JP2011174390A - インジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】形状複雑化及びコスト増大を招くことなく、機関低温時に適した燃料噴射が可能なインジェクタを提供する。
【解決手段】ニードル14のリフト量を制御室21の圧力変化により制御するインジェクタ10において、燃料低温時に燃料噴射量が段階的に所定燃料噴射量まで増加するブーツ噴射が行われると共に、燃料高温時には燃料噴射量が略一定の加速度で上記所定燃料噴射量まで増加する通常噴射が行われるように、アーマチャ38のリフト量L、入口オリフィス34の有効面積Ain及び出口オリフィス35の有効面積Aoutを設定した。
【選択図】図3

Description

本発明は、機関の燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタに係り、特に、ディーゼル機関での使用を目的とした、ニードルのリフト量を制御室の圧力変化により制御するインジェクタに関する。
図6及び図7にディーゼル機関(ディーゼルエンジン)で使用されているコモンレール式燃料噴射装置で使用されるインジェクタ(ソレノイド駆動型インジェクタ)の概略図を示す。
図6及び図7に示すように、インジェクタ60は、先端部に噴孔61が形成されたボディ62と、ボディ62内に形成された収容穴63に移動可能に収容され噴孔61を開閉するニードル64と、ニードル64と収容穴63とで区画形成され、燃料が導入される制御室65と、制御室65の入口を為し燃料を制御室65に導入する入口オリフィス66と、制御室65の出口を為し燃料を制御室65から排出する出口オリフィス67と、出口オリフィス67を開閉するアーマチャ68を有する制御弁69とを備える。
制御弁69のソレノイド70に電流を引加するとアーマチャ68が上昇する(図7参照)。コモンレールから供給された燃料が制御室65に導かれており、制御室65の出口を為す出口オリフィス67を開放すると、制御室65の入口を為す入口オリフィス66による圧力損失によって、制御室65の圧力はコモンレール圧力に対して低下する。ニードル64の上下端部にかかる圧力のバランスが崩れ、ニードル64は上昇し、燃料が噴孔61から噴射される。
一般的には機関の運転条件に従って、ソレノイド通電時間及びコモンレール圧力を変化させることにより、機関の負荷(燃料噴射率)を制御する。燃料噴射速度の時間変化を示す噴射率波形は、主にソレノイド通電時間によって噴射終了時期が異なり、コモンレール圧力によって燃料噴射速度の最大値が異なる。
特開2007−9809号公報
ところで、機関低温時には、機関の燃焼室壁面温度が低いことから、燃焼室壁面に付着した燃料が十分に燃焼されず、未燃炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)の増大を招くことが知られている。近年、先進国の自動車排ガス規制は、機関低温時の排ガスについても評価するため、コールドスタート(低温始動)を運転モードに組み入れられていることから、環境対策の観点からも機関低温時の排ガス対策は不可欠であるといえる。
低温始動時の機関から排出されるHCの計測結果を図8に示す。運転開始直後、多量のHCが排出される。また、機関運転時間の経過に伴い、機関温度が上昇するため、HC排出量は低下する。さらに、機関の筒内温度が低い際、燃料噴射開始から着火に至るまでの着火遅れ時間は、暖機運転後の着火遅れ期間よりも長い。着火遅れ期間が長い場合、噴射された燃料は、吸入ガスとより混合され、急激な圧力上昇を伴う燃焼形態となる。そのため、低温始動時には、NOx排出量及び燃焼音が増加する。
一方、機関の運転条件に応じて、噴射開始初期の噴射率の傾き(加速度)を変化させることで、有害排出ガス・燃費・音を低減可能であることが知られているが、ソレノイドの代わりにピエゾ素子を用いたり、より複雑な形状となることによって、コストが増大すると考えられる。
