JP5723165B2 - 防錆部材 - Google Patents

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Description

本発明は、一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部、及び挿口部が水密に挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部から成る管継手において、挿口部に挿嵌されることで挿口部の管端面を押圧して防錆する弾性部材と、弾性部材を管端面とで保持する保持部と、で構成された環状の防錆部材に関する。
従来、管体(流体管)の端部(挿口部)に外嵌可能なリング本体(防錆部材)と、このリング本体の一端部内周縁から内径方向に形成された内向突片(保持片部)と、を備えた防食リング(防錆部材)がある。このような防食リングは、内向突片の管体の先端面(管端面)と対向する側の面にゴム系接着剤(弾性部材)を配置し、防食リングを管体に外嵌させることで管体の先端面にゴム系接着剤を接着させ、管体の先端面の防錆を行うとともにゴム系接着剤の接着力によりリング本体を管体の端部に係合させている(例えば、特許文献1参照)。
実開平7−22198号公報(第5頁、第1図)
しかしながら、特許文献1に記載の防錆部材にあっては、防食リング(防錆部材)を管体(流体管)の端部(挿口部)に外嵌させて管体の先端面(管端面)にゴム系接着剤(弾性部材)を接着して先端面を防錆すると、ゴム系接着剤の一部が管体の先端面と内向突片(保持片部)との間から防食リングの内径側に向けて伸出してしまい、このゴム系接着剤の伸出した箇所が管体内を流れる流体内に混入してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、挿口部に挿嵌させることで挿口部の管端面に弾性部材が当接することによる防錆を行いながら、弾性部材の弾性変形に伴う防錆部材の内径方向側への伸出を防止することができる防錆部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の防錆部材は、
一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部、及び該挿口部が水密に挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部から成る管継手において、前記挿口部に挿嵌されることで該挿口部の管端面を押圧して防錆する弾性部材と、該弾性部材を前記管端面とで保持する保持部と、で構成された環状の防錆部材であって、
前記保持部は、前記挿口部への挿嵌方向に向けて延設され、前記挿口部の外周面に係合する延設部と、該延設部から内径方向側に向けて延設された保持片部と、該保持片部における前記延設部よりも内径側かつ前記挿口部の内周面内よりも外径側で前記挿口部への挿嵌方向に向けて延設された突出部と、から構成され、前記弾性部材は、保持片部の前記挿口部への挿嵌方向側の前記延設部と前記突出部との間に配置されており、
前記弾性部材の前記挿口部への挿嵌方向側端部には、前記弾性部材の内径側端部から外径側に、前記挿口部への挿嵌により弾性変形する前記弾性部材の前記保持部内での伸出を許容する切欠部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、防錆部材を挿口部に挿嵌させる際に、弾性部材を外径側から管端面に密着させることで、弾性部材の弾性変形により生じる弾性部材の内径側への伸出を突出部によって抑えるとともに、切欠部の挿口部への挿嵌方向側に形成された空隙に弾性変形した弾性部材を逃し、弾性部材の保持部から防錆部材における内径側への伸出を阻止することができる。
本発明の防錆部材は、
前記切欠部は、前記弾性部材の内径側端部から外径側に、前記挿口部への挿嵌方向に向けて傾斜をなすテーパー面により形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、管端面と弾性部材の外径側端部とを当接させた後、防錆部材を管端面に対して押圧することで、テーパー面が弾性部材の内径側に向けて、テーパー面の挿口部への挿嵌方向側に形成された空隙に膨出しながら管端面に密着していくので、弾性部材と管端面との間に空気泡等が入り込むことなく密着させることができる。
