JP2006220082A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、内燃機関の運転状態に係わらず、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制可能な燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】 気筒内に燃焼室106と、燃焼室106に燃料を噴射供給する燃料噴射弁2とを有し、空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に点火により着火する内燃機関100に用いられ、燃料噴射弁2を備え、その先端部側に設けられた噴孔部21から燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、異なる金属からなる二種類の導体81、82の両端間を接合する二つの接合部83、84と、導体81、82間に電力を供給する電力供給装置91a、91bとを備え、二つの接合部83、84のうちの一方84を先端部に配置し、導体81、82間に電力供給装置91a、91bにより電圧をかけ、先端部側で吸熱させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料噴射装置に関し、例えば内燃機関の燃料噴射装置において、燃料を噴射する燃料噴射弁の噴孔部等先端に付着するデポジットを抑制する装置に適用して好適なものである。
燃料噴射装置としては、例えば内燃機関の燃焼室に直接あるいは間接的に燃料を噴射供給するものが知られている。噴射供給された燃料は、吸気管あるいは燃焼室において空気と混合され、燃焼室内に可燃混合気を形成する。燃焼室内の可燃混合気はピストン運動により圧縮された後、点火装置により着火燃焼し、内燃機関の動力として利用されている。この種の燃料噴射装置は、燃料を噴射する噴孔などの噴孔部と、燃料噴射を停止および供給する弁部とを有する燃料噴射弁がある(特許文献1参照)。
噴孔部などに残留する未燃燃料が燃焼以外の化学反応を起こしたり、燃料中の不純物が析出することによりデポジット(炭素系の化合物)を生じることがある。デポジットが噴孔部の内部あるいはその周辺部に付着すると、燃料噴射量が低下もしくは変動する場合がある。その結果、初期の噴射特性を維持することが難しくなり、内燃機関の性能を左右する噴射燃料と空気との混合比が変化するため、デポジット生成および付着を防止することが重要となっている。特に燃焼室に直接噴射を行なう燃料噴射装置においては、噴孔部の内部あるいはその周辺部が火炎および未燃燃料を含む燃焼ガスにより被曝するので、その影響が顕著である。
特許文献1の開示する技術では、内燃機関の気筒に搭載され、エンジンヘッド内の燃料噴射弁取付用孔に取付けられる燃料噴射弁と、その燃料噴射弁取付用孔とのシール面に高熱伝導率の部材を設けている。この技術では燃料噴射弁先端の熱を、高熱伝導率の部材を介して逃がし、先端温度を低下させてデポジットの生成量低減を実現しようとしている。
特開2000−337227号公報
しかしながら、特許文献1による従来技術では、デポジットの生成を抑制する効果はみとめられるが、燃料噴射弁先端温度を上記部材の熱伝導による成り行きの温度としているため、内燃機関の高負荷状態での運転や長期間運転した際には、その運転過程で少量ながらもデポジットが堆積するおそれがある。デポジットが堆積すると、噴孔部の流量低下等、燃料噴射特性の性能が損なわれるという問題が発生する可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、内燃機関の運転状態に係わらず、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制可能な燃料噴射装置を提供することにある。
また、別の目的は、内燃機関へ燃料を噴射供給する噴孔などの噴射部を燃料噴射弁先端に有するものにおいて、内燃機関の運転状態に係わらず燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制可能であるとともに、燃焼改善が図れる燃料噴射装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を備える。
即ち、請求項1乃至8記載の発明では、気筒内に燃焼室と、燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射弁とを有し、空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に点火により着火する内燃機関に用いられ、燃料噴射弁を備え、その先端部側に設けられた噴射部から燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
異なる金属からなる二種類の導体の両端間を接合する二つの接合部と、導体間に電力を供給する電力供給装置とを備え、
二つの接合部のうちの一方を先端部に配置し、
導体間に電力供給装置により電圧をかけ、先端部側で吸熱させることを特徴としている。
これによると、異なる金属からなる二種類の導体の両端間を接合する二つの接合部と、導体間に電力を供給する電力供給装置とを備え、二つの接合部のうちの一方を燃料噴射弁の先端部に配置し、導体間に電力供給装置により電圧をかけることで、その先端部側で吸熱させるように構成されている。これにより、燃料噴射弁先端温度をペルチェ効果により冷却することができるので、燃料噴射弁先端へのデポジット付着を抑制することができる。
なお、電力供給装置により導体間にかける電圧とは逆向きの負電圧をかえる場合には、先端部側で発熱する。
また、請求項2に記載の発明では、二つの接合部のうちの他方は、放熱する部位に配置され、放熱する部位は、燃料噴射弁とは異なる燃料供給部材内の燃料噴射弁へ燃料を供給する燃料通路の一部をなしていることを特徴としている。
これによると、二つの接合部のうちの他方が燃料噴射弁へ燃料を供給する燃料通路の一部に配置されている。これにより、燃料を加熱することができるので、噴射燃料の蒸発を促進でき、従って内燃機関の良好な燃焼が得られる。
また、請求項3に記載の発明では、二つの接合部のうちの他方は、放熱する部位に配置され、放熱する部位は、燃料噴射弁内の燃料通路をなしていることを特徴としている。
これによると、二つの接合部のうちの他方が燃料噴射弁内の燃料通路に配置されている。これにより、燃料を加熱することができるので、噴射燃料の蒸発を促進でき、従って内燃機関の良好な燃焼が得られる。