そこで、本発明の目的は、形状複雑化及びコスト増大を招くことなく、機関低温時に適した燃料噴射が可能なインジェクタを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、噴孔が形成されたボディと、該ボディ内に形成された収容穴に移動可能に収容され前記噴孔を開閉するニードルと、該ニードルと前記収容穴とで区画形成され燃料が導入される制御室と、該制御室の入口を為し燃料を前記制御室に導入する入口オリフィスと、前記制御室の出口を為し燃料を前記制御室から排出する出口オリフィスと、該出口オリフィスを開閉するアーマチャを有する制御弁とを備え、前記ニードルのリフト量を前記制御室の圧力変化により制御するインジェクタにおいて、燃料低温時に燃料噴射量が段階的に所定燃料噴射量まで増加するブーツ噴射が行われると共に、燃料高温時には燃料噴射量が略一定の加速度で前記所定燃料噴射量まで増加する通常噴射が行われるように、前記アーマチャのリフト量、前記入口オリフィスの有効面積及び前記出口オリフィスの有効面積を設定したものである。
前記アーマチャは、前記出口オリフィスの穴径よりも大径の円盤状に形成された弁体を有するものであっても良い。
燃料低温時にブーツ噴射となるよう、前記制御弁のソレノイドに通電する初期の電流値を増減することにより前記アーマチャの開口過程の有効面積を変化させ、燃料低温時のみブーツ噴射を行うようにしても良い。
本発明によれば、形状複雑化及びコスト増大を招くことなく、機関低温時に適した燃料噴射が可能なインジェクタを提供することができるという優れた効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインジェクタが使用される燃料噴射装置の概略図であり、無噴射状態を示す。 図2は、本発明の一実施形態に係るインジェクタが使用される燃料噴射装置の概略図であり、噴射状態を示す。 図3(a)は図1の要部拡大図(アーマチャ閉弁時)であり、図3(b)は図2の要部拡大図(アーマチャ開弁時)である。 図4は暖機後運転時(機関高温時)の噴射特性を示すグラフであり、図4(a)はソレノイド印加電流を示し、図4(b)はアーマチャリフト量を示し、図4(c)はニードルリフト量を示し、図4(d)は燃料噴射率波形を示す。 図5は機関低温時の噴射特性を示すグラフであり、図5(a)はソレノイド印加電流を示し、図5(b)はアーマチャリフト量を示し、図5(c)はニードルリフト量を示し、図5(d)は燃料噴射率波形を示す。 図6は、従来のインジェクタの概略図であり、無噴射状態を示す。 図7は、従来のインジェクタの概略図であり、噴射状態を示す。 図8は、低温始動時の機関から排出されるHCの計測結果を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態に係るインジェクタは、ソレノイド駆動型インジェクタであって、例えば、車両に搭載されるディーゼル機関のコモンレール式燃料噴射装置で使用される。
まず、燃料噴射装置の概略構造を図1に基づき説明する。
図1に示すように、コモンレール式燃料噴射装置は、燃料(例えば、軽油、DME等)が貯留された燃料タンク1と、燃料タンク1内の燃料を機関側に圧送するための圧送ポンプ2と、圧送ポンプ2からの燃料を所定の噴射圧(コモンレール圧力、例えば、数十〜数百MPa程度)まで昇圧する噴射ポンプ3と、噴射ポンプ3で昇圧された高圧燃料を蓄圧(貯留)するコモンレール4と、コモンレール4から分配、供給される燃料を機関の燃焼室内に噴射する為の複数のインジェクタ10と、インジェクタ10の噴射時期、噴射回数や噴射ポンプ3の作動圧(コモンレール圧力)を制御するための制御手段5とを備える。
燃料タンク1とコモンレール4とが燃料供給ライン6で接続され、コモンレール4とインジェクタ10とが高圧管7で接続される。燃料供給ライン6には上流側から順に、圧送ポンプ2と噴射ポンプ3とが配設される。
また、インジェクタ10と燃料タンク1とは、余剰燃料を戻すための燃料戻しライン8で接続され、その燃料戻しライン8に、噴射ポンプ戻し管9を介して噴射ポンプ3が接続される。
次に、インジェクタ10の概略構造を図1及び図2に基づき説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るインジェクタ10は、上下方向に延び、下端部(先端部)に複数の噴孔11が形成されたボディ12と、ボディ12に形成された収容穴13内に上下方向に移動可能に収容され、噴孔11を開閉するニードル14とを備える。
