JP5714408B2 - エアゾール組成物 - Google Patents

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本発明は、エアゾール組成物に関する。さらに詳しくは、25℃で液状である液状油を含有する原液とフッ素を含有するフッ素系液化ガスを含み、前記液状油の含有量がエアゾール組成物中に3〜45質量%であり、前記フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に50〜97質量%であるエアゾール組成物に関する。
特許文献1には、エアゾール用噴射剤の粘度が100〜50000センチポイズである非水系原液を含み、噴射物が泡状ないしみぞれ状に噴射するエアゾール組成物が開示されている。
特許文献2には、炭素数1〜3の低級アルコールおよび炭素数12以上の高級アルコールを含む原液と液化ガスとからなり、噴射物がシャーベット状に凝固するエアゾール組成物が開示されている。
また、特許文献3にはジメチルエーテルおよび水を含有し、噴射物が凍結体を形成するエアゾール組成物が開示されている。
特開平06−100415号公報 特許3658897号公報 特開2004−168948号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2では、原液に常温で固体の油を含有しており、塗布面に固形の状態で残留するため、使用後のふき取り作業が大変になるという問題がある。また噴射剤として可燃性ガスを使用しているため、凍結物に火を近づけると引火し、火気に対する安全性に問題がある。
また、特許文献3には水とジメチルエーテルが相溶しているエアゾール組成物が開示されており、例えば噴射対象物が人体や害虫である場合は表面が親油性であるため、対象物に付着し難いという問題がある。さらに水を含有しているが、ジメチルエーテルは可燃性ガスであるため、凍結物に火を近づけると引火し、火気に対する安全性に問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、噴射物の一部が凍結する、もしくは細かく泡立ち細かな泡同士が集まり大きな泡を形成するエアゾール組成物であり、火気に対する安全性、人体や害虫への付着性、および融解後の塗布面でのふき取りやすさに優れたエアゾール組成物を提供することを目的とする。
本発明のエアゾール組成物は、25℃で液状である液状油を含有する原液とフッ素を含有するフッ素系液化ガスとを含み、前記液状油の含有量がエアゾール組成物中に3〜45質量%であり、前記フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に50〜97質量%であるエアゾール組成物である。
前記液状油が炭素数9〜30の炭化水素油、油脂、高級アルコールと脂肪酸とのエステル油、低級アルコールと脂肪酸とのエステル油、親油性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記液状油が炭素数9〜30の炭化水素油、油脂、直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油から選ばれる少なくとも1種であり、エアゾール組成物中に5〜40質量%含有することが好ましい。
前記液状油が水酸基を有するエステル油であり、エアゾール組成物中に15〜40質量%含有することが好ましい。
前記原液が水を含有することが好ましい。
前記原液と前記フッ素系液化ガスが分離していることが好ましい。
本発明のエアゾール組成物によれば、火気に対する安全性、人体や害虫などの親油性の対象物への付着性、および塗布面でのふき取りやすさに優れるエアゾール組成物を提供することができる。
本発明のエアゾール組成物は、25℃で液状である液状油を含有する原液とフッ素を含有するフッ素系液化ガスとを含み、前記液状油の含有量がエアゾール組成物中に3〜45質量%であり、前記フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に50〜97質量%であるエアゾール組成物であることを特徴とする。
本発明の原液は25℃で液状である液状油を含有する。本発明における液状油とは凝固点が25℃未満の液状油であり、凝固点が20℃未満の液状油であることが好ましい。該液状油は、人体や害虫など表面が親油性の対象物への付着性を向上させることを目的として含有する。また、25℃で液状であるため、噴射物が固体ではなく液体で残留するので容易にふき取ることができる。
前記液状油としては、例えばケロシン(炭素数:9〜15、凝固点−5℃以下)、流動パラフィン(炭素数:10〜30、凝固点−10℃以下)、ドデカン(炭素数:12、凝固点−9℃)、トリデカン(炭素数:13、凝固点−3℃)、1−ペンタデセン(炭素数:15、凝固点−3℃)などの炭素数9〜30の炭化水素油;オリーブ油(凝固点6℃以下)、アボガド油(凝固点−4℃)、トウモロコシ油(凝固点−14℃)、ナタネ油(凝固点0℃以下)、アーモンド油(凝固点−10℃)、マカデミアナッツ油(凝固点−6℃)、メドフォーム油(凝固点10℃以下)、サフラワー油(凝固点−5℃)、ホホバ油(凝固点13℃以下)などの油脂;エチルヘキサン酸セチル(凝固点−5℃)などの直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油;ミリスリン酸イソセチル(凝固点−14℃)、ステアリン酸イソセチル(凝固点5℃)、パルミチン酸エチルヘキシル(凝固点5℃)、パルミチン酸イソステアリル(凝固点−9.8℃)、ミリスチン酸オクチルドデシル(凝固点0℃)、ステアリン酸エチルヘキシル(凝固点−10℃)などの分岐鎖を有する高級アルコールと脂肪酸とのエステル油;リンゴ酸ジイソステアリル(凝固点−8.3℃)、クエン酸トリエチルヘキシル(凝固点−50℃以下)などの分岐鎖を有する高級アルコールと脂肪酸とのエステルであって水酸基を有するエステル油;ミリスチン酸イソプロピル(凝固点9℃以下)、パルミチン酸イソプロピル(凝固点15℃以下)、ミリスチン酸ブチル(凝固点5℃)、リノール酸エチル(凝固点−9℃以下)などの低級アルコールと脂肪酸とのエステル油;ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル(凝固点5℃)、セスキオレイン酸ソルビタン(凝固点−10℃)、オレイン酸ソルビタン(凝固点−12.5℃)、ヤシ油脂肪酸ソルビタン(凝固点5℃以下)、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(凝固点10℃)などの親油性界面活性剤;オクタメチルシクロテトラシロキサン(凝固点7℃)、ポリオキシエチレンプロピルヘプタメチルトリシロキサン(凝固点13.5℃)、ポリオキシエチレンプロピルオクタメチルテトラシロキサン(凝固点13.5℃)などのシリコーン油などが挙げられ、これらを単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
前記液状油の含有量は、エアゾール組成物中に3〜45質量%であり、5〜40質量%であることが好ましい。含有量が3質量%よりも少ない場合は、該液状油を含有することの効果が得られにくくなる傾向がある。45質量%よりも多い場合は、噴射物の火気に対する安全性が低下する傾向があり、また使用感が悪くなる傾向がある。
なお、前記液状油の原液中の含有量は40〜100質量%であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。含有量が40質量%よりも少ない場合は、該液状油を含有することの効果が得られにくくなる傾向がある。
前記液状油の種類および含有量、原液の粘度によってエアゾール組成物の噴射物の状態を変化させることができる。
例えば、前記液状油のうち、炭素数9〜30の炭化水素油、油脂、直鎖の高級アルコールもしくは分岐鎖を有する高級アルコールと脂肪酸とのエステル油、低級アルコールと脂肪酸とのエステル油、または、親油性界面活性剤を前述の含有量で用いる場合は、噴射物が凍結するエアゾール組成物とすることができる。噴射物を凍結させる場合の、液状油の凝固点は−20〜25℃であることが好ましく、さらに−15℃〜15℃であることが好ましい。凝固点が−20℃より低い場合は噴射物が凍結しにくくなる傾向がある。25℃よりも高い場合は常温で固体になり、ふき取りにくくなる傾向がある。
さらに、液状油として炭素数9〜30の炭化水素油、油脂、直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油をエアゾール組成物中に5〜40質量%用いる場合は、噴射対象物上で立体的に積もる凍結物を形成し、凍結物がすぐに融解せずに凍結状態を長時間維持するエアゾール組成物とすることができる。さらに、液状油の含有量がエアゾール組成物中に15〜40質量%である場合は、液状油とフッ素系液化ガスは分離するが、噴射する前にエアゾール組成物を攪拌し、液状油がフッ素系液化ガスに分散した状態で噴射することで、より立体的な凍結物を形成し凍結状態を維持することができる。
中でも、液状油として油脂、直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油をエアゾール組成物中20〜40質量%用いる場合は、噴射物が立体的に凍結した後、発泡しながら融解する傾向がある。このような噴射物とすることで、例えば害虫に噴射した際に、噴射物の少なくとも一部が凍結して冷却する効果および、泡立ちながら融解していくため害虫を窒息させる効果が得られる。
また、液状油として水酸基を有するエステル油をエアゾール組成物中15〜40質量%用いる場合は、噴射物が細かく泡立ち、泡同士が集まって大きな泡を形成するエアゾール組成物とすることができる。含有量が15質量%よりも少ない場合は噴射物がクリーム状になる傾向がある。40質量%よりも多い場合は泡が直ぐにはじける傾向がある。さらに液状油とフッ素系液化ガスとが相溶していることが好ましい。
本発明の原液は、エアゾール組成物の用途や目的に応じて、有効成分、粉体、アルコール類、水などを含有することができる。
前記有効成分は、対象物に付着して効果を発揮するものであり、例えば、フタルスリン、アレスリン、ペルメトリン、シスメスリン、プロパルスリン、レスメトリン、d−フェノトリン、テフルスリン、ベンフルスリンなどの殺虫成分;サイネピリン、ピペロニルブトキサイト、オクタクロロジプロピルエーテルなどの効力増強剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミド、ハーブエキスなどの害虫忌避剤;クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの抗真菌剤;アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料などが挙げられる。
前記有効成分の含有量は、原液中0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。有効成分の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向がある。10質量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体などへ悪影響を及ぼす場合がある。
