JP2007327411A - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルコール混合燃料が相分離した場合に燃焼状態の悪化を抑制する。
【解決手段】エンジン200には、エタノール混合燃料を貯留する燃料タンク215が備わる。貯留されたエタノール混合燃料が相分離した場合、燃料タンク215下層に溜まる水エタノールは、低圧ポンプ221の作用により除去され、水エタノールタンク222に貯留される。水エタノールが貯留されると、切り替え制御弁225の切り替え状態が、通常の二系統噴射に対応する状態から、吸気ポートインジェクタ214から燃料タンク215に残留するガソリンが、また直噴インジェクタ229から水エタノールタンク222に貯留される水エタノールが夫々噴射される状態へ制御され、直噴インジェクタ229からは、水エタノールにおけるエタノール濃度に応じて決定される直噴噴射比率に基づいて水エタノールが噴射される。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコール混合燃料を使用可能な内燃機関において燃焼状態を制御する内燃機関の燃焼制御装置の技術分野に関する。
この種の装置に係るものとして、始動性能を向上させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された始動制御方法(以下、「従来の技術」と称する)によれば、アルコール混合燃料が相分離した場合に、始動制御へ移行する前にアルコール混合燃料を予混合することによって、アルコール混合燃料中のアルコール濃度と実際に噴射される燃料中のアルコール濃度を一致させ、良好な始動性能を得ることが可能であるとされている。
尚、積極的に相分離を発生させ、先に水アルコール相を内燃機関で使用する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ガソリン貯留タンクとアルコール混合燃料タンクを備えるものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−26414号公報 特開平7−19124号公報 特開平5−209565号公報
従来の技術において予混合が不十分である場合、噴射される燃料におけるアルコール濃度は結局不安定となって始動性能が低下することがある。また、一旦アルコール混合燃料に相分離が発生すれば、予混合により一時的にアルコール濃度を均一に保っても再び相分離が発生する可能性が高いから、噴射される燃料におけるアルコール濃度は総じて不安定になり易い。即ち、従来の技術には、相分離発生時に内燃機関の燃焼状態が悪化しかねないという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、アルコール混合燃料が相分離した場合に燃焼状態の悪化を抑制することが可能な内燃機関の燃焼制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、ガソリンとアルコールとが混合されてなるアルコール混合燃料を貯留する第1貯留手段、該貯留されたアルコール混合燃料を吸気ポートに噴射可能な第1噴射手段及び前記貯留されたアルコール混合燃料を気筒内に噴射可能な第2噴射手段を備える内燃機関において燃焼状態を制御する内燃機関の燃焼制御装置であって、前記貯留されたアルコール混合燃料が、前記ガソリンと前記アルコールを含むアルコール燃料とに分離した状態として規定される相分離状態にあるか否かを判別する判別手段と、前記貯留されたアルコール混合燃料が前記相分離状態にある場合に前記第1貯留手段から前記アルコール燃料を除去する除去手段と、前記除去されたアルコール燃料を前記第1及び第2噴射手段のうち一方に供給し、且つ前記第1貯留手段に残留する前記ガソリンを前記一方に対応する他方に供給する供給手段と、前記供給されたアルコール混合燃料及びガソリンが噴射されるように前記一方及び他方を夫々制御する噴射制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明における「内燃機関」とは、燃料の燃焼を動力に変換する機関であって、特に、燃料として、ガソリンと、エタノールやメタノール等の各種アルコールとを混合してなるアルコール混合燃料を使用可能な機関を包括する概念である。尚、アルコール混合燃料におけるアルコールの濃度は、固定値であっても、或いは例えば燃料補給時の条件等に応じて、例えば0%から100%の範囲で変化する可変な値であってもよい。即ち、本発明に係る内燃機関は、所謂FFV(Flexible Fuel Vehicle)用の内燃機関として構成されていてもよい。
本発明に係る内燃機関には、前述したアルコール混合燃料を貯留する、例えば燃料タンク等の形態を採り得る第1貯留手段が備わる。更に、この貯留されたアルコール混合燃料を吸気ポートに噴射可能な、例えば電子制御式インジェクタ等の第1噴射手段と、同じくこのアルコール混合燃料を気筒内に直接噴射可能な、例えば電子制御式インジェクタ等の第2噴射手段とが備わる。
ここで特に、第1貯留手段内では、アルコール混合燃料におけるガソリンとアルコールとの混合状態が経時的に、例えば第1貯留手段内に何らかの理由で水が存在した場合等に変化することがあり、アルコール混合燃料が相分離することがある。ここで、本発明に係る「相分離」とは、アルコール混合燃料が、ガソリンとアルコールを含むアルコール燃料とに分離した状態を表す概念である。但し、アルコール混合燃料が相分離した状態において、ガソリン相からアルコールが、またアルコール燃料相からガソリンが、必ずしも完全に排除されている必要はなく、即ち、相分離とは、アルコール混合燃料が、少なくともガソリンとアルコールとが均一に混合されたものとして噴射に供された際に、燃焼状態の悪化等の問題が顕在化し得る程度に、ガソリンが支配的な燃料相とアルコール燃料が支配的な燃料相とに分離した状態を包括する概念である。尚、アルコール燃料とは、無論アルコールのみであってもよいが、第1貯留手段内に水が混入することによって相分離が顕著に生じ易くなることに鑑みれば、アルコール燃料とは、典型的にはアルコールと水との混合体である。
