JP5995094B2 - リチウムイオン二次電池およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、出力特性に優れたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と、それら両電極間に介在された非水電解液とを備え、該電解液中のリチウムイオンが両電極間を行き来することにより充放電を行う。正極においてリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する活物質としては、主としてリチウム含有遷移金属酸化物が使用される。かかるリチウムイオン二次電池の性能向上を目的として正極活物質にタングステン等の異種元素を添加する構成が特許文献1に記載されている。このタングステンを含む正極活物質は、リチウムイオン二次電池に用いることで、例えば、出力特性を向上させ得ることが知られている。また、タングステンが正極活物質の粒子表面にリチウム(Li)とタングステン(W)の複合酸化物として存在する場合は、特に反応抵抗が小さくなることが知られている。
特開2009−140787号公報 特開2007−035356号公報
しかしながら、正極活物質の粒子表面に存在するタングステン(W)は非水電解液中に徐々に溶出してゆくため、かかる効果を長期にわたって持続させることは困難であった。
一方で、近年のリチウムイオン二次電池の利用拡大に伴い、用途によって様々な性能の向上が望まれている。例えば、自動車等のように、低温の0℃程度から60℃程度の高温環境下での使用が想定される用途では、かかる使用態様においても優れた出力特性を発揮させることが求められている。高温環境下でも優れた出力特性を得る目的で、電解液中に添加剤を添加する構成が、特許文献2に記載されている。
本発明は、出力特性に優れ、かつ充放電を繰り返した後の出力低下(例えば反応抵抗の増加によって把握され得る。)の抑制効果が長期に亘って維持されるリチウムイオン二次電池を提供することを一つの目的とする。
上記課題を解決するべく、本発明によると、正極と負極と非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池が提供される。ここで正極は、正極活物質として、リチウム遷移金属酸化物を主体として含む。そして、この正極活物質は、ニッケル(Ni),コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうち少なくとも一種の金属元素Mと、さらにタングステン(W)とを含むリチウム遷移金属酸化物を備えている。また、非水電解液は、少なくともジフルオロビスオキサラトホスフェート塩(以下、「PFO塩」と表記する場合がある。)を含むことを特徴としている。かかるPFO塩は、当該電池を組み立てる時点における非水電解液の添加剤として少なくとも含まれるものであり得る。
かかるリチウムイオン二次電池は、上記正極活物質としてWを含むものを使用し、且つPFO塩を含む非水電解液を用いて構築されていることから、初期反応抵抗(例えば、0℃程度の低温における初期反応抵抗)が効果的に低減され、出力特性に優れたものであり得る。当該電池は、また、充放電(例えば、60℃程度の高温での充放電)を繰り返しても、反応抵抗(例えば低温反応抵抗)の増加が抑制されており、優れた出力特性を長期に亘って維持するものであり得る。ここに開示される技術によると、Wを含む正極活物質の使用と、上記添加剤を含む非水電解液の使用との組み合わせによって、一方のみの適用により得られる効果を上回る(すなわち相乗的な)出力特性向上効果とその効果を長期に亘って維持し得る効果が発揮され得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様において、上記正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態を有し、該正極活物質に含まれる上記タングステン(W)は上記一次粒子の表面近傍に偏って存在(分布)しているものを採用し得る。かかる正極活物質によると、Wがその効果(例えば、反応抵抗を低減する効果)を効率よく発揮し得る位置に偏って配置されているので、Wの使用量の割に高い効果を得ることができる。また、電池材料の資源リスク低減の観点からも有利である。
このように一次粒子の表面に偏ってWが存在している正極活物質では、上記FPO塩を含む非水電解液の使用との組み合わせが特に有意義である。すなわち、FPO塩により正極活物質の表面に形成される皮膜の存在により、Wの溶出がより一層効果的に抑制されており、表面に偏在するWが長期に亘ってより有効に作用し得るためである。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様において、上記リチウム遷移金属酸化物としては、下記式(1)で示されるものの使用が好ましい。
LiNiCoMn …(1)
ここで、式(1)中、a×b×c×d≠0,0.9≦a≦1.2,b+c+d≦1,(b+c+d):x=1:0.001〜1:0.015である。
かかる構成のリチウム遷移金属酸化物によると、いわゆる三元系のリチウム遷移金属酸化物に固溶させるWを適正な量とすることができ、Wの過剰な使用による弊害(背反)をよりよく抑制し得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の好ましい一態様において、上記正極活物質は、表面から20nmの深度において存在する全元素に占めるタングステン(W)の割合が、0.1原子%以上5原子%以下であることを特徴としている。
上記の通り、かかるリチウムイオン二次電池は、Wを含む正極活物質と、FPO塩を含む非水電解質との使用により、正極活物質からのWの溶出が長期に亘って抑制され得る。例えば、表面から20nmの深度におけるタングステン(W)の割合が上記の範囲に維持されて、反応抵抗を低減する効果に関する耐久性が高められたものであり得る。
上記正極は、その表面に、前記ジフルオロビスオキサラトホスフェート塩に由来の化合物を含む皮膜を備えていることを特徴としている。
非水電解質に少なくとも含まれるジフルオロビスオキサラトホスフェート塩は、リチウムイオン二次電池の充放電処理(例えば、電池の構築後に行われるコンディショニング処理)によって、正極の表面に皮膜を形成し得る。かかる皮膜は、正極活物質の表面のWに働きかけ、フッ酸や電位等の影響によってWが正極活物質から溶出するのを効果的に抑制する効果があると考えられる。Wは、正極の反応抵抗を決めるとされるリチウムイオンの溶媒和エネルギーを低減させると考えられるため、正極における反応抵抗の低減により一層の効果を発揮し得る。すなわち、出力特性に優れ、充放電による性能劣化の抑制されたリチウムイオン二次電池が提供される。
