(実施の形態1)
図1から図6を参照して、実施の形態1における燃料供給装置について説明する。本実施の形態においては、車両に配置されている内燃機関を例に取り上げて説明する。
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、各気筒の燃焼室5が形成されている。燃焼室5にはピストン3が配置されている。内燃機関の燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。機関吸気通路は、燃焼室5に空気または燃料と空気との混合気体を供給するための通路である。機関排気通路は、燃焼室5における燃焼により生成された排気ガスを排出するための通路である。
シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は吸気ポート7の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、排気ポート9の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には点火プラグ10が固定されている。点火プラグ10は、燃焼室5にて燃料を点火するように形成されている。
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に燃料を供給するための噴射弁11a,11bを備える。噴射弁11a,11bは、機関吸気通路に燃料を噴射するように配置されている。本実施の形態における噴射弁11a,11bは、吸気ポート7に燃料を噴射するように配置されている。噴射弁11a,11bは、シリンダヘッド4に固定されている。噴射弁11a,11bは、この形態に限られず、機関吸気通路に燃料を供給できるように配置されていれば構わない。
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15およびエアフローメータ16を介してエアクリーナ(図示せず)に連結されている。吸気ダクト15には、吸入空気量を検出するエアフローメータ16が配置されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。一方、各気筒の排気ポート9は、対応する排気枝管19に連結されている。排気枝管19は、触媒コンバータ21に連結されている。本実施の形態における触媒コンバータ21は、三元触媒20を含む。触媒コンバータ21は、排気管22に接続されている。
本実施の形態における機関本体1は、排気ガス再循環(EGR)を行うための再循環通路を有する。本実施の形態においては、再循環通路としてEGRガス導管26が配置されている。EGRガス導管26は、排気枝管19とサージタンク14とを互いに連結している。EGRガス導管26には、EGR制御弁27が配置されている。EGR制御弁27は、再循環する排気ガスの流量が調整可能に形成されている。また、機関吸気通路、燃焼室、または機関排気通路に供給された排気ガスの空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比(A/F)と称すると、触媒コンバータ21の上流側の機関排気通路内には、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ79が配置されている。
本実施の形態における内燃機関は、制御装置を備える。制御装置は、電子制御ユニット31を含む。本実施の形態における電子制御ユニット31は、ディジタルコンピュータからなる。電子制御ユニット31は、双方向バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を含む。
エアフローメータ16は、燃焼室5に吸入される吸入空気量に比例した出力電圧を発生する。この出力電圧は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。アクセルペダル40には、負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41は、アクセルペダル40の踏込量に比例した出力電圧を発生する。この出力電圧は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、クランク角センサ42は、クランクシャフトが、例えば30°回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスは入力ポート36に入力される。更に、電子制御ユニット31には、空燃比センサ79の信号が入力されている。電子制御ユニット31には、機関本体の回転数を検出する機関回転数センサ(図示せず)の信号が入力されている。