相分離したアルコール混合燃料が、何らの対策も施されることなく、第1及び第2噴射手段にアルコール混合燃料として供給された場合、第1及び第2噴射手段を介して噴射される燃料におけるアルコール濃度が不安定となり、例えば、好適にはアルコール混合燃料におけるアルコール濃度等に応じて最適化され得る内燃機関の各種運転条件が現状に整合しなくなって、燃焼状態が悪化しかねない。また、アルコール混合燃料が相分離した場合にガソリンのみを噴射に供すると、必然的に燃料の効率的な使用が阻害され、且つアルコール燃料に期待される燃焼温度低減の効果が得られないことに起因してノッキングが発生易くなり燃焼状態が悪化しかねない。更には、一旦相分離したアルコール混合燃料は、攪拌又は再混合を行っても再び相分離する可能性が高いから、或いは攪拌又は再混合の度合いによってはアルコール濃度が安定し難いから、結局燃焼状態が不安定となりかねない。
そこで、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、以下の如くにして係る問題を解決せしめている。即ち、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される、或いは更にそれらに例えば液面検出センサやフロートセンサ等の各種検出装置又はそれに準じる装置を適宜組み合わせてなる判別手段によって、アルコール混合燃料が相分離状態にあるか否かが判別される。
尚、判別手段に係る判別の態様は、アルコール混合燃料が相分離状態にあるか否かを、少なくとも実践的にみて問題が顕在化しない程度に正確に判別し得る限りにおいて何ら限定されない。
アルコール混合燃料が相分離状態にあると判別された場合、例えばデリバリパイプ等の管状部材、ポンプ等の圧送手段、或いはそれらを制御する例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の制御手段を適宜含む除去手段により、第1貯留手段からアルコール燃料が除去される。この際、ガソリンの比重がアルコールと比較して小さいことに鑑みれば、ガソリンは第1貯留手段内においてアルコール燃料よりも上層に貯留されるから、例えば第1貯留手段内部に連通する管路を第1貯留手段底部に接続してもよい。
この除去されたアルコール燃料は更に、管状部材やポンプ等の圧送手段及びそれらを制御する例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の制御手段を適宜含む供給手段によって、第1噴射手段及び第2噴射手段のいずれか一方に供給される。また、アルコール燃料が除去された後に第1貯留手段に残留するガソリンは、この供給手段により当該いずれか一方に対応する他方に供給される。
尚、係る供給手段の構成は、アルコール混合燃料を第1及び第2噴射手段に供給する供給系と少なくとも一部が共有されていてもよいし、相互に全く独立していてもよい。
このように、ガソリン及び除去されたアルコール燃料が夫々前述した他方及び一方に供給されると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成され得る噴射制御手段により、供給されたガソリン及びアルコール燃料が噴射されるように他方及び一方が夫々制御される。
尚、この場合、アルコール燃料は、燃料として内燃機関に係る燃焼に供されてもよいし、例えばノッキング抑制剤として、例えば内燃機関の燃焼温度等に応じて、より具体的には、例えば比較的燃焼温度が上昇し易いWOT(Wide Open Throttle)時に限定して噴射されてもよい。
このように、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置によれば、アルコール混合燃料が相分離した場合には、ガソリンとアルコール燃料とが、夫々相互に異なる噴射手段を介して噴射され、例えば内燃機関における燃焼に供される。或いはアルコール燃料がノッキングを抑制するためのノッキング抑制剤として噴射に供される。従って、アルコール濃度が安定しないことによる燃焼状態の悪化が抑制される。即ち、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置によれば、アルコール混合燃料の相分離時における燃焼状態の悪化を抑制することが可能となるのである。
尚、第1貯留手段内部に存在する水によってアルコール混合燃料が相分離した場合、アルコール燃料は、高い確率でアルコールと水とから構成される。この場合、アルコール燃料におけるアルコール濃度は、第1貯留手段内に存在する水の量と、元々第1貯留手段に貯留されていたアルコール混合燃料におけるアルコール濃度と、アルコール混合燃料の残量等に応じて、例えば限りなくゼロに近い(即ち、ほとんど水である)値から限りなく100%に近い(即ち、ほとんどアルコールである)値まで変化し得るが、係るアルコール濃度によらず、少なくともノッキング抑制剤としての効果は担保される。
また、アルコール混合燃料が経時的に或いは自然に相分離することを待たずとも、例えば第1貯留手段内に水を供給可能な何らかの手段を介して第1貯留手段内に水を供給することにより、このような相分離状態をアクティブに生じさせてもよい。
本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置の他の態様では、前記供給手段は、前記一方として前記第2噴射手段に前記アルコール燃料を供給し、前記他方として前記第1噴射手段に前記ガソリンを供給する。
