JP6879812B2 - リチウム塩錯化合物、電池用添加剤、電池用非水電解液、及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム塩錯化合物、電池用添加剤、電池用非水電解液、及びリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本開示は、リチウム塩錯化合物、電池用添加剤、電池用非水電解液、及びリチウム二次電池に関する。
リチウム塩化合物は従来、反応試剤、合成反応触媒、各種電気化学デバイス用電解質、ドーピング剤、潤滑油の添加剤などの用途で有用に使用されてきていた。このリチウム塩化合物は熱的な安定性や水に対する安定性に乏しいものが多いことから、リチウム塩化合物を錯化可能な化合物と処理することにより安定性を向上させた錯化合物が開発されてきている。
リチウム塩錯化合物の具体的な例としてはこれまでに、ヘキサフルオロヒ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウムとアセトニトリルとの錯化合物(特許文献1参照)、ハロゲン化リチウムやテトラフルオロホウ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウム等のリチウム塩とN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等の化合物との錯化合物(特許文献2参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとクラウンエーテルとの錯化合物(特許文献3参照)、ヘキサフルオロヒ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウムと2−メチルテトラヒドロフランとの錯化合物(特許文献4参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとピリジンとの錯化合物(特許文献5参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジエチルカーボネートやエチレンカーボネートとの錯化合物(特許文献6参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムと1,4−ジオキサンとの錯化合物(特許文献7参照)等が開示されている。
特公昭48−33733号 特公昭53−31859号 特開昭59−151779号 特公平6−16421号 特表2002−514153号 特許3555720号 特許5862015号
本開示の課題は、新規なリチウム塩錯化合物を提供することである。
また、本開示の課題は、電池抵抗を低減できる電池用添加剤及び電池用非水電解液、並びに、上記電池用非水電解液を含むリチウム二次電池を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、ハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されていてもよい環状エステル基、オキサラト基、及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基を置換基Lとした場合に、
硫黄原子に直接結合する前記置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有するスルホン酸リチウム塩、硫黄原子に直接結合する前記置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有する硫酸リチウム塩、及び硫黄原子に直接結合する前記置換基Lを有するスルホニルイミド酸リチウム塩からなる群から選択される1種のリチウム塩と、
下記式(I)〜下記式(IV)で表される化合物群から選択される1種の化合物と、
からなるリチウム塩錯化合物。
Figure 0006879812

(式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(II)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(III)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(IV)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R10及びR11は、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基又はスルホニルアルキレンスルホニル基を表してもよい。)
<2> トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、メチル硫酸リチウム、ベンゼンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドからなる群から選択される1種のリチウム塩と、
N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、からなる<1>に記載のリチウム塩錯化合物。
<3> メチル硫酸リチウムと、
N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
からなる<1>又は<2>に記載のリチウム塩錯化合物。
<4> メチル硫酸リチウムと、
N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
からなる<1>〜<3>のいずれか1つに記載のリチウム塩錯化合物。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のリチウム塩錯化合物を含む電池用添加剤。
<6> <1>〜<4>のいずれか1つに記載のリチウム塩錯化合物を含む電池用非水電解液。
<7> 正極と、
金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
<6>に記載の電池用非水電解液と、
を含むリチウム二次電池。
<8> <7>に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
本開示によれば、新規なリチウム塩錯化合物が提供される。
また、本開示によれば、電池抵抗を低減できる電池用添加剤及び電池用非水電解液、並びに、上記電池用非水電解液を含むリチウム二次電池が提供される。
本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔リチウム塩錯化合物〕
本開示のリチウム塩錯化合物は、
ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、ハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されていてもよい環状エステル基、オキサラト基、及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基を置換基Lとした場合に、
硫黄原子に直接結合する前記置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有するスルホン酸リチウム塩、硫黄原子に直接結合する前記置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有する硫酸リチウム塩、及び硫黄原子に直接結合する前記置換基Lを有するスルホニルイミド酸リチウム塩からなる群から選択される1種のリチウム塩(以下、「特定リチウム塩」ともいう)と、
下記式(I)〜下記式(IV)で表される化合物群から選択される1種の化合物(以下、「特定化合物」ともいう)と、
からなるリチウム塩錯化合物である。
Figure 0006879812
式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(II)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(III)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(IV)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R10及びR11は、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基又はスルホニルアルキレンスルホニル基を表してもよい。
本開示のリチウム塩錯化合物は、特定リチウム塩と特定化合物とからなる新規なリチウム塩錯化合物である。
本開示のリチウム塩錯化合物は、原料化合物(特定リチウム塩及び特定化合物)には認められない融点が観測され、更にこの融点より高い温度で吸熱熱解離挙動が観測される。 即ち、本開示のリチウム塩錯化合物は、熱的安定性に優れた化合物である。
次に、本開示のリチウム塩錯化合物を形成する特定リチウム塩、及び特定化合物について順に説明する。
<特定リチウム塩>
特定リチウム塩は、硫黄原子に直接結合する置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有するスルホン酸リチウム塩、硫黄原子に直接結合する置換基L(ただし、環状エステル基及びオキサラト基を除く)を有する硫酸リチウム塩、及び硫黄原子に直接結合する置換基Lを有するスルホニルイミド酸リチウム塩から選択される1種のリチウム塩である。
置換基Lは、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、ハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されていてもよい環状エステル基、オキサラト基、及びアリール基からなる群から選択される1種の置換基である。
置換基Lは1種であっても2種以上であってもよい。置換基Lが2種以上の場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、無置換のアルキル基又はハロゲン化アルキル基を意味する。
ハロゲン化アルキル基とは、少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されたアルキル基を意味する。
無置換のアルキル基及びハロゲン化アルキル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
無置換のアルキル基としては、例えば無置換の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。
無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基、ヨウ化メチル基、ヨウ化エチル基、ヨウ化プロピル基などが挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜6のフルオロアルキル基が好ましく、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、又はパーフルオロヘキシル基がより好ましい。
ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基とは、無置換のアルコキシ基又はハロゲン化アルコキシ基を意味する。
ハロゲン化アルコキシ基とは、少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されたアルコキシ基を意味する。
無置換のアルコキシ基及びハロゲン化アルコキシ基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
無置換のアルコキシ基としては、例えば無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基などが挙げられる。
無置換のアルコキシ基としては、エトキシ基又はメトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
ハロゲン化アルコキシ基としては、前述の無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されている構造の基が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基とは、無置換のアルケニル基又はハロゲン化アルケニル基を意味する。
ハロゲン化アルケニル基とは、少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されたアルケニル基を意味する。
無置換のアルケニル基及びハロゲン化アルケニル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
無置換のアルケニル基としては、例えば無置換の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基などが挙げられる。
無置換のアルケニル基としては、ビニル基又はアリル基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
ハロゲン化アルケニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルケニル基が少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されている構造の基が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基とは、無置換のアルキニル基又はハロゲン化アルキニル基を意味する。
ハロゲン化アルキニル基とは、少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されたアルキニル基を意味する。
無置換のアルキニル基及びハロゲン化アルキニル基は、それぞれ直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
無置換のアルキニル基としては、例えば無置換の炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基と同義)、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、5−ヘキシニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル基、1−ヘキシニル基などが挙げられる。
