JP5725664B2 - ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

ノズルプレートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5725664B2
JP5725664B2 JP2012057668A JP2012057668A JP5725664B2 JP 5725664 B2 JP5725664 B2 JP 5725664B2 JP 2012057668 A JP2012057668 A JP 2012057668A JP 2012057668 A JP2012057668 A JP 2012057668A JP 5725664 B2 JP5725664 B2 JP 5725664B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective film
silicon substrate
etching
nozzle
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012057668A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013188970A (ja
JP2013188970A5 (ja
Inventor
秀治 ▲高▼橋
秀治 ▲高▼橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2012057668A priority Critical patent/JP5725664B2/ja
Publication of JP2013188970A publication Critical patent/JP2013188970A/ja
Publication of JP2013188970A5 publication Critical patent/JP2013188970A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5725664B2 publication Critical patent/JP5725664B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、ストレート部とテーパ部とを有するノズルを備えるノズルプレートの製造方法に関する。
一般に、インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、複数のノズル(ノズル孔ともいう)が形成されたノズルプレートを備えている。インクジェットヘッドは、例えば圧電素子や発熱素子などから与えられる吐出エネルギーを利用して圧力室内のインクを加圧することで、圧力室に連通するノズルからインク滴をそれぞれ吐出して記録媒体上に記録を行う。
ノズルプレート(ノズル形成基板ともいう)には、ノズル開口と、ノズル開口から垂直方向に延びて形成されたストレート部と、このストレート部のノズル開口とは反対側に形成され、ストレート部に対して傾斜した略漏斗状のテーパ部と、を含むノズルが形成されているものが良く知られている。ストレート部とテーパ部との間に略直角の段差が形成されていないので、インクに気泡が残留している場合であってもこの気泡が段差部に残留して吐出性能を低下させることが防止される。これにより、スムーズなインク液滴の吐出が可能となる。
このようなノズルプレートは、例えば、表面が<100>面である単結晶シリコン基板の第1の面をエッチングして将来的にストレート部となる凹部を形成(フォトリソグラフィー)する第1の工程と、凹部の内面を含む第1の面の全面にエッチングマスク層を形成する第2の工程と、凹部の底面におけるエッチングマスク層を除去して単結晶シリコンを露出させる第3の工程と、凹部の底面を異方性ドライエッチングにより掘り下げて掘り下げ部を形成する第4の工程と、掘り下げ部の内面に対して単結晶シリコン基板の結晶方位を利用した異方性ウェットエッチングを施して、略正8面体の空洞部を形成する第5の工程と、単結晶シリコン基板を第1の面の反対側の面である第2の面側から空洞部に達するまで薄型化(研磨等)して空洞部の一部をテーパ部とする第6の工程と、を経て形成される(特許文献1参照)。特許文献1に記載のノズルプレートの製造方法では、フォトリソグラフィ工程を1回しか行わないのでノズルのストレート部とテーパ部とは同軸に形成される。その結果、ストレート部とテーパ部との位置ずれが防止される。
特開2011−37053号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のノズルプレートの製造方法では、第4工程及び第5工程で実行される各種エッチングのエッチング量(エッチングの深さ、エッチング時間)に応じて、ノズルのストレート部とテーパ部との長さ(ノズルプレートの厚み方向の長さ)が変わる。このため、ストレート部及びテーパ部のそれぞれの長さにばらつきが生じるおそれがある。
また、第6工程において単結晶シリコン基板を第2の面側から薄型化してテーパ部を形成しているが、この際にテーパ部のエッジが欠けるおそれがある。
本発明の目的は、ノズルのストレート部及びテーパ部を高精度に形成可能なノズルプレートの製造方法を提供することにある。
本発明の目的を達成するためのノズルプレートの製造方法は、酸化膜の一面側に面方位が<100>の第1シリコン基板と、面方位が<111>の第2シリコン基板とを順番に積層してなる積層基板の第2シリコン基板上に、第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、積層基板のノズルを形成すべき位置に、第1保護膜、第2シリコン基板、及び第1シリコン基板を貫通して酸化膜の一面まで達する非貫通穴を形成することで、第2シリコン基板にノズルのストレート部を形成する非貫通穴形成工程と、非貫通穴を形成する第1シリコン基板、第2シリコン基板、及び第1保護膜のそれぞれの内面に第2保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、第1保護膜及び第2保護膜をマスクとして、非貫通穴を通して酸化膜をエッチングすることで、酸化膜と対向する第1シリコン基板の対向面における非貫通穴の開口周縁部を露呈させる酸化膜エッチング工程と、酸化膜、第1保護膜、及び第2保護膜をマスクとして、第1シリコン基板を開口周縁部から第2シリコン基板に達するまで結晶異方性エッチングする結晶異方性エッチング工程であって、結晶異方性エッチングにより露呈された第1シリコン基板の<111>面により、ストレート部に連通しかつこのストレート部に近づくのに従って次第に先細りとなるノズルのテーパ部を形成する結晶異方性エッチング工程と、第1保護膜及び第2保護膜を除去する保護膜除去工程と、
酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、を有することを特徴とする。
本発明によればテーパ部及びストレート部の長さ(ノズルプレートの厚み方向の長さ)を、第1及び第2シリコン基板の厚みで決定することができる。また、研磨によらずテーパ部を形成することができる。さらに、1枚のマスク(1回のフォトリソグラフィー)で積層基板の一面側からの加工によりノズル形成が可能である。
酸化膜エッチング工程は、酸化膜にベーパエッチング又はウェットエッチングを施して、酸化膜に非貫通穴と同軸の第1開口部を形成するものであり、酸化膜エッチング工程でのエッチング時間を調整して第1開口部の開口径の大きさを調整することにより、テーパ部の開口径の大きさを決定することが好ましい。これにより、テーパ部の開口径の大きさを高精度に制御することができる。
第1シリコン基板の厚みを調整することにより、テーパ部の長さを決定することが好ましい。これにより、テーパ部の長さを高精度に制御することができる。
第2シリコン基板の厚みを調整することにより、ストレート部の長さを決定することが好ましい。これにより、ストレート部の長さを高精度に制御することができる。
結晶異方性エッチング工程では、第2シリコン基板が第1シリコン基板を結晶異方性エッチングする際のエッチングストッパとして機能することが好ましい。これにより、第1シリコン基板のみにテーパ部を形成することができる。
非貫通穴形成工程では、非貫通穴を丸孔形状に形成することが好ましい。これにより、ノズルのストレート部を丸孔形状に形成することができるので、ノズルの吐出性能を安定させることができる。
非貫通穴形成工程は、ノズルを形成すべき位置に第2開口部を有するレジストパターン層を第1保護膜上に形成するレジストパターン層形成工程と、レジストパターン層をマスクとして第1保護膜、第2シリコン基板、及び第1シリコン基板を順番にドライエッチングして、非貫通穴を形成するドライエッチング工程と、レジストパターン層を除去するレジストパターン層除去工程と、を有することが好ましい。これにより、積層基板に非貫通穴を形成することができる。
第2保護膜形成工程は、非貫通穴の内部と第1保護膜上とに第2保護膜を形成する第2保護膜全面形成工程と、第2保護膜全面形成工程で形成された第2保護膜に異方性エッチングを施して、第1保護膜上に形成された第2保護膜と、非貫通穴の底部に形成された第2保護膜とを除去する選択エッチング工程と、を有することが好ましい。これにより、非貫通穴を形成する内側面のみを第2保護膜で覆うことができる。
積層基板は、第3シリコン基板上に酸化膜及び第1シリコン基板を順番に積層してなるSOI基板と、SOI基板の第1シリコン基板上に積層された第2シリコン基板とを有するものであり、保護膜除去工程と酸化膜除去工程との間に、第3シリコン基板を除去する第3シリコン基板除去工程を有することが好ましい。これにより、SOI基板を用いてノズルプレートを製造することができる。
