JP2015010129A - 反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法および複合材料 - Google Patents

反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法および複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ポリアミドを用いたRIM(Reaction Injection Molding)成形に適用した場合に、重合阻害を起こさない炭素繊維強化複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】
(a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、(b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物b、を所定比率で混合し、これを(c)ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcが表面に付着した炭素繊維からなる樹脂強化用炭素繊維束、に含浸させて重合させる、反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。但し、該ラクタム化合物aとラクタム化合物bは、同じ化合物であっても異なっていても良い。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合阻害を起こさない材料を用いたポリアミドのRIM成形による炭素繊維強化複合材料、及びその製造方法に関する。
近年、炭素繊維を各種のマトリックス樹脂と複合化して得られる繊維強化プラスチックは、種々の分野・用途に広く利用されるようになってきた。
中でも、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、一般産業分野では、従来、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されてきた。しかし、これらのマトリックス樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣る傾向があるため、特に航空・宇宙分野では、その改善が求められてきた。また熱硬化性樹脂の場合、これをプリプレグとしたとき、樹脂のライフタイムが短いために保存管理が難しいこと、製品形状に対して追従性が乏しいこと、成形時間が長く生産性が低いこと等の課題もあった。
これに対して、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた複合材料は、耐衝撃性に優れ、成形時間が短く、成形コスト低減の可能性もある。このような熱可塑性複合材料を成形する方法として、例えば溶融樹脂を炭素繊維束に含浸させる方法が知られているが、溶融樹脂の粘度が高く、含浸不良が生じがちである。
このような問題を解決する方法として、RIM成形(Reaction Injection Molding。反応射出成形。)が知られている。RIM成形は、一般に金型内に強化繊維材を配置した状態でポリアミド(ナイロン)、エポキシ、ウレタン等からなるマトリックス樹脂の未反応原料液を注入し、金型方内で強化繊維材に上記原料液を含浸させながら反応を起こして固化させる成形法である。RIM成形においてマトリックス樹脂として用いられるのはポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、エポキシ、不飽和ポリエステル、ジシクロペンタジエンなどがあり、その中でポリアミドは、例えばラクタムのアニオン重合によって生成され、アニオン重合触媒や活性化剤が用いられている。
ポリアミドを用いたRIM成形は、含浸不良を改良できる方法として期待されているが、重合時に用いる触媒や活性化剤と、炭素繊維に用いる表面処理剤の相互作用により、重合阻害を起こすことが課題となっている。重合阻害を起こすと、炭素繊維表面とポリアミド樹脂との接着性が失われ、十分な強度を持った複合材料が得られない。
重合阻害を起こさない表面処理剤としては、例えばポリウレタン系樹脂(特許文献1)、エポキシ樹脂(特許文献2)、水溶性ナイロン(特許文献3)等が提案されているが、いずれの技術でも十分に重合阻害を解消できることができず、また活性化剤に対しては特に影響を及ぼさない。
特開平04−249538号公報 特開平06−172515号公報 特開2002−088656号公報
本発明は、強化繊維として炭素繊維を使用したポリアミドのRIM成形において、重合阻害を生じせしめず、逆に重合を促進することにより、結果として、強化繊維とポリアミド樹脂とが十分な接着性と親和性を持ち、高い力学特性を有する成形品(複合材料)を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、強化繊維として用いる炭素繊維のサイズ剤として、特定のポリウレタンを使用することにより、ポリアミドのRIM成形において重合阻害を起こさないことを見出し、また得られる複合材料における炭素繊維とポリアミド樹脂が十分な接着性と親和性を持ち、成形品(複合材料)の力学特性を十分に発揮させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は以下に存する。
〔1〕
