JP5727371B2 - 光学部材用粘着剤組成物及び光学部材用粘着テープ - Google Patents
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Description
本発明者らは、高親水性モノマーの多くはアクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)を必要以上に上昇させてしまい、粘着剤組成物に適さないのに対し、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、又は、ポリエチレンオキサイド鎖を有する特定のモノマーを所定の割合で用いることにより、高温高湿下で生じる白化を抑制することができ、かつ、高信頼性を実現することのできる光学部材用粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記アクリル共重合体は、2−ヒドロキシエチルアクリレート1〜25重量%、N−ビニルピロリドン1〜25重量%、下記一般式(1−1)で表される構造を有するモノマー0.5〜30重量%、又は、下記一般式(1−2)で表される構造を有するモノマー0.1〜30重量%を含有する混合モノマーを重合することにより得られる。
本明細書中、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、上記一般式(1−1)で表される構造を有するモノマー、及び、上記一般式(1−2)で表される構造を有するモノマーを「親水性基を有するモノマー」ともいう。
また、上記親水性基を有するモノマーは、上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)を必要以上に上昇させることがなく、本発明の光学部材用粘着剤組成物の信頼性に悪影響を及ぼすこともない。
また、通常、ITO等の金属又は金属酸化物を含有する金属薄膜を被着体とした場合にアクリル系粘着剤の白化は顕著となるが、上記混合モノマーが上記範囲の割合で上記親水性基を有するモノマーを含有することにより、本発明の光学部材用粘着剤組成物は、ITO等の金属又は金属酸化物を含有する金属薄膜を被着体とした場合にも高温高湿下で生じる白化を抑制することができる。
また、本発明の光学部材用粘着剤組成物が後述するような架橋剤を含有する場合には、上記親水性基を有するモノマーが2−ヒドロキシエチルアクリレート又はN−ビニルピロリドンであると、架橋剤の種類又は量によっては光学部材用粘着剤組成物のゲル化が急激に進行してしまい、取扱性が低下することがある。従って、架橋剤の種類及び量を充分制御する必要がある。これに対し、上記親水性基を有するモノマーが上記一般式(1−1)で表される構造を有するモノマー、又は、上記一般式(1−2)で表される構造を有するモノマーであることで、架橋剤の種類又は量によって光学部材用粘着剤組成物のゲル化が急激に進行することを抑制することができ、架橋剤の種類及び量の制御が容易となる。
上記エチレンオキサイドの繰り返し数は、高温高湿下で生じる白化をより効果的に抑制することができることから、好ましい下限が13、好ましい上限が40である。上記エチレンオキサイドの繰り返し数は、30であることが特に好ましい。なお、上記エチレンオキサイドの繰り返し数は、上記一般式(1−1)においてはnで表され、上記一般式(1−2)においてはmで表される。
なお、上記ポリエチレンオキサイド鎖の末端基は、上記一般式(1−1)においてはR2で表される。
上記混合モノマーにおける2−ヒドロキシエチルアクリレート又はN−ビニルピロリドンの割合は、好ましい下限が5重量%、更に好ましい下限が8重量%であり、好ましい上限が20重量%、更に好ましい上限が15重量%である。
上記混合モノマーにおける上記一般式(1−1)で表される構造を有するモノマー、又は、上記一般式(1−2)で表される構造を有するモノマーの割合は、好ましい下限が1重量%、より好ましい下限が2重量%、好ましい上限が20重量%、より好ましい上限が15重量%である。
上記混合モノマーが上記ビシクロ環構造と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーを含有することで、得られる光学部材用粘着剤組成物は、被着体に対する粘着力が劇的に向上する。このような粘着力の向上は、被着体がポリカーボネート板又はアクリル板である場合に特に優れた効果を発揮する。
上記混合モノマーが上記ビシクロ環構造と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーを含有することで、得られる光学部材用粘着剤組成物は、被着体に対する粘着力が劇的に向上し、被着体がポリカーボネート板又はアクリル板である場合にも被着体と粘着剤層との界面に発生する浮き剥がれを抑制することができる。
なお、ポリカーボネート板及びアクリル板は、例えば、携帯電話、携帯情報端末等の入力装置のタッチパネル等に用いられている。
上記混合モノマーにおける上記ビシクロ環構造と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーの割合は、より好ましい下限が15重量%、更に好ましい下限が25重量%、より好ましい上限が55重量%、更に好ましい上限が40重量%である。
また、上記R6のアルキル基の水素原子は、シクロアルキル基に置換されていてもよい。上記シクロアルキル基は特に限定されず、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記混合モノマーがこのようなモノマーを含有することで、得られる光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層は、凝集力、初期接着性、密着性等が向上する。なかでも、低温弾性率が低く、初期のぬれ性が高い粘着剤層が得られることから、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することが好ましい。
上記混合モノマーにおける上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの割合は、より好ましい下限が40重量%、より好ましい上限が65重量%である。
上記混合モノマーが上記カルボキシル基と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーを含有することで、得られるアクリル共重合体は分子間相互作用が増大する。このようなアクリル共重合体を含有する光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層は、凝集力が向上する。
なお、上記混合モノマーは、上記カルボキシル基と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーを含有していなくてもよい。
上記混合モノマーにおける上記カルボキシル基と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマーの割合は、1重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることが更に好ましい。