この態様によれば、例えば水とアルコールからなるアルコール燃料が、第2噴射手段を介して気筒内に噴射される。アルコール燃料は、第1貯留手段に残留するガソリンと比較してアルコールを多量に含むから、アルコールの気化潜熱がガソリンよりも大きいことに鑑みれば燃焼温度の低減効果が顕著であり、このように気筒内に直接噴射されることにより、係る燃焼温度を低減し、それに伴ってノッキングの発生を抑制し、燃焼状態をより安定させることが可能となる。
また、同一の噴射量で比較した場合、アルコールの発熱量はガソリンよりも小さいから、同等の発熱量を得ようとした場合には、即ち、内燃機関の出力を維持しようとした場合には、アルコールの噴射量はガソリンよりも多くなる。従って、第1噴射手段にアルコール燃料が供給される場合には、吸気系を介して吸入される空気に係る吸入空気量が相対的に減少することになる。この点、第2噴射手段は、気筒内に直接燃料を噴射するため有利である。
本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置の他の態様では、前記供給手段は更に、前記貯留されたアルコール混合燃料が前記相分離状態にない場合に、前記第1及び第2噴射手段に前記アルコール混合燃料を供給し、前記噴射制御手段は更に、前記供給されたアルコール混合燃料が噴射されるように前記第1及び第2噴射手段を制御する。
この態様によれば、アルコール混合燃料が相分離していない、通常の或いは理想的な状況では、供給手段によって、アルコール混合燃料が第1及び第2噴射手段に供給される。従って、供給手段が、相分離時における燃料供給に特化した構成を有する必要はなくなり、効率的且つ効果的である。
例えば、このような供給手段の構成としては、第1貯留手段から第1及び第2噴射手段に燃料を供給する、例えば管状部材等の物理的又は機械的な系統と、除去されたアルコール燃料を第1又は第2噴射手段に供給する例えば管状部材等の物理的又は機械的な系統とを相互に接続し、更には例えばその接続部位周辺に、例えば切り替え弁等の制御弁を介在させてもよい。この場合、例えば係る制御弁の切り替え状態を制御すること等によって、第1及び第2噴射手段にアルコール混合燃料が供給される第1の供給モードと、一方の噴射手段にアルコール燃料が供給され且つ他方の噴射手段にガソリンが供給される第2の供給モードとが実現されてもよい。
本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置の他の態様では、前記除去されたアルコール燃料を貯留する第2貯留手段と、該貯留されたアルコール燃料における前記アルコールの濃度を特定する濃度特定手段と、該特定された濃度に応じて前記ガソリンの噴射量に対する前記アルコール燃料の噴射量の比率を決定する噴射比率決定手段とを更に具備し、前記噴射制御手段は更に、前記決定された比率に基づいて前記アルコール燃料及びガソリンが噴射されるように前記一方及び他方を制御する。
この態様によれば、除去されたアルコール燃料が、例えば第1貯留手段と同様貯留タンク等の形態を採り得る第2貯留手段に貯留される。この貯留されたアルコール燃料におけるアルコールの濃度(以下、適宜「アルコール濃度」と称する)は、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される、或いは更に濃度センサ等の検出手段を含んでなる濃度特定手段によって特定される。
尚、本発明における「特定」とは、例えば電気的、物理的、化学的、機械的又は機構的な検出手段により直接的に又は間接的に検出することに限定されず、例えばこれら直接的に又は間接的に検出された値を例えば電気的な信号又はデータとして取得することを含み、更には、このように取得された信号又はデータ等から予め設定されたアルゴリズムや算出式に基づいて算出又は導出することをも含む広い概念である。
一方、このようにアルコール濃度が特定されると、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される噴射比率決定手段により、係る特定されたアルコール濃度に応じて、例えば連続的に、段階的に、又は二値的にガソリンの噴射量に対するアルコール燃料の噴射量の比率(以下、適宜「アルコール燃料の噴射比率」と称する)が決定される。そして噴射制御手段により、係るアルコール燃料の噴射比率に基づいてガソリン及びアルコール燃料が噴射されるように夫々の噴射手段が制御される。
アルコール燃料が、そのアルコール濃度にかかわらず幾らかなりともノッキング抑制剤として作用し得ることに鑑みれば、ガソリン及びアルコール燃料は、その噴射量が相互に全く独立して決定されてもよく、極端な場合、例えばアルコール混合燃料が相分離した場合には、内燃機関の要求出力に係る燃料を例えばガソリンのみによって賄い、アルコール燃料を例えば単にノッキング抑制剤としてのみ使用してもよいことになる。
例えば、アルコール燃料中のアルコール濃度が極端に低ければ、このようにアルコール燃料を主としてノッキング抑制剤として機能させても内燃機関の出力への影響は低いものとなるから、ガソリンの噴射量は、例えばアクセルペダルの開度(以下、適宜「アクセル開度」と称する)や車速等、内燃機関の運転条件に基づいて定まる要求噴射量に維持してよいが、定性的にみて、アルコール燃料中のアルコール濃度が相応に高ければ内燃機関において生じる燃焼に対するアルコール燃料の寄与分は相応に増加するから、その寄与分に相当する量のガソリンは本来減じてよいはずである。
従って、アルコール燃料中のアルコール濃度に応じてアルコール燃料の噴射比率を決定することにより、内燃機関の燃焼状態を良好に維持し且つ燃料を効率的に使用することが可能となる。即ち、実践的にみて極めて有利な効果を得ることができる。
