JP5713191B2 - 非水電解液二次電池とその製造方法 - Google Patents
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Description
ここに開示される技術の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば図1および図2に示されるように、捲回電極体20が、非水電解液90とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10に収容された構成を有する。ケース10の開口部12は蓋体14により塞がれている。蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14から電池の外方に突出するように設けられている。かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、例えば、ケース10の開口部12から電極体20を内部に収容し、該ケース10の開口部12に蓋体14を取り付けた後、蓋体14に設けられた電解液注入孔(図示せず)から電解液90を注入し、次いで上記注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
好ましい一態様において、正極合剤層34は、正極活物質を主成分とする層である。この正極合剤層34は、正極活物質の他に、導電材、結着剤(バインダ)等の任意成分を必要に応じて含有し得る。
好ましい一態様において、負極合剤層44は、負極活物質を主成分とする層である。この負極合剤層44は、負極活物質の他に、結着剤等の任意成分を必要に応じて含有し得る。
非水電解液90としては、少なくとも非水溶媒とBP−オキサラト化合物とを含むものが用いられる。典型的には、非水溶媒およびBP−オキサラト化合物に加えて、該非水溶媒に溶解してリチウムイオンを供給し得るリチウム化合物(支持電解質)をさらに含む非水電解液が用いられる。
ここに開示される技術におけるBP−オキサラト化合物の典型例は、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C2O4 2−)がホウ素(B)またはリン(P)に配位した構造部分を有するオキサラト錯体である。好ましいBP−オキサラト化合物として、下記式(II)または(III)で表されるB元素含有オキサレート塩が例示される。
上記支持電解質としては、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種の材料を適宜採用することができる。例えば、LiPF6,LiBF4,LiN(SO2CF3)2,LiN(SO2C2F5)2,LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiC(SO2CF3)3,LiClO4等の、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩(BP−オキサラト化合物に属するリチウム塩を除く。)から選択される一種または二種以上を用いることができる。なかでもLiPF6を好ましく使用し得る。
ここに開示される技術における非水電解液は、本発明の効果を大きく損なわない限度で、上述したBP−オキサラト化合物、支持電解質および非水溶媒以外の成分を含有することができる。かかる任意成分の一例として、ジフルオロリン酸、モノフルオロリン酸塩等の添加剤(典型的にはリチウム塩)が挙げられる。あるいは、BP−オキサラト化合物、支持電解質および非水溶媒以外の成分を実質的に含有しない非水電解液であってもよい。
ここで、全正極活物質DBP吸収量X(mL)は、該正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)と、当該電池の有する正極活物質の質量mp(g)とから、次式:X(mL)=(x×mp)/100;により算出することができる。同様に、全負極活物質DBP吸収量Y(mL)は、該負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)と、当該電池の有する負極活物質の質量mn(g)とから、次式:Y(mL)=(y×mn)/100;により算出することができる。
正極活物質および負極活物質の100g当たりのDBP吸収量x,yは、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して求める。ここでは、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を用い、検査対象粉末(正極活物質、負極活物質の各粉末)を定速度ビュレットで滴定し、粘度特性の変化をトルク検出器によって測定する。そして、発生した最大トルクの70%のトルクに対応する、検査対象粉末の単位質量(ここでは100g)当たりの試薬液体の添加量を、DBP吸収量(mL/100g)とする。DBP吸収量の測定器としては、例えば、株式会社あさひ総研の吸収量測定装置、型式「S410」を使用するとよい。
ここに開示される技術の典型的な態様では、全正極活物質DBP吸収量Xと全負極活物質DBP吸収量Yとが、0.60≦X/Yを満たす関係にある。かかる構成によると、X/Yが0.60よりも小さすぎる電池に比べて、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物を、該化合物が電池にとって好ましい効果(例えば、抵抗上昇を抑制する効果)を発揮し得る正極側により多く配分する一方、かかる好ましい効果に寄与しない(あるいは、電池にとって不利な効果を発現し得る)負極側への配分量を減らすことができる。したがって、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物をより有効に利用する(有効に利用されるオキサラト化合物の割合を多くする)とともに、該化合物による弊害を抑制することができる。その結果、BP−オキサラト化合物の利用に係る背反(trade−off)が解消または軽減されて、より高性能な非水電解液電池が実現され得る。X/Yが0.65以上(例えば0.70以上)であってもよい。また、正極活物質および/または負極活物質の入手容易性、正極および/または負極の製造容易性、電池性能の安定性、正極と負極との容量比(初期容量比)等の観点から、通常は、X/Yを1.25以下(例えば1.2以下であり、1.0未満であってもよい。)とすることが適当である。
