JP2014032777A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被膜形成剤添加の効果がより適切に発揮され、高い電池性能(例えば、耐久性)を有する非水電解質二次電池の提供を目的とする。
【解決手段】ここで開示される非水電解質二次電池の製造方法は、以下の工程:(1)導電材とバインダとオキサラト錯体化合物とを所定の溶媒中で混練する、第一混練工程;(2)上記第一混練工程で得られた第一混練物に正極活物質を投入してさらに混練する、第二混練工程;(3)上記第二混練工程で得られた第二混練物を正極集電体上に塗布することによって、該正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を得る工程;(4)上記正極を用いて電池を構築する工程;を包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質を備えた二次電池(非水電解質二次電池)に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて小型、軽量かつ高エネルギー密度であって、出力密度にも優れる。このため、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や、車載用の電源(車両駆動用電源)として好ましく用いられている。この種の電池は、典型的には、正極と負極と非水電解質とが電池ケースに収容され構築される。正極および負極には、対応する集電体上に電荷担体(典型的にはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵・放出し得る材料(活物質)を主体とする電極活物質層が備えられており、かかる電極間を電荷担体が行き来することによって充放電が行われる。
非水電解質二次電池では、充電時に非水電解質に含まれる成分(例えば非水溶媒や支持塩)の一部が分解され、正負極の活物質の表面にその分解物を含むSEI被膜(Solid Electrolyte Interphase被膜;例えばROCOLi等の有機物層やLiF,LiO等の無機物層であり得る。)が形成され得る。このようなSEI被膜によって、以後の非水電解質の分解や活物質を構成する元素(典型的には正極活物質を構成する遷移金属元素)の溶出が抑制されるため、電池性能(例えば耐久性)が向上し得る。しかしながら、SEI被膜の形成によって消費される電荷担体(例えばリチウムイオン)は不可逆容量となるため、かかる被膜の形成は電池容量低下の原因ともなり得る。
そこで、非水電解質よりも低い電位で分解し、活物質の表面に安定な被膜を形成し得る添加剤(以下、「被膜形成剤」ともいう。)を、電池内に含有させる手法が知られている。例えば特許文献1〜3には、非水電解液中に被膜形成剤としてのオキサラト錯体化合物(例えば、リチウムビス(オキサラト)ボレート)を含む非水電解液二次電池が開示されている。
特開2011−034893号公報 特開2007−250440号公報 特開2012−094369号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、電解液中に添加された被膜形成剤は、電極(電極活物質層)の端部から徐々に内部へと浸漬していく。このため、浸漬の早い部分(例えば長尺状の電極の幅方向における端部)では、集中的に被膜形成剤が分解され、浸漬のより遅い部分(例えば長尺状の電極の幅方向における中央部)に比べて厚いSEI被膜が形成されることがわかった。電極の面内でこのようなSEI被膜の形成ムラが生じた場合、該被膜の薄い部分(例えば幅方向における中央部)ほど充放電時に大電流が流れることとなるため、局所的に活物質が劣化する等の不都合を生じ、電池性能が低下する虞がある。とりわけ車両の駆動用電源等に用いられるような大型(高容量)の電池では、電極の面積が広い(例えば長尺状の電極の幅方向の長さがより長い)および/または充電電圧が高い(例えば正極の充電上限電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上に設定され得る)ため、このような現象が顕著である。
加えて、電解液中に添加された被膜形成剤は、一般に正極側に比べて負極側に多く(典型的には3倍以上多く、例えば10場合上多く)配分される傾向にある。このため、負極活物質層の内部に所望量以上の被膜形成剤が浸透し、該被膜形成剤が還元分解された場合、負極活物質の表面が厚いSEI被膜で覆われることによって電池性能(例えば、入出力特性)の低下やリチウム析出等の不都合を生じる虞がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上記被膜形成剤添加の効果がより適切に発揮され、安定した電池性能を有する(例えば、耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立し得る)非水電解質二次電池の提供を目的とする。関連する他の目的は、かかる非水電解質二次電池の製造方法を提供することである。
本発明によれば、非水電解質二次電池を製造する方法が提供される。上記方法は、以下の工程:(1)導電材とバインダとオキサラト錯体化合物とを所定の溶媒中で混練する、第一混練工程;(2)上記第一混練工程で得られた第一混練物に正極活物質を投入してさらに混練する、第二混練工程;(3)上記第二混練工程で得られた第二混練物を正極集電体上に塗布することによって、該正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を作製する工程;(4)上記正極を用いて電池を構築する工程;を包含する。なお、上記(1)〜(3)は、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極を作製する方法としても把握し得る。
上記製造方法では、まず導電材と被膜形成剤たるオキサラト錯体化合物とを混練することで、導電材の表面に被膜形成剤を付着させ、均一に分散させることができる。そこへ正極活物質を添加しさらに混練することで、正極活物質と被膜形成剤の付着した導電材とが均質に混ざり合った混練物を得ることができる。そして、該混練物を用いて正極活物質層を形成することで、被膜形成剤がムラなく配置された均質な正極活物質層を得ることができる。このような正極活物質層を備えた電池では、充電(典型的には初回充電)によって活物質の表面に均質なSEI被膜が形成されるため、それ以降の充放電における非水電解質の分解や活物質からの構成元素の溶出を好適に抑制することができる。したがって、該電池は優れた耐久性を発揮することができる。
加えて、被膜形成剤を正極活物質層内に含ませることで、負極活物質の表面に必要以上に厚いSEI被膜が形成されることを抑制し得る。したがって、該電池では従来に比べて負極側の抵抗が低減され、優れた入出力特性を発揮することができる。
このように、ここで開示される製造方法によれば、被膜形成剤(オキサラト錯体化合物)をより有効に利用するとともに該化合物の添加に伴う不都合を抑制することができる。その結果、高い電池性能を発揮し得る非水電解質二次電池を安定して製造することができる。
なお、本明細書において「非水電解質二次電池」とは非水電解質(典型的には、非水溶媒中に支持塩を含む電解液)を備えた電池を言い、リチウムイオン二次電池はその典型例である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含される典型例である。また、本明細書において「活物質」とは、正極または負極において電荷担体となる化学種(リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)し得る物質(化合物)をいう。
上記導電材としては、各種カーボンブラックを好ましく採用し得る。好適例として、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられる。また、上記導電材は粒子状であって、BET法に基づく比表面積が50m/g以上200m/g以下であることが好ましい。このような導電材を用いることで、被膜形成剤としてのオキサラト錯体化合物をより一層均質に正極活物質層内に分散することができる。
上記被膜形成剤としては、オキサラト錯体化合物のなかでも特に、下記式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(以下、「LiBOB」と略称する場合がある。)を用いることが好ましい。LiBOBは、活物質表面に安定性に優れた被膜を形成し得る。したがって、それ以後の充放電に伴う非水電解質の分解や、正極活物質からの金属元素の溶出を好適に抑制することができ、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
Figure 2014032777
また、正極活物質層に占める被膜形成剤としてのオキサラト錯体化合物の量は、正極活物質1gに対して、0.5μmol/g以上5.0μmol/g以下とすることが好ましい。上記オキサラト錯体化合物の量を0.5μmol/g以上(例えば1.0μmol/g以上)とすることで、活物質表面に好適な量のSEI被膜を形成することができる。したがって、正極活物質からの金属元素の溶出や、以後の充放電における非水電解質の分解を好適に抑制することができる。さらに上記オキサラト錯体化合物の量を5.0μmol/g以下(例えば4.0μmol/g以下)とすることで、SEI被膜が厚く形成されすぎることがなく、内部抵抗の増大を抑制することができる。このようにオキサラト錯体化合物の量を上記範囲とすることで、被膜形成剤添加の効果をより高いレベルで発揮することができる。