尚、アルコール燃料中のアルコール濃度に応じたアルコール燃料の噴射比率の決定態様は、このような噴射比率の決定及び制御がなされない場合と比較して、燃料を幾らかなりとも効率的に使用可能である限りにおいて限定されず、例えば予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、アルコール濃度に応じたアルコール燃料の寄与分を少なくとも実践的にみて問題が顕在化しない程度に正確に補償し得るように決定されていてもよい。この際、更には上述ようなガソリンとアルコールとの相対的な発熱量の差異が考慮されてもよい。
尚、アルコール燃料の噴射比率が決定される態様では更に、前記噴射比率決定手段は、前記特定される濃度が高い程大きくなるように前記比率を決定してもよい。
上述したように、定性的にみてアルコール濃度が高い程アルコール燃料は燃焼に寄与するから、このように噴射比率が決定される場合には、実践的にみて有益である。
また、第2貯留手段が備わる態様においては更に、前記供給手段は、前記第2貯留手段における前記アルコール燃料の貯留状態に応じて前記一方及び他方に夫々前記アルコール燃料及びガソリンを供給してもよい。
この場合、アルコール燃料を一方の噴射手段の噴射に供するタイミングが、例えば第2貯留手段におけるアルコール燃料の貯留状態に応じて、より具体的には、例えば第2貯留手段におけるアルコール燃料の貯留量が所定値を超えた場合等に決定され得るから、第1及び第2噴射手段の噴射態様をより効率的に切り替えることが可能となり好適である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<1:実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含み、エンジン200の動作全体を制御する電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の燃焼制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、後述する噴射制御処理を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、燃料としてガソリンとエタノールとの混合燃料たるエタノール混合燃料(即ち、本発明に係る「アルコール混合燃料」の一例)を使用可能に構成されたエンジンであり、本発明に係る「内燃機関」の一例である。エンジン200は、シリンダ201内に一部が露出した点火プラグ(符号省略)を含む点火装置202の点火動作によりシリンダ201内部で混合気を爆発させると共に、爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクションロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。
この際、クランクシャフト205の回転位置は、クランクシャフト205近傍に設置されたクランクポジションセンサ206により検出される。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランクシャフト205の回転位置に基づいて、点火装置203の点火時期、或いは後述する吸気バルブ230及び排気バルブ231の開閉タイミング等を制御するように構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数Neを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
エンジン200において、外部から吸入され、エアクリーナ208及びエアフローメータ209を通過した空気(以下、適宜「吸入空気」と称する)は、吸気管207を介し、吸気ポート213に到達する。エアクリーナ208は、吸入空気を浄化するための浄化装置であり、ECU100と電気的に接続され、ECU100によりその動作状態が制御される構成となっている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式の質量流量測定装置であり、吸入空気の質量流量(即ち、吸入空気量)を測定することが可能に構成されている。エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量は、ECU100によって絶えず把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、シリンダ201内部への吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度(即ち、スロットル開度)が検出可能に構成されている。スロットルバルブ210の開閉状態は、スロットルバルブ210と電気的且つ機械的に接続されたスロットルバルブモータ211によって制御される。スロットルバルブモータ211は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100により駆動制御がなされる構成となっている。この際、ECU100は、不図示のアクセルポジションセンサにより検出される、不図示のアクセルペダルの操作量に基づいてスロットル開度を決定し、係る決定されたスロットル開度に従ってスロットルバルブモータ211を駆動制御している。
吸気ポート213には、吸気ポートインジェクタ214が設置されている。吸気ポートインジェクタ214は、吸気ポート213に、例えば上述したエタノール混合燃料を供給することが可能に構成された、本発明に係る「第1噴射手段」の一例である。吸気ポートインジェクタ214から噴射された燃料は、上述した吸入空気と混合され、上述した混合気の一部となる。