(a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、
(b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物b
を所定比率で混合し、これを
(c)ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcが表面に付着した炭素繊維からなる、樹脂強化用炭素繊維束
に含浸させて重合させる、反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。但し、該ラクタム化合物aとラクタム化合物bは、同じ化合物であっても異なっていても良い。
〔2〕 前記樹脂強化用炭素繊維束に含まれる炭素繊維束に対し、前記ポリウレタンcが0.1〜5.0質量%付着していることを特徴とする、前記〔1〕に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。
〔3〕 前記ラクタム化合物a及びラクタム化合物bのうち、少なくとも一方がε−カプロラクタムであり、前記重合時の反応温度が100℃〜200℃である、前記〔1〕または〔2〕に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。
〔4〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法にて得られた複合材料であり、該複合材料に含まれる炭素繊維束が10質量%以上80質量%以下である複合材料。
本発明によれば、ポリアミドのRIM成形において、重合阻害を起こしにくい樹脂強化用炭素繊維束を用いる為、炭素繊維とポリアミド樹脂との親和性に優れ、力学特性が極めて優れた成形品(複合材料)を製造することが可能となる。この成形品は、電気・電子機器、OA機器、家電機器または自動車の部品、内部部材および筐体などに好適に用いることができる。
本発明は、(a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、(b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物bを所定比率で混合し、これを (c)ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcが表面に付着した炭素繊維からなる、樹脂強化用炭素繊維束、に含浸させて重合させる、反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法に関する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
〔ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンc〕
本発明における樹脂強化用炭素繊維束を構成する炭素繊維は、表面に「ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンc」(以下、単に「ポリウレタンc」と称することがある)が付着している。つまりポリウレタンcを含むサイズ剤でサイジングされている。
ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcとは、分子末端及び/又は側鎖に有するイソシアネート基をブロック剤で保護したポリウレタンを示す。
ブロック剤はイソシアネート基と反応して一時的に安定な化合物を作り、後からの適切な熱処理により解離することにより、イソシアネート基が再生する。再生したイソシアネート基は、自己架橋および活性水素化合物(アミノ基・水酸基・水など)との反応などによりアロファネート結合、ウレタン結合などで三次元架橋する。
本発明に用いる本発明におけるポリウレタンcは、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)と、少なくとも2個以上の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(B)と、有機ポリイソシアネート(C)と、ブロック剤(D)とを溶剤の存在下または不存在下で反応させることにより得られる。
上述の活性水素原子を有する化合物(A)は、分子末端または分子内に2個以上のヒドロキシル基、アミノ基またはメルカプト基を有するものである。具体的には、公知のポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリブタジエン、ポリシロキサン等であり、好ましくは、分子末端に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物である。なお、これら活性水素原子を2個以上有する化合物の分子量は、50〜5,000の範囲であることが好ましい。
具体的には、2個以上の活性水素原子を有するポリヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA,ジブロムビスフェノールA,1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシエチルテレフタレート、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリール等の多価アルコール、それらのアルキレン誘導体又はそれら多価アルコール及びアルキレン誘導体と多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、若しくは多価カルボン酸エステルからのエステル化物、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、フッ素ポリオール、シリコンポリオール、ヒマシ油ポリオール等のポリオール化合物やその変性体を挙げることができる。
