JP5712656B2 - 焼却灰の洗浄方法及びセメント原料化方法 - Google Patents

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本発明は、焼却灰の洗浄方法に係り、焼却灰をセメント原料として資源化するに際して、焼却灰を効率的に洗浄する方法に関する。
都市ごみや産業廃棄物の焼却によって生じる焼却灰は、SiO、Al、Fe、CaOなどのセメント原料と同様の成分を含んでいるため、セメント原料としての利用が図られている。しかし一方では、焼却灰には塩素も残留しており、この塩素がセメントキルンの安定操業に悪影響を及ぼし、またセメントの品質を劣化させるため、セメント原料化するに際しては、脱塩素のために洗浄する必要がある。
このような焼却灰を洗浄する方法として特許文献1及び特許文献2記載の技術がある。
特許文献1記載の技術は、焼却灰を水で洗浄してそのセメント原料化を行うに際し、洗浄時の液pHを所定の範囲に調整固定しつつ洗浄することにより、焼却灰に含まれる重金属の溶解を抑制するとともに、塩素を溶解して除去している。
また、特許文献2に開示の焼却灰の洗浄方法は、焼却灰から予め磁力選別により磁性を有する異物を取り除いておき、攪拌混合機を用いて、この異物を取り除いた焼却灰に、その重量の1倍以上かつ10倍以下の水を加え、得られた混合物を攪拌混合することにより焼却灰を磨砕しスラリーとするスラリー化工程と、このスラリーを、粗粒子含有スラリーと細粒子含有スラリーとに分離する分離工程とを備えている。
特許第3368372号公報 特開2009−61365号公報
しかしながら、特許文献1記載のように洗浄液のpHを調整固定する方法では、そのpH管理が煩雑である。これに対して、特許文献2記載の技術は所定量の水を加えて攪拌混合するという方法で、簡便な方法であるが、大量に処理される焼却灰から確実に塩素を除去する方法としては不十分である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、焼却灰を大量に処理しながら塩素を確実に除去することを目的とする。
焼却灰を水で洗浄する場合、単に水を加えて攪拌するだけでは、焼却灰の粒の表面の塩素は除去できても、粒中に含まれる塩素までは除去しきれない。焼却灰には、粗い粒子、細かい粉状の粒子等が混在しており、細かい粉状の粒子は、そのまま水により洗浄すればよいとしても、粗い粒子は、若干砕いて洗浄すると、粒子中に含まれる塩素も除去することができる。本発明は、このような知見の下、以下の解決手段とした。
本発明の焼却灰の洗浄方法は、ロッドを収容した回転ドラムに水を混合した焼却灰を供給し、前記回転ドラムを回転させ焼却灰中の粒子を破砕しながら攪拌することにより焼却灰スラリーとする解砕工程と、その焼却灰スラリーを選別用篩に通して過大固形物を除去する異物除去工程と、前記選別用篩を通過した焼却灰スラリーを水切り用篩により脱水する脱水工程と、脱水工程を経た焼却灰をすすぎ洗浄するすすぎ洗浄工程とを有し、前記脱水工程からの排水中の焼却灰濃度が設定値より低い場合には、前記回転ドラムの回転数を上昇し、又はさらに前記ロッドの本数を増加し、前記焼却灰濃度が設定値より高い場合には前記回転ドラムの回転数を減少することにより、前記解砕工程での攪拌を制御することを特徴とする。
焼却灰中の粗粒子を破砕して細かい粒子とすることにより、粗粒子の内部を露出させて塩素を除去し易くし、その細かい粒子が水とともに攪拌されることにより、表面の塩素が効率的に洗い流される。そして、選別用篩で異物等を除いた後に水切り用篩により脱水し、さらに、その焼却灰をすすぎ洗浄することにより、脱水後でも表面に付着している塩素等を確実に除去することができる。この場合、脱水工程からの排水には、篩を通過した焼却灰の微粉が混入しているが、その濃度に応じて解砕工程の攪拌を制御することにより、焼却灰の破砕を適切に行わせて、全体の効率を高めることができる。
本発明の焼却灰の洗浄方法において、前記解砕工程で焼却灰に加える水として、研磨材を含む水を用いるとよい。
