JP5726441B2 - マニピュレータ - Google Patents
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Description
このようなマニピュレータとして、特許文献1には、開閉自在な鉗子部を備える把持鉗子が記載されている。鉗子部には、リンク機構を介して操作軸が接続されており、操作軸を押し引きすることで鉗子部が開閉する。
したがって、マニピュレータとしては、一定の把持力量で対象物を把持できるだけでは必ずしも充分な操作性を備えているとは言えない。
このため、生体組織から手術器具へと掴む対象を変えるために、マニピュレータを変更する必要があった。
このように、マニピュレータとしては、小さい把持力量で対象物を把持できるだけでなく、より大きく、かつ調整可能な把持力量が得られないと、必ずしも充分な操作性を備えているとは言えない。
前記第1緩衝部および前記第2緩衝部のうち、バネ定数の小さい緩衝部の方が、前記操作部材のより少ない牽引量において、完全に圧縮されてもよい。
なお、ここで、「完全に圧縮される」とは、緩衝部(バネ、ゴム等)が荷重により圧縮され、ほぼそれ以上弾性変形しなくなった状態をさす。
当該マニピュレータは、前記牽引量が前記第2の範囲より絶対値が大きい範囲にあるときに、前記第1のバネ定数および前記第2のバネ定数と異なる定数と、前記牽引量とに基づいて前記把持部から対象物に作用する把持力量を発生させるものでもよい。
なお、以降の説明において、処置部10が設けられている側を先端側、スライダ30が設けられている側を基端側と称する。
第1緩衝部15B、16B及び第2緩衝部15C、16Cは板バネとして機能し、把持部14で対象物を把持したときに、開閉方向(一対の鉗子片の回動面に平行な方向)に弾性変形可能である。図1に示すように、開閉方向においては第1緩衝部15B、16Bよりも第2緩衝部15C、16Cが厚くなっており、第2緩衝部15C、16Cのバネ定数(第2のバネ定数)は、第1緩衝部15B、16Bのバネ定数(第1のバネ定数)よりも大きい。
本体17、18の基端側には、リンク機構19が接続されている。リンク機構19は公知の構成を有し、連結点19Aを回動軸13に接近及び離間させることにより、把持部14を開閉させることができる。
操作部材20は、軸線方向に過度に伸縮せず、操作入力を好適に処置部10に伝達できるものであれば、その材質は特に限定されない。例えば、上述の管状部材が可撓性を有するいわゆる軟性のマニピュレータの場合は、金属製のワイヤ等を、管状部材が可撓性を有さない、いわゆる硬性のマニピュレータの場合は、金属製のロッド等をそれぞれ好適に採用することができる。
スライダ30の形状には特に制限はなく、公知の各種形状を適宜選択することができる。例えば、指掛け用の穴を有するようなものでもよい。
まず使用者は、マニピュレータ1を体内に挿入する前に、第2緩衝部15C、16Cの所望の位置にストッパ17A、18Aの先端が接触するようにストッパ17A、18Aの長さを調節する。
対象物を把持面15Aと把持面16Aとの間に位置させて、使用者がスライダ30を基端側に摺動させると、操作部材20が牽引されて基端側に後退する。その結果、リンク機構19の連結点19Aが回動軸13から離間し、第1鉗子片11及び第2鉗子片12が回動軸13回りに回動して把持部14が閉じられる。このとき、把持部14に対象物を把持する力量が発生する。
なお、図2では、一例として第1緩衝部15B、16Bの両方がほぼ同様に変形している場合を示しているが、第1緩衝部15B、16Bの弾性変形の具体的態様は様々な状況により異なり、両方が同じように弾性変形しない場合もある。
さらに、スライダ30を基端側に摺動させて操作部材20の牽引量を増加させると、図3に示すように、第2緩衝部15C、16Cが弾性変形し、引き続き、把持部14から対象物Sに作用する把持力量は、第2のバネ定数と操作部材20の牽引量とに基づいて変化する。
このように、マニピュレータ1においては、牽引量がf1以上f2以下の範囲(第1の範囲)にあるときは、把持力量は主に第1のバネ定数と操作部材20の牽引量とに基づいて上昇し、そのバネ定数は、第1の範囲において第1対象物(例えば生体組織)を把持しやすい把持力量が得られるように設定する。牽引量がf2より大きくf3以下の範囲(第2の範囲)においては、把持力量は第2のバネ定数と操作部材20の牽引量とに基づいて上昇し、そのバネ定数は、第2の範囲において第2の対象物(例えば曲針等の手術器具)を把持するために適した大きさの把持力量が得られるように設定する。第2の範囲においては、牽引量を調節することにより、把持力量をF1以上F2以下の範囲で調整することができる。
したがって、例えば損傷しやすい生体組織を把持したり、曲針等の手術器具を軽くつかんで先端の向きを調節したりする等の場合は、相対的に小さい把持力量で、脱落しないように、かつ安定して把持するとともに、曲針を組織に刺入するとき等のように比較的大きい把持力量が必要な場合においては、相対的に大きい把持力量で確実に把持して手技を行うことができる。その結果、対象物の種類や操作内容に応じて、相対的に小さい把持力量で容易に対象物を把持できる状態と、より大きく、かつ調整可能な把持力量を発生させることができる状態とを使い分けることができるマニピュレータとすることができる。
なお、図5では、第1バネ44及び第2バネ46が2本配置されているが、各バネの本数は適宜設定されてよい。
第2ストッパ47は、係止部47Aと基体45との間に発生する摩擦力により、第1バネ44が圧縮されて所定量弾性変形するまでは基体45に対して相対移動しないように構成されている。第1バネが当該所定量以上弾性変形すると、第2ストッパは基体45に対して摺動し、それ以上第1バネが弾性変形しないように規制する。
