JP5716236B2 - 食肉スライサー - Google Patents
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Description
先行文献1には、食肉スライサーから切り出されるスライス片を一旦搬送ベルト上に受取り先端部の皿載位置まで搬送して待機する受皿に落下させ、スライス肉片が投入された受皿を搬送方向と直角な方向に移送する構成が示されている。
一方、コマギレ肉と異なり比較的大形の単一の食肉塊をスライスする場合には、トレーへの盛付姿勢が一様でなく、二つ折りして鱗状に並らべたり、切り落としと呼ばれる一枚毎にとぐろ巻き状にして並らべたり、或いは形を整えるために前後に切り出されたスライス肉片を組み合わせたり、場合によっては正確に計量しながら盛付けたりするので機械化が困難であり、スライス肉片を一旦比較的搬送距離の長いコンベヤ上に取り出してから、人手により所望の処理を行うことにならざるを得ないのが実情である。
搬出手段が、トレーをスライス肉片の受取位置まで移送しスライス肉片をトレー内に直接落下させて受取らせてから搬出する移送部材からなる第一搬出手段と、始端部をスライス肉片の受取位置にあるトレーの上方に被さるように突出させてコンベヤ上にスライス肉片を受取る搬出コンベヤからなる第二搬出手段とを具備していて、搬出コンベヤの始端部を、トレーへのスライス肉片の落下通路が確保できるように退却可能とし、該始端部を出退させていずれかの搬出手段を選択的に使用可能とした食肉スライサーである。
比較的切削部に近い受取位置でトレーに投入されるので乱れなく正確に受取れる。また、いずれの搬出手段であっても同じ受取位置で同じ状態での受取が行える。
食肉移送樋1は、機台2の後部左右側壁から一体的に突設させた支持軸3を中心として水平位置付近における一定角度範囲内で上下に揺動できるように支持されている。
食肉移送樋1は、単一の食肉移送樋としてもよいが、出口付近における断面積が略等しい複数の食肉移送樋を、適宜間隔を保って並列させて一体とした構成とすることもできる。
また、食肉移送樋1左右両側には側部コンベヤ5、5が後部から出口に亘って立設されるとともに、食肉移送樋1の出口付近の上部位置には、この側部コンベヤ5、5と底部コンベヤ4の上面とによって食肉の送り出し方向に断面形状が四角形の移送路を形成する上部押圧部材として上部コンベヤ6が設けられる。
この上部押圧部材は必ずしもコンベヤでなくともよく単なる平板状であってもよい。
この食肉移送樋1の後半部(支持軸3側)は上部コンベヤ6がなく開放されている上に揺動中心点に近いので食肉移送樋1の動きが少なく食肉移送樋1内への食肉の供給が容易にしかも安全に行える。
この上部コンベヤ6は途中から食肉との当接面が入り口側に向けて漸次遠ざかるように傾斜していて食肉を底部コンベヤとで挟持して送り込みながら圧縮して均一性を高めるようにしている。
また、この上部コンベヤ6は適宜手段で所定の位置に固定可能とされていて、底部コンベヤ4と左右側部コンベヤ5,5と、上部コンベヤ6とによって形成される食肉移送樋1の出口部付近における断面四角形状の面積が定まる。この断面積を埋めるように食肉を詰め込むことによって送り出し量を一定にすることができる。
回転ドラム9の周面はスライス肉片が切り離される前から受け取れるように可能な限り切り出し口に近接させている。
この回転ドラム9を、食肉移送樋1の上動速度に関連させて図示しないがサーボモーターを用いて回転させることでスライス肉片を広げられた状態で整然と取り出すことができる。
本例においては、二系統の搬出手段、即ち第一搬出手段と第二搬出手段とが設けられていて、使い分けが自在とされる。
回転ドラム9から剥離ローラー10によって剥ぎ取られたスライス肉片が落下する受取位置まで空のトレー11を移送し、受取位置でスライス肉片が盛付けられたトレー11を搬出する移送部材は、詳細図示は省略しているが受取り位置の側方位置に、ホッパー内に積層された多数のトレー11を最下端部から剥離して下方に取り出すトレー剥離装置と、取り出されたトレー11を受け取ってスライス肉片の切り出しに関連して順繰りに受取位置まで、スライス肉片の移送方向(食肉移送樋における食肉塊の送り出し方向であって、図1においては左右方向)に直交して移送するトレー11の係止片を有する移送帯12とによって構成されている。
受取位置においてスライス肉片が投入され盛付けられたトレー11を搬出する移送部材には、移送帯12が延長されたものでもよいが後処理の都合などから別のベルトコンベヤなどを連結したものでも良い。
搬出コンベヤ17は本例においては、第一搬出手段におけるトレー11の移送方向とは直交してスライス肉片の移送方向に沿って走行するように設けられる。
搬出コンベヤ17は、図示しないモーターなどの駆動装置が連結された駆動ローラーと始端部から終端部などに設けられた複数のローラー間に掛け回されたベルトコンベヤで構成されている。
搬出コンベヤ17の始端部は、図3に示すように回転ドラム9の外周とで形成されるデルタ状の谷間に剥離ローラー10をお互いに近接させて回転ドラム9の周面と搬出コンベヤ17の上面とで挟むように配置し、回転ドラム9の周面に付着して移送されるスライス肉片の先端部を、回転ドラム9の走行方向に対して剥離ローラー10を逆向きに回転させて剥ぎ取り、方向を略90度変えて搬出コンベヤ17に向けて誘導する。
剥離ローラー10は、スライス肉片mが付着して引き込まれないように比較的少径(6mm〜30mm)の丸棒が使用されているので、スライス肉片は搬出コンベヤ17との当接面側には引き込まれることなくスムーズに乗り継ぐことができる。