また、請求項4に記載の発明では、先端部の温度を検出する検出手段と、検出手段により検出した先端部の温度が所定の第1温度を超える場合には、電力供給装置で電圧を印加させる温度制御手段を備えていることを特徴としている。
これによると、検出手段により検出した先端部温度が所定の第1温度を超える場合には、温度制御手段により電力供給装置の電圧を印加させるので、先端部を吸熱作用により冷却することができる。例えば先端部温度がデポジットの付着し易い第1温度を超える場合には、先端部を冷却してデポジットの付着抑制ができる。
また、請求項5に記載の発明では、検出手段は、導体間に生じる電位に基づいて先端部の温度を判定する特徴としている。
これにより、検出手段は、導体間に発生するゼーベック効果による起電力で生じる電位を計測することで、先端部の温度を判断することが可能である。
また、請求項6に記載の発明では、検出手段により検出した先端部の温度が所定の第2温度未満である場合には、電力供給装置で負電圧を印加させる温度制御手段を備えていることを特徴としている。
例えば低温始動時や暖機時等の先端部温度が比較的低い状態では、燃料を加熱するよりも先端部温度を高める方が燃焼が改善される場合がある。
これに対して請求項6に記載の発明では、先端部の温度が所定の第2温度未満である場合には、温度制御手段により電力供給装置の負電圧を印加させるので、先端部を発熱作用により加熱することができる。したがって、低温始動時や暖機時等の先端部温度が比較的低い状態の場合において、先端部を加熱して燃焼改善が図れる。
また、請求項7に記載の発明では、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置において、
温度制御手段は、印加時間が所定時間を経過すると一時印加を中止する一時印加中止手段と、検出手段により先端部の温度を検出し、その温度に基づいて第1温度および第2温度のうち少なくとも一方と比較判定する判定手段とを備えていることを特徴としている。
これにより、先端部温度をモニタしながら、例えば先端部温度をデポジット付着を抑制可能な温度に維持できる。
また、請求項8に記載の発明では、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置において、
温度制御手段は、導体間に電圧を印加するときの電力供給装置の通電方向を切換える切換手段を備えていることを特徴としている。
これにより、切換手段により導体間に電圧を印加するときの電力供給装置の通電方向を切換えることで、先端部を冷却したり加熱したりでき、先端部温度を低くしたり高めたりして先端部温度を所望の温度に維持できる。
以下、本発明の燃料噴射装置を、ガソリンエンジンに燃料を噴射供給するものに適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図2は、図1中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図3は、図1の燃料噴射装置を搭載する内燃機関の一実施例の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、燃料噴射装置は、燃料噴射弁2と、燃料噴射弁を制御する制御手段としての制御装置(以下、ECUと呼ぶ)90とを含んで構成されている。なお、ECU90は、周知構成のマイクロコンピュータであり、バッテリ等の電源を用いて、燃料噴射弁2のターミナル65への通電開始および通電停止を実行することで、燃料噴射弁2への通電期間を制御する。
図3に示すように、燃料噴射弁2は、内燃機関、特にガソリンエンジンに用いられる。燃料噴射弁2は、例えば多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジン(以下、エンジンと呼ぶ)の吸気管または各気筒に取付けられて、気筒内の燃焼室106に燃料を噴射供給する。なお、図3に示すように、エンジン100は、シリンダブロック101と、シリンダヘッド102と、ピストン104と、シリンダブロック(以下、シリンダと呼ぶ)101の内周壁、ピストン104およびシリンダヘッド102の天井内壁とで区画される燃焼室106と、可燃混合気もしくは燃料等に着火する点火装置105とを備える周知の内燃機関である。なお、ピストン104のシリンダ101内周壁内における往復運動はコンロッド(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)の連続回転運動に変換される。燃焼室106は、ピストン104の往復移動により容積が増減する。なお、ここで、図3では、図面作図上、4気筒のうちの1気筒のみを示している。点火装置105は、点火プラグ等を有する周知構造の点火のための装置である。点火装置105は、点火することで、燃焼室106内に形成される空気と燃料が混合した可燃混合気もしくは燃料に着火する。
また、シリンダヘッド102は、図3に示すように、吸入空気が流れる通路を形成する吸気管(図示せず)に接続し、吸入吸気が導かれる吸気ポートと、燃焼ガス等が流れる通路を形成する排気管(図示せず)に接続し、排気を排出する排気ポートとを備えている。図3に示すように、吸気弁(以下、吸気バルブと呼ぶ)107は、吸気ポートの内壁に着座、および離座することで、吸気ポートに導かれた吸入空気または燃料と空気が混合した可燃混合気の燃焼室106への流れを遮断および許容する。
なお、以下、本実施形態では、図3に示すように燃料噴射弁2は各気筒に設けられているものとする。燃料噴射弁2には、燃料ポンプ3により加圧された燃料が、燃料分配管8を介して供給される。燃料分配管8には、一般に、燃料タンク内の燃料を燃料ポンプ3により吸い上げ吐出し、その吐出された燃料が導かれている。なお、吐出される燃料は、プレーシャレギュレータ等の調圧装置4によって所定の圧力に調圧されて、燃料分配管8へ送られる。なお、エンジンが直噴エンジンの場合には、エンジン100の燃焼室106へ供給する燃料の圧力が約2Mpa以上とするため、燃料ポンプ3によって燃料タンクから吸上げられた低圧(例えば0.2Mpa)の燃料を、高圧ポンプ5で加圧し、この加圧された所定の燃料(例えば、2〜13Mpaの範囲の所定の燃料)が、燃料分配管8を介して燃料噴射弁2に供給されている。燃料ポンプ3から吐出される燃料、高圧ポンプ5から燃料分配管8へ供給された燃料は、プレーシャレギュレータ等の調圧装置4、9によって所定の圧力に調圧されている。なお、以下、本実施例で説明するエンジン100は、ガソリン直噴エンジンとする。
