JP5735391B2 - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法に関し、詳しくは、優れた機械的強度を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法に関する。
ポリアミド、特にモノマーキャストナイロンは自己潤滑性があり、磨耗に耐えるので、無給油で使用する軸受けや各種摺動部材等の材料として用いられている。
ポリアミド樹脂の機械的強度を向上させる手段として、ガラス繊維等の無機充填剤を樹脂中に分散させることが知られているが(例えば、特許文献1を参照)、より高い機械的強度を有する樹脂が求められている。
特開2007−224118号公報
本発明は、優れた機械的強度を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
[1]アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有し、150℃における曲げ強度が100MPa以上であることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[2]110℃における曲げ強度が100MPa以上である、前記[1]に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[3]150℃における曲げ強度が、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有しないポリアミド樹脂成形体の150℃における曲げ強度の2.5倍以上である、前記[1]又は[2]に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[4]前記ポリアミド樹脂が、環状アミドを重合してなるモノマーキャストナイロンである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[5]前記ポリアミド樹脂が、ε−カプロラクタムを重合してなるモノマーキャストナイロンである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[6]前記ガラス繊維布の含有率が25〜60体積%である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法であって、
(a)ガラス繊維布を、熱処理した後に、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理する工程、及び
(b)前記工程(a)で表面処理したガラス繊維布を型内に載置した後、環状アミド、重合触媒及び重合助触媒を含有する重合用組成物を、前記型内に注型し、重合させる工程
を含む、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
[8]前記工程(a)において、ガラス繊維布を、アミノ基含有シランカップリング剤を用いて表面処理した後に、イソシアネート化合物を用いて表面処理する、前記[7]に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、低温はもちろんのこと、高温においても優れた機械的強度を有する。特に、高温における強度低下を抑制することができ、ガラス繊維布を使用していないポリアミド樹脂成形体と比較して、高温における機械的強度を飛躍的に向上させることができる。その結果、ポリアミド樹脂成形体の実用的な使用可能な温度をより高温側に引き上げることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有する繊維強化樹脂からなる。
ポリアミド樹脂は、機械的強度及び効率的な製造の観点から、モノマーキャストナイロンであることが好ましく、ε−カプロラクタムを重合してなるモノマーキャストナイロンであることが好ましい。モノマーキャストナイロンは、後述するように環状アミドをモノマーキャスト法により重合させて製造することができる。環状アミドとしては、炭素数4〜12のω−ラクタム、γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリロラクタム、ω−ラウロラクタム、又はこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ε−カプロラクタムが好ましい。
また、本発明で用いられるポリアミド樹脂は、JIS K7210 B法に準拠した、温度300℃、荷重21.2N(2.16kgf)におけるメルトフローレート(MFR)値が、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは7.5g/10分以上、更に好ましくは10g/10分以上である。また前記MFRは18g/10分以下であることが好ましい。本発明に用いられるポリアミド樹脂は、モノマーキャスト法で得られるものが好ましいため、他の製法で成形されたポリアミド樹脂と比較してポリマーの重合度が高い性質を有し、分子量が比較的高いことから機械的強度が向上しやすい。このことから、モノマーキャスト法によって得られたポリアミド成形体は、前記MFR値の範囲に属することが好ましい。
本発明に用いられるガラス繊維布は、織布(織物)であっても不織布であってもよいが、織物であることが好ましい。本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、後述するようにガラス繊維布を表面処理した後にモノマーキャスト法により製造することで、機械的強度を改善することができる。ガラス繊維布として、ガラスクロスが好適に使用できる。ガラスクロスはガラス繊維を縦横に編んで、平織等の布状にしたものである。
なお、本発明において、「表面処理」とは、ガラス繊維布を、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて併用処理する表面処理のことを示す。アミノ基含有シランカップリング剤を用いた表面処理とイソシアネート化合物を用いた表面処理とは同時に行ってもよいが、アミノ基含有シランカップリング剤を用いて表面処理した後にイソシアネート化合物を用いて表面処理することが好ましい。
本発明においてガラス繊維布の含有率は、機械的強度の観点から、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体に対して、好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、かつ、好ましくは60体積%以下であり、より好ましくは50体積%以下である。ガラス繊維布の含有率が25体積%以上であれば、150℃における曲げ強度100MPa以上を発現させることができる。また、ガラス繊維布の含有率が60体積%以下であれば、モノマーキャストナイロンの低重合がなく、未含浸部位のない良好な成形体を得ることができる。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、以下の工程(a)及び(b)を有する方法により製造できる。