前記電池に含まれるBP−オキサラト化合物の全モル数A(mmol)と、前記全正極活物質DBP吸収量X(mL)との関係は、次式:0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30(より好ましくは0.04≦A/X(mmol/mL)≦0.25、例えば0.05≦A/X(mmol/mL)≦0.20);を満たすことが好ましい。かかる態様の電池によると、BP−オキサラト化合物の機能がより適切に発揮され、より高い性能が実現され得る。A/Xが小さすぎると、正極活物質の実反応面積当たりに供給されるオキサラト化合物の量が少なすぎて、該化合物の添加効果(例えば、抵抗上昇を抑制する効果)が小さくなる傾向にある。A/Xが大きすぎると、ここに開示される好ましいX/Yを満たす構成によってもなお負極に配分されるオキサラト化合物の量(絶対量)が多くなりすぎて、この負極に配分されたオキサラト化合物の影響によって電池の初期特性が低下しがちとなることがあり得る。
正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)は、20mL/100g以上(例えば25mL/100g以上)であることが好ましい。xが小さすぎると、負極活物質の質量mnに対する正極活物質の質量mpが多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下しやすくなることがあり得る。また、上記X/Yを満たすために、100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)が小さすぎる負極活物質を使用することとなって、負極の反応抵抗が上昇しやすくなることがあり得る。DBP吸収量xの上限は特に限定されないが、正極活物質の入手容易性や製造容易性、耐久性(例えば、正極活物質粒子の機械的強度、サイクル試験に対する構造維持性)等の観点から、通常は、xが75mL/100g以下(典型的には60mL/100g以下、例えば50mL/100g以下)である正極活物質の使用が好ましい。
負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)は、75mL/100g以下(例えば60mL/100g以下)であることが好ましい。yが大きすぎると、上記X/Yを満足し得る正極活物質の選定が困難となったり、負極活物質が液状媒体(例えば水)に馴染みにくくなって負極合剤層形成用組成物を調製しにくくなったりする場合がある。また、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量mnが正極活物質の量mpに対して少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。一方、DBP吸収量yが小さすぎると、負極の実反応面積が小さくなりすぎて、電池の出力抵抗が上昇しやすくなる場合がある。したがって、通常は、yが35mL/100g以上(例えば40mL/100g以上)である負極活物質が好ましい。
好ましい一態様では、前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL)と、前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL)との関係が、次式:0.55≦x/y≦1.15(例えば0.60≦x/y≦1.10);を満たす。x/yが大きすぎると、ここに開示される好ましいX/Yを満たすために必要な正極活物質の量mpが多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下する傾向にある。x/yが小さすぎると、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量mnが少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。
正極活物質のDBP吸収量xは、正極活物質の粒子サイズ(例えば平均粒子径)、粒子構造、組成(例えば、DBPに対する親和性)、表面状態等によって異なり得る。他の条件(粒子構造等)が同様であれば、平均粒子サイズ(粒子の外形)が小さくなるとDBP吸収量xは大きくなる傾向にある。一方、正極活物質の粒子サイズが大きすぎると電池の出力特性が低下しやすくなる場合がある。また、粒子サイズが小さすぎると、正極合剤層の内部抵抗が上昇しやすくなったり、正極活物質の取扱性が低下したりすることがあり得る。したがって、例えば、平均粒子径が2μm〜10μm(より好ましくは3μm〜8μm)の範囲にあって、ここに開示される好ましいDBP吸収量xを有する正極活物質を好ましく採用することができる。
一般に、緻密な中実構造の粒子からなるリチウムイオン電池用正極活物質粉末(例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物の粉末)のDBP吸収量xは、概ね10〜20mL/100g程度である。他の条件(粒子サイズ等)が同程度であれば、かかる中実粒子のDBP吸収量xに比べて、多孔質構造または中空構造の粒子のDBP吸収量xは大きくなる傾向にある。ここに開示される技術における正極活物質としては、このような多孔質構造または中空構造の粒子を好ましく利用し得る。電池に具備される正極活物質の少なくとも一部(典型的には5質量%以上、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、実質的に全部であってもよい。)として多孔質構造または中空構造の粒子を用いることにより、中実構造の粒子のみを用いた場合に比べて、該正極活物質のDBP吸収量xを大きくすることができる。このことによって、平均粒子サイズが極端に小さな正極活物質を用いたり、負極活物質に対する正極活物質の量を極端に多くしたりしなくても、ここに開示される好ましいX/Yの値を実現し得る。