電子制御ユニット31の出力ポート37は、それぞれの対応する駆動回路39を介して噴射弁11a,11bおよび点火プラグ10に接続されている。本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃料噴射制御や点火制御を行うように形成されている。すなわち、燃料を噴射する時期および燃料を噴射している時間が電子制御ユニット31により制御される。更に点火プラグ10の点火時期が電子制御ユニット31により制御されている。電子制御ユニット31は、噴射弁11a,11bのそれぞれを個別に制御できるように形成されている。また、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、スロットル弁18を駆動するステップモータ17およびEGR制御弁27に接続されている。
本実施の形態における内燃機関は、1つの燃焼室に対して複数個の噴射弁が配置されている。図1に例示する内燃機関においては、1つの燃焼室に連通する吸気ポート7に2個の噴射弁が配置されている。噴射弁11a,11bのそれぞれは、吸気ポート7の内部に向かって、独立して燃料を噴射するように形成されている。吸入空気は、矢印101に示す向きに流れる。
本実施の形態における車両は、後述するように、供給される燃料を芳香族成分(アロマ分)の含有率の異なる2種類の燃料に分離する燃料分離装置を備える。本発明においては、芳香族成分の含有率が相対的に高い燃料を高含有率燃料と称し、芳香族成分の含有率が相対的に低い燃料を低含有率燃料と称する。本発明における高含有率燃料および低含有率燃料については、芳香族成分の含有率の大きさについての制限はなく、相対的に芳香族成分の含有率の高い燃料と芳香族成分の含有率の低い燃料であれば構わない。
本実施の形態における燃料供給装置は、芳香族成分の含有率が異なるそれぞれの燃料を互いに異なる燃料噴射弁から噴射するように形成されている。本実施の形態においては、噴射弁11aが低含有率燃料を噴射する低含有率燃料噴射弁として機能し、噴射弁11bが高含有率燃料を噴射する高含有率燃料噴射弁として機能する。本実施の形態においては、高含有率燃料と低含有率燃料とを任意の量および任意の時期に噴射することができる。
図2は、本実施の形態における燃料分離装置の概略図である。本実施の形態における車両は、車両の外部から供給された燃料(以下「供給燃料」という)を、高含有率燃料と低含有率燃料とに分離する燃料分離装置を備える。本実施の形態において、高含有率燃料は供給燃料よりも芳香族成分の含有率が高く、低含有率燃料は供給燃料よりも芳香族成分の含有率が低くなる。
本実施の形態における内燃機関は、供給燃料75を貯留する主燃料タンク61を備える。本実施の形態における主燃料タンク61には、供給燃料75としてガソリンが給油される。燃料分離装置は、分離ユニット71を備える。分離ユニット71は、筐体としての耐圧容器81と耐圧容器81の内部に配置されている分離膜80とを含む。分離膜80は、供給燃料に含まれる芳香族成分を選択的に透過させる膜が使用されている。分離膜80としては、例えば、ジエポキシド架橋のエステル化ポリイミド−脂肪族ポリエステルコポリマー、架橋されていないコポリマー、またはセルロース材料を用いることができる。
分離膜80は、耐圧容器81の内部を2つの区画71a,71bに区切るように配置されている。すなわち、耐圧容器81の内部に分離膜80が配置されることにより、一方の区画71aと他方の区画71bが形成されている。後述するように、一方の区画71aは高圧側の部屋であり、他方の区画71bは低圧側の部屋である。
分離ユニット71は、一方の区画71aに供給燃料75が移送されるように主燃料タンク61に接続されている。供給燃料75を一方の区画71aに供給するための移送ポンプ64が配置されている。
主燃料タンク61から分離ユニット71に向かう流路の途中には、供給燃料75を加熱するための加熱装置が配置されている。加熱装置は、一方の区画71aに移送される供給燃料75を加熱するように形成されている。本実施の形態における加熱装置は、電気ヒータから成るヒータ74を含む。また、加熱装置は、熱交換器82を含む。熱交換器82は、排気ガスの温度を利用して、供給燃料75を加熱するように形成されている。熱交換器82は、機関排気通路の排気管22に配置されている。本実施の形態における熱交換器82は、筐体の内部に配置されているヒートパイプ83を含む。ヒートパイプ83の内部には、作動流体が充填されている。ヒートパイプ83は、蒸発部が排気管22の内部に配置され、凝縮部が排気管22の外側に配置されている。機関本体1からの排気ガスが、ヒートパイプ83の蒸発部に接触して、内部の作動流体を蒸発させる。蒸発した作動流体は、凝縮部にて供給燃料75に伝熱して供給燃料75を加熱する。ヒートパイプ83は、凝縮された作動流体が重力により加熱部に戻るように配置されている。
本実施の形態における燃料分離装置は、分離された燃料を貯留するためのサブタンク62,63を備える。サブタンク62は、分離ユニット71により分離された高含有率燃料76を貯留するためのタンクである。サブタンク63は、分離ユニット71から流出する低含有率燃料77を貯留するためのタンクである。
サブタンク62は、分離ユニット71の他方の区画71bに接続されている。他方の区画71bとサブタンク62とを接続する流路には、真空ポンプ72および凝縮器73が配置されている。真空ポンプ72は、他方の区画71bを減圧するように接続されている。凝縮器73は、他方の区画71bからサブタンク62に向かう燃料の蒸気を水冷または空冷の方法により凝縮するように形成されている。サブタンク63は、分離ユニット71の一方の区画71aに接続されている。