本発明の防錆部材は、
前記突出部は、前記挿口部への挿嵌により前記弾性部材の弾性変形後に前記管端面に当接するように形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、防錆部材が挿口部に挿嵌される際に、弾性部材が突出部よりも先に管端面に当接して弾性変形を開始するので、弾性部材を管端面に対して十分に弾性変形させて馴染ませた状態で密着させることができる。
本発明の防錆部材は、
前記延設部と前記挿口部の間には、弾性変形する前記弾性部材の外径方向への伸出を許容する間隙が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、弾性変形した弾性部材の一部を間隙内に収容し、保持部から防錆部材における内径方向に向けて伸出しようとする弾性部材の量を抑えることができる。
本発明の防錆部材は、
前記保持部には、前記受口部の内面と当接することで前記保持片部を前記管端面に向けて押圧する押圧部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部に防錆部材を挿嵌した際に管端面に弾性部材が完全に密着していなくとも、挿口部を受口部内に挿入させ、押圧部を受口部の内面と当接させることで、弾性部材を管端面と保持片部との間で挟圧させるので、確実に管端面と弾性部材とを密着させることができる。
本発明の防錆部材は、
前記押圧部は、弾性を有しており、前記受口部には、前記挿口部の前記受口部内における移動を拘束する係止手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部を受口部内に挿入して押圧部を受口部の内面に当接させ、押圧部が弾性変形した状態で係止手段により挿口部を受口部内で係止することで、弾性変形により押圧部に生じる復元力により、保持部による弾性部材の管端面への密着を挿口部の受口部内への挿入完了後も継続させることができる。
実施例1における受口部と挿口部とを示す管継手の分解断面図である。 (a)は、防錆カバーを示す正面図であり、(b)は、図2(a)における防錆カバーのA−A断面図である。 防錆カバーの挿口部への取り付けを示す断面図である。 (a)は、防錆カバーが挿口部の管端面を防錆した状態を示す断面図であり、(b)は、挿口部が受口部内に挿入された状態を示す断面図である。 実施例1における第1の変形例としての防錆カバーの断面図である。 実施例1における第2の変形例としての防錆カバーの断面図である。 実施例2における防錆カバーの断面図である。 挿口部が受口部内に挿入された状態を示す断面図である。
本発明に係る防錆部材を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例1に係る防錆部材につき、図1から図4を参照して説明する。以下、本実施例では、図1、図2(b)、図3、図4(a)及び図4(b)の紙面左側を防錆カバーの正面側(前方側)とし、図2(a)の紙面手前側を防錆カバーの正面側(前方側)として説明する。図1の符号1は、本発明における防錆部材としての防錆カバー5が適用された管継手である。
図1に示すように、本実施例における管継手1は、管軸C方向の先端部に受口部2aが形成された流体管2と、管軸C方向の先端部に受口部2a内に挿入される挿口部3aが形成された流体管3と、弾性を有し受口部2aと挿口部3aとの間から流体が漏出することを防止するシール部材4と、流体管3を管軸Cに対し略直交に切断することで、挿口部3aに流体管3自体の金属素地が露出して形成された切断面としての管端面3bを防錆するための防錆カバー5と、から構成されている。これら流体管2,3は、例えば、内部に流体としての上水を流すための水道管等である。
これら流体管2,3は、本実施例では、ダクタイル鋳鉄を鋳型に流し込んだ後に冷却することで製造されるダクタイル鋳鉄管である。尚、図示しないが、ダクタイル鋳鉄管用の鋳型の内面には、流体管2,3の鋳造後に流体管2,3が前記鋳型から外れ易くするよう無数の凹凸部が略全面に亘り打刻されている。
尚、本実施例の流体管2,3は、重力鋳造法やダイカスト鋳造法、遠心鋳造法等によって鋳造されている。特に、遠心鋳造法によって流体管2,3が鋳造される場合には、前記鋳型の内面に形成された無数の凹部によって鋳型内で遠心運動を行う液状のダクタイル鋳鉄に摩擦力を与え、ダクタイル鋳鉄の偏りが少ない流体管2,3を鋳造することができる。