本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。その製造方法は、上記正極活物質を有する正極を準備することと、上記ジフルオロビスオキサラトホスフェート塩を0.01mol/L以上0.1mol/L以下含む上記非水電解液を準備することと、上記正極と前記負極と前記非水電解液とを用いて電池を組み立てることと、上記組み立てた電池にコンディショニング処理を施すことと、を包含する。かかる方法によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池を好適に製造することができる。
上述のように、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池は、出力特性に優れ、且つ充放電を繰り返しても優れた出力特性が長期に亘って維持され得る。したがって、例えば、図3に示すように、自動車等の車両1に搭載される車両駆動用モータ(電動機)の電源として、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池100を好適に利用することができる。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車等であり得る。かかるリチウムイオン二次電池100は、単独で使用されてもよく、複数のものが直列および/または並列に接続されて組電池の形態で使用されてもよい。この明細書により開示される事項には、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池を備えた車両が含まれる。特に、かかるリチウムイオン二次電池を駆動電源として備える車両(例えば自動車)であるのが好ましい。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の正極活物質としては、上記金属元素MおよびWを含む組成のリチウム遷移金属酸化物を用いる。さらに、その非水電解液としては、支持塩に加えて、添加剤としてのジフルオロビスオキサラトホスフェート塩(FPO塩)を非水溶媒中に含む溶液を用いる。
上記非水電解液は、非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩と上記添加剤とを溶解させることによって調製することができる。FPO塩としては、下記の一般式(2)で表される化合物を主成分とするものであり得る。
Figure 0005995094
上記の一般式(2)において、カチオン(A)は一価の陽イオンであり、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられるほか、プロトン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオンなどのアンモニウムイオンであり得る。なかでも、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオン等の一価のアルカリ金属イオンであるのが好ましく、より好適にはリチウムイオンが例示される。
このようなFPO塩は、公知の方法により作成することができ、あるいは市販品の購入等により入手することができる。通常は、無機カチオン(例えばアルカリ金属のカチオン)との塩として好適に入手することができる。ここに開示される電解液添加剤の好適例としては、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート(LiPF(C:以下、単に「LPFO」と記す場合がある。)が挙げられる。
上記FPO塩の濃度は、正極活物質の組成や構成等に応じて適宜調整することができる。添加剤の濃度が低すぎると、充放電の繰り返しによる抵抗の上昇(抵抗増加率)を抑える効果が減少傾向となることがあり得る。そのため、FPO塩の濃度は、典型的には、0.005mol/L以上を目安とすることができ、好ましくは0.008mol/L以上、例えば0.01mol/L以上とすることができる。また、濃度が高すぎると初期抵抗を低減させる効果が減少傾向となることがあり得る。そのため、FPO塩の濃度は、典型的には1mol/L以下、好ましくは0.5mol/L以下、例えば0.1mol/L以下とすることができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、上記PFO塩に由来する化合物を含む皮膜を正極表面に有していることが好ましい。上記皮膜は、組み立て後の電池に対してコンディショニング処理等を施す工程において、電池を初期充電させる際、PFO塩が正極の表面および正極活物質の表面またはそれらの近傍において電気的に分解されて生成した化合物および他の電気分解生成物(例えば、電解液を構成する非水溶媒の分解生成物)によって形成され得る。
したがって、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、適当なコンディショニング処理が施された後や、電池の使用開始後においては、その非水電解液中の上記添加剤の一部または実質的に全部に近い量が電気分解された状態であり得る。すなわち、その非水電解液は上記PFO塩をごく微小量のみ含む組成であったり、実質的にほぼ含まない組成のものであり得る。かかる場合、電池を組み立てる時点における非水電解液の添加剤として少なくとも含まれていたPFO塩は、正極表面の皮膜成分(例えば、上記式(2)中のリン「P」やフッ素「F」等)としてその存在を確認することも可能である。
なお、FPO塩を含む電解液を用いて構築された電池であることは、具体的には、例えば、該電池の構成部材(正負極合剤層の表面等)から測定試料を採取し、定性分析あるいは定量分析等を行うことにより、特徴的な元素(例えば、P元素)を検出することによって把握することができる。かかる分析には、具体的には、例えば、電子線またはX線の照射により放出される電子についてのエネルギーを分析する分光分析(例えば、X線光電子分光分析(XPS)等)、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析、イオンクロマトグラフィ、マススペクトロメトリー(質量分析法;MS)等を採用することができる。例えば、このような分析手法によると、支持電解質(支持塩)としてLiPFを含む非水電解液を用いた電池であっても、LiPFに由来するP元素とは区別して、FPO塩に由来するP元素の存在を認識することができるために好ましい。また、上記電池の構築に用いられた電解液中のFPO塩の量(換言すれば、電池ケース内に供給された量)は、例えば、イオンクロマトグラフィにより正負極合剤層表面のシュウ酸イオン(Cイオン)等の量を定量する;該電池の容器内に溜まった非水電解液をイオンクロマトグラフィにより分析してFPO塩およびそれらの分解物に起因する化学種を定量する;等の方法により把握することができる。