上記リチウム遷移金属酸化物を構成材質とする孔空き中空活物質粒子は、例えば以下のようにして好適に製造することができる。その製造方法は、該活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の少なくとも一つ(好ましい一態様では、該酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素の全部)を含む水性溶液から、該遷移金属の水酸化物を適切な条件で析出させること(原料水酸化物生成工程)を含む。また、その遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合すること(混合工程)を含む。さらに、その混合物を焼成すること(焼成工程)を含み得る。以下、かかる製造方法の好適な一形態につき、層状構造のLiNiCoMn酸化物からなる孔開き中空活物質粒子を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の孔開き中空活物質粒子に限定する意図ではない。
好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、上記遷移金属溶液から遷移金属水酸化物の核を析出させる段階(核生成段階)と、その核を成長させる段階(粒子成長段階)とを含む。好ましい一態様において、上記核生成段階および上記粒子成長段階は、いずれもアンモニウムイオンの存在下で行われる。少なくとも、上記粒子成長段階は、上記溶液中のアンモニウムイオン濃度を制御しつつ(例えば、所定値以下に制御しつつ)行うことが好ましい。また、上記粒子成長段階は、上記核生成段階におけるpHより低pHであって且つアルカリ性の条件下で実施することが好ましい。
上記粒子成長段階では、上記核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、好ましくは上記核生成段階よりも低pH域のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12未満(典型的にはpH10以上12未満、好ましくはpH10以上11.8以下、例えばpH11.0以上11.8以下)で成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物粒子(原料水酸化物粒子)は、好ましくは、該粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。かかる構造の遷移金属水酸化物粒子を安定して得るためには、上記粒子成長段階におけるNH4 +濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、遷移金属水酸化物(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物)の析出速度が速くなり、ここに開示される孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子(換言すれば、孔開き中空構造の焼成物を形成しやすい原料水酸化物粒子)が効果的に生成し得る。通常は、粒子成長段階におけるNH4 +濃度を25g/L以下とすることが適当であり、好ましくは15g/L以下、より好ましくは10g/L以下(例えば8g/L以下)である。NH4 +濃度の下限は特に限定されないが、製造条件の管理しやすさ、品質安定性、得られる活物質粒子の機械的強度(例えば硬度)等の観点から、通常は、NH4 +濃度を1g/L以上(好ましくは3g/L以上)とすることが適当である。粒子成長段階におけるpHおよびNH4 +濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。
好ましい一態様では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)を反応液から分離し、洗浄して乾燥させる。そして、この遷移金属水酸化物粒子とリチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製する(混合工程)。この混合工程では、典型的には、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により酸化物となり得るリチウム化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
そして、上記混合物を焼成して孔空き中空構造の活物質粒子を得る(焼成工程)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。この焼成工程における焼成温度は、例えば700℃〜1100℃とすることができる。最高焼成温度が800℃以上(好ましくは800℃〜1100℃、例えば800℃〜1050℃)となるように行われることが好ましい。この範囲の最高焼成温度によると、リチウム遷移金属酸化物(好ましくはNi含有Li酸化物、ここではLiNiCoMn酸化物)の一次粒子の焼結反応を適切に進行させることができる。好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、活物質粒子の粒径を調整するとよい。
かかる方法により製造された孔空き中空活物質粒子の代表的な構造を、図3に示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を参照しつつ説明する。この活物質粒子610は、殻部612と、中空部614と、殻部612を貫通して粒子610の中空部614と殻部612の外部(粒子610の外部)とを空間的に連続させる貫通孔616を有している。この図3に示す孔空き中空活物質粒子610の構成材質は、LiNiCoMn酸化物である。図3に示すように、貫通孔616以外の部分では殻部612は緻密に焼結しており、この部分には殻部612の内外を貫く隙間は認められない。