上記正極活物質としては、リチウム元素と少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの少なくとも1種)とを構成金属元素として含む、層状構造またはスピネル構造のリチウム遷移金属酸化物を好適に用いることができる。なかでも特に、構成元素としてリチウム元素、ニッケル元素、コバルト元素およびマンガン元素を含む、典型的には層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を好ましく採用し得る。リチウム遷移金属複合酸化物は、熱安定性に優れ、高エネルギー密度を実現し得る。しかし、その反面、該酸化物からは遷移金属元素(例えばマンガン(Mn)元素)が溶出し易い傾向にある。ここで開示される技術によれば、正極活物質表面に均質なSEI被膜を形成し得るため、かかる金属元素の溶出を好適に抑制することができ、より一層高い電池性能(例えば耐久性)を発揮することができる。
本発明の他の側面として、非水電解液二次電池が提供される。かかる電池は、正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、非水電解質とを備えている。そして、上記正極活物質層および負極活物質層は、オキサラト錯体化合物に由来するホウ素原子を含有する被膜を備えており、誘導結合プラズマ発光分光分析に基づき測定される単位面積当たりのホウ素原子の量は、正極活物質層>負極活物質層である。上記構成の電池では、正極活物質を構成する遷移金属元素の溶出がより一層抑制されている。さらに、負極活物質表面の被膜の形成が抑えられているため、負極側の抵抗が低い。このため、耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立することができる。
好ましい他の一態様では、上記正極は、長尺状の正極集電体上に所定の幅の正極活物質層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極である。そして、正極活物質層の幅方向における中央部分と端部分とでホウ素原子の量が均等である。または、正極活物質層の幅方向における中央部分を厚み方向に2分したときに、上層部と下層部とでホウ素原子の量が均等である。
上記構成の電池では、正極活物質層(具体的には正極活物質の表面)にムラなく均質なSEI被膜が形成されているため、正極活物質からの構成元素の溶出が好適に抑制され得る。したがって、例えば電池が充電された状態で保存された場合や、充放電を繰り返した場合に、該電池は優れた耐久性を発揮することができる。
また、ここで開示される製造方法によれば、被膜形成剤添加の効果が適切に発揮され、高い性能(例えば、耐久性と入出力特性)を安定して発揮し得る非水電解質二次電池が提供される。このような非水電解質二次電池は入出力特性に優れ、且つその入出力特性を長期間に亘って維持し得る。したがって、ここに開示される非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)は、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)や電気自動車(EV)等のような車両の駆動電源として好適に利用され得る。
一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法を示すフロー図である。 一実施形態に係る、非水電解質二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2の非水電解質二次電池のIII−III線断面図である。 一実施形態に係る、非水電解質二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 図4の捲回電極体のV−V線断面図である。 地点1〜6におけるホウ素原子濃度(相対値)を示すグラフである。
以下、ここで開示される非水電解質二次電池の好適な実施形態について説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。かかる構造の非水電解質二次電池は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。以下、リチウムイオン二次電池である場合を典型例としてより詳しく説明する場合があるが、本発明の適用対象をかかる電池に限定する意図ではない。
ここで開示される非水電解質二次電池の製造方法は、図1のフロー図に示すように、以下の工程を包含する。
(S10)導電材とバインダとオキサラト錯体化合物とを所定の溶媒中で混練する、第一混練工程
(S20)上記第一混練工程で得られた第一混練物に正極活物質を投入してさらに混練する、第二混練工程
(S30)上記第二混練工程で得られた第二混練物を正極集電体上に塗布することによって、該正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を作製する工程
(S40)上記正極を用いて電池を構築する工程
なお、上記(S10)〜(S30)は、正極集電体上に正極活物質層を備えた正極を作製する方法としても把握し得る。以下、各工程について順に説明する。
≪S10;第一混練工程≫
ここで開示される製造方法では、先ず導電材とバインダとオキサラト錯体化合物とを用意し、これらを所定の溶媒中で混練する。混練には、例えば、ボールミル、ロールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。上記混練における好ましい混練時間は、導電材と被膜形成剤とが均等に分散するまでの時間とすればよい。装置構成や混練条件によっても異なり得るが、混練時間は通常は10分〜3時間であり、好ましくは10分〜30分である。
第一混練工程の固形分濃度は特に限定されないが、例えば5質量%〜50質量%(好ましくは10質量%〜25質量%、より好ましくは10質量%〜15質量%)とすることができる。上記のように比較的高い固形分濃度とすることで、導電材と被膜形成剤とが強い力(例えば剪断力)で混練される。そのため、被膜形成剤の分散が進み(導電材と被膜形成剤とが分散されて均質な状態となり)、被膜形成剤が導電材の表面に強く吸着される。
<導電材>
導電材としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、コークス、活性炭、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。なかでも特に、カーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)を好ましく用いることができる。
ここに開示される技術では、被膜形成剤としてのオキサラト錯体化合物が導電材の表面に配置される。したがって、単位質量当たりの表面積(すなわち比表面積)が大きな導電材を用いることにより、その導電材上に配置されるオキサラト錯体化合物の表面積を大きくし得(換言すれば、同量のオキサラト錯体化合物をより広い面積により薄く配置することができ)、好適な被膜を形成することができる。かかる観点から、比表面積が、凡そ25m/g〜1000m/g(典型的には50m/g〜500m/g、好ましくは50m/g〜200m/g、例えば50m/g〜100m/g)程度の導電材を好ましく採用し得る。なお、本明細書において「比表面積」とは、いわゆるBET法(例えばBET1点法)に基づく比表面積測定によって測定された値を言う。
このような導電材は、典型的には粉末状(粒子状)であって、一般的なレーザ回折式・光散乱法に基づく粒度分布測定によって測定された累積10%粒径(D10)が0.1μm以上であり、且つ累積90%粒径(D90)が2μm以下のものを好ましく採用し得る。より好ましくは累積10%粒径(D10)が0.1μm以上0.3μm以下であり、且つ累積50%粒径(D50)が0.2μm以上0.6μm以下であり、且つ累積90%粒径(D90)が0.5μm以上1.5μm以下のものを用いる。導電材は、溶媒中で凝集し例えば数十〜数百μm程度の凝集体を形成し易い。しかし、上記のように粒径が小さいものを用いることによって、導電材の表面により一層薄く広くオキサラト錯体化合物を配置することができる。このため、正極活物質層中に被膜形成剤を均質に配置することができる。なお、ここで「粒子」とは、材料の状態において独立した粒子としてふるまう構造単位をいう。したがって、例えば複数の一次粒子が集合した二次粒子の形態をなし、溶媒に分散させた場合等に、二次粒子として(一次粒子の集合体としての体裁を維持したまま)分散する粒子においては、粒子とは二次粒子を意味するものとする。かかる形態の二次粒子では、上述したレーザ回折式粒度分布測定装置により得られる粒子径は、二次粒子についての粒子径となる。
また、ここで用いる導電材としては、例えば、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が50(mL/100g)〜500(mL/100g)(好ましくは100(mL/100g)〜200(mL/100g))であることが好ましい。なお、本明細書において「DBP吸油量(DEP吸収量ともいう)」とは、JIS K−6217−4のA法またはB法に規定される測定法による測定量をいい、被膜形成剤や溶媒等との親和性を表す量として把握され得る。