工程(a):ガラス繊維布を、熱処理した後に、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理する工程。
工程(b):前記工程(a)で表面処理したガラス繊維布を型内に載置した後、環状アミド、重合触媒及び重合助触媒を含有する重合用組成物を、前記型内に注型し、重合させる工程。
上記方法は、モノマーキャスト法を利用した方法であり、液状の環状アミドを使用して、繊維布にポリアミド樹脂を含浸させるのと同時に重合・成形することができ、工程数が少なく、また繊維の細部までポリアミド樹脂を含浸させることができるため好ましい。
(工程(a))
まず、ガラス繊維布を熱処理する。ガラス繊維布に塗布されているサイジング剤は、ポリアミド樹脂の重合反応の際に、低重合を生じさせる原因となるため、熱処理によりこれを除去する。処理条件は特に限定されず、反応温度は通常300〜350℃、反応時間は通常20〜24時間である。
次に、熱処理後のガラス繊維布を、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理する。アミノ基含有シランカップリング剤とイソシアネート化合物とをガラス繊維布に併用処理することにより、ガラス表面にシランカップリング剤を介して化学結合したイソシアネート化合物のイソシアネート基が、ガラスと樹脂との接着性を向上させ、成形体の機械的強度を向上させることができる。アミノ基含有シランカップリング剤を用いた表面処理とイソシアネート化合物を用いた表面処理とは同時に行ってもよいが、アミノ基含有シランカップリング剤を用いて表面処理した後にイソシアネート化合物を用いて表面処理することが好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、等の単体、又は混合物が挙げられる。
イソシアネート化合物の具体例としては、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらイソシアネート化合物のNCO基は、水に分散して使用できるようブロック剤で安定化させてもよい。
アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物によるガラス繊維布の表面処理は、アルコール類、エーテル類、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤の溶液、あるいは水とこれらの有機溶剤の混合溶液(以下、これらを処理液という)中にガラス繊維布を浸漬させた後、乾燥させることにより行うことができる。処理液中へのガラス繊維布の浸漬処理は、室温、常圧下で行うことができる。
アミノ基含有シランカップリング剤の処理液の濃度は、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。また、イソシアネート化合物の処理液の濃度は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3.5質量%である。
これらの処理液をガラス繊維布に付着させる方法としては、浸漬法、噴霧法、ガス化法等の任意の方法で行うことができるが浸漬法が好ましい。
乾燥させる方法としては特に限定されず、熱風や電磁波等、任意の手段により乾燥させることができる。
アミノ基含有シランカップリング剤の処理液をガラス繊維布に付着させた場合の乾燥温度は、好ましくは100〜200℃である。イソシアネート化合物の処理液をガラス繊維布に付着させた場合の乾燥温度は、用いる溶媒が残留しない(溶媒の沸点を考慮した)設定とすることが好ましく、通常90〜170℃、より好ましくは100〜160℃である。
(工程(b))
前記の表面処理したガラス繊維布を型内に載置する。繊維布の使用量は、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の厚さや用途等に応じて適宜決定される。
型内に表面処理したガラス繊維布を載置した後、環状アミド、重合触媒及び重合助触媒を含有する重合用組成物を、型内に注型し、重合させる。注型方法としては、大気下で注入、又は型内を負圧にし、その差圧を利用して注入することができる。また、前記配合原料を窒素圧力と共に型内へ注入してもよい。重合触媒及び重合助触媒としては、任意のものを使用することができる。
重合触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれら金属の水素化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルキル化物、アルコキシドやグリニャール化合物、及びこれらとω−ラクタムとの反応生成物等が挙げられる。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メチルナトリウム、エチルナトリウム、メチルカリウム、エチルカリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド等が挙げられる。これらの重合触媒は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
重合用組成物中の重合触媒の含有量は、環状アミドの全モル数に対して、好ましくは0.1〜15モル%であり、より好ましくは3〜10モル%である。
重合助触媒としては、イソシアネート類、アシルラクタム類、カルバミドラクタム類、酸ハライド類、尿素誘導体等を挙げることができ、単官能性のものや二官能性のものを挙げることができる。例えば、単官能性の重合助触媒としては、n−ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、オクチルイソシアネート、N−アセチル−ε−カプロラクタム、1,6−ヘキサメチレンビスカルバミドカプロラクタム、1,3−ジフェニル尿素等が挙げられる。また、二官能性の重合助触媒としては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらの重合助触媒は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
重合用組成物中の重合助触媒の含有量は、環状アミドの全モル数に対して、好ましくは0.02〜1モル%であり、より好ましくは0.1〜0.5モル%である。
なお、摺動部材用途に適用する場合には、ワックス類を含有させてもよい。ワックス類としてはポリアミド樹脂に通常使用されるものが使用でき、例えば、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムワックス、水添ポリ−α−オレフィンワックス、パラフィンワックス、イソパラフィンワックス、フイッシャー・トロプシュワックス等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ワックス類は、環状アミドを含有する重合用組成物中に含有させて重合を行うことで、ポリアミド樹脂中に分散させることができる。重合用組成物中のワックス類の含有量は、使用するワックスの種類や、要求される摺動性等により異なるが、環状アミド100質量部に対して、好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部である。