上記支持塩としては、一般的なリチウムイオン二次電池において電解質として用いられるリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。これらリチウム塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解液は、例えば、電解質濃度が0.7〜1.5mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、EC,DMC,EMCの混合溶媒を好ましく使用することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池に用いることができる正極活物質は、Ni,CoおよびMnのうち少なくとも一種の金属元素Mと、さらにWを含んでいる。好ましい一態様では、Mが少なくともNiを含むものである。原子数換算で、Mのうち10%以上(典型的には10%〜100%、好ましくは30%〜90%、例えば30%〜60%)がNiである正極活物質を好ましく採用し得る。また、原子数換算で、MがNi、CoおよびMnをほぼ同量ずつ(すなわち、M全体を100原子%として、Ni、CoおよびMnをそれぞれ凡そ33原子%)含む正極活物質を好ましく採用し得る。そして、上記正極活物質は、含んでいる。Mに対するWの含有量は、一例として、原子比で、例えば0.0002〜0.2、すなわち、100原子のM当たり0.02〜20原子のWを含む程度の量とすることが例示される。
上記正極活物質は、代表的には、例えば、平均組成が一般式(1):LiNiCoMnで表わされるリチウム遷移金属酸化物を主体として含むものであり得る。上記式(1)中のaは、典型的には0.9≦≦1.2であり得る。bは、0≦b≦1、典型的には0.1<b≦1、例えば0.3<b<0.9、好ましくは0.3<b<0.6であり得る。cは、0≦c≦0.5、例えば0.1<c<0.4、好ましくは0.2<c<0.3であり得る。dは、0≦d≦0.5、例えば0.1<d<0.4、好ましくは0.2<d<0.3であり得る。ただし、b+c+d≦1であり、典型的には0.8≦b+c+d≦1、例えば0.9≦b+c+d≦1である。なかでも、a×b×c×d≠0、すなわち、b,cがいずれも0より大きい(換言すれば、Ni,Co,Mnの全てを含む)正極活物質を好ましく採用し得る。xは、例えば、(b+c+d):x=1:0.0002〜1:0.2、好適には、1:0.001〜1:0.015を満たすように設定することが好ましい。なお、上記式(1)は、電池構築時における正極活物質全体の平均組成(換言すれば、電池の製造に使用する正極活物質の平均組成)を指し、この組成は、通常、該電池の完全放電時の組成と概ね同じである。
なお、上記の「主体として含む」との意は、正極活物質の50質量%以上がかかるリチウム遷移金属酸化物からなることを意味している。典型的には70質量%以上が、好ましくは80質量%以上が、例えば90質量%以上(より好適には、実質的に95質量%以上であり得る。)が、リチウム遷移金属酸化物からなる形態であり得る。
さらに、正極活物質は、以下の式(2)で表わされるリチウム遷移金属酸化物:
LiNiCoMn ・・・(2)
であり得る。ここで、Mは、Al,Zr,Nb,Cr,Fe,V,Ti,Mo,Cu,Zn,Ga,In,Sn,La,Ce,Ca,MgおよびNaから選択される一種または二種以上の元素であり、好ましくは、0<M≦0.05であり得る。なお、a,b,c,d,xの値は上記のとおりである。すなわち、上記の元素Mが固溶、拡散等によりさらに含まれた形態であり得る。
ここに開示される技術における正極活物質(典型的には粒子状)は、例えば、その粒子表面から20nmの深度までエッチングを施し、これによって露出した部位をXPS(X線光電子分光法)により分析した際、当該深度20nm部位における全元素(典型的には、HおよびHeを除く全元素。本発明においては、典型的には、リチウム、酸素、炭素、リチウム遷移金属酸化物を構成する各種金属元素等)の総数を100原子%として、当該部位に存在するWの割合は、0.1原子%以上5原子%以下(例えば、0.2原子%以上3原子%以下)であり得る。
なお、上記方法を採用することにより、正極活物質の調製(製造)時にその粒子表面に付着したリチウム源(例えば炭酸リチウム等)や他の化合物等の影響を受けずに、正極活物質の粒子表面付近における元素組成を分析することができる。正極活物質粒子のエッチングは、例えば、後述する実施例中に記載される方法等により実施することができる。
なお、上記のXPS分析は、具体的には、例えば、アルバック・ファイ株式会社製の走査型X線光電子分光分析装置(Quantera SXM)を用い、非大気暴露環境において測定して得たXSPスペクトルを解析することによって得られたデータを基にすることができる。なお、線源には、25℃の温度下で、15kV、10mAの条件で放射される単色光AlKα線(1486.6eV)を用い、分析面積を300μm×800μm程度として分析することができる。
ここに開示される技術における正極活物質は、好ましくは、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態をなす。好ましい一態様では、Wが、かかる正極活物質の一次粒子表面に偏って(すなわち、一次粒子の中心よりも表面側に向かうに連れて高濃度に)存在(分布)している。
ここで、Wが「一次粒子表面に偏って存在する」とは、一次粒子の内部に比べて、一次粒子の表面(粒子の粒界であり得る)に集中してWが分布していることを意味する。したがって、Wが粒界のみに存在する(換言すれば、一次粒子の内部には全くあるいは略存在しない)態様のみを意味するものではない。Wが一次粒子の表面に偏って存在していることは、例えば、活物質粒子(一次粒子および二次粒子のいずれであってもよい。)についてエネルギー分散型X線分光法(EDX: Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)を用いてWの分布をマッピングし、そのマッピング結果においてWが粒界に集中して存在する(一次粒子の内部に比べて粒界では面積当たりのW存在量が多い)様子が認められることにより把握することができる。上記粒界(一次粒子の表面)の位置は、例えば、正極活物質粒子の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により把握することができる。EDXを備えたTEMを好ましく使用し得る。上記正極活物質は、同時に、EDX画像観察により、粒界(一次粒子表面)においてはWの元素分布に顕著な偏差(凝集塊等)が認められないものであり得る。あるいは、電池を分解して取り出した正極シート表面をEDX分析しても、同様にW分布に顕著な偏差が認められないものであり得る。
