JP2001081683A - 紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防止方法 - Google Patents
紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防止方法Info
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Abstract
ケールの付着を、効果的に防止することができるスケー
ル防止方法を提供する。 【解決手段】水溶性カルシウム塩を紙パルプ工場のアル
カリ回収工程水に添加することを特徴とする紙パルプ工
場アルカリ回収工程のスケール防止方法。
Description
カリ回収工程のスケール防止方法に関する。さらに詳し
くは、本発明は、紙パルプ工場のアルカリ回収工程で発
生するスケールの付着を効果的に防止することができる
紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防止方法に関
する。
苛性ソーダを含む蒸解液を加えて蒸解することにより製
造される。パルプ製造においては、多量の苛性ソーダと
水を使用するために、アルカリ回収工程によって苛性ソ
ーダを回収し、薬剤と水の有効利用が図られている。ア
ルカリ回収工程は、一般に、木材チップを蒸解する木
釜、黒液を濃縮するエバポレーター、濃縮された黒液を
燃焼するボイラー、スメルトを水に溶解して緑液とする
ディゾルバータンク、緑液中の不溶解分を除去する緑液
クラリファイア、炭酸ソーダを苛性ソーダに転化する苛
性化槽、白液から炭酸カルシウムを分離する白液クラリ
ファイア及び回収炭酸カルシウムを生石灰に転化するロ
ータリーキルンより構成されている。アルカリ回収工程
を流れる水は、高pH、高温で、かつ木材に由来するカル
シウムイオン及び炭酸イオンを含み、苛性化工程におい
て生石灰を添加することにより苛性ソーダを回収し、再
度木材チップの蒸解に循環使用する。このように、アル
カリ回収工程の水は、炭酸カルシウムが高度に過飽和状
態になっているために、装置や配管内壁には炭酸カルシ
ウムを主成分とするスケールの付着が恒常的に起こって
いる。装置や配管内壁にスケールが付着すると、流量低
下を起こして生産性が低下するばかりでなく、場合によ
っては配管の閉塞を起こし、多大なトラブルを引き起こ
す。装置や配管内壁にスケールが付着した場合には、高
圧水を吹き付けたり、ハンマーで叩き落としたり、手作
業でスケールの除去を行う場合が多く、多大の労力と時
間が必要である。付着したスケールを叩き落とすときに
は、スケールの破片が飛び散るために、作業の安全性の
点でも問題がある。また、炭酸カルシウムは酸に可溶で
あるために、塩酸などで洗浄する場合もあるが、木材チ
ップ由来のイオウ成分と反応して硫化水素が発生しやす
いために、その作業は非常に危険である。このような問
題に対して、カルボキシル基を有するポリマー、ヘキサ
メタリン酸やホスホン酸などのリン系のスケール防止剤
が使われる場合がある。しかし、対象が炭酸カルシウム
の高度の過飽和液であるために、必要な添加量が非常に
多く、経済的な量ではほとんどスケール防止効果を示さ
ないために、改善策が強く求められている。
場のアルカリ回収工程で発生するスケールの付着を、効
果的に防止することができるスケール防止方法を提供す
ることを目的としてなされたものである。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水溶性カルシウ
ム塩を、紙パルプ工場のアルカリ回収工程水に添加する
ことにより、スケールの発生を効果的に防止し得ること
を見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、(1)水溶性カルシウム塩
を紙パルプ工場のアルカリ回収工程水に添加することを
特徴とする紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防
止方法、を提供するものである。さらに、本発明の好ま
しい態様として、(2)水溶性カルシウム塩が、塩化カ
ルシウムである第1項記載の紙パルプ工場アルカリ回収
工程のスケール防止方法、(3)水溶性カルシウム塩の
添加量が、カルシウムイオンとして、ラインを流れる水
1リットルに対して10〜5,000mgである第1項記
載の紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防止方
法、及び、(4)水溶性カルシウム塩を含有することを
特徴とする紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防
止剤、を挙げることができる。
収工程のスケール防止方法は、水溶性カルシウム塩を、
紙パルプ工場のアルカリ回収工程水に添加するものであ
る。本発明のスケール防止方法は、紙パルプ工場のアル
カリ回収工程におけるスケールの付着の防止に適用する
ことができる。本発明方法の適用の対象となるスケール
成分に特に制限はなく、アルカリ回収工程において発生
するスケール成分は、スケール成分をサンプリングし、
分析することにより特定することができるが、アルカリ
回収工程で発生するスケールの主体は、炭酸カルシウ
ム、あるいは、ナトリウムも含む炭酸カルシウムナトリ
ウムである場合が多く、本発明方法は、これらの炭酸カ
ルシウム系スケール成分に対して特に好適に適用するこ
とができる。本発明方法において、水溶性カルシウム塩
