JP5641362B2 - 正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
使用開始後の電池のSOCは、例えば以下の手順で行われるSOC−OCV測定を通じて把握することができる。
[ステップ1:残容量の放電]25℃において、1CでCCV放電を2時間行い、3Vでカットする。
[ステップ2:CC充電]ステップ1終了後の電池に対し、0.1Cで30分間充電する操作と、20分間休止する操作とを2〜3回繰り返し、4.1Vでカットする。
[ステップ3:CCCV充電]ステップ2終了後の電池に対し、0.4Cで1時間CCV充電し、20分間休止する。
[ステップ4:CC放電]ステップ3終了後の電池に対し、0.1Cで30分間放電させる操作と、20分間休止する操作とを2〜3回繰り返し、3.0Vでカットする。
ここに開示される方法は、金属元素MTを含むリチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態をなし、さらに添加元素EAおよびEBを含有する正極活物質の製造に好ましく適用され得る。上記金属元素MTは、Ni,CoおよびMnの少なくとも一種である。ここに開示される技術は、かかる正極活物質を備えたリチウム二次電池用正極、該正極を構成要素とする種々のリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)等に適用され得る。
以下、リチウム遷移金属酸化物がLNCM酸化物であり、添加元素EAがZrであり、添加元素EBがWである場合を主な例として、ここに開示される正極活物質製造方法の好ましい一態様を説明するが、本発明をかかる具体的態様に限定する意図ではない。
図1に示すように、本実施態様に係る正極活物質製造方法は、MT(ここではNi,CoおよびMn)およびEA(ここではZr)を含む水溶液(典型的には酸性、すなわちpH7未満の水溶液)aqAを準備することを含む(ステップS110)。好ましい一態様において、上記水溶液aqAは、EB(ここではW)を実質的に含有しない組成物である。上記水溶液aqAに含まれる各金属元素の量比は、目的物たる正極活物質の組成に応じて適宜設定することができる。例えば、Ni,CoおよびMnのモル比を、上記正極活物質におけるこれらの元素のモル比と概ね同程度とすることができる。また、水溶液aqAに含まれるNi,CoおよびMnの合計モル数mMTとEAのモル数mEAとの比(EAが複数の元素EA1,EA2・・・からなる場合には、各EAのモル数mEA1,mEA1・・・とmMTとの比)は、上記正極活物質におけるこれらのモル比と概ね同程度とすることができる。なお、水溶液aqAは、全てのMTおよび全てのEAを含む一種類の水溶液であってもよく、組成の異なる二種類以上の水溶液であってもよい。例えば、全てのMTを含みEAを含まない水溶液aqA1と、全てのEAを含みMTを含まない水溶液aqA2との二種類を、上記aqAとして使用してもよい。また、例えばEAが二種類の元素EA1,EA2からなる場合において、全てのMTおよびEA1を含まない水溶液aqA1と、EA2を含みMTおよびEA1を含まない水溶液aqA2との二種類を、上記aqAとして使用してもよい。好ましい一態様として、全てのMTおよび全てのEAを含む一種類の水溶液を用いる態様が例示される。かかる態様は、製造装置の複雑化を避ける、製造条件の制御が容易である、等の観点から好ましく採用され得る。
本態様の正極活物質製造方法は、また、EB(ここではW)を含む水溶液aqBを準備することを含む(ステップS120)。この水溶液aqBは、典型的には、MTおよびEAを実質的に含有しない(これらの金属元素を少なくとも意図的には含有させないことをいい、不可避的不純物等として混入することは許容され得る。)組成物である。例えば、金属元素として実質的にWのみを含む水溶液aqBを好ましく使用し得る。水溶液aqBは、上述した水溶液aqAと同様に、所定量のEB化合物を水性溶媒に溶解させて調製することができる。EBがWである場合、上記EB化合物として各種のW塩を用いることができる。好ましい一態様では、タングステン酸(Wを中心元素とするオキソ酸)の塩を使用する。上記W塩におけるカチオンは、該塩が水溶性となるように選択することができ、例えばアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等であり得る。好ましく使用し得るW塩の一例として、パラタングステン酸アンモニウム(5(NH4)2O・12WO3)が挙げられる(図1)。上記W塩は、水和物等の溶媒和物であってもよい。水溶液aqBにおけるWの濃度は、例えば、W元素基準で0.01〜1mol/L程度とすることができる。
ここに開示される正極活物質製造方法では、MTおよびEAを含む水溶液aqAと、EBを含む水溶液aqBとを、別々の水溶液として準備し、かつ、aqAとaqBとをアルカリ性条件下(すなわち、pHが7を超える条件下)で混合する。そして、この混合溶液からMT,EAおよびEBを含む水酸化物(以下、「遷移金属水酸化物」または「前駆体水酸化物」ということがある。)を析出させる(水酸化物生成工程)。