ハロゲン化アルキニル基としては、前述の無置換の炭素数2〜6のアルキニル基が少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されている構造の基が挙げられる。
ハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されていてもよい環状エステル基としては、環状エステル基が少なくとも1個のハロゲン原子もしくはアルキル基によって置換されている構造の基が挙げられる。
環状エステル基としては、例えばラクトンから水素原子が1つ解離した基が挙げられる。ラクトンとしては、例えば、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンが挙げられる。
ハロゲン原子は、前述のハロゲン原子と同義である。
アルキル基としては、前述の無置換の炭素数1〜6のアルキル基と同様のものが挙げられる。
オキサラト基としては、例えば下記式(a)で表される基が挙げられる。*は結合位置を表す。
Figure 0006879812
本開示における「アリール基」とは、無置換のアリール基と置換されたアリール基とのいずれをも含む。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜20の無置換のアリール基、炭素数7〜20の置換されたアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基;アルキルベンゼンから水素原子が1個外れた基(例えば、ベンジル基、トリル基、キシリル基、メチシル基等);ナフチル基;ナフタレンのアルキル基置換体から水素原子が1個外れた基;等が挙げられる。なお、置換されたアリール基における置換基としては上記に限定されず、例えば、前述のハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、無置換のアルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、無置換のアルケニル基、ハロゲン化アルケニル基、無置換のアルキニル基、ハロゲン化アルキニル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基が好ましい。
特定リチウム塩としてのスルホン酸リチウム塩の硫黄原子に直接結合する置換基Lとしては、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ビニル基、アリル基、又はフェニル基が好ましく、
特定リチウム塩としての硫酸リチウム塩の硫黄原子に直接結合する置換基Lとしては、メチル基又はドデシル基が好ましく、
特定リチウム塩としてのスルホニルイミド酸リチウム塩の硫黄原子に直接結合する置換基Lとしては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、又はペンタフルオロエチル基が好ましい。
(スルホン酸リチウム塩)
特定リチウム塩としてのスルホン酸リチウム塩としては、例えば、フルオロスルホン酸リチウム、メタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸リチウム、アリルスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸リチウムなどが挙げられる。
特定リチウム塩としてのスルホン酸リチウム塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はベンゼンスルホン酸リチウムが好ましい。
(硫酸リチウム塩)
特定リチウム塩としての硫酸リチウム塩としては、例えば、メチル硫酸リチウム、ドデシル硫酸リチウムなどが挙げられる。
特定リチウム塩としての硫酸リチウム塩としては、メチル硫酸リチウムが好ましい。
(スルホニルイミド酸リチウム塩)
特定リチウム塩としてのスルホニルイミド酸リチウム塩としては特に制限はないが、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、又はリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドが好ましい。
<特定化合物>
特定化合物は、式(I)〜式(IV)で表される化合物群から選択される1種である。
(式(I)で表される化合物)
本開示のリチウム塩錯化合物は、特定リチウム塩と、式(I)で表される化合物(以下、「化合物I」ともいう)とで形成され得る。
Figure 0006879812
式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基と同義である。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、無置換の炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基と同義である。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルコキシ基としては、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルコキシ基が好ましい。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基と同義である。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルケニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルケニル基が好ましく、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、又はイソプロペニル基がより好ましく、ビニル基が更に好ましい。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基と同義である。
式(I)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルキニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルキニル基が好ましい。
式(I)中、アリール基は、置換基Lの項で例示したアリール基と同義である。
式(I)中、アリール基としては、無置換の炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
式(I)中、R及びR、又は、R及びRが一体となって炭素数2〜9のアルキレン基を表す場合における炭素数2〜9のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基などが挙げられる。
上記アルキレン基としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましく、プロピレン基が更に好ましい。
本開示における「炭素数2〜9のアルキレン基」とは、無置換の炭素数2〜9のアルキレン基と置換された炭素数2〜9のアルキレン基とのいずれをも含む。置換基としては、例えば、前述のハロゲン原子、無置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、無置換のアルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、無置換のアルケニル基、ハロゲン化アルケニル基、無置換のアルキニル基、及びハロゲン化アルキニル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
化合物Iとしては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジフェニルアセトアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
化合物Iとしては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、又はN−ビニルピロリドンが好ましく、N−メチルピロリドンがより好ましい。
(式(II)で表される化合物)
本開示のリチウム塩錯化合物は、特定リチウム塩と、式(II)で表される化合物(以下、「化合物II」ともいう)とで形成され得る。
Figure 0006879812
式(II)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びR、R及びR、又は、R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基と同義である。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、無置換の炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が好ましく、無置換の炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基と同義である。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルケニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルケニル基が好ましい。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基と同義である。
式(II)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルキニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルキニル基が好ましい。
式(II)中、アリール基は、置換基Lの項で例示したアリール基と同義である。
式(II)中、アリール基としては、無置換の炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
式(II)中、R及びR、R及びR、又は、R及びRが一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表す場合における炭素数2〜9のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、式(I)中における炭素数2〜9のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
化合物IIとしては、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素などが挙げられる。
化合物IIとしては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。
(式(III)で表される化合物)
本開示のリチウム塩錯化合物は、特定リチウム塩と、式(III)で表される化合物(以下、「化合物III」ともいう)とで形成され得る。
Figure 0006879812
式(III)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R及びRは、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表してもよい。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基と同義である。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、無置換の炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基と同義である。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルケニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルケニル基が好ましく、ビニル基又はアリル基がより好ましい。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基と同義である。
式(III)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルキニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルキニル基が好ましい。
式(III)中、アリール基は、置換基Lの項で例示したアリール基と同義である。
式(III)中、アリール基としては、無置換の炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアルキルアリール基が好ましく、フェニル基又はメチルフェニル基がより好ましい。
式(III)中、R及びRが一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表す場合における炭素数2〜9のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、式(I)中における炭素数2〜9のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。
化合物IIIとしては、例えば、ジメチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、フェニルトリフルオロメチルスルホキシド、フェニルビニルスルホキシド、アリル(4−メチルフェニル)スルホキシドなどが挙げられる。
化合物IIIとしては、ジメチルスルホキシドが好ましい。
(式(IV)で表される化合物)
本開示のリチウム塩錯化合物は、特定リチウム塩と、式(IV)で表される化合物(以下、「化合物IV」ともいう)とで形成され得る。
Figure 0006879812
式(IV)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、又はアリール基を表す。R10及びR11は、一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基又はスルホニルアルキレンスルホニル基を表してもよい。
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基と同義である。
