JP5234356B2 - 繊維強化ポリアミド樹脂複合材の製造方法 - Google Patents

繊維強化ポリアミド樹脂複合材の製造方法 Download PDF

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本発明は、ラクタムモノマーを含有する重合性組成物を強化繊維基材に含浸させてアニオン重合させる繊維強化ポリアミド樹脂複合材の製造方法に関する。さらに詳細には、繊維強化ポリアミド樹脂複合材を用いて大型で複雑な構造物を経済的、且つ、簡便に成形可能な製造方法に関する。
リサイクル性や靭性といった特性から、熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)が自動車用途等において盛んに開発が行なわれている。このFRTPは、マトリックス樹脂が高分子(ポリマー)であるため、連続繊維の強化繊維基材含有率の高いFRTPを作製することは困難であった。すなわち、例えば、ポリアミド樹脂をマトリックスとする場合に、ポリアミド樹脂を織物や編物等の連続繊維の強化繊維基材に含浸させることは、樹脂の溶融粘度が高いので、一般には困難である。
そこで、低粘度のラクタムを単量体のまま含浸させてからポリアミドにアニオン重合させる方法が提案された(例えば、特許文献1〜4参照。)。しかしながら、ラクタムのアニオン重合自体、必ずしも容易ではない。また、強化繊維基材に含浸させてアニオン重合させるには、工程の複雑化やアニオン重合の制御の困難が伴う。従って、例えば、特許文献1では、特定範囲のpK値を有する酸のアルカリ金属塩を触媒として用いることにより、水分による影響を受けにくい重合システムを提案しており、特許文献2では、無水物を使用し、かつ、温度制御により重合速度を制御して重合させる方法を提案しており、特許文献3では、溶融させた重合性組成物を温度制御下に含浸、重合させる方法を提案しており、また、特許文献4では、促進剤の種類や添加時期を工夫して連続製造する方法を提案するなどの工夫がなされてきた。
しかし、これらの方法によっても強化繊維基材に含浸させたラクタムのアニオン重合を良好に行うことは、必ずしも容易ではない。それは、アニオン重合がいくつもの要因により影響を受けることから、すでに提案された手法では効果が充分ではないことや、工程の管理や再現性の観点から、適用が難しい場合があるからである。
実際、大型で複雑な構造物を成形するためには高温高圧力を使用する特殊な設備が必要であり、FRTPを経済的、且つ、簡便に成形可能とすることは非常に困難であった。すなわち、強化繊維基材を使用してラクタムモノマーを含浸させてアニオン重合させる際に、重合触媒及び重合助触媒を加えてからのポットライフが極めて短く、例えば、ε−カプロラクタムが溶融している110℃で混合しても発熱反応するので、150〜160℃程度に温度上昇して1分間程度の短時間で重合してしまうため、含浸が完了するまえに重合してしまう可能性がある。従って、重合触媒及び重合助触媒を含浸工程直前に混合する必要があった。また、ポットライフが短いため、大型成形品では成形不良が生じてしまう問題があった。
特公昭48−185号公報 特開平9−208712号公報 特開平9−202854号公報 国際公開第2003/53661号パンフレット
従って、本発明の目的は、繊維強化ポリアミド樹脂複合材を用いて大型で複雑な構造物を経済的、且つ、簡便に成形可能な製造方法を提供することである。
本発明は、重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させた強化繊維基材に、前記基材に付着させた重合助触媒及び/又は重合触媒との組み合わせがε−カプロラクタムと重合助触媒と重合触媒とになるように、ε−カプロラクタムを含有し重合助触媒及び重合触媒を含有しないか、ε−カプロラクタムと重合触媒を含有し重合助触媒を含有しないか、又は、ε−カプロラクタムと重合助触媒を含有し重合触媒を含有しない、重合性組成物を含浸させ、アニオン重合させることを特徴とする繊維強化ポリアミド樹脂複合材の製造方法である。
本発明の一態様においては、重合助触媒を付着させた強化繊維基材に、ε−カプロラクタムと重合触媒とを含む重合性組成物を含浸させ、アニオン重合させる。
本発明の他の態様において、重合助触媒は、N−アシルラクタム誘導体である。
本発明の他の態様において、重合触媒は、アルカリ金属、並びに、アルカリ金属の水素化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、アルキル化物及びアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明の他の態様において、強化繊維基材は、N−アシルラクタム誘導体を0.05〜3重量%付着させたものである。
本発明の別の態様において、強化繊維基材は、炭素繊維基材、ガラス繊維基材又はアラミド繊維基材である。