好ましい一態様では、上記水酸化物生成工程が、上記aqAおよびaqBを含む混合溶液から上記遷移金属水酸化物の核を析出させる段階(核生成段階)と、その核を成長させる段階(粒子成長段階)とを含む。好ましい一態様において、上記核生成段階および上記粒子成長段階は、いずれもアンモニアの存在下で行われる。少なくとも上記粒子成長段階は、上記溶液中のアンモニア濃度を制御しつつ(例えば、所定値以下に制御しつつ)行うことが特に好ましい。また、上記粒子成長段階は、上記核生成段階におけるpHより低pHであって且つアルカリ性の条件下で実施することが好ましい。
なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。また、反応液のアンモニア濃度は、例えば、イオンクロマト法、イオン電極法等により等により測定することができる。測定には、市販のイオンクロマトグラフ装置、電極式アンモニア計等を用いることができる。
上記粒子成長段階(ステップS150)では、核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、好ましくは該核生成段階よりも低pH域のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12.0未満(典型的にはpH10.0以上12.0未満、好ましくはpH10.0以上11.8以下、例えばpH11.0以上11.8以下)で粒子成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物粒子(前駆体水酸化物粒子)は、典型的には、該粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。アンモニアを含むアルカリ性水溶液を用いる態様において、かかる構造の遷移金属水酸化物粒子を安定して得るためには、該粒子成長段階における液中アンモニア濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、上記遷移金属水酸化物の析出速度が速くなり、中空構造(好ましくは孔空き中空構造)の活物質粒子の形成に適した前駆体水酸化物を効果的に生成させ得る。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される金属イオン(例えば、MT,EAおよびEBのイオン)の合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる該金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
本態様に係る正極活物質製造方法は、上記前駆体水酸化物とリチウム化合物(リチウム源)とを混合する混合工程を含み得る(ステップS170)。上記リチウム化合物としては、リチウムを含む酸化物を用いてもよく、加熱により酸化物となり得る化合物(リチウムの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、アンモニウム塩、ナトリウム塩等)を用いてもよい。好ましいリチウム化合物として、炭酸リチウム、水酸化リチウム等を例示することができる。かかるリチウム化合物は、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。上記前駆体水酸化物とリチウム化合物との混合は、湿式混合法および乾式混合法のいずれの態様で行ってもよい。簡便性やコスト性等の観点から、乾式混合法を好ましく採用することができる。前駆体水酸化物とリチウム化合物との混合比は、目的とする正極活物質において所望のモル比が実現されるように決定することができる。例えば、リチウムと他の金属元素とのモル比が上記正極活物質におけるモル比と同程度となるように、上記前駆体水酸化物とリチウム化合物とを混合するとよい。
そして、上記混合物を焼成してリチウム遷移金属酸化物を生成させる(ステップS180)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。好ましくは、かかる焼成工程後に焼成物を解砕し、必要に応じて篩分けを行なって正極活物質の粒径を調整する。焼成温度は、凡そ700〜1000℃の範囲とすることが好ましい。焼成は、同じ温度で一度に行ってもよく、異なる温度で段階的に行ってもよい。焼成時間は、適宜選択することができる。例えば、800〜1000℃程度で2〜24時間程度焼成してもよく、あるいは、700〜800℃程度で1〜12時間程度焼成した後、800〜1000℃程度で2〜24時間程度焼成してもよい。より高い出力を得るためには、最高焼成温度を850℃〜980℃(より好ましくは850℃〜950℃)の範囲とすることが好適である。かかる焼成条件は、例えばハイブリッド自動車のように、出力性能を高めることが重視される用途向けのリチウム二次電池に用いられる正極活物質の製造において好ましく採用され得る。また、所望の出力を発揮し得るSOCの範囲をより広くするためには、最高焼成温度を900℃〜1000℃の範囲とすることが好適である。かかる焼成条件は、例えば電気自動車のように、取り出し得る電気量を多くすることが重視される用途向けのリチウム二次電池に用いられる正極活物質の製造において好ましく採用され得る。