第1保護膜形成工程の前に、積層基板を準備する積層基板準備工程を有することが好ましい。
酸化膜は、SiO膜であることが好ましい。
第1保護膜及び第2保護膜は、SiN、SiO、SiC、Alのいずれかであることが好ましい。
本発明のノズルプレートの製造方法は、面方位が異なる第1シリコン基板及び第2シリコン基板を酸化膜上に積層してなる積層基板を用いて、この積層基板の第1及び第2シリコン基板にそれぞれノズルのテーパ部、ストレート部を形成するので、テーパ部及びストレート部の長さ(ノズルプレートの厚み方向の長さ)を、第1及び第2シリコン基板の厚みで決定することができる。これにより、テーパ部及びストレート部の長さを高精度に管理することができる。また、研磨によらずテーパ部を形成することができるので、テーパ部の開口のエッジが欠けることが防止される。さらに、1枚のマスク(1回のフォトリソグラフィー)で積層基板の一面側からの加工によりノズル形成が可能であるので、テーパ部とストレート部との位置ずれが防止される。その結果、ノズルのストレート部とテーパ部とを高精度に形成することができる。
本発明のインクジェットヘッドの断面図である。 インクジェットの製造工程の工程フローである。 非貫通穴形成工程の工程フローである。 第2保護膜形成工程の工程フローである。 積層基板準備工程を説明するための説明図である。 第1保護膜形成工程を説明するための説明図である。 非貫通穴形成工程のレジストパターン層形成工程を説明するための説明図である。 非貫通穴形成工程の第1及び第2ドライエッチング工程を説明するための説明図である。 非貫通穴形成工程のレジスト剥離工程を説明するための説明図である。 第2保護膜形成工程の第2保護膜全面形成工程を説明するための説明図である。 第2保護膜形成工程の選択エッチング工程を説明するための説明図である。 BOX層エッチング工程を説明するための説明図である。 結晶異方性エッチング工程を説明するための説明図である。 結晶異方性エッチング処理後のテーパ部の正面図である。 結晶異方性エッチング処理後のテーパ部の斜視図である。 第1及び第2保護膜除去工程を説明するための説明図である。 ダミー基板貼付工程を説明するための説明図である。 ハンドル層除去工程、BOX層除去工程を説明するための説明図である。 流路基板貼付工程を説明するための説明図である。 圧電素子形成工程を説明するための説明図である。 ダミー基板除去工程を説明するための説明図である。 インクジェット記録装置の概略図である。 印字部を上面側から見た上面図である。 インクジェットヘッドのノズル面の概略図である。 インクジェットヘッドへのインクの供給系を示す概略図である。 インクジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
[インクジェットヘッドの全体構成]
インクジェットヘッド10の断面を示す図1において、インクジェットヘッド10は、複数のノズル12が形成されたノズルプレート13と、圧力室14や共通流路(図示せず)等の流路が形成された流路基板15と、振動板16と、圧電素子17と、を含んで構成されている。
ノズル12は、ノズル開口19と、ストレート部20と、テーパ部21とを含んで構成されている。ノズル開口19は、ノズルプレート13(インクジェットヘッド10)のノズル面13a側に開口している。ストレート部20は、ノズル開口19から垂直方向(ノズルプレート13の厚み方向)に延びた丸孔形状を有している。テーパ部21は、ストレート部20におけるノズル開口19とは反対側に形成されており、略漏斗形状(略四角錐形状)を有している(図13〜図15参照)。このテーパ部21は、ストレート部20に連通しており、ストレート部20に近づくのに従って次第に先細りとなる。
ノズルプレート13は、第1活性層(第1シリコン基板)23と、第2活性層(第2シリコン基板)24とを含んで構成されている。第1活性層23はテーパ部21を有している。第2活性層24は、ノズル開口19(ノズル面13a)とストレート部20と有している。なお、図示は省略するが、ノズル面13aに周知の撥液膜が形成されていてもよい。
流路基板15は、圧力室14の側壁部を構成する。また、流路基板15は、共通流路(図示せず)から圧力室14にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口(図示せず)を形成している。なお、説明の便宜上、図1では流路基板15を簡略的に図示しているが、流路基板15は1枚又は複数の基板を積層した構造である。共通流路(図示せず)は、インク供給源たるインクタンク(図示せず)と連通している。インクタンクから供給されるインクは共通流路を介して各圧力室14に供給される。
圧力室14の天面(図1中の上面)を構成している振動板16上には、圧電素子17が形成されている。圧電素子17は、下部電極26と圧電膜27と上部電極28とを含んで構成されており、駆動電圧の印加により変形する。圧電素子17の変形に伴い振動板16が変形して圧力室14の容積が減少することで、圧力室14内のインクに圧力が加わる。これにより、ノズル12からインクが吐出される。
[インクジェットヘッド(ノズルプレート)の製造工程]
次に、図2から図4の工程フロー及び図5から図21の説明図を用いて、インクジェットヘッド10の製造工程、特にノズルプレート13の製造工程について説明を行う。なお、図5から図21では、図面の煩雑化を防止するために、インクジェットヘッド10の記録素子の単位となる1チャンネル分のインク噴射素子のみの製造過程を図示している。
図2に示すように、インクジェットヘッド10の製造工程30では、大別してノズルプレート製造工程31と、流路基板貼付工程32と、圧電素子形成工程33と、ダミー基板除去工程34とが順番に実行される。
ノズルプレート製造工程31では、大別して、積層基板準備工程36、第1保護膜形成工程37、非貫通穴形成工程38、第2保護膜形成工程39、BOX層エッチング工程(酸化膜エッチング工程)40、結晶異方性エッチング工程41、第1及び第2保護膜除去工程(保護膜除去工程)42、ダミー基板貼付工程43、ハンドル層除去工程44、BOX層除去工程(酸化膜除去工程)45が順番に実行される。
図5(A)に示すように、本実施形態のノズルプレート13は、SOI(Silicon On Insulator)基板48を用いて製造する。SOI基板48は、ハンドル層(支持層ともいう、本発明の第3シリコン基板に相当)50上に、BOX層(埋め込み酸化膜層ともいう、本発明の酸化膜に相当)51、第1活性層23を順番に積層してなる。なお、「〜上とは」は図中上方側を指し、ここではハンドル層50から第2活性層24に向かう方向(積層方向)側を指す。
ハンドル層50は、面方位が<100>、すなわち両面が<100>面である単結晶シリコン基板である。なお、ハンドル層50の面方位は特に限定はされない。ハンドル層50の厚みは100〜1000μmに調整される。この際に、ハンドル層50が400μm未満であるとハンドリング性が悪く基板が破損する可能性が高くなる。また、500μmを上回ると後工程(ハンドル層除去工程44)でハンドル層50の除去に要する時間が長くなり、コストアップにつながる。このため、本実施形態ではハンドル層50の厚みを500μmとしたが、400μm程度がより好ましい。
BOX層51は、例えばSiOで形成されている。このBOX層51の厚みは0.1μm〜10μmに調整されるが、本実施形態では1μmとしている。
第1活性層23は、面方位が<100>、すなわち両面が<100>面である単結晶シリコン基板である。この第1活性層23の厚みは、ノズルプレート13の厚み方向におけるテーパ部21の長さ(以下、単に「テーパ部21の長さ」と略す)に応じて決定される。テーパ部21の長さは、吐出性能から決めればよく、吐出する液滴(インク)の性質や相性から決定される。テーパ部21の長さは、例えば0.5〜500μmに調整されるが、本実施形態ではインクの吐出効率などから50μmとしている。
<積層基板準備工程>
積層基板準備工程36では、例えばシリコン基板をスライスするなどして予め形成された第2活性層24を第1活性層23上に積層する(貼り合せる)ことで、図5(B)に示すように積層基板53を形成する。これにより、BOX層51の一面側(図中では上面側)には、第1活性層23と第2活性層24とが順番に積層される。また、第2活性層24を第1活性層23上に積層(貼りあわせる)した後に研削、研磨し所定の厚さにすればよい。第2活性層が薄い場合は、基板のハンドリング性が悪く破損の可能性が高いので、積層後、研削、研磨した方が良い。なお、積層基板53は、メーカで製造されたものを購入してもよい。
第2活性層24は、面方位が<111>、すなわち両面が<111>面である単結晶シリコン基板である。この第2活性層24の厚みは、ノズルプレート13の厚み方向におけるストレート部20の長さ(以下、単に「ノズルプレート13の長さ」と略す)に応じて決定される。ストレート部20の長さは、吐出性能から決めればよく、吐出する液滴(インク)の性質、相性、吐出される液滴の方向性から決定される。ストレート部20の長さは、例えば0.5〜500μmに調整されるが、本実施形態では5μmとしている。
このように第1及び第2活性層23,24の厚みに応じてテーパ部21、ストレート部20の長さが決定される。第1及び第2活性層23,24の厚みは、積層基板53(SOI基板48)の製造時に高精度に管理することができるので、ストレート部20及びテーパ部21の長さも高精度に管理することができる。
また、第2活性層24をシリコンで形成している理由は、シリコン以外の材料を用いると熱膨張係数の違いなどの材料物性値が異なることで、ノズルプレート製造工程31(製造工程30)の各工程で加熱処理が実施された時にノズルプレート13に反りが生じるためである。ノズルプレート13に反りが生じると、ストレート部20が直線状にならずに曲がったり、非対称に変形したりするなどの問題が発生する。このため、第2活性層24もシリコンで形成されている。
