以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1では、本発明に係るゲート装置の実施形態として、駅の改札口に配置された自動改札機の例を簡略化して示している。自動改札機は、本発明に係るゲート装置の代表的な例である。自動改札機10では、平行に設置された一対の機械本体10Aによって、その間に改札通路11が形成されている。改札通路11について、この図示例では、機械本体10Aの一方の端部の箇所には通路入口11Aが形成され、他方の端部の箇所には通路出口11Bが形成される。図1に示された状態では、通路入口11Aから通行者12が改札通路11内に入ろうとしている状態が示されている。通行者12は、例えば、機械本体10Aにおける改札通路11の通路入口11A側に設けられたICカードタッチ部13に乗車券機能を有する非接触ICカード12−1をタッチして改札通路11を通り抜けようとしているところである。
図1に示した自動改札機10では、さらに、一例として2台のカメラ14A,14Bが想像線で図示されている。2台のカメラ14A,14Bについてはいずれか一方が設置されることで十分である。下側のカメラ14Aは、自動改札機10の機械本体10Aに内蔵されたカメラである。上側のカメラ14Bは機械本体10Aの上方の位置(天井部等)に設置されたカメラである。2台のカメラ14A,14Bは、いずれも、それぞれ破線の矢印14A−1,14B−1で示すように、改札通路11に入った直後の通行者12の身体部分、好ましくは上半身(特に顔の部分)を撮影している。より具体的には、2台のカメラ14A,14Bは、いずれも、改札通路11の通路入口11A側に設けられた機械本体10AのICカードタッチ部13に非接触ICカード12−1をタッチした後、改札通路11内に入った直後の通行者12の顔等の動きを撮像している。カメラ14Aは通行者12の顔を下側前方から撮像しており、カメラ14Bは通行者12の顔を上側前方から撮影している。以下の説明では、主に下側の内蔵カメラ14Aを用いた例に基づいて説明する。
次に、図2に従って自動改札機10の機械本体10Aの具体的な構成を説明する。図2は、自動改札機10の一対の機械本体10Aの一方を改札通路11側から見た正面図を示している。機械本体10Aは、通行者12にとって進行方向(D1)に向かって右側に位置する機械本体である。図2に示した例では、改札通路11で、矢印15で示す方向が上記の通行者12の通行方向であると仮定している。図2において、通行者12の通行方向15に関して、機械本体10Aの右側端部が通路入口11Aとなり、機械本体10Aの左側端部が通路出口11Bとなる。機械本体10Aの右側端部および左側端部のそれぞれにおいて、機械本体10Aの内側壁面に開閉ドア16A,16Bが設けられている。開閉ドア16A,16Bはそれぞれのドア駆動装置(回転駆動用モータ等)17A,17Bによって駆動される。機械本体10Aの上面において、右側端部には前述したICカードタッチ部13(アンテナおよびリーダ・ライタ等を含む)が設けられ、左側端部には各種情報表示用の表示部18が設けられている。なお、右側端部にはさらに乗車券を投入する券投入口(図示せず)も設けられており、これに対応して機械本体10Aの内部には乗車券の搬送・処理装置も内蔵されているとする。さらに機械本体10Aの上面のほぼ中央部に例えば2台のカメラ14Aが配置されている。2台のカメラ14Aは共に機械本体10Aに設けられた内蔵カメラである。2台のカメラ14Aの各々は、矢印14A−1で示されるように、その撮影領域が、顔を含む通行者12の上半身となるように設定されている。図2中右側のカメラ14Aは改札通路11の右側から入る通行者12を撮影し、左側のカメラ14Aは改札通路11の左側から入る通行者を撮影するように設定されている。以下の説明では右側のカメラ14Aについて説明する。カメラ14Aによって取得される画像データには通行者12の顔の画像が含まれる。また機械本体10Aの内側壁面には、主にその中間的な高さの位置に、改札通路11に沿って複数の赤外線センサ20が一列状に配置されている。また機械本体10Aの上部には警告灯21が配置されている。また機械本体10Aには、図2で図示しない警告音発生器も備えられている。さらに機械本体10Aの内部には、ICカードタッチ部13、表示部18等の動作を制御しかつ必要な情報処理を行うと共に、開閉ドア16A,16Bを開閉させるドア駆動装置17A,17Bの動作を制御する制御装置22が設けられている。