上記溶液重合に用いる溶媒は特に限定されず、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
上記過硫酸塩は特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。上記有機過酸化物は特に限定されず、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は30万、更に好ましい下限は40万、更により好ましい下限は50万であり、より好ましい上限は120万、更に好ましい上限は90万、更により好ましい上限は65万である。
上記アクリル共重合体を含有する光学部材用粘着剤組成物溶液の粘度は特に限定されないが、B型粘度計(「B8U型粘度計」、東京計器社製)を用いて温度25℃の条件で測定した粘度の好ましい下限が500mPa・s、好ましい上限が100000mPa・sである。
上記架橋剤を含有することで、上記アクリル共重合体に架橋構造を形成することができる。また、上記架橋剤の種類又は量を適宜調整することで、得られる光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層のゲル分率を調整することができる。
上記エポキシ系架橋剤は特に限定されないが、脂肪族エポキシ系架橋剤が好ましい。上記脂肪族エポキシ系架橋剤のうち、市販品として、例えば、デナコールEX212、デナコールEX214(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記架橋剤の配合量は、上記アクリル共重合体100重量部に対するより好ましい下限が0.3重量部、より好ましい上限が3.0重量部である。
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、例えば、キシレン樹脂、フェノール樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、キシレン樹脂が好ましく、キシレン樹脂のアルキルフェノール反応物がより好ましい。
また、上記粘着付与樹脂として、水素添加された樹脂が好ましく、このような水素添加された樹脂を用いることで、得られる光学部材用粘着剤組成物は、透明性が高まる。
上記シランカップリング剤を含有することで、得られる光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層は、被着体に対する密着性が向上する。
上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
上記添加剤は特に限定されず、例えば、充てん剤、老化防止剤等が挙げられる。
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、高温高湿下で生じる白化を抑制することができることから、例えばディスプレイパネルへの貼り合わせ等の高い透明性が要求される光学用途にも好適に適用することができ、高信頼性を実現することができる。
本発明の光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する光学部材用粘着テープもまた、本発明の1つである。
上記粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は40重量%、より好ましい上限は90重量%である。
まず、本発明の光学部材用粘着テープを50mm×25mmの平面長方形状に切断して試験片を作製する。得られた試験片の粘着剤層をスプーンを使ってかきとって粘着剤の塊を作製し、粘着剤の塊を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを介して粘着剤の塊を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。そして、乾燥後の粘着剤の塊の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=100×(W2)/(W1) (1)
式(1)中、W1は浸漬前の粘着剤の塊の乾燥した状態での重量を表し、W2は浸漬し乾燥した後の粘着剤の塊の重量を表す。なお、必要に応じて試験片の粘着剤層をスプーンを使ってかきとる前に、試験片を溶剤に浸して粘着剤層を膨潤させておいてもよい。
上記基材は、透明性を有する基材であれば特に限定されず、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
特に、本発明の光学部材用粘着テープを製造する方法として、上記混合モノマー、光重合開始剤、及び、必要に応じて添加剤等を含有し、かつ、溶剤を含有しないモノマー組成物を、一方の面が離型処理された透明な合成樹脂フィルムの離型処理面に塗工してモノマー層を形成した後、このモノマー層上に、一方の面が離型処理された別の透明な合成樹脂フィルムの離型処理面を重ね合わせ、合成樹脂フィルムを透してモノマー層に紫外線照射等の光照射を行うことにより、上記混合モノマーをラジカル重合させる方法が好適に用いられる。
上記多官能(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、得られる粘着剤層の応力分散性の低下が小さく粘着性能に優れる点から、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、水添ポリブタジエンジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレートが好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートの配合量は、上記混合モノマー中のより好ましい下限が0.05重量%、より好ましい上限が3重量%である。
上記光重合開始剤の配合量は、上記混合モノマー100重量部に対するより好ましい下限が0.03重量部、より好ましい上限が1重量部である。
上記波長400nm以下に発光分布を有するランプとして、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。なかでも、上記光重合開始剤の活性波長領域の光を効率よく発光するとともに、上記モノマー層に含まれる上記光重合開始剤以外の成分の光吸収が少なく、上記モノマー層の内部にまで光が充分に到達して上記混合モノマーを効果的に重合させることができることから、ケミカルランプが好ましい。
例えば、上記光重合開始剤としてアセトフェノン系光重合開始剤を用いた場合、該アセトフェノン系光重合開始剤の光分解に有効な波長領域の光照射強度は、0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。なお、上記アセトフェノン系光重合開始剤の光分解に有効な波長領域は、光重合開始剤によって異なるが、通常、365nm〜420nm程度である。
(1)アクリル共重合体の製造