<第1保護膜形成工程>
図6に示すように、第1保護膜形成工程37では、第2活性層24上に第1保護膜55(マスク層ともいう)を形成する。第1保護膜55はSiO、SiN、SiC、Alなどで形成することができるが、本実施形態ではSiNで第1保護膜55を形成した。この第1保護膜55、すなわちSiN膜は、スパッタ法、CVD法、蒸着法などで形成される。なお、SiN膜の形成方法によっては、図中に示したように積層基板53のハンドル層50側の表面にも第1保護膜55が形成される場合があるが、第2活性層24上のみに第1保護膜55を選択的に形成してもよい。
例えばCVD法を用いて第1保護膜55(SiN膜)を形成する場合には、LPCVD(減圧化学気相成長)法や熱CVD法を選択することができる。熱CVD法を選択した場合には、SiHCl(ジクロルシラン)とNH(アンモニア)の熱反応でSiN膜を生成する。この際の反応圧力は20〜200Paとし、加熱温度は650〜800℃とすればよい。
第1保護膜55の膜厚は、0.1〜5.0μm程度に調整されるが、本実施形態では0.5μmに形成した。この第1保護膜55の膜厚は、後工程の結晶異方性エッチング工程41で用いられるKOHなどのエッチャントとの選択比から必要な膜厚を決めれば良い。また、エッチャントとしてKOHを用いた場合に、SiNは選択比が高いので必要な第1保護膜55の膜厚を薄くすることができる。
<非貫通穴形成工程>
図3に示すように、非貫通穴形成工程38では、レジストパターン層形成工程57と、第1ドライエッチング工程58と、第2ドライエッチング工程59と、レジスト剥離工程(レジストパターン層除去工程)60とが順番に実行される。なお、第1及び第2ドライエッチング工程58,59は、本発明のドライエッチング工程に相当するものである。
(レジストパターン層形成工程)
図7に示すように、レジストパターン層形成工程57は、大別して、レジスト層形成ステップと、フォトリソグラフィーステップ(以下、フォトリソステップという)と、ポストベークステップとを経て、第2活性層24上に形成された第1保護膜55上にレジストパターン層62を形成する。以下、特に記載がない限り「第1保護膜55」は、第2活性層24上に形成された第1保護膜55を指す。
レジスト層形成ステップでは、汎用品の東京応化工業社製のOFPRシリーズやTSMRシリーズを用いて、スピンコート法やスプレーコート法などにより第1保護膜55上にレジスト層(次のステップでレジストパターン層62となる層)を形成する。このレジスト層の膜厚は0.1〜10μmに調整されるが、本実施形態では2μmとした。次いで、レジスト層中の溶剤成分を揮発させるため、プリベークが行われる。このプリベークには、ホットプレートやオーブンを用いれば良く、本実施形態ではホットプレートを用いて100度で2分間行った。
フォトリソステップでは、ステッパーやアライナーなどの露光装置によりマスクパターンをレジスト層に転写する、いわゆる露光を行う。この際の露光時間及び/又は露光量は、レジスト層に用いるレジストの種類、レジスト層の膜厚などから最適な値が選択される。この露光後に、専用の現像液(例えば東京応化工業のNMD−3(TMAH 2.38%))を用いてレジスト層を現像する。本実施形態では現像時間を1分に設定した。これにより、レジスト層には、積層基板53のノズル12(ストレート部20)を形成すべき位置に対応した位置に開口部(第2開口部)62aが形成される。こうして、レジストパターン層62が形成される。
開口部62aは円形状(丸孔形状)に形成されている。開口部62aの開口径(ストレート部20の径)は本実施形態では20μmに形成されている。
ポストベークステップでは、ホットプレートやオーブンなどを用いて現像処理後のレジストパターン層62をポストベークする。本実施形態では、ホットプレートにより120度で3分間のポストベークを行った。以上で、第1保護膜55上に、ノズル12(ストレート部20)を形成すべき位置に開口部62aを有するレジストパターン層62が形成される。
(第1ドライエッチング工程)
図8に示すように、第1ドライエッチング工程58では、周知のドライエッチング装置により、レジストパターン層62をマスクとして第1保護膜55に対してドライエッチング処理を施す。このドライエッチング処理にはフッ素系のガスが用いられる。ドライエッチング処理により、レジストパターン層62の開口部62aの形状が第1保護膜55に転写される。これにより、第1保護膜55には、積層基板53のノズル12(ストレート部20)を形成すべき位置に対応する位置に開口部55aが形成される。開口部55aは、開口部62aと同形状、すなわち円形状(丸孔形状)に形成される。
(第2ドライエッチング工程)
引き続き、第2ドライエッチング工程59では、レジストパターン層62及び第1保護膜55をマスクとして、ドライエッチング装置により第2活性層24、第1活性層23に順番にドライエッチング処理を施す。
この際に、第1及び第2活性層23,24(すなわち、面方位<100>、<111>の単結晶シリコン基板)は、ドライエッチング法を用いれば面方位に関係なくエッチング加工が可能である。ドライエッチングは、例えばボッシュプロセスを用いても良い。また、SFなどのフッ素ガスによるエッチング工程と、Cなどのフッ素ガスによるポリマー堆積工程とを交互に繰り返して行うことで垂直な孔加工を行うことができる。なお、この場合には、いわゆるスキャロップといわれる規則的な凹凸が形成されるので、エッチングとポリマー堆積とのそれぞれの工程の時間を短くするなどの工夫が必要となる。
また、ドライエッチングには、SF、CFCHF、Cなどのフッ素系ガスのうちの少なくとも1種類以上のガスと、酸素とをエッチングガスとして用いることもできる。さらに、不活性ガスとしてAr,N、Heなどを添加してもよい。この方法を用いればスキャロップの問題はないが、エッチングガスに酸素を用いるため、マスクとして使用するレジスト(レジストパターン層62)との選択比を考慮して、予め厚めなレジストパターン層62を形成する必要がある。SFと酸素を1:1で混合するエッチング条件によりドライエッチングを行うことで、垂直な孔加工が可能である。
このようなドライエッチング処理により、開口部62a及び開口部55aと同形状同形状[円形状(丸孔形状)]の穴がBOX層51の一面側(図中では上面側)に向けて垂直に掘り下げられる。このドライエッチングは、SiOで形成されたBOX層51によりストップされる。すなわち、BOX層51がドライエッチングのエッチングストッパとして機能する。こうして、積層基板53のノズル12を形成すべき位置に、第1保護膜55、第2活性層24、及び第1活性層23を貫通してBOX層51の一面に達する非貫通穴64(開口部55aを含む)が形成される。なお、第1及び第2活性層23,24は共にシリコンであるので一括で加工が可能である。
非貫通穴64を形成することで、この非貫通穴64の一部としてストレート部20が第2活性層24に形成される。このストレート部20の長さは第1活性層23の厚みに応じて決定される。また、非貫通穴64は丸孔形状に形成されるので、ストレート部20も丸孔形状(断面円形状)に形成される。
ここで、第2活性層24として面方位<110>の単結晶シリコン基板を用いた場合は、四角孔形状(断面四角形状)のストレート部が形成される。ストレート部が四角孔形状であると、液滴吐出時に四角形の角の部分と他の部分との流速が異なってしまうので、ゴミの付着や固化の原因となり好ましくない。
これに対して、本実施形態のように第2活性層24として面方位<111>の単結晶シリコン基板を用い、さらにフォトリソグラフィにより開口部62aの形状を調整することで、ストレート部20の形状を自由に決定することができる。特にストレート部20を丸孔形状とすることでノズル12の吐出性能を安定させることができる。なお、ここでいう丸孔形状には断面楕円形状も含まれる。
(レジスト剥離工程)
図9に示すように、レジスト剥離工程60では、アッシングや専用の剥離液を用いてレジストパターン層62を剥離する。以上で非貫通穴形成工程38が完了する。
[第2保護膜形成工程]
図4に示すように、第2保護膜形成工程39では、非貫通穴64を形成する第1活性層23、第2活性層24、及び第1保護膜55のそれぞれの内面(以下、単に非貫通穴64の内側面という)にそれぞれ第2保護膜69(図11参照)を形成する。第2保護膜形成工程39では、第2保護膜全面形成工程66と、選択エッチング工程67とが順番に実行される。
(第2保護膜全面形成工程)
図10に示すように、第2保護膜全面形成工程66では、非貫通穴64の内部を含む第1保護膜55の全面上に第2保護膜69を形成する。第2保護膜69は、第1保護膜55と同様にSiO、SiN、SiC、Alなどで形成することができるが、本実施形態ではSiNを用いて形成した。なお、第2保護膜69の製造方法は前述の第1保護膜55の製造方法と基本的に同じであり、本実施形態ではCVD法を用いて0.5μmの厚みの第2保護膜69を形成した。
(選択エッチング工程)
図11に示すように、選択エッチング工程67では、積層基板53の第2保護膜69が形成された面に対して、基板バイアスを印加したドライエッチング、すなわち、異方性エッチングを行う。この異方性エッチングでは、図中垂直方向のみのエッチングが可能であるので、非貫通穴64の内側面に形成された第2保護膜69が除去されることはない。これにより、第1保護膜55上に形成された第2保護膜69と非貫通穴64の底部に形成された第2保護膜69とが選択的に除去されて、非貫通穴64の内側面に形成された第2保護膜69だけが残る。以上で第2保護膜形成工程39が完了する。なお、図中の符号「51a,51b」については後述する。