また、ここで用いる導電材としては、タップ密度が比較的小さいものが有利である。例えば、タップ密度が0.01g/cm以上であって、0.50g/cm以下(典型的には、0.30g/cm以下)のものを好ましく採用し得る。上記タップ密度は、JIS K1469に規定される測定法による測定値を採用することができる。
かかる性質(比表面積、粒径、DEP吸油量、タップ密度)のうち一または二以上を満たす炭素材料(典型的にはカーボンブラック、例えばアセチレンブラック)粉末を好ましく用いることができる。
<バインダ>
バインダとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、有機溶剤系の溶媒(分散媒の主成分が有機溶媒である溶媒)を用いて混練物を調製する場合には、有機溶剤に分散または溶解するポリマー材料を好ましく採用し得る。かかるポリマー材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。あるいは、水系の溶媒を用いて混練物を調製する場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。
水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系ポリマー;ポリウレタン等のウレタン系ポリマー;等が例示される。また、水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のビニル系重合体;ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のエチレン系ポリマー;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;等が挙げられる。
<オキサラト錯体化合物>
オキサラト錯体化合物としては、公知の方法により作製したもの、あるいは市販品の購入等により入手したものを特に限定せず一種または二種以上用いることができる。かかる化合物は、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)がホウ素(B)に配位した構造部分を有しており、典型例としては、下記式(II)または(III)で表されるような化合物が挙げられる。
Figure 2014032777
Figure 2014032777
ここで、式(II)中のRおよびRは、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br。好ましくはF)および炭素原子数1〜10(好ましくは1〜3)のパーフルオロアルキル基から、それぞれ独立して選択される。式(I)、(II)中のAは、無機カチオンおよび有機カチオンのいずれでもよい。無機カチオンの具体例としては、Li、Na、K等のアルカリ金属のカチオン;Be、Mg、Ca等のアルカリ土類金属のカチオン;その他、Ag、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、Mn、Ti、Pb、Cr、V、Ru、Y、ランタノイド、アクチノイド等の金属のカチオン;プロトン;等が挙げられる。有機カチオンの具体例としては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウイオン;トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン;その他、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン;等が挙げられる。好ましいカチオンの例として、リチウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンおよびプロトンが挙げられる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記オキサラト錯体化合物として、式(III)で表される化合物を用いる。なかでも好ましい例として、式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)が挙げられる。LiBOBは、活物質表面に強固で安定性に優れた被膜を形成し得る。したがって、それ以後の充放電に伴う非水電解質の分解反応や正極活物質からの金属元素の溶出を好適に抑制することができ、本願発明の適用効果をより高いレベルで発揮することができる。
<溶媒>
溶媒としては、上記混練物の調製に用いる材料を均一に分散または溶解し得る限りにおいて特に限定されないが、例えば従来から非水電解質二次電池の製造に用いられている溶媒のうち一種または二種以上を用いることができる。かかる溶媒は、有機溶剤と水系溶媒とに大別される。有機溶剤としては、例えば、アミド系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミン系溶剤、エーテル系溶剤、ニトリル系溶剤、環状エーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等用いることができる。より具体的には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロペン酸メチル、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、アセトニトリル、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられ、典型的にはNMPを用いることができる。また、水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒であることが好ましい。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。環境負荷の軽減、廃棄物の減量等の種々の観点から、特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒(例えば水)が挙げられる。
≪S20;第二混練工程≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記第一混練工程で得られた第一混練物に正極活物質を投入してさらに混練する。混練装置や条件は一般的な非水電解質二次電池の製造において正極活物質層形成用の混練物を作製する場合と同様とし得る。第二混練工程の混練時の固形分濃度は特に限定されないが、例えば50質量%〜75質量%(好ましくは55質量%〜65質量%、より好ましくは55質量%〜60質量%)とすることができる。
<正極活物質>
正極活物質としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等の、リチウム元素と少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの少なくとも1種)とを構成金属元素として含む、層状構造またはスピネル構造の酸化物;リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウム元素と遷移金属元素とを構成金属元素として含む、オリビン構造のリン酸塩;等が挙げられる。なかでも、構成元素としてリチウム元素、ニッケル元素、コバルト元素およびマンガン元素を含む、層状構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を主成分とする正極活物質(典型的には、実質的にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質)は、熱安定性に優れエネルギー密度も高いことから好ましく採用し得る。さらに、ここで開示される技術によれば正極活物質表面に均質なSEI被膜を形成し得るため、金属元素の溶出を好適に抑制することができる。したがって、より一層高い電池性能を発揮することができる。
このようなリチウム遷移金属酸化物としては、例えば従来公知の方法で調製されるもの(典型的には粒子状)をそのまま使用することができる。例えば、累積50%粒径(D50)が凡そ1μm〜25μm(好ましくは2μm〜10μm、より好ましくは6μm〜10μm、例えば6μm〜8μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されるリチウム遷移金属酸化物粉末を、好ましく用いることができる。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)を構成金属元素とする酸化物のほか、Li、Ni、Co、Mn以外に他の少なくとも一種の金属元素(Li、Ni、Co、Mn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの一種または二種以上の元素であり得る。また、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、及びリチウムマンガン酸化物についても同様である。上記置換的な構成元素の量は、特に限定されないが、例えば、当該置換元素とNiとCoとMnとの合計100質量%に対し、0.05質量%以上(典型的には0.1質量%以上、例えば0.2質量%以上)であって、5質量%以下(典型的には3質量%以下、例えば2.5質量%以下)とすることができる。
