JP2009061365A - 焼却灰の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粗粒子と細粒子を凝集してなる焼却灰から塩素を取り除くための洗浄方法であり、焼却灰から予め磁力選別により磁性を有する異物を取り除いておき、攪拌混合機を用いて、この異物を取り除いた焼却灰に、その重量の1倍以上かつ10倍以下の水を加え、得られた混合物を攪拌混合することにより焼却灰を磨砕しスラリーとするスラリー化工程と、このスラリーを、粗粒子含有スラリーと細粒子含有スラリーとに分離する分離工程と、を備えている。
【選択図】図1
Description
この焼却灰や焼却飛灰は、多量の塩素や有害物質の塩素系有機化合物を含むものであるから、これらをセメント焼成設備のセメント原料として利用する場合、通常は水洗処理を行って焼却灰や焼却飛灰に含まれる塩素を除去した後、スラリー化した状態でセメントキルンの窯尻などに直接投入することにより、スラリー中に残存する塩素系有機化合物等を焼却処理している。
また、焼却灰から事前に塩素を除去する方法としては、焼却灰スラリーのスラリー濃度を20質量%未満とした上で、タワーミル等の湿式粉砕装置を用いて湿式粉砕し、その後、フィルタープレス等の固液分離装置を用いて焼却灰スラリーを固液分離し、焼却灰スラリー中の塩素化合物を脱水された水と共に外部に排出し、得られた固形物をセメント原料として利用する焼却灰の湿式粉砕方法が提案されている(特許文献2)。
また、焼却灰の使用量を増加した場合、セメントキルン内における熱損失等により、燃費が悪化するという問題点があった。
また、上述した特許文献2の焼却灰の湿式粉砕方法では、焼却灰を大量に処理する場合、全量をフィルタープレス等の固液分離装置を用いて固液分離しなければならず、固液分離装置が大きくなり、この設備を導入するための初期投資も大きくなってしまうという問題点があった。また、塩素濃度が低い粗粒部分も粉砕することとなるので、湿式粉砕装置が不必要に大きくなってしまうという問題点があった。
このスラリーは、粗粒子と細粒子が水中に分散した状態であるが、焼却灰に含まれる塩素は細粒子に多く含まれているので、このスラリーを粗粒子含有スラリーと細粒子含有スラリーとに分離することにより、塩素の濃度が低い粗粒子含有スラリーと、塩素の濃度が高い細粒子含有スラリーとに分けることが可能である。
この焼却灰の洗浄方法では、混合物の水素イオン指数を3以上かつ10.5以下に調整することにより、この混合物に含まれる焼却灰の磨砕が効率的に行われ、粗粒子と細粒子の分離がより容易になる。
この焼却灰の洗浄方法では、粗粒子含有スラリー、細粒子含有スラリー、のいずれか一方または双方を固液分離することで得られた水を再度、焼却灰に加えることにより、固液分離することで得られた水が有効利用され、省資源が図られる。
この焼却灰の洗浄方法では、粗粒子含有スラリーを固液分離することで得られた固形物は、塩素の濃度が低い粗粒子が主成分となる。
そこで、塩素の濃度が低い粗粒子を主成分とする固形物をセメント原料としてセメント焼成設備に導入することにより、焼却灰中の塩素の濃度が低い粗粒子が、セメント原料として有効活用される。
この焼却灰の洗浄方法では、塩素濃度が高い焼却飛灰を塩素濃度が低い焼却灰を含む混合物に添加することにより、この焼却飛灰が焼却灰とともにスラリー化され、このスラリーは、塩素の濃度が低い粗粒子含有スラリーと、塩素の濃度が高い細粒子含有スラリーとに分けることが可能である。
したがって、分離工程にて得られた粗粒子含有スラリー、細粒子含有スラリーのいずれか一方または双方をさらに固液分離して得られた固形物をセメント原料としてセメント焼成設備に導入すれば、塩素の濃度が低い固形物をセメント原料として有効利用することができる。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の焼却灰の洗浄方法は、粗粒子と細粒子とが凝集している焼却灰から塩素を取り除くための洗浄方法であり、磁力選別により除去可能な磁性を有する異物を取り除いた焼却灰に、この焼却灰の重量の1倍以上かつ10倍以下の水を加え、得られた混合物を攪拌混合することにより前記焼却灰を磨砕しスラリーとするスラリー化工程と、前記スラリーを、粗粒子含有スラリーと細粒子含有スラリーとに分離する分離工程と、を備えた方法である。
ここで、粗粒子とは、粒径が0.5mm以上かつ30mm以下、好ましくは0.5mm以上かつ5.0mm以下の粒子のことであり、細粒子とは、粒径が0.5mm未満、好ましくは0.2mm以下の粒子のことである。
また、産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生する燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック、ゴムくず、金属くず、ガラスくず等である。
この磁性を有する異物とは、FeやNi等の磁性体を含む異物のことであり、空き缶、ブリキ片、釘、ボルト、ナット、ワッシャ、ペーパークリップ、ホッチキスの針、カッターナイフの刃、画鋲、蝶番、針金、留め金、ファスナー、各種瓶の蓋、スプリング等を含む都市ごみを焼却処理した際に焼却残渣に含まれる異物のことである。
磁力選別としては、特に限定されるものではないが、永久磁石や電磁石を用いたドラム型磁力選別機、プーリー型磁力選別機、吊下型磁力選別機、対極型磁力選別機等を用いた選別方法が挙げられる。
ここで、この異物を取り除いた焼却灰に加える水の量を、この焼却灰の重量の1倍以上かつ10倍以下と限定した理由は、水の量が上記範囲を外れると、焼却灰の磨砕効果が低下し、凝集状態にあった粗粒子と細粒子が分離し難くなり、これら粗粒子及び細粒子が水中に分散した状態のスラリーが得られなくなるからである。
水としては、外部から新たに導入される新水の他、後述する分離装置により得られた循環利用水が用いられる。
この混合物のpHを3以上かつ10.5以下に調整することにより、後述する攪拌混合の際に、この混合物に含まれる焼却灰の磨砕が効率的に行われ、粗粒子と細粒子の分離がより容易になり、その結果、より短時間にて、塩素の濃度が低い粗粒部スラリーと、塩素の濃度が高い細粒部スラリーとに分けることができる。
ここで対象とする焼却飛灰とは、一般廃棄物を焼却処理することにより生じたものであり、粗粒子と細粒子が凝集した凝集体、例えば、粗粒子の表面に複数の細粒子が付着した凝集体により構成されている。
これにより、焼却灰が磨砕されて凝集状態にあった粗粒子と細粒子が分離し、これら粗粒子及び細粒子が水中に分散した状態のスラリーとなる。
これにより、上記のスラリーは、塩素の濃度が低い粗粒部スラリー(粗粒子含有スラリー)と、塩素の濃度が高い細粒部スラリー(細粒子含有スラリー)とに分けられる。
スラリーのpHを3以上かつ10.5以下に調整することにより、このスラリーにおいては、粗粒子と細粒子の分離がより容易になり、その結果、より短時間にて、塩素の濃度が低い粗粒部スラリーと、塩素の濃度が高い細粒部スラリーとに分けることができる。
なお、前段階にて混合物のpH調整を行っている場合には、この段階におけるpH調整は行わなくともよい。
この固液分離は、粗粒子の粒度が粗い場合には、山積みして自然に水を切る等によっても行うことができる。
得られた水は、循環利用水として、上記の異物を取り除いた焼却灰を混合物とする際に有効利用される。
また、粗粒子を含むケーキ状の固形物は、直接、あるいは乾燥機等で水分を除去等した上で、セメント原料と共にセメント原料ミルに投入され、粉砕・混合された後、セメントキルンの800℃以上の高温部に投入されてセメントクリンカとなる。
なお、前段階での混合物のpH調整あるいは粗粒子及び細粒子が水中に分散した状態でのスラリーのpH調整を行っている場合には、この段階におけるpH調整は行わなくともよい。
次いで、この塩素の濃度を低減した細粒部スラリーを、フィルタープレス等の濾過機、遠心分離機等の分離装置を用いて固液分離し、塩素の濃度が低い細粒子を含むケーキ状の固形物と、水とを得る。
得られた水は、循環利用水として、上記の異物を取り除いた焼却灰を混合物とする際に有効利用される。
この分離装置から排出される水のうち循環利用水として再利用するもの以外は、水処理が施されて排出基準以下の水質の水として下水道放流等とされる。
表1によれば、焼却灰は、水中に分散させたことにより粗粒子と細粒子とが分離し易くなり、さらに攪拌を施すことで、粗粒子と細粒子とがさらに分離し易くなり、その結果、粒度分布における細粒子の百分率が非常に高くなっていることが分かる。
表2によれば、異物を取り除いた焼却灰は、水中に分散させることにより、さらには攪拌することにより、順次、塩素濃度が低下していることが分かる。
また、塩素濃度は、粗粒子では低く、粒径が小さくなるにしたがって濃度が高くなり、粒径が最も小さい180μm未満では、最も濃度が高くなっていることが分かる。
したがって、この塩素の濃度が低い粗粒子含有スラリーを固液分離して得られた固形物をセメント原料としてセメント焼成設備に導入することにより、塩素の濃度が低い粗粒子を直接セメント原料として有効利用することができる。
また塩素の濃度が高い細粒子であっても、この細粒子をスラリー化した後にpH調整し、塩素をさらに溶解除去することにより、細粒子もセメント原料として有効利用することができる。
Claims (5)
- 粗粒子と細粒子とが凝集している焼却灰から塩素を取り除くための洗浄方法であって、
磁力選別により除去可能な磁性を有する異物を取り除いた焼却灰に、この焼却灰の重量の1倍以上かつ10倍以下の水を加え、得られた混合物を攪拌混合することにより前記焼却灰を磨砕しスラリーとするスラリー化工程と、
前記スラリーを、粗粒子含有スラリーと細粒子含有スラリーとに分離する分離工程と、
を備えてなることを特徴とする焼却灰の洗浄方法。 - 前記混合物、前記スラリーまたは前記細粒子含有スラリーに、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、二酸化炭素の群から選択された1種または2種以上を加えて水素イオン指数を3以上かつ10.5以下に調整することを特徴とする請求項1記載の焼却灰の洗浄方法。
- 前記粗粒子含有スラリー、前記細粒子含有スラリー、のいずれか一方または双方の固液分離を行い、得られた水を再度、前記焼却灰に加える水再利用工程を備えてなることを特徴とする請求項1または2記載の焼却灰の洗浄方法。
- 前記粗粒子含有スラリー、前記細粒子含有スラリー、のいずれか一方または双方の固液分離を行い、得られた固形物をセメント原料としてセメント焼成設備に導入するセメント原料化工程を備えてなることを特徴とする請求項1、2または3記載の焼却灰の洗浄方法。
- 前記混合物に、前記焼却灰より塩素濃度が高い焼却飛灰を、前記焼却灰100重量部に対して10重量部以下添加することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の焼却灰の洗浄方法。
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A521 | Request for written amendment filed |
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A02 | Decision of refusal |
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