解砕工程においてはロッドスクラバ等の解砕機により比較的粗く破砕されるが、これに研磨材を含む水を供給することにより、研磨材が攪拌により焼却灰に衝突して、クラックが入った粒子を分離し、あるいは、凝集して固まっている焼却灰を細かい粒子に分散させる。これにより、破砕むらをなくして、洗浄効果を高めることができる。
この場合、研磨材を含む水として、前記脱水工程からの排水を使用するとよい。
脱水工程からの排水には、篩を通過した焼却灰の微粉が混入しており、この微粉を研磨材として利用することにより、効率的に洗浄することができる。
本発明の焼却灰のセメント原料化方法は、以上のようにして洗浄された焼却灰をセメント原料とすることを特徴とする。
また、本発明の焼却灰のセメント原料化方法において、前記脱水工程からの排水をさらにフィルタープレスにより脱水してケーキを作製し、このケーキもセメント原料として利用してもよい。
本発明の焼却灰の洗浄方法によれば、焼却灰中の粗粒子を破砕しながら攪拌して洗浄することにより、粒子の内部の塩素まで確実に除去することができ、塩素分が極めて少ないセメント原料を得ることができる。
本発明に係る焼却灰の洗浄設備の一実施形態を示す概略構成図である。
以下、本発明に係る焼却灰の洗浄方法の一実施形態を図1に示す洗浄設備を参照しながら説明する。
図1に示す洗浄設備1は、焼却灰受け入れ選別装置2と、受け入れられた焼却灰の洗浄分級装置3と、洗浄により生じた排水を処理する排水処理装置4とを備えている。
焼却灰受け入れ選別装置2は、焼却灰受け入れヤード5に受け入れられた焼却灰6をバケット等により投入ホッパ7内に投入し、投入ホッパ7から一定量ずつ秤量しながら水平コンベア8上に供給し、水平コンベア8上を搬送しながら磁選機9により磁性金属類を除去した後、垂直コンベア10にて、洗浄分級装置3に送り込む構成である。
洗浄分級装置3は、湿式解砕機15、湿式振動スクリーン16、連続する2段構成の振動脱水機17,18等を備えている。
湿式解砕機15は、例えばロッドスクラバによって構成され、ロッド19を収容した回転ドラム20の供給部21から水を混合した焼却灰を入れて回転することにより、ロッド19の転動による衝撃と摩擦によって洗浄灰の粒子を破砕するものである。この湿式解砕機15の供給部21に、垂直コンベア10から運ばれた焼却灰とともに外部から水が供給されるようになっている。この水には、後述するように焼却灰を洗浄した後の排水と工業用水とが用いられる。
湿式振動スクリーン16は、斜めに配置した選別用篩25の上に、水を混合した焼却灰(焼却灰スラリー)を供給して、選別用篩25を振動させながら焼却灰スラリーを選別用篩25の目から流下させ、選別用篩25上に残る過大固形物を除去するものである。選別用篩25の目は例えば20mmに形成されており、20mmを超える過大固形物が除去される。選別用篩25の下方には、その篩25の目を通過した焼却灰スラリーを排出するシューター26が設けられる。
振動脱水機は、一次振動脱水機17と二次振動脱水機18とが連続して設けられている。
一次振動脱水機17は、湿式振動スクリーン16のシューター26から排出される焼却灰スラリーを水切り用篩27上に受け入れ、その水切り用篩27を振動させながら水切りすることにより脱水するものである。水切り用篩27の目は例えば0.3mmに形成され、その篩27の目を通過した水は排水され、水切り用篩27の上に残った焼却灰が篩27の振動に伴って篩27の先端に送られ、次の二次振動脱水機18に送り出される。
また、この一次振動脱水機17からの排水は、循環タンク28に送られ貯留されるが、循環タンク28からはその上澄み液を吸い上げ、湿式解砕機15の供給部21に供給するようになっている。
二次振動脱水機18も水切り用篩29を振動させながら水切りする構成は一次振動脱水機17と同じであり、その水切り用篩29の目も同じ0.3mmに形成されるが、新たに工業用水からなる洗浄水が供給される。一次振動脱水機17から送り出された洗浄灰は、二次振動脱水機18の水切り用篩29の上で振動を加えられながら新たな洗浄水によりすすぎ洗浄され、水切り用篩29の振動に伴って篩29の先端に送られ、先端から送り出される。