ここに開示される技術における正極活物質またはその構成成分としては、粒子空孔率が2%以上(典型的には5%以上、好ましくは10%以上)であって、上記好ましいDBP吸収量xを示す孔空き中空活物質粒子を好ましく採用することができる。粒子空孔率が小さすぎると、孔空き中空構造とすることの利点が十分に発揮されにくくなる場合があり得る。粒子空孔率が20%以上(典型的には23%以上、好ましくは30%以上)であってもよい。粒子空孔率の上限は特に限定されないが、活物質粒子の耐久性(例えば、電池の製造時や使用時に加わり得る圧縮応力等に耐えて孔空き中空形状を維持する性能)や製造容易性等の点から、通常は75%以下(例えば70%以下)とすることが適当である。上記粒子空孔率の調節は、例えば、上述した孔空き中空活物質粒子製造方法において、粒子成長工程を継続する時間、粒子成長工程における遷移金属水酸化物の析出速度等を通じて行うことができる。
ここに開示される技術における正極活物質またはその構成成分としては、孔空き中空活物質粒子610の断面SEM画像に表れている殻部612の周回長さ(殻部612の厚みT(k)の中央に沿って粒子610の断面を一周する長さをいう。貫通孔616により殻部612が途切れている部分は、その両側の殻部612の形状から補完するものとする。)のうち、貫通孔616の占める長さ(殻部612の厚みの中央における該貫通孔616の差渡し長さに相当する。一つの断面に2以上の貫通孔616が表れている場合には、それらの貫通孔616の差し渡し長さを合計する。)の割合が30%以下、より好ましくは20%以下であって、上記好ましいDBP吸収量xを示すものを好ましく採用し得る。貫通孔616の占める長さが大きすぎると、粒子610の耐久性(例えば、電池の製造時や使用時に加わり得る圧縮応力等に耐えて孔空き中空形状を維持する性能)が低下傾向となり得る。一方、貫通孔616の占める長さが小さすぎると、粒子610の中空部614が有効に活用されにくくなり、孔空き中空構造とすることの利点が十分に発揮されにくくなる場合があり得る。したがって、上記貫通孔616の占める長さは0.5%以上であることが好ましく、1%以上(例えば3%以上)であることがより好ましい。
ここに開示される技術において、正極活物質またはその構成成分として用いられる孔空き中空活物質粒子としては、該粒子の平均硬度が概ね0.5MPa以上(典型的には1.0MPa以上、例えば2.0〜10MPa)であるものを好ましく採用し得る。ここで「平均硬度」とは、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して、負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック微小硬度測定により得られる値をいう。かかるダイナミック微小硬度測定には、例えば、株式会社島津製作所製の微小硬度計、型式「MCT−W500」を用いることができる。より多くの活物質粒子について上記硬度測定を行うほど、それらの活物質の硬度の算術平均値は収束する。上記平均硬度としては、少なくとも3個(好ましくは5個以上)の活物質粒子に基づく算術平均値を採用することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とを包含する上述した孔空き活物質粒子製造方法は、かかる平均硬度を有する孔空き活物質粒子の製造方法として好適である。この方法により得られた孔空き中空活物質粒子は、例えば噴霧焼成製法等により得られた一般的な多孔質構造の正極活物質粒子に比べて、より硬く(平均硬度が高く)、形態安定性に優れたものとなり得る。
≪正極活物質≫
以下の実験における正極活物質としては、次のようにして作製された孔空き中空構造の活物質粒子を使用した。
槽内温度40℃に設定された反応槽内にイオン交換水を入れ、攪拌しつつ窒素ガスを流通させて、該イオン交換水を窒素置換するとともに反応槽内を酸素ガス(O2)濃度2.0%の非酸化性雰囲気に調整した。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを、液温25℃を基準として測定するpHが12.5となり且つ液中NH4 +濃度が5g/Lとなるように加えた。
負極活物質としては、グラファイト粒子および該粒子の表面にアモルファスカーボンがコートされた構造のカーボン粒子を使用した。上記アモルファスカーボンコートされたカーボン粒子として、具体的には、天然黒鉛粉末の表面に気相法によりピッチを付着させて、不活性雰囲気下において1000℃〜1300℃で10時間焼成した後、篩いにかけ、平均粒子径を調整したものを使用した。上記の負極活物質サンプル作製過程において、使用する天然黒鉛粉末の平均粒子径(D50)を8μm〜11μmの間で異ならせ、また黒鉛粉末質量に対するピッチのコート量を0質量%〜6質量%の範囲で異ならせることにより、上述した方法によるDBP吸収量yがそれぞれ34.3mL/100g(サンプルQ1)、36.6mL/100g(サンプルQ2)、50mL/100g(サンプルQ3)、60mL/100g(サンプルQ4)、および77.5mL/100g(サンプルQ5)である5種類の負極活物質を用意した。
上記で用意したサンプルP1〜P4を正極活物質に用い、サンプルQ1〜Q5を負極活物質に用いて、概略図1、図2に示す構造の評価用電池(例1〜14)を作製した。
正極活物質(サンプルP1〜P4のなかから、表1〜3に示すDBP吸収量xに対応するものを使用した。)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてのPVDFとを、これらの質量比が90:8:2であり且つNVが50%となるようにNMPと混合して、スラリー状の組成物を調製した。厚さ15μm、幅115mm、長さ3000mmのアルミニウム箔(正極集電体)32の両面に、上記組成物を95mmの幅で、乾燥後の質量が両面の合計で12mg/cm2となるように塗布した。これを乾燥後プレスして、集電体32の両面に正極合剤層34を有する正極シート30を作製した。
コンディショニング工程は、次の手順1〜2によって行った。
手順1:1Cの定電流(1Cは、満充電状態の電池を1時間で放電終止電圧まで放電させる電流値を意味する。放電時間率と称されることもある。)にて端子間電圧が4.1Vに到達するまで充電(CC充電)した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電(CV充電)にて1.5時間充電し、5分間休止する。
評価試験用電池の定格容量は、上記コンディショニング工程後の評価試験用電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定した。