サブタンク62は、燃料供給通路69に接続されている。サブタンク62から燃料供給通路69に高含有率燃料76を移送するために、移送ポンプ65および高圧供給ポンプ66が配置されている。燃料供給通路69には、それぞれの気筒に対応する噴射弁11bが接続されている。サブタンク63は、燃料供給通路70に接続されている。サブタンク63から燃料供給通路70に低含有率燃料77を移送するために、移送ポンプ67および高圧供給ポンプ68が配置されている。燃料供給通路70には、それぞれの気筒に対応する噴射弁11aが接続されている。
本実施の形態の燃料分離装置においては、移送ポンプ64を駆動することにより分離ユニット71の一方の区画71aに供給燃料75を移送する。このときに、熱交換器82およびヒータ74により供給燃料75を加熱する。一方の区画71aに移送された供給燃料75の圧力は高圧である。真空ポンプ72を駆動することにより、分離ユニット71の他方の区画71bの圧力が低くなる。分離膜80の表裏で圧力差が生じる。このため、一方の区画71aに移送された供給燃料75に含まれる芳香族成分が、分離膜80を透過して分離膜80の他方の区画71bの側の表面に浸出する。他方の区画71bには、供給燃料75よりも芳香族成分の含有率の高い燃料が浸出する。
本実施の形態においては、真空ポンプ72を駆動して他方の区画71bに浸出する燃料の蒸気圧よりも低い圧力(負圧)に他方の区画71bの圧力を維持することにより、浸出する燃料を気化して燃料ベーパを生成する。分離膜80の他方の区画71bの側の表面を覆うように浸出する燃料が気化することにより、連続的に燃料を浸出させることができる。他方の区画71bにて気化した燃料は、凝縮器73により凝縮されて液体の燃料に戻される。この芳香族成分を多く含む高含有率燃料は、サブタンク62に移送される。
一方で、分離ユニット71の一方の区画71aに残存する燃料は、芳香族成分が抜き取られるために、供給燃料75よりも芳香族成分の含有率が低い低含有率燃料になる。この燃料は、サブタンク63に移送される。一般的に、ガソリン中の芳香族成分の量が増大するとガソリンのオクタン価(RON:RESEARCH OCTANE NUMBER)は高くなる。高含有率燃料76は、供給燃料75よりもオクタン価が高くなり、低含有率燃料77は、供給燃料75よりもオクタン価が低くなる。
サブタンク62に貯留される高含有率燃料76は、移送ポンプ65および高圧供給ポンプ66を駆動することにより燃料供給通路69に移送される。燃料供給通路69に移送された燃料は、それぞれの噴射弁11bから噴射される。サブタンク63に貯留する低含有率燃料77は、移送ポンプ67および高圧供給ポンプ68を駆動することにより燃料供給通路70に移送される。燃料供給通路70に移送された燃料は、それぞれの噴射弁11aから噴射される。
分離ユニット71により生成される高含有率燃料および低含有率燃料のそれぞれの含有率および生成量は、分離ユニット71の動作条件、例えば分離膜80の温度、分離ユニット71に流入する供給燃料75の温度、供給燃料75の流量、一方の区画(高圧側の区画)71aの圧力および他方の区画(低圧側の区画)71bの圧力等によって変化する。本実施の形態の内燃機関は、燃料分離装置の動作条件を調節して、分離される燃料の量および芳香族成分の含有率を制御することができる。
ヒータ74により、原料となる供給燃料75の温度を調整することができる。また、移送ポンプ64の供給圧力および真空ポンプ72の到達真空度を変化させることにより、一方の区画71aの圧力および他方の区画71bの圧力をそれぞれ調整することができる。本実施の形態においては、ヒータ74、移送ポンプ64、真空ポンプ72および凝縮器73等は、電子制御ユニット31により制御されている。それぞれの装置を所望の条件にして、燃料の分離を行うことができる。また、移送ポンプ65,67および高圧供給ポンプ66,68は、電子制御ユニット31に接続され、電子制御ユニット31により制御されている。
また、主燃料タンク61から分離ユニット71に向かう流路には、分離ユニット71に流入する供給燃料75の温度を検出するための温度センサ86が配置されている。温度センサ86の出力は、電子制御ユニット31に入力される。
本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃焼室に供給される燃料のオクタン価の検出を行うことができる。本実施の形態においては、機関本体1のシリンダブロックに、機関本体1のノッキングを検出するノックセンサ78が配置されている。ノックセンサ78は、機関本体1のノッキングに特有な周波数の振動を検出するセンサである。ノックセンサ78の出力は電子制御ユニット31に入力される。本実施の形態においては、ノックセンサ78で検出された機関本体1のノッキング発生時の運転条件により燃焼室に供給された燃料のオクタン価を検出することができる。