エタノール混合燃料は、本発明に係る「第1貯留手段」の一例たる燃料タンク215に貯留されており、低圧ポンプ219の作用によりデリバリパイプ218を介して吸気ポートインジェクタ214に圧送供給されている。尚、デリバリパイプ218は、吸気ポートインジェクタ214に向う経路上においてサブデリバリ218a及びサブデリバリ218bに分岐しており、吸気ポートインジェクタ214にはサブデリバリ218aが接続されている。また、吸気ポートインジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料をECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。
燃料タンク215内部では、例えば燃料補給時に燃料タンク215に混入される水分等によって、エタノール混合燃料が相分離することがある。図1では、燃料タンク215内でエタノール混合燃料が相分離した状態が示されている。即ち、相分離した状態において、エタノール混合燃料は、ガソリン216aと、水とエタノールとの混合液体である水エタノール216b(即ち、本発明に係る「アルコール燃料」の一例)とに分離する。ガソリン216aの比重は、水エタノール216bの比重と比較して軽いから、燃料タンク215内部において、ガソリン216aは上層に、水エタノール216bは下層に夫々貯留される。
液面検出センサ217は、水エタノール216bよりも比重が軽く且つガソリン216aよりも比重が重く構成され、水エタノール216bの液面高(即ち、燃料タンク215の底部から水エタノール216bの液面までの高さ)を検出することが可能に構成されている。液面検出センサ217は、ECU100と電気的に接続されており、検出された水エタノール216bの液面高は、ECU100によって絶えず把握される構成となっている。ECU100は、この液面検出センサ217により検出される液面高に基づいて、エタノール混合燃料が相分離しているか否かを判別することが可能に構成されている。
一方、燃料タンク215下部には、燃料タンク215の内部に連通する除去用デリバリパイプ220が接続されている。この除去用デリバリパイプ220上には更に、低圧ポンプ221が設置されており、燃料タンク215において下層に貯留される水エタノール216bを、除去用デリバリパイプ220を介して燃料タンク215から除去することが可能に構成されている。この低圧ポンプ221は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100により、その動作が制御される構成となっている。
除去用デリバリパイプ220の他方端は、水エタノールタンク222に接続されている。水エタノールタンク222は、燃料タンク215から除去された水エタノール216bを貯留するためのタンクであり、本発明に係る「第2貯留手段」の一例である。水エタノールタンク222の内部には、貯留量検出センサ237が設けられており、水エタノールタンク222における水エタノール216bの貯留量を検出することが可能に構成されている。貯留量検出センサ237は、ECU100と電気的に接続されており、検出された水エタノールの貯留量は、絶えずECU100によって把握される構成となっている。
水エタノールタンク222には、デリバリパイプ224が接続されている。また、このデリバリパイプ224上には低圧ポンプ223が設置されており、水エタノールタンク222から、貯留された水エタノール216bを汲み出すことが可能に構成されている。低圧ポンプ223は、ECU100と電気的に接続されており、その動作がECU100により制御される構成となっている。尚、デリバリパイプ224上には、濃度センサ238が設置されており、デリバリパイプ224内を流れる水エタノールにおけるエタノール濃度De(即ち、本実施形態では、貯留された水エタノール216bにおけるエタノール濃度と等価に扱われる)を検出することが可能に構成されている。濃度センサ238は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエタノール濃度Deは、常にECU100によって把握される構成となっている。
デリバリパイプ224の他方端は、デリバリパイプ218から分岐する前述したサブデリバリ218bに接続されている。このデリバリパイプ224とサブデリバリ218bとの接続点には、切り替え制御弁225が設けられている。切り替え制御弁225は、ECU100と電気的に接続され、その切り替え状態がECU100によって制御される電動式の切り替え弁であり、係る切り替え状態に応じて、サブデリバリ218bを介して供給される燃料の種類を切り替えることが可能に構成されている。
即ち、切り替え制御弁は、一方の切り替え状態において、サブデリバリ218a及び218bに夫々同一種の燃料(即ち、デリバリパイプ218を介して供給される燃料)を供給することが可能であり(以下、この切り替え状態を適宜「第1の切り替え状態」と称する)、他方の切り替え状態において、デリバリパイプ218を介して供給される燃料をサブデリバリ218aに、またデリバリパイプ224を介して供給される燃料をサブデリバリ218bに夫々供給することが可能である(以下、この切り替え状態を適宜「第2の切り替え状態」と称する)。
サブデリバリ218bには、高圧ポンプ226が設置され、サブデリバリ218bを流れる燃料の供給圧を昇圧せしめることが可能に構成されている。高圧ポンプ226によって昇圧せしめられた燃料は、一旦デリバリレール227に貯留される。デリバリレール227は、紙面と垂直な方向であるシリンダ201の配列方向に延在し、高圧状態の燃料を安定に貯留することが可能に構成されている。