燃料噴射弁2は、図1に示すように、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、内部の燃料通路を経由して他端から燃料を噴射する。燃料噴射弁2は、燃料の噴射を遮断および許容する弁部2aと、弁部2aを駆動する電磁駆動部2bと、先端部の温度を調節する温度調節部2cとを備えており、一端から燃料通路内に流入した燃料を弁部2aからエンジン100の気筒に噴射供給する。
弁部2aは、図1に示すように、弁ボディ12と、弁部材としてのニードル30とを含んで構成されている。弁ボディ12の内周には、上記内部燃料通路内を流れる燃料が導かれている。弁ボディ12は燃料流れ方向の噴孔21側に向けて縮径する内周面としての円錐面13を有している。円錐面13には、ニードル30が離座および着座可能である。ニードル30は略軸状に形成され、弁ボディ12内を軸方向に往復移動可能である。なお、ここで、円錐面13は、ニードル30が離座および着座可能な弁座14を構成する。具体的には、弁座14には、ニードル30の当接部31が離座および着座する。なお、ここで、弁座14と当接部31は、弁部が燃料の噴射を停止するための油密機能の働きをするシート部を構成している。
弁座14の中央側には、弁座14の燃料流れの下流側に向かって、内部燃料通路と連通可能な噴孔21が配置されている。詳しくは、弁ボディ12の先端側に略薄板状部材としての噴孔プレート20が配置されている。噴孔プレート20は、図2に示すように、有底筒状に形成されており、弁ハウジング16の底部の内壁と弁ボディ12の底部の内壁との間に挟持されている。
噴孔プレート20は、例えば薄い金属板状の薄板状体で形成され、複数(本実施例では、図2に作図の便宜上2個)の噴孔21が配置されている。この噴孔21は、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔軸線の方向、噴孔配列等が決定される。また、噴孔の開口面積は、開弁時の流量を規定する。したがって、燃料噴射弁2の燃料噴射量は、噴孔21の開口面積、ニードル30のリフト量と、開弁期間とによって調量されている。ニードル30が弁座14に着座すると噴孔21からの燃料噴射が停止され、ニードル30が弁座14から離座すると噴孔21から燃料が噴射される。
なお、弁ボディ12は、弁ハウジング16の燃料噴射側端部の内壁に溶接等により固定されている。弁ボディ12は段付きの略有底円筒状に形成され、弁ハウジング16の下端部の内周側に挿入されている。
電磁駆動部2bは、図1に示すように、筒部材40、可動コア50、固定コア54、およびコイル60とを有する。
筒部材40は、弁ボディ12(詳しくは弁ハウジング16)の反噴孔側の内周壁に挿入され、溶接により弁ボディ12に固定されている。筒部材40は、噴孔21側から第1磁性筒部42、非磁性筒部44、および第2磁性筒部46により構成されている。非磁性筒部44は第1磁性筒部42と第2磁性筒部46との磁気的短絡を防止する。この磁気的短絡防止により、コイル60の通電により発生する電磁力による磁束を、可動コア50、固定コア54、および緩衝コア52に効率的に流れるようにしている。
可動コア50は磁性材料で段付きの略円筒状体に形成されており、ニードル30の反噴孔側の端部34と溶接等により固定されている。可動コア50はニードル30とともに往復移動する。可動コア50の筒壁を貫通する流出孔52は、可動コア50の筒内外を連通する燃料通路を形成している。
固定コア54は磁性材料で略円筒状に形成されている。固定コア54は筒部材40内に挿入されており、筒部材40と溶接により固定されている。固定コア54は可動コア50に対し反噴孔側に設置され、可動コア50に向きあっている。アジャスティングパイプ56は固定コア54の内周に圧入され、内部に燃料通路を形成している。付勢部材としてのスプリング58は一端部でアジャスティングパイプ56に係止され、他端部で可動コア50に係止されている。アジャスティングパイプ56の圧入量を調整することにより、可動コア50に付勢するスプリング58の荷重が変更される。スプリング58の付勢力により可動コア50およびニードル30は弁座14に向けて付勢されている。言い換えると、スプリング58は可動コア50をニードル30の着座方向に付勢する付勢手段を構成する。
コイル60はスプール62に巻回されている。ターミナル65はコネクタ64にインサート成形されており、コイル60と電気的に接続している。コイル60に通電すると、可動コア50と固定コア54との間に磁気吸引力が働き、圧縮スプリング58の付勢力に抗して可動コア50は固定コア54側に吸引される。
なお、ここで、弁ボディ12とニードル30とは燃料の噴射を遮断および許容する弁部2aを構成する。弁部2aのうち、弁座14と当接部31はシート部を構成する。噴孔プレート20(詳しくは、噴孔21)は燃料を微粒化し、噴霧を形成する燃料噴霧形成手段を構成する。噴孔21は、燃料を噴射する噴射部を構成する。噴孔プレート20および弁部2aは、燃料噴射弁2の先端部を構成している。特に、噴孔プレート20は、噴射部を構成する噴孔21を有しており、デポジットが付着すると燃料噴射特性に影響を受ける噴射部および噴射部周縁を構成している。
また、コイル60と可動コア50と固定コア54と筒部材40とスプリング58とは弁部2aを駆動する電磁駆動部2bを構成する。上述の構成を有する燃料噴射弁2は、ターミナル65からコイルに供給する電流を制御することでニードル30のリフトを制御し、内部燃料通路に流入した燃料を弁部2aからエンジン100の燃焼室106に噴射する。燃料噴射弁2はニードル30を着座方向に付勢するスプリング58を有しており、コイル60への電流供給が停止されると、コイルへ60の電流供給の停止時には、弁部2aが閉弁して噴射を終了する。
温度調節部2cは、図1および図2に示すように、異なる金属からなる2種類の導体81、82と、導体81、82の両端間を接合する接合部83、84と、導体81、82間に電力を供給する電力供給装置91a、91bとを備えている。図1に示すように、導体81の金属材料を例えばビスマス(Bi)、導体82の金属材料をアンチモン(Sb)を接合して回路を作り、導体81、82間に電圧を印加し電流を流すと、ペルチェ効果により一方の接合部84で吸熱、他方の接合部83で発熱が生じる。なお、導体81、82間に印加する電圧を負電圧にすると、一方の接合部84で発熱、他方の接合部83で吸熱が生じる。また、導体81、82のうち、接合部83、84に接続する部位以外の部分は、シリコン等の絶縁性部材85により被覆されている。
なお、以下の本実施形態では、導体81、82間に電圧を印加すると、接合部84で吸熱、接合部83で発熱が生じるものとする。