重合・成形は、加熱下で行うことが好ましい。また、重合・成形させる際に、板状体の面方向へ加圧してもよい。加圧下で重合を行う場合、外型とそれに嵌合する内型とからなる成型器を用いることが好ましい。具体的には、外型内に繊維布を載置した後、環状アミド、重合触媒及び重合助触媒を含有する重合用組成物を、前記繊維布が完全に浸るように前記外型内に注型し、次いで、前記外型内に内型を嵌合し、加熱・加圧下で前記重合用組成物を重合・成形させることが好ましい。
反応条件は、モノマー及び重合触媒の種類、並びに得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の大きさ及び形状等に応じて適宜決定される。反応温度は、通常130〜180℃である。圧力は、好ましくは0.1〜0.5MPa程度である。反応時間は、好ましくは10分〜1時間程度である。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の曲げ強度は、150℃において100MPa以上、好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは170MPa以上である。従来のポリアミド樹脂成形体の150℃における曲げ強度は、30MPa程度であるため、高温における曲げ強度が不足し、高温において連続的に使用することができないという問題がある。これに対し、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、150℃において曲げ強度が少なくとも100MPaであるため、ポリアミド樹脂として実用的な強度を維持でき、150℃において連続的に使用することができるという効果が得られる。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の曲げ強度は、同様に110℃においても好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは170MPa以上である。110℃における曲げ強度も150℃と同様、ポリアミド樹脂として実用的な強度を維持することができ、110℃において連続的に使用することができる。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体は、150℃における曲げ強度が、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有しないポリアミド樹脂成形体の150℃における曲げ強度の2.5倍以上であることが好ましく、3.0倍以上がより好ましく、3.5倍以上がさらに好ましい。150℃における曲げ強度が、表面処理したガラス繊維布を含有しないポリアミド樹脂成形体と比べて2.5倍以上であれば、150℃の高温条件においても、ガラス繊維布を含有しないポリアミド成形体を同様の曲げ強度を発現することができるという利点がある。
本発明における曲げ強度の測定は、後述する実施例に記載のとおりである。
また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の曲げ弾性率は、23℃においては好ましくは12GPa以上が得られ、より好ましくは14GPa以上、さらに好ましくは20GPa以上が得られる。また。150℃における同様の曲げ弾性率は、好ましくは10GPa以上が得られ、より好ましくは15GPa以上が得られる。本発明における曲げ弾性率の測定は、後述する実施例に記載のとおりである。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の形状としては、平板形状が好ましいが、丸棒、パイプ形状、波板形状のような異形状でもよい。
なお、プリント配線基板の分野においては、ガラスクロスにマトリックス樹脂(エポキシ樹脂)との接着性を向上させるために、ガラスクロスをシランカップリング剤及びイソシアネート化合物により表面処理することが知られている(例えば特許第4,030,167号公報を参照)。
これに対し、本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体では、ポリアミド樹脂(特にモノマーキャストナイロン)の重合助触媒としてイソシアネート化合物が使用される。そのため、本発明では、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物により表面処理したガラス繊維布にポリアミド樹脂を含浸させるのと同時に重合・成形することで、重合助触媒のイソシアネート化合物に加えて、ガラス繊維布に結合したイソシアネート基も反応の起点となっていると考えられ、その結果、単にエポキシ樹脂にガラス繊維布を入れたものと比較して、ガラス繊維布とポリアミド樹脂(特にモノマーキャストナイロン)とが強固に結合し、機械的強度を向上させることができると考えられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で行った性能評価方法について示す。
[性能評価方法]
得られたガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体について、曲げ強度及び曲げ弾性率を以下のようにして測定した。ISO 178に準拠して3点曲げ試験を行った。万能試験機(商品名:Model 2500、INTESCO社製)を使用し、クロスヘッド速度は2.0mm/分とし、試験片の形状は、幅10mm×長さ80mm×厚み4mmとし、支柱間距離は64mmとした。万能試験機に備え付けられた所定の測定温度(23℃、110℃、又は150℃)に管理された恒温槽内に試験片を入れ、十分時間をおいた後、測定を実施した。測定は5回行い、その平均値を求めた。
実施例1
(ガラスクロスの表面処理)
ガラス繊維基材としてガラス繊維平織クロス(日東紡(株)製、商品名:ロービングクロス)を用いた。ガラス繊維に塗布されているサイジング剤は、含浸工程における重合反応の際、低重合を生じさせる要因となるため、ガラス繊維基材については予め、350℃、24時間の熱処理を行った。上記ガラスクロスを、1質量%3−アミノプロピルトリエトキシシランのメタノール溶液に7時間浸漬後、110℃の熱風オーブン内で、5時間乾燥させて溶媒を除去した。その後、該ガラスクロスを、3質量%トリレンジイソシアネート(TDI)のヘキサン溶液に7時間浸漬後、110℃の熱風オーブン内で5時間乾燥させて溶媒を除去した。
(ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造)
ステンレス鋼製ビーカーに無水のε−カプロラクタム50質量部を採り、140℃に調整した。これに重合助触媒のトリレンジイソシアネート0.5質量部を加えた。