図3に基づいて、自動改札機10の機械本体10Aに内蔵される制御システムのハードウェアの構成を説明する。
制御システムは、上記の制御装置22の制御機能および情報処理機能に基づいて構成されている。制御装置22は、マイコンで構成され、CPU31とメモリ32を備えている。メモリ32内には改札機制御プログラム33が備えられている。なおメモリ32内には一時的記憶を行う保存領域が設けられている。
改札機制御プログラム33は、CPU31での実行に基づいて改札機制御機能を実現する。改札機制御プログラム33に基づく改札機制御機能は、改札通路11を通行する通行者12の通行を制御する通行制御機能の一種である。当該改札機制御機能には、乗車券検査機能、警告機能、ドア開閉制御機能、および物体検知機能等が含まれる。乗車検査機能は、ICカードタッチ部13から入力された乗車券情報を検査して、決済処理を行い、適正・不適正を判断して適正・不適正に係る情報を発生する機能である。警告機能は、乗車検査機能が不適性である場合に警告灯21と警告音発生器から警告を発する機能である。ドア開閉制御機能は、ドア駆動装置17A,17Bの動作を制御し、改札通路11の通行を許可または禁止するために開閉ドア16A,16Bの開閉動作を制御する機能である。物体検知機能は、改札通路11を通過する通行者12等の物体を赤外線センサ20によって検知する機能である。
メモリ32には、さらにドア閉動作緩和プログラム34が備えられている。ドア閉動作緩和プログラム34は、CPU31で実行されることにより、改札機制御プログラム33に基づくドア開閉制御機能によって開閉ドア16A,16Bを閉じる場合において所定条件の下で当該開閉ドア16A,16Bの閉じる動作(通行阻止動作)を緩和する制御機能を実現する。ここで「所定条件」とは、この実施形態の例の場合には、通行者12が、通路出口11B側の開閉ドア16Bが閉じている状態であることを気づいているかまたは気づけるか否かという条件である。通路出口11B側の開閉ドア16Bが閉じていることに通行者12が気づいているか否かについては、通行者12の顔(頭部)等の動きの変化や移動速度(移動量)の変化等の通行状態の変化に関する指標を用いて、通行者12の通行状態を予測して認識を行う。また「緩和」とは、閉じた状態の開閉ドア16Bに通行者12が衝突したとしても、事故やケガ等を生じない程度に開閉ドア16Bの閉状態を安全に制御する(「安全ドアクローズ」の制御状態)ことを意味する。
開閉ドア16Bの閉成動作(通行阻止動作)を緩和する機能は、通行者の状態変化検出機能(顔動作検出機能)、通行者の通行状態を判断・予測する機能、およびドア開閉緩和制御機能(「安全ドアクローズ」の制御機能)が含まれる。通行者の状態変化検出機能(顔動作検出機能)は、通行者12の顔の動きを検出する機能である。通行者の通行状態を予測する機能は、検出した通行者12の顔の動きに基づいて、通行者12が通路出口11B側の開閉ドア16Bが閉じていることに気づいているか否かを予測する機能である。ドア開閉緩和制御機能(「安全ドアクローズ」の制御機能)は、通路出口11B側の開閉ドア16Bの閉成動作の制御を緩和して安全な閉成状態にする機能である。
制御装置22の入力側には、前述したICカードタッチ部13と、カメラ14Aと、赤外線センサ20とが設けられている。また制御装置22の出力側には、前述したドア駆動装置17A,17Bおよび開閉ドア16A,16Bと、表示部18と、警告灯21と、警告音発生器35とが設けられている。制御装置22の入力側との間、およびその出力側との間には、それぞれインターフェース(I/F)36が設けられている。