また、例えば、一般式:xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO(前式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x≦1を満たす)で表されるような、いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物を用いることもできる。
なお、ここで調製される混練物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、各種添加剤(例えば、過充電時においてガスを発生させる無機化合物や、分散剤として機能し得る材料)等を添加することもできる。上記過充電時にガスを発生させ得る化合物としては炭酸塩(例えば、炭酸リチウム)等が挙げられる。また、上記分散剤としては疎水性鎖と親水性基をもつ高分子化合物(例えばアルカリ塩、典型的にはナトリウム塩);硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等を有するアニオン性化合物;アミン等のカチオン性化合物;等が挙げられる。より具体的には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ブチラール、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ等が挙げられる。
好ましい一態様では、正極作製工程(S30)の前に、上記得られた混練物(第二混練物)を塗布に好適な状態に調整する。かかる調整は、例えば溶媒の添加等によって行うことができる。好適な一態様では、上記得られた第二混練物に所定の溶媒を添加して、スラリー状(ペースト状、インク状を包含する。以下同様。)に調整する。かかるスラリーは、液温:25℃において、E型粘度計を用いてロータ回転数1rpmで測定したときの粘度が、概ね10000mPa・s以下(例えば1000〜10000mPa・s、好ましくは8000mPa・sm以下、より好ましくは5000mPa・sm以下、特に好ましくは3000mPa・sm以下)であることが好ましい。このような粘度に調製することで、塗工スジや厚みムラ等が生じることを抑制し得る。また、スラリーの固形分率は、作業効率(例えば乾燥時間の短縮)等の観点から、より高く調製することが好ましい。例えば凡そ40%以上(好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上)であって、90%以下(好ましくは80%以下)に調製することが好ましい。
≪S30;正極作製工程≫
ここで開示される製造方法では、次に、第二混練物(第二混練物に溶媒を添加してスラリー状に調製したものであり得る。)を正極集電体上に塗布することによって、該正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を作製する。混練物の塗布には、例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の従来公知の塗布装置を用いることができる。
正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好ましく用いることができる。集電体の形状は構築される電池の形状等に応じて異なり得るため特に限定されないが、例えば棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。なお、後述する捲回電極体を備えた電池では、主に箔状体が用いられる。箔状集電体の厚みは特に限定されないが、電池の容量密度と集電体の強度との兼ね合いから5μm〜50μm(より好ましくは8μm〜30μm)程度のものを用いることができる。
特に限定されるものではないが、正極集電体の単位面積当たりに設ける正極活物質層の質量(正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜40mg/cm(典型的には10mg/cm〜30mg/cm)程度とすることができる。正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成において、正極集電体の各々の面に設けられる正極活物質層の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。正極活物質層に占める導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して例えば凡そ2質量部〜20質量部とすることができ、通常は凡そ2質量部〜15質量部(例えば2質量部〜10質量部、典型的には3質量部〜7質量部)とすることが好ましい。正極活物質層に占めるバインダの割合は、正極活物質100質量部に対して例えば凡そ0.5質量部〜10質量部とすることができ、通常は凡そ1質量部〜5質量部(例えば2質量部〜7質量部、典型的には2質量部〜5質量部)とすることが好ましい。
オキサラト錯体化合物の好適な割合は、例えば正極活物質の種類、性状(例えば、粒径や比表面積)、粒子構造、表面状態等によって異なり得る。一般的には、他の条件(活物質の種類や粒子構造等)が同様であれば、粒径が小さくおよび/または比表面積が大きくなるほど、好適なオキサラト錯体化合物の添加量は増加する傾向にある。このため添加量は特に限定されないが、あまりに少ない場合は負極活物質表面に形成される被膜が薄くなり電池の耐久性(保存特性やサイクル特性)が低下する虞がある。一方、添加量があまりに多い場合は負極活物質表面に形成される被膜が厚くなり、充放電に伴う抵抗が増大する虞がある。よって、正極活物質層に占めるオキサラト錯体化合物の量は、正極活物質1gに対して、0.5μmol/g以上(典型的には1.0μmol/g以上、好ましくは1.5μmol/g以上)であって、5.0μmol/g以下(典型的には4.5μmol/g以下、好ましくは4.0μmol/g以下)とすることが好ましい。上記添加量を満たす場合、活物質表面全体に好適な量のSEI被膜を形成することができる。したがって、オキサラト錯体化合物による効果が適切に発揮され、高い耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
好ましい一態様では、第二混練物を付与した後に、適当な乾燥手法で溶媒を除去する。かかる手法としては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線等による乾燥を単独または組み合わせて用いることができる。
好ましい他の一態様では、上記正極に適宜プレス処理を施すことによって、正極活物質層の厚みや密度を調整する。該プレス処理には、例えば、ロールプレス法、平板プレス法等、従来公知の各種プレス方法を採用することができる。プレス処理後の正極活物質層の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。また、正極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば1.5g/cm以上(典型的には2g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(典型的には4.2g/cm以下)とすることができる。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
≪S40;電池構築工程≫
そして、上記作製した正極と、負極活物質を含む負極活物質層を備えた負極と、非水電解質と、を用いて非水電解質二次電池を構築する。
<負極>
ここで開示される非水電解質二次電池の負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極活物質層と、を備えている。かかる負極を作製する方法は特に限定されないが、例えば負極活物質とバインダ等とを適当な溶媒中で混合してスラリー状の組成物を調製し、該スラリーを負極集電体上に付与して負極活物質層を形成することで作製し得る。該スラリーの固形分濃度は特に限定されないが、例えば40質量%〜65質量%(好ましくは45質量%〜55質量%、より好ましくは45質量%〜50質量%)とすることができる。負極活物質層の形成方法や乾燥方法は、上述した正極の場合と同様の手法であり得る。
負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を好ましく用いることができる。また、負極集電体の形状は正極集電体の形状と同様であり得る。