ここに開示される製造方法によると、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態をなし、該一次粒子の表面(粒界)に偏ってEB(ここではW)が存在する正極活物質を得ることができる。ここで、EBが「一次粒子の表面に偏って存在する」とは、一次粒子の表面(粒界)に、ある程度集中してEBが存在(分布)していることを意味し、EBが粒界のみに存在する(換言すれば、一次粒子の内部には全く存在しない)態様のみを意味するものではない。EBが一次粒子の表面に偏って存在していることは、例えば、活物質粒子(二次粒子)についてエネルギー分散型X線分光法(EDX;Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)を用いてEBの分布をマッピングし、そのマッピング結果においてEBが粒界に集中して存在する(一次粒子の内部に比べて粒界では面積当たりのEB存在量が多い)様子が認められることにより把握することができる。上記粒界(一次粒子の表面)の位置は、例えば、上記断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により把握することができる。EDXを備えたTEMを好ましく使用し得る。
EA,EBの分布の一次粒子表面への偏りの程度は、以下に説明する表面偏在度を通じて定量的に把握することができる。すなわち、EBの表面偏在度δEBは以下のようにして求められる。例えば、EBがWである場合、XPS(X線光電子分光法)測定により、活物質粒子の表面(一次粒子の表面でもある。)におけるWの原子数比R1を求める(例えば、アルバック・ファイ社のXPS装置、型式「PHI−5700」を用いることができる。)。また、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により、活物質全体の平均としてのWの原子数比R0を求める(例えば、島津製作所のICP発光分光分析装置、型式「ICPE−9000」を用いることができる。)。そして、表面原子数比R1と平均原子数比R0とから、次式:R1/R0;によりWの表面偏在度δWを算出することができる。EA(例えばZr)についても同様にして表面偏在度δEAを算出することができる。ここに開示される技術は、例えば、δEAおよびδEBがいずれも5.0以下(典型的には0.1〜5.0、好ましくは0.1〜3.0)であり、かつδEA<δEBである正極活物質およびその製造に好ましく適用され得る。
正極活物質に含まれるEAのモル数mEAは、該活物質に含まれるNi,CoおよびMnの合計モル数mMTに対して、例えば0.005〜5.0モル%(すなわち、(mEA/mMT)×100=0.005〜5.0)とすることができ、通常は0.01〜3.0モル%(例えば0.02〜2.0モル%)とすることが好ましい。例えば、EAとしてのZrを上記のモル比で含有する正極活物質が好ましい。EAの含有量が少なすぎると、十分な添加効果が発揮され難くなる場合があり得る。EAの含有量が多すぎると、EAの添加による背反(トレードオフ)が生じやすくなることがあり得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様に係る正極活物質は、Liと、Oと、MTとしてのNi,CoおよびMnとを含み、添加元素として少なくともZrおよびWを含む。上記正極活物質は、さらに、他の一種または二種以上の金属元素および/または非金属元素M0をさらに含むことができる。かかる元素M0は、例えば、Al,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Mo,Cu,Zn,Ga,In,Sn,La,Ce,Ca,FおよびBから選択される一種または二種以上の元素であり得る。M0の含有量(二種以上を含む場合、各々の含有量)は、例えば、各元素の含有量を、MTの含有量の1モル%以下(典型的には1モル%未満)とすることができ、通常は0.1モル%以下(典型的には0.1モル%未満)とすることが好ましい。二種以上の元素M0を含む場合には、それらの合計量を、MTの含有量の2モル%以下(典型的には2モル%未満)とすることができ、通常は0.2モル%以下(典型的には0.2モル%未満)とすることが好ましい。あるいは、Li,Ni,Co,Mn,Zr,W,O以外の元素M0を実質的に含有しない(かかる元素M0を少なくとも意図的には含ませないことをいい、該元素M0が非意図的又は不可避的に含まれることは許容され得る。)リチウム遷移金属酸化物であってもよい。
Li1+αNixCoyMnzZraWbM0 γO2 (I)