とは、添加するアルカリ回収工程水の温度における水1
00gに対する溶解度が0.05g以上であるカルシウ
ム塩をいう。添加するアルカリ回収工程水の温度におけ
る水100gに対する溶解度が0.05g未満のカルシ
ウム塩では、添加した際にカルシウムイオンの発生量が
少なく、その結果、アルカリ回収工程水中での炭酸カル
シウムの結晶の核の発生量が少なくなり、スケール防止
効果は十分でなくなる。水溶性カルシウム塩としては、
例えば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カル
シウム、次亜塩素酸カルシウム、塩素酸カルシウム、過
塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、チオ硫酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カル
シウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスホン酸カルシウ
ム、リン酸二水素カルシウム、アジ化カルシウム、ヘキ
サフルオロケイ酸カルシウム、硫化水素カルシウムなど
の無機カルシウム塩、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウ
ム、プロピオン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、乳
酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、レブリン酸カルシ
ウム、パントテン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウ
ム、グルコン酸カルシウム、ボログルコン酸カルシウ
ム、アルギン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム
などの有機カルシウム塩などを挙げることができる。こ
れらの水溶性カルシウム塩は、1種を単独で用いること
ができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いること
もできる。これらの中で、塩化カルシウムを特に好適に
用いることができる。
を添加する場所又は工程に特に制限はなく、スケールの
発生しやすい場所を選択して添加することができる。図
1は、クラフトパルプ製造におけるアルカリ回収工程系
統図の一例である。木釜1に木材チップと苛性ソーダを
含む蒸解液が仕込まれ、蒸解が行われる。木釜で発生し
た黒液は、エバポレーター2で濃縮されたのち、ボイラ
ー3で燃焼される。黒液中に含まれる無機ナトリウム塩
は溶融し、ボイラーの底部からスメルトとして排出され
る。スメルトは、ディゾルバータンク4で水に溶解さ
れ、炭酸ソーダを溶解した緑液となる。緑液は、緑液ク
ラリファイア5で不溶解分を除去したのち、いったん緑
液タンク6に貯留される。次いで、苛性化工程7におい
て、緑液に生石灰又は消石灰が添加され、溶存している
炭酸ソーダが苛性ソーダに転化されて白液となる。白液
は、白液クラリファイア8で生成した炭酸カルシウムを
石灰マッドとして沈降、分離したのち、白液タンク9に
貯留され、ふたたび蒸解液として使用される。白液クラ
リファイアで分離した石灰マッドは、キルン10で焙焼
して生石灰に転化し、生石灰のまま又はスレーカーで消
和して消石灰とし、苛性化工程で再使用される。図2
は、苛性化工程系統図の一例である。スレーカー11
に、温度90〜100℃、pH13〜14で、炭酸ソーダ
と苛性ソーダを含有する緑液が送り込まれ、生石灰が添
加され、消和により生石灰は消石灰となる。混合液は、
スレーカーから直列に接続された3基の苛性化槽12に
送られ、炭酸ソーダと消石灰が反応して、苛性ソーダと
炭酸カルシウムに転化する。生成した炭酸カルシウムの
微粒子で白濁した白液は、白液クラリファイアで炭酸カ
ルシウムが分離される。
は、木釜内のスケールを防止するためには木釜に添加又
は白液に添加することができ、エバポレーター内のスケ
ールを防止するためには木釜から出る黒液に添加するこ
とができ、ディゾルバータンクのスケールを防止するた
めにはディゾルバータンクに添加することができ、緑液
ラインのスケールを防止するためにはディゾルバータン
クから流出する緑液に添加することができ、苛性化工程
でのスケールを防止するためには緑液ライン又はスレー
カーに添加することができる。すなわち、基本的に、ス
ケールが付着する場所に直接添加することができ、ある
いは、その場所よりも前工程に添加することもできる。
本発明方法において、水溶性カルシウム塩を添加する方
法に特に制限はなく、例えば、水溶性カルシウム塩を固
体のまま添加することができ、あるいは、水溶液として
添加することもできる。これらの添加方法の中で、水溶
液として添加する方法は、容易に輸送及び計量を行うこ
とができるので、好適に用いることができる。本発明方
法において、水溶性カルシウム塩の添加量に特に制限は
ないが、通常はラインを流れる水量に対して、カルシウ
ムイオンとして、10〜5,000mg/リットルの割合
となるように添加することが好ましい。カルシウムイオ
ンの量が水量に対して10mg/リットル未満であると、
十分なスケール防止効果が発現しないおそれがある。カ
ルシウムイオンの量が水量に対して5,000mg/リッ
トルを超えると、カルシウムイオンの量の増加に見合っ
てはスケール防止効果は向上せず、むしろ経済的に不利
となるおそれがある。