負極活物質としては、従来から非水電解質二次電池に用いられる物質の一種または二種以上の材料を特に限定することなく使用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、天然黒鉛(石墨)、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)、カーボンナノチューブ等の炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化錫、リチウムケイ素複合酸化物、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO、例えばLiTi12、LiTi、LiTi)、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム錫複合酸化物等の金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物等の金属窒化物材料;スズ、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、リチウム等の金属もしくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料;等を用いることができる。なかでも特に、還元電位(vs.Li/Li+)が凡そ0.5V以下、より好ましくは0.2V以下(例えば0.1V以下)の負極活物質は、高いエネルギー密度を実現し得るため、好ましい。かかる低電位となり得る材料としては、黒鉛系の炭素材料(典型的にはグラファイト粒子)が挙げられる。或いは、グラファイト粒子が非晶質(アモルファス)な炭素材料でコート(被覆)された形態の粒子であってもよい。かかる粒子は、非晶質な炭素材料で表面をコートされているため非水電解質との反応性が相対的に低く抑えられている。したがって、かかる粒子を負極活物質として用いた非水電解質二次電池では、不可逆容量が抑制され、高い耐久性を発揮することができる。
バインダとしては、上記正極活物質層用のバインダとして例示したポリマー材料から適当なものを選択することができる。具体的には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示される。その他、分散剤や導電材等の各種添加剤を適宜使用することもできる。
負極集電体の単位面積当たりに設けられる負極活物質層の質量(負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることができる。負極集電体の両面に負極活物質層を有する構成において、負極集電体の各々の面に設けられる負極活物質層の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。負極活物質層の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。負極活物質層の密度を上記範囲とすることで、非水電解質との界面を好適に保ち、耐久性と入出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)である。バインダを使用する場合には、負極活物質層に占めるバインダの割合を、負極活物質100質量部に対して例えば1質量部〜10質量部とすることができ、通常は凡そ1質量部〜5質量部とすることが適当である。
そして、上記負極に適宜プレス処理を施すことによって、負極活物質層の厚みや密度を調整することができる。プレス処理後の負極活物質層の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。また、負極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば0.8g/cm以上(典型的には1.0g/cm以上)であって、1.6g/cm以下(典型的には1.5g/cm以下、例えば1.4g/cm以下)とすることができる。
<電極体>
上記正極および負極を積層し、電極体を作製する。ここで開示される非水電解質二次電池の典型的な構成では、正極と負極との間にセパレータが介在される。該セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられるものと同様の各種多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム、不織布等)が挙げられる。かかる多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複数構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、上記多孔質シート、不織布等の片面または両面(典型的には片面)に、多孔質の耐熱層を備える構成のものであってもよい。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。なお、固体状の非水電解質を用いた二次電池(リチウムポリマー電池)では、上記非水電解質がセパレータを兼ねる構成としてもよい。
<正極と負極との容量比>
特に限定するものではないが、上記正極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該正極活物質の質量(g)との積で算出される正極容量(C(mAh))と、上記負極活物質の単位質量当たりの理論容量(mAh/g)と該負極活物質の質量(g)との積で算出される負極容量(C(mAh))と、の比(C/C)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9(例えば1.7〜1.9)とすることが好ましい。対向する正極容量と負極容量の割合は、電池容量(または不可逆容量)やエネルギー密度に直接的に影響し、電池の使用条件等(例えば急速充電)によってはリチウムの析出を招き易くなる。対向する正負極の容量比を上記範囲とすることで、電池容量やエネルギー密度等の電池特性を良好に維持しつつ、リチウムの析出を好適に抑制することができる。
<非水電解質>
非水電解質としては、典型的には適当な非水溶媒に支持塩(典型的には、リチウム塩)を含有させた組成を有するが、液状の非水電解質にポリマーが添加され固体状(典型的には、いわゆるゲル状)となった非水電解質であってもよい。
上記支持塩としては、一般的な非水電解質二次電池と同様のものを、適宜選択して使用することができる。例えば、リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。このような支持塩は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、電解液は、例えば上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。さらに、常温(例えば25℃)において液状を呈する電解液を用いることが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的な非水電解質二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等が例示される。なお、上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味であり、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。電解液としてかかる非水溶媒を含む場合、後述するセルの充電時において負極活物質表面に良質な被膜を形成し得る。なかでも比誘電率の高いECや、酸化電位が高い(電位窓の広い)DMCやEMC等を好適に用いることができる。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水溶媒を好ましく用いることができる。
<電池ケース>
電池ケースとしては、従来から非水電解質二次電池に用いられる材料や形状を用いることができる。該ケースの材質としては、例えば、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が挙げられる。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は特に限定されず、例えば、円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。また、該ケースには電流遮断機構(電池の過充電時に、内圧の上昇に応じて電流を遮断し得る機構)等の安全機構を設けることもできる。
<コンディショニング>
好ましい一態様では、上記構築後の電池に所定の条件で充電処理(コンディショニング)を施す。この充電処理によってオキサラト錯体化合物が分解され、活物質の表面にSEI被膜が形成される。かかるSEI被膜により正極活物質からの金属元素の溶出を抑制することができる。また、負極活物質の表面と非水電解質との界面が安定化されるため、非水電解質の更なる分解を防ぐことができる。その結果、電池の耐久性を向上させることができる。
充電処理における正負極端子間の電圧(典型的には最高到達電圧)は、例えば使用する電極材料(活物質)や非水電解質等によっても異なるが、少なくとも負極の電位がオキサラト錯体化合物の分解され得る電位(還元電位(vs.Li/Li+))よりも低くなるよう設定する必要がある。また、正極の電位が高すぎると非水電解質の酸化分解反応を促進する等、電池性能に悪影響及ぼす虞がある。したがって、充電処理における正負極端子間の電圧(典型的には最高到達電圧)は、該電池の上限電圧を大きく上回らない程度に設定することが好ましい。例えばSOC100%における端子間電圧を4.1Vとする電池では、充電電圧を2V以上4.5V以下(典型的には3.5V以上4.2V以下)とすることができる。