本実施の形態における燃料噴射装置は、低含有率燃料と高含有率燃料とを個別に吸気ポートに供給することができるため、燃焼室に供給する燃料のオクタン価(または芳香族成分の含有率)を任意に調整することができる。高含有率燃料の噴射量と低含有率燃料の噴射量とを調整することにより、燃焼室に供給する燃料のオクタン価を調整することができる。
たとえば、機関回転数および出力トルクに対するオクタン価のマップを電子制御ユニット31のROM34に記憶しておく。機関回転数および機関本体のトルク等により、燃焼室5に供給する燃料のオクタン価を算出して、このオクタン価になるように2つの噴射弁11a,11bのうち少なくとも一方から燃料を噴射することができる。
このような燃焼室に供給する燃料のオクタン価の制御を行なうことにより、機関性能の向上や排気性状の改善を図ることができる。たとえば、オクタン価の低い燃料は着火性に優れるために、低負荷運転時又は冷間運転時にオクタン価を低くして機関性能の向上や排気性状の改善を図ることができる。また、オクタン価の高い燃料は自己着火しにくいために、高負荷時に燃料のオクタン価を高くし、さらに、点火時期を進角させる等の方法により機関本体の出力を増大させることができる。
市場にて販売されているガソリンには、オクタン価の高いハイオクタンガソリンと、オクタン価の低いレギュラーガソリンとがある。例えば、ハイオクタンガソリンはオクタン価が96以上であり、レギュラーガソリンはオクタン価が96未満である。また、これらのガソリンに合わせて、レギュラーガソリンを常用するレギュラーガソリン仕様車と、ハイオクタンガソリンを常用するハイオクタンガソリン仕様車とが存在する。ハイオクタンガソリンは、レギュラーガソリンに比べてノッキングが生じにくいために圧縮比を高くすることができる。ハイオクタンガソリン仕様車は、レギュラーガソリン仕様車に比べて圧縮比を高くして燃料を燃焼させて、高トルクや高馬力を実現することができる。本実施の形態における車両は、レギュラーガソリンを常用するレギュラーガソリン仕様車である。
図3は、本実施の形態における燃料供給装置の制御のフローチャートである。本実施の形態における燃料供給装置の制御は、たとえば、燃料分離装置を運転している期間中に行なうことができる。または、燃料分離装置を始動すべき時に行うことができる。本実施の形態における燃料供給装置は、主燃料タンクに貯留された供給燃料の芳香族成分の含有率が判定値よりも高いか否かを検出する燃料性状検出装置を備える。
はじめに、主燃料タンクに貯留する供給燃料の芳香族成分の含有率を検出する。本実施の形態においては、供給燃料の芳香族成分の含有率として供給燃料のオクタン価を検出する。または、供給燃料のオクタン価を検出したのちに、検出されたオクタン価を芳香族成分の含有率に換算しても構わない。ステップ111において、主燃料タンクに供給された燃料のオクタン価を検出する。
本実施の形態では、電子制御ユニット31により、機関負荷、回転数、空燃比などの運転条件と、ノッキングが生じる点火時期とに基づいて、燃料のオクタン価が検出される。
例えば、通常運転時には機関点火時期は、機関負荷、回転数が高いほど、また、混合気の空燃比が高いほど(希薄であるほど)進角側に設定されている。ところが、使用する燃料のオクタン価が変化すると同一の運転条件であってもノッキングの生じる点火時期が変化する。すなわち、燃料のオクタン価が増大するとノッキングが生じる点火時期は進角側に移行し、オクタン価が低下すると遅角側に移行する。
本実施の形態では、予めオクタン価の異なる燃料を用いて、機関負荷、回転数、空燃比の組み合せを変えて機関を運転し、それぞれの運転条件において燃料オクタン価毎にノッキングが生じない最も進角側の点火時期(ノック限界点火時期)を測定しておく。運転条件が同一であれば、ノック限界点火時期は燃料オクタン価と1対1の対応を示すため、運転条件とノック限界点火時期とが判れば、燃料のオクタン価を求めることができる。本実施の形態では、オクタン価をノック限界点火時期と機関負荷、回転数、空燃比などの運転条件とを用いた数値テーブルの形に整理して電子制御ユニット31のROM34に記憶させている。
電子制御ユニット31は、高含有率燃料または低含有率燃料のいずれか一方で機関を運転中にノックセンサ78で機関のノッキングを検出して、点火時期を一定量ずつ遅角させるノッキング抑制操作を行う。そして、ノッキングが消えたときの点火時期(すなわち、ノック限界点火時期)とそのときの機関運転条件(燃料供給量、回転数、排気空燃比センサ79で検出した排気空燃比など)とから燃料オクタン価の数値テーブルにより、供給された燃料のオクタン価を算出するようにしている。
機関運転中にノッキングが生じていないときには、点火時期を進角させて意図的にノッキングを生じさせる。このノッキングが生じ始める点火時期(すなわちノック限界点火時期)を検出する事によっても上記の数値テーブルを用いて燃料のオクタン価を算出することができる。
このように、高含有率燃料または低含有率燃料のオクタン価から主燃料タンクの供給燃料のオクタン価を検知することができる。または、燃料分離装置を停止させた状態で、供給燃料を直接的に噴射弁に供給して、上記のオクタン価の検出を行っても構わない。また、供給燃料の芳香族成分の含有率の検出方法については、これらの形態に限られず、任意の方法を採用することができる。
