JP2022065792A - 正極活物質および該正極活物質を備えた二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる構成によれば、初期抵抗およびサイクル試験(充放電の繰り返し試験)による抵抗増加率が低減し、容量維持率に優れた非水電解質二次電池を実現する正極活物質を提供することができる。
かかる構成によれば、より優れた抵抗抑制効果と容量維持率を実現し得る。
かかる構成によれば、初期抵抗が低く、サイクル試験後の抵抗増加および容量維持率の低下を低減し得る非水電解質二次電池を提供できる。
なお、上記非水電解質は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した非水溶媒、支持塩以外の成分を含んでいてもよく、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
即ち、典型的なスピネル型結晶構造のリチウムマンガン複合酸化物としては、一般式:
Li1+zMn2-x-y-zMyMexO4
(式中、MはAlおよびMgの少なくともどちらか一方を表し、Meは存在しない、もしくは少なくとも一種の金属元素を表し、x、y、zはそれぞれ、0≦x≦0.25、0<y≦0.25、0<z≦0.15、x+y≦0.25を具備する)で表される化合物が挙げられる。添加的な元素(Me)の例としては、Co、Ni、Ca、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等であり得る。
なお、上記一般式中のyは典型的には0<y≦0.25であり、好ましくは0.05≦y≦0.1である。かかる範囲であれば、優れた容量維持率を有し、初期抵抗と、サイクル試験後の抵抗増加率とに優れた低減効果を発揮するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
なお、正極活物質の平均化学組成は、公知の方法で測定すればよく、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により測定することができる。
なお、本明細書において、「一次粒子」とは、正極活物質を構成する粒子の最小単位をいい、具体的には、外見上の幾何学的形態から判断した最小の単位をいう。また、かかる一次粒子の集合物を「二次粒子」という。
また、上記選択した複数の二次粒子それぞれにおいて、該二次粒子を構成する一次粒子の中で最も大きい一次粒子に対して、該一次粒子の最長の径の長さを長径と規定し、該長径と直角に交わる線のうち最長の径の長さを短径と規定する。そして、該長径と該短径とからなる楕円の面積から円相当径を換算することによって、二次粒子を構成する一次粒子の最大粒子径を算出することができる。本明細書において、このように算出した最大粒子径の平均値を「一次粒子の平均最大粒子径」という。
撹拌を続けながら、マンガン化合物の水溶液とアンモニア水とを反応容器に添加する。このとき、これらの添加により反応容器中のpHが低下するため、アルカリ化合物の水溶液により反応容器中のpHを10~13の範囲に調整する。その後、反応容器を所定時間(例えば1~3時間)静置して、前駆体粒子(水酸化物粒子)を十分に沈殿させる。その後、吸引濾過等によって前駆体粒子を回収し、水洗後、乾燥(例えば、120℃で一晩乾燥)を行う。これにより、前駆体粒子の粉末を得ることができる。
なお、このとき得られる前駆体粒子は空隙を持った多孔質構造を有する。沈殿の生成とともにpHを変化(例えばpH11~13の範囲からpH10~12の範囲に変化)させることによって、前駆体粒子の空隙率を上昇させることができ、そのときのpHの保持時間、pH変化の幅、変化速度を調整することで空隙率を調整することができる。
ここで用いるリチウム化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物は焼成により酸化物に変換される化合物を使用し得る。リチウム化合物としては、例えば、炭酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム等を使用し得る。アルミニウム化合物としては、例えば、炭酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等を使用し得る。また、マグネシウム化合物としては、例えば、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等を使用し得る。
次に、融剤を添加した混合物を再度成型する。再度成型した混合物を800℃~1000℃で2時間~24時間焼成する。その後、例えば700℃で12時間~48時間のアニール処理を行う。アニール処理後、冷却し、再度粉体を粉砕することで正極活物質を得ることができる。なお、焼成時の昇温速度は、例えば5℃/分~40℃/分で実施することができる。
なお、焼成温度、焼成時間を調整することによっても一次粒子の粒子径を調整することができる。