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、無置換の炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基と同義である
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルケニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルケニル基が好ましい。
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基は、置換基Lの項で例示したハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基と同義である
式(IV)中、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基としては、無置換の炭素数2〜6のアルキニル基又は炭素数2〜6のハロゲン化アルキニル基が好ましい。
式(IV)中、アリール基は、置換基Lの項で例示したアリール基と同義である。
式(IV)中、アリール基としては、無置換の炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
式(IV)中、R10及びR11が一体となって、炭素数2〜9のアルキレン基を表す場合における炭素数2〜9のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、式(I)中における炭素数2〜9のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
上記炭素数2〜9のアルキレン基としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基が更に好ましい。
式(IV)中、スルホニルアルキレンスルホニル基は、下記式(b)で表される基である。式(b)中、nは1〜6の整数である。*は結合位置を表す。
nは、1〜3の整数であることが好ましく、1の整数であることがより好ましい。
Figure 0006879812
化合物IVとしては、例えば、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、ジエトキシメタン、メトキシフェノキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、(メトキシメトキシ)ベンゼン、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドなどが挙げられる。
化合物IVとしては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、又は1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドジメチルスルホキシドが好ましい。
特定化合物としては、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物が好ましい。
〔リチウム塩錯化合物の好ましい態様〕
本開示のリチウム塩錯化合物の好ましい態様は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、メチル硫酸リチウム、ベンゼンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドからなる群から選択される1種のリチウム塩と、
N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
からなる錯化合物である。
即ち、本開示のリチウム塩錯化合物の好ましい態様は、以下の錯化合物S1〜錯化合物S54である。
・錯化合物S1
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S2
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S3
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S4
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S5
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S6
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S7
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S8
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S9
トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S10
メチル硫酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S11
メチル硫酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S12
メチル硫酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S13
メチル硫酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S14
メチル硫酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S15
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S16
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S17
メチル硫酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S18
メチル硫酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S19
ベンゼンスルホン酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S20
ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S21
ベンゼンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S22
ベンゼンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S23
ベンゼンスルホン酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S24
ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S25
ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S26
ベンゼンスルホン酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S27
ベンゼンスルホン酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S28
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S29
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S30
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S31
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S32
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S33
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S34
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S35
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S36
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S37
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S38
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S39
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S40
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S41
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S42
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S43
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S44
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S45
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S46
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S47
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物。
・錯化合物S48
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S49
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物。
・錯化合物S50
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S51
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S52
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S53
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S54
リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
以下、錯化合物S1〜S54を具体的に示す。なお、以下に示す番号(S1)〜(S54)は、上記錯化合物S1〜S54にそれぞれ対応するものである。
なお、本開示のリチウム塩錯化合物は、以下の錯化合物及びその構造に限定されない。
Figure 0006879812
Figure 0006879812
Figure 0006879812
本開示のリチウム塩錯化合物のより好ましい態様は、メチル硫酸リチウムと、
N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
からなる錯化合物である。
即ち、本開示のリチウム塩錯化合物のより好ましい態様は、前述の錯化合物S1〜S54のうち、以下の錯化合物である。
・錯化合物S10
メチル硫酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S15
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S16
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S17
メチル硫酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
・錯化合物S18
メチル硫酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物。
本開示のリチウム塩錯化合物の更に好ましい態様は、メチル硫酸リチウムと、
N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
からなる錯化合物である。
即ち、本開示のリチウム塩錯化合物の更に好ましい態様は、前述の錯化合物S1〜S54のうち、以下の錯化合物である。
・錯化合物S10
メチル硫酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物。
・錯化合物S15
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物。
・錯化合物S16
メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物。
・錯化合物S17
メチル硫酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物。
〔リチウム塩錯化合物の製造方法〕
本開示のリチウム塩錯化合物の製造方法は、一般的に錯化合物を得るための従来公知の方法を適用することができる。本開示のリチウム塩錯化合物は、通常、特定リチウム塩と特定化合物とを混合させることで得ることができるが、均質な生成物としてリチウム塩錯化合物を得ることが満たされるのであれば、その混合方法、条件は任意に選択することができる。
特定リチウム塩と特定化合物とを混合する際の、特定リチウム塩に対する特定化合物の混合モル比(特定化合物/特定リチウム塩)は、リチウム塩錯化合物を安定して形成する観点から、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
上記混合モル比が1以上であると、特定リチウム塩が過剰となる状態を回避しやすい。
上記混合モル比が6以下であると、特定化合物が過剰となる状態を回避しやすい。
特定リチウム塩と特定化合物との混合方法は特に制限されず、両者を直接混合して得てもよいし、溶媒を用いて両者の混合を行ってもよい。
溶媒としては、非水溶媒であって目的とするリチウム塩錯化合物の生成を阻害しなければどのような溶媒でも用いることができる。