本発明のポリウレタンcは、親水性の部分構造を有することにより自己乳化性を示すウレタンポリマーエマルジョンとなって得られる為、炭素繊維への塗布を容易に行なうことができるため好ましい。具体的には以下に示す2個以上の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(B)を用いる。
少なくとも2個以上の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(B)としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のヒドロキシアルカン酸が挙げられる。カルボキシル基の導入に2個以上の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(B)を用いることにより、アミノカルボン酸を用いる場合に比較して、イソシアネート基との反応が速すぎることはなく、反応速度のコントロールが容易であり、均一に分子中にカルボキシル基を導入することができるという利点がある。カルボキシル基含有化合物(B)中のカルボキシル基は、得られるポリウレタンcを水に分散させる際に塩形成剤により塩を形成させるためのものである。塩形成剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物やアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン化合物等が挙げられる。
本発明に於ける有機ポリイソシアネート(C)としては、従来から慣用されている芳香族、脂肪族、脂環族等の有機ポリイソシアネートを使用でき、具体例として、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート、又はこれらの混合物が挙げられる。
また、ブロック剤(D)としてはフェノール、クレゾール等のフェノール系;メタノール、エタノール、ブチルセロソルブ等のアルコール系;ε−カプロラクタム等のラクタム系;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン系;イミダゾール等のイミダゾール系;及び重亜硫酸曹達等の公知のブロック剤が挙げられる。ブロック剤の解離温度は用いるブロック剤の種類によって異なり、メタノールやエタノールのような低級アルコールでは、180℃を超えるが、重亜硫酸塩では、50℃以上で熱開裂が起こる。このようにブロック剤の種類によって熱開裂温度が異なるので、実際に使用する場合には、複合材料を製造する際のプロセス温度に適したブロック剤を選定すればよい。
このような方法にて作製されるポリウレタンcは、親水性の部分構造を分子内に持つ自己乳化性を示すポリウレタン水系分散液として得られる為、繊維への塗布を容易に行なうことができる。しかし得られたポリウレタンcを強制乳化したものを使用してもよい。
ブロック化イソシアネート基を側鎖及び/又は分子末端に導入する方法としては、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを調整後、上記ブロック剤を反応させるか、先に、有機ポリイソシアネート(C)の一部のイソシアネート基をブロック剤で反応させた後、ポリウレタンcを合成する方法がある。
このポリウレタンcにおけるブロック化イソシアネート基の含有量は再生イソシアネート基換算で通常2質量%以上であり、4質量%以上であることが好ましい。また、通常18質量%以下であり、好ましくは15質量%以下である。ブロック化イソシアネート基の含有量を上記範囲内とすることにより、耐水性、密着性、耐溶剤性、耐熱性等の諸性能を改善することができる。また、ブロック化イソシアネート基の含有量を上記範囲内とすることにより、その形成皮膜が必要な強度を担保し、屈曲性を保つことができる。
また、ポリウレタンcに於けるカルボキシル基は、上述のように塩形成剤による水中への乳化・分散を起こさせるために導入される。十分な乳化・分散が行われるためには、カルボキシル基の酸価は10mgKOH/g〜60mgKOH/gの範囲であることが、塩形成剤による水中への乳化・分散や各種合成繊維に対する密着性を向上させるうえで好ましい。特に、エポキシ架橋剤を併用する場合には、このカルボキシル基とエポキシ架橋剤とが反応することにより、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、密着性等の諸性能が著しく向上する。また、カルボキシル基の酸価を60mgKOH/g以下とすることにより必要な耐水性も担保することができる。