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート44.5 重量部と、イソボルニルアクリレート30重量部と、アクリル酸0.5重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート25重量部と、これらモノマー100重量部に対して酢酸エチル100重量部とを加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分間後、モノマー100重量部に対して0.2重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを5重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に2時間かけて滴下添加した。その後、70℃にて、重合開始剤の添加開始から8時間還流させて、固形分50%のアクリル共重合体溶液を得た。
また、得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定した。得られた重量平均分子量を表1に示した。
得られたアクリル共重合体100重量部に、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)を0.5重量部添加し、攪拌して、光学部材用粘着剤組成物を調製した。
得られた光学部材用粘着剤組成物を、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に塗工して厚み100μmの粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層の上に、離型処理面が粘着剤層に接するようにして新たに用意した離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体をゴムローラにより加圧することにより、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
アクリル共重合体のモノマー組成を変更することにより、表1に示す構成単位の割合(重量%)を有するアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例1−1と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
(1)アクリル共重合体の製造
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート59.5重量部と、イソボルニルアクリレート15重量部と、アクリル酸0.5重量部と、N−ビニルピロリドン25重量部と、これらモノマー100重量部に対して酢酸エチル100重量部とを加え、窒素バブリング置換した後、窒素フロー下で反応器を70℃にした。次いで、モノマー100重量部に対して0.2重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを、5重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に2時間かけて滴下添加した。反応中は反応温度を70℃に保持するように、加熱冷却により温度を制御した。重合開始剤の添加開始から8時間まで70℃にて反応を行い、その後、冷却して反応を終了させることにより、固形分50%のアクリル共重合体溶液を得た。
また、得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWaters社製「2690 Separations Model」を用いて、GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定した。得られた重量平均分子量を表2に示した。
得られたアクリル共重合体100重量部に、架橋剤としてデナコールEX212(ナガセケムテックス社製)を1.0重量部添加し、攪拌して、光学部材用粘着剤組成物を調製した。
得られた光学部材用粘着剤組成物を、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に塗工して厚み100μmの粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層の上に、離型処理面が粘着剤層に接するようにして新たに用意した離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体をゴムローラにより加圧することにより、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
アクリル共重合体のモノマー組成と反応時の酢酸エチルの量とを変更することにより、表2に示す構成単位の割合(重量%)と重量平均分子量とを有するアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例2−1と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
(1)アクリル共重合体の製造
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート59.3重量部と、イソボルニルアクリレート35重量部と、アクリル酸0.5重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2重量部と、一般式(1−1)で表される構造を有するモノマーとしてブレンマーPME−1000(エチレンオキサイドの繰り返し数=23、末端メチル基、日油社製)5重量部と、これらモノマー100重量部に対して酢酸エチル100重量部とを加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後、モノマー100重量部に対して0.2重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを5重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に2時間かけて滴下添加した。その後、70℃にて、重合開始剤の添加開始から8時間還流させて、固形分50%のアクリル共重合体溶液を得た。
得られたアクリル共重合体100重量部に、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)を0.5重量部添加し、攪拌して、光学部材用粘着剤組成物を調製した。
得られた光学部材用粘着剤組成物を、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に塗工して厚み100μmの粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層の上に、離型処理面が粘着剤層に接するようにして新たに用意した離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体をゴムローラにより加圧することにより、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