上記溶媒としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン(オルト、メタ、パラ)、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン(キュメン)、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、メシチレンメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。
原料化合物である特定リチウム塩及び特定化合物がどちらも固体の場合には、均質な生成物(リチウム塩錯化合物)を得るために、原料化合物の少なくとも一方を溶解することのできる溶媒を使用することが好ましい。
特定リチウム塩と特定化合物との混合は、常圧下、減圧下のいずれでも行えるが、リチウム塩錯化合物の生成を阻害する成分(例えば水分)の混入を防ぐために、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気として行うことが好ましい。
特定リチウム塩と特定化合物とを混合する際の温度は、0℃〜150℃であることが好ましく、10℃〜100℃であることがより好ましく、20℃〜80℃であることがさらに好ましい。
温度が0℃以上であると、リチウム塩錯化合物の生成が促進されやすく、温度が150℃以下であると、生成したリチウム塩錯化合物の解離が抑制され、生成率が向上しやすい。
特定リチウム塩と特定化合物との混合時間は、反応を効率よく進行させる観点から、30分〜12時間であることが好ましく、1時間〜8時間であることがより好ましい。
特定リチウム塩と特定化合物とを混合した後、本開示のリチウム塩錯化合物を取り出す方法については特に制限はなく、従来公知の方法を任意に選択し実施することができる。例えば、リチウム塩錯化合物がその目的の成分のみの固体として得られた場合には、それを特段の処理なく取り出すこともできるし、溶媒に分散したスラリー状態の固体として得られた場合には、溶媒を分離、乾燥で除去して取り出すこともできる。
また例えば、リチウム塩錯化合物が溶媒に溶解した状態で得られた場合には、該溶液を加熱濃縮して溶媒を留去し取り出す方法や、生成したリチウム塩錯化合物が溶解しない溶媒を該溶液に加えて析出させ、溶媒を分離、乾燥で除去して取り出す方法を行うこともできる。
取り出されたリチウム塩錯化合物の乾燥方法としては、従来公知の方法を任意に選択し実施することができる。例えば、棚段式乾燥機での静置乾燥法;コニカル乾燥機での流動乾燥法;ホットプレート、オーブン等の装置を用いて乾燥させる方法;ドライヤーなどの乾燥機で温風又は熱風を供給する方法;等が挙げられる。
取り出されたリチウム塩錯化合物を乾燥する際の圧力は、常圧、減圧のいずれの条件でも行えるが、乾燥する際の温度は0℃〜150℃であることが好ましく、10℃〜100℃であることがより好ましく、20℃〜80℃であることがさらに好ましい。温度が0℃以上であると乾燥効率がよく、温度が150℃以下であると生成したリチウム塩錯化合物の解離が抑制され、リチウム塩錯化合物を安定して取り出しやすい。
取り出されたリチウム塩錯化合物は、そのまま用いてもよいし、例えば、溶媒中に分散して、又は溶解して用いてもよいし、他の固体物質と混合して用いてもよい。
本開示のリチウム塩錯化合物は、電池用添加剤、反応試剤、合成反応触媒、各種電気化学デバイス用電解質、ドーピング剤、潤滑油の添加剤などの用途で有用に使用できる。
上記リチウム塩錯化合物としては、リチウム電池用添加剤として用いることが好ましく、特にリチウム二次電池用の添加剤として用いることがよい。
〔電池用添加剤〕
〔電池用添加剤〕
本開示の電池用添加剤は、本開示のリチウム塩錯化合物を含む。
本開示の電池用添加剤によれば、電池抵抗を低減できる。
本開示の電池用添加剤は、リチウム二次電池用添加剤であることが好ましく、リチウム二次電池の非水電解液用添加剤であることがより好ましい。
〔電池用非水電解液〕
本開示の電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」ともいう)は、本開示のリチウム塩錯化合物を含む。
本開示の非水電解液は、本開示のリチウム塩錯化合物を含有することにより、電池抵抗を低減できる。
本開示の非水電解液は、上記リチウム塩錯化合物を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本開示の非水電解液は、上記リチウム塩錯化合物を電池用添加剤として含んでもよいし、電解質の供給源として含んでもよい。
本開示の非水電解液が、上記リチウム塩錯化合物を電池用添加剤として含む場合、電池用添加剤の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.05質量%〜5質量%が更に好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましく、0.5質量%〜3質量%が更に好ましく、0.5質量%〜2質量%が更に好ましい。
本開示の非水電解液が、上記リチウム塩錯化合物を電解質の供給源として含む場合、電解質の濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
なお、実際に電池を解体して採取した非水電解液を分析しても、上記リチウム塩錯化合物の量が、非水電解液への添加量と比較して減少している場合がある。従って、電池から取り出した非水電解液中に少量でも上記リチウム塩錯化合物が検出できる場合には、本開示の非水電解液の範囲に含まれる。
また、非水電解液から上記リチウム塩錯化合物が検出できない場合であっても、非水電解液中や電極の被膜中に、上記リチウム塩錯化合物の分解物由来の化合物が検出される場合も、本開示の非水電解液の範囲に含まれるとみなされる。
これらの取り扱いは、非水電解液に含有され得る上記リチウム塩錯化合物以外の化合物についても同様である。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。
非水電解液は、一般的には、非水溶媒を含有する。
<非水溶媒>
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができるが、環状の非プロトン性溶媒及び鎖状の非プロトン性溶媒から選ばれる少なくとも一方を用いることが好ましい。
電池の安全性の向上のために、溶媒の引火点の向上を志向する場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。
(環状の非プロトン性溶媒)
環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、環状スルホン、環状エーテルを用いることができる。
環状の非プロトン性溶媒は単独で使用してもよいし、複数種混合して使用してもよい。
環状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。このような比率にすることによって、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートの例として具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、誘電率が高いエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートが好適に使用される。負極活物質に黒鉛を使用した電池の場合は、エチレンカーボネートがより好ましい。また、これら環状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
環状カルボン酸エステルとして、具体的にはγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、あるいはメチルγ−ブチロラクトン、エチルγ−ブチロラクトン、エチルδ−バレロラクトンなどのアルキル置換体などを例示することができる。
環状カルボン酸エステルは、蒸気圧が低く、粘度が低く、かつ誘電率が高く、電解液の引火点と電解質の解離度を下げることなく電解液の粘度を下げることができる。このため、電解液の引火性を高くすることなく電池の放電特性に関わる指標である電解液の伝導度を高めることができるという特徴を有するので、溶媒の引火点の向上を指向する場合は、上記環状の非プロトン性溶媒として環状カルボン酸エステルを使用することが好ましい。環状カルボン酸エステルの中でも、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。
また、環状カルボン酸エステルは、他の環状の非プロトン性溶媒と混合して使用することが好ましい。例えば、環状カルボン酸エステルと、環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートとの混合物が挙げられる。
環状スルホンの例としては、スルホラン、2−メチルスルホラン、3―メチルスルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、メチルエチルスルホン、メチルプロピルスルホンなどが挙げられる。
環状エーテルの例としてジオキソランを挙げることができる。
(鎖状の非プロトン性溶媒)
鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、鎖状リン酸エステルなどを用いることができる。
鎖状の非プロトン性溶媒の非水溶媒中の混合割合は、10質量%〜100質量%、さらに好ましくは20質量%〜90質量%、特に好ましくは30質量%〜80質量%である。
鎖状カーボネートとして具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネートなどが挙げられる。これら鎖状カーボネートは2種類以上を混合して使用してもよい。
鎖状カルボン酸エステルとして具体的には、ピバリン酸メチルなどが挙げられる。
鎖状エーテルとして具体的には、ジメトキシエタンなどが挙げられる。
鎖状リン酸エステルとして具体的には、リン酸トリメチルなどが挙げられる。
(溶媒の組み合わせ)
本開示の非水電解液で使用する非水溶媒は、1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。また、環状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、鎖状の非プロトン性溶媒のみを1種類又は複数種類用いても、又は環状の非プロトン性溶媒及び鎖状のプロトン性溶媒を混合して用いてもよい。電池の負荷特性、低温特性の向上を特に意図した場合は、非水溶媒として環状の非プロトン性溶媒と鎖状の非プロトン性溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。
さらに、電解液の電気化学的安定性から、環状の非プロトン性溶媒には環状カーボネートを、鎖状の非プロトン性溶媒には鎖状カーボネートを適用することが最も好ましい。また、環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせによっても電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート:鎖状カーボネートが、5:95〜80:20、さらに好ましくは10:90〜70:30、特に好ましくは15:85〜55:45である。このような比率にすることによって、電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温又は低温での電気伝導性に優れた電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
環状カルボン酸エステルと環状カーボネート及び/又は鎖状カーボネートの組み合わせの例として、具体的には、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとスルホラン、γ−ブチロラクトンとスルホランとジメチルカーボネートなどが挙げられる。
(その他の溶媒)
非水溶媒としては、上記以外のその他の溶媒も挙げられる。
その他の溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミドなどのアミド、メチル−N,N−ジメチルカーバメートなどの鎖状カーバメート、N−メチルピロリドンなどの環状アミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンなどの環状ウレア、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリメチルシリル等のホウ素化合物、及び下記の一般式で表されるポリエチレングリコール誘導体などを挙げることができる。
HO(CHCHO)
HO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)
CHO[CHCH(CH)O]
CHO(CHCHO)CH
CHO[CHCH(CH)O]CH
19PhO(CHCHO)[CH(CH)O]CH
(Phはフェニル基)
CHO[CHCH(CH)O]CO[OCH(CH)CHOCH
上記式中、a〜fは、5〜250の整数、g〜jは2〜249の整数、5≦g+h≦250、5≦i+j≦250である。
<電解質>
本開示の非水電解液は、種々の公知の電解質を含んでいてもよい。電解質は、通常、非水電解液用電解質として使用されているものであれば、いずれをも使用することができる。電解質としては、リチウム塩が好ましい。
リチウム塩の具体例としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsFLiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiN(SOF)、LiN(SO(2k+1))(k=1〜8の整数)、LiPF(C(2k+1))(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)、LiBF(2k+1)(n=1〜3の整数、k=1〜8の整数)、LiB(C)(リチウムビスオキサリルボレート)、LiBF(C)(リチウムジフルオロオキサリルボレート)、LiPF(C)(リチウムトリフルオロオキサリルフォスフェート);下記一般式で示されるリチウム塩;が挙げられる。
LiC(SO11)(SO12)(SO13)
LiN(SOOR14)(SOOR15)
LiN(SO16)(SOOR17)