ここに開示される技術における正極活物質は、例えば、湿式法によって調製した水酸化物(前駆体)を、適当なリチウム源(例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム等のリチウム塩)と混合し、所定の温度で焼成することにより形成することができる。以下、平均組成がLiNiCoMnで表される正極活物質を代表的な例として、該正極活物質の製造方法を説明する。上記湿式法による水酸化物の調製は、具体的には、M塩(ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩等)を含む水溶液(M水溶液)と、W含有塩を含む水溶液(W水溶液)とを、アルカリ性条件下で混合して上記水酸化物を析出(晶析)させることにより実施することができる。例えば、初期pHが11〜14のアルカリ性水溶液に、当該初期pHを維持しながら、M水溶液とW水溶液とを適当な速度で添加・混合・攪拌するとよい。このとき、反応液の温度は、20〜60℃の範囲とすることが好ましい。
上記水酸化物は、その平均組成が一般式(3):NiCoMn(OH)2+α;で表される化合物であり得る。ここで、αは、0≦α≦0.5を満たすことが好ましい。上述の湿式法によって得られた当該水酸化物を前駆体として用いると、W元素が一次粒子表面に偏って存在するリチウム含有酸化物が好適に形成され得る。また、かかる酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池は、出力特性(例えば、低温での出力特性)に優れ、且つ充放電による出力低下の抑制されたものであり得る。上記前駆体とリチウム源とを混合する際は、湿式法および溶媒を用いない乾式混合法のいずれを採用してもよい。簡便性およびコスト性の観点からは、乾式混合法が好ましい。
上記アルカリ性水溶液としては、強塩基(アルカリ金属の水酸化物等)および弱塩基(アンモニア等)を含み、且つ上記前駆体の生成を阻害しないものが、好ましく使用され得る。例えば、水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水との混合溶液を好ましく用いることができる。該混合溶液は、pHが11〜14の範囲(例えば、pH12程度)であり、アンモニア濃度が3〜25g/Lとなるように調製することが好ましい。
上記アルカリ性水溶液に上記M水溶液およびW水溶液を添加して反応液を形成し、上記前駆体の生成反応を進行させる間、該反応液のアンモニア濃度は3〜25g/L程度に維持されることが好ましい。
上記M水溶液は、所望のM含有塩(例えばニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩等であり得る。)を、それぞれ所定量、水性溶媒に溶解させて調製することができる。M塩として二種以上を用いる場合、これら塩を水性溶媒に添加する順番は特に制限されない。また、各塩の水溶液を混合して調製してもよい。M塩(ニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩等)のアニオンは、該塩が所望の水溶性となるように選択すればよい。例えば、硫酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン等であり得る。すなわち、上記M塩は、それぞれ、Mの硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等であり得る。M塩として二種以上を用いる場合、これら塩のアニオンは、全てまたは一部が同じであってもよく、互いに異なってもよい。ここに開示される製造方法を、任意の金属元素Mを含む正極活物質の製造に適用する場合には、典型的には、M塩を上記M水溶液に所望の濃度で添加すればよい。該M塩は、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等であり得る。M塩および任意のM塩は、それぞれ水和物等の溶媒和物であってもよい。これら金属塩の添加順は特に制限されない。上記M水溶液の濃度は、Mに含まれる金属元素全て(Mおよび任意のM)の合計が1〜2.2mol/L程度であることが好ましい。
上記W水溶液は、同様に、所定量のW含有塩を水性溶媒に溶解させて調製することができる。上記W含有塩としては、典型的には、Wを中心元素とするオキソ酸(タングステン酸等)の塩を用いる。W含有塩に含まれるカチオンは、該塩が水溶性となるように選択すればよい。例えば、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等であり得る。例えば、パラタングステン酸アンモニウムが好ましく使用され得る。W含有塩は、水和物等の溶媒和物であってもよい。W水溶液の濃度は、W元素基準で0.01〜1mol/L程度であることが好ましい。
上記M水溶液および上記W水溶液を調製する際に使用する水性溶媒は、典型的には水であり、使用する各塩の溶解性によっては溶解性を向上させる試薬(酸、塩基等)を含む水を用いてもよい。
上記M塩および上記W含有塩の使用量は、上記式(1)におけるb,c,dおよびxが所望の比となるようにMおよびWのモル比を選択し、それに基づき適宜決定すればよい。上記式(1)における(b+c+d)とxとの元素比は、一般に、使用するM塩とW含有塩とのモル比と概ね同等である。
ここに開示される技術によると、上記前駆体の調製においてM水溶液(典型的には酸性溶液)とW水溶液(例えばW水溶液)とを別々の溶液として用意し、これらをアルカリ性条件下で混合することにより、リチウム遷移金属酸化物の結晶表面(一次粒子の表面、換言すれば粒界)に偏ってW(例えばW)が分布した正極活物質の製造に適した水酸化物(リチウム遷移金属酸化物の前駆体)を得ることができる。
上記前駆体は、晶析終了後、水洗・濾過して乾燥させ、所望の粒径を有する粒子状に調製するとよい。該前駆体は、温度100〜300℃の大気雰囲気中で所定時間(例えば5〜24時間)加熱した後、次の工程に供することが好ましい。
上記正極活物質は、上記前駆体と適当なリチウム源との混合物を、典型的には空気中で焼成することにより形成することができる。上記リチウム源としては、リチウム酸化物の形成に使用される一般的なリチウム化合物を特に制限なく使用することができる。具体的には、炭酸リチウム、水酸化リチウム等が例示される。これらリチウム源は、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。上記前駆体と上記リチウム源との混合比は、上記式(1)におけるaが所望の値となるように、上記前駆体に含まれる全金属元素の合計モル数に対するリチウム源のモル数を選択し、それに基づき適宜決定すればよい。