本発明の別の態様において、強化繊維基材は、連続長繊維からなる編織物基材であるか又は連続長繊維からなるシート状の一方向基材である。
本発明は、上述の構成により、以下の効果を発揮する。
(1)本発明の製造方法によれば、重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させた強化繊維に重合性組成物を含浸させることにより初めてε−カプロラクタムと重合助触媒と重合触媒とが反応系を構成することになるので、重合性組成物は含浸した後に重合反応が開始する。このため、含浸前に重合が生じることがなく、また、含浸途中においても、含浸が速やかに完了するので、重合による影響が事実上生じることがない。したがって、煩雑な温度制御やそのための複雑な工程管理及び装置を必要とせず、また、高温高圧力を使用する特殊な設備を必要とせず、経済的、且つ、簡便に大型で複雑な構造物を製造することができる。
(2)また、本発明の製造方法によれば、再現性のよい製造工程を実現可能であり、含浸不良が発生することなしに高い繊維含有率、優れた機械的強度、良好な外観のFRTP製大型構造物を製造することができる。
(3)さらに、本発明の製造方法によれば、製造設備上、従来困難であった自動車車体部材、建築部材、住宅設備、等の複雑な大型構造物にも適用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させた強化繊維基材に、重合性組成物を含浸させる。強化繊維基材に付着させるのは重合助触媒でもよく、重合触媒でもよく、重合触媒と重合助触媒とでもよい。典型的な態様としては、重合助触媒を強化繊維基材に付着させる。この場合は、重合開始剤として働く重合助触媒が強化繊維基材に付着しているので、重合開始が強化繊維基材表面から始まり、マトリックス樹脂と基材との接着性が向上することが期待され、複合材の機械的強度の向上の観点から、好ましい。
上記重合触媒としては、ε−カプロラクタムのアニオン重合の触媒として使用されるものを特に制限なく使用可能であり、例えば、アルカリ金属、アルカリ金属の水素化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、カルボン酸塩、アルキル化物、アルコキシド等を好ましく挙げることができ、これらは1種のみであってもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合触媒において、アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種であり、なかでもNa又はKが反応性、経済性の面から好ましい。
上記重合触媒として、その好ましいものの具体例を例示すれば、例えば、金属ナトリウム、金属リチウム、水素化ナトナウム、水素化リウチム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
上記重合触媒の配合量としては一般にその種類により異なるが、通常、ε−カプロラクタムに対して0.01〜3.0重量%であり、0.1〜2.0重量%がより好ましい。例えば、アルカリ金属塩(炭酸塩又はカルボン酸塩)にあっては、0.1〜1.0重量%が好ましい。
上記重合助触媒としては、ε−カプロラクタムのアニオン重合の助触媒として使用されるものを特に制限なく使用可能であり、例えば、イソシアネート類、アシルラクタム、カルバミドラクタム、イソシアヌレート誘導体、酸ハライド、尿素誘導体等を挙げることができる。これらのうち、好ましいはアシルラクタムであり、なかでもN−アシルラクタム化合物が好ましい。N−アシルラクタム化合物としては、N−アセチル−ε−カプロラクタム、N−プロピオニル−ε−カプロラクタム、N−ベンゾイル−ε−カプロラクタム、N,N′−アジポイル−ビス−ε−カプロラクタム、N,N′−テレフタロイル−ビス−ε−カプロラクタム等が挙げられる。この他に、ε−カプロラクタムと反応してアシルラクタム基を1〜2個生成する化合物として、ジイソシアナート(MDI、HMDI、IPDI、XDI等)やカルボン酸ハライド(カプロイルクロリド、アジポイルジクロリド等)があり、これら化合物とε−カプロラクタムとを反応させたN−アシルラクタム化合物も挙げられる。
上記重合助触媒の配合量としては一般にその種類により異なるが、通常、ε−カプロラクタムに対して0.01〜5.0重量%であり、0.1〜2.0重量%がより好ましい。例えば、N−アシルラクタム化合物にあっては、0.1〜2.0重量%が好ましい。
本発明においては、強化繊維基材としては公知のものを特に制限することなく使用可能であり、例えば、炭素繊維基材、ガラス繊維基材、アラミド繊維基材等を挙げることができる。
このうち、炭素繊維基材は、通常、サイジング剤で処理して成形品用基材として供されている。本発明においては、炭素繊維基材としては、サイジング剤で処理された基材であってもよいが、サイジング剤をアセトン等の有機溶剤で洗浄除去したものを使用することが好ましい。また、このようなサイジング剤で処理された炭素繊維基材をアルカリ金属水酸化物溶液等の0.01〜0.1重量%アルカリ液で処理したものであってもよい。