式中、R11〜R17は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である。R11〜R13は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R14とR15は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R16とR17は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiN(SO(2k+1))(k=1〜8の整数)が好ましい。
本開示の非水電解液のリチウム塩濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
リチウム塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本開示の非水電解液は、電池用の非水電解液として好適であるばかりでなく、一次電池用及び二次電池用の非水電解液、電気化学キャパシタ用の非水電解液、電気二重層キャパシタ、アルミ電解コンデンサー用の電解液としても用いることができる。
〔リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池は、正極と、負極と、本開示の非水電解液と、を含む。
本開示のリチウム二次電池によれば、本開示の非水電解液を含むことにより、電池抵抗が低減される。
(負極)
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極における負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極における負極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
負極集電体の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
(正極)
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極における正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−X)〔0<X<1〕、α−NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1−α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1−α)≦1.6)、LiNiCoMn〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)、LiFePO、LiMnPOなどのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極における正極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
(セパレータ)
本開示のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
(電池の構成)
本開示のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。
なお、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池の一例であるラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。
しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。例えば、ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、1枚の正極板5と1枚の負極板6とが1枚のセパレータ7を介して積層された積層型電極体であってもよい。
本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いることができる。
なお、本開示のリチウム二次電池は、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含むリチウム二次電池(充放電前のリチウム二次電池)を、充放電させて得られたリチウム二次電池であってもよい。
即ち、本開示のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、この充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
本開示のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
なお、以下の実施例では、リチウム塩錯化合物を、単に「錯化合物」ともいう。錯化合物の番号は、既述の錯化合物の番号に対応している。
以下の実施例及び比較例において、「wt%」は質量%を表す。
以下の実施例及び比較例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液中における含有量(即ち、最終的に得られる非水電解液全量に対する量)を表す。
〔実施例1〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S1
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた50mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム4.68g(0.03mol)と酢酸エチル25gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体7.64gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、N−メチルピロリドンとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点130℃および279℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例2〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S2
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.09gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点129℃および370℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例3〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S3
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.86gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、8.0ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルホルムアミドとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点188℃および322℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例4〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S4
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.64gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルアクリルアミドとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点85℃および269℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例5〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S5
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.00gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、N−ビニルピロリドンとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点116℃および365℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例6〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S6
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.88gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、1,3−ジオキソランとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点190℃および321℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例7〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S7
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.32gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、1,3−ジオキサンとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点119℃および219℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例8〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S8
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.01gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(−)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、ジメチルスルホキシドとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点132℃および313℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例9〕トリフルオロメタンスルホン酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S9
実施例1と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体10.31gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−78ppm。
それぞれ、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとトリフルオロメタンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点439℃および478℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例10〕メチル硫酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S10
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた50mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、メチル硫酸リチウム3.54g(0.03mol)と酢酸エチル20gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体6.51gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)、3.5ppm(3H)。
N−メチルピロリドンとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点103℃および203℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例11〕メチル硫酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S11
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.96gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)、3.5ppm(3H)。
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点115℃および276℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例12〕メチル硫酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S12
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体5.71gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、3.5ppm(3H)、8.0ppm(1H)。
N,N−ジメチルホルムアミドとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点121℃および207℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例13〕メチル硫酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S13