本実施形態のニードル14は、複数の外径の異なる円柱部材を上下方向に接合したような形状に形成されている。具体的には、ニードル14は、上方から順に、ニードル14の上端部(基端部)に形成されたコマンドピストン15と、コマンドピストン15の下方にコマンドピストン15に連続して形成された小径部16と、小径部16の下端から下方に延びる連結部17と、連結部17の下方に連結部17に連続して形成されたノズルピストン18と、ノズルピストン18の下端から延びニードル14の下端部(先端部)に位置して噴孔11を開閉する弁本体19とを有する。これらコマンドピストン15、小径部16、連結部17、ノズルピストン18及び弁本体19は、一体的に形成される(例えば、一つの部品として形成される)。
コマンドピストン15は、円柱状に形成されている。コマンドピストン15の上面20は、収容穴13の後述する制御室21内の高圧燃料からの圧力(燃料圧)を受け、ニードル14を下方(閉弁方向)に移動するための閉弁側受圧面をなす。
小径部16は、コマンドピストン15よりも小径の円柱状に形成されている。
連結部17は、小径部16よりも小径の円柱状に形成されている。
ノズルピストン18は、連結部17よりも大径で且つコマンドピストン15よりも小径の円柱状に形成されている。ノズルピストン18の下面22(弁本体19との接続部分を除く)は、収容穴13の後述するノズル室23内の燃料圧を受け、ニードル14を上方(開方向)に移動するための開弁側受圧面をなす。
弁本体19は、ノズルピストン18の下端から下方に延びる円柱状の基部24と、基部24の下方に基部24に連続して形成され、且つ下方に至るにつれ縮径された円錐状に形成されたコーン部25とを有する。本実施形態では、基部24の外径は、連結部17の外径よりも大きく、ノズルピストン18の外径よりも小さく形成される。
ボディ12内には、噴孔11から上方に延び、ニードル14を収容する収容穴13と、収容穴13に高圧管7からの高圧燃料を供給する供給油路26と、収容穴13からリークされ又は排出された燃料を燃料戻しライン8に戻す戻し油路27とが形成される。
収容穴13は、上方から順に、コマンドピストン15を摺動可能に収容するコマンドピストン収容部28と、コマンドピストン収容部28の下方に位置して、ノズルピストン18を下方に付勢するスプリング29を収容するスプリング収容部30と、スプリング収容部30から下方に延び、ノズルピストン18を摺動可能に案内(支持)するノズルピストン案内部31と、ノズルピストン案内部31から下方に噴孔11まで延びる蓄圧室形成部32とを有する。
コマンドピストン収容部28は、断面円形に形成され、且つ、コマンドピストン15の外径よりも僅かに大きい内径を有する。本実施形態では、コマンドピストン収容部28の上下方向長さはコマンドピストン15の上下方向長さよりも長く形成される。
コマンドピストン収容部28の上部には、コマンドピストン15を下方(ニードル14の閉方向)に移動する為に高圧燃料が導入される制御室21が形成される。具体的には、コマンドピストン収容部28の上方のボディ12内に、コマンドピストン収容部28(収容穴13)の上端部を閉塞する略円盤状の閉塞部33が形成され、閉塞部33の下面とコマンドピストン収容部28の上部側壁とコマンドピストン15の上面20とにより、制御室21が区画形成される。
コマンドピストン収容部28の上部側壁には、制御室21の入口を為す入口オリフィス34が貫通形成され、入口オリフィス34はボディ12内に形成された供給油路26に接続される。また、閉塞部33には、制御室21の出口を為す出口オリフィス35が貫通形成される。出口オリフィス35は、閉塞部33の上方に配設された制御弁36(本実施形態では、2ウェイバルブ)により開閉され、且つ制御弁36を収容する制御弁収容室37を介してボディ12内に形成された戻し油路27に接続される。
制御弁36は、出口オリフィス35の出口を開閉する為のアーマチャ38と、アーマチャ38を下方(閉方向)に付勢する為のアーマチャスプリング39と、アーマチャスプリング39の付勢力に抗してアーマチャ38を上方(開方向)に移動する為のソレノイド(電磁石)40とを有する。
本実施形態のアーマチャ38は、複数の外径の異なる円盤部材或いは円柱部材を上下に接合したような形状に形成されている。本実施形態のアーマチャ38は、上方から順に、アーマチャ38の上端部に形成された円盤状の鍔部41と、鍔部41の下端から下方に延び、円柱状に形成された連結部42と、連結部42の下方に連結部42に連続して形成され、出口オリフィス35の出口に対して近接離反される弁体43とを有する。本実施形態の弁体43は、出口オリフィス35の穴径よりも大径の円盤状に形成されている。本実施形態では、弁体43の直径D1を出口オリフィス35の穴径D2の約3倍に設定している(図3(b)参照)。これら鍔部41、連結部42及び弁体43は、一体的に形成される(例えば、一つの部品として形成される)。