上記式(I)において、αは、0≦α≦0.2(例えば0.05≦α≦0.2)であり得る。上記式中のxは、0.1<x≦1(好ましくは0.1<x<0.9、例えば0.3<x<0.6)であり得る。yは、0≦y≦0.5(好ましくは0.1<y<0.5、例えば0.3<q<0.5)であり得る。zは、0≦r≦0.5(好ましくは0.1<r<0.5、好ましくは0.3<z<0.5)であり得る。M0は、Al,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Mo,Cu,Zn,Ga,In,Sn,La,Ce,Ca,FおよびBから選択される一種または二種以上であり得る。aは、0<a≦2.0×10−2(例えば0.01×10−2≦a≦1.0×10−2)であり得る。bは、0<b≦4.0×10−2(例えば0.1×10−2≦a≦1.0×10−2)であり得る。γは、0≦γ≦1.0×10−2であり得る。γが実質的に0(すなわち、M0を実質的に含有しない酸化物)であってもよい。a/bは、0.05≦(a/b)≦2.0(例えば0.1≦(a/b)≦1.0)であり得る。好ましくは、x+y+z+a+b+γ≦1(典型的には0.8≦x+y+z+a+b+γ≦1、例えば0.9≦x+y+z+a+b+γ≦1)である。
ここに開示される方法により製造された正極活物質の代表的な構造を、図2に示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を参照しつつ説明する。この活物質粒子610は、殻部612と、中空部614と、殻部612を貫通して粒子610の中空部614と殻部612の外部(粒子610の外部)とを空間的に連続させる貫通孔616と、を有する孔空き構造を呈する。この図3に示す活物質粒子610の構成材質は、LNCM酸化物である。好ましい一態様では、図2に示すように、殻部612は貫通孔616以外の部分では緻密に焼結しており、この部分には殻部612の内外を貫く隙間は認められない。
ここに開示される技術における正極活物質は、粒子空孔率が5%以上の中空構造(典型的には、孔空き中空構造)を有する。粒子空孔率が10%以上である正極活物質が好ましく、より好ましくは15%以上である。粒子空孔率が小さすぎると、中空構造とすることの利点が十分に発揮されにくくなる場合があり得る。粒子空孔率が20%以上(典型的には23%以上、好ましくは30%以上)であってもよい。粒子空孔率の上限は特に限定されないが、活物質粒子の耐久性(例えば、電池の製造時や使用時に加わり得る圧縮応力等に耐えて中空形状を維持する性能)や製造容易性等の点から、通常は95%以下(典型的には90%以下、例えば80%以下)とすることが適当である。ここに開示されるいずれかの正極活物質製造方法において、上記粒子空孔率の調節は、例えば、粒子成長工程を継続する時間、粒子成長工程における遷移金属水酸化物の析出速度(例えば、アンモニア濃度)等を通じて行うことができる。
上記殻部の厚さは、通常、3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下(例えば2.2μm以下)であることがより好ましい。ここで、殻部の厚さとは、正極活物質または該活物質粒子を含む材料の断面SEM画像において、殻部612の内側面612a(ただし、貫通孔616に相当する部分は内側面612aに含めない。)の任意の位置kから殻部612の外側面への最短距離T(k)の平均値を指す。より具体的には、殻部612の内側面612aの複数の位置について上記最短距離T(k)を求め、それらの算術平均値を算出するとよい。この場合、殻部612の内側面612aで上記最短距離T(k)を求める位置を多くすればするほど、殻部612の厚さTが平均値に収束し、殻部612の厚さを反映させることができる。通常は、少なくとも10個(例えば20個以上)の活物質粒子610に基づいて殻部の厚さを求めることが好ましい。また、少なくともサンプルの任意の3箇所(例えば5箇所以上)の断面におけるSEM画像に基づいて殻部の厚さを求めることが好ましい。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない場合、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布から導き出せるメジアン径(50%体積平均粒子径;以下「D50」と表記することもある。)をいう。
正極活物質粒子610の有する貫通孔616の数は、該活物質粒子610の一粒子当たりの平均として、凡そ1〜10個程度(例えば1〜5個)であることが好ましい。上記平均貫通孔数が多すぎると、中空形状を維持し難くなることがある。ここに開示される好ましい平均貫通孔数の活物質粒子610によると、活物質粒子610の強度を確保しつつ、孔開き中空構造を有することによる電池性能向上効果(例えば、出力を向上させる効果)を、良好に、且つ安定して発揮することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様によると、平均硬度が概ね0.5MPa以上(典型的には1.0MPa以上、例えば2.0〜10MPa)である正極活物質粒子が製造され得る。