本発明に於けるポリウレタンcの乳化・分散の方法としては種々考えられる。第1に、2個以上の活性水素原子を有する化合物(A)と、少なくとも2個以上の水酸基を有するカルボキシル基含有化合物(B)と、有機ポリイソシアネート(C)と、ブロック剤(D)との反応により得られるブロック化イソシアネート基を側鎖及び/又は分子末端に有するポリウレタンcを、カルボキシル基含有化合物(B)により導入されるカルボキシル基に対して上述の塩形成剤を使用して水中に乳化・分散させることによりポリウレタン水系分散液を得る方法がある。第2に、上記ポリウレタンcを水中に乳化・分散させた後、ポリアミン又は水との反応により高分子量化してポリウレタン水系分散液を得る方法がある。本発明では、このようにウレタンプレポリマーを水中に乳化・分散させることにより、ポリウレタン水系分散液が生成する。
上述のポリアミンとしては、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ピペラジン、ジフェニルメタンジアミン、エチルトリレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の多価アミノ化合物が挙げられる。
ポリウレタンcの重量平均分子量の好ましい下限は1,500以上であり、2,000以上であることがより好ましい。また、重量平均分子量の好ましい上限は5,000以下であり、4,000以下であることがより好ましい。ポリウレタンcの重量平均分子量を上記下限以上とすることにより、十分なフィルム形成能力が確保でき、また、サイジング工程での収束性が良好であるため好ましい。また、重量平均分子量を上記上限以下とすることにより、サイジングした繊維が柔軟になり、良好な開繊性を示すようになるので好ましい。
〔樹脂強化用炭素繊維束〕
ポリウレタンcを付着させる炭素繊維束としては、公知の炭素繊維束を用いることができ、特に限定されない。通常の炭素繊維束は、平均直径が5μm以上15μm以下の単繊維を、1000本以上60000本以下束ねた形態を有している。この炭素繊維束を構成する単繊維は、例えば、アクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)や、石油、石炭から得られるピッチ、レイヨン、リグニン等を繊維化し、炭素化することで得られる。特に、PAN系重合体を原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。なお、PAN系重合体は、分子構造中にアクリロニトリル単位を有していればよく、アクリロニトリルの単独重合体や、アクリロニトリルと他のモノマー(例えば、メタクリル酸等)との共重合体であることができる。共重合体中のアクリロニトリル単位と他のモノマー単位との含有割合は、作製する炭素繊維束の性質に応じて適宜設定することができる。
ポリウレタンcを付着する前の炭素繊維束は、炭素化処理後のもの、電解酸化処理を施して表面に酸素含有官能基(例えば、カルボキシル基)を導入したものが使用される。
本発明のポリウレタンcの付着量は、目的とする複合材料の成形法や用途等に応じて設定することができるが、0.1質量%以上5.0質量%以下とする。ポリウレタンcの付着量が0.1質量%以上5.0質量%以下であれば、炭素繊維束の適度な集束性が得られるため、成形加工時の工程通過性が低下することがない。また同様の観点から、0.3質量%以上2.0質量%以下とすることがより好ましい。
本発明のポリウレタンcの付着量は、樹脂強化用炭素繊維束の質量と、これからポリウレタンcを除去した後の炭素繊維束の質量を比較し測定することが出来る。ポリウレタンcを除去する方法としては、該ポリウレタンcを高温下で熱分解させる方法や、溶剤に溶解させて除去する方法がある。
炭素繊維束にポリウレタンcを付着させる方法としては、特に限定されないが、好ましくは、例えば自己乳化または強制乳化されたポリウレタンcを炭素繊維束に接触させる方法が挙げられる。より具体的には、ポリウレタンcを含むサイジング液にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに炭素繊維束を接触させてサイジング液を付与するタッチロール方式や、炭素繊維束を直接サイジング液中に浸漬させる浸漬方式等を用いることができる。炭素繊維束へのポリウレタンcの付与量の調節は、サイジング液中のポリウレタンcの濃度調整や絞り量調整によって行うことができる。サイジング液は、工程管理の容易さや安全性などの観点から、水分散液であることがより好ましい。サイジング処理の後は、乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥処理には、熱風式乾燥機、パネルヒーター乾燥機、マッフル炉、ロール式乾燥機などを用いることができる。加熱乾燥の方法としては、例えば、サイジング液を付与した炭素繊維束を連続で上記乾燥機に通して行う方法や、管状の部材にサイジング液を付与した炭素繊維束を巻きつけ、これらを熱風乾燥機やパネル乾燥機にてバッチ処理を行う方法を挙げることができる。乾燥処理する際は、均一な熱処理が可能な連続処理を行うことが好ましい。
ポリウレタンcはブロック剤の種類に応じた特定の温度で解離し、活性イソシアネート基(再生したイソシアネート基)をもつ化合物となる。本発明においては、樹脂強化用炭素繊維束の状態ではブロック剤が解離していない状態のポリウレタンcであることが好ましい。そのため、乾燥温度はブロック剤の解離温度以下で実施することが好ましい。
サイズ剤としてはポリウレタンc単独で用いることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分と混合して使用しても良い。
〔ラクタム化合物a及びb〕