本発明の製造方法において、強化繊維基材の形態としてはとくに限定されず、例えば、連続長繊維からなる編織物(本発明において、「編織物」とは、織物、編物又は組物をいう。)基材であってもよく又は連続長繊維からなるシート状の一方向基材(すなわち、繊維束を一方向に並行に引き揃えた基材。)であってもよく、また、チョップドストランド、マット、ペーパー等であってもよい。
強化繊維基材に重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させるには、例えば、重合助触媒及び/又は重合触媒の溶液(例えば、水溶液等)又は分散液(例えば、水分散液等)中に強化繊維基材を浸漬し、乾燥して溶媒又は分散媒を揮発又は蒸発させる方法、重合助触媒及び/又は重合触媒の粉末を強化繊維基材に乾式に付着させる方法、重合助触媒及び/又は重合触媒のペーストを強化繊維基材に付着させる方法、重合助触媒及び/又は重合触媒の粉末を揮発溶媒で湿らせた強化繊維基材に湿式に付着させる方法、等が挙げられる。これらのうち、重合助触媒及び/又は重合触媒の溶液又は分散液中に強化繊維基材を浸漬し、乾燥して溶媒又は分散媒を揮発又は蒸発させる方法が好ましい。接着性成分を用いても良いが、重合反応に影響を与えるおそれがあり、付着量の増加による効果とのバランスを考慮することが望ましい。
本発明において、強化繊維基材に重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させる量としては、付着させる方法や強化繊維基材に含浸させる重合性組成物の量や重合助触媒及び/又は重合触媒の種類、反応条件等により必ずしも一定しないが、例えば、浸漬させる方法においては、通常、0.01〜6.0重量%であり、0.1〜3.0重量%が好ましい。例えば、アシルラクタム化合物を用いた場合は、通常、0.05〜3.0重量%であり、特に0.5〜2.5重量%が好ましい。
また、基材に付着した量と重合性組成物中の量を併せた、重合助触媒の量と重合触媒の量との重量比としては、強化繊維基材を100部として、0.5〜2.0:1.0〜4.0が好ましい。
本発明において、重合性組成物は、ε−カプロラクタムをモノマー原料として含有し、強化繊維基材に付着させる重合助触媒及び/又は重合触媒に対応して、含浸した強化繊維基材内において前記基材に付着させた重合助触媒及び/又は重合触媒との組み合わせがε−カプロラクタムと重合助触媒と重合触媒とになるように、ε−カプロラクタムを含有し重合助触媒及び重合触媒を含有しないか、ε−カプロラクタムと重合触媒を含有し重合助触媒を含有しないか、又は、ε−カプロラクタムと重合助触媒を含有し重合触媒を含有しない。
上記重合性組成物は、例えば、ε−カプロラクタムと重合触媒との溶融混合物、ε−カプロラクタムと重合助触媒との溶融混合物等として調製することができる。この際の加熱温度としては、ε−カプロラクタムの溶融温度を考慮して、例えば、100〜110℃程度が挙げられる。
上記重合性組成物には、本発明の効果が損われない範囲で、更に、従来公知の各種の無機充填剤を配合してもよい。無機充填剤の種類や配合量は、用途や組成物の粘度に応じて適宜選択することができる。上記無機充填剤としては、例えば、ガラスバルーン、ガラスビーズ、溶融シリカ粉末、石英ガラス粉末、結晶性シリカ粉末、ガラス微小繊維、タルク、アルミナ粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化アンチモン粉末、硫酸バリウム粉末、酸化チタン粉末、水酸化アルミニウム粉末等が挙げられる。
重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させた強化繊維基材に、重合性組成物を含浸させる量としては特に制限されず、通常FRTPで使用される配合量とすることができる。
上記重合性組成物を強化繊維基材に含浸させる際、重合性組成物は低粘度であることが好ましく、必要に応じて、加熱又は加熱溶融させて含浸させる。この加熱条件としては、ε−カプロラクタムの融点以上であって、例えば、110〜180℃で行う。
強化繊維基材への含浸は、金型内で行うことができ、例えば、まず、予め調製したε−カプロラクタムと重合触媒との溶融混合物を、重合助触媒を付着させた強化繊維基材をセットして加熱保持した金型内に、注入する等の方法で行うことができる。
アニオン重合の条件としては、強化繊維基材の量や形状等にもよるが、一般的には、10〜50分、好ましくは15〜40分、140〜200℃、好ましくは150〜180℃である。
本発明の製造方法においては、さらに必要に応じて、例えば、190℃、20〜30分程度、形成品を熱処理してもよい。