別のステンレス鋼製ビーカーに無水のε−カプロラクタム50質量部を採り、これに重合触媒のラクタム酸ナトリウム(濃度20%)3質量部を加え、140℃に調整し、系を均一化した。
ついで、165℃に加熱保持した凹金型内部(雌雄型クリアランスt=5.0mm)に上記処理を施したガラスクロスを4mm厚さに載置し、型締めを行い、上記で得られた配合組成物を金型内部に注入した。注入は1分で完了した。面圧力として0.5MPaを加え、金型温度を165℃に保ったまま、30分間保持した。その後に脱型し、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体(モノマーキャストナイロン成形体)を得た。得られたガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体中の繊維含有率(Vf)は30体積%であった。繊維体積は比重測定によって測定した。
実施例2
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体中の繊維含有率が50体積%となるように、凹金型内部に載置したガラスクロスの量を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
実施例3
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体中の繊維含有率が25体積%となるように、凹金型内部に載置したガラスクロスの量を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
実施例4
ガラスクロスの表面処理において、イソシアネート化合物をヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
実施例5
ガラスクロスの表面処理において、アミノ基含有シランカップリング剤をγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
比較例1
ガラスクロスの表面処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
比較例2
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体中の繊維含有率が65体積%となるように、凹金型内部に載置したガラスクロスの量を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
比較例3
強化繊維として平均繊維径が10μmであるガラス単繊維を繊維含有率が30体積%となるように、凹金型内部に載置したガラスクロスの量を変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
比較例4
ガラスクロスの表面処理において、アミノ基含有シランカップリング剤をエポキシ基含有シランカップリング(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)へ変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。
比較例5
ガラスクロスを使用しないこと以外は、実施例1と同様の条件で、ポリアミド樹脂成形体を得た。
実施例1〜5並びに比較例1〜5で得られたガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体について、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005735391
表1より、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いてガラス繊維布を表面処理しなかった比較例1に対して、実施例1〜5では、曲げ強度が改善されたことがわかる。特に、実施例1及び2では、曲げ強度に加えて曲げ弾性率も改善されたことがわかる。また比較例2では、繊維含有率が65体積%を超えると、反応未重合やポリアミド樹脂への未含浸が発生し良好な成形体を得ることができなかった。また、比較例3では、織物ではない不連続な長繊維を充填したが、同充填量の織物を用いた実施例1に対して、十分な強度を発現させることはできなかった。また、比較例4では、アミノ基含有以外のカップリング処理を用いたが、モノマーキャストナイロンの重合反応に対して阻害に作用し、反応が進行せず成形体を得ることができなかった。

Claims (7)

  1. アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有し、150℃における曲げ強度が100MPa以上であることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体であって、該ポリアミド樹脂が環状アミドを重合してなるモノマーキャストナイロンである、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体
  2. 110℃における曲げ強度が100MPa以上である、請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
  3. 150℃における曲げ強度が、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理したガラス繊維布を含有しないポリアミド樹脂成形体の150℃における曲げ強度の2.5倍以上である、請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
  4. 前記ポリアミド樹脂が、ε−カプロラクタムを重合してなるモノマーキャストナイロンである、請求項1〜のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
  5. 前記ガラス繊維布の含有率が25〜60体積%である、請求項1〜のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法であって、
    (a)ガラス繊維布を、熱処理した後に、アミノ基含有シランカップリング剤及びイソシアネート化合物を用いて表面処理する工程、及び
    (b)前記工程(a)で表面処理したガラス繊維布を型内に載置した後、環状アミド、重合触媒及び重合助触媒を含有する重合用組成物を、前記型内に注型し、重合させる工程
    を含む、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記工程(a)において、ガラス繊維布を、アミノ基含有シランカップリング剤を用いて表面処理した後に、イソシアネート化合物を用いて表面処理する、請求項に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体の製造方法。
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