<BOX層エッチング工程>
図12に示すように、BOX層エッチング工程(酸化膜エッチング工程)40では、HFベーパエッチング装置などを用いて、非貫通穴64を通してBOX層51をベーパエッチングする。この際に、非貫通穴64の底に露呈しているBOX層51以外の部分は第1保護膜55又は第2保護膜69でマスクされているのでベーパエッチングされることはない。従ってBOX層51だけがベーパエッチングされる。このベーパエッチングはいわゆる等方エッチングであるので、BOX層51には非貫通穴64と同軸の丸孔形状の開口部(第1開口部)70が形成される。
開口部70の大きさ(開口径)は、ペーパエッチングのエッチング時間の増加に伴って増加する。従って、ベーパエッチングが実施されると、非貫通穴64の底に露呈しているBOX層51の露呈部分51a(図11参照)が最初に除去され、次いでこの露呈部分51aの周辺部分51b(図11参照)が除去される。これにより、第1活性層23のBOX層51との対向面23aにおける非貫通穴64の開口周縁部23bが露呈される。
この際に、開口部70の開口径(開口周縁部23bの外径)は、後述の結晶異方性エッチング工程41で形成されるテーパ部21の圧力室14側の開口(以下、単にテーパ部21の開口という)の大きさを決定するものである。このため、ベーパエッチングのエッチング時間とエッチング量との関係を予め求めておき、この関係に基づき、テーパ部21の開口の大きさに応じたエッチング時間を決定することで、ペーパエッチングのエッチングストップを行う。なお、エッチング量は、例えば積層基板53をIR顕微鏡で観察することで測定することができる。
テーパ部21の開口の大きさは、ストレート部20の孔径と、テーパ部21の角度と、第1活性層23の厚みとに基づいて決定される。例えば、ストレート部20の孔径をX、テーパ部21の開口(開口部70の開口)の大きさをYとし、第1活性層23の厚みをdとし、テーパ部21の角度をθとしたときに、以下の(式1)が成り立つ。
(式1)Y=X+(d/tanθ)×2
従って、ストレート部20の孔径Xを20μm、第1活性層23の厚みdを50μm、テーパ部21の角度θを54.74度とした時に、上記(式1)に基づきテーパ部21の開口の大きさYは約90.6μmとなる。このため、テーパ部21の開口の大きさが90.6μmとなるようにエッチング時間を決定してベーパエッチングのエッチングストップを行えばよい。
なお、本実施形態のBOX層エッチング工程40では、ベーパエッチングを行っているが、ベーパエッチングの代わりにウェットエッチングを行ってもよい。
<結晶異方性エッチング工程>
結晶異方性エッチング工程41では、第1及び第2保護膜55,69とBOX層51とをマスクとして、ウェットエッチング装置により非貫通穴64を通して第1活性層23を開口周縁部23bから結晶異方性エッチングする。非貫通穴64の内側面は第2保護膜69によりマスクされているので、開口部70内に露呈されている第1活性層23の開口周縁部23b、及びハンドル層50のBOX層51との対向面50aがエッチングされる。
結晶異方性エッチングに用いられるエッチング液としてはKOHやTMAHなどが用いられるが、本実施形態ではKOH、例えば三菱ガス化学社製のシリコンエッチング液“ELM−SiM”を用いた。ELM−SiMは、KOHベースのエッチング液であり、KOHベース液とヒドロキシルアミン含有液とを重量比で1:1に混合した混合液を50〜90℃に加熱(本実施形態では80℃に加熱)して使用される。また、結晶異方性エッチングを行う際には、積層基板53を回転(例えば本実施形態では45rpm)させることでエッチングの均一性の向上を図った。
第1活性層23(対向面23a)及びハンドル層50(対向面50a)の面方位は<100>である。このため、第1活性層23及びハンドル層50は、それぞれ対向面23a、対向面50aに対して45°の角度を有する<111>面を有している。ここで、単結晶シリコンは面方位(結晶方位)によりエッチングレートが大きく異なっている。このため、<100>面と<111>面とのエッチングレートが10〜1000倍異なる。例えば、<100>面のエッチングレートが1μm/minだとすると<111>面のエッチングレート1〜100nm/minであり、<111>面はエッチングがほとんど進行しない。
また、第2活性層24の面方位は<111>であるので、第2活性層24の第1活性層23と対向する対向面24a(<111>面)も同様にエッチングがほとんど進行しない。このため、第2活性層24は、第1活性層23の結晶異方性エッチングをストップさせるエッチングストッパとして機能する。
図13から図15に示すように、エッチング液により、第1活性層23は開口周縁部23bから第2活性層24側に向けて結晶異方性エッチングされる。第1活性層23を第2活性層23に達するまで結晶異方性エッチングすると、第2活性層24(対向面24a:<111>面)により、さらなる積層方向(ハンドル層50から第2活性層24に向かう方向)側への結晶異方性エッチングのエッチングレートが大きく低下する。従って、積層方向側への結晶異方性エッチングがストップされる。
また、結晶異方性エッチングにより第1活性層23の4つの<111>面72が露呈されると、結晶異方性エッチングのエッチングレートが大きく低下するので、第1活性層23内における結晶異方性エッチングもストップされる。これにより、第1活性層23には、4つの<111>面72により構成される略四角錐状(略漏斗状)のテーパ部21が形成される。テーパ部21は、ストレート部20に連通(第2保護膜69は後工程で除去)し、かつストレート部20に近づくのに従って次第に先細りとなる。
テーパ部21の開口の大きさは、前述の通り、開口部70の開口径(開口周縁部23bの外径)に基づき決定され、テーパ部21の長さは第1活性層23の厚みに応じて決定される。
また、テーパ部21は、非貫通穴64を基準としてBOX層51や第1活性層23をエッチングして形成されるので、ストレート部20及びテーパ部21の形状や形成位置を規定するためのフォトリソグラフィは1回(レジストパターン層形成工程57)しか行われない。このため、テーパ部21とストレート部20(非貫通穴64)とは同軸に形成されるので、両者の位置ずれが防止される。さらに、ストレート部20とテーパ部21との間に略直角の段差を有さないので、インクに気泡が残留している場合であってもこの気泡が段差部に残留して吐出性能を低下させることが防止される。これにより、スムーズなインク液滴の吐出が可能となる。
なお、第1活性層23の結晶異方性エッチングと同時に、エッチング液により、ハンドル層50の対向面50aが積層方向とは反対側の方向に向けて結晶異方性エッチングされる(図14及び図15で図示は省略)。この結晶異方性エッチングによりハンドル層50に4つの<111>面73が露呈されると、ハンドル層50内における結晶異方性エッチングもストップされる。これにより、ハンドル層50には、4つの<111>面73により構成されるテーパ部74が形成される。
このような第1活性層23及びハンドル層50の結晶異方性エッチングにより、非貫通穴64は、第1活性層23内の4つの<111>面72とハンドル層50内の4つの<111>面73とで構成される略正8面体形状となる。そして、この略正8面体形状の非貫通穴64の一部がテーパ部21となる。
<第1及び第2保護膜除去工程>
図16に示すように、第1及び第2保護膜除去工程42(保護膜除去工程)では、第1及び第2保護膜55,69(本実施形態ではSiN膜)を積層基板53から除去する。本実施形態では、第1及び第2保護膜55,69を例えばウェットエッチングにより除去する。このウェットエッチングには、100〜150℃に加熱した燐酸が用いられる。
<ダミー基板貼付工程>
図17に示すように、ダミー基板貼付工程43では、第2活性層の対向面24aとは反対側の反対面24b(図中の上面、図1のノズル面13a)上に、ダミー基板76を貼り付ける。なお、図中の符号「76a」は接着層を示す。
<ハンドル層除去工程、BOX層除去工程>
図18に示すように、最初にハンドル層除去工程(第3シリコン基板除去工程)44では、周知のポリッシャー装置やCMP(化学機械研磨)装置などの研磨装置、あるいはドライエッチング装置などを用いてハンドル層50を除去してBOX層51を露呈させる。次いで、BOX層除去工程(酸化膜除去工程)45では、HFやBHFを用いたウェットエッチングによりBOX層51を除去する。研磨によらずBOX層51を除去、すなわち、テーパ部21を形成することができるので、前述の特許文献1の製造方法のようにテーパ部21の開口のエッジが欠けることが防止される。
以上でノズルプレート製造工程の全工程が終了して、ノズルプレート13がダミー基板76に貼り付けられた状態で形成される。ノズルプレート13には、上述の各工程を経てストレート部20とテーパ部21と含むノズル12が形成されている。なお、ノズルプレート13を単体で出荷する場合にはダミー基板76が除去される。
<流路基板貼付工程>
図19に示すように、流路基板貼付工程32では、ノズルプレート13(第1活性層23)の対向面23aに流路基板15(振動板16が接合された状態のもの)を貼り付ける。
<圧電素子形成工程>
図20に示すように、圧電素子形成工程33では、振動板16の圧力室14に対向する面側とは反対面側に、下部電極26と、圧電膜27と、上部電極28とを形成することで、圧電素子17を形成する。圧電素子17の形成方法は公知であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
<ダミー基板除去工程>