デリバリレール227には、各シリンダ201に対応するサブデリバリ228の一方端が接続されており、各サブデリバリ228の他方端は、一部が各シリンダ201の内部に露出した直噴インジェクタ229に接続されている。直噴インジェクタ229は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100の制御に従って高圧の燃料をシリンダ201内に直接噴射することが可能に構成されている。直噴インジェクタ229は、本発明に係る「第2噴射手段」の一例である。尚、シリンダ201内部では、吸入空気、吸気ポートインジェクタ214から噴射される燃料及び直噴インジェクタ229から噴射される燃料によって、上述した混合気が構成される。
尚、上記構成において、除去用デリバリパイプ220及び低圧ポンプ221は、ECU100と共に本発明に係る「除去手段」の一例を構成し、またデリバリパイプ218、低圧ポンプ219、サブデリバリ218a、サブデリバリ218b、デリバリパイプ224、切り替え制御弁225、高圧ポンプ226、デリバリレール227及びサブデリバリ228は、ECU100と共に、本発明に係る「供給手段」の一例を構成する。
シリンダ201内部と吸気ポート213とは、吸気バルブ230の開閉によって、その連通状態が制御されている。シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気ガスとなり吸気バルブ230の開閉に連動して開閉する排気バルブ231を通過し、排気ポート232及び排気ポート232に連通する排気管233を介して排気される。
排気管233には、三元触媒235が設置されている。三元触媒235は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。
また、排気管233における三元触媒235の上流側には、空燃比センサ234が配設されている。空燃比センサ234は、排気管233から排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。また、シリンダ201を収容するシリンダブロック内のウォータージャケットには、エンジン200の冷却水温度を検出するための水温センサ236が配設されている。空燃比センサ234及び水温センサ236は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100によって把握される構成となっている。
<2:実施形態の動作>
エンジンシステム10において、燃料タンク215に貯留されるエタノール混合燃料の状態は、上述した如く相分離する場合がある。相分離が発生した場合、燃料タンク215から相分離したエタノール混合燃料を燃料として供給すると、アルコール濃度が不安定となって燃焼状態の悪化を招きかねない。また、相分離後のガソリンのみを燃料として供給すると、燃料の効率的な利用が阻害される。更には、相分離状態にあるエタノール混合燃料を例えば攪拌すること等によって再び混合しても再び相分離が発生する可能性が高く、燃焼に供されるエタノール混合燃料のエタノール濃度が不安定となってやはり燃焼状態が悪化し易い。そこで、本実施形態に係るエンジンシステム10では、ECU100が噴射制御処理を実行することによって、相分離時における燃焼状態の悪化が抑制されている。
ここで、図2を参照して、噴射制御処理の詳細について説明する。ここに、図2は、噴射制御処理のフローチャートである。
図2において、ECU100は、燃料タンク215に貯留されるエタノール混合燃料に相分離が発生したか否かを判別する(ステップA10)。上述したように、エタノール混合燃料が相分離したか否かは、燃料タンク215内に設置された液面検出センサ217の検出信号等に基づいてECU100により判別される。この際、例えば液面検出センサ217により検出される液面高が所定値を超えた場合等に、エタノール混合燃料が相分離していると判別される。尚、エタノール混合燃料における相分離の検出態様は、このような液面検出センサ218等によるものに限定されず、例えばエタノール混合燃料中におけるエタノール濃度の変化等に基づいて相分離の有無が検出されてもよい。
エタノール混合燃料が相分離していないと判別された場合(ステップA10:NO)、ECU100は、切り替え制御弁225を上述した第1の切り替え状態に制御し(ステップA16)、通常の二系統噴射制御を実行する(ステップA17)。
切り替え制御弁225が第1の切り替え状態に制御されることによって、燃料タンク215内のエタノール混合燃料(即ち、相分離していない燃料)が、デリバリパイプ218及びサブデリバリ218aを介して吸気ポートインジェクタ214に、またデリバリパイプ218及びサブデリバリ218bを介して直噴インジェクタ229に夫々供給され、夫々のインジェクタによる噴射に供される。即ち、通常の二系統噴射制御とは、吸気ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ229から夫々エタノール混合燃料を噴射せしめる制御を指す。
このような通常の二系統噴射制御では、例えば、車速やアクセル開度等から定まる要求出力及びエタノール混合燃料におけるアルコール濃度等に基づいてエタノール混合燃料の要求噴射量が決定され、機関回転数や負荷等の状態に応じて定まる噴射比率に従って夫々のインジェクタによる噴射量が決定される。ECU100は、この決定された噴射量に相当する燃料が噴射されるように夫々のインジェクタを駆動制御する。通常の二系統噴射制御が実行されると、ECU100は処理をステップA10に戻す。