また、この二次振動脱水機18からの排水は排水受けタンク30に送られ貯留されるが、排水受けタンク30からはその上澄み液が一次振動脱水機17に供給され、一次振動脱水機17の水切り用篩27上に供給される焼却灰スラリーに混合される。
二次振動脱水機18から送り出される焼却灰は垂直コンベア35により受け取られ、水平コンベア36を経て洗浄焼却灰ストックヤード37に送られる。水平コンベア36の終端部には磁性金属類を除去するための磁選機38が設けられている。
また、循環タンク28及び排水受けタンク30には、それぞれの沈殿液を受け入れて貯留するスラリータンク41と、そのスラリータンク41からのスラリーを脱水するフィルタープレス42と、脱水した後のろ過水を貯留するろ過水タンク43とが接続され、ろ過水タンク43には、排水をpH調整等を施しながら処理する排水処理装置4が接続されている。この排水処理装置4にもフィルタープレス44が備えられる。
このように構成した焼却灰洗浄設備1において、焼却灰受け入れヤード5に受け入れた焼却灰6を洗浄する方法について説明する。
ここでは、都市ごみ焼却灰の主灰を受け入れる例を示しているが、これに限定されるものではない。
焼却灰受け入れヤード5において予め磁選機9により磁性金属類が除去された焼却灰は、垂直コンベア10を介して湿式解砕機15の供給部21に落し込まれる。この供給部21には、循環タンク28の上澄み液と工業用水とが供給され、洗浄灰はこれらの水とともに湿式解砕機15の回転ドラム20内に供給される。湿式解砕機15では、回転ドラム20が回転することにより、内部に収容したロッド19の衝撃と摩擦によって焼却灰が破砕されながら水に攪拌混合される。このとき、焼却灰中の比較的粗い粒子が破砕されることにより、その破砕面が露出して洗浄される。また、循環タンク28から供給される上澄み液中には、後述するように焼却灰の微細粉が混入しており、その微細粉が焼却灰に衝突して、ロッド19によりクラックが発生した粒子を分離し、あるいは、凝集して固まっている焼却灰を細かい粒子に分散させる。
湿式解砕機15で所定時間攪拌混合された後、焼却灰スラリーは湿式振動スクリーン16に送られる。湿式振動スクリーン16では、その選別用篩25の目が20mmに形成されているので、焼却灰スラリーは選別用篩25の目を通って落下し、20mmを超える過大固形物(異物)が篩25の上に残り、除去される。選別用篩25の目を通った焼却灰スラリーはシューター26により次の一次振動脱水機17に送られる。
一次振動脱水機17では、0.3mmの目の水切り用篩27の上に供給された洗浄灰は、排水受けタンク30から新たに供給される水によって洗われながら、次の二次振動脱水機18に送られる。水切り用篩27の目を通った微細粉を含む水は循環タンク28に送られ貯留される。
この循環タンク28においては、貯留された排水中の焼却灰濃度が検出され、その濃度に応じて湿式解砕機15の回転ドラム20の回転数を制御することが行われる。受け入れた焼却灰の特性に応じて、排水中の焼却灰濃度を予め決めておき、一次振動脱水機17からの排水中の焼却灰濃度が設定値よりも低くなった場合には、回転ドラム20の回転数を上げ、焼却灰濃度が高くなった場合には回転数を下げる制御がなされる。また、継続して焼却灰濃度が低い場合には、解砕機15中のロッド19の本数を増加させることが行われる。
この制御においては、排水中の焼却灰濃度を直接測定してもよいが、排水中の濁りの程度を目視して解砕機15を制御するようにしてもよい。また、循環タンク28中で分離した沈殿液の量によって解砕機15を制御するようにしてもよい。
次に、二次振動脱水機18では、同じく0.3mmの目の水切り用篩29の上に洗浄灰が供給され、別途送られてくる工業用水の新鮮な水によりすすぎ洗浄される。この二次振動脱水機18の水切り用篩29の目は一次振動脱水機17の水切り用篩27の目と同じ寸法であるが、一次振動脱水機17では洗い流せなかった焼却灰の粒子に付着した微粉等が二次振動脱水機18で焼却灰の粒子から分離される。焼却灰を洗い流した後の排水は、排水受けタンク30に貯留される。