コマンドピストン収容部28の下部は、ニードル14の閉弁時(図1参照)におけるコマンドピストン15及び小径部16の下面よりも下方に延び、コマンドピストン15とコマンドピストン収容部28との間を通ってリークしたリーク燃料を溜める下部空間44を区画形成する。この下部空間44は、スプリング収容部30に接続され、下部空間44のリーク燃料がスプリング収容部30及びリーク油路45を介して戻し油路27に回収される。
ノズルピストン案内部31は、断面円形に形成され、且つ、ノズルピストン18の外径よりも僅かに大きい内径を有する。本実施形態では、ノズルピストン案内部31の上下方向長さはノズルピストン18の上下方向長さよりも短く形成される。
蓄圧室形成部32は、ノズルピストン案内部31の下端から下方に延び、弁本体19の基部24を囲繞する大径部46と、大径部46の下端から下方に延び、弁本体19のコーン部25を囲繞する弁座部47とで構成される。
蓄圧室形成部32の大径部46の壁面と、ノズルピストン18の下面22とにより、ノズルピストン18を上方(ニードル14の開方向)に移動する為に高圧燃料が導入されるピストン室23が区画形成される。
本実施形態に係るインジェクタ10は、制御手段5に接続され、制御手段5から噴射時期、噴射回数を制御するための制御信号を受信する。具体的には、制御手段5は、制御弁36のソレノイド40に接続され、インジェクタ10の開弁時にソレノイド40を通電状態、閉弁時にソレノイド40を非通電状態に切り換えて、インジェクタ10を開閉制御する。
次に、本実施形態に係るインジェクタ10の開閉動作について説明する。
図1に示すように、インジェクタ10の無噴射時は、制御弁36のソレノイド40が非通電状態であり、アーマチャ38により制御室21の出口オリフィス35が閉じられる。このとき、ニードル14には、閉弁方向の力として、コマンドピストン15の上面20(閉弁側受圧面)が制御室21内の燃料から受ける下向きの力と、ノズルピストン18の上面がスプリング29から受ける下向きの力と、ノズルピストン18の下面22(開弁側受圧面)がノズル室23内の燃料から受ける上向きの力が作用する。無噴射時は、ニードル14に作用する下向きの力が上向きの力を上回り、ニードル14は下方に付勢されてニードル14の弁本体19がボディ12の弁座部47に着座する。弁本体19によりノズル室23と噴孔11とが遮断され、噴孔11から燃料が噴射されない。
一方、図2に示すように、インジェクタ10の噴射時は、制御弁36のソレノイド40が通電状態となり、アーマチャ38が制御室21の出口オリフィス35の出口から離反してリフト(上方に移動)する。これにより、制御室21内の燃料が出口オリフィス35を通り流出して、制御室21内の圧力が低下し、コマンドピストン15の上面20(閉弁側受圧面)が制御室21内の燃料から受ける下向きの力が低下する。制御室21内の圧力低下によりニードル14に作用する下向きの力が低下し、ニードル14に作用する下向きの力が上向きの力を下回ると、ニードル14は上向きに付勢されてリフト(上方に移動)する。その結果、ニードル14の弁本体19がボディ12の弁座部47から離反してノズル室23と噴孔11とが連通し、ノズル室23内の燃料が噴孔11から噴射される。
本実施形態に係るインジェクタ10の燃料移動過程の概略図を図3に示す。
制御室21の入口オリフィス34を通る燃料の流量、出口オリフィス35を通る燃料の流量、アーマチャ38がリフトすることにより形成されるアーマチャ開口部48(図3(b)参照;アーマチャ38の弁体43下面とボディ12内の閉塞部33上面との間に形成される円環状の隙間)を通る燃料の流量は以下の式(1)のように表される。
Figure 2011174390
ここで、Q:流量、Aeff:入口オリフィスの有効面積又は出口オリフィスの有効面積又はアーマチャ開口部の有効面積、ΔP:入口オリフィスの前後差圧又は出口オリフィスの前後差圧又はアーマチャ開口部の前後差圧、ρ:燃料密度である。
出口オリフィス35とアーマチャ開口部48は一連の流路であるため、アーマチャ開口部48の有効面積(カーテン面積)が出口オリフィス35の有効面積より小さい場合、制御室21から排出される燃料の流量はアーマチャ開口部48の有効面積に支配的となる。