更に尚、流体管2,3は、鋳造後に外周面3cの略全周に亘って図示しない防錆塗料が塗布されるようになっており、流体管2,3の外周面3cの防錆効果の上昇が図られるようになっている。
受口部2aの先端は、内径が挿口部3aの外径よりも大径の内周面2bに形成されている。この受口部2aの先端部には、周方向に所定間隔おきに管軸Cに向けて開口する溝部2cが受口部2aに形成されている。これら溝部2c内には、金属材等で構成され、管軸C側を向く端部に尖鋭刃6aを有している固定爪6が配置されている。
更に、受口部2aの先端部には、周方向に所定間隔おきにボルト孔2dが複数形成されている。これらボルト孔2dは、それぞれ異なる溝部2cに連通しているとともにボルト7が螺着されている。このため、固定爪6は、ボルト7を螺入することによって管軸Cに向けて押圧されるようになっている。尚、受口部2aの内周面2bにおける溝部2cよりも挿口部3aの挿入方向側には、シール部材4の後述する嵌合部4aが嵌合するための、環状の嵌合溝2eが形成されている。
受口部2aの内周面2bにおける嵌合溝2eよりも奥側には、受口部2aの先端よりも小径の内周面2gに連設するように、管軸Cに対して略垂直をなす環状の奥端面2hが形成されている。
尚、図1に示すように、流体管3の内周面3dには、流体管2,3内を流れる流体からの防錆を行う防錆処理として、モルタルによってライニング層3fが形成されている。尚、このライニング層3fは、本実施例では防錆のために十分な肉厚を有するモルタルで構成されているが、流体管3の内周面3dを防錆可能であればより薄層に形成してもよいし、例えば防錆材から成る粉体塗料によって薄層のコーティング層で構成しても構わない。
シール部材4は、図1及び図4(a)に示すように、嵌合溝2eに嵌合される嵌合部4aを備えている。また、この嵌合部4aからは、受口部2aの内周面2bと受口部2a内に挿入された挿口部3aの外周面3cとの間隙を水密的に密封するためのバルブ部4bが膨出している。
図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、防錆カバー5は、挿口部3aの管端面3bを全周に亘って防錆するための本発明における弾性部材としての環状に形成された防錆ゴム5aと、管端面3bを防錆する際に防錆ゴム5aを挿口部3aとの間で保持する本発明における保持部としてのガイドリング5bと、から構成されている。ガイドリング5bは、正面視で環状の弾性を有する軟質樹脂材等により構成されており、防錆ゴム5aは、低反発弾性材、すなわち反発弾性率が比較的低い材料であって、粘着力を有するブチルゴムにより構成されている。
また、ガイドリング5bは、図2(b)に示すように、防錆カバー5の前後方向を向き、ガイドリング5bの全周に亘って環状に形成された本発明における延設部としての外周片部5cと、この外周片部5cの後端部から防錆カバー5の内径方向側に向けて延設された保持片部5dと、この保持片部5dの内径側端部から、防錆カバー5の挿口部3aへの挿嵌方向である防錆カバー5の正面側に向けて延設された突出部5gと、から構成されている。
このうち、外周片部5cは、防錆カバー5の挿口部3aへの後述する挿嵌方向側である正面側に向けて漸次縮径するテーパー状に形成されている。このため、ガイドリング5bは、後端部の直径が受口部3aの直径よりも僅かに長寸に形成されている。更に、外周片部5cの内周面5eには、外周片部5cの周方向の全周に亘って本発明における係合部としての突部5fが管軸C方向に離間して2条突設されている。
保持片部5dにおける突出部5gと外周片部5cとの間には、前述した防錆ゴム5aが、全周に亘って防錆カバー5の正面側に向けて突出部5gよりも突出するように配置されている。尚、防錆ゴム5aは、外周面にて外周片部5cの内周面5eに当接するとともに、内周面にて突出部5gの外周面に当接している。
更に尚、本実施例における防錆ゴム5aの正面側における内径側端部には、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側に向け、防錆カバー5の挿口部3aへの挿嵌方向である防錆ゴム5aの正面側に向けて傾斜をなす、本発明における切欠部としてのテーパー面5hが形成されている。このため、防錆ゴム5aの正面側端部とテーパー面5hとの間には、空隙が形成されている。