ここで「平均硬度」とは、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して、負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック微小硬度測定により得られる値をいう。かかるダイナミック微小硬度測定には、例えば、株式会社島津製作所製の微小硬度計、型式「MCT−W500」を用いることができる。より多くの活物質粒子について上記硬度測定を行うほど、それらの活物質の硬度の算術平均値は収束する。上記平均硬度としては、少なくとも3個(好ましくは5個以上)の活物質粒子に基づく算術平均値を採用することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とを包含する上述した孔空き活物質粒子製造方法は、かかる平均硬度を有する孔空き活物質粒子の製造方法として好適である。この方法により得られた孔空き中空構造の活物質粒子は、例えば噴霧焼成製法等により得られた一般的な多孔質構造の正極活物質粒子に比べて、より硬く(平均硬度が高く)、形態安定性に優れたものとなり得る。
ここに開示される技術の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば図4および図5に示されるように、捲回電極体20が、非水電解液90とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10に収容された構成を有する。ケース10の開口部12は蓋体14により塞がれている。蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14から電池の外方に突出するように設けられている。かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、例えば、ケース10の開口部12から電極体20を内部に収容し、該ケース10の開口部12に蓋体14を取り付けた後、蓋体14に設けられた電解液注入孔(図示せず)から電解液90を注入し、次いで上記注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極活物質層34が設けられておらず正極集電体32が露出するように形成されている。同様に、負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層44が設けられておらず負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の上記露出端部に正極端子38が、負極集電体42の上記露出端部には負極端子48がそれぞれ接合されている。正負極端子38、48と正負極集電体32、42との接合は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等により行うことができる。
負極シート40は、例えば、負極活物質を、必要に応じて用いられるバインダ等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(負極活物質層形成用の分散液)を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
特に限定するものではないが、正極の初期容量(CP)に対する負極の初期容量(CN)の比(CN/CP)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9とすることが好ましい。CN/CPが小さすぎると、電池の使用条件によっては(例えば、急速充電時等に)、金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。CN/CPが大きすぎると、電池のエネルギー密度が低下しやすくなることがある。
正極シート30と負極シート40との間に介在されるセパレータ50としては、当該分野において一般的なセパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。ここに開示される技術におけるセパレータは、上記多孔質シート、不織布等の片面または両面(典型的には片面)に、多孔質の耐熱層を備える構成のものであってもよい。かかる多孔質耐熱層は、例えば、無機材料(アルミナ粒子等の無機フィラー類を好ましく採用し得る。)とバインダとを含む層であり得る。
非水電解液90としては、非水溶媒(有機溶媒)中に電解質(支持塩)を含むものが用いられる。上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒の一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。例えば、ECとEMCとDMCとを3:3:4の体積比で含む混合溶媒を好ましく用いることができる。
(サンプルP1〜P5;共沈法によるZr,W添加)
硫酸ニッケル(NiSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸マンガン(MnSO4)および硫酸ジルコニウムを水に溶解させて、(Ni+Co+Mn):Zrのモル比が100:0.2であり、Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1であり、かつ、これら金属(Ni,Co,MnおよびZr)の合計濃度が1.8mol/Lである水溶液aqAを調製した。
(サンプルP6〜10;共沈法によるZr,W添加)
製造例1において、水溶液aqAの組成比(Zrのモル比)および水溶液aqBにおけるWの濃度を異ならせて、(Ni+Co+Mn)のモル数に対して表1に示す割合でZrおよびWを含み、表1に示す粒子径状を有する正極活物質サンプルP6〜P10を得た。なお、粒子成長段階における反応時間およびアンモニア濃度は、いずれも、製造例1のサンプルP2と同様とした。
(サンプルP11;共沈法によるW添加)
製造例1において、Zrを含まない水溶液aqAを使用することにより、(Ni+Co+Mn)のモル数に対して表1に示す割合でWを含み、Zrを含有しない正極活物質サンプルP6〜P10を得た。粒子成長段階における反応時間およびアンモニア濃度は、製造例1のサンプルP2と同様とした。
(サンプルP12;乾式混合法によるW添加)
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを水に溶解させて、Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1であり、かつ、これら金属(Ni,CoおよびMn)の合計濃度が1.8mol/Lである水溶液を調製した。
製造例1と同様にして、反応槽内にpH12.0、アンモニア濃度15g/Lのアルカリ性水溶液を用意した。ここに上記水溶液と25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを一定速度で供給することにより、反応液をpH12.5、アンモニア濃度15g/Lに維持しつつ、該反応液から水酸化物を晶析させた(核生成段階)。
次いで、上記反応槽への各液の供給速度を調節して反応液のpHを11.5に調整し、液相のアンモニア濃度を1〜10g/Lの範囲の所定濃度に制御しつつ、上記で生成した核の粒子成長反応を行った(粒子成長段階)。生成物を反応槽から取り出し、水洗し、乾燥させて、Ni,CoおよびMnを含み且つZrおよびWのいずれも含まない複合水酸化物(前駆体)を得た。粒子成長段階における反応時間およびアンモニア濃度は、製造例1のサンプルP2と同様とした。この前駆体に、大気雰囲気中、150℃で12時間の熱処理を施した。
サンプルP12と同様にして得られた前駆体と、酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末と、WO3粉末と、Li2CO3とを、(Ni+Co+Mn):Zr:Wのモル比が100:0.05:0.5となり、かつ、(Ni+Co+Mn):Liのモル比が1.14:1となるように混合した。この混合物をサンプルP12と同様に焼成して、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP13を得た。
サンプルP12と同様にして合成した前駆体と、ZrO2粉末と、WO3粉末と、Li2CO3とを、(Ni+Co+Mn)のモル数に対するZrおよびWのモル数が表1に示す割合となり、かつ、(Ni+Co+Mn):Liのモル比が1.14:1となるように混合した。この混合物をサンプルP12と同様に焼成して、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP14〜17を得た。
(サンプルP18;乾式混合法によるW,Zr添加)
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを水に溶解させて、Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1であり、かつ、これら金属(Ni,CoおよびMn)の合計濃度が1.8mol/Lである水溶液を調製した。
製造例1と同様にして、反応槽内にpH12.0、アンモニア濃度15g/Lのアルカリ性水溶液を用意した。ここに上記水溶液と25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを一定速度で供給することにより、反応液をpH13.0、アンモニア濃度15g/Lに維持しつつ、該反応液から水酸化物を連続的に晶析させた(晶析終了まで上記pHおよびアンモニア濃度を維持した。)。生成物を反応槽から取り出し、水洗し、乾燥させて、Ni,CoおよびMnを含み且つZrおよびWのいずれも含まない複合水酸化物(前駆体)を得た。この前駆体に、大気雰囲気中、150℃で12時間の熱処理を施した。
上記前駆体と、ZrO2粉末と、WO3粉末と、Li2CO3とを、(Ni+Co+Mn):Zr:Wのモル比が100:0.2:0.5となり、かつ、(Ni+Co+Mn):Liのモル比が1.14:1となるように混合した。この混合物をサンプルP12と同様に焼成して、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP18を得た。