焼成温度は、およそ700〜1000℃の範囲とすることが好ましい。焼成は、一定の温度で一度に行ってもよく、異なる温度で段階的に行ってもよい。焼成時間は、適宜選択することができる。例えば、700〜800℃程度で1〜12時間程度焼成した後、800〜1000℃程度で2〜24時間程度焼成することができる。その焼成物を、好適には粉砕した後、必要に応じて所望の粒径に篩い分けしたものを、ここに開示される技術における正極活物質として好ましく用いることができる。正極活物質の平均粒径(レーザ散乱・回折法に基づく50%体積平均粒子径をいう。)は、通常、3μm〜10μm程度であることが好ましい。比表面積は、0.5〜1.8m/gの範囲にあることが好ましい。タップ密度は、1〜2.2g/cmの範囲にあることが好ましい。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、上記所定の正極活物質と所定の電解液添加剤との組み合わせにより、低温(例えば0℃程度)においても優れた出力特性を発揮し、且つ充放電(例えば、60℃程度の高温での充放電)を繰り返しても出力低下が抑制されたものであり得る。かかる効果が発揮される理由は明らかではないが、次のようなことが考えられる。すなわち、リチウム遷移金属酸化物にWを含有させると初期反応抵抗が低下する。さらに、そのWが正極活物質の一次粒子表面に偏って存在することで、より優れた初期反応抵抗抑制効果が発揮され得る。一方で、正極活物質に含まれるWは、電池の使用(充放電)や経時等により、徐々に電解液に溶出することがある。Wの溶出が進行すると、Wの添加による反応抵抗抑制効果が薄れ、電池の出力低下が生じ得る。ここに開示される技術によると、FPO塩を添加剤として含む電解液を用いることにより、主に初期充放電(典型的には、コンディショニング処理)時に該添加剤由来の化合物を含む皮膜が正極表面(正極活物質表面であってよい)に形成され、かかる組成の皮膜がWの溶出を効果的に抑制することにより、初期出力のみならず充放電後においても高性能な(出力の低下が抑制された)電池が実現されるものと考えられる。特に添加剤としてFPO塩を上記の活物質との組み合わせで用いる場合は、これまでに知られている皮膜形成用添加剤を用いた場合に比較して、出力低下の抑制効果が長期間に亘って維持され得る。例えば、60℃程度の高温環境下で保管および繰り返し使用されるような場合であっても、顕著な出力の低下が抑えられ、高出力特性および長期耐久性を備えた高性能な電池が実現される。
なお、上記FPO塩を含む電解液の使用(ひいてはFPO塩に由来する皮膜)は、Wを含まない正極活物質(例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物)を用いた電池においても、充放電の繰り返しによる出力低下(抵抗の増加)を抑制し得るが、Wを含む正極活物質との組み合わせにより、上記添加剤単独の効果およびWを含む正極活物質の使用による効果の単純な足し合わせを大幅に上回る効果(例えば、2倍の効果。すなわち相乗効果)が発揮され得る。Wが表面に偏って存在する正極活物質では、上記添加剤を含む電解液の使用によりWの溶出を抑制することが特に有意義である。
本発明によると、ここに開示されるいずれかのWを含む正極活物質を有する正極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池が提供される。かかるリチウムイオン二次電池の一実施形態について、電極体および非水電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池100(図1)を例にして詳細に説明するが、ここに開示される技術はかかる実施形態に限定されない。すなわち、ここに開示されるリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、その電池ケース、電極体等は、用途や容量に応じて、素材、形状、大きさ等を適宜選択することができる。例えば、電池ケースは、直方体状、扁平形状、円筒形状、ラミネートパック等であり得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
リチウムイオン二次電池100は、図1および図2に示されるように、捲回電極体20を、非水電解液(図示せず。上述のFPO塩の少なくともいずれかを含む電解液である。)とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10の開口部より内部に収容し、該ケース10の開口部を蓋体14で塞ぐことによって構築することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14の外方側に突出するように設けられている。
上記電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30と、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40とを、2枚の長尺シート状のセパレータ50により絶縁した状態で重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極活物質層34が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体32が露出するよう形成されている。同様に、捲回される負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層44が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
上記正極シート30は、例えば、ここに開示されるいずれかの正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物(正極合材)を正極集電体32に供給し、該組成物を乾燥させる等して、好ましく作製することができる。
正極集電体32には、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状のアルミニウム製の正極集電体32が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシートが好ましく使用され得る。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。導電材は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
結着剤としては、例えば、水に溶解する水溶性ポリマーや、水に分散するポリマー、非水溶媒(有機溶媒)に溶解するポリマー等から適宜選択して用いることができる。また、一種のみを単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
水分散性ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類等が挙げられる。
非水溶媒(有機溶媒)に溶解するポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等が挙げられる。