次に、前述のように構成した管継手1を用いる流体管2,3の接続について説明する。先ず、図1及び図3に示すように、防錆カバー5を流体管3の管軸C上に配置し、防錆カバー5の正面側を挿口部3aの管端面3bと対向させる。そして、防錆カバー5の正面側に向けて漸次縮径するテーパー状に形成されている外周片部5cを、挿口部3aに押し付けて先端部を拡径させた状態で外周面3cに摺接させながら、防錆カバー5を挿口部3aの管端面3bに向けて挿嵌させていく。このとき、防錆カバー5の後端部側の直径が挿口部3aの直径よりも僅かに長寸に形成されているため、外周片部5cの後端部側と挿口部3a間に間隙8が形成される。
そして、更に防錆カバー5を挿口部3aの管端面3bに向けて挿嵌させていくことで、保持片部5dによって防錆ゴム5aを管端面3bに向けて押圧する。この保持片部5dによる防錆ゴム5aの管端面3bへの押圧によって、各突部5f,5fが外周片部5cの縮径方向への復元力によって外周面3cに係合するとともに、防錆ゴム5aの正面側が全周に亘って管端面3bに当接する。そして、管端面3bに当接したことで弾性変形した防錆ゴム5aの一部は、テーパー面5hと防錆ゴム5aの前端部との間に形成された空隙にて防錆ゴム5aの正面側に向けて膨出し、結果として防錆ゴム5aは、管端面3bの略全周に亘り、テーパー面5hの正面側にて防錆ゴム5aの外形側から内径側に向けて漸次弾性変形するとともに管端面3bに密着する。
同時に、防錆ゴム5aの防錆カバー5における外径側は、防錆ゴム5aの弾性変形に伴い、外周片部5cの後端部側と挿口部3aとの間に形成された間隙8内に伸出される。一方、防錆ゴム5aの防錆カバー5における内径側は、防錆ゴム5aの弾性変形に伴い防錆カバー5における内径側及び外径側に向けてガイドリング5bから伸出される。この防錆ゴム5aの防錆カバー5における外径側に向けて伸出は、前述した防錆ゴム5aの一部が間隙8内に伸出されることにより抑制される。
更に、防錆ゴム5aの防錆カバー5における内径側に向けての伸出は、防錆ゴム5aが弾性変形した後に突出部5gが管端面3bに当接することで、伸出された防錆ゴム5aの一部がこの突出部5gの外周面の全周に亘って密着する。このため、防錆ゴム5aの内径側に向けての伸出が規制され、防錆ゴム5aはライニング層3fの防錆カバー5における内径側を除く管端面3bを全周に亘って防錆する。
また、防錆ゴム5aは、ブチルゴムからなる防錆ゴム5a自身が有する粘着力により、前記弾性変形した状態で管端面3bに接着されるとともに、ブチルゴムからなる防錆ゴム5a自身が有する低反発弾性の範囲で弾性復元しようとする力により、外周片部5cから突設された各突部5f,5fをそれぞれ外周面3cに対してより強力に係合させる。
これら各突部5f,5fと外周面3cとの係合によって、防錆カバー5は、挿口部3aを外径側に配置された外周片部5cによって径方向に押圧し、挿口部3aに対して位置決めがなされる。更に、防錆ゴム5aは、保持片部5dと管端面3bとの間で弾性変形して管端面3bに密着した状態で保持され、挿口部3aに対する防錆カバー5の取り付けが終了する。
尚、防錆ゴム5a、突出部5g及び保持片部5dは、管端面3bの外周側であるダクタイル鋳鉄で構成された側を防錆しながら、内径方向側の端部がライニング層3fの内径側端部よりも外径側に配置される。このため、防錆ゴム5a及び保持片部5dの内径側の端部は、流体管2,3内を流れる流体から受ける抗力を小さく抑えることができるようになっている。
そして、図4(a)及び図4(b)に示すように、シール部材4の嵌合部4aを嵌合溝2eの全周に亘って嵌合させた後、防錆カバー5を取り付けた挿口部3aを受口部2a内に挿入することで、挿口部3aの外周面3cと受口部2aの内周面2bとでバルブ部4bを弾性変形させながら、挿口部3aと受口部2aとの間を水密に密封する。
最後に、図4(b)に示すように、各ボルト7を螺入することによって各固定爪6の尖鋭刃6aを挿口部3aの外周面3cに食い込ませることで挿口部3aを受口部2a内で固定し、流体管2,3の接続を完了する。
尚、本実施例では、防錆ゴム5aの正面側における内径側端部に、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側に向け、防錆カバー5の挿口部3aへの挿嵌方向である防錆ゴム5aの正面側に向けて傾斜をなすテーパー面5hを形成したが、本実施例の第1の変形例における防錆カバー5では、図5に示すように、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側端部にかけて、防錆ゴム5aの正面全体を防錆ゴム5aの正面側に向けて傾斜をなすテーパー面5iが形成されている。