次に、ステップ112において、検出された主燃料タンクのオクタン価と予め定められた判定値とを比較する。ここでの判定値は、例えば、供給された燃料がハイオクタンガソリンかレギュラーガソリンかを判別可能な値を用いることができる。ステップ112において、主燃料タンクのオクタン価が判定値以下と判別された場合には、この制御を終了する。たとえば、給油された燃料がレギュラー燃料であると判別された場合には、この制御を終了する。燃料分離装置を始動するときには通常の分離制御にて運転を行う。ここで、通常の分離制御とは、オクタン価の低いレギュラーガソリン等が連続的に主燃料タンクに給油されているときに行われる燃料分離の制御を示す。たとえば、燃料分離装置の分離能力が最大になる制御を示す。燃料分離装置が通常の分離制御で運転しているときには、その制御で運転を継続する。
ステップ112において、主燃料タンクのオクタン価が判定値よりも大きいと判別された場合には、ステップ113に移行する。例えば、主燃料タンクの残量が少ないときに、ハイオクタンガソリンが多く給油された場合にはステップ113に移行する。ステップ113においては、燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行う。燃料分離装置にて分離された高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有率が、通常の分離制御で行う場合よりも小さくなる制御を行う。すなわち、芳香族成分の選択率が小さくなるように燃料分離装置を運転する制御を行う。
ここで、本実施の形態における燃料分離装置により、オクタン価の高い燃料またはオクタン価の低い燃料を分離した場合の分離特性について説明する。表1に、本実施の形態における燃料装置により、それぞれの燃料を分離したときの特性を例示する。オクタン価の高い燃料としてはハイオクタンガソリンを用いており、オクタン価の低い燃料としてはレギュラーガソリンを用いている。
それぞれのガソリンを燃料分離装置にて分離すると、燃料を分離した後の高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有率は、レギュラーガソリンよりもハイオクタンガソリンの方が高くなる。芳香族成分の選択率(燃料に含まれる芳香族成分の含有率が向上する割合)は、レギュラーガソリンよりもハイオクタンガソリンの方が高くなる。また、燃料を分離した後の高含有率燃料の容積割合は、レギュラーガソリンよりもハイオクタンガソリンの方が多くなる。すなわち、ハイオクタンガソリンを用いる方が、より多くの高含有率燃料を得ることができる。このように、ハイオクタンガソリンは、レギュラーガソリンよりも芳香族成分の含有率が元々高いため、芳香族成分の選択率および高含有率燃料の容積割合が向上する。
図2および図3を参照して、ステップ113における分離能力を低下させる制御としては、例えば、分離ユニット71の一方の区画71aに流入する供給燃料75の温度を低下させる制御を行う。本実施の形態においては、加熱装置による加熱を抑制することにより、供給燃料75の温度を低下させることができる。たとえば、ヒータ74の出力を減少させることにより、一方の区画71aに移送する供給燃料75の温度を低下させる。供給燃料75の温度が低下することにより、分離膜80おける選択率を低下させることができて、他方の区画71bに浸出する燃料に含まれる芳香族成分の含有率を下げることができる。
表2に、通常の分離制御を行った場合と、分離能力を低下させる制御を行った場合との比較を例示する。表2における供給燃料はハイオクタンガソリンである。
燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行なうことにより、芳香族成分の選択率が通常の分離制御を行った場合よりも小さくなる。燃料を分離した後の高含有率燃料の芳香族成分の含有率は、通常の分離制御を行った場合よりも小さくなる。また、分離した後の高含有率燃料の容積割合も減少する。芳香族成分の含有率が低下した燃料はサブタンク62に移送される。
ガソリン等の燃料に含まれる芳香族成分は、噴射弁にデポジットが生成され易い特性を有する。低含有率燃料の噴射弁においては、燃料に含まれる芳香族成分が少ないためにデポジットの生成が抑制される。一方で、高含有率燃料の噴射弁においては、燃料に芳香族成分が多く含まれるためにデポジットが生成されやすい。
更に、ハイオクタンガソリンが給油された時などのように、主燃料タンクに供給された燃料に多くの芳香族成分が含まれる場合には、燃料分離装置にて燃料を分離すると、高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有率が更に高くなり、噴射弁11bにデポジットが更に生成されやすくなる。本実施の形態においては、燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行うことにより、サブタンク62に貯留する高含有率燃料76に含まれる芳香族成分の含有率が高くなりすぎることを回避することができる。この結果、高含有率燃料を噴射する噴射弁11bにデポジットが生成されることを抑制することができる。