アクリル共重合体のモノマー組成を表3又は4に示すように変更することにより、表3又は4に示す重量平均分子量を有するアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例3−1と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
2−エチルヘキシルアクリレート59.4重量部と、イソボルニルアクリレート35重量部と、アクリル酸0.5重量部と、一般式(1−1)で表される構造を有するモノマーとしてブレンマーPME−1000(エチレンオキサイドの繰り返し数=23、末端メチル基、日油社製)5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1重量部と、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェン(チバガイギー社製、商品名「イルガキュア651」)とを均一に混合した後、窒素パージすることにより、溶存酸素が除去されたモノマー組成物を作製した。
アクリル共重合体のモノマー組成を表5又は6に示すように変更してアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例3−10と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
(1)アクリル共重合体の製造
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート59.3重量部と、イソボルニルアクリレート35重量部と、アクリル酸0.5重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2重量部と、一般式(1−2)で表される構造を有するモノマーとしてブレンマーPSE−1300(エチレンオキサイドの繰り返し数=30、末端オクタデシル基、日油社製)5重量部と、これらモノマー100重量部に対して酢酸エチル100重量部とを加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。30分後、モノマー100重量部に対して0.2重量部の重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピバレートを5重量部の酢酸エチルで希釈し、得られた重合開始剤溶液を上記反応器内に2時間かけて滴下添加した。その後、70℃にて、重合開始剤の添加開始から8時間還流させて、固形分50%のアクリル共重合体溶液を得た。
得られたアクリル共重合体100重量部に、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)を0.5重量部添加し、攪拌して、光学部材用粘着剤組成物を調製した。
得られた光学部材用粘着剤組成物を、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に塗工して厚み100μmの粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層の上に、離型処理面が粘着剤層に接するようにして新たに用意した離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体をゴムローラにより加圧することにより、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
アクリル共重合体のモノマー組成を表7に示すように変更することにより、表7に示す重量平均分子量を有するアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例4−1と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
2−エチルヘキシルアクリレート59.4重量部と、イソボルニルアクリレート35重量部と、アクリル酸0.5重量部と、一般式(1−2)で表される構造を有するモノマーとしてブレンマーPSE−1300(エチレンオキサイドの繰り返し数=30、末端オクタデシル基、日油社製)5重量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.1重量部と、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェン(チバガイギー社製、商品名「イルガキュア651」)とを均一に混合した後、窒素パージすることにより、溶存酸素が除去されたモノマー組成物を作製した。
アクリル共重合体のモノマー組成を表8に示すように変更してアクリル共重合体を得たこと以外は、実施例4−10と同様にして、離型ポリエチレンテレフタレートフィルムが両面に貼り付けられた光学部材用両面粘着テープを得た。
実施例及び比較例で得られた光学部材用両面粘着テープについて、下記のような評価を行った。結果を表1〜8に示した。
得られた光学部材用両面粘着テープの片面から離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、光学部材用両面粘着テープである粘着剤層をスプーンを使ってかきとって粘着剤の塊を作製し、粘着剤の塊の重量W1を測定した。粘着剤の塊を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、200メッシュのステンレスメッシュを介して粘着剤の塊を酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤の塊の重量W2を測定し、式(1)によりゲル分率を算出した。
得られた光学部材用両面粘着テープの両面から離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、片面の表面に透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付け、他方の表面にスライドガラス(商品名「S−1214」、MATSUNAMI社製)を貼り付けて、透明なポリエチレンテレフタレートフィルム/光学部材用両面粘着テープである粘着剤層/スライドガラスの三層構造を有する試験片を作製した。試験片の作製直後のヘーズ値(%)、及び、この試験片を80℃85%RHの高温高湿下に24時間放置した後の試験片のヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(全自動ヘーズメーター「TC−HIIIDPK」、東京電色社製)を用いて測定し、下記式(2)によりΔヘーズ値を算出した。
Δヘーズ値(%)={24時間放置した後の試験片のヘーズ値(%)}−{試験片の作製直後のヘーズ値(%)} (2)