図21に示すように、ダミー基板除去工程34では、ノズルプレート13からダミー基板76を除去(剥離)する。これにより、各ノズル12のノズル開口19が解放される。以上でインクジェットヘッド10の製造工程30が全て完了して、インクジェットヘッド10が完成する。
<インクジェットヘッドの製造工程の効果>
上述の製造工程30では、ノズル12のストレート部20及びテーパ部21の長さを、第2活性層24、第1活性層23の厚みで決定することができる。これら両活性層23,24の厚みは、積層基板53(SOI基板48)の製造時に高精度に管理することができるので、ストレート部20及びテーパ部21の長さも高精度に管理することができる。また、研磨によらずBOX層51を除去する、すなわち、テーパ部21を形成することができるので、テーパ部21の開口のエッジが欠けることが防止される。さらに、非貫通穴64を基準としてBOX層51や第1活性層23をエッチングしてテーパ部21を形成することで、フォトリソグラフィは1回で済む。1枚のマスクでノズル形成が可能であり、さらに積層基板53の一方面側のみからの加工によりストレート部20とテーパ部21とを形成することができる。このため、ストレート部20とテーパ部21との位置ずれが防止される。その結果、製造工程30では、従来よりもノズル12のストレート部20とテーパ部21とを高精度に形成することができる。
また、第1及び第2活性層23,24にノズル12のストレート部20とテーパ部21とをそれぞれ形成する際に、ストレート部20の孔径(ノズル開口19の開口径)を、レジストパターン層62の開口部62aに基づき決定することができる。すなわち、1つのパラメータでストレート部20の孔径の大きさが決定される。その結果、ストレート部20及びテーパ部21の長さの高精度な管理と位置ずれ防止とを図りつつ、ストレート部20を高精度に形成することができる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図22は、本発明の製造方法で製造されたノズルプレート13を有するインクジェットヘッド10を備えたインクジェット記録装置110の概略を示す全体構成図である。図22に示すように、インクジェット記録装置110は、インクの色ごとに設けられた複数のインクジェットヘッド10K、10C、10M、10Y(上述のインクジェットヘッド10にそれぞれ対応)を有する印字部112と、各インクジェットヘッド(以下、単にヘッドと略す)10K、10C、10M、10Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、ヘッド10K、10C、10M、10Yのノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送する吸着ベルト搬送部122と印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126を備えている。
図22では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する場合には、裁断用のカッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター128は、記録紙116の搬送路幅以上の長さを有する固定刃128Aと、この固定刃128Aに沿って移動する丸刃128Bとから構成されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
給紙部118から送り出される記録紙116は、マガジンに装填されていたことによる巻き癖が残るため、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、吸着ベルト搬送部122へと送られる。吸着ベルト搬送部122は、ローラ131,132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有しており、少なくともヘッド10K、10C、10M、10Yのノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が平面をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。ローラ131,132間に掛け渡されたベルト133の内側には、印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置に吸着チャンバー134が設けられている。この吸着チャンバー134をファン135で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録紙116が吸着保持される。
ベルト133が巻かれているローラ131,132の少なくとも一方にモータ188(図26参照)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図中時計回り方向に駆動される。これにより、ベルト133上に保持された記録紙116は、図中の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹きつけ、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
図23に示すように、印字部112は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドを有している。印字部112を構成する各ヘッド10K、10C、10M、10Yは、本インクジェット記録装置110が対象とする最大サイズの記録紙116の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙116の搬送方向に沿って上流側(図22の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド10K、10C、10M、10Yが配置されている。記録紙116を搬送しつつ各ヘッド10K、10C、10M、10Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部112によれば、紙送り方向について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち、1回の副走査で)記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙送り方向と直交する主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。
図22に戻って、インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド10K、10C、10M、10Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各ヘッド10K、10C、10M、10Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する機能を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、このイメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする機能を有する。
本実施形態の印字検出部124は、少なくとも各ヘッド10K、10C、10M、10Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部124は、各色のヘッド10K、10C、10M、10Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、例えば加熱ファンが用いられており、印字された画像面を乾燥させる。なお、印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいため、後乾燥部142は熱風を吹きつける方式が好ましい。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は画像表面の光沢度を制御する。加熱・加圧部144は、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧して、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える選別部(不図示)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター148によってテスト印字の部分を切り離す。カッター148は、排紙部126の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断する。カッター148の構造は前述した第1のカッター128と同様であり、固定刃148Aと丸刃148Bとから構成されている。
〔インクジェットヘッドの構成〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド10K,10C,10M,12
Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図24(a)はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図24(b)はその一部の拡大図である。また、図24(c)はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図で
ある。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、インク滴の吐出孔であるノズル151(前述のノズル12に対応)と、各ノズル151に対応する圧力室152(前述の圧力室14に対応)、供給口154等からなる複数のインク室ユニット153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有している。これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)を狭め、高密度化を達成している。