図4に、本実施の形態における燃料供給装置の制御を説明するタイムチャートを示す。本実施の形態においては、レギュラーガソリン仕様車において、レギュラーガソリンを常用しているときに、ハイオクタンガソリンを給油することにより、主燃料タンクにおけるガソリンのオクタン価が上昇する場合を例示している。
時刻t1までは、主燃料タンク内にレギュラーガソリンのみが貯留している。このときに、燃料分離装置は、通常の分離制御を行って、芳香族成分の選択率R1で駆動されている。時刻t1において、機関本体が停止され、ハイオクタンガソリンが給油されている。主燃料タンクのガソリンが、オクタン価X1からオクタン価X2に移行する。この状態で、内燃機関の起動とともに燃料供給装置を起動することにより、主燃料タンクのオクタン価が判定値Pよりも大きくなったことが検知される。燃料分離装置の分離能力を低下させる制御が行なわれる。時刻t1から、燃料分離装置の選択率が低下する制御が行なわれる。本実施の形態においては、選択率R1から選択率R2まで選択率を低下させている。このように、給油前の選択率R1から選択率R2になるように、燃料分離装置の分離能力を低下させている。
この後に、運転を継続して時刻t2において、再び燃料を給油している。時刻t2においては、レギュラーガソリンを給油している。レギュラーガソリンを給油することにより、主燃料タンクのガソリンが、オクタン価X2からオクタン価X3に移行している。燃料供給装置は、主燃料タンクのオクタン価が判定値P以下に移行したことを検出して、燃料分離能力を低下させる制御を中止して通常の分離制御を行っている。すなわち、芳香族成分の選択率を上昇させて、選択率R1となるように燃料分離装置を制御している。
この様に、本実施の形態においては、ハイオクタンガソリンが給油された後に、再度レギュラーガソリンが給油されることにより、燃料分離装置の選択率を元に戻す制御を行なっている。燃料分離装置を元の通常の分離制御に戻す時期については、任意の時期に行なうことができる。
図2を参照して、燃料分離装置の分離能力を低下させる制御としては、供給燃料75の温度を低下させる制御の他に、分離膜80の温度を下降させる制御を行うことができる。または、高含有率燃料を浸出させる側の他方の区画71bの圧力を上昇させる制御を行うことができる。または、分離ユニット71に移送する供給燃料75の流量を増加させる制御を行う。供給燃料75の流量を増加させる制御を行なうことにより、供給燃料75が分離膜80に接触している時間を短くすることができて、芳香族成分の選択率を下げることができる。
図5に、本実施の形態における2つの噴射弁からの燃料の噴射時期を説明するグラフを示す。横軸はクランク角を示し、すなわち燃料を噴射する時期を示している。縦軸は、機関本体の負荷を示している。図5では、それぞれの負荷に対する燃料の噴射時期を示している。負荷が大きくなるに従って、燃焼室に供給する燃料の総量が多くなっている。このときに、負荷が大きくなるに従って、高含有率燃料の噴射量の割合が多くなっている。本実施の形態においては、複数の噴射弁が時期を分けてそれぞれの燃料を機関吸気通路に供給している。低負荷の場合には、低含有率燃料の噴射弁のみから燃料が噴射され、高含有率燃料の噴射弁の噴射が停止している。このように、噴射弁からの噴射が一時的に停止している期間が存在すると、その期間において噴射弁にデポジットが形成されやすくなる。たとえば、噴射弁からの燃料の噴射を停止した場合には、噴射終了後の燃料の微量な付着、たれ、または燃料のしみ出しにより噴射弁に付着する燃料が固化してデポジットが形成されやすくなる。
高含有率燃料および低含有率燃料を1つの噴射弁から噴射する場合には、ほぼ常に燃料を噴射しているためにデポジットの生成は軽減される。これに対して、本実施の形態における燃料供給装置は、高含有率燃料の噴射弁と低含有率燃料の噴射弁とが個別に形成されている。高含有率燃料の噴射弁の噴射が停止する時期を有するように制御されている。すなわち、燃焼室における燃焼サイクルにおいて、高含有率燃料の噴射弁から燃料を噴射せずに、低含有率燃料の噴射弁のみから燃料を噴射するサイクルを有する。
このように、本実施の形態における高含有率燃料の噴射弁は、一時的に噴射が停止する期間を有し、さらに、高濃度の芳香族成分を含む燃料のみを噴射するため、デポジットが更に生成され易い条件が確立される。このような燃料供給装置に対しても、オクタン価の高い燃料が給油されたときに、燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行うことにより、デポジットの生成を抑制することができる。
ところで、燃料にはデポジットを清浄する清浄剤が含まれる場合がある。特に、ハイオクタンガソリンには、デポジットを清浄する清浄剤が含まれる場合がある。本発明における清浄剤は、デポジットを浄化する機能を有するものであれば構わない。このような清浄剤としては、たとえば、ポリイソブテンアミン系化合物(PIBA)、ポリエーテルアミン系化合物(PEA)、またはヒドロキシンアミン系化合物などを挙げることができる。