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.51gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、3.5ppm(3H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)。
N,N−ジメチルアクリルアミドとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点40℃および324℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例14〕メチル硫酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S14
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.86gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、3.5ppm(3H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)。
N−ビニルピロリドンとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点60℃および275℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例15〕メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S15
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体5.75gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.5ppm(3H)、3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)。
1,3−ジオキソランとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点114℃および213℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例16〕メチル硫酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S16
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体6.17gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.5ppm(3H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)。
1,3−ジオキサンとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点93℃および212℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例17〕メチル硫酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S17
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体5.87gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(6H)、3.5ppm(3H)。
ジメチルスルホキシドとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点126℃および228℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例18〕メチル硫酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S18
実施例10と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体9.18gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.5ppm(3H)、4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)。
1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとメチル硫酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点435℃および462℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例19〕ベンゼンスルホン酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S19
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた50mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、ベンゼンスルホン酸リチウム4.92g(0.03mol)と酢酸エチル30gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体7.88gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
N−メチルピロリドンとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点103℃および218℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例20〕ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S20
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.33gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点95℃および266℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例21〕ベンゼンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S21
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.10gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、7.5〜7.9ppm(5H)、8.0ppm(1H)。
N,N−ジメチルホルムアミドとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点124℃および221℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例22〕ベンゼンスルホン酸リチウムとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S22
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.88gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
N,N−ジメチルアクリルアミドとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点51℃および316℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例23〕ベンゼンスルホン酸リチウムとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S23
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.24gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
N−ビニルピロリドンとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点78℃および264℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例24〕ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S24
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.13gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
1,3−ジオキソランとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点120℃および341℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例25〕ベンゼンスルホン酸リチウムと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S25
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.55gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
1,3−ジオキサンとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点110℃および324℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例26〕ベンゼンスルホン酸リチウムとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S26
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.25gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(6H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
ジメチルスルホキシドとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点112℃および276℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例27〕ベンゼンスルホン酸リチウムと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S27
実施例19と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体10.56gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)、7.5〜7.9ppm(5H)。
1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとベンゼンスルホン酸リチウム単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点436℃および470℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例28〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S28
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた100mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド8.61g(0.03mol)と酢酸エチル50gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体11.57gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、N−メチルピロリドンとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点279℃および352℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例29〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S29
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体12.03gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点252℃および348℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例30〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S30
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体10.79gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、8.0ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルホルムアミドとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点287℃および349℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例31〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S31
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体11.56gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルアクリルアミドとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点41℃および220℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例32〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S32