図1に示すように、接合部84は、噴孔プレート20に配置され、接合部83は燃料分配管8内に配置されている。
電力供給装置91a、91bは、電源91aと、導体81、82間に電圧の印加の断続を行なうスイッチ装置92とから構成されている。なお、電力供給装置91a、91bは、図1に示すようにECU90内の一機能として構成されるようにしてもよい。なお、本実施形態では、ECU90に導体81、82間に電圧を印加する電圧印加機能を有するものとして説明する。
なお、ここで、異なる金属からなる2種類の導体81、82の両端を接合して接合部83、84を有する回路は、いわゆるペルチェ効果回路(ゼーベック効果回路とも呼ぶ)80を構成する。
ECU90は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート、出力ポートを相互に双方向性バスで接続した周知のマイクロコンピュータとして構成されている。このECU90は、バッテリ等の電源を用いて、燃料噴射弁2のターミナル65への通電開始および通電停止を実行することで、燃料噴射弁2への通電期間を制御する。エンジン100の回転速度、吸気管圧力(または吸入空気量)、冷却水温等のエンジン100の運転状態を検出する図示しない各種センサの信号を読み込み、エンジン用の各種プログラム(図示せず)に従って、燃料噴射弁2の電磁駆動部2bの動作を制御する。なお、詳しくは、クランクシャフトの回転状態に応じて720°CA毎にパルス信号を出力する基準位置センサ(図示せず)と、より細かなクランク角毎(例えば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転角センサ(図示せず)とが設けられている。エンジン100の図示しないシリンダ(ウォータジャケット)などには、冷却水温を検出するための水温センサ(図示せず)が配設されている。吸気管には、吸入空気流量を検出するエアフローメータ(図示せず)などが配設されている。排気管には、排ガス中の酸素濃度等に比例し、空燃比信号を出力する空燃比センサ(図示せず)などが設けられている。また、運転者の要求等を検出するためのアクセルペダルセンサ(図示せず)、スロットル開度センサ(図示せず)等が設けられている。
ECU90は、電圧印加機能により導体81、82間に電圧を印加し、ペルチェ効果回路に電流を流す。ECU90は、電圧に基づいて接合部84で吸熱させ、接合部83で発熱させるようにする。これより、接合部83が配置される燃料噴射弁2の先端部(詳しくは噴孔プレート20)を冷却することができる。したがって、燃料噴射弁2の先端部へのデポジットの付着抑制ができる。
なお、ECU90は、導体81、82間に印加する電圧の大きさをエンジン100の運転状態に応じて変更するようにすることが好ましい。例えばエンジン100の運転状態の低負荷状態より高負荷状態であるときの方が、先端部84の吸熱量が大きくなるように、電圧値が高くなるようにする。これにより、エンジン100の運転状態に係わらず、燃料噴射弁2の先端部へのデポジットの付着抑制が図れる。
次に、上述した構成を有する本実施形態の燃料噴射装置の作動を説明する。車両のエンジンキーをIG位置にして、図示しないイグニッションスイッチがオン(ON)する等することで、燃料ポンプ3が駆動され、燃料タンク内に燃料が燃料ポンプ3により吸い上げられる。吸い上げられた燃料は、プレッシャレギュレータ4により調圧され、低圧燃料が高圧ポンプ5へ供給される。高圧ポンプ5によって所定の燃料に加圧され、加圧された燃料が燃料分配管8へ供給される。燃料分配管8へ供給された燃料は、プレッシャレギュレータ9により所定の高圧燃料に調圧されて、燃料分配管8内の各分配口から燃料噴射弁2へ供給される。
燃料噴射弁2の燃料噴射時には、燃料噴射弁2のコイル60に電流が供給され、ニードル30が弁座14から離座しリフトを開始すると、弁部2aは開弁され燃料の噴射を開始する。燃料は、噴孔21から噴射され噴霧化されてエンジン100の燃焼室106等へ供給される。一方、燃料噴射停止時には、コイル60への電流供給が停止され、スプリング58によりニードル30のリフトが減少する。そして、ニードル30が弁座14に着座すると、噴射が終了する。コイル60への通電期間を調節することにより、燃料噴射弁2から噴射される燃料(燃料噴霧)の噴射期間つまり燃料噴射量が調節される。
さらに、本実施形態では、エンジン100の運転状態が、長期間運転や高負荷運転等の、燃料噴射弁2の先端部にデポジットが付着するおそれがある運転状態であっても、導体81、82間に電圧を印加し、ペルチェ効果回路に電流を流すことにより、燃料噴射弁2の先端部が接合部84の吸熱作用で冷却され、従ってデポジットの付着が抑制される。
さらになお、本実施形態では、接合部83の発熱作用により燃料分配管8内の燃料を加熱することができる。したがって、燃料の加熱により噴射燃料の蒸発を促進できるので、エンジン100の良好な燃焼が得られる。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、異なる金属からなる二種類の導体81、82の両端間を接合する二つの接合部83、84と、導体81、82間に電力を供給する電力供給装置91a、91b(詳しくはECU90)とを備え、二つの接合部83、84のうちの一方の接合部84を燃料噴射弁2の先端部に配置し、導体81、82間にECU90により電圧をかけることで、その先端部側で吸熱させるように構成されている。これにより、燃料噴射弁2先端温度をペルチェ効果により冷却することができるので、燃料噴射弁2先端へのデポジット付着を抑制することができる。
なお、導体81、82間に印加する電圧の大きさ等を変更することにより、先端部84の吸熱量を可変することが可能であるので、エンジン100のエンジン100の運転状態に係わらず、燃料噴射弁2の先端部へのデポジットの付着抑制が図れる。
(2)なお、本実施形態では、二つの接合部83、84のうちの他方の接合部83を、燃料噴射弁2へ燃料を供給する燃料通路の一部(詳しくは燃料分配管8)に配置されている。これにより、導体81、82間に電圧を印加し、ペルチェ効果回路に電流を流すことで、接合部83の発熱作用により燃料分配管8内の燃料を加熱することができる。したがって、噴射燃料の蒸発を促進でき、従ってエンジン100の良好な燃焼が得られる。