清浄剤は、分離膜を透過しにくい物質であり、芳香族成分以外の成分である。このため、燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行うことにより、高含有率燃料に含まれる清浄剤の含有率を向上させることができる。
上記の表2を参照して、分離能力を低下させる制御を行なうことにより、高含有率燃料に含まれる清浄剤の含有率が通常の分離制御を行う場合よりも高くなることが分かる。すなわち、分離能力を低下させることにより、多くの清浄剤を分離膜から浸出させることができる。この結果、高含有率燃料を噴射する噴射弁から、清浄剤の含有率の高い燃料を噴射することができ、噴射弁にデポジットが生成されることを抑制することができる。
図6に、本実施の形態における他の燃料分離装置の概略図を示す。他の燃料分離装置は、分離ユニット71にて分離された低含有率燃料を貯留するためのサブタンクを有していない。低含有率燃料は、分離ユニット71から直接的に燃料供給通路70に移送される。また、主燃料タンク61から分離ユニット71に向かう流路には、高圧供給ポンプ68が配置されている。高圧供給ポンプ68は、電子制御ユニット31により制御されている。
低含有率燃料は、連続的に燃料供給通路70に移送される。低含有率燃料の噴射が停止される場合には、サブタンク62に貯留する高含有率燃料76を噴射弁11bに移送することにより高含有率燃料の噴射を行なうことができる。このような低含有率燃料のサブタンクを有しない装置に対しても本発明を適用することができる。
燃料分離装置としては、上記の形態に限られず、供給燃料を芳香族成分の含有率が互いに異なる低含有率燃料および高含有率燃料に分離できる任意の装置を採用することができる。
本実施の形態における燃料供給装置は、低含有率燃料または高含有率燃料を噴射する噴射弁を個別に形成しているが、この形態に限られず、例えば、低含有率燃料と高含有率燃料とを混合する混合器が配置され、混合器により生成された所望のオクタン価の燃料が、1つの燃料噴射弁から噴射されていても構わない。
本実施の形態においては、芳香族成分の含有率として供給燃料のオクタン価を検出しているが、この形態に限られず、たとえば、主燃料タンクに貯留する燃料のオクタン価を直接的に検出しても構わない。
本実施の形態の加熱装置は、熱交換器およびヒータを含むが、この形態に限られず、燃料分離装置に移送する燃料を加熱することができる任意の装置を採用することができる。また、本実施の形態における熱交換器は、排気ガスの熱を利用するように形成されているが、この形態に限られず、機関本体の排熱を利用するように形成されていれば構わない。
(実施の形態2)
図7から図9を参照して、実施の形態2における燃料供給装置について説明する。本実施の形態における車両は、レギュラーガソリン仕様車である。
図7に、本実施の形態における燃料供給装置の第1の制御のフローチャートを示す。本実施の形態の内燃機関においては、主燃料タンクに貯留するオクタン価が低い場合に、燃料分離装置に移送する供給燃料の温度が低いとき、または、分離膜の温度が低い時には、燃料分離装置の分離能力が低いために燃料分離装置を停止させる。
本実施の形態における第1の制御では、このような燃料分離装置の分離能力が低くなる状態において、主燃料タンクに貯留されている燃料の芳香族成分の含有率が高いことを検出して燃料分離装置を運転する制御を行う。本実施の形態における第1の制御は、たとえば、燃料分離装置を起動すべき時に行うことができる。または、燃料分離装置の運転中の所定間隔ごとに行うことができる。
ステップ121において、分離制御温度が予め定められた判定値よりも大きいか否かを判別する。分離制御温度としては、分離膜の温度または燃料分離装置に移送される供給燃料の温度を採用することができる。ステップ121における判定値としての判定温度は、給油された燃料のオクタン価が低いときに、燃料分離装置を停止させる温度を採用することができる。
図2および図7を参照して、本実施の形態における燃料供給装置は、温度検出装置としての温度センサ86を備える。分離ユニット71に流入する供給燃料75の温度を温度センサ86にて検出する。ステップ121において、燃料分離装置の分離ユニット71に移送される供給燃料75の温度が、予め定められた判定値を超えているか否かを判別する。温度検出装置としては、この形態に限られず、分離膜の温度を検出するように形成されていても構わない。
ステップ121において、分離制御温度が判定値よりも大きい場合には、ステップ123に移行して燃料の分離を行う。ステップ123における燃料分離は、通常の分離制御で運転を行うことができる。たとえば、高含有率燃料の選択率が最大になる制御で燃料の分離を行うことができる。
ステップ121において、分離制御温度が判定値以下である場合には、ステップ122に移行する。ステップ122においては、主燃料タンクのオクタン価が予め定められた判定値よりも大きいか否かを判別する。すなわち、供給燃料の芳香族成分の含有率が予め定められた判定値よりも大きいか否かが判別される。