アーマチャ38(制御弁36)が開弁し、制御室21の圧力が低下し、ニードル14が上昇する際、ニードル14の移動量(リフト量)に従って、制御室21の容積は減少する。ニードル14が上昇することによる制御室21の圧力上昇は以下の式(2)のように表される。
Figure 2011174390
ここで、ΔP:圧力変化量、κ:体積弾性係数、V:制御室容積(最大容積)、ΔV:制御室容積変化量である。
よって、ニードル14が上昇し、制御室21の容積が減少すると制御室21の圧力は増加する。
ニードル14の運動方程式は以下の式(3)のように表される。
Figure 2011174390
ここで、m:ニードル質量、c:減衰係数、k:バネ定数、x:ニードルリフト量、Flower:ニードル下端部にかかる力、Fupper:ニードル上端部にかかる力である。
ニードル14を動作させる力は、ニードル14上端部にかかる力及びニードル14下端部にかかる力によって生じる。制御室21の圧力は、主に出口オリフィス35からの燃料流出による制御室21の圧力低下量と、ニードル14が上昇し制御室21の容積を減少させたことによる制御室21の圧力上昇量とで決まる。ニードル14の動作速度は、ニードル14下端部にかかる圧力及び制御室21の圧力に関係する。
以上のことから、インジェクタ10を設計する際、ニードル14が適切に開閉弁するように、各オリフィス径(入口オリフィス34の穴径D3、出口オリフィス35の穴径D2)、アーマチャ38のリフト量L、制御室21の容積(最大容積)を決定する。
ここで、本実施形態では、燃料温度が低い機関低温時(低温始動時)に、燃料噴射率(燃料噴射量)が段階的に所定燃料噴射率(所定燃料噴射量)まで増加するブーツ噴射(図5(d)参照)が行われると共に、燃料温度が高くなる機関高温時(暖機後運転時)には、燃料噴射率が略一定の加速度で上記所定燃料噴射率まで増加する通常噴射(図4(d)参照)が行われるように、アーマチャ38のリフト量L、入口オリフィス34の有効面積Ain及び出口オリフィス35の有効面積Aoutを設定している。
具体的には、本実施形態では、制御室21の圧力をコモンレール圧力より低く、且つ出口オリフィス35の背圧よりも高くするため、出口オリフィス35の有効面積Aoutを入口オリフィス34の有効面積Ainよりも小さくしている。
ここで、制御室21内部の圧力は、質量保存則により以下の式のように表される。
Figure 2011174390
ここで、Pcom:コモンレール圧力、PCC:制御室圧力、Pback:インジェクタ内部背圧、Aneedle:ニードル上部断面積、Vcc:制御室容積である。
また、ニードル14が上昇することによる制御室21の圧力上昇量は、以下の式のように表される。
Figure 2011174390
ここで、ニードル14の動作が一時的に停止するとして、
Figure 2011174390
とすると、
Figure 2011174390
よって、ニードル14の動作が一時的に停止する入口オリフィス34の有効面積Ain及び出口オリフィス35の有効面積Aoutの関係式は、以下の式のように表される。
Figure 2011174390
上記関係式より、出口オリフィス35の有効面積Aoutを大きい値とし、アーマチャ38の開弁時の有効面積を一時的にαAinとなるよう設定することにより、ブーツ噴射となる。加えて、燃料温度によって、各部有効面積Ain及びAoutが変化するため、燃料特性を考慮することによって、機関低温時のみブーツ噴射を実行することが可能である。
例えば、出口オリフィス35の有効面積Aoutを入口オリフィス34の有効面積Ainの約0.2〜0.9倍に設定する。また、本実施形態では、アーマチャ38のリフト量Lを、アーマチャ開口部48の有効面積(カーテン面積)が出口オリフィス35の有効面積Aoutより大きくし、リフト過程で一時的に、有効面積がαAinとなるよう設定する。ただし、上記式ではニードル14の摺動部からの漏れ量が考慮されていないため、実際には実験やシミュレーション等の結果に基づいて決定されることが考えられる。