特に限定されるものではないが、正極集電体32の単位面積当たりに設ける正極活物質層34の質量(正極集電体32の両面に正極活物質層34を有する構成では両面の合計質量)は、例えば5mg/cm〜40mg/cm(典型的には10mg/cm〜30mg/cm)程度とすることができる。正極集電体32の両面に正極活物質層34を有する構成において、正極集電体32の各々の面に設けられる正極活物質層34の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は、およそ50質量%以上(典型的には50質量%〜95質量%)とすることが適当であり、通常はおよそ70質量%〜95質量%であることが好ましい。正極活物質層に占める導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して、例えばおよそ2質量部〜20質量部とすることができ、通常はおよそ2質量部〜15質量部(例えば2質量部〜10質量部、典型的には3質量部〜7質量部)とすることが好ましい。正極活物質層に占めるバインダの割合は、正極活物質100質量部に対して、例えばおよそ0.5質量部〜10質量部とすることができ、通常はおよそ1質量部〜5質量部(例えば2質量部〜7質量部、典型的には2質量部〜5質量部)とすることが好ましい。
また、上記正極に適宜プレス処理を施すことによって、正極活物質層の厚みや密度を調整することができる。プレス処理後の正極活物質層の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。また、正極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば1.5g/cm以上(典型的には2g/cm以上)であって、4.5g/cm以下(典型的には4.2g/cm以下)とすることができる。また、正極活物質層の多孔度についても特に限定されないが、例えば、20%以上(典型的には25%以上)であって、40%以下(典型的には35%以下)であるのが好ましい。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、これらの炭素材料を非晶質炭素でコートしたもの、または、これらの2種以上を組み合わせた炭素材料等であり得る。例えば、具体的には、D50が8〜30μm程度であり、比表面積(BET法による)が2.5〜5.5m/g程度の、非晶質炭素で被覆された黒鉛を用いるのが好ましい例として示される。
また、負極活物質として、例えば、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物(好ましくは、シリサイドまたは金属酸化物)などを用いるようにしても良い。例えば、負極活物質粒子として、LTO(チタン酸リチウム)を用いることもできる。金属化合物からなる負極活物質については、例えば、炭素被膜によって、金属化合物の表面を充分に被覆し、導電性に優れた粒状体として用いてもよい。この場合、負極活物質層44に導電材を含有させなくてもよいし、下記の導電材の配合量を炭素被覆しない場合よりも低減させてもよい。これらの負極活物質の付加的な態様や、粒径等の形態は、所望の特性に応じて適宜に選択することができる。
また、特に限定するものではないが、負極活物質層44には、導電材が含まれていてもよい。導電材は、導電性が高くない負極活物質と負極集電体42との間の導電経路を確保する目的で使用され得る。このような導電材としては、上記正極活物質層における導電材を同様に用いることができる。
負極活物質層44は、典型的には、上記の負極活物質とバインダ、さらに必要に応じて導電材を含む負極活物質層形成用組成物を、上記負極集電体42上に塗工することで形成することができる。
ここで、負極活物質層44のバインダ、溶媒、増粘剤としては、上記正極活物質層34のバインダ、溶媒、増粘剤として例示した材料を同様に用いることができる。
溶媒としては、上記正極活物質層34で用いる水性溶媒および非水溶媒のいずれも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
また、上記正極活物質層34のバインダとして例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、負極活物質層形成用組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
なお、導電材を用いる場合は、その使用量は、負極活物質100質量部に対しておよそ1〜30質量部(好ましくは、およそ2〜20質量部、例えば5〜10質量部程度)とすることが例示される。また、負極活物質100質量部に対するバインダの使用量は、例えば0.5〜10質量部とすることができる。
負極集電体42の単位面積当たりに設けられる負極活物質層44の質量(負極集電体42の両面に負極活物質層44を有する構成では両面の合計質量)は、特に制限されないものの、例えば5mg/cm〜20mg/cm(典型的には5mg/cm〜10mg/cm)程度とすることができる。また、負極活物質層の多孔度についても特に制限されないが、例えば、30%以上(典型的には35%以上)であって、50%以下(典型的には45%以下)であるのが好ましい。また、負極集電体42の両面に負極活物質層44を有する構成において、負極集電体42の各々の面に設けられる負極活物質層44の質量は、通常、概ね同程度とすることが好ましい。負極活物質層44の密度は、例えば0.5g/cm〜2g/cm(典型的には1g/cm〜1.5g/cm)程度とすることができる。
そして、上記負極に適宜プレス処理を施すことによって、負極活物質層44の厚みや密度を調整することができる。該プレス処理には、例えば、ロールプレス法、平板プレス法等の公知の各種のプレス方法を採用することができる。プレス処理後の負極活物質層44の厚みは、例えば20μm以上(典型的には50μm以上)であって、200μm以下(典型的には100μm以下)とすることができる。
セパレータ50は、正極シート30および負極シート40の間に介在する層であって、典型的にはシート状をなし、正極シート30の正極活物質層34と、負極シート40の負極活物質層44にそれぞれ接するように配置される。そして、正極シート30と負極シート40における両電極活物質層34,44の接触に伴う短絡防止や、該セパレータ50の空孔内に上記電解液を含浸させることにより電極間の伝導パス(導電経路)を形成する役割を担っている。かかるセパレータ50としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。特に、PEシート、PPシート、PE層とPP層とが積層された多層構造シート、等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