搬出コンベヤ17の走行速度は乗り継ぎ部でスライス肉片が停滞しないように回転ドラム9の周速度と同等以上とすることが望ましい。
この第二搬出手段は、主に単一の食肉塊をスライスするときに使用されるのでスライス肉片がコマギレ肉に比較すれば大形であり図3に示すように移送されるスライス肉片の前半部が乗り移れば剥離ローラー10によって引き込まれるおれがない。
即ち、搬出コンベヤ17の始端部は、回転ドラム9と剥離ローラー10とに近接したスライス肉片の受取位置から剥離ローラー10によって剥ぎ取られたスライス肉片がトレー11内に落下する通路が確保できるように適宜な手段を講じて水平方向に退去するように構成する。
その手段は、特定されるものではないが、ベルトの伸縮を吸収する手段を設けた上でコンベヤの始端部のローラーを水平方向に移動可能に支持するようにしてもよく、また、機台2に支持された搬出コンベヤ17を構成するコンベヤベルトの駆動プーリー18を起点としてコンベヤベルトが掛け回された各ローラーを支持するコンベヤ支持枠(図示なし)を可動枠13に対して前後に移動可能に支持させるとコンベヤベルトの周長が変化しないので容易に切り替えができる。いずれの手段をとっても搬出コンベヤ17は平行リンク14、14を介して機台2に支持された可動枠13に支持されるように構成することが望ましい。
搬出コンベヤ17を走行させる駆動モーターはスライサーの制御装置に連結すると便利である。
まず複数の食肉を食肉移送樋1内に相互に接触させて詰め込み、複数の食肉塊を同時にスライスして得られるコマギレ肉のスライス方法について述べる。
この場合には、先ず食肉移送樋1における上部コンベヤ6食肉移送樋1の所定位置に固定する。固定する位置を定めるには、まずスライス厚みと食肉移送樋1における出口付近の断面四角形状の面積とによって一回にスライスされる体積を計算し、食肉移送樋1内の食肉塊の詰まり具合から経験的に得られる見かけの比重を乗じて重量を算出する。
本例においては、一回にスライスされる重量を基準にしてトレー11への投入回数、即ち盛付量を決めるので希望する盛付量になるように上部コンベヤ6の位置を定めて断面四角形状の面積を調整する。
例えば豚のもも肉などのコマギレ肉をスライスする場合において、食肉移送樋1内への食肉塊を充満するよう詰め込み、食肉移送樋1の出口付近の断面寸法を幅145mm、縦150mmとし、スライス厚みを2、2mm程度にすると食肉移送樋1の出口において一回にスライスされる量が略50gになるので、上部コンベヤ6の底部コンベヤ4との対向面から底部コンベヤ4の上面までの距離を150mmとなる位置に上部コンベヤ6を固定する。
ここで、生産量の多い200gを盛付けたトレーを得ようとすれば一つのトレー11に対して50gずつ4回分を投入すればよい。
このコマギレ肉を定量でスライスするためには、本例の食肉スライサーでは食肉移送樋1内へ複数個の食肉を均一になるようしかも食肉同士を接触させて隙間なく充満するよう詰め込ことが必要である。
この場合、食肉は外形寸法が不揃いであり高さ寸法(切断方向の長さ寸法、図3の上下方向の寸法)も一様でない。従って上部コンベヤ6は食肉のスライスされる箇所に近い所を押圧しないと正確にスライスすることができないので前述したコマギレ肉のときと異なり食肉の高さ寸法に順応して上下移動できるように支持させる。この場合、上部コンベヤ6は送り機能を有しない単なる押圧板に交換するように構成してもよい。
搬出コンベヤ17を駆動するモーターはスライサー本体の制御装置と連結してスライス動作に関連させて搬出コンベヤ17を走行させて所望の受取形態とする。
勿論、上部コンベヤを固定して、チルド状態で比較的柔らかい豚ロースなど単一の食肉を供給して定量スライスしたものをトレーに直接投入させるようにしてもよく、また、コマギレ肉であってもトレーに入れないで搬出コンベヤ上に取り出してから次工程に向けて搬送するようにしてもよく、自由に組み合わせて使用することができる。
4 底部コンベヤ
5 側部コンベヤ
6 上部コンベヤ
9 回転ドラム
10 剥離ローラー
11 トレー
12 トレー移送帯
17 搬出コンベヤ
Claims (3)
- 食肉の送り出し手段を備えた食肉移送樋と、食肉移送樋の出口付近に設けられた刃と、刃によって切削されたスライス肉片を受取って機外に搬出する搬出手段を具備した食肉スライサーであって、
搬出手段が、トレーをスライス肉片の受取位置まで移送しスライス肉片をトレー内に直接落下させて受取らせてから搬出する移送部材からなる第一搬出手段と、始端部をスライス肉片の受取位置にあるトレーの上方に被さるように突出させてコンベヤ上にスライス肉片を受取る搬出コンベヤからなる第二搬出手段とを具備していて、搬出コンベヤの始端部をトレーへのスライス肉片の落下通路が確保できるように退却可能とし、該始端部を出退させていずれかの搬出手段を選択的に使用可能とした食肉スライサー。 - 第一搬出手段におけるトレーの移送部材が、食肉の送り出し方向に直交してトレーを移送する移送帯からなり、第二搬出手段における搬出コンベアは食肉の送り出し方向に沿って走行するベルトコンベヤからなる請求項1に記載の食肉スライサー。
- スライス肉片の受取位置が、切削部に近接して切り出されるスライス肉片を外周面で受け取る回転ドラムの前方下方位置とされる請求項1又は請求項2の何れかに記載の食肉スライサー。
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