主燃料タンクのオクタン価が判定値以下である場合には、この制御を終了する。主燃料タンクのオクタン価が判定値よりも大きい場合には、ステップ123に移行して燃料の分離制御を行なう。たとえば、主燃料タンクに供給された燃料がハイオクタンガソリンであることを検出して燃料分離装置を起動する。このときの分離においては、分離制御温度が低いために燃料分離装置の分離能力は低い状態にある。このために、通常の分離制御を行っても高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有量が高くなりすぎることを回避することができる。このため、高含有率燃料を噴射する噴射弁にデポジットが生成されることを抑制することができる。
図1および図2を参照して、本実施の形態における燃料供給装置は、機関本体1の排熱を利用する熱交換器82を含む。このため、機関本体1の温度が低い場合には、排気ガスの温度が低くなり、分離ユニット71に移送される供給燃料75の温度が低くなる。このような状態は、機関本体を起動した直後や機関本体のアイドリング状態が長く続いたときに発現する。本実施の形態においては、このような状態のときに、供給燃料の芳香族成分の含有量が高いことを検出して供給燃料の分離を行なうことにより、高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有量が高くなりすぎることを回避した状態で燃料の分離を行うことができる。
機関本体1を始動してから暫らく時間が経過した場合、または、機関本体1がアイドリング状態から出力運転状態に移行した場合等には、機関本体の温度が上昇して、排気ガスの温度が上昇する。この結果、燃料分離装置に移送される供給燃料の温度が上昇した場合には、例えば、実施の形態1における燃料分離装置の分離能力を低下させる制御を行うことにより、高含有率燃料に含まれる芳香族成分の含有率が高くなりすぎることを抑制できる。
図8に、本実施の形態における燃料供給装置の第2の制御のフローチャートを示す。第2の制御においては、高含有率燃料を貯留するサブタンクの残量を検出して、サブタンクの残量が少ない場合には、燃料分離装置における分離能力を低下させる制御を制限する。本実施の形態における第2の制御は、例えば、燃料分離装置を運転している時に所定間隔ごとに行なうことができる。または、燃料分離装置を起動すべきときに行なうことができる。
ステップ131においては、高含有率燃料の残量が判別される。本実施の形態においては、高含有率燃料を貯留するサブタンクの液面の高さが予め定められた判定値より大きいか否かが判別される。
図9に、高含有率燃料のサブタンクの模式図を示す。サブタンク62の内部には、燃料の液面の高さを検出するレベルセンサ85が配置されている。レベルセンサ85により、サブタンク62における燃料の液面の高さを検出することができる。レベルセンサ85の出力は、電子制御ユニット31に入力されている。本実施の形態においては、燃料の残量として、N(Normal Level)範囲が定められている。また、L(Low Level)範囲およびLL(Very Low Level)範囲が定められている。本実施の形態における判定値は、N範囲の下限値が採用されている。
図8を参照して、ステップ131において、高含有率燃料の液面の高さがN範囲内に存在するか否かが判別される。ステップ131において、高含有率燃料の液面の高さが判定値以下であると判別された場合には、ステップ134に移行して通常の分離制御を行う。ステップ131において、高含有率燃料の液面の高さが判定値よりも高いと判別された場合にはステップ132に移行する。ステップ132において、主燃料タンクのオクタン価が予め定められた判定値よりも大きいか否かが判別される。ステップ132において、主燃料タンクのオクタン価が判定値以下である場合には、ステップ134に移行して通常の分離制御を行う。
ステップ132において、主燃料タンクのオクタン価が判定値よりも大きい場合には、ステップ133に移行して分離能力を低下させる制御により燃料の分離を行う。
本実施の形態の第2の制御においては、高含有率燃料を貯留するサブタンクの残量が少なくなったときに、分離能力を低下させる制御を行わずに通常の分離制御を行っている。高含有率燃料の残量が少なくなると、たとえば、高負荷運転が継続したときなどに高含有率燃料が不足する場合が生じ得る。上記の表2を参照して、分離能力を低下させる制御を行った場合には、生成される高含有率燃料の量が少なくなる。このために、本実施の形態においては、分離能力を低下させる制御を行わずに通常の分離制御を行っている。この制御を行うことにより、サブタンクに貯留される高含有率燃料が不足することを回避できる。
本実施の形態においては、ステップ132において、主燃料タンクのオクタン価が判定値よりも大きい場合に分離能力を低下させる制御を回避しているが、この形態に限られず、分離能力を低下させる低下量を制限して燃料の分離を行っても構わない。すなわち、低下量を小さくした分離能力を低下させる制御により燃料の分離を行なっても構わない。
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に含まれる変更が意図されている。