溶性カルシウム塩と、他の薬剤を併用することができ
る。併用する薬剤としては、例えば、ポリアクリル酸、
ポリマレイン酸、アクリル酸と2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸と
2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸の
共重合体などの有機ポリマー、ニトリロトリメチレンホ
スホン酸、ヒドロキシエチリデンホスホン酸、ホスホノ
ブタントリカルボン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムな
どのリン系化合物などを挙げることができる。本発明方
法において、白液、木釜、黒液、ディゾルバータンク、
緑液、緑液ライン、スレーカーなどに添加した水溶性カ
ルシウム塩は、水溶性カルシウム塩に由来するカルシウ
ムイオンが、アルカリ回収工程の水中において炭酸ソー
ダと反応して炭酸カルシウムに転化するので、各クラリ
ファイアで除去される。本発明のスケール防止方法によ
り、効果的にスケールの付着を防止し得る機構は明らか
でないが、紙パルプ工場のアルカリ回収工程を流れるス
ケール成分が高度に過飽和となった溶液に、カルシウム
イオンを生成する水溶性カルシウム塩を添加することに
より、炭酸カルシウムの結晶の核が生成し、その核が種
晶となって溶液中のスケール成分が析出し、その結果、
溶存するスケール成分の濃度が低下し、溶液中のスケー
ル成分の過飽和度が低下して、装置や配管内壁などへの
スケールの付着が生じにくくなるためと考えられる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。実施例及び比較例においては、
アルカリ回収工程のラインのうち、苛性化工程のフロー
を模擬した条件で試験を実施した。図3は、使用した試
験装置の説明図である。本装置は、容量2リットルのス
テンレス製反応器13と、容量0.5リットルのステン
レス製反応器14とからなる。ステンレス製反応器13
は、撹拌機15、緑液注入口16、水溶性カルシウム塩
添加口17、オーバーフロー口18を有し、反応器内の
液はマントルヒーター19により90℃に加熱されてい
る。ステンレス製反応器14は、オーバーフロー液流入
口20、水酸化カルシウム水スラリー添加口21、オー
バーフロー口22を有し、250W電熱ヒーターを組み
込んだ外径25mmのステンレスチューブ23が取り付け
られている。反応器内の液は100℃に加熱され、マグ
ネチックスターラー24と回転子25により撹拌されて
いる。試験に用いた紙パルプ工場の緑液の水質は、pH1
3.2、電気伝導率18,100mS/m、懸濁物質13
2mg/リットル、カルシウム16mg/リットル、ナトリ
ウム75,300mg/リットル、塩化物イオン2,960
mg/リットル、硫酸イオン7,310mg/リットル、炭
酸48,200mg/リットル、比重1.15である。 実施例1 ステンレス製反応器13に、緑液を0.72リットル/
時の割合で注入し、2.8重量%塩化カルシウム水溶液
を、36ml/時となるように、10分ごとに6mlずつに
分割して添加した。また、ステンレス製反応器14に
は、水酸化カルシウムの40重量%水スラリーを2.1m
l/分の割合で添加した。6時間試験を継続したのち、
ステンレスチューブを取り外し、乾燥後のステンレスチ
ューブの重量増から、ステンレスチューブへのスケール
付着量を求めたところ1.42mg/cm2であった。 比較例1 塩化カルシウム水溶液を添加しなかった以外は、実施例
1と同じ条件で試験を行った。ステンレスチューブへの
スケール付着量は、8.80mg/cm2であった。緑液に塩
化カルシウム水溶液を添加しない比較例1に比べて、緑
液に塩化カルシウム水溶液を添加した実施例1ではスケ
ール付着量が約6分の1に減少し、水溶性カルシウム塩
を紙パルプ工場のアルカリ回収工程水に添加することに
より、スケールの付着を効果的に防止し得ることが分か
る。
パルプ工場のアルカリ回収工程水に水溶性カルシウム塩
を添加するという簡単な操作により、容易かつ効果的に
スケールの付着を防止することができる。
回収工程系統図の一例である。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】水溶性カルシウム塩を紙パルプ工場のアル
カリ回収工程水に添加することを特徴とする紙パルプ工
場アルカリ回収工程のスケール防止方法。
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---|---|---|---|
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25466599A Expired - Fee Related JP4314626B2 (ja) | 1999-09-08 | 1999-09-08 | 紙パルプ工場アルカリ回収工程のスケール防止方法 |
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-
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- 1999-09-08 JP JP25466599A patent/JP4314626B2/ja not_active Expired - Fee Related
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