紙送り方向と略直交する主走査方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図24(a)の構成に代えて、図24(c) に示すように、複数のノズル151が2次元状に配列された短尺のヘッドブロック150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
なお、本例では圧力室152の平面形状が略正方形である態様を示したが、圧力室152の平面形状は略正方形に限定されず、略円形状、略だ円形状、略平行四辺形(ひし形)など様々な形状を適用することができる。また、ノズル151や供給口154の配置も図24(a)〜(c)に示す配置に限定されず、圧力室152の略中央部にノズル151を配置してもよいし、圧力室152の側壁側に供給口154を配置してもよい。
図24(b)に示すように、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造や、2列の千鳥配置されたノズル列を有する構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、記録媒体の幅方向(主走査方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図24(a)〜(c)に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙116とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
なお、本実施形態ではフルラインヘッドを例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、記録紙116の幅よりも短い長さのノズル列を有する短尺のヘッドを記録紙116の幅方向に走査させながら、記録紙116の幅方向の印字を行うシリアル型ヘッドにも適用可能である。
なお、図24(a)〜(c)に示すように、各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部に形成されたノズル151と供給口154が設けられている。各圧力室152は不図示の共通流路(共通液室)と連通されている。この共通流路は不図示のインク供給タンクと連通している。インク供給タンクから供給されるインクは、共通流路を介して各圧力室152に分配供給される。
〔吐出回復装置〕
図25は、インクジェット記録装置110におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク190は、図22に示したインク貯蔵/装填部114に設置されており、ヘッド150にインクを供給する。インクタンク190の形態には、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示省略)からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を替える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、インクタンク190は、先に記載した図22のインク貯蔵/装填部114と等価のものである。
インクタンク190とヘッド150を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ192が設けられている。フィルタ・メッシュサイズはヘッド150のノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図25には示さないが、印字ヘッド150の近傍又はヘッド150と一体にサブタンクを設けてもよい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置110には、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するキャップ194と、ノズル面150Aを清掃するためのクリーニングブレード196とが設けられている。
これらキャップ194及びクリーニングブレード196を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド150に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド150下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ194は、図示しない昇降機構によって印字ヘッド150に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ194を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド150に密着させることにより、ノズル面150Aのノズル領域をキャップ194で覆う。
クリーニングブレード196は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構によりヘッド150のインク吐出面(ノズル面150A)に摺動可能である。ノズル面150Aにインク液滴又は異物が付着した場合は、クリーニングブレード196をノズル面150Aに摺動させることでノズル面150Aを拭き取り、ノズル面150Aを清浄化する。
印字中又は待機中において、特定のノズル151の使用頻度が低くなり、そのノズル151近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排出すべく、キャップ194に向かって予備吐出が行われる。
すなわち、ヘッド150は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ(圧電素子)が動作してもノズル151からインクが吐出しなくなる。従って、このような状態になる手前で(圧電素子の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、クリーニングブレード196等のワイパーによってノズル面150Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル151内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ヘッド150内のインク(圧力室152内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド150にキャップ194を当て、吸引ポンプ197で圧力室152内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク198へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、あるいは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
具体的には、ノズル151や圧力室152内に気泡が混入したり、ノズル151内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、圧電素子を動作させる予備吐出ではノズル151からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド150のノズル面150Aに、キャップ194を当てて圧力室152内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ197で吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室152内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。従って、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図25で説明したキャップ194は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。
また、好ましくは、キャップ194の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
〔制御系の説明〕
図26はインクジェット記録装置110のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal serial bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦メモリ174に記憶される。メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する。このメモリ174は、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。なお、メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、通信インターフェース170、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等で構成されており、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従ってモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142(図22に図示)等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有しており、生成した印字制御信号をヘッドドライバ184に供給する。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、画像データに基づいてヘッドドライバ184を介してヘッド150のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御(打滴制御)が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図中では、画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、メモリ174と兼用することも可能である。