本発明の製造方法で得られた繊維強化複合材は、ε−カプロラクタムが重合したポリマーである、架橋構造を有さず熱可塑性であるナイロン6をマトリックスとし、強化繊維との界面における接着性を向上可能であり、かつ成形に高温・高圧力を必要とせず、非常に低エネルギーで可能なことから、大型或いは複雑な形状の成形物を含む種々の形状の成形物の製造に適用可能である。例えば、車両部材(例えば、アンダーフロアやドアパネルに晒される部材、ボディー等)、建築部材等に適用可能であり、特に、従来の複合材料では生産性が充分でなく適用が困難であった大型構造部材に適用することができる。また、経済性、強度に優れた特性を生かして各種FRP部材に使用することができる。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜3
(1)炭素繊維基材の処理工程
炭素繊維基材として炭素繊維綾織りクロスCF3302(日東紡績社製)を用いて、実施例1、2においては、アセトンに3日間浸漬し、炭素繊維に付着しているサイジング剤を洗浄除去した。実施例3においては、0.025重量%の水酸化ナトリウム・メタノール溶液に20秒浸漬処理した。
その後、実施例1〜3について、下記のようにしてN−アシルラクタム化合物を炭素繊維基材に付着させた。付着量は表1に記載の通りであり、付着量は処理後の重量増加量から決定した。
実施例1、3では下記:
Figure 0005234356
であらわされるジイソシアネート系N−アシルラクタム化合物(表中、「ジイソシアネート系」と表記した。)の1.0%水分散液に20秒間浸漬し、その後、110℃、10分間乾燥した。
実施例2では下記:
Figure 0005234356
であらわされるアセチル系N−アシルラクタム化合物(表中、「アセチル系」と表記した。)の1.0%水分散液に20秒間浸漬し、その後、110℃、10分間乾燥した。
(2)含浸させ、アニオン重合する工程
重合性組成物の調製
十分に乾燥させたε−カプロラクタム100重量部を100℃に加温溶融し、金属ナトリウム0.2重量部を溶解させて重合性組成物Aを調製した。
成形工程
160℃に加熱保持した凹金型の内部(雄雌型のクリアランスt=1.8mm)に、強化繊維基材である実施例における処理を施した夫々の炭素繊維綾織りクロスを9枚セットし、型締めを行ない、上記で得られた重合性組成物Aを金型内部に注入した。注入は約1分で完了した。注入終了後、金型圧力を1MPa、金型温度を160℃に保ったまま、30分間保持した後に脱型し、炭素繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。繊維含有率及び成形性(成形体の外観)は表1に記載のとおりであった。
3点曲げ試験
実施例で得られた複合材料の曲げ強度と曲げ弾性率を確認するために、JIS K 7074に準じて3点曲げ試験を行った(万能試験機インストロン(インストロン社製)を使用して測定した。クロスヘッドスピード3.0mm/分)。試験片形状は、それぞれ、幅15mm、長さ100mmで、曲げスパンは80mmとした。測定は乾燥状態で23℃で5回行い平均値を求めた。結果を表1に示した。
比較例1、2
(1)炭素繊維基材の処理工程
炭素繊維基材として炭素繊維綾織りクロスCF3302(日東紡績社製)を用いて、アセトンに3日間浸漬し、炭素繊維に付着しているサイジング剤を洗浄除去したものを使用した。
(2)含浸させ、アニオン重合する工程
重合性組成物の調製
十分に乾燥させたε−カプロラクタム100重量部を100℃に加温溶融し、金属ナトリウム0.4重量部を溶解させてa液を調製した。
さらに、別に十分に乾燥させたε−カプロラクタム100重量部に、上記実施例1、3で用いたものと同じ上述のジイソシアネート系N−アシルラクタム化合物1.6重量部を配合して110℃に加温溶融し、b液を調製した。
次いで、a液とb液を金型に注入する直前に混合して重合性組成物Bを準備した。
成形工程
比較例1においては、上記で得られた重合性組成物B及び上記で得られた炭素繊維基材を用いたこと以外は実施例と同様の成形方法により炭素繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。繊維含有率及び成形性(成形体の外観)は表1に記載のとおりであった。比較例2においては、重合性組成物Bにかえ、重合性組成組成物Aを用いた以外は比較例1と同様に成形した。しかし、比較例2では重合不良のため成形体が得られず繊維含有率の評価をしていない。
3点曲げ試験
実施例と同様にして試験を行った。結果を表1に示した。なお、比較例2は重合不良のため成形体が得られず評価をしていない。
比較例3
炭素繊維基材として炭素繊維綾織りクロスCF3302(日東紡績社製)を用いて、アセトンに3日間浸漬し、実施例1、3で用いたものと同じ上述のジイソシアネート系N−アシルラクタム化合物(表中、「ジイソシアネート系」と表記した。)の0.5重量%水分散液に20秒間浸漬し、その後、110℃、10分間乾燥したものを使用した。
重合性組成物として比較例1と同様に重合性組成物Bを使用した。それ以外は実施例1と同様にして成形体を得、評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 0005234356