また、アーマチャ38の開弁過程は、アーマチャスプリング39のバネ力、ソレノイド40の吸引力及びアーマチャ38に作用する燃料等から受ける抵抗力によって定まる。各部有効面積による設定のみで、機関低温時(燃料低温時)にブーツ噴射が困難な場合や暖機後の噴射率波形が正常に保たれない場合、ソレノイド40に通電する初期の電流値を増減することによってもアーマチャ38の開口過程の有効面積を変化させ、機関低温時(燃料低温時)のみ適切にブーツ噴射とすることが可能である。その際、燃料温度やコモンレール圧力、制御室圧力、背圧などを計測し、フィードバック制御することも考えられる。
ここで、燃料温度が低い際、燃料密度が高くなるため、出口オリフィス35及びアーマチャ開口部48を通って制御室21から排出される燃料の流量が低下する。そのため、制御室21の圧力の低下速度は遅くなる。ニードル14が上昇することによる制御室21の圧力上昇量が、出口オリフィス35及びアーマチャ開口部48からの燃料流出による制御室21の圧力低下量よりも大きくなった場合、ニードル14上端部にかかる圧力が一時的に増加するため、ニードル14の動作速度は低下する。そのため、図5(d)に示すように、燃料温度が低い際(機関低温時)、燃料噴射率波形は燃料噴射率が段階的に所定燃料噴射率まで増加するブーツ噴射率形状となる。
一方、燃料温度が高い際、アーマチャ38のリフト量Lが燃料低温時と同じであっても(図4(b)及び図5(b)参照)、燃料密度が低くなるため、出口オリフィス35及びアーマチャ開口部48を通って制御室21から排出される燃料の流量は燃料低温時よりも上昇する。そのため、制御室21の圧力の低下速度は燃料低温時よりも早くなる。そのため、図4(d)に示すように、燃料温度が高い際(機関高温時)、燃料噴射率波形は燃料噴射率が略一定加速度で上記所定燃料噴射率まで増加する通常噴射率形状となる。
以上要するに、本実施形態によれば、機関低温時の燃料温度に対する流体特性を考慮したアーマチャ38のリフト量L、入口オリフィス34の有効面積Ain及び出口オリフィス35の有効面積Aoutに設定することにより、機関低温時(燃料低温時)では燃料噴射率波形が機関低温時に適したブーツ噴射率形状となり、機関高温時(燃料高温時)では燃料噴射率波形が通常噴射率形状となるインジェクタ10とすることができる。
機関低温時に燃料噴射率波形をブーツ噴射率形状とすることにより、噴射開始初期に噴射される燃料の到達距離を抑制し、燃料が機関の燃焼室壁面に付着することを防ぐことができるため、未燃炭化水素(HC)・一酸化炭素(CO)等の未燃排出物質の低減に寄与する。また、段階的に燃料を燃焼室内に供給するため、急激な燃焼とならず、燃焼音を低減でき、同時に主に高温時に生成される窒素酸化物(NOx)の排出量の低減に寄与する。
また、本実施形態では、各設計値(アーマチャ38のリフト量L、入口オリフィス34の有効面積Ain及び出口オリフィス35の有効面積Aout)を燃料温度に対して考慮するものであるため、インジェクタ10が複雑な形状とならず、従来の技術に応用するのが簡易である。
10 インジェクタ
11 噴孔
12 ボディ
13 収容穴
14 ニードル
21 制御室
34 入口オリフィス
35 出口オリフィス
36 制御弁
38 アーマチャ
43 弁体

Claims (3)

  1. 噴孔が形成されたボディと、該ボディ内に形成された収容穴に移動可能に収容され前記噴孔を開閉するニードルと、該ニードルと前記収容穴とで区画形成され燃料が導入される制御室と、該制御室の入口を為し燃料を前記制御室に導入する入口オリフィスと、前記制御室の出口を為し燃料を前記制御室から排出する出口オリフィスと、該出口オリフィスを開閉するアーマチャを有する制御弁とを備え、前記ニードルのリフト量を前記制御室の圧力変化により制御するインジェクタにおいて、
    燃料低温時に燃料噴射量が段階的に所定燃料噴射量まで増加するブーツ噴射が行われると共に、燃料高温時には燃料噴射量が略一定の加速度で前記所定燃料噴射量まで増加する通常噴射が行われるように、前記アーマチャのリフト量、前記入口オリフィスの有効面積及び前記出口オリフィスの有効面積を設定したことを特徴とするインジェクタ。
  2. 前記アーマチャは、前記出口オリフィスの穴径よりも大径の円盤状に形成された弁体を有する請求項1に記載のインジェクタ。
  3. 燃料低温時にブーツ噴射となるよう、前記制御弁のソレノイドに通電する初期の電流値を増減することにより前記アーマチャの開口過程の有効面積を変化させ、燃料低温時のみブーツ噴射を行うようにした請求項1又は2に記載のインジェクタ。
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