次に図4と図5を参照して、通常の通行阻止の改札機制御の場合の状態(A)と、本実施形態に基づくドア閉動作が緩和された安全な通行阻止の改札機制御(「安全ドアクローズ」の制御)の場合の状態(B)とを比較して説明する。
図4は、第1の例であって、開閉ドア16A,16Bが1枚の板状部材で作られている例を示す。図4に示した通路出口11B側の開閉ドア16Bの閉じる動作において、通常の通行阻止の改札機制御の場合(A)には、進行方向D1を完全に遮るように、改札通路11を形成する左右の機械本体10Aの内側壁面10A−1に対してほぼ垂直になるように左右の開閉ドア16Bを閉じる。これに対して、本実施形態によるドア閉動作が緩和された通行阻止の改札機制御の場合(B)には、閉じるトルクを弱め、進行方向D1に向かって少し開けるように、改札通路11を形成する左右の機械本体10Aの内側壁面10A−1に対して所要の角度で傾斜させるように左右の開閉ドア16Bを閉じる。
図5は、第2の例であって、開閉ドア16A,16Bが上下の2枚の板状部材で作られている例を示す。図5に示した通路出口11B側の開閉ドア16Bの閉じる動作において、通常の通行阻止の改札機制御の場合(A)には、進行方向D1を完全に遮るように、改札通路11を形成する左右の機械本体10Aの内側壁面10A−1に対してほぼ垂直になるように左右の2枚の開閉ドア16Bを閉じる。これに対して、本実施形態によるドア閉動作が緩和された通行阻止の改札機制御の場合(B)には、通行阻止力を半減するように、左右の2枚の開閉ドア16Bの各々で例えば上側の板状部材だけを閉じるようにしている。
図6と図7を参照して、自動改札機10に内蔵される制御システムに基づく安全な通行阻止制御の処理の流れと処理機能部の構成とについて説明する。
図6において、最初は判断ステップS11であり、この判断ステップS11では物体が検知された否かが判断される。ここで「物体」は、通路入口11Aから改札通路11に入ろうとする前述の通行者12である。判断ステップS11は、上記の赤外線センサ20によって構成される物体検知部41からの検知情報に基づいて改札機制御部42で実行される。通常、物体検知部41としては、改札通路11の通路入口11Aの付近に設置された赤外線センサ20が機能する。判断ステップS11でNOである場合には、判断ステップS11が繰り返され、YESである場合には通行状態変化計測の処理ルーチンS100が実行される。通行状態変化計測の処理ルーチンS100は、ここでは、改札通路11を通行しようとする通行者12の動作の変化の状態を計測し、物体検知部41で検知された物体が通行者であるか否かの判断に役立つものである。通行状態変化計測の処理ルーチンS100の詳細は後述される。
その後、次の判断ステップS12では、非接触ICカードまたは乗車券についてICカードタッチ部13でのタッチ行為または投入口への券投入の確認ができた否かが判断される。自動改札機10の改札通路11の通行であることから、当該通行が適正か不正かについて、最初の判断ステップS12においては交通料金の支払いがなされた否かという観点で判断を行う。判断ステップS12でYESである場合には、次の判断ステップS13においては、タッチされた非接触ICカードの残高が有効か否か、および投入された乗車券が有効か否かという観点で判断が行われる。判断ステップS13でYESである場合には、通行者12の改札行為は適正なものであるとして、自動改札機10の機械本体10Aは通路出口11B側の開閉ドアを開けたままとして制御を終了する。
上記において、判断ステップS12,S13を実行するために、図6に示すように、改札機制御部42は乗車券検査部43から乗車券情報を取得して上記の判断を実行する。ここで、乗車券検査部43は、非接触ICカードの関しては上記のICカードタッチ部13であり、乗車券に関しては内蔵された上記の搬送・処理装置である。
上記の最初の判断ステップS12でNOである場合には、判断ステップS14で無札通行判断位置であるか否かが判断される。判断ステップS14でNOである場合には処理ルーチンS100に戻る。判断ステップS14でYESである場合には処理ステップS15に移行する。さらに次の判断ステップS13でNOである場合にも処理ステップS15に移行する。