電圧を調整する際は、充電開始から正負極端子間電圧が所定値に到達するまで定電流で充電する、定電流充電(CC充電)により行ってもよく、あるいは、充電開始から正負極端子間電圧が所定値に到達するまで定電流で充電し、さらに定電圧で所定時間充電する、定電流定電圧充電(CCCV充電)により行ってもよい。通常は、CCCV充電方式を好ましく採用し得る。これにより、オキサラト錯体化合物を好適に分解し得、活物質の表面に強固で緻密な被膜を安定的に形成することができる。CC充電時(CCCV充電方式におけるCC充電時であり得る。)の充電レートは特に限定されず、例えば1/50C〜5C(1Cは、1時間で満充放電可能な電流の値)程度とすることができる。通常は、上記充電レートを1/30C〜2C程度(例えば1/20C〜1C)程度とすることが適当である。充電レートが低すぎると、処理効率が低下しがちである。また、充電レートが高すぎると、正極活物質が劣化したり、形成される皮膜の均一性が低下したり、該皮膜の還元分解防止性能が低下傾向となったりすることがあり得る。
なお、上記充電処理は一回でもよく、例えば二回以上の充放電操作を繰り返し行うこともできる。さらに、電池性能に大きな悪影響を与えない範囲内で、その他の操作(例えば、拘束等による圧力の負荷や超音波の照射)を併用することもできる。
<エージング>
好ましい一態様では、上記充電状態を保ったまま所定の時間保持(エージング)する。かかる保持時間は特に限定されないが、例えば0.5時間〜72時間であり、典型的には1時間〜48時間である。これにより、活物質表面をより確実にSEI被膜によって被覆し得る。かかる保持は高温環境下(例えば40℃以上、典型的には50℃〜70℃)で行うこともできる。高温環境下で行うことで、比較的短時間で、活物質の表面にムラなくSEI被膜を形成し得る。
なお、一般的には上記温度条件を60℃以上とすると、保持の途中で正極活物質に含まれる遷移金属元素の一部が溶出することがあり得る。このような遷移金属元素の溶出は、正極活物質がリチウム遷移金属酸化物を含む場合に起こりすく、特に構成金属元素としてMnを含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)を含む場合に起こりやすい。正極活物質から遷移金属元素が溶出すると、該正極活物質の組成が変化して電池の耐久性能が低下傾向となることがあり得る。また、溶出した遷移金属元素が正極活物質の外部(例えば負極)において析出すると、負極活物質の実効容量(充放電に寄与し得る容量)を消費し、電池の容量維持率を低下させる要因となり得る。しかしながら、ここに開示される技術によれば、充電処理により(主として初回充電処理により)、正極活物質層内に均質に配置されたオキサラト錯体化合物が分解され、その分解生成物が正極活物質の表面に付着(堆積、吸着等)する。これによって正極活物質の表面にSEI被膜が形成され得るため、上記正極活物質からの遷移金属元素(例えばMn)が溶出する事象が防止され得る。
ここで開示される非水電解質二次電池では、少なくとも電池構築直後に正極活物質層中にオキサラト錯体化合物が含まれていればよく、その後オキサラト錯体化合物の一部または全部が変質(電離、分解等)していてもよい。上述の通り、電池構築直後に含まれる大部分のオキサラト錯体化合物はコンディショニング等の充電処理(典型的には初回充電処理)によって活物質の表面で分解され、該活物質上にホウ素(B)原子を含む被膜を形成し得る。したがって、本発明においては電池の構築から時間の経った電池(例えば、充電処理後の電池)において、必ずしもオキサラト錯体化合物そのものが残存していることを要しない。
オキサラト錯体化合物(例えばLiBOB)を含む正極活物質層を用いてなる非水電解質二次電池であることは、例えば、該電池の構成部材(正極活物質層、負極活物質層、非水電解質等)から測定試料を採取し、誘導結合プラズマ発光分光分析(Inductively Coupled
Plasma Atomic Emission Spectroscopy:以下、「ICP‐AES」という。)や、イオンクロマトグラフィ等によりホウ素(B)を検出することによって把握し得る。より具体的には、電池を解体して取り出した構成部材を適当な溶媒(例えばEMC)で洗浄した後、該構成部材から測定試料(正極活物質層、負極活物質層等)を採取する。そして、かかる測定試料を酸溶媒中に溶解(溶出)させ、この溶液をICP‐AESにより分析することによって、活物質上に存在するホウ素(B)原子の総量を測定することができる。
ここで開示される技術では、正極活物質層中にオキサラト錯体化合物を含有する。このため、上記測定により得られたホウ素(B)原子の含有量(μg)を、測定試料の面積(cm)で除すことによって求められる単位面積当たりのホウ素(B)原子の量(μg/cm)は、正極活物質層>負極活物質層の関係であり得る。これに対し、電池構築時に非水電解質中にオキサラト錯体化合物を添加した場合は、一般に該オキサラト錯体化合物が負極側に多く(典型的には3倍以上多く、例えば10場合上多く)配分される。このため、かかる電池で測定されるホウ素(B)原子の量は、一般に正極活物質層≦負極活物質層(典型的には正極活物質層<負極活物質層)の関係であり得る。このように、正極活物質層および負極活物質層中のホウ素原子の含有量を測定することによって、オキサラト錯体化合物を含む正極活物質層を用いてなる非水電解質二次電池であることを区別し得る。なお、上記にはAESを検出器として用いる手法を示したが、これに限定されず、勿論他の分析手法(例えば、MS(Mass Spectrometry))をも使用し得る。
また、ここで開示される技術によれば、正極活物質層中にオキサラト錯体化合物が均等に配置されているため、該正極活物質層中にはホウ素(B)原子が万遍なく存在し得る。換言すれば、正極活物質層の部位に依らず、ホウ素(B)原子の濃度が均等(例えば最も濃度が高い部分と最も濃度の低い部分との差が5%以内(好ましくは4%以内))であり得る。より具体的には、例えば長尺状の正極集電体上に所定の幅の正極活物質層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極において、正極活物質層の幅方向における中央部分と端部分とでホウ素原子の量が均等であり得る。または、正極活物質層の幅方向における中央部分を厚み方向に2分したときに、上層部と下層部とでホウ素原子の量が均等であり得る。なお、本明細書において「均等」とは、典型的には最も濃度が高い部分と最も濃度の低い部分との差が5%以内(好ましくは4%以内)であることをいう。また、例えば4.0%と3.9%のような該電池の性能に大きく影響しない程度の微差をも包含する。このような正極活物質層を備えた電池では、正極活物質の表面にムラなく均質なSEI被膜が形成されている。したがって、正極活物質からの構成元素(典型的には遷移金属元素、例えばMn)の溶出が好適に抑制され得、優れた耐久性を発揮することができる。
特に限定することを意図したものではないが、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体(捲回電極体)と、非水電解質と、を扁平な直方体形(角形)の容器に収容した形態の非水電解質二次電池(単電池)を例とし、図2〜5にその概略構成を示す。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。
ここで開示される技術の一実施形態に係る非水電解質二次電池は、例えば図2および図3に示すように、捲回電極体80が、図示しない非水電解質とともに、該電極体80の形状に対応した扁平な直方体形状(角形)の電池ケース50に収容された構成を有する。この電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体形状(角形)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備える。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、外部接続用の正極端子70および負極端子72が、それら端子の一部が蓋体54か
ら電池の外方に突出するように設けられている。また、蓋体54には電池ケース内部で発生したガスをケースの外部に排出するための安全弁55が備えられている。かかる構成の非水電解質二次電池100は、例えば、ケース50の開口部から電極体80を内部に収容し、該ケース50の開口部に蓋体54を取り付けた後、蓋体54に設けられた図示しない電解液注入孔から非水電解質を注入し、次いでかかる注入孔を塞ぐことによって構築される。
図4および図5は、捲回電極体80を組み立てる前段階における長尺状のシート構造(電極シート)を模式的に示す図である。捲回電極体80は、長尺状の正極集電体12の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って正極活物質層14が形成された正極シート10と、長尺状の負極集電体22の片面または両面(典型的には両面)に長手方向に沿って負極活物質層24が形成された負極シート20とを重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形されている。そして、正極活物質層14と負極活物質層24との間は、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。ここに示す例では、捲回電極体80を作製するに際して、上記絶縁層として長尺シート状のセパレータ40を使用している。この例では、負極活物質層24の幅b1は、正極活物質層14の幅a1よりも少し広い(b1>a1)。さらに、セパレータ40の幅c1は負極活物質層24の幅b1よりも少し広く、c1>b1>a1である。