この場合は、防錆カバー5を挿口部3aに挿嵌させる際に、管端面3bと防錆ゴム5aの外径側端部とを当接させた後、防錆カバー5を管端面3bに対して更に押圧することで、テーパー面5iが防錆ゴム5aの内径側に向けて漸次正面側に膨出しながら管端面3bに密着していくので、防錆ゴム5aと管端面3bとの間に空気泡等が入り込むことなく密着させることができる。
また、本実施例では、保持片部5dにおける突出部5gと外周片部5cとの間で、防錆ゴム5aを防錆ゴム5aの外周面にて外周片部5cの内周面5eに当接させ、内周面にて突出部5gの外周面に当接させた状態で配置したが、本実施例の第2の変形例における防錆カバー5は、図6に示すように、防錆ゴム5aの内周面を突出部5gの外周面に当接させるとともに、防錆ゴム5aの外周面と外周片部5cの内周面5eとの間を離間させている。
更に、防錆ゴム5aの正面側における内径側端部には、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側に向け、防錆カバー5の挿口部3aへの挿嵌方向である防錆ゴム5aの正面側に向けて傾斜をなすテーパー面5hが形成されているとともに、テーパー面5hの防錆ゴム5aにおける外径側端部からは、防錆ゴム5aの外径側端部にまで防錆ゴム5aの正面側に向けて傾斜をなすテーパー面5iが形成されている。このテーパー面5iは、テーパー面5hと同様に本発明における切欠部を構成している。
この場合は、防錆カバー5を挿口部3aに挿嵌する際に、外周片部5cの後端部側と挿口部3a間に形成される間隙8を広く形成することができるので、防錆ゴム5aと管端面3bとが密着することで弾性変形する防錆ゴム5aを、より多く間隙8内に伸出させ、防錆カバー5における内径側に向けて伸出しようとする防錆ゴム5aの量を少なくすることができる。
以上、本実施例における防錆カバー5にあっては、ガイドリング5bは、挿口部3aへの挿嵌方向に向けて延設され、挿口部3aの外周面3cに係合する外周片部5cと、外周片部5cから内径方向側に向けて延設された保持片部5dと、保持片部5dにおける外周片部5cよりも内径側にて、挿口部3aへの挿嵌方向に向けて延設された突出部5gと、から構成され、防錆ゴム5aは、保持片部5dの挿口部3aへの挿嵌方向側の外周片部5cと突出部5gとの間に配置されており、防錆ゴム5aの挿口部3aへの挿嵌方向側端部には、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側に、弾性変形する防錆ゴム5aの伸出を許容する切欠部が形成されているので、防錆ゴム5aを挿口部3aに挿嵌させる際に、防錆ゴム5aを外径側から管端面3bに密着させることで、防錆ゴム5aの弾性変形により生じる防錆ゴム5aの内径側への伸出を突出部5gによって抑えるとともに、切欠部の挿口部3aへの挿嵌方向側に形成された空隙に弾性変形した防錆ゴム5aを逃し、防錆ゴム5aのガイドリング5bから防錆カバー5における内径側への伸出を阻止することができる。
また、切欠部は、防錆ゴム5aの内径側端部から外径側に、挿口部3aへの挿嵌方向に向けて傾斜をなすテーパー面5hにより形成されているので、管端面3bと防錆ゴム5aの外径側端部とを当接させた後、防錆カバー5を管端面3bに対して押圧することで、テーパー面5hが防錆ゴム5aの内径側に向けて、テーパー面5hの挿口部3aへの挿嵌方向側に形成された空隙に膨出しながら管端面3bに密着していくので、防錆ゴム5aと管端面3bとの間に空気泡等が入り込むことなく密着させることができる。
また、突出部5gは、挿口部3aへの挿嵌により防錆ゴム5aの弾性変形後に管端面3bに当接するように形成されているので、防錆カバー5が挿口部3aに挿嵌される際に、防錆ゴム5aが突出部5gよりも先に管端面3bに当接して弾性変形を開始するので、防錆ゴム5aを管端面3bに対して十分に弾性変形させて馴染ませた状態で密着させることができる。
また、外周片部5cと挿口部3aの間には、弾性変形する防錆ゴム5aの外径方向への伸出を許容する間隙8が形成されているので、弾性変形した防錆ゴム5aの一部を間隙8内に収容し、ガイドリング5bから防錆カバー5における内径方向に向けて伸出しようとする防錆ゴム5aの量を抑えることができる。