実施例4、5、比較例4〜6
(1)ガラス繊維基材の処理工程
ガラス繊維基材として脱油処理してサイジング剤を除去したガラス繊維平織りクロスWLA230BX(日東紡績社製アミノシラン処理ガラスクロス)を用いて、実施例4は実施例1と同様に上記実施例1、3で用いたものと同じ上述のジイソシアネート系N−アシルラクタム化合物(表中、「ジイソシアネート系」と表記した。)処理し、実施例5は上記実施例2で用いたものと同じ上述のアセチル系N−アシルラクタム化合物(表中、「アセチル系」と表記した。)処理し、比較例4、5は、比較例1〜2と同様に、付着処理をしなかった。比較例6は、上記実施例1、3で用いたものと同じ上述のジイソシアネート系N−アシルラクタム化合物(表中、「ジイソシアネート系」と表記した。)の0.5重量%水分散液に20秒間浸漬し、その後、110℃、10分間乾燥したものを使用した。
(2)含浸させ、アニオン重合する工程
重合性組成物の調製
実施例4、5、及び比較例5については、それぞれ実施例1〜3と同様にして重合性組成物Aを調製した。また、比較例4、6は比較例1〜2と同様にして重合性組成物Bを調整した。
成形工程
上記で得られた重合性組成物A又はB及び上記で得られたそれぞれのガラス繊維基材を用いたこと以外は実施例1〜3、比較例1〜2と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂成形体を得た。繊維含有率及び成形性(成形体の外観)は表2に記載のとおりであった。なお、比較例5は重合不良のため成形体が得られず繊維含有率評価をしていない。
3点曲げ試験
実施例1〜3と同様にして試験を行った。結果を表2に示した。なお、比較例5は重合不良のため成形体が得られず評価をしていない。
Figure 0005234356
実施例1〜5から、本発明の製造方法によれば、比較的低温の条件で、特段の高温、高圧を用いることなしに、良好な複合材を成形することができた。従って、大型の構造物を製造する際に、高温高圧の特殊設備を必要としないで製造することができる。
なお、実施例1の炭素繊維基材に重合性組成物Bを使用した比較例3、及び、実施例4のガラス繊維基材に重合性組成物Bを使用した比較例6の場合、いずれの場合も、曲げ弾性率、繊維含有率は、それぞれ、実施例1〜3、実施例4〜6と同程度であり、曲げ強さは、それぞれ、実施例1〜3、実施例4、5と同程度であるか、又は、それよりも高かった。これは、重合助触媒が組成物のみならず基材表面にも存在するので、繊維基材とマトリックス樹脂との接着性が向上したことによるものと考えられる。しかしながら、比較例3及び6とも、一部含浸不良があり、成形性(外観)に問題があった。従って、単に強度を向上させる目的ならこのような態様も可能であるが、良好な成形体を得る目的には適合しなかった。とくに、大型の構造物を製造する目的には適合しない。

Claims (7)

  1. 重合助触媒及び/又は重合触媒を付着させた強化繊維基材に、前記基材に付着させた重合助触媒及び/又は重合触媒との組み合わせがε−カプロラクタムと重合助触媒と重合触媒とになるように、ε−カプロラクタムを含有し重合助触媒及び重合触媒を含有しないか、ε−カプロラクタムと重合触媒を含有し重合助触媒を含有しないか、又は、ε−カプロラクタムと重合助触媒を含有し重合触媒を含有しない、重合性組成物を含浸させ、アニオン重合させることを特徴とする繊維強化ポリアミド樹脂複合材の製造方法。
  2. 重合助触媒を付着させた強化繊維基材に、ε−カプロラクタムと重合触媒とを含む重合性組成物を含浸させ、アニオン重合させる請求項1記載の製造方法。
  3. 重合助触媒は、N−アシルラクタム化合物である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 重合触媒は、アルカリ金属、並びに、アルカリ金属の水素化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、アルキル化物及びアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 強化繊維基材は、N−アシルラクタム化合物を0.05〜3重量%付着させたものである請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 強化繊維基材は、炭素繊維基材、ガラス繊維基材又はアラミド繊維基材である請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
  7. 強化繊維基材は、連続長繊維からなる編織物基材であるか又は連続長繊維からなるシート状の一方向基材である請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。
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