(3)なお、接合部83の配置する部位を、燃料噴射弁2とは異なる燃料供給部材(本実施例では燃料分配管8)内の燃料通路としたが、燃料噴射弁2内の燃料通路とするように構成してもよい。これにより、噴射燃料の蒸発を促進でき、従ってエンジン100の良好な燃焼が得られる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した接合部84を配置した燃料噴射弁2先端において、図4に示すように、先端部温度を検出する構成とする。図4は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図5は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。図6は、本実施形態に係わる制御処理を説明する模式図であって、先端部の温度と、導体間に印加する電圧特性との関係を説明するグラフである。
図4に示すように、導体81、82間に生じる電圧を計測する電圧計193を設ける。なお、電圧計193は、ECU90内の一機能として構成されるようにしてもよい(図4参照)。なお、本実施形態では、ECU90に導体81、82間に生じる電圧を計測する電圧検出機能を有するものとして説明する。
また、本実施形態では、燃料噴射弁2へ燃料を供給する燃料分配管8等の燃料供給部材内の燃料の温度を検出する燃料温度センサ(図示せず)が設けられている。
導体81、82間に電圧が印加されない状態で、燃料噴射弁2の先端部と燃料分配管8(詳しくは燃料分配管8内の燃料)の間に温度差が生じている場合には、ゼーベック効果により導体81、82間に起電力が発生する。ゼーベック係数をSAB、起電力をV、燃料温度をT0、先端部(詳しくは噴孔プレート20)温度をT1とすると、V=SAB(T1−T0)の起電力が発生する。電圧計193で起電力Vを計測し、燃料温度センサにより燃料温度T0を計測することで、燃料噴射弁2の先端部温度T1を算出することが可能となる。そこで、ECU90は、燃料噴射弁2の先端部温度T1がデポジット付着する温度(例えば100℃)T2を越えた場合には、両導体81、82間に電圧を印加し、接合部84の吸熱作用により先端部温度T1を、例えば所定の温度T3以下まで低下させるようにする。なお、上記先端部に残留する未燃燃料が燃焼以外の化学反応を起こしたり、燃料中の不純物が析出することによりデポジット(炭素系の化合物)が生じるため、デポジットは先端部温度T1の上昇により付着し易くなる。上記デポジット付着する温度T2は、例えばデポジットが付着し易くなる下限温度とする。
なお、ここで、ECU90は、導体81、82間に電圧が印加されない状態で導体81、82間に生じる起電力Vとに基づいて燃料噴射弁2の先端部温度T1を算出する機能を有する。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特に燃料噴射弁2の先端部温度T1を算出等により検出し、先端部温度T1が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理の一実施例について、図5に従って説明する。図5に示すように、S1101(Sはステップ)、S1102、およびS1103の制御処理では、燃料噴射弁2の先端部温度T1を導体81、82間の電圧V1と燃料温度T0とに基づく算出により先端部温度T1を検出する。S1101では、燃料温度センサにより燃料温度T0の計測いわゆるモニタを開始する。S1102では、ゼーベック効果による両導体81、82間の電圧V1を電圧計193により計測する。S1103では、ECU90は、計測した電圧V1と燃料温度T0とに基づいて先端部温度T1を算出する。
なお、以下本実施形態では、S1101、S1102、およびS1103の制御処理を、先端部温度T1を検出する制御処理を構成し、その制御処理をS1104と呼ぶ。なお、ここで、S1101、S1102、およびS1103の制御処理は、請求範囲に記載の先端部の温度T1を検出する検出手段を構成する。
S1105では、S1104にて算出により先端部温度T1が検出されると、検出した先端部温度T1が所定の温度(以下、第1温度と呼ぶ)T2を超えているか否かを判定する。先端部温度T1が第1温度T2を超えているならば、燃料噴射弁2の先端部にデポジットが付着するおそれがある状態であると判断し、S1106へ移行する。逆に、先端部温度T1が第1温度T2未満であるならば、先端部温度T1が第1温度T2を超える状態になるまでS1104へ繰り返す。
S1106では、導体81、82間に電圧を印加し、S1109へ移行する。S1106処理中の電圧印加時には、ゼーベック効果を利用した先端部温度T1検出を行なうことができないため、S1109では、電圧印加時間が所定の時間t1を経過後に電圧印加を一時中止する。その後、S1101、S1102、およびS1103の制御処理つまりS1104の制御処理を実行して、電圧印加後の先端部温度T1を確認する。
電圧印加後の先端部温度T1を確認すると、S1115では、電圧印加後の先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する。その先端部温度T1が第1温度T2を超えているならば、電圧印加による接合部84の吸熱つまり先端部温度T1の低下不足であると判断し、S1116へ移行する。逆に、その先端部温度T1が第1温度T2未満になっているならば、電圧印加による接合部84の吸熱効果があったと判断し、S1126へ移行する。
S1116では、接合部84の吸熱効果が増大するように、電圧を増大して印加し、S1109へ移行する。
S1126では、S1115にて電圧印加による接合部84の吸熱効果があったと判断されると、電圧印加を中止または電圧値を低下するようにする。その後、S1104へ戻り先端部温度T1の検出いわゆるモニタを継続していく。
なお、ここで、S1105およびS1106の制御処理は、請求範囲に記載の検出した先端部温度T1が所定の第1温度T2を超える場合には、導体81、82間に電圧を印加する温度制御手段を構成する。S1109の制御処理は、電圧印加時間が所定時間t1を経過すると、電圧印加を一時中止する一時中止手段を構成する。S1115の制御処理は、電圧印加後の先端部温度T1を所定の第1温度T2と比較判定する判定手段を構成する。
次に、上述した構成を有する本実施形態の燃料噴射装置の作動を図6に従って説明する。なお、図6は、上記制御処理による一実施例の先端部温度T1と、導体81、82間に印加する電圧V1特性との関係を示すタイムチャートである。図6において、本実施例を実線の特性で示し、本実施例との比較のために、冷却制御がない比較例を破線の特性で示している。