ヘッドドライバ184はプリント制御部180から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド10K,10C,10M,10Y(ヘッド150)の圧電素子を駆動する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系が含まれていてもよい。
印字検出部124は、図22に示したようにラインセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出して、その検出結果をプリント制御部180に提供する。プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行う。
なお、システムコントローラ172及びプリント制御部180は、1つのプロセッサで構成されていてもよい。また、システムコントローラ172とモータドライバ176とヒータドライバ178とを一体に構成したデバイスや、プリント制御部180とヘッドドライバとを一体に構成したデバイスを用いてもよい。
<インクジェット記録装置の作用効果>
各ヘッド10K,10C,10M,10Y(ヘッド150)のノズル151(前述のノズル12)が高精度に形成されており、吐出性能が安定しているので、良質な記録画像が得られる。
<装置応用例>
なお、上記実施形態のインクジェットヘッド10では、各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を圧電素子から発生させているが、静電アクチュエータ、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(吐出エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
上記実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法について説明したが、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画する各種インクジェット記録装置に用いられるノズルプレートの製造方法に本発明を適用することができる。
上記実施形態ではSOI基板48の第1活性層23上に第2活性層24を積層してなる積層基板53を用いてノズルプレート13を製造したが、SOI基板48を用いずに、SiO膜などの酸化膜上に第1及び第2活性層23,24を積層してなる積層基板を用いてノズルプレートの製造を行ってもよい。
上記実施形態では、ハンドル層50として面方位<100>の単結晶シリコン基板を用いたが、ハンドル層50の面方位は特に<100>に限定されるものない。さらに、ハンドル層50としてシリコン以外の材料を用いてもよい。ただし、この場合には、製造工程30の各工程での加熱処理により積層基板に反りなどが発生しない、あるいは反りが低減するような材料の種類や厚みなどを選択することが好ましい。また、上記各実施形態では、BOX層51としてSiO膜を例に挙げて説明したが、加熱処理により積層基板に反りなどが発生しない範囲内で各種の酸化膜を用いてもよい。
さらに、本発明は上述した実施形態(例えば各層及び各膜の形成方法、エッチング方法など)に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
10…インクジェットヘッド,12…ノズル,13…ノズルプレート,20…ストレート部,21…テーパ部,23…第1活性層,24…第2活性層,30…インクジェットヘッドの製造工程,31…ノズルプレート製造工程,36…積層基板準備工程,37…第1保護膜形成工程,38…非貫通穴形成工程,39…第2保護膜形成工程,40…BOX層エッチング工程,41…結晶異方性エッチング工程,42…第1及び第2保護膜除去工程,45…BOX層除去工程,48…SOI基板,50…ハンドル層,51…BOX層,53…積層基板

Claims (12)

  1. 酸化膜の一面側に面方位が<100>の第1シリコン基板と、面方位が<111>の第2シリコン基板とを順番に積層してなる積層基板の前記第2シリコン基板上に、第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
    前記積層基板のノズルを形成すべき位置に、前記第1保護膜、前記第2シリコン基板、及び前記第1シリコン基板を貫通して前記酸化膜の一面まで達する非貫通穴を形成することで、前記第2シリコン基板に前記ノズルのストレート部を形成する非貫通穴形成工程と、
    前記非貫通穴を形成する前記第1シリコン基板、前記第2シリコン基板、及び前記第1保護膜のそれぞれの内面に第2保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、
    前記第1保護膜及び第2保護膜をマスクとして、前記非貫通穴を通して前記酸化膜をエッチングすることで、前記酸化膜と対向する前記第1シリコン基板の対向面における前記非貫通穴の開口周縁部を露呈させる酸化膜エッチング工程と、
    前記酸化膜、前記第1保護膜、及び前記第2保護膜をマスクとして、前記第1シリコン基板を前記開口周縁部から前記第2シリコン基板に達するまで結晶異方性エッチングする結晶異方性エッチング工程であって、前記結晶異方性エッチングにより露呈された前記第1シリコン基板の<111>面により、前記ストレート部に連通しかつ当該ストレート部に近づくのに従って次第に先細りとなる前記ノズルのテーパ部を形成する結晶異方性エッチング工程と、
    前記第1保護膜及び前記第2保護膜を除去する保護膜除去工程と、
    前記酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、
    を有するノズルプレートの製造方法。
  2. 前記酸化膜エッチング工程は、前記酸化膜にベーパエッチングまたはウェットエッチングを施して、当該酸化膜に前記非貫通穴と同軸の第1開口部を形成するものであり、
    前記酸化膜エッチング工程でのエッチング時間を調整して前記第1開口部の開口径の大きさを調整することにより、前記テーパ部の開口径の大きさを決定する請求項1記載のノズルプレートの製造方法。
  3. 前記第1シリコン基板の厚みを調整することにより、前記テーパ部の長さを決定する請求項1または2記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記第2シリコン基板の厚みを調整することにより、前記ストレート部の長さを決定する請求項1から3のいずれか1項記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 前記結晶異方性エッチング工程では、前記第2シリコン基板が前記第1シリコン基板を
    結晶異方性エッチングする際のエッチングストッパとして機能する請求項1から4のいず
    れか1項記載のノズルプレート製造方法。
  6. 前記非貫通穴形成工程では、前記非貫通穴を丸孔形状に形成する請求項1から5のいずれか1項記載のノズルプレートの製造方法。
  7. 前記非貫通穴形成工程は、
    前記ノズルを形成すべき位置に第2開口部を有するレジストパターン層を前記第1保護膜上に形成するレジストパターン層形成工程と、
    前記レジストパターン層をマスクとして前記第1保護膜、前記第2シリコン基板、及び前記第1シリコン基板を順番にドライエッチングして、前記非貫通穴を形成するドライエッチング工程と、
    前記レジストパターン層を除去するレジストパターン層除去工程と、
    を有する請求項1から6のいずれか1項記載のノズルプレートの製造方法。
  8. 前記第2保護膜形成工程は、
    前記非貫通穴の内部と前記第1保護膜上とに前記第2保護膜を形成する第2保護膜全面形成工程と、
    前記第2保護膜全面形成工程で形成された前記第2保護膜に異方性エッチングを施して、前記第1保護膜上に形成された前記第2保護膜と、前記非貫通穴の底部に形成された前記第2保護膜とを除去する選択エッチング工程と、
    を有する請求項1から7のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  9. 前記積層基板は、第3シリコン基板上に前記酸化膜及び前記第1シリコン基板を順番に積層してなるSOI基板と、前記SOI基板の前記第1シリコン基板上に積層された前記第2シリコン基板とを有するものであり、
    前記保護膜除去工程と前記酸化膜除去工程との間に、前記第3シリコン基板を除去する第3シリコン基板除去工程を有する請求項1から8のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  10. 前記第1保護膜形成工程の前に、前記積層基板を準備する積層基板準備工程を有する請求項1から9のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  11. 前記酸化膜は、SiO膜である請求項1から10のいずれか1項記載のノズルプレートの製造方法。