なお、正極シート10は、その長手方向に沿う一方の端部において正極活物質層14が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体12が露出するよう形成されている。同様に、負極シート20は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層24が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体22が露出するように形成されている。そして、正極集電体12の該露出端部に正極集電板が、負極集電体22の該露出端部には負極集電板がそれぞれ付設され、上記正極端子70(図2)および上記負極端子72(図2)とそれぞれ電気的に接続されている。
また、本発明によると、ここで開示される非水電解質二次電池(単電池)を複数組み合わせた組電池が提供される。単電池を複数個相互に(典型的には直列に)接続してなる組電池では、構成する単電池のなかで最も低い性能のものに全体の性能が左右され得る。ここで開示される非水電解質二次電池は、従来の電池に比べて信頼性が高く、耐久性や入出力特性に優れるため、組電池として一層高い電池性能を発揮し得る。
ここで開示される非水電解質二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、オキサラト錯体化合物添加の効果が好適に発揮され、従来に比べ電池性能(例えば、耐久性や入出力特性)が優れていることを特徴とする。よって、このような性質を利用して、例えば車両に搭載される駆動用電源として好適に用いることができる。車両は、典型的には自動車であり、例えば、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車、電動車いす、電動アシスト自転車等であり得る。したがって、本発明の他の側面として、ここで開示されるいずれかの非水電解質二次電池を(好ましくは動力源として)備えた車両が提供される。車両は、複数個の非水電解質二次電池を、典型的にはそれらが並列接続された組電池の形態で備えるものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<例1>
(正極シートの作製)
先ず、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、オキサラト錯体化合物としてのLiBOBと、を用意した。次に、正極活物質100質量部に対してABとPVdFとがそれぞれ5質量部となるよう混練機に投入し、さらに正極活物質1gに対してLiBOBが3.0μmol/gとなるよう混練機に投入し、固形分濃度が15質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調製しながら混練して第一混練物を調製した(第一混練工程)。得られた第一混練物に、正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)を投入し、NMPで粘度を調製しながらさらに混練して第二混練物を調製した(第二混練工程)。得られた第二混練物を固形分濃度が60質量%のスラリー状に調製し、このスラリーを厚み15μm、長さ4500mmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に、幅94mmで目付量が(両面で)20mg/cmとなるように塗布し、乾燥後にプレスすることによって正極集電体上に正極活物質層を有する正極シート(厚み170μm、電極密度2.8g/cm)を作製した。
(非水電解質二次電池の構築)
次に、負極活物質として、粒径:5μm、比表面積:3m/gの性状を有する天然黒鉛を用意した。かかる天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、分散剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるよう混練機に投入し、固形分濃度が45質量%となるようにイオン交換水で粘度を調製しながら混練し、スラリー状の組成物を調製した。このスラリーを、厚み14μm、長さ4700mmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に、幅100mmで目付量が(両面で)15mg/cmとなるように塗布し、乾燥後にプレスすることによって負極集電体上に負極活物質層を有する負極シート(厚み150μm、電極密度1.4g/cm)を作製した。
上記で作製した正極シートと負極シートとを、2枚のセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造であって、厚み20μm、孔径0.09μm、気孔率48体積%のものを用いた。)とともに捲回し、扁平形状に成形して電極体を作製した。そして、電池ケースの蓋体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を電極体端部において露出した正極集電体および負極集電体にそれぞれ溶接した。このようにして蓋体と連結された電極体を、該電池ケースの開口部からその内部に収容し、開口部と蓋体を溶接した。次に、蓋体に設けられた電解液注入孔から非水電解質(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解質を用いた。)を125g注液した。これにより、電池容量24Ahのリチウムイオン二次電池を計10個構築した。
(コンディショニングおよびエージング)
上記非水電解質の注液から6時間後に、以下の手順に従って構築した電池に前処理を施し、例1に係るリチウムイオン二次電池を得た。
(1)0.5C(15A)のレートで4.1Vまで定電流充電(CC充電)する。
(2)4.1Vで電流が0.1Aになるまで定電圧充電(CV充電)する。
(3)温度60℃の恒温槽内で48時間保持(エージング)する。
<例2>
上記温度60℃の恒温槽内で保存する時間を、24時間としたこと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を得た。
<例3>
上記正極シートの作製において、導電材とバインダとLiBOBと正極活物質とをすべて同時に投入したこと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を得た。
<例4>
上記正極シートの作製において、LiBOBを使用しなかったことと、導電材とバインダと正極活物質とをすべて同時に投入したこと以外は例1と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を得た。
<例5>
上記非水電解質中にLiBOBを1質量%の割合で添加したこと以外は例4と同様にして、本例に係るリチウムイオン二次電池を得た。
<性能評価>
(耐久性試験)
上記エージング処理の前後で、正負極端子間の開路電圧(open circuit voltage;OCV))を測定し、電圧の変化を評価した。ここでは、エージング処理後のOCV値からエージング処理前のOCV値を差し引いた値をΔVとして算出した。また、エージング処理後の各電池を3Vまで放電させた後に解体し、正極を取り出して、正極活物質層表面における内部短絡の形跡の有無を調べた。ここでは、該正極活物質を目視で確認し、内部短絡によって局所的に大電流が流れて変色した箇所の有無を調べた。結果を表1の「耐久性試験」の欄に示す。
Figure 2014032777
表1に示すように、非水電解質中にLiBOBを添加した例5の電池ではエージング処理後のΔVの値が大きく、さらに10個中8個の電池で内部短絡の発生が確認された。この原因としては、非水電解液中に添加されたLiBOBが、正極(正極活物質層)の端部から徐々に正極活物質層の内部へと浸漬したため、浸漬の早い部分で集中的に被膜形成剤が分解され(すなわち浸漬の早い部分で集中的に被膜が形成され)、被膜の形成ムラが生じたことが考えられる。すなわち、被膜ムラによって充放電時に被膜の薄い部分ほど大電流が流れることとなり、局所的な内部短絡や電池性能の低下につながったものと考えられる。また、正極(正極活物質層)の作製時にすべての材料を同時に投入した例3の電池でもエージング処理後のΔVの値が大きく、10個中4個の電池で内部短絡の発生が確認された。このことから、全ての正極活物質層形成用材料を同時に投入する方法ではLiBOBを正極活物質層内に均質に分散することができず、被膜の形成ムラが生じることが判明した。
これに対し、本実施例に係る例1,2およびLiBOBを添加しなかった例4の電池では、エージング後の電圧の低下(ΔV)が5mV以下(例えば例5の1/10以下)と小さく、内部短絡の発生も認められなかった。
(高温保存試験)
上記耐久性試験で内部短絡の発生しなかった電池を、SOCが90%になるよう充電操作を行って電圧を調整した。かかる電池を60℃の恒温槽内で720時間(凡そ30日間)保存した。その後、電池を恒温槽から取り出し、温度25℃にて、以下の手順に従って電池容量の確認を行った。
(1)1Cのレートで4.1VまでCC充電する。
(2)1.5時間CV充電する。
(3)1Cのレートで3VまでCC放電する。
そして、(3)における放電容量を、高温保存後の電池容量(Ah)とした。これを、理論容量(24Ah)で除して100を掛けた値を容量維持率(%)として表1の「高温保存試験」の欄に示す。