前記粉体は、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとして用いられる。前記粉体としては、例えば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
前記粉体の含有量は、原液中0.01〜5質量%であることが好ましく、0.03〜3質量%であることがより好ましい。粉体の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は、粉体を配合する効果が得られにくい傾向がある。5質量%よりも多い場合はバルブや吐出部材の吐出孔で詰まりやすくなる傾向があり、また静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出し難くなる傾向がある。
前記アルコール類は、液状油に溶解しない有効成分を配合する、噴射物の凍結状態を調整するなどの目的で用いられる。前記アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコールなどの炭素数が2〜6個の多価アルコールなどが挙げられる。
前記アルコール類の含有量は、原液中0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜20質量%であることがより好ましい。アルコール類の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は、アルコール類を配合する効果が得られにくい傾向がある。30質量%よりも多い場合は噴射物が凍結しにくくなる傾向がある。
前記水は水溶性の有効成分を配合する、火気に対する安全性をさらに高くするなどの目的で用いられ、フッ素系液化ガスにより冷却されて凍結する。前記水としては、例えば、精製水、イオン交換水、海洋深層水などが挙げられる。
前記水の含有量は、エアゾール組成物中0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。水のエアゾール組成物中の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は水を配合する効果が得られにくい傾向がある。30質量%よりも多い場合は噴射物が凍結しにくくなる傾向がある。なお、水の原液中の含有量は5〜55質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。水の原液中の含有量が5質量%よりも少ない場合は水を配合する効果が得られにくくなる傾向がある。55質量%よりも多い場合は噴射物が凍結しにくくなる傾向がある。
前記原液は、液状油を単独で用いる、あるいは有効成分やアルコール類などを液状油に含有させることで調製することができる。
前記原液の20℃での粘度は1〜10000センチポイズ(cp)であることが好ましく、さらには3〜7000(cp)であることが好ましい。特に、粘度が2〜1000(cp)、さらには3〜500(cp)である場合は、噴射物が凍結しやすく、融解後に拭き取りやすいエアゾール組成物とすることができる点から好ましい。また、粘度が3000〜10000(cp)、さらには4000〜8000(cp)である場合は、噴射物が細かく泡立ち、細かな泡同士が集まり大きな泡を形成するエアゾール組成物とすることができる点から好ましい。噴射物が細かく泡立ち、細かな泡同士が集まり大きな泡を形成するエアゾール組成物とすることで、例えば害虫に噴射した際に、害虫に効率よく付着し動きを鈍くし、さらに細かな泡が集まり大きな泡になり害虫を包み込み窒息させる効果が得られる。人体に噴射した場合は細かな泡が集まり大きな泡になり消泡するので、これを繰り返すことでマッサージ効果を得ることができる。
本発明におけるフッ素系液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、噴射剤として作用し、噴射後は気化熱により原液を冷却する効果を有する。また、フッ素系液化ガスは、エアゾール組成物中に特定量含有させ、噴射物を冷却することで、原液に含まれる液状油が可燃性であっても、噴射物に火を近づけても引火しないものとすることができる。
前記フッ素系液化ガスとしては、例えば、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234yf)などのハイドロフルオロオレフィン;1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)などのハイドロフルオロカーボンおよびこれらの混合物などが挙げられる。特に火気に対する安全性が高い点からHFO−1234zeとすることが好ましい。
前記フッ素系液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中に50〜97質量%であり、60〜95質量%であることが好ましい。特に、フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に60〜95質量%である場合は噴射物が立体的に凍結し、長時間冷却効果を維持することができる。フッ素系液化ガスの含有量が50質量%よりも少ない場合は、噴射物が充分冷却されず火気に対する安全性が低下する傾向がある。97質量%よりも多い場合は、噴射物が対象物に付着しにくくなる傾向がある。
本発明のエアゾール組成物は、例えば、耐圧容器に原液を充填し、次いでフッ素系液化ガスをアンダーカップ充填などで充填したのちバルブを固着することにより製造することができる。
なおエアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気などの圧縮ガスを用いることができる。