一方、エタノール混合燃料が相分離している場合(ステップA10:YES)、ECU100は、低圧ポンプ221を駆動制御して燃料タンク215から水エタノールを除去し、水エタノールタンク222に除去された水エタノールを貯留する(ステップA11)。この時点で、燃料タンク215内部には、ガソリン216aのみが貯留された状態となる。
水エタノールタンク222に水エタノールが貯留されると、ECU100は、切り替え制御弁225を上述した第2の切り替え状態に制御する(ステップA12)。第2の切り替え状態では、吸気ポートインジェクタ214にはデリバリパイプ218及びサブデリバリ218aを介して燃料が供給され、また直噴インジェクタ229には、デリバリパイプ224及びサブデリバリ218bを介して燃料が供給される。既に述べたように、この段階では燃料タンク215内にはガソリン216aが貯留されており、また水エタノールタンク222には水エタノール216bが貯留されている。従って、吸気ポートインジェクタ214にはガソリンが、また直噴インジェクタ229には水エタノールが夫々燃料として供給されることになる。
切り替え制御弁225が第2の切り替え状態に制御されると、ECU100は、水エタノールタンク222に貯留された水エタノール216bにおけるエタノール濃度Deを取得する(ステップA13)と共に、係る取得したエタノール濃度Deに基づいて、直噴噴射比率Cdを決定する(ステップA14)。直噴噴射比率Cdとは即ち、吸気ポートインジェクタ214を介したガソリンの噴射量に対する直噴インジェクタ229を介した水エタノールの噴射量の比率である。
ここで、図3を参照して、直噴噴射比率Cdについて説明する。ここに、図3は、直噴噴射比率Cdの特性を表す模式図である。
図3において、縦軸及び横軸には夫々直噴噴射比率Cd及び水エタノールにおけるエタノール濃度Deが表されている。
図示するように、直噴噴射比率Cdは、アルコール濃度Deがほぼゼロ、即ち水エタノールの構成要素がほとんど水である場合に最小値Cd0を採り、エタノール濃度Deが増加するのに応じて連続的に増加するように設定されている。例えばエタノール濃度Deが図示De1である場合には直噴噴射比率Cdは図示Cd1(Cd1>Cd0)を採る。
ここで、水エタノールの構成要素がほぼ水である場合、水エタノールはほとんど燃料として機能し得ないから、過剰な量を噴射した場合にはかえって燃焼状態の悪化を招きかねないが、水にも気化熱による燃焼温度低減効果が期待できるため、ある程度の量を噴射に供することにより、ノッキングを抑制し燃焼状態の低下を抑制することができる。図示直噴噴射比率Cd0は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、燃焼状態の悪化を招くことのない範囲でノッキング抑制の効果が十分に得られるように決定されている。
図2に戻り、直噴噴射比率Cdが決定されると、ECU100は、決定された直噴噴射比率Cdに基づいた二系統噴射制御を実行する(ステップA15)。ここで更に、図4を参照して、各インジェクタにおける噴射量について説明する。ここに、図4は、ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ229各々における噴射量の模式図である。
図4では、縦軸に噴射量が表され、ポートインジェクタ214(図示「ポート」)と直噴インジェクタ229(図示「直噴」)が並べて表示されている。尚、図4において、要求出力に基づいた燃料の要求噴射量は、ガソリン換算で「10」となっている。尚、図4における噴射量は、単に噴射量の比較を行うことを目的として規格化されており、且つその値は説明の煩雑化を防ぐ目的から模式的なものとなっている。
図4(a)は、水エタノールにおけるエタノール濃度Deが極端に低い(即ち、ゼロ近傍の)場合であり、例えばポートインジェクタ214により噴射されるガソリンの量が「10」に設定され、直噴インジェクタ229により噴射される水エタノールの量が「2」に設定されている。即ち、この場合、直噴噴射比率Cdは「0.2」である。尚、この場合、水エタノールにおける燃焼に対する寄与分はゼロに等しく、水エタノールは単にノッキング抑制剤として噴射に供される。
一方、図4(b)は、水エタノールにおけるエタノール濃度Deが十分に大きい場合であり、ポート噴射量は「8」に、また水エタノールの噴射量は「3」に夫々設定される。即ち、この場合、直噴噴射比率Cdは概ね「0.3」程度の値となる。水エタノールにおけるエタノール濃度Deが高ければ、それだけ燃焼に対する水エタノールの寄与が大きくなるため、水エタノールの噴射量を多く設定することができ、それに伴って必然的にガソリンの噴射量が減じられる。即ち、直噴噴射比率Cdは、水エタノールにおけるエタノール濃度Deに応じて増加する。
尚、ガソリンの噴射量の不足分は水エタノールの噴射量によって補償されるが、既に述べたようにガソリンとエタノールとは発熱量が異なるため、同等の発熱量を得るために必要となる噴射量は水エタノールの方が概ね5割程多くなる。従って、図4においてポート噴射量の不足分たる「2」に相当するエタノール量は、概ね「3」程度となり、ポート噴射量と筒内噴射量との総量は、エタノール濃度Deが増加するのに応じて増加する。
図2に戻り、ステップA15に係る処理が実行されると、ECU100は処理をステップA13に戻し、常に最新のエタノール濃度Deに基づいた直噴噴射比率Cdを決定して、直噴噴射比率Cdに基づいた二系統噴射制御を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンシステム10によれば、燃料タンク215に貯留されるエタノール混合燃料が相分離した場合には、燃料タンク215から水エタノールが除去され水エタノールタンク222に貯留される。そして切り替え制御弁225の切り替え状態の制御により、吸気ポートインジェクタ214からは燃料タンク215に残留するガソリンが噴射され、直噴噴射インジェクタ229からは水エタノールタンク222に貯留された水エタノールが噴射される。この際、直噴噴射比率Cdが、水エタノールにおけるエタノール濃度Deが増加するのに応じて増加するように決定され、係る直噴噴射比率Cdに基づいて吸気ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ229各々における噴射量が制御される。従って、エタノール混合燃料が相分離しても、最終的に燃焼に供される燃料のアルコール濃度を安定に制御することが可能となり、燃焼状態の悪化が抑制されるのである。