本発明に用いることができる液状のラクタム化合物a及びb(以下、まとめて単に「ラクタム化合物」と称する)としては、重合温度にて液状のラクタム化合物であればよく、例えばラウリルラクタム、γ−ブチロラクタム、バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω―エナントラクタム、ω−カプリルラクタム等があげられる。これらのラクタム化合物は単独でも使用しても良く、2種類以上を併用してもよい。しかし、成形品の成型性や汎用性を加味した際に、最も好ましいラクタム化合物としては、ナイロン6の重合原料となるε−カプロラクタムである。
ラクタム化合物を重合させるには、アニオン重合触媒および活性化剤が必要である。アニオン重合触媒としては、公知のラクタム化合物のアルカリ重合法において使用される化合物は全て用いることができる。例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、これらの水酸化物、酸化物、炭酸塩、アルキル化合物またはアルコキシド、グリニャール化合物、ソジウムナフタレン、さらに上記金属化合物とラクタム化合物の反応生成物、例えばナトリウムラクタム、カリウムラクタム、ラクタムマグネシウムブロマイド等が挙げられる。
また活性化剤に関しても、公知のラクタム化合物のアルカリ重合法において使用される化合物をいずれも用いることができる。その具体例としては、N−アシルラクタム、有機イソシアネート、酸塩化物、酸無水物、エステル、尿素誘導体、カルボイミド、およびケテン等が挙げられる。
〔ポリアミド繊維強化複合材料の製造方法〕
本発明の、反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法は、
(a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、
(b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物b
を所定比率で混合し、これを
(c)ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcが表面に付着した炭素繊維からなる、樹脂強化用炭素繊維束に含浸させて重合させることを特徴とする。
なお、該ラクタム化合物aとラクタム化合物bは、アニオン重合触媒と活性化剤を各々溶解して供給するために分けたものであり、該ラクタム化合物aとラクタム化合物bは、同じ化合物であっても異なっていても良い。
製造方法としては(a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、(b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物bをそれぞれ調整し、所定比率で混合しながら、又は混合した後で炭素繊維シートが配置された金型等に流し込み、或いは炭素繊維シートが配置された金型に所定の比率で各々供給し、適切な温度に加温して重合を行う。このような方法では、含浸の過程で溶液の粘度が低い為、炭素繊維間に樹脂が効率よく含浸でき、物性の高い成形品を得ることが可能となる。また任意の金型を用いることにより、最終形態の成形品が直接成形可能となる。
なお、ラクタム化合物a及びbのうち少なくとも一方がε−カプロラクタムである場合、通常は、100℃〜200℃の温度にて重合を行う。この時100℃より温度が低い場合、または200℃より高いと重合が速やかに進行しないおそれがある。
RIM成形において用いる炭素繊維シートは、樹脂強化用炭素繊維束が一方向に並べられたものでも良いし、織物であっても良い。またノンクリンプファブリックの状態でも良い。このようなシートは所定の厚さに配置または積層することで任意の厚さの成形品を得ることが可能である。
その他の製造方法としては一方向に並べられた炭素繊維束を連続的に供給し、重合用のモノマー類を供給した後、両側を可動式のベルトまたはロールにてはさみ、連続的に重合させながらプリプレグ等の成形体を得る方法が挙げられる。なお一方向に並べられた繊維だけでなく、織物、ノンクリンプファブリックなども同様に使用できる。
本発明では成形品(複合材料)に含まれる炭素繊維束が10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。80質量%以下とすることにより、十分に重合反応が生じ、また10%以上とすることにより充分な機械強度が得られるため好ましい。より好ましい範囲は20質量%以上50質量%以下である。
ポリウレタンcにおけるブロック化イソシアネート基からのブロック剤の解離温度と、RIM成形時の重合温度との関係に特に制限は無い。重合温度よりもブロック剤の解離温度以下である場合でも、ウレタンポリマー骨格をもつことから、アニオンとの反応性が低く、触媒による重合阻害が抑制される。しかし、重合温度よりもブロック剤の解離温度が低い場合は、重合時の温度でブロック剤が解離し、活性イソシアネート基をもつ化合物となることで、RIMナイロンの重合を促進できるため好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
サイズ剤が付与されていない炭素繊維束(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィル(登録商標)TR 50S15L(フィラメント数15000本、ストランド強度5000MPa、ストランド弾性率242GPa))を、エラストロン(登録商標)BN−77(第一工業製薬社製 ブロックイソシアネート。ブロック剤解離温度120℃以上。)の2.0質量%水分散液に浸漬させ、ニップロールを通過させた後に、表面の温度を140℃とした加熱ロールに10秒間接触させる事により乾燥し、樹脂強化用炭素繊維束を得た。