ECU90は、S1104の制御処理により先端部温度T1を検出する。S1105の制御処理により検出した先端部温度T1が第1温度T2を超えると判断されると、S1106およびS1109により導体81、82間に所定の時間t1印加される。所定の時間t1経過すると、電圧印加を一時中止され、S1104の制御処理により電圧印加後の先端部温度T1を確認する。S1115の制御処理により確認したその先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判断する。図6に示すように、その先端部温度T1が第1温度T2を超えている(図中の左側の星印)場合には、S1116の制御処理にて印加電圧を増大させ、電圧印加による吸熱効果の増大を図る。電圧の増大した印加時間が所定の時間t1経過すると、電圧印加を一時中止され、増大した電圧の印加後の先端部温度T1が確認される。図6に示すように、その先端部温度T1が第1温度T2未満(図中の右側の星印)の場合には、電圧印加を中止し(S1126の制御処理)、先端部温度T1のモニタを継続する。先端部温度T1が第1温度T2を超えると、図6に示すように、電圧印加および電圧印加一時中止状態での先端部温度T1の確認が繰り返される。これにより、燃料噴射弁2の先端部温度T1をモニタ可能となり、エンジン100のいかなる運転状態に係わらず、先端部温度T1をデポジット付着を抑制可能な温度に維持することができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、先端部温度T1を検出する検出手段として、導体81、82間に電圧を印加していない状態での電圧V1を計測し、導体81、82間の電圧V1とに基づいて先端部温度T1を算出する。これにより、導体81、82間に発生するゼーベック効果による起電力で生じる電位V1を計測するので、先端部温度T1を判断することができる。したがって、先端部温度T1によりデポジットが付着するおそれがある状態であるか否かを判定することが可能である。
(2)なお、本実施形態では、上記検出した先端部温度T1が所定の第1温度T1を超える場合には、導体81、82間に電圧を印加させる制御処理(詳しくは、S1105およびS1106)を実行する。これにより、先端部温度T1が所定の第1温度T1を超える場合には、接合部84の吸熱効果により先端部を冷却し、先端部温度T1を低下するように温度制御することが可能である。なお、先端部温度T1がデポジットの付着し易い第1温度T1を超える場合には、先端部を冷却してデポジットの付着抑制ができる。
(3)さらになお、本実施形態では、先端部温度T1の温度制御手段として、上記S1105およびS1106の制御処理に加え、さらに電圧印加時間が所定時間t1を経過すると、電圧印加を一時中止する制御処理(詳しくは、S1109)を実行する。これにより、導体81、82間は電圧が印加されていない状態になるので、ゼーベック効果による先端温度の検出ができる。
さらに、その後、電圧印加後の先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する制御処理(詳しくは、S1115)を実行する。これにより、電圧印加による接合部84の吸熱つまり冷却効果が、先端部温度T1を第1温度T2未満にする程あったか否かを判断することができる。
したがって、先端部温度T1をモニタしながら、先端部温度T1をデポジット付着を抑制可能な温度に維持することが可能である。
(4)さらになお、本実施形態では、電圧印加後の先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、電圧を増大して印加する制御処理(詳しくは、S1116)を実行する。これにより、電圧印加後の先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、接合部84の吸熱つまり先端部の冷却効果を増大させるようにでき、従って先端部温度T1をデポジット付着を抑制可能な温度に維持することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した先端部温度T1の温度検出手段を、ゼーベック効果による導体81、82間の電圧V1とに基づく温度算出により間接的に検出する方法に代えて、図7に示すように、先端部温度T1を直接検出する構成とする。図7は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図8は、図7中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。図9は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、温度調節部202cは、ペルチェ回路(詳しくは、両導体81、82、および両接合部83、84)と、電力供給装置91a、91bと、熱電対95および温度計測器96からなる温度検出装置とを備えている。なお、ペルチェ回路および電力供給装置91a、91bは第1実施形態で説明したので説明を省略する。
温度検出装置は、図7および図8に示すように、先端部温度T1を直接検出する周知構造の装置であって、例えば温度検出部が先端部に配置される熱電対95と、熱電対に発生する出力信号(以下、温度信号と呼ぶ)を増幅等して先端部温度T1を計測する温度計測器96からなる。なお、温度計測器96は、ECU90と別構成であっても、同一構成であってもよい。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特に燃料噴射弁2の先端部温度T1を検出し、先端部温度T1が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理の一実施例について、図9に従って説明する。S1204では、温度検出部を先端部に配置された熱電対95からの温度信号に基づいて先端部温度T1を検出し、S1105へ移行する。S1105では、検出した先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する。先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、S1106へ移行する。逆に、先端部温度T1が第1温度T2未満である場合には、先端部温度T1が第1温度T2を超えるまでS1204へ繰り返す。
S1106では電圧印加する。S1204では、電圧印加している先端部温度T1をモニタし、S1115へ移行する。
S1115では、電圧印加している先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する。電圧印加している先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、S1116へ移行する。逆に、電圧印加している先端部温度T1が第1温度T2未満である場合には、S1126へ移行する。