次に、実施例2に係る防錆部材につき、図7から図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。以下、本実施例では、図7及び図8の紙面左側を防錆カバーの正面側(前方側)として説明する。図7に示すように、本実施例の保持片部5dの背面には、防錆カバー5における径方向の略中央部から背面側に向けて本発明における押圧部としてのバネ部5jが延設されている。
このバネ部5jは蛇腹状に形成されている。このため、バネ部5jは、弾性を有しており、管軸C方向から力が加わることで、復元力を蓄えながら管軸C方向に伸縮可能となっている。
このように防錆カバー5を構成することで、図8に示すように、実施例1と同様に防錆カバー5を挿口部3aに挿嵌させた後、挿口部3aを受口部2a内に挿入することで、バネ部5jは、受口部2a内の内面である奥端面2hに当接する。
そして、挿口部3aが更に受口部2a内に挿入されることで、バネ部5jは挿口部3aと受口部2aとの間で挟圧され、挿口部3aの挿入方向に向けて圧縮されて弾性変形する。同時にバネ部5jは、この弾性変形にともない生じた復元力によって保持片部5dを管端面3bに向けて押圧するが、挿口部3aは、バルブ4bと挿口部3aの外周面3cとの間に生じる摩擦力によって移動を拘束されているため、防錆ゴム5aを管端面3bと保持片部5dとの間で挟圧することができる。
このため、例えば、挿口部3aの受口部2a内への挿入において、防錆カバー5とバルブ部4bとの間に摩擦が生じて防錆カバー5の挿口部3aへの取り付けが弱まり、管端面3bと防錆ゴム5aとの密着が完全になされていない状態となったとしても、バネ部5jの復元力による管端面3bと保持片部5dとの間での防錆ゴム5aの挟圧によって、確実に防錆ゴム5aと管端面3bとを密着させることができる。
そして、挿口部3aを受口部2a内の所定位置まで挿入した後、各ボルト7を螺入することによって各固定爪6の尖鋭刃6aを挿口部3aの外周面3cに食い込ませ、これら固定爪6及びバルブ部4bと挿口部3aの外周面3cとの間に生じる摩擦力によって挿口部3aの受口部2a内における移動を拘束するように固定し、流体管2,3の接続を完了する。つまり、本実施例における固定爪6あるいはシール部材4、またはその両方が本発明における係止手段になり得る。
挿口部3aの受口部2a内への挿入が終了した後は、バネ部5jの復元力のみが保持片部5dを管端面3bに向けて押圧するように作用するため、挿口部3aの受口部2a内への挿入終了後も継続して防錆ゴム5aと管端面3bとの密着が維持され、経年劣化等で防錆ゴム5aが劣化した状態となっても管端面3bの防錆を維持可能となっている。
尚、バネ部5jに生じている復元力が十分に強い場合には、バネ部5jが挿口部3aを受口部2a内からの離脱方向に押圧することで挿口部3aの受口部2a内からの離脱方向への移動が僅かになされる。この挿口部3aの僅かな移動に伴い、各固定爪6は、尖鋭刃6aがより深く挿口部3aの外周面3cに食い込む方向に揺動することで、結果として各固定爪6による挿口部3aの受口部2a内での固定をより強固とすることができる。
更に尚、本実施例における弾性押圧体をバネ部5jとしたことで、地震等の不測の外力が挿口部3aを受口部2a内にはたらくことで、挿口部3aが受口部2a内に過挿入する方向に相対移動しても、バネ部5jが挿口部3aの相対移動を緩衝する緩衝部材として作用し、挿口部3aが受口部2a内に衝突することによる挿口部3a及び受口部2aの破損を防ぐことが可能となっている。
以上、本実施例における防錆カバー5にあっては、ガイドリング5bには、受口部2aの奥端面2hと当接することで保持片部5dを管端面3bに向けて押圧するバネ部5jが設けられているので、挿口部3aに防錆カバー5を挿嵌した際に管端面3bに防錆ゴム5aが完全に密着していなくとも、挿口部3aを受口部2a内に挿入させ、バネ部5jを受口部2aの奥端面2hと当接させることで、防錆ゴム5aを管端面3bと保持片部5dとの間で挟圧させるので、確実に管端面3bと防錆ゴム5aとを密着させることができる。