得られた樹脂強化用炭素繊維束を、炭素繊維の目付が145g/mとなるように一方向に引きそろえ、両端を固定することにより一方向連続繊維シートを作製した。この一方向連続繊維シートは金型内にセットした。
一方、80℃に加熱され、アニオン重合触媒であるεカプロラクタムナトリウム塩を0.4質量%含有するε−カプロラクタム(ラクタム化合物aに相当)A液が入ったタンク1と、同じく80℃に加温され、活性化剤として0.5mol %のヘキサメチレンジイソシアネートと0.5mol %のフェニルイソシアネートを含有するε−カプロラクタム(ラクタム化合物bに相当)B液が入ったタンクとを準備した。
タンクの下部に混合部を設け、混合部でA液およびB液を、質量比で1:1で混合して反応液を調製した。混合部の下部に接続された、一方向連続繊維シートが置かれた金型に、反応液を連続的に供給した。
金型を150℃とし30分間保持し重合を行った後、金型から得られた厚さ2mmの成形体を取り出し、以下の通り「90°曲げ試験」と「接着性評価」を行った。結果を表1に示す。
(90°曲げ試験)
実施例1にて得られた成形体(一方向炭素繊維複合材料成形板)を、湿式ダイヤモンドカッターにより長さ(90°方向の長さ)60mm×幅(10°方向の長さ)12.7mmの寸法に切断して試験片を作製した。万能試験機(Instron社製商品名:Instron5565)と、解析ソフト(商品名:Bluehill)とを用いて、ASTM D790に準拠(圧子R=5.0、L/D=16)した方法で得られた試験片に対して3点曲げ試験を行い、90°曲げ強度を算出した。
(接着性評価)
90°曲げ試験で破断した断面をSEMにて観察し、炭素繊維と樹脂の界面の接着性を評価した。○:十分接着している、△:接着している、×:接着していない、と評価し、結果を表1に示した。
〔実施例2〕
サイズ剤を、エラストロン(登録商標)BN−27(第一工業製薬社製 ブロックイソシアネート。ブロック剤解離温度180℃以上。)に変更した以外は、実施例1と同様に成形体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
サイズ剤として、jER(登録商標)W2821R70(三菱化学社製 エポキシ樹脂エマルジョン)に変更した以外は、実施例1と同様に成形体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2015010129


上記評価結果から分かるように、ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcをサイズ剤として用い、本発明の製造方法にて得られた成形体は、成形時にマトリックス樹脂であるポリアミドの重合阻害を生じず、むしろ重合を促進したと考えられ、結果として高い曲げ強度と良好な接着性を示す。一方、サイズ剤としてエポキシ樹脂を使用した比較例1では、エポキシ基がアニオン重合触媒の働きを阻害し、十分な強度や、炭素繊維と樹脂との接着性が得られないことが分かる。

Claims (4)

  1. (a)アニオン重合触媒を含有する液状のラクタム化合物aと、
    (b)アニオン重合のための活性化剤を含有する液状のラクタム化合物b
    を所定比率で混合し、これを
    (c)ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウレタンcが表面に付着した炭素繊維からなる、樹脂強化用炭素繊維束
    に含浸させて重合させる、反応射出成形によるポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。但し、該ラクタム化合物aとラクタム化合物bは、同じ化合物であっても異なっていても良い。
  2. 前記樹脂強化用炭素繊維束に含まれる炭素繊維束に対し、前記ポリウレタンcが0.1〜5.0質量%付着していることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記ラクタム化合物a及びラクタム化合物bのうち、少なくとも一方がε−カプロラクタムであり、前記重合時の反応温度が100℃〜200℃である、請求項1または2に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド繊維強化複合材料の製造方法にて得られた複合材料であり、
    該複合材料に含まれる炭素繊維束が10質量%以上80質量%以下である複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI697396B (zh) * 2018-12-19 2020-07-01 財團法人塑膠工業技術發展中心 一種熱塑性單向纖維預浸材及其成型體之成型方法
WO2024071402A1 (ja) * 2022-09-30 2024-04-04 株式会社クレハ ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、成形体およびポリアミド樹脂の製造方法

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