本発明のエアゾール組成物は、特定の液状油を含有する原液とフッ素系液化ガスとを特定量含有することにより、噴射物の少なくとも一部が凍結する、もしくは細かく泡立ち細かな泡同士が集まり大きな泡を形成するエアゾール組成物となり、さらに、火気に対する安全性、人体や害虫などの親油性の対象物への付着性、および塗布面でのふき取りやすさに優れたエアゾール組成物とすることができる。
特に、本発明のエアゾール組成物は、特定の液状油を含む原液の少なくとも一部を噴射対象物の表面上で凍結させることができるため、原液に人体用の有効成分を含有させることで冷却効果および付着性に優れた人体用エアゾール組成物とすることができ、また、原液に殺虫成分を含有させることで、冷却効果で害虫の動きを鈍くするだけではなく、噴射物の害虫に対する付着性が優れるため含有する殺虫成分により効率的に害虫を死滅させることのできる害虫駆除用エアゾール組成物とすることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
評価方法を下記に示す。
(1)エアゾール組成物の状態
透明なポリエチレンテレフタレート製のエアゾール容器に原液と液化ガスとを充填することでエアゾール組成物を調製し、25℃の恒温水槽中に1時間保持してエアゾール組成物の状態を目視にて評価した。
(2)噴射物の状態
エアゾール容器を、25℃の恒温水槽中に1時間保持し、ペーパータオルに噴射したときの噴射物の状態を目視にて評価した。
◎1:噴射物が積もって立体的に凍結した。
◎2:噴射物が積もって立体的に凍結し、泡立ちながら融解した。
◎3:噴射物が細かく泡立ち、泡同士が集まり大きな泡を形成した。
○:噴射物が平面状に凍結した。
△:噴射物が平面状に凍結したがすぐに融解した。
×:噴射物は霧状に噴射され状態に変化がなかった。
(3)噴射物の燃焼性
エアゾール容器を、25℃の恒温水槽中に1時間保持し、ステンレス製のトレイに噴射後、噴射物に火を近づけ、着火の有無を評価した。
○:噴射物に火を近づけても着火しなかった。
△:噴射物に火を近づけると着火したが1秒以内に消えた。
×:噴射物に火を近づけると着火し、1秒より長く燃え続けた。
<実施例1〜24、比較例1〜13>
表1〜4に示す原液と噴射剤とをポリエチレンテレフタレート製のエアゾール容器に充填し、試験用エアゾール製品を製造した。得られた試験用エアゾール製品についてエアゾール組成物の状態、噴射物の状態および噴射物の燃焼性を評価した。使用した原液の20℃での粘度をB型粘度計(型式BL、東京計器工業(株)製)により測定し表1〜4に示す。また、評価結果を表5〜8に示す。
Figure 0005714408
*1:ネオチオゾール(商品名)、中央化成株式会社製(炭素数:12〜15)
*2:ハイコールK―230(商品名)、カネダ株式会社製(炭素数:20〜30)
*3:CLOPURE OL(商品名)、クローダジャパン株式会社製
*4:ハイバーオイルHE(商品名)、交洋ファインケミカル株式会社製
*5:ホホバ油S(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*6:CRODAMOL IPM(商品名)、クローダジャパン株式会社製
*7:HFO−1234ze
*8:HFC−152a
*9:ノルマルブタンとイソブタンとプロパンの混合物(25℃での蒸気圧:0.4MPa)
Figure 0005714408
*10:NIKKOL CIO(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
Figure 0005714408
*11:NIKKOL DISM(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
Figure 0005714408
Figure 0005714408
Figure 0005714408
Figure 0005714408
Figure 0005714408

Claims (7)

  1. 25℃で液状である液状油を含有する原液とフッ素を含有するフッ素系液化ガスとを含み、
    前記液状油が炭素数9〜30の炭化水素油、油脂、直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記液状油の含有量がエアゾール組成物中に3〜45質量%であり、
    前記フッ素系液化ガスがハイドロフルオロオレフィンであり、
    前記フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に50〜97質量%であるエアゾール組成物。
  2. 25℃で液状である液状油を含有する原液とフッ素を含有するフッ素系液化ガスとを含み、
    前記液状油が水酸基を有するエステル油であり、
    前記液状油の含有量がエアゾール組成物中に3〜45質量%であり、
    前記フッ素系液化ガスがハイドロフルオロオレフィンであり、
    前記フッ素系液化ガスの含有量がエアゾール組成物中に50〜97質量%であるエアゾール組成物。
  3. 前記液状油がエアゾール組成物中に15〜40質量%含有される請求項1または2記載のエアゾール組成物。
  4. 前記液状油がエアゾール組成物中に20〜40質量%含有される請求項1または2記載のエアゾール組成物。
  5. 前記原液が水を含有する請求項1記載のエアゾール組成物。
  6. 前記原液と前記フッ素系液化ガスが分離している請求項1記載のエアゾール組成物。
  7. 前記原液の20℃での粘度が1〜75センチポイズ(cp)である請求項1記載のエアゾール組成物。
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