上述のようにして構築された二次電池100は、適当なコンディショニング処理(初期充放電処理)を施すことにより、上記添加剤由来の化合物を含む保護皮膜が少なくとも正極表面に形成され得る。コンディショニングの条件は特に制限されず、例えば、用途や目的に応じた条件によって、充電終止電圧までの充電処理を、少なくとも1回以上施すことが例示される。
そして、本発明によると、ここで開示される非水電解液二次電池(単電池)を複数組み合わせた組電池が提供される。単電池を複数個相互に(典型的には直列に)接続してなる組電池では、構成する単電池のなかで最も低い性能のものに全体の性能が左右され得る。ここで開示される非水電解液二次電池は、従来の電池に比べて長期に亘り低抵抗特性が得られ、信頼性が優れるため、組電池としても一層高い電池性能を発揮し得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
[正極活物質]
正極活物質として、Ni:Co:Mn:Wのモル比(原子比)が0.33:0.33:0.33:0.005のWを含む三元系リチウム遷移金属酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.330.005)を用意した。
具体的には、まず、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、Ni:Co:Mnのモル比(原子数比)が0.33:0.33:0.33となり、かつNi,CoおよびMnの合計濃度が1.8mol/Lとなるよう水に溶解させて、NiCoMn水溶液を調製した。また、パラタングステン酸アンモニウムを水に溶解させ、タングステン(W)濃度が0.05mol/LのW水溶液を調製した。
そして、攪拌装置および窒素導入管を備えた反応容器に、その容量の半分程度の水を入れ、攪拌しながら40℃に加熱した。この反応容器を窒素置換した後、窒素気流下、25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを適量ずつ加え、液温25℃におけるpHが12.0、液相のアンモニア濃度が20g/Lとなるように調整して、アルカリ性水溶液を得た。なお、反応容器内の酸素濃度は2.0%程度であった。
上記反応容器中のアルカリ性水溶液に、上記で調整したNiCoMn水溶液と、W水溶液と、25%水酸化ナトリウム水溶液と、25%アンモニア水とを、pHを12.0に維持しながら添加・混合して、元素モル比Ni:Co:Mn:Wが0.33:0.33:0.33:0.005の水酸化物(前駆体)を析出させた。析出物を分離、水洗し、温度150℃の大気雰囲気中で12時間加熱した。この水酸化物(水酸化物粒子)の平均組成は、Ni0.33Co0.33Mn0.330.005(OH)2+α(0≦α≦0.5)で表される。
上記水酸化物中の全遷移金属(すなわち、Ni,Co,Mn,W)のモル数の合計をMとして、該Mに対するリチウムのモル比がLi:Mとして1:1.05となるように炭酸リチウムを秤量し、上記加熱処理後の水酸化物粒子と混合した。得られた混合物を、酸素21体積%の空気中にて、760℃で4時間焼成した後、950℃で10時間焼成した。この焼成物を粉砕し、篩い分けすることで、上記の三元系リチウム遷移金属酸化物を得た。
[W量の測定]
この正極活物質について、一次粒子の表面から20nmの深度における構成元素をXPS(X線光電子分光)分析により調べた。サンプルはカーボンテープの上に固定し、Arエッチングにより露出した深度20nmの正極活物質粒子の表面について、分析した。測定の結果から、検出された全元素(Li、Ni、Co、Mn、W、C、SおよびO等)に占めるWの存在比率を算出した。その結果を、下記の表1の「W量」の欄に示した。表1に示したように、Wの存在比率は0.5原子%であった。なお、XPS分析には、アルバック・ファイ株式会社製の走査型X線光電子分光分析装置(Quantera SXM)を用い、線源にはAlのKα線(1486.6eV)を用いて測定した。
上記の正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラック、および結着材としてのPVDFを、正極活物質:導電材:結着材の質量比が91:6:3となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えてペースト状の混合物を得た。このペースト状混合物を、厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔の各面に、乾燥後の塗布量が両面合計で30mg/cmとなるように塗付した。これを乾燥後プレスして、総厚120μmの正極シートを得た。ここで、正極活物質層の空隙率は29%であった。
また、負極活物質としてグラファイトを用い、結着材としてのSBRおよび増粘剤としてのCMCとを、負極活物質:結着材:増粘剤の質量比が98:1:1となるように混合し、イオン交換水を加えてペースト状の混合物を得た。この混合物を、厚さ10μmの長尺状銅箔の各面に、乾燥後の塗布量が両面合計で15mg/cmとなるように塗付した。これを乾燥後プレスして、総厚120μmの負極シートを得た。ここで負極活物質層の空隙率は38%であった。
電解質としては、ECとEMCとDMCとを体積比で3:4:3の割合で混合した混合溶媒中に、1mol/Lの濃度となるようにLiPFを、さらに0.05mol/Lの濃度となるようにLPFO(LiPF(C)を溶解させた非水電解液を調製した。
上記正極シートと上記負極シートとを、二枚のセパレータ(厚さ20μmの長尺状多孔質ポリエチレンシート)で絶縁した状態で長手方向に捲回して電極体を作製した。この電極体を、上記非水電解液とともに円筒型容器に収容して、18650型(直径18mm,高さ65mm)リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液の供給量は約6mlであった。
<例2〜5>
正極活物質におけるNi:Co:Mn:Wのモル比(原子比)を0.33:0.33:0.33:Xとしたとき、W量であるXを下記の表1に示す割合に変化させ、その他は例1と同様にして、18650型のリチウムイオン二次電池を用意した。なお、W量であるXは、例1の正極活物質の調製において、W溶液の混合割合を変化させることで調節した。また、得られた正極活物質について上記と同様にW量をXPS分析により測定し、その結果を表1に示した。
<例6〜9>
非水電解液に溶解させるLPFOの濃度を下記の表1に示すように変化させ、その他は例1と同様にして、18650型のリチウムイオン二次電池を用意した。
<例10>
Wを含まない正極活物質を用い、その他は例1と同様にして、18650型のリチウムイオン二次電池を用意した。なお、正極活物質は、例1の正極活物質の調製において、W溶液を混合せずに、その他の操作は同様にした。また、得られた正極活物質について上記と同様にW量をXPS分析により測定し、その結果を表1に示した。