なお、図5には第1鉗子片11aのみを示したが、第2鉗子片についても同様に構成されている。
把持部42が対象物Sを把持すると、把持部材43が第2ストッパ47に向かって摺動するとともに第1バネ44が圧縮され、把持力量は第1バネ44のバネ定数と操作部材20の牽引量とに基づいて上昇する。このとき、第2ストッパ47は、係止部47Aに発生する摩擦力によって移動せずに保持されるため、第2バネ46はまだ圧縮されない。
第2バネ46が完全に圧縮された後は、第1ストッパ45Aによって、把持部材43の摺動が規制されるため、第1バネ44及び第2バネ46による緩衝作用はなくなる。ここで牽引量が上限に達していなければ、さらに牽引量を増加させると、把持力量は急激に上昇する。牽引量の上限までの範囲で、この急激な把持力の上昇の範囲を設けるかは、例えば第1バネ44と第2バネ46のバネ定数の設定による。
また、第1ゴム52の弾性変形を規制するストッパを設けなくてもよいため、より構成を簡素にすることができる。
その後、牽引量が第2の範囲に入ると、図10に示すように第2バネ部65のみが伸び始め、第2バネ部65の緩衝作用により把持力量は第2バネ部65のバネ定数と操作部材20の牽引量とに基づいて上昇する。
また、第1バネ部64、第2バネ部65、及びストッパ66が、操作部材63に設けられているので、処置部62を小型化することができる。したがって、本実施形態の構造は、特に狭い領域で使用されるようなマニピュレータに適している。
また、緩衝部が3箇所以上設けられても構わない。このようにすると、さらに多段階の把持力量で安定した把持を行うことができる。
11、11a 第1鉗子片
12 第2鉗子片
13 回動軸
14、42 把持部
15B、16B 第1緩衝部(緩衝部)
15C、16C 第2緩衝部
17A、18A、66 ストッパ
20、63 操作部材
44 第1バネ(緩衝部)
46 第2バネ(第2緩衝部)
47 第2ストッパ(ストッパ)
52 第1ゴム(第1緩衝部)
53 第2ゴム(第2緩衝部)
64 第1バネ部(緩衝部)
65 第2バネ部(第2緩衝部)
S 対象物
Claims (6)
- 回動軸で連結された本体と、
前記回動軸よりも先端側が対象物に作用する開閉可能な把持部材と、
前記本体の基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記把持部材を開閉させる操作部材と、
前記把持部材の基端部分に配され、前記本体の先端に接続され、第1のバネ定数を有し、弾性変形することにより、前記把持部材から前記対象物に作用する把持力量を前記第1のバネ定数と前記操作部材の牽引量とに基づいて変化させる第1緩衝部と、
前記本体に配され、前記第1緩衝部の弾性変形を規制するストッパと、
前記第1のバネ定数よりも大きい第2のバネ定数を有し、少なくとも前記ストッパが前記第1の緩衝部の弾性変形を規制した後に、弾性変形することにより前記把持力量を前記第2のバネ定数と前記操作部材の牽引量とに基づいて変化させる第2緩衝部と、
を備えることを特徴とするマニピュレータ。 - 前記ストッパは、前記第1緩衝部の弾性変形を規制するタイミングを変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ。
- 回動軸で連結され、先端側に開閉する把持部を有する一対の鉗子片を備えたマニピュレータであって、
前記一対の鉗子片の基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記把持部を開閉させる操作部材と、
第1のバネ定数を有する第1緩衝部と、前記第1のバネ定数とは異なる第2のバネ定数を有する第2緩衝部と、を有して前記把持部と前記鉗子片との間に配され、弾性変形することにより、前記把持部から対象物に作用する把持力量を、前記第1のバネ定数と前記第2のバネ定数とが合成された合成バネ定数と前記操作部材の牽引量とに基づいて変化させる緩衝部と、
前記鉗子片に配され、前記緩衝部が取り付けられたストッパと、
を備えることを特徴とするマニピュレータ。 - 前記第1緩衝部および前記第2緩衝部のうち、バネ定数の小さい緩衝部の方が、前記操作部材のより少ない牽引量において、完全に圧縮されることを特徴とする請求項3に記載のマニピュレータ。
- 回動軸で連結され、先端側に開閉する把持部を有する一対の鉗子片を備えたマニピュレータであって、
前記一対の鉗子片の基端側に接続され、牽引量を変化させることにより前記把持部から対象物に作用する把持力量を調整する操作部材と、
前記操作部材に配され第1のバネ定数を有する第1緩衝部と、
前記第1緩衝部に配され前記第1緩衝部の弾性変形を規制するストッパと、
前記操作部材に配され第2のバネ定数を有する第2緩衝部と、
を備え、
前記牽引量が第1の範囲にあるときに、前記第1のバネ定数と前記牽引量とに基づいて前記把持部から対象物に作用する把持力量を発生させ、前記牽引量が前記第1の範囲より絶対値が大きい第2の範囲にあるときに、前記ストッパが前記第1緩衝部の弾性変形を規制することで、前記第2のバネ定数と前記牽引量とに基づいて前記把持部から対象物に作用する把持力量を発生させることを特徴とするマニピュレータ。 - 前記牽引量が前記第2の範囲より絶対値が大きい範囲にあるときに、前記第1のバネ定数および前記第2のバネ定数と異なる定数と、前記牽引量とに基づいて前記把持部から対象物に作用する把持力量を発生させることを特徴とする請求項5に記載のマニピュレータ。
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