また、バネ部5jは、弾性を有しており、受口部2aには、挿口部3aの受口部2a内における移動を拘束する固定爪6及びシール部材4が設けられているので、挿口部3aを受口部2a内に挿入してバネ部5jを受口部2aの奥端面2hに当接させ、バネ部5jが弾性変形した状態で固定爪6及びシール部材4により挿口部3aを受口部2a内で係止することで、弾性変形によりバネ部5jに生じる復元力により、ガイドリング5bによる防錆ゴム5aの管端面3bへの密着を挿口部3aの受口部2a内への挿入完了後も継続させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、両流体管2,3を内部に上水が流れる水道管として説明したが、両流体管2,3内を流れる流体は上水の他、石油等の水以外の液体でもよく、また、液体とガス等の混合物であってもよい。
また、前記実施例では、管端面3bを、流体管3を切断した切断面として説明したが、管端面3bは、鋳造した状態での流体管3の端面であってもよい。
また、前記実施例では、本発明における切欠部をテーパー面5h,5iとして説明したが防錆ゴム5aの正面側端部における内径側端部にて、弾性変形した防錆ゴム5aを逃がすことができれば、切欠部の形状は、角部を有する段部等であってもよい。
また、前記実施例2では、保持片部5dの背面の防錆カバー5における径方向の略中央部から、背面側に向けてバネ部5jを延設したが、挿口部3aが受口部2a内に挿入されることでバネ部5jが奥端面2hに当接可能であれば、保持片部5dにおけるバネ部5jの延設位置は、内径側端部や外径側端部であってもよい。
1 管継手
2 流体管
2a 受口部
2h 奥端面
3 流体管
3a 挿口部
3b 管端面
4 シール部材(係止手段)
5 防錆カバー(防錆部材)
5a 防錆ゴム(弾性部材)
5b ガイドリング(保持部)
5c 外周片部(延設部)
5d 保持片部
5g 突出部
5h,5i テーパー面(切欠部)
5j バネ部(押圧部)
6 固定爪(係止手段)
8 間隙
C 管軸

Claims (6)

  1. 一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部、及び該挿口部が水密に挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部から成る管継手において、前記挿口部に挿嵌されることで該挿口部の管端面を押圧して防錆する弾性部材と、該弾性部材を前記管端面とで保持する保持部と、で構成された環状の防錆部材であって、
    前記保持部は、前記挿口部への挿嵌方向に向けて延設され、前記挿口部の外周面に係合する延設部と、該延設部から内径方向側に向けて延設された保持片部と、該保持片部における前記延設部よりも内径側かつ前記挿口部の内周面内よりも外径側で前記挿口部への挿嵌方向に向けて延設された突出部と、から構成され、前記弾性部材は、保持片部の前記挿口部への挿嵌方向側の前記延設部と前記突出部との間に配置されており、
    前記弾性部材の前記挿口部への挿嵌方向側端部には、前記弾性部材の内径側端部から外径側に、前記挿口部への挿嵌により弾性変形する前記弾性部材の前記保持部内での伸出を許容する切欠部が形成されていることを特徴とする防錆部材。
  2. 前記切欠部は、前記弾性部材の内径側端部から外径側に、前記挿口部への挿嵌方向に向けて傾斜をなすテーパー面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防錆部材。
  3. 前記突出部は、前記挿口部への挿嵌により前記弾性部材の弾性変形後に前記管端面に当接するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防錆部材。
  4. 前記延設部と前記挿口部の間には、弾性変形する前記弾性部材の外径方向への伸出を許容する間隙が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防錆部材。
  5. 前記保持部には、前記受口部の内面と当接することで前記保持片部を前記管端面に向けて押圧する押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の防錆部材。
  6. 前記押圧部は、弾性を有しており、前記受口部には、前記挿口部の前記受口部内における移動を拘束する係止手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の防錆部材。
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