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体11.93gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、N−ビニルピロリドンとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点48℃および192℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例33〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S33
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体10.81gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、1,3−ジオキソランとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点42℃および163℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例34〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S34
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体11.24gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、1,3−ジオキサンとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点49℃および188℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例35〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S35
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体10.94gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(−)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、ジメチルスルホキシドとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点76℃および280℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例36〕リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S36
実施例28と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体14.24gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:−79ppm。
それぞれ、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点424℃および466℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例37〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S37
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた100mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド5.61g(0.03mol)と酢酸エチル50gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体8.57gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、N−メチルピロリドンとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点150℃および284℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例38〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S38
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体9.03gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点125℃および301℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例39〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S39
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.78gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、8.0ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルホルムアミドとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点178℃および300℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例40〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S40
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.57gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、N,N−ジメチルアクリルアミドとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点42℃および282℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例41〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S41
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.93gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、N−ビニルピロリドンとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点88℃および293℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例42〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S42
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.82gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、1,3−ジオキソランとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点164℃および286℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例43〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S43
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体8.24gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、1,3−ジオキサンとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点145℃および281℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例44〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S44
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体7.94gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(−)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、ジメチルスルホキシドとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点54℃および278℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例45〕リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S45
実施例37と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体11.25gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕は以下の通りであった。
19F−NMR:55ppm。
それぞれ、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点396℃および442℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例46〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S46
撹拌装置、温度計、ガスの導入および排気ラインを備えた100mLのフラスコに、乾燥窒素ガスでパージした後に、リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド11.61g(0.03mol)と酢酸エチル65gを入れ、撹拌混和させた。この液中にN−メチルピロリドン2.97g(0.03mol)を注ぎ入れ、1時間撹拌した後に、撹拌したまま10kPa以下に減圧、60℃に加温して酢酸エチルを留去させた。得られた固体を更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理して生成物となる固体14.57gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.0ppm(2H)、2.4ppm(2H)、2.9ppm(3H)、3.4ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、N−メチルピロリドンとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点231℃および282℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例47〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとからなる錯化合物S47
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.42g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体15.02gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.1ppm(6H)、3.4ppm(4H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点180℃および304℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例48〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなる錯化合物S48
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド2.19g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体13.80gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.9ppm(6H)、8.0ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、N,N−ジメチルホルムアミドとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点253℃および295℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例49〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN,N−ジメチルアクリルアミドとからなる錯化合物S49
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN,N−ジメチルアクリルアミド2.97g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体14.57gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.0ppm(6H)、5.6ppm(1H)、6.0ppm(1H)、6.6ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、N,N−ジメチルアクリルアミドとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点137℃および256℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例50〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとN−ビニルピロリドンとからなる錯化合物S50