尚、水エタノールを直噴インジェクタ229から噴射すべく切り替え制御弁225の切り替え状態を上述した第2の切り替え状態に制御するタイミングは比較的自由であってよく、例えば、水エタノールタンク222に一定量の水エタノールが貯留された段階で行われる等、水エタノールタンク222における水エタノールの貯留状態に応じて決定されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の燃焼制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 図1のエンジンシステムにおいて実行される噴射制御処理のフローチャートである。 図2の噴射制御処理において決定される直噴噴射比率Cdの模式図である。 直噴噴射比率Cdに基づいて制御される噴射量の模式図である。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、213…吸気ポート、214…吸気ポートインジェクタ、215…燃料タンク、218…デリバリパイプ、218a、218b…サブデリバリ、220…除去用デリバリパイプ、221…低圧ポンプ、222…水エタノールタンク、223…低圧ポンプ、224…デリバリパイプ、225…切り替え制御弁、229…直噴インジェクタ、238…濃度センサ。

Claims (6)

  1. ガソリンとアルコールとが混合されてなるアルコール混合燃料を貯留する第1貯留手段、該貯留されたアルコール混合燃料を吸気ポートに噴射可能な第1噴射手段及び前記貯留されたアルコール混合燃料を気筒内に噴射可能な第2噴射手段を備える内燃機関において燃焼状態を制御する内燃機関の燃焼制御装置であって、
    前記貯留されたアルコール混合燃料が、前記ガソリンと前記アルコールを含むアルコール燃料とに分離した状態として規定される相分離状態にあるか否かを判別する判別手段と、
    前記貯留されたアルコール混合燃料が前記相分離状態にある場合に前記第1貯留手段から前記アルコール燃料を除去する除去手段と、
    前記除去されたアルコール燃料を前記第1及び第2噴射手段のうち一方に供給し、且つ前記第1貯留手段に残留する前記ガソリンを前記一方に対応する他方に供給する供給手段と、
    前記供給されたアルコール燃料及びガソリンが噴射されるように前記一方及び他方を夫々制御する噴射制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 前記供給手段は、前記一方として前記第2噴射手段に前記アルコール燃料を供給し、前記他方として前記第1噴射手段に前記ガソリンを供給する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  3. 前記供給手段は更に、前記貯留されたアルコール混合燃料が前記相分離状態にない場合に、前記第1及び第2噴射手段に前記アルコール混合燃料を供給し、
    前記噴射制御手段は更に、前記供給されたアルコール混合燃料が噴射されるように前記第1及び第2噴射手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  4. 前記除去されたアルコール燃料を貯留する第2貯留手段と、
    該貯留されたアルコール燃料における前記アルコールの濃度を特定する濃度特定手段と、
    該特定された濃度に応じて前記ガソリンの噴射量に対する前記アルコール燃料の噴射量の比率を決定する噴射比率決定手段と
    を更に具備し、
    前記噴射制御手段は更に、前記決定された比率に基づいて前記アルコール燃料及びガソリンが噴射されるように前記一方及び他方を制御する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  5. 前記噴射比率決定手段は、前記特定される濃度が高い程大きくなるように前記比率を決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
  6. 前記供給手段は、前記第2貯留手段における前記アルコール燃料の貯留状態に応じて前記一方及び他方に夫々前記アルコール燃料及びガソリンを供給する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の燃焼制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009257134A (ja) * 2008-04-14 2009-11-05 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の燃料供給システム
JP2010144571A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の運転制御方法
CN101701552B (zh) * 2009-07-16 2012-05-09 东营蒙德金马机车有限公司 醇氢混燃发动机电器控制装置

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