S1116では、電圧印加による吸熱効果が増大するように、印加電圧を増大させ、S1204へ移行し、S1204で電圧印加しながら、先端部温度T1をモニタする。S1126では、S1115にて電圧印加による吸熱効果があったと判断されると、電圧印加を中止または電圧値を低下するようにする。その後、S1204へ戻り先端部温度T1のモニタを継続していく。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)この様に構成しても、第2の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(2)さらに、本実施形態では、導体81、82間に電圧を印加する動作と、先端部温度T1を検出する動作を同時に行なうことができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第2の実施形態で説明した電力供給装置を、導体81、82間に電圧を印加する装置91a、91bに代えて、図10に示すように、導体81、82間に電圧を印加するときの通電方向を切換え可能な装置91a、91b、292a、292bとする。図10は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図11は、本実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度と所定温度とを比較し、所定温度未満の場合は先端部を加熱し、所定温度を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、電力供給装置91a、91b、292a、292bは、電源91aと、電源91aの電圧とは逆方向の電圧(以下、負電圧と呼ぶ)の電源292aと、これら電源から導体81、82への電圧の印加を断続するスイッチ装置91b、292bとを備えている。なお、本実施形態では、電力供給装置91a、91b、292a、292bは、ECU290内の一機能として構成されている。具体的には、ECU290は、内部に四つのスイッチング素子からなる周知のHブリッジ回路を有するものに限らず、導体81、82間に電圧を印加するときの通電方向を切換える機能を有するものであればいずれの構成でもよい。
ECU290により導体81、82間に電圧を印加する場合には、先端部で接合部84による吸熱、燃料分配管8内で接合部83による発熱が生じる。逆に、導体81、82間に負電圧を印加する場合には、先端部で接合部83による発熱、燃料分配管8内で接合部84による吸熱が生じる。
次に上述した構成を有する燃料噴射装置の制御方法、特に燃料噴射弁2の先端部温度T1を検出し、先端部温度T1が所定温度T3未満の場合に先端部を加熱し、先端部温度T1が所定温度T2を超える場合に先端部を冷却する制御処理の一実施例について、図11に従って説明する。S1104では、ゼーベック効果による導体81、82間の電圧V1とに基づいて先端部温度T1を検出し、S1305へ移行する。
S1305では、検出した先端部温度T1が所定の温度(以下、第2温度と呼ぶ)T3未満であるか否かを判定する。先端部温度T1が第2温度T3未満の場合には、S1306へ移行する。逆に、先端部温度T1が第2温度T3を超えている場合には、S1307へ移行する。
S1306では、S1305にて先端部温度T1が第2温度T3未満であると判断されると、先端部が発熱するように、負電圧を印加し、S1104へ戻り負電圧印加後の先端部温度T1を検出する。
S1307では、検出した先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する。先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、S1308へ移行する。逆に、先端部温度T1が第1温度T2未満である場合には、先端部温度T1が第1温度T2を超えるまでS1104へ繰り返す。
S1308では、導体81、82間に電圧を印加し、S1109へ移行する。S1108処理中の電圧印加時には、ゼーベック効果を利用した先端部温度T1検出を行なうことができないため、S1109では、電圧印加時間が所定の時間t1を経過後に電圧印加を一時中止する。その後、S1101、S1102、およびS1103の制御処理つまりS1104の制御処理を実行して、電圧印加後の先端部温度T1を確認する。
S1115では、電圧印加後の先端部温度T1が第1温度T2を超えているか否かを判定する。その先端部温度T1が第1温度T2を超えている場合には、S1116へ移行する。逆に、その先端部温度T1が第1温度T2未満になっている場合には、S1126へ移行する。S1116では、接合部84の吸熱効果が増大するように、電圧を増大して印加し、S1109へ移行する。S1126では、電圧印加を中止または電圧値を低下するようにする。その後、S1104へ戻り先端部温度T1の検出いわゆるモニタを継続していく。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)この様に構成しても、第2の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(2)また、例えば低温始動時や暖機時等の先端部温度T1が比較的低い状態では、燃料を加熱するよりも先端部温度を高める方が、燃焼が改善される場合がある。
これに対して本実施形態では、先端部温度T1が第2温度T3未満である場合には、導体81、82間に負電圧を印加させるので、先端部を発熱作用により加熱することができる。したがって、低温始動時や暖機時等の先端部温度T1が比較的低い状態の場合において、先端部を加熱して燃焼改善が図れる。したがって、エンジン100の運転状態に係わらず、燃料噴射弁2の先端部へのデポジット付着を抑制可能で、かつ燃焼改善が図れる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、第4の実施形態で説明した温度調節部2cのうち、燃料分配管8内に配置した接合部83に代えて、図12に示すように、燃料噴射弁2内の燃料通路に配置した接合部383とする。図12は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。
図12に示すように、接合部383は、燃料噴射弁2の弁ハウジング16内の燃料通路の一部に配置されている。なお、接合部383の配置される部位は、燃料噴射弁2内の燃料通路であれば、弁ハウジング16内、筒部材40内等の弁部2a内や電磁駆動部2b内のいずれであってもよい。