サンプルP18に係る前駆体の製造において、水酸化物晶析時に反応液を維持するpHを12.5に変更した。その他の点についてはサンプルP18と同様にして、複合水酸化物(前駆体)を得た。この前駆体を用いた他はサンプルP18と同様にして、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP19を得た。なお、サンプルP19の空孔率がサンプルP18よりも大きくなったのは、晶析時のpHを13.0から12.5に変更したことにより若干溶解度が上がったためと考えられる。
サンプルP18に係る前駆体の製造において、水酸化物晶析時に反応液を維持するpH11.5に変更し、アンモニア濃度を11g/Lに変更した。その他の点についてはサンプルP18と同様にして、複合水酸化物(前駆体)を得た。この前駆体を用いた他はサンプルP18と同様にして、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP20を得た。
(サンプルP21;乾式混合法によるW添加)
サンプルP19と同様にして得られた前駆体と、WO3粉末と、Li2CO3とを、(Ni+Co+Mn):Wのモル比が100:0.5となり、かつ、(Ni+Co+Mn):Liのモル比が1.14:1となるように混合した。この前駆体を用いた他はサンプルP18と同様にして、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP21を得た。
サンプルP19と同様にして得られた前駆体と、ZrO2粉末と、WO3粉末と、Li2CO3とを、(Ni+Co+Mn)のモル数に対するZrおよびWのモル数が表1に示す割合となり、かつ、(Ni+Co+Mn):Liのモル比が1.14:1となるように混合した。この前駆体を用いた他はサンプルP18と同様にして、表2に示す粒子形状の正極活物質サンプルP22,P23を得た。
上記XPS測定およびICP発光分光分析測定により、各サンプルにおけるZr,Wの表面偏在度δZr,δWを求めた。上記ICP発光分光分析には、島津製作所の型式「ICPE−9000」を使用した。上記XPS測定は、アルバック・ファイ社の型式「PHI−5700」を使用し、X線源:AlKαモノクロ、φ0.8mm2、出力350ワットの条件で行った。得られた結果を表1および表2に示す。
スパッタ条件:
3kV、Ar+、4×4mm2照射、レート1.0nm/min(SiO2換算)
図6は、サンプルP1についてのZrおよびWの濃度分布チャートである。図示されるように、Zrの分布は深さに対してほぼ一定(δZr=1.0)であるのに対して、Wの濃度は表面付近で明らかに高くなっている(δW=1.8)。このように、Zr,Wのいずれも共沈法により添加したにも拘わらず、Zrは一次粒子の内部まで均一に存在し、Wは表面に偏在した正極活物質粒子が得られた。
図7は、ZrおよびWをいずれも乾式混合法により添加したサンプルP19についての濃度分布チャートである。図示されるように、このサンプルP19では、ZrおよびWがいずれも表面に偏在した分布となっており、Zrを内部まで行き渡らせることはできなかった。また、このサンプルP19のEPS測定を行ったところ、ZrおよびWのいずれについても、活物質粒子表面の一部において局所的な凝集がみられた。かかる凝集は、サンプルP1では、ZrおよびWのいずれについても認められなかった。
上記正極活物質サンプルP1〜23をそれぞれ使用して、概略図4、図5に示す構造のリチウムイオン二次電池(評価用電池)100を作製した。以下、これらの電池を、使用した正極活物質サンプルP1〜23に対応づけて、電池1〜23ということがある。
コンディショニング工程は、次の手順1〜2によって行った。
[手順1]1Cの定電流(1Cは、満充電状態の電池を1時間で放電終止電圧まで放電させる電流値を意味する。放電時間率と称されることもある。)にて端子間電圧が4.1Vに到達するまで充電(CC充電)した後、5分間休止する。
[手順2]手順1の後、定電圧で1.5時間充電(CV充電)し、5分間休止する。
評価試験用電池の定格容量は、上記コンディショニング工程後の評価試験用電池について、温度25℃において、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3に従って測定した。
[手順1]1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
[手順2]1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
[手順3]0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
上記手順3における、定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を、定格容量とする。
以下の手順1〜5により、低SOC(ここでは27%)に調整された評価用電池の−30℃における出力を測定した。その結果を表1および表2に示す。
[手順1;SOC調整]上記コンディショニング工程および定格容量測定後の電池を、常温(ここでは25℃)の温度環境にて、1Cの定電流で3VからSOC27%まで充電(CC充電)し、次いで同電圧で2.5時間充電(CV充電)する。
[手順2;低温に保持]手順1後の電池を、−30℃の恒温槽内に6時間保持する。
[手順3;定ワット放電]手順2後の電池を、−30℃の温度環境において定ワット(W)にて放電し、放電開始から電圧が2.0V(放電カット電圧)になるまでの秒数を測定する。
[手順4;繰り返し]手順3の定ワット放電における放電出力(定ワット放電の放電電力量)を80W〜200Wの間で異ならせて、上記手順1〜3を繰り返す。より具体的には、手順3の定ワット放電における放電出力を、1回目80W、2回目90W、3回目100W・・・と10Wづつ上げながら、該ワット数が200Wになるまで上記手順1〜3を繰り返す。
[手順5;出力値の算出]手順4において各定ワット放電において測定された電圧2.0Vまでの秒数を横軸にとり、そのときの定ワット放電出力を縦軸にとったプロットの近似曲線から、電圧2.0Vまでの秒数が2秒となるときの出力値(低温低SOC出力)を求める。
電池2,8,14,16,19および23について、高温ハイレート充放電サイクル試験に対する耐久性を評価した。すなわち、上記コンディショニング工程および定格容量測定後の電池をSOC100%に調整し、温度60℃にて1000サイクルの充放電に供した。1サイクルは、4Cのレートで電圧が3VとなるまでCC放電させる操作と、次いで4Cのレートで電圧が4.1VとなるまでCC充電する操作とした。1000サイクル完了時点において、4Cのレートで電圧が3VとなるまでCC放電させ、このときの放電容量を測定した。1サイクル目の4C−CC放電容量(初期4C−CC容量)に対するサイクル終了後の放電容量(耐久後4C−CC容量)の百分率を、容量維持率として求めた。その結果を表1および表2に示す。
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
90 非水電解液
100 リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)
610 正極活物質粒子(正極活物質)
612 殻部
612a 殻部の内側面
614 中空部
616 貫通孔
Claims (9)
- 殻部とその内部に形成された中空部とを有する中空構造の正極活物質であって、Ni,CoおよびMnのうち少なくとも一種の金属元素MTを含むリチウム遷移金属酸化物の一次粒子が集まった二次粒子の形態をなし、さらに添加元素EAおよびEBを含む正極活物質を製造する方法であって:
前記MTと前記EAとを含む水溶液aqAと、前記EBを含む水溶液aqBとを混合して、前記MT、前記EAおよび前記EBを含む水酸化物を生成させる水酸化物生成工程;
前記水酸化物とリチウム化合物とを混合する混合工程;および、
その混合物を焼成して前記リチウム遷移金属酸化物を生成させるリチウム遷移金属酸化物生成工程;
を包含し、
前記水酸化物生成工程は、
アルカリ性条件下において、前記水溶液aqAと前記水溶液aqBとを混合し、該混合溶液から前記水酸化物を析出させる核生成段階と、
前記混合溶液を前記核生成段階よりもpHの低いアルカリ性に維持しつつ、前記析出した水酸化物を成長させる粒子成長段階と、
を含み、
ここで、前記E A はZr,MgおよびCaから選択される一種または二種以上であり、前記E B はWおよびMoから選択される一種または二種であり、
前記核生成段階および前記粒子成長段階はいずれもアンモニアの存在下で行われる、正極活物質製造方法。 - 前記リチウム遷移金属酸化物は、層状の結晶構造を有し、前記MTはNi,CoおよびMnを含む、請求項1に記載の方法。
- 請求項1または2に記載の方法により製造された、正極活物質。
- 前記活物質全体での原子数比R0に対する該活物質の表面における原子数比R1の比(R1/R0)により表される表面偏在度が、前記EAについては1.3以下であり、かつ前記EBについては1.5以上であることを特徴とする、請求項3に記載の正極活物質。
- 前記正極活物質に含まれる前記EBのモル数mEBに対する前記EAのモル数mEAの比(mEA/mEB)が0.05〜2.0である、請求項3または4に記載の正極活物質。
- 前記正極活物質をランダムな位置で切断した断面の平均において、該活物質の見かけの断面積のうち前記中空部が占める割合が20%以上である、請求項3から5のいずれか一項に記載の正極活物質。
- 前記殻部の厚さは2.5μm以下である、請求項3から6のいずれか一項に記載の正極活物質。
- 請求項3から7のいずれか一項に記載の正極活物質を備える、リチウム二次電池。
- 車両の駆動用電源として用いられる、請求項8に記載のリチウム二次電池。
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