(前駆体の準備)
〔例1~16〕
イオン交換水に硫酸マンガンを溶解させ、所定の濃度となるように硫酸マンガン水溶液を調製した。また、イオン交換水を用いて水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア水溶液をそれぞれ調製した。
イオン交換水を30℃~60℃の範囲内に保ちながら撹拌し、上記水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調整した。そして、該pHに制御しながら、上記硫酸マンガン水溶液、水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア水溶液を加えることにより、共沈生成物(水酸化物粒子)を得た。このとき、沈殿の生成とともに制御pHを変化させることで、水酸化物粒子の空隙率を調整した。得られた水酸化物粒子をろ過し、水洗した後、120℃のオーブン内で乾燥させて水酸化物粉末(正極活物質前駆体粉末)を得た。なお、ここで用いたイオン交換水は、あらかじめ不活性ガスを通気させて溶存酸素を取り除いてから使用した。
〔例1〕
得られた水酸化物粉末と水酸化リチウム粉末を、リチウム(Li)のマンガン(Mn)に対するモル比(Li/Mn)が0.58となる(即ちLi:Mg=1.1:1.9)ように混合した。
〔例2~8〕
得られた水酸化物粉末と、水酸化マグネシウム粉末と、水酸化リチウム粉末とを混合した。このとき、リチウム(Li):マグネシウム(Mg):マンガン(Mn)=1.1:0.05:1.85のモル比となるようにした。
〔例9〕
得られた水酸化物粉末と、水酸化マグネシウム粉末と、水酸化リチウム粉末とを混合した。このとき、リチウム(Li):マグネシウム(Mg):マンガン(Mn)=1.05:0.1:1.85のモル比となるようにした。
〔例10〕
得られた水酸化物粉末と、水酸化マグネシウム粉末と、水酸化リチウム粉末とを混合した。このとき、リチウム(Li):マグネシウム(Mg):マンガン(Mn)=1.15:0.05:1.8のモル比となるようにした。
〔例11~16〕
得られた水酸化物粉末と、水酸化アルミニウム粉末と、水酸化リチウム粉末とを混合した。このとき、リチウム(Li):アルミニウム(Al):マンガン(Mn)=1.1:0.1:1.8のモル比となるようにした。
〔例1~16〕
上記粉末を混合した混合物を、加圧成型して大気雰囲気中550℃で12時間加熱し、冷却後、粉砕した。粉砕後、一次粒子の粒成長を部分的に促進させるため、融剤として所定の濃度(当該混合物に対して、0.1質量%以上50質量%以下)のB2O3を添加した。その後、B2O3が添加された混合物を再成型し、800℃~1000℃で2時間から24時間焼成後、700℃で12時間から48時間アニール処理を行った。なお、上記焼成時の昇温速度は5℃/分~40℃/分とした。冷却後、得られた混合物を粉砕することで、正極活物質を得た。なお、B2O3の濃度、焼成温度、焼成時間を調整することにより一次粒子径を調整した。
評価用リチウム二次電池として、上記作製した正極活物質と、導電材としてのカーボンブラック(CB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、正極活物質:CB:PVDF=90:8:2の質量比となるようにN-メチル-2-ピロリドン中で混合し、正極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストをアルミニウム箔集電体に塗布し、乾燥した後プレスすることにより、シート状の正極を作製した。
負極活物質として、天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比となるようにイオン交換水中で混合して、負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを銅箔集電体に塗布し、乾燥した後プレスすることにより、シート状の負極を作製した。
また、セパレータとしてPP/PE/PPの三層構造を有する多孔性ポリオレフィンシートを用意した。
作製したシート状の正極と負極とをセパレータを介して対向させて積層し、積層型電極体を作製した。該積層型電極体に集電端子を取り付け、アルミラミネート型袋に収容した。そして、積層電極体に非水電解液を含浸させ、該アルミラミネート型袋の開口部を封止し密閉することによって評価用リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
上記作製した正極活物質それぞれに対してレーザー回折式粒度分布測定装置を用いてメジアン径(D50)を測定した。
次に、上記作製した正極活物質のSEM像をそれぞれ複数取得した。得られたSEM像の中から、それぞれD50に相当する大きさの二次粒子を任意(無作為)に30個ずつ選択した。該選択した30個の二次粒子を構成する一次粒子の平均一次粒子径を算出し、表1に示した。また、上記選択した30個の二次粒子それぞれにおいて、一次粒子の最大粒子径を測定し、その平均値を「平均最大一次粒子径」として表1に示した。