この様に構成しても、第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(他の実施形態)
以上説明した本実施形態おいて、導体81、82は、異なる金属として説明したが、異なる導線に限らず、異なる半導体からなるものであってもよい。
なお、以上説明した本実施形態では、燃料の噴射を遮断および許容する弁部Bと、噴霧形成手段を有する噴孔プレート20とを有する燃料噴射弁2として説明したが、噴孔プレート20はなく、弁ボディ12の弁座14の下流側に噴孔21が配置され、噴霧形成手段を有する弁部であってもよい。
さらになお、以上説明した本実施形態において、導電81、82間で起電力発生時には、車載用バッテリ等の蓄電装置を用いて発生した起電力を蓄えるように構成してもよい。これにより、蓄えられた起電力の電気エネルギは、導電81、82間に電圧印加時の補助エネルギとして利用できる。
さらになお、以上説明した本実施形態では、燃料噴射弁を気筒に設け、燃料を燃焼室に直接噴射するものとして説明したが、燃料噴射弁を吸入ポート等の吸気管に設け、いわゆる吸気管噴射するものであってもよい。
本発明の第1の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図1中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 図1の燃料噴射装置を搭載する内燃機関の一実施例の概略構成を示す模式図である。 第2の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 第2の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係わる制御処理を説明する模式図であって、先端部の温度と、導体間に印加する電圧特性との関係を説明するグラフである。 第3の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 図7中の燃料噴射弁の先端部を示す模式図であって、弁部における噴孔周縁の周りを示す部分的断面図である。 第3の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度が所定を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。 第4の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 第4の実施形態に係わる制御処理を示す図であって、先端部の温度と所定温度とを比較し、所定温度未満の場合は先端部を加熱し、所定温度を超える場合に先端部を冷却する制御処理を示すフローチャートである。 第5の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。
符号の説明
2 燃料噴射弁
2a 弁部
2b 電磁駆動部
2c 温度調節部
8 燃料分配管(燃料供給部材)
12 弁ボディ
20 噴孔プレート
21 噴孔(噴射部)
30 ニードル(弁部材)
80 ペルチェ効果回路(ゼーベック効果回路)
81、82 導体
83、84 接合部
85 絶縁性部材
90 ECU(制御手段)
91a スイッチ装置
91b 電源
100 エンジン(内燃機関)

Claims (8)

  1. 気筒内に燃焼室と、前記燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射弁とを有し、空気と燃料が混合した可燃混合気または燃料に点火により着火する内燃機関に用いられ、
    前記燃料噴射弁を備え、その先端部側に設けられた噴射部から前記燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
    異なる金属からなる二種類の導体の両端間を接合する二つの接合部と、
    前記導体間に電力を供給する電力供給装置とを備え、
    前記二つの接合部のうちの一方を前記先端部に配置し、
    前記導体間に前記電力供給装置により電圧をかけ、前記先端部側で吸熱させることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記二つの接合部のうちの他方は、放熱する部位に配置され、
    前記放熱する部位は、前記燃料噴射弁とは異なる燃料供給部材内の前記燃料噴射弁へ燃料を供給する燃料通路の一部をなしていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記二つの接合部のうちの他方は、放熱する部位に配置され、
    前記放熱する部位は、前記燃料噴射弁内の燃料通路をなしていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記先端部の温度を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出した前記先端部の温度が所定の第1温度を超える場合には、前記電力供給装置で電圧を印加させる温度制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記検出手段は、前記導体間に生じる電位に基づいて前記先端部の温度を判定する特徴とする請求項4に記載の燃料噴射装置。
  6. 前記検出手段により検出した前記先端部の温度が所定の第2温度未満である場合には、前記電力供給装置で負電圧を印加させる温度制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  7. 請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置において、
    前記温度制御手段は、
    印加時間が所定時間を経過すると一時印加を中止する一時印加中止手段と、
    前記検出手段により前記先端部の温度を検出し、その温度に基づいて前記第1温度および前記第2温度のうち少なくとも一方と比較判定する判定手段とを備えていることを特徴とする燃料噴射装置。
  8. 請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置において、
    前記温度制御手段は、前記導体間に電圧を印加するときの前記電力供給装置の通電方向を切換える切換手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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