手順1:1Cの定電流放電(CC放電)によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電(CV放電)し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
上記手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。
SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量測定の後で、25℃の温度環境下にて次の1、2の手順によって行った。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。ここで、「SOC」は、State of Chargeを意味する。
手順2:60%以上のSOCに調整する場合には、手順1の後、所望の充電状態に到達するまで定電圧で充電する。
上記コンディショニング工程において手順1および手順2を通じて充電(CC−CV充電)された合計容量を初回充電容量とし、上記定格容量測定において手順1により放電(CC−CV充電)した合計容量を初回放電容量とする。そして、次式:(初回放電容量)/初回充電容量)×100;により初期効率(%)を算出した。
SOC60%(定格容量の凡そ60%の充電状態)に調整した評価用電池を、−15℃の測定環境にて7Cの放電レートで10秒間放電させた。このときの電圧降下から、低温(−15℃)における初期抵抗の値(10秒IV抵抗値)を求めた。
SOC80%(定格容量の凡そ80%の充電状態)の電池を60℃の環境下に30日間保存した。保存後の電池の10秒IV抵抗(耐久後抵抗)を、上記初期抵抗と同様にして測定した。そして、次式:(耐久後抵抗)/(初期抵抗)×100;により抵抗増加率(%)を算出した。
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
34 正極合剤層
38 正極端子
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
44 負極合剤層
48 負極端子
50 セパレータ
90 非水電解液
100 リチウムイオン二次電池(非水二次電池)
610 活物質粒子
612 殻部
614 中空部
616 貫通孔
Claims (6)
- 非水電解液二次電池であって、
正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、前記正極活物質および前記負極活物質の双方に接して配置された非水電解液とを用いて構築されており、
前記非水電解液としては、B元素を含有するオキサラト錯体化合物と、非水溶媒と、を含む非水電解液が用いられ、
前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)と、該電池に含まれる前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量Y(mL)との関係が、以下の式:
0.60≦X/Y≦1.25;
を満たし、
前記電池に含まれるオキサラト錯体化合物の全モル数A(mmol)と、前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)との関係が、以下の式:
0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;
を満たし、
前記オキサラト錯体化合物は、リチウムビス(オキサラト)ボレートである、非水電解液二次電池。 - 前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)は25mL/100g以上である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)は35〜75mL/100gである、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL)と、前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL)との関係が、以下の式:
0.55≦x/y≦1.15;
を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。 - 前記正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物であり、前記負極活物質は、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料である、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
- 非水電解液二次電池を製造する方法であって、
正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極とを用意する工程、ここで、前記正極および前記負極は、前記正極の有する前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)と、前記負極の有する前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量Y(mL)との関係が、以下の式:
0.60≦X/Y≦1.25;
を満たす;
B元素を含有するオキサラト錯体化合物と非水溶媒とを含む非水電解液を用意する工程;および、
前記正極、前記負極および前記非水電解液を容器に収容して電池を構築する工程;
を包含し、
前記容器に収容する前記非水電解液に含まれる前記オキサラト錯体化合物の全モル数A(mmol)と、前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)との関係が、以下の式:
0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;
を満たし、
前記オキサラト錯体化合物は、リチウムビス(オキサラト)ボレートである、非水電解液二次電池製造方法。
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