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをN−ビニルピロリドン3.33g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体14.93gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.1ppm(2H)、2.4ppm(2H)、3.3ppm(2H)、5.0ppm(1H)、6.3ppm(1H)、6.9ppm(1H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、N−ビニルピロリドンとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点166℃および274℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例51〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなる錯化合物S51
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキソラン2.22g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体13.82gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:3.9ppm(4H)、4.9ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、1,3−ジオキソランとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点188℃および328℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例52〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,3−ジオキサンとからなる錯化合物S52
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,3−ジオキサン2.64g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体14.24gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:1.7ppm(2H)、3.8ppm(4H)、4.7ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、1,3−ジオキサンとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点130℃および304℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例53〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドとジメチルスルホキシドとからなる錯化合物S53
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンをジメチルスルホキシド2.34g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体13.95gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:2.5ppm(−)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、ジメチルスルホキシドとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点154℃および274℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
〔実施例54〕リチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドと1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとからなる錯化合物S54
実施例46と同様の方法を行う中で、N−メチルピロリドンを1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド5.65g(0.03mol)に変更して処理を行った。最終的に生成物となる固体17.25gを得た。
得られた固体を重水溶媒に溶解しH−NMR分析を行った。得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
H−NMR:4.7ppm(2H)、5.8ppm(2H)。
また、19F−NMR分析も行い、得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕と(積分値(比))は以下の通りであった。
19F−NMR:−80ppm(6F)、−119ppm(4F)。
それぞれ、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドとリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド単独のスペクトルパターンと同じパターンが確認され、生成物が両構造単位を有することが示された。
また得られた固体の、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定を行った。得られた固体は、原料化合物には認められない融点458℃および515℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
以上に示すように、各実施例では、新規なリチウム塩錯化合物が得られた。
また、各実施例で得られたリチウム塩錯化合物は、原料化合物(特定リチウム塩及び特定化合物)には認められない融点が観測され、更にこの融点より高い温度で吸熱熱解離挙動が観測された。即ち、得られたリチウム塩錯化合物は、熱的安定性に優れることが確認された。
〔実施例101〕
以下の手順にて、リチウム二次電池であるコイン型電池(試験用電池)を作製した。
<負極の作製>
天然黒鉛系黒鉛100質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部及びSBRラテックス2質量部を水溶媒で混錬してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層とからなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は12mg/cmであり、充填密度は1.5g/mlであった。
<正極の作製>
LiNi0.5Mn0.3Co0.2を90質量部、アセチレンブラック5質量部及びポリフッ化ビニリデン5質量部を、N−メチルピロリドンを溶媒として混錬してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は22mg/cmであり、充填密度は2.9g/mlであった。
<非水電解液の調製>
非水溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ30:35:35(質量比)の割合で混合し、混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒中に、電解質であるヘキサフルオロリン酸リチウムを、最終的に得られる非水電解液中における電解質濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた。
上記で得られた溶液に対して、添加剤として、メチル硫酸リチウムとN−メチルピロリドンとからなる錯化合物S10(添加量0.5質量%)を添加し、非水電解液を得た。
<コイン型電池の作製>
上述の負極を直径14.5mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いて、コイン状の電極(負極及び正極)を得た。また、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径16mmの円盤状に打ち抜きセパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、上記非水電解液40μlを注入してセパレータと正極と負極に含漬させた。
さらに、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封し、直径20mm、高さ3.2mmの図3で示す構成を有するコイン型電池(試験用電池)を作製した。
〔電池試験〕
得られたコイン型電池(試験用電池)について、ASKA充放電装置(ASKA CHARGE DISCHARGE SYSTEM ACD−M01A, ASKA ElectronicCo.,Ltd.,Japan)と恒温槽(LU−113,ESPEC CORP.,Japan)とを用いて、各測定を実施した。
電池試験はコンディショニングを含む。
<コンディショニング>
上記コイン型電池を恒温槽内で25℃にて0.2CでCC−CV電圧4.2Vまで充電してから、0.2CでCC放電し、以上の工程を4回繰り返した。
<直流抵抗>
コンディショニング後のコイン型電池を用いて、以下の方法により25℃にて直流抵抗を測定した。
まず、SOC(State of Chargeの略)50%から0.2CでCC10s放電を行い、0.2CでCC−CV10s充電を行った。
次に、1CでCC10s放電を行い、1CでCC−CV10s充電を行った。
次に、2CでCC10s放電を行い、2CでCC−CV10s充電を行った。
次に、5CでCC10s放電を行い、5CでCC−CV10s充電を行った。
なお、CC10s放電とは、定電流(constant current)にて10秒間放電することを意味する。CC−CV10s充電とは、定電流定電圧(constant current−constant voltage)にて10秒間充電することを意味する。
各充放電休止電流と休止電圧とから直流抵抗を求めた。
結果を表1に示す。
〔実施例102〕
非水電解液の調製において、添加剤の添加量を1.0質量%としたこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例101〕
非水電解液の調製において、添加剤を添加しなかったこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0006879812
添加剤として、錯化合物S10を含む非水電解液を用いた実施例101〜102は、添加剤を含まない非水電解液を用いた比較例101と比較して、電池抵抗(直流抵抗)が低減されていることがわかる。
また、添加剤の添加量が1.0wt%の実施例102は、かかる添加量が0.5wt%の実施例101と比較して、電池抵抗(直流抵抗)がより低減されていることがわかる。
1 ラミネート外装体
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7、8 セパレータ
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板

Claims (8)

  1. トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、メチル硫酸リチウム、ベンゼンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドからなる群から選択される1種のリチウム塩と、
    N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、からなるリチウム塩錯化合物(但し、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1,3−ジオキソランとからなるリチウム塩錯化合物、及び、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN,N−ジメチルホルムアミドとからなるリチウム塩錯化合物を除く)
  2. トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、メチル硫酸リチウム、ベンゼンスルホン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドからなる群から選択される1種のリチウム塩と、
    N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、からなる請求項1に記載のリチウム塩錯化合物。
  3. メチル硫酸リチウムと、
    N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
    からなる請求項1又は請求項2に記載のリチウム塩錯化合物。
  4. メチル硫酸リチウムと、
    N−メチルピロリドン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、及びジメチルスルホキシドからなる群から選択される1種の化合物と、
    からなる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム塩錯化合物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウム塩錯化合物を含む電池用添加剤。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウム塩錯化合物を含む電池用非水電解液。
  7. 正極と、
    金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
    請求項6に記載の電池用非水電解液と、
    を含むリチウム二次電池。
  8. 請求項7に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
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