また、上記作製した正極活物質の断面SEM像を取得した。該断面SEM像から、D50に相当する大きさの二次粒子を任意(無作為)に30個選択し、該二次粒子の平均空隙率を求めた。その結果を表1に示した。
上記作製した正極活物質に対して、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析を行い、各元素の含有量を測定した。
上記作製した各評価用リチウムイオン二次電池を0.1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、定電圧充電時の電流値が1/50Cになるまで定電圧充電を行い、満充電状態にした。その後、定電流方式により、各評価用リチウムイオン二次電池を0.1Cの電流値で3.0Vまで放電し、このときの放電容量を初期放電容量とした。なお、上記充放電の操作は25℃で行った。
各評価用リチウムイオン二次電池を、電池容量の50%(SOC=50%)の状態に調整した。次に、-10℃の環境下で種々の電流値で電流を流し、2秒後の電池電圧を測定した。上記流した電流と電圧変化を直線補間し、その傾きから電池抵抗(初期電池抵抗)を算出した。そして、例1の初期抵抗を1.00としたとき初期抵抗の相対値を算出した。その結果を表1に示す。
初期抵抗を測定した各評価用リチウムイオン二次電池に対し、60℃の環境下でサイクル試験を実施した。具体的には、1Cで4.2Vまで定電流充電を行った後、1Cで3.0Vまで定電流放電を行うことを1サイクルとして、50サイクル繰り返した。そして、50サイクル後の放電容量および電池抵抗を上記と同じ方法で測定した。そして、耐久後容量維持率を以下の式1:
(50サイクル後の放電容量)/(初期放電容量)×100・・・式1
により算出した。また、耐久後抵抗増加率を以下の式2:
(50サイクル後の電池抵抗)/(初期電池抵抗)×100・・・式2
により算出した。これら算出した耐久後容量維持率および耐久後抵抗増加率それぞれにおいて、例1を1.00としたときの相対値を算出した。その結果を表1に示す。
12 一次粒子
14 空隙
20 電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極集電体露出部
54 正極活物質層
60 負極
62 負極集電体
62a 負極集電体露出部
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池
Claims (3)
- 非水電解質二次電池に用いられる正極活物質であって、
少なくともアルミニウム原子およびマグネシウム原子のいずれか一方を含有するスピネル型結晶構造のリチウムマンガン複合酸化物で構成されており、
前記リチウムマンガン複合酸化物は多孔質粒子であり、
前記多孔質粒子は、一次粒子が複数集合した二次粒子を含み、
前記二次粒子の断面SEM像において、前記活物質を構成する二次粒子が占有する面積に対する空隙の面積の割合の平均値が10%以上40%以下であり、
前記活物質を構成する二次粒子は以下の特徴:
前記二次粒子を構成する一次粒子のSEM像に基づく平均最大粒子径は5μm以上12μm未満である、
ことを有する、正極活物質。 - 前記一次粒子のSEM像に基づく平均粒子径が2μm以上5μm以下である、請求項1に記載の正極活物質。
- 正極と、負極と、非水電解質と、を備える非水電解質二次電池であって、
前記正極は、正極活物質層を備え、
前記正極活物質層は、請求項1または2に記載の正極活物質を備える、
非水電解質二次電池。
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WO2001004975A1 (fr) * | 1999-07-07 | 2001-01-18 | Showa Denko K.K. | Matiere active de plaque positive, procede de fabrication de celle-ci et de cellules secondaires |
JP2004083388A (ja) * | 2002-02-21 | 2004-03-18 | Tosoh Corp | リチウムマンガン複合酸化物顆粒二次粒子及びその製造方法並びにその用途 |
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WO2001004975A1 (fr) * | 1999-07-07 | 2001-01-18 | Showa Denko K.K. | Matiere active de plaque positive, procede de fabrication de celle-ci et de cellules secondaires |
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