<例11>
非水電解液にLPFOを添加しなかったこと以外は例1と同様にして、18650型のリチウムイオン二次電池を得た。
<例12>
Wを含まない正極活物質を用い、非水電解液にLPFOを添加しなかったこと以外は、例1と同様にして、18650型のリチウムイオン二次電池を用意した。正極活物質は、例10と同様のものを用いた。
[エージング処理]
例1〜12の電池に対して、4.0Vまで1C(1Cは、満充電状態の電池を1時間で放電終止電圧まで放電させる電流値を意味する。放電時間率と称されることもある。)のレートで定電流(CC)で充電を行い、4.0Vで0.1Cになるまで低電圧(CV)で充電した後、60℃で20時間保持するエージング処理を行った。
[初期低温抵抗]
次いで、電池の初期低温抵抗を測定した。すなわち、上記のエージング処理後の電池を0℃の環境下におき、SOC60%まで充電した時のIV抵抗(mΩ)を測定することで、初期低温抵抗とした。IV抵抗は、電池に5Cのレートで電流を10秒間流したときの、電圧降下量と電流値とから算出した。初期低温抵抗の測定結果を表1に示した。
[サイクル試験]
初期低温抵抗を測定した電池を60℃の環境下におき、1Cのレートで4.0VまでCC充電を行う工程と、1Cのレートで3.55VまでCC放電させる工程とを、1000回繰り返す(1000サイクル)サイクル試験を行った。
[サイクル後抵抗増加率]
上記のサイクル試験の後、初期低温抵抗の測定手順に従って、0℃の環境下におけるSOC60%のIV抵抗を測定することで、サイクル後の低温抵抗を測定した。そして、(サイクル後の低温抵抗)÷(初期低温抵抗)×100をサイクル後抵抗増加率(%)として算出し、その結果を表1に示した。
Figure 0005995094
表1に示されるとおり、Wを含まない正極活物質を使用した例10、LPFOを含まない非水電解液を用いた例11、WもLPFOも含まない例12は、初期低温抵抗が100mΩ以上と高く、さらに、サイクル後の低温抵抗増加率も1.25%以上と高い値となった。これに対し、Wを含む正極活物質を用い、かつ、LPFOを含む非水電解液を用いて構築された例1〜9の電池は、いずれも例10〜12と比較して、0℃における初期抵抗値が低く抑えられているとともに、サイクル試験後の抵抗増加率までも低く抑えられており、低温抵抗が長期にわたって維持され得ることが確認できた。例えば、例1のサイクル後の低温抵抗増加割合(1.14)は例12の低温抵抗増加割合(1.40)よりも0.26低く抑えられており、抵抗増加が長期にわたり低く維持されることがわかる。
なお、この効果は、WもLPFOも含まない例12に対して、LPFOを含む非水電解液を用いた例11における抵抗増加抑制効果(例12に比べて0.11の増加割合の低下)、Wを含む正極活物質用いた例11における抵抗増加抑制効果(例12に比べて0.02の増加割合の低下)を足し合わせたもの(計0.13)よりも約2倍も高いことが確認できる。すなわち、Wを含む正極活物質と、LPFOを含む非水電解液との組み合わせによると、抵抗の増加を抑制する効果が相乗的に高められることがわかった。これは、正極活物質の表面に存在するWと、LPFOに由来して正極活物質の表面に形成される皮膜とが、抵抗抑制とその耐久性に関して特異な効果を発現していることを示唆している。
例1〜例5の比較から、正極活物質中に配合される上記Wの割合:Xが0.01以上の範囲、また、深度20nmでのW量が0.08原子%以上の範囲で、十分に低温抵抗抑制効果とその耐久性が得られることがわかった。これらの効果は、Wの割合:Xが0.02以上の範囲、また、サイクル後の深度20nmでのW量が0.2原子%以上で特に好適に発現されることも確認できた。
なお、Wの配合量は多くてもよいが、コストの面からは、上記Wの割合:Xを0.015以下とすること、また、深度20nmでのW量を2.5原子%以下とするのが好適である。
ここで、深度20nmにおけるW量を評価基準としているのは、正極表面に残存するWがかかる効果に極めて大きく寄与していると考えられるためであり、深度20nmとは正極活物質の表面に形成される炭酸リチウムなどの影響を排除する目的である。
一方、非水電解液中に含ませるLPFOの量は、0.005mol/L以上で十分な効果が得られること、特に0.005mol/L以上でその傾向が高いことがわかった。ただし、LPFOの過剰な添加は内部抵抗とコストの増大を招くため、本実施形態においては上限を1.0mol/L%程度以下としてもよいことが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 車両
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 正極と負極と非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質として、下記式(1):
    Li Ni Co Mn …(1)
    ここで、式(1)中、a×b×c×d≠0,0.9≦a≦1.2,b+c+d≦1,(b+c+d):x=1:0.001〜1:0.015である;
    で示される、ニッケル(Ni),コバルト(Co)およびマンガン(Mn)と、さらにタングステン(W)とを含むリチウム遷移金属酸化物を備え
    前記正極活物質は、前記リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態を有し、該正極活物質に含まれる前記タングステン(W)は前記一次粒子の表面近傍に偏って存在しており、
    前記非水電解液は、少なくともジフルオロビスオキサラトホスフェート塩を含む、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記正極活物質は、
    表面から20nmの深度において存在する全元素に占めるタングステン(W)の割合が、0.1原子%以上5原子%以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記正極は、その表面に、前記ジフルオロビスオキサラトホスフェート塩に由来の化合物を含む皮膜を備えている、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
    前記正極活物質を有する正極を準備すること;
    前記ジフルオロビスオキサラトホスフェート塩を0.01mol/L以上0.1mol/L以下含む前記非水電解液を準備すること;
    前記正極と、前記負極と、前記非水電解液とを用いて電池を組み立てること;および、
    前記組み立てた電池にコンディショニング処理を施すこと;
    を包含する、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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