  12. 前記第1保護膜及び第2保護膜は、SiN、SiO、SiC、Alのいずれかである請求項1から11のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
JP2012057668A 2012-03-14 2012-03-14 ノズルプレートの製造方法 Expired - Fee Related JP5725664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057668A JP5725664B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ノズルプレートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057668A JP5725664B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ノズルプレートの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013188970A JP2013188970A (ja) 2013-09-26
JP2013188970A5 JP2013188970A5 (ja) 2014-08-21
JP5725664B2 true JP5725664B2 (ja) 2015-05-27

Family

ID=49389743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012057668A Expired - Fee Related JP5725664B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ノズルプレートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5725664B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6388389B2 (ja) * 2014-08-29 2018-09-12 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法
US10744765B2 (en) * 2016-09-12 2020-08-18 Konica Minolta, Inc. Liquid droplet ejection head and liquid droplet ejection apparatus
WO2018061543A1 (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッドおよびその製造方法と、インクジェットプリンタ
JP7119943B2 (ja) * 2018-11-26 2022-08-17 コニカミノルタ株式会社 ノズルプレートの製造方法及びインクジェットヘッドの製造方法
EP4316855A4 (en) * 2021-03-31 2024-05-22 Konica Minolta Inc NOZZLE PLATE MANUFACTURING PROCESS, NOZZLE PLATE AND LIQUID EJECTION HEAD

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001260355A (ja) * 2000-03-21 2001-09-25 Nec Corp インクジェットヘッドおよびその製造方法
US7347532B2 (en) * 2004-08-05 2008-03-25 Fujifilm Dimatix, Inc. Print head nozzle formation
JP4660683B2 (ja) * 2005-07-28 2011-03-30 セイコーエプソン株式会社 ノズルプレートの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2008114462A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Seiko Epson Corp ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
US20110020966A1 (en) * 2009-07-23 2011-01-27 Canon Kabushiki Kaisha Method for processing silicon substrate and method for producing substrate for liquid ejecting head
JP2011037053A (ja) * 2009-08-07 2011-02-24 Seiko Epson Corp ノズルプレートの製造方法
KR20120002688A (ko) * 2010-07-01 2012-01-09 삼성전기주식회사 노즐 플레이트 및 그 제조 방법, 그리고 상기 노즐 플레이트를 구비하는 잉크젯 프린터 헤드

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013188970A (ja) 2013-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5645863B2 (ja) ノズルプレートの製造方法
JP4706850B2 (ja) ノズルプレートの製造方法、液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP5725664B2 (ja) ノズルプレートの製造方法
JP5382905B2 (ja) 圧電素子の製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法
US8262199B2 (en) Droplet jetting head, method of manufacturing droplet jetting head, and droplet jetting apparatus equipped with droplet jetting head
JP4986216B2 (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置
US8413328B2 (en) Method of manufacturing flow channel substrate for liquid ejection head
JP2004209741A (ja) インクジェット記録ヘッド
US8820889B2 (en) Maintenance method of liquid ejection head and liquid ejection apparatus
JP2007176079A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びに画像形成装置
JP2009231777A (ja) 圧電アクチュエータ、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置並びに圧電アクチュエータの駆動方法
US7946681B2 (en) Nozzle plate, ink ejection head, and image forming apparatus
JP2008068499A (ja) ノズルプレートの製造方法
JP2006231626A (ja) ノズルプレートの製造方法及び液体吐出ヘッド並びにこれを備えた画像形成装置
JP2009083140A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
JP2008213421A (ja) ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート、液体吐出ヘッド、及び画像形成装置
JP4706913B2 (ja) 吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2009218401A (ja) 圧電アクチュエータの駆動方法及び液体吐出ヘッドの駆動方法
WO2015022822A1 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP7222699B2 (ja) 液体吐出ヘッドとその製造方法
JP4832325B2 (ja) ノズルプレートおよび画像形成装置
KR101292493B1 (ko) 액체 토출 헤드 및 그 제조 방법
JP4939665B2 (ja) ノズルプレートの製造方法
JP2007283729A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置
JP4164321B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法、インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140617

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150330

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5725664

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees