JP2020179352A - 塩素含有灰の脱塩システム - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素含有灰のスラリーに二酸化炭素を吹き込んでフリーデル氏塩を分解する場合、炭酸カルシウムが二酸化炭素ガスの吹込口を閉塞して脱塩処理が継続不能になり、また脱塩灰の脱水洗浄が適切でないと脱塩が不十分になる。【解決手段】塩素含有灰が水洗浄される洗浄槽、水洗浄された塩素含有灰が脱塩処理される脱塩槽、塩化水素を含む二酸化炭素ガスからなる脱塩用ガスを上記脱塩槽に供給する手段、該脱塩槽から排出された脱塩灰スラリーの脱水洗浄手段を有し、さらに該脱水洗浄手段の洗浄水量を所定範囲に制御する手段を有することを特徴とする塩素含有灰の脱塩システム。【選択図】図1

Description

本発明は、塩素含有灰を脱塩するシステムであって、塩素含有灰のスラリーに二酸化炭素ガスを吹き込んで塩素化合物を分解する脱塩システムにおいて、ガス吹込口の閉塞を防止して安定に脱塩処理することができ、脱塩スラリーの脱水による脱塩効果のよい脱塩システムに関する。
一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰や、セメント工場から発生するダストなどは、概ね10%〜25%の濃度で塩素が含まれている塩素含有灰であるので、これらの塩素含有灰を再資源化するためには、用途に応じた程度まで脱塩する必要がある。上記塩素含有灰に含まれる塩素化合物の大部分は水溶性であるので水洗浄して脱塩できるが、塩素化合物の一部は水難溶性のフリーデル氏塩(3CaO・AlO・CaCl・10HO)等を形成しており、水洗浄だけでは脱塩することができない。
一方、フリーデル氏塩等は酸によって分解されると水溶性塩になるため、フリーデル氏塩等を酸分解した後に濾過洗浄することによって脱塩する方法が知られている。例えば、フリーデル氏塩は塩酸によって次式[1]のように、水酸化アルミニウムと塩化カルシウムに分解する。この塩化カルシウムは水溶性なので、水洗浄して脱塩することができる。ただし、水洗浄が不十分であると、洗浄灰粒子間の間隙水中に残存する塩化カルシウム量が多くなり、脱塩不十分になる問題がある。
3CaO・AlO・CaCl・10HO+6HCl →2Al(OH)+4CaCl+10HO ・・・ [1]
一方、酸として二酸化炭素を用いると、フリーデル氏塩は次式[2]のように分解し、カルシウムの一部は水不溶性の炭酸カルシウムになるので、塩化カルシウムの生成量が少なくなり、効果的に脱塩できるようになる。
3CaO・AlO・CaCl・10HO+3CO →3CaCO+2Al(OH)+CaCl+7HO・・・[2]
特許第6252653号公報 特開2006−326462号公報 特許第4482636号公報 特許第3924822号公報 特許第5748418号公報 特許第4358014号公報 特許第3911538号公報 特許第5561326号公報
塩素含有灰のスラリーに二酸化炭素を吹き込んでフリーデル氏塩を分解する場合、塩化カルシウムと共に炭酸カルシウムが生成し、この炭酸カルシウムが二酸化炭素ガスの吹込口に析出し吹込口が閉塞されて脱塩処理が継続不能になると云う問題がある。また、脱塩灰の間隙水の洗浄が適切でないと脱塩が不十分になる。
本発明は上記問題を解決した脱塩システムを提供する。
本発明は、以下の構成によって上記問題を解決した、塩素含有灰の脱塩システムに関する。
〔1〕塩素含有灰が水洗浄される洗浄槽、水洗浄された塩素含有灰が脱塩処理される脱塩槽、塩化水素を含む二酸化炭素ガスからなる脱塩用ガスを上記脱塩槽に供給する手段、該脱塩槽から排出された脱塩灰スラリーの脱水洗浄手段を有し、さらに該脱水洗浄手段の洗浄水量を所定範囲に制御する手段を有することを特徴とする塩素含有灰の脱塩システム。
〔2〕上記脱塩用ガス中の塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下である上記[1]に記載する塩素含有灰の脱塩システム。
〔3〕二酸化炭素貯槽と塩酸貯槽とバブリング槽を有し、該塩酸貯槽から該バブリング槽に塩酸が供給され、この塩酸に上記二酸化炭素貯槽から二酸化炭素ガスが吹き込まれてバブリングされることによって、塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下の脱塩用ガスが形成され、該脱塩用ガスが上記脱塩槽に供給される上記[1]または上記[2]に記載する塩素含有灰の脱塩システム。
〔4〕塩素含有灰が水洗浄される上記洗浄槽の次に分離槽を有し、さらに該分離槽で脱水した水洗浄灰を受け入れる再スラリー槽を有し、スラリー状態の塩素含有灰が該再スラリー槽から上記脱塩槽に供給される上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する塩素含有灰の脱塩システム。
〔5〕上記脱水洗浄手段が、洗浄水が流れる脱水手段であって、脱塩灰の間隙水の2倍以上〜6倍以下の洗浄水量でケーキ洗浄が行われる上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する塩素含有灰の脱塩システム。
〔具体的な説明〕
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の脱塩システムは、塩素含有灰が水洗浄される洗浄槽、水洗浄された塩素含有灰が脱塩処理される脱塩槽、塩化水素を含む二酸化炭素ガスからなる脱塩用ガスを上記脱塩槽に供給する手段、該脱塩槽から排出された脱塩灰スラリーの脱水洗浄手段を有し、さらに該脱水洗浄手段の洗浄水量を所定範囲に制御する手段を有することを特徴とする塩素含有灰の脱塩システムである。
本発明の脱塩システムの構成例を図1に示す。
本発明の脱塩システムは、図1に示すように、塩素含有灰を水洗浄する洗浄槽10、水洗浄された塩素含有灰を脱塩処理する脱塩槽11、脱塩槽11に脱塩用ガス供給手段12、脱塩槽11から排出された脱塩灰スラリーを脱水洗浄する脱水洗浄機13が設けられている。
洗浄槽10には、セメント工場のダストや一般の焼却施設の焼却灰などの塩素含有灰が供給される。洗浄槽10には洗浄用の水が供給される。好ましくは、該洗浄槽10に分離槽30を接続し、該分離槽30に再スラリー槽31を接続し、該再スラリー槽31にスラリー用の水が供給されるようにすると良い。洗浄槽10に供給される塩素含有灰には概ね1万ppm以上の塩素が含まれており、洗浄槽10において水洗されることによって、水溶性の塩素化合物が洗い流されて、塩素濃度が数千ppm〜1万ppm程度に低減される。該洗浄槽10には撹拌手段を設けるとよい。水洗浄された塩素含有灰は上記分離槽30で脱水され、水溶性の塩素化合物を含む水分が分離されて、再スラリー槽31に供給される。水洗された塩素含有灰はここで再び水が供給され、スラリー状態で再スラリー槽31から脱塩槽11に送られる。
脱塩槽11の塩素含有灰スラリーに脱塩用ガスが吹き込まれる。脱塩用ガスは塩化水素と二酸化炭素ガスの混合ガスであり、好ましくは、塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下の塩化水素と二酸化炭素ガスの混合ガスである。脱塩槽11には撹拌手段を設けるとよい。
上記脱塩用ガスは二酸化炭素ガスと塩化水素ガスを混合して形成することができる。あるいは、塩酸に二酸化炭素ガスを吹き込み、塩酸中で二酸化炭素ガスをバブリングすることによって形成することができる。図1に示すシステムは、この塩酸バブリングの例を示す。
図1に示すように、脱塩用ガス供給手段12には、二酸化炭素の貯槽20と塩酸の貯槽21が設けられており、塩酸貯槽21から管路23を通じてバブリング槽22に塩酸が供給される。一方、二酸化炭素の貯槽20から気化器24を介して二酸化炭素ガスが管路25を通じてバブリング槽22の塩酸中に吹き込まれ、塩化水素を含む二酸化炭素ガスが形成され、この塩化水素を含む二酸化炭素ガスが脱塩用ガスとして管路26を通じて脱塩槽11に供給され、脱塩槽11の塩素含有灰スラリー中に吹き込まれる。
この塩酸バブリングでは、塩化水素が発生して二酸化炭素ガスに取り込まれ、これが脱塩用ガスとして抜き出されるので、バブリング槽22の塩酸は次第に濃度が低下して希塩酸になり、塩化水素蒸発量が少なくなるため、この希塩酸を抜き出しながら新たに濃塩酸を塩酸貯槽21から供給し、バブリング槽内の塩酸濃度を一定に保ち、脱塩用ガスの塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下になるようにするのが好ましい。なお、バブリング後の廃塩酸は濃度が概ね30%以上なので他の用途に使用することができる。
脱塩槽11では、吹き込まれた脱塩用ガスの主体は二酸化炭素であるので、これが塩素含有灰スラリーに含まれているフリーデル氏塩と反応し、上記式[2]に示すように、フリーデル氏塩が分解されて水溶性の塩化カルシウムになり、これを脱水することによって脱塩することができる。
また、フリーデル氏塩の分解によって炭酸カルシウムが生成するが、脱塩用ガスには二酸化炭素と共に塩化水素が含まれているので、次式[3]に示すように、生成した炭酸カルシウムは塩化水素によって分解され、水溶性の塩化カルシウムになり、脱塩用ガスの吹込口周囲に炭酸カルシウムのスケールが析出せず、吹込み口が閉塞しないので、継続して脱塩処理を進めることができる。
CaCO + 2HCl → CaCl + HO + CO ・・・ [3]
脱塩用ガス中の塩化水素濃度は2vol%以上〜50vol%以下が好ましい。塩化水素濃度が1vol%程度では炭酸カルシウムの分解が不十分になり、ガス吹込みから10分程度で吹込口が閉塞することが多い。なお、塩化水素はガス吹込口周囲の炭酸カルシウムを溶解すればよいので、塩化水素濃度は過剰に高い必要はない。しかも、塩化水素はガス吹込口付近で炭酸カルシウムと反応して消費されるので、ガス吹込口から離れた場所では二酸化炭素によるフリーデル氏塩の分解は実質的な影響を受けず、脱塩効果は低下しない。
一方、塩化水素濃度が過剰に高くなると、塩化カルシウムの発生量が多くなって脱塩効果が低下し、さらに余剰の塩化水素が大気中に放出されて作業環境が悪化するので、塩化水素濃度は50vol%以下が好ましい。
脱塩された灰スラリー(脱塩灰スラリーと云う)は脱塩槽11から脱水洗浄機13に送られる。脱水洗浄機13は、例えば、洗浄水が流れるフィルタープレスであって、プレスして生じた脱水ケーキに洗浄水を流して脱塩を進めるとよい。
脱塩時に水難溶性塩素化合物のフリーデル氏塩が分解されて水溶性塩が液中に放出されるのに加え、脱塩時に塩化水素を添加するのに伴って液中の塩素濃度が上昇するため、脱塩灰スラリーを脱水してケーキ状の脱塩灰を得ても、脱塩灰ケーキの間隙水中に塩素が含まれるので、脱塩灰中の塩素濃度は十分に下がらない。
そこで、脱水手段として洗浄水が流れるフィルタープレスなどを用い、プレス脱水しながら脱水ケーキに洗浄水を流してケーキ洗浄すれば、脱塩灰中の間隙水は洗浄水で置換されるため、塩素濃度の低い脱塩灰を得ることができる。
なお、二酸化炭素ガスと共に塩化水素を含む混合ガスを脱塩用ガスとして用いた場合、この塩化水素の影響で脱塩灰の塩素濃度は脱塩処理初期の水洗灰の塩素濃度より高くなる場合があるので、洗浄水量を制御して脱塩効果を高めるように、脱水洗浄機は洗浄水量を所定範囲に制御する手段を有するものが好ましい。なお、脱塩効果を確認するために、脱水洗浄機から排出される濾液の電気伝導度を測定する手段を有することが好ましい。
この洗浄水量は脱塩灰中の間隙水の2倍以上〜6倍以下が好ましい。洗浄水量が間隙水の2倍より少ないと脱塩が不十分になる。また洗浄水量が間隙水の6倍を超えても脱塩効果は変わらないので、洗浄水量は2倍以上〜6倍以下が好ましい。なお、濾液の電気伝導度は濾液の塩素濃度にほぼ比例し、洗浄水量2倍とした場合における電気伝導度は凡そ1S/mになる。よって、ケーキ洗浄中に濾液の電気伝導度を測定することで、脱塩効果を確認しながらケーキ洗浄の終了可否を判断することができる。
本発明の脱塩システムでは、塩素含有灰スラリーに二酸化炭素を吹き込んで脱塩する場合に、ガス吹込口が炭酸カルシウムのスケールによって閉塞しないので、二酸化炭素ガスを安定に吹き込むことができ、継続して脱塩効果を進めることができる。さらに吹込口の閉塞を防ぐためのメンテナンスの手間を省くことができる。また、脱塩灰の間隙水の2倍以上〜6倍以下の洗浄水量で脱水洗浄を行うことによって、塩素濃度が格段に低い脱塩灰を得ることができる。
本発明の脱塩システムの概略図 脱塩灰スラリーの洗浄効果を示すグラフ 脱塩灰スラリーの洗浄効果を示すグラフ ケーキ洗浄時に排出された濾液の電気伝導度と塩素濃度の関係を示すグラフ 実施例2のフィルターの閉塞状態を示すグラフ
以下、本発明の実施例を示す。塩素濃度は電量滴定式塩分計(ソルメイト,中研コンサルタント社製品)を用いて測定した。
〔実施例1〕
塩素含有灰300gを洗浄槽10に入れ、800mLの水を加えて15分間水洗し、分離槽30にて脱水して水溶性塩を除去した。 得られた水洗灰を再スラリー槽31に入れ、800mLの水を加えて撹拌し再スラリー化した。このスラリーを脱塩槽11に供給し、60℃に加温し、脱塩用ガスを0.2L/minの流量で3時間吹き込んで脱塩を行った。脱塩用ガスは、塩酸貯槽21からバブリング槽22に塩酸を供給し、この塩酸に二酸化炭素貯槽20から二酸化炭素ガスを吹き込んでバブリングして形成した。脱塩用ガスの塩化水素濃度は11〜15vol%調整した。
脱塩槽11から抜き出した脱塩灰スラリーを脱水洗浄機13に入れ、含水率40質量%の脱塩灰ケーキ315g(固形分189g、間隙水分126g)を得た。この脱塩灰ケーキを濾過脱水しながら洗浄水を流してケーキ洗浄を続け、サンプリングを順次行って脱塩灰の塩素濃度を測定した。この結果を図2、図3に示した。図2はケーキ洗浄水量に対する脱塩灰中の塩素濃度を示すグラフである。図3は脱塩灰ケーキの間隙水量に対する洗浄水量の比と脱塩灰中の塩素濃度の関係を示すグラフである。
なお、図2、図3の水洗灰の塩素濃度は洗浄槽11から抜き出した水洗灰の塩素濃度であり、本例では概ね0.5%程度である。
図2に示すように、ケーキ洗浄水量が100mLよりも少ないと、脱塩灰中の塩素濃度は水洗灰よりも高い。これは脱塩時に添加した塩化水素の影響であり、ケーキ洗浄水量が増加すると脱塩灰中の塩素濃度は指数関数的に減少し、ケーキ洗浄水量が200mLより多くなると水洗灰の塩素濃度より低くなる。ケーキ洗浄水量が1200mLになると脱塩灰の塩素濃度は約0.3%程度であり、水洗灰の塩素濃度の6割程度に低減された。
また、図3に示すように、ケーキ洗浄水量が脱塩灰間隙水量の約2倍以上であれば、脱塩灰の塩素濃度は水洗灰の塩素濃度よりも低くなり、ケーキ洗浄水量が多くなれば脱塩灰の塩素濃度が次第に低下する。ただし、ケーキ洗浄水量が間隙水量の約6倍以上になると脱塩灰の塩素低減効果は僅かであり、むしろ排液量が増すので、ケーキ洗浄水量は間隙水量の約2倍以上〜約6倍以下が好ましいことが分かる。
また、図2、図3の結果から、塩化水素ガスと二酸化炭素ガスの混合ガスを脱塩用ガスとして用いる脱塩システムでは、脱水洗浄における洗浄水量を脱塩灰の間隙水量に対して適切な範囲に制御しなければ、脱塩効果に差がでることが分かる。
なお、図4の結果から、濾液の電気伝導度は濾液中に含まれる塩素濃度にほぼ比例することが分かる。よって、濾液の電気伝導度が減少しなくなった時点で間隙水の置換が終了したと判断することができる。
〔実施例2〕
塩素含有灰300gを、800mLの水で15分間水洗・ろ過し、さらに800mLの水でケーキ洗浄し、ろ過して水溶性塩を除去した。得られた水洗灰に800mLの水を加えて撹拌しスラリーとした。このスラリーを60℃に加温し、塩化水素と二酸化炭素の混合ガスを0.2L/minの流量で3時間吹き込んだ。吹込口が閉塞してガスが吹き込まれなくなったときはその時点で試験を終了した。なお、塩化水素は塩酸バブリング(図2の方法)で二酸化炭素に混合し、バブリングさせる塩酸の濃度を35質量%、30質量%、27質量%、0質量%にして、塩化水素濃度を11〜15vol%、2.8〜3.0vol%、1.1vol%、0vol%になるように調整した。
吹込口周囲のスケールの発生量は、吹込口に設けた散気フィルターの重量を脱塩前後で比較することによって求めた。また、発生したスケールを捕集し、X線回折法にて組成を同定した。散気フィルターの重量増加量を図5に示す。
図5に示すように、二酸化炭素ガス中の塩化水素濃度が0vol%、1.1vol%のときは、吹込み10分程度で吹込口が閉塞した。一方、塩化水素濃度が2.8vol%〜3.0vol%、11vol%〜15vol%のときは、吹込み180分でも吹込口は閉塞しなかった。閉塞した場合の散気フィルターの重量増加は5〜8mgであったのに対して、閉塞しなかったときの散気フィルターの重量増加は19〜24mgであり、重量増加が多くても閉塞していない。これを吹き込み時間に対する重量増加の傾きでみると、閉塞しなかった場合の傾きが小さく、スケールの発生が抑制されていることが分かる。
スケール発生量が多くなっても閉塞しなかった原因について確認するため、脱塩処理後の散気フィルター表面を観察したところ、閉塞した場合と閉塞しなかった場合の何れも、散気フィルター表面に白色のスケールが付着していたが、その付着状態は異なり、閉塞したものは、スケールがフィルター表面全体に薄く付着していたのに対して、閉塞しなかったものは、スケールがフィルター表面に偏在しており、スケールが無い箇所が存在していた。この結果より、吹出口が閉塞しなかったものは、混合ガスが吹き出す直近の気孔のみスケールの発生が抑制され、この気孔から離れた領域ではスケールが付着して成長したことによって、散気フィルター全体の重量は増加したが、閉塞は生じなかったことが推測された。
10−洗浄槽、11−脱塩槽、12−脱塩用ガス供給手段、13−脱水洗浄機、20−二酸化炭素貯槽、21−塩酸貯槽、22−バブリング槽、23−管路、24−気化器、25−管路、26−管路、30−分離槽、31−再スラリー槽。

Claims (5)

  1. 塩素含有灰が水洗浄される洗浄槽、水洗浄された塩素含有灰が脱塩処理される脱塩槽、塩化水素を含む二酸化炭素ガスからなる脱塩用ガスを上記脱塩槽に供給する手段、該脱塩槽から排出された脱塩灰スラリーの脱水洗浄手段を有し、さらに該脱水洗浄手段の洗浄水量を所定範囲に制御する手段を有することを特徴とする塩素含有灰の脱塩システム。
  2. 上記脱塩用ガス中の塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下である請求項1に記載する塩素含有灰の脱塩システム。
  3. 二酸化炭素貯槽と塩酸貯槽とバブリング槽を有し、該塩酸貯槽から該バブリング槽に塩酸が供給され、この塩酸に上記二酸化炭素貯槽から二酸化炭素ガスが吹き込まれてバブリングされることによって、塩化水素濃度が2vol%以上〜50vol%以下の脱塩用ガスが形成され、該脱塩用ガスが上記脱塩槽に供給される請求項1または請求項2に記載する塩素含有灰の脱塩システム。
  4. 塩素含有灰が水洗浄される上記洗浄槽の次に分離槽を有し、さらに該分離槽で脱水した水洗浄灰を受け入れる再スラリー槽を有し、スラリー状態の塩素含有灰が該再スラリー槽から上記脱塩槽に供給される請求項1〜請求項3の何れかに記載する塩素含有灰の脱塩システム。
  5. 上記脱水洗浄手段が、洗浄水が流れる脱水手段であって、脱塩灰の間隙水の2倍以上〜6倍以下の洗浄水量でケーキ洗浄が行われる請求項1〜請求項4の何れかに記載する塩素含有灰の脱塩システム。
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