表1に示すように、LiBOBを添加しなかった例4の電池では、保存耐久試験後の容量が他の例に比べ大きく低下した。この原因としては、高温状態で保持している間に非水電解質の分解等が生じ、不可逆容量が増大したことが考えられる。これに対し、LiBOBを添加した例1,2,4,5の電池では容量維持率が93%以上と高い値を示し、とりわけ本実施例に係る例1,2の電池では容量維持率が95%以上(例えば96%)と最も高い値を示した。
(負極上のリチウム析出)
上記耐久性試験で内部短絡の発生しなかった電池を、温度−15℃にて、以下の手順に従って充放電させた。
(1)2C(60A)のレートで4.1VまでCC充電する。
(2)1.5時間CV充電する。
(3)1Cのレートで2.5VまでCC放電する。
上記(1)〜(3)の操作を3サイクル繰り返した後、電池を解体して負極を取り出した。そして、負極上に形成されている負極活物質層を目視で確認し、リチウム析出の有無を調べた。結果を表1の「リチウム析出」の欄に示す。
表1に示すように、非水電解質中にLiBOBを添加した例5の電池では、負極上にリチウムの析出が確認された。この原因としては、非水電解質中のLiBOBが負極側に多く配分され、該LiBOBが還元分解された結果、負極活物質におけるリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う抵抗が増大し、リチウム析出につながったことが考えられる。
これらの評価結果から明らかなように、ここで開示される技術によれば、保存特性(例えば高温保存特性)と入出力特性とをより高いレベルで両立し得ることが示された。さらに、ここで開示される技術によれば、内部短絡や負極上のリチウム析出に起因する電池不良を好適に抑制し得ることから、信頼性の高い非水電解質二次電池を製造し得ることが示された。
<LiBOB由来のB原子の分布状況の評価>
上記前処理(コンディショニングおよびエージング)後の各電池を3Vまで放電させた後、解体して正極および負極を取り出した。そして、非水電解質として用いた非水溶媒(EC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒)で2〜3回軽く洗浄してから、図5に示す(1)〜(12)の地点におけるB原子の濃度を測定した。より具体的には、先ず、図5に示す正極活物質層または負極活物質層の(1)〜(12)の地点をポンチで打ち抜いて面積1cmの測定用試料を得た。そして、該測定用試料を酸溶媒中(ここでは硫酸を用いた。)に加熱溶解させ、この溶液をICP−AESで分析することによって、ホウ素(B)原子の含有量(μg)を測定した。得られた測定値(μg)を測定用試料の面積(cm)で除すことにより、それぞれの地点における単位面積当たりのホウ素(B)原子の量(μg/cm)を算出した。例5における地点(1)の結果で標準化した値(%)を、表2(正極活物質層の結果)および表3(負極活物質層の結果)に示す。なお、表2および表3における「平均」の欄には、6地点におけるB原子濃度の算術平均値を表す。
Figure 2014032777
Figure 2014032777
表2および表3に示すように、例4の電池はLiBOBを添加していないため、全ての地点においてB原子は検出されなかった。それ以外のB原子の検出された例1,2,3,5の電池についてみてみると、非水電解質中にLiBOBを添加した例5の電池では、B原子濃度(平均値)が正極活物質層<負極活物質層だったのに対し、正極活物質層内にLiBOBを添加した例1〜3の電池では、B原子濃度(平均値)が正極活物質層≫負極活物質層だった。換言すれば、負極活物質層に比べ、正極活物質層では5倍以上(典型的には7倍以上、例えば10倍以上)のB原子濃度を示した。これは、従来技術とここで開示される技術との大きな差異を示すものである。
また、表2に示す正極活物質層の結果について、図6にその(横軸)地点とホウ素(B)原子濃度の相対値(縦軸)との関係を示す。図6のグラフから明らかなように、非水電解質中にLiBOBを添加した例5の電池では、電極の幅方向における中央部分(地点2および地点5)でB原子濃度が低く、正極活物質層の面内で濃度にムラが生じていた。また、正極作製時にすべての材料を同時に投入した例3の電池では、正極活物質層の厚み方向で濃度にムラが生じていた。具体的には、正極活物質層を厚み方向に2分したときに、上層部(地点1〜3)より下層部(地点4〜6)でB原子がやや高い濃度を示した。これに対し、本実施例に係る例1および例2の電池では、正極活物質層中の部位に拠らず、LiBOBが均等に配置されていた。すなわち、本実施例に係る例1および例2の電池では、正極活物質層の部位に依らず、ホウ素(B)原子の濃度が均等(例えば全地点の算術平均値±5%以内(典型的には±3%以内、例えば±2%以内)だった。換言すれば、最もB原子濃度が高い部分と最もB原子濃度が低い部分との差が5%以内(例えば4%以内))だった。
よって、ここで開示される製造方法によれば、正極活物質層内にムラなく均等にB原子(LiBOB)が配置され、該LiBOBが充電時に分解されることで正極活物質に均質な被膜が形成された電池を製造することができる。かかる電池ではLiBOB添加の効果が好適に発揮され、その結果高い電池性能を発揮し得ることが示された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
ここで開示される電池はオキサラト錯体化合物添加の効果が好適に発揮され、従来に比べ高い電池性能(例えば、耐久性や入出力特性)を発揮し得ることを特徴とする。したがって、高い耐久性や入出力特性が要求される用途で好適に用いることができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等の車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)を挙げることができる。
10 正極シート(正極)
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート(負極)
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート(セパレータ)
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 非水電解質二次電池

Claims (10)

  1. 非水電解質二次電池を製造する方法であって:
    導電材とバインダとオキサラト錯体化合物とを所定の溶媒中で混練する、第一混練工程;
    前記第一混練工程で得られた第一混練物に正極活物質を投入してさらに混練する、第二混練工程;
    前記第二混練工程で得られた第二混練物を正極集電体上に塗布することによって、該正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を作製する工程;および、
    前記正極を用いて電池を構築する工程;
    を包含する、非水電解質二次電池の製造方法。
  2. 前記正極活物質層に占める前記オキサラト錯体化合物の量は、前記正極活物質1gに対して、0.5μmol/g以上5μmol/g以下とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記導電材として、BET法に基づく比表面積が50m/g以上200m/g以下の粒子状のものを用いる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記導電材として、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックのうち少なくとも1種類を用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記オキサラト錯体化合物として、リチウムビス(オキサラト)ボレートを用いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記正極活物質として、層状構造またはスピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物を用いる、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 非水電解質二次電池であって、
    正極活物質を含む正極活物質層を有する正極と、負極活物質を含む負極活物質層を有する負極と、非水電解質とを備え、
    前記正極活物質層および負極活物質層は、オキサラト錯体化合物に由来するホウ素原子を含有する被膜を備え、
    誘導結合プラズマ発光分光分析に基づき測定される単位面積当たりのホウ素原子の量は、正極活物質層>負極活物質層である、非水電解質二次電池。
  8. 前記正極は、長尺状の正極集電体上に所定の幅の正極活物質層が該集電体の長手方向に沿って形成されている長尺状の正極であって、
    前記正極活物質層の幅方向における中央部分と端部分とでホウ素原子の量が均等である、請求項7に記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記正極活物質層の幅方向における中央部分を厚み方向に2分したときに、上層部と下層部とでホウ素原子の量が均等である、請求項7または8に記載の非水電解質二次電池。
  10. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により製造された非水電解質二次電池。
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