得られた光学部材用両面粘着テープを25mm×100mmの平面形状を有するように切断した。切断した光学部材用両面粘着テープの一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、光学部材用両面粘着テープの露出した面をポリエチレンテレフタレートフィルム上に貼り合わせた。更に、光学部材用両面粘着テープのもう一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、光学部材用両面粘着テープの露出した面をポリカーボネート板(PC板)上に貼り合わせることにより、ポリカーボネート板(PC板)上に、光学部材用両面粘着テープとポリエチレンテレフタレートフィルムとがこの順で積層されている積層サンプルを得た。その後、得られた積層サンプルのポリエチレンテレフタレートフィルム上に2.0kgのゴムローラを載せて、300mm/分の速度でゴムローラを一往復させることにより、ポリカーボネート板(PC板)と光学部材用両面粘着テープとを貼り合わせ、23℃で20分間放置し、試験サンプルを用意した。
得られた試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、初期粘着力(N/25mm)を測定した。また、得られた試験サンプルを23℃で24時間放置した後、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、24時間後の粘着力(N/25mm)を測定した。
得られた光学部材用両面粘着テープを45mm×60mmの平面形状を有するように裁断した。裁断された光学部材用両面粘着テープの一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、光学部材用両面粘着テープの露出した面を厚みが0.5mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に貼り合わせた。更に、光学部材用両面粘着テープのもう一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、光学部材用両面粘着テープの露出した面を厚みが2.0mmの平面形状を有するポリカーボネート板(PC板)上に貼り合わせることにより、ポリカーボネート板(PC板)上に、光学部材用両面粘着テープとポリエチレンテレフタレートフィルムとがこの順で積層されている積層サンプルを得た。その後、得られた積層サンプルを温度85℃の条件、又は、温度60℃かつ相対湿度(RH)90%の条件で24時間静置し、試験サンプルを得た。得られた試験サンプルの接着界面における気泡発生状態を目視により観察した。
0.01mm以上の大きさの気泡が全く観察されなかった場合を「〇」と、0.01mm以上の大きさの気泡が1つの試験サンプル当たり1〜5個観察された場合を「△」と、0.01mm以上の大きさの気泡が1つの試験サンプル当たり6個以上観察された場合を「×」として、気泡発生状態を評価した。
得られた光学部材用両面粘着テープの両面から離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、片面の表面にITO膜を貼り付け、他方の表面にスライドガラス(商品名「S−1214」、MATSUNAMI社製)を貼り付けて、ITO膜/光学部材用両面粘着テープである粘着剤層/スライドガラスの三層構造を有する試験片を作製した。この試験片を80℃85%RHの高温高湿下に放置し、試験片の作製直後のヘーズ値(%)、及び、24時間放置後の試験片のヘーズ値(%)を、ヘーズメーター(全自動ヘーズメーター「TC−HIIIDPK」、東京電色社製)を用いて測定し、上記式(2)によりΔヘーズ値を算出した。Δヘーズ値が、0.2未満であった場合を「◎」と、0.2以上3未満であった場合を「○」と、3以上4未満であった場合を「△」と、4以上であった場合を「×」として評価した。
得られた光学部材用両面粘着テープを長さ40mm×幅60mmの平面形状を有するように裁断した。更に、幅方向で隣り合う2つの角を、それぞれ、角からの長さ10mm、角からの幅10mmのサイズの平面形状で切断し、凸状のテープシートを得た。凸状のテープシートの一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、凸状のテープシートの露出した面をポリエチレンテレフタレート上に貼り合わせた。更に、凸状のテープシートのもう一方の離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、凸状のテープシートの露出した面を長さ40mm×幅60mmの平面形状を有するITOフィルムのITO膜面上に貼り合わせることにより、ITOフィルムのITO膜面上に、光学部材用両面粘着テープとポリエチレンテレフタレートとがこの順で積層されている導電性フィルム積層体を得た。
その後、得られた導電性フィルム積層体の初期抵抗値を測定した。また、導電性フィルム積層体を60℃及び相対湿度90%RHの高温高湿下で100時間放置し、非晶質ITO膜(尾池工業社製)を用いて、放置後の導電性フィルム積層体の抵抗値を測定した。なお、2端子抵抗値測定器の端子を10mm×10mmのサイズのITO膜面の露出面に当てて、抵抗値を測定した。
下記式(3)より算出される抵抗値変化率を用いて、ITOの劣化レベルを評価した。
抵抗値変化率(%)=(R1−R0)/R0×100 (3)
式(3)中、R0は初期抵抗値を表し、R1は高温高湿下で100時間放置した後の抵抗値を表す。
Claims (7)
- アクリル共重合体を含有する光学部材用粘着剤組成物であって、
前記アクリル共重合体は、下記一般式(1−2)で表される構造を有するモノマー0.1〜30重量%、ビシクロ環構造と1つのオレフィン性二重結合とを有するモノマー25〜60重量%、及び、下記一般式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー30〜65重量%を含有する混合モノマーを重合することにより得られる
ことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
- 一般式(1−2)中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は炭素数18のアルキル基であり、mは30であることを特徴とする請求項1記載の光学部材用粘着剤組成物。
- アクリル共重合体は、重量平均分子量が20万〜150万であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学部材用粘着剤組成物。
- ビシクロ環構造は、イソボルニル基のビシクロ環構造であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光学部材用粘着剤組成物。
- オレフィン性二重結合は、(メタ)アクリロイル基のオレフィン性二重結合であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光学部材用粘着剤組成物。
- 一般式(2)で表される構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の光学部材用粘着剤組成物。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層を有することを特徴とする光学部材用粘着テープ。
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