そして、二次振動脱水機18の水切り用篩29上から送り出された洗浄後の焼却灰は垂直コンベア35及び水平コンベア36を経由して磁選機38にかけられながら搬送され、焼却灰ストックヤード37に貯留される。符号51はストックヤード37に溜まった洗浄済焼却灰を示す。
一方、一次振動脱水機17からの排水を貯留する循環タンク28及び二次振動脱水機18からの排水を貯留する排水受けタンク30においては、上澄み液と沈殿液とに分けて以降の処理がなされる。上澄み液は、前述したように循環タンク28からは湿式解砕機15の供給部21に送られ、また、排水受けタンク30からは一次振動脱水機17に送られ、それぞれ焼却灰の洗浄に供される。沈殿液は、スラリータンク41に貯留された後、フィルタープレス42で脱水されることにより、洗浄焼却灰のケーキ52が作られ、ろ過された水はろ過水タンク42に貯留され、排水処理装置4に送られる。排水処理装置4においても、生じた沈殿液がフィルタープレス44にかけられ洗浄済焼却灰のケーキ52が作られる。
このようにして得られた洗浄済焼却灰51,52のうち、洗浄分級装置3から得られた洗浄済焼却灰51は比較的粒子が粗く、水分も少ない。排水から得られたケーキ52は粒子が細かいが、比較的水分が多い。これらの洗浄済焼却灰51,52は、セメント製造設備に送られ、セメント原料の一部として供される。いずれも塩素分が除去されているので、セメント製造設備への影響が少ない、良質のセメント原料として用いられる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、湿式解砕機としてロッドスクラバを用いたが、焼却灰を破砕し得るものであれば他の解砕機を用いてもよい。また、その際に供給される水の一部として洗浄排水の上澄み液を使用したが、適当な研磨材を入れた洗浄水を用いてもよい。その他、振動スクリーンや振動脱水機の篩の目の大きさも一例であり、受け入れられる焼却灰の特性や求められる洗浄済焼却灰の特性等に応じて設定すればよい。
1 焼却灰洗浄設備
2 焼却灰受け入れ装置
3 洗浄分級装置
4 排水処理装置
5 焼却灰受け入れヤード
6 焼却灰
9 磁選機
15 湿式解砕機
16 湿式振動スクリーン
17,18 振動脱水機
19 ロッド
25 選別用篩
26 シューター
27 水切り用篩
28 循環タンク
29 水切り用篩
30 排水受けタンク
37 洗浄焼却灰ストックヤード
42,44 フィルタープレス
51 洗浄済焼却灰
52 洗浄済焼却灰のケーキ

Claims (4)

  1. ロッドを収容した回転ドラムに水を混合した焼却灰を供給し、前記回転ドラムを回転させ焼却灰中の粒子を破砕しながら攪拌することにより焼却灰スラリーとする解砕工程と、その焼却灰スラリーを選別用篩に通して過大固形物を除去する異物除去工程と、前記選別用篩を通過した焼却灰スラリーを水切り用篩により脱水する脱水工程と、脱水工程を経た焼却灰をすすぎ洗浄するすすぎ洗浄工程とを有し、
    前記脱水工程からの排水中の焼却灰濃度が設定値より低い場合には、前記回転ドラムの回転数を上昇し、又はさらに前記ロッドの本数を増加し、前記焼却灰濃度が設定値より高い場合には前記回転ドラムの回転数を減少することにより、前記解砕工程での攪拌を制御することを特徴とする焼却灰の洗浄方法。
  2. 前記解砕工程で焼却灰に加える水として、研磨材を含む水を用いることを特徴とする請求項1記載の焼却灰の洗浄方法。
  3. 前記研磨材を含む水として、前記脱水工程からの排水を使用することを特徴とする請求項2記載の焼却灰の洗浄方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の焼却灰の洗浄方法により洗浄された焼却灰をセメント原料とすることを特徴とする焼却灰のセメント原料化方法。
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