手段により前記先端部に付着したデポジットを検出し、所定以上となった場合に、前記デポジット除去手段によりデポジットをとばす制御手段とを備えていることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記検出手段は、前記先端部の抵抗値に基づいてデポジットを検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記先端部に絶縁層を設け、
    前記検出手段は、前記絶縁層の抵抗値に基づいてデポジットを検出することを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記噴射部は、複数の噴孔を有する薄板状の噴孔プレートから構成され、
    前記噴孔プレートが絶縁性材料で形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記検出手段は、前記先端部の温度に基づいてデポジットを検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  6. 前記デポジット除去手段は、前記点火装置の点火時期を進角させることによりデポジットをとばすことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  7. 前記デポジット除去手段は、燃料噴射弁に供給する燃料の燃圧を増加させることによりデポジットをとばすことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記燃料噴射弁に燃料を加圧して供給するポンプを有しており、
    前記デポジット除去手段は、前記ポンプの吐出量を増加させることによりデポジットをとばすことを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記内燃機関は、前記燃焼室へ空気を流入および流入停止する吸気弁を有しており、
    前記デポジット除去手段は、前記吸気弁を早く閉じることによりデポジットをとばすことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記デポジット除去手段は、前記先端部を加熱することによりデポジットをとばすことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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