処理ステップS15では「警告発生」と「ドアクローズ」の制御が実行される。「警告発生」では警告灯21を点灯させると共に警告音発生器35を動作させる。「ドアクローズ」の制御では、改札通路11の通路出口11B側の開閉ドア16Bを通常の通行阻止制御に基づいて閉じる。処理ステップS15での制御内容については、改札機制御部42から警告灯21および警告音発生器35に警告制御信号を与え、ドア駆動装置17Bに対してドア制御信号を与えることにより、実行される。
処理ステップS15の後に即座に前述した通行状態変化計測の処理ルーチンS100が再び実行される。この処理ルーチンS100で実行される「通行状態変化計測」は、改札行為を行って改札通路11に入った通行者12の移動動作の変化、特に頭部(具体的には顔)の動きの変化の計測である。通行状態変化計測の処理ルーチンS100について以下に詳述する。
なお図7では、改札機制御部42から通行状態変化計測部51に対して通行状態計測命令が与えられることにより、通行状態変化計測部51等の計測動作に基づいて、上記の通行状態変化計測の処理ルーチンS100が実行される。
図8〜図11を参照して顔の動きの変化を計測する処理ルーチンS100について説明する。本実施形態に係る自動改札機10では、例えばICカードをICカードタッチ部13にタッチして改札通路11に入った直後の通行者12の顔の動きの変化を計測することにより、当該通行者12が通路出口11B側の開閉ドア16Bが閉じていることに気づいているか否かを判断する。そのため、処理ルーチンS100では、改札通路11に入った直後の通行者12の顔の動きの変化を計測する。
図8に示されるように、最初の処理ステップS101では、カメラ14Aによる撮像で得た画像データから通行者12の顔の画像部分のデータを抽出する。その後、通行者12の顔の画像データをメモリ32に一時的に保存する(処理ステップS102、ブロック52)。処理ステップS101,S102は、通行者12が通路入口11Aを通過する短時間の間に所定の時間間隔でくり返して実行される(判断ステップS103)。その結果、任意に設定された所要数のフレームに係る顔の画像データがメモリ32に一時的に保存される。
処理ステップS101における通行者12の顔の画像部分のデータ抽出は、カメラ14Aから得られる画像フレームから行われる。この場合において、顔の画像部分の特定は、例えば、移動物体(通行者12)の占有領域を抽出し、そのうちの高い位置の領域を顔として仮定することにより行われる。また、顔領域検出については、従来より一般的に用いられている認識手法を用いることもできる。メモリ32に保存された所要数の複数の顔画像部分に係るフレームは、その後のフレームの解析に用いられる。
判断ステップS103においてNOの場合に、次の処理ステップS104では、予め任意に定められたフレーム数前(好ましくは1フレームより前)の顔画像部分に係るフレームを読込む。これは、顔の動きの変化の状態を検出するためであり、例えば最新の(現時点の)顔画像部分に係るフレームと比較するため所定のフレーム数前の顔画像部分に係るフレームをメモリ32から取得することである。図7では、通行状態変化計測部51が一時記憶のブロック52(メモリ32の一部)から画像データを取り込んでいる。その後の処理ステップS105では、最新の顔画像部分に係るフレームと読み込んだ顔画像部分に係るフレームとの間で、顔画像部分に関する類似度を算出する。ここで「類似度」の例としては、「コサイン類似度」や「ユークリッド距離」である。この顔画像部分に関する類似度の値に基づいて、顔の動きの変化を求め、これを通行状態の変化の計測値とする。この計測値は、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶される(処理ステップS106)。処理ステップS104〜S106の処理は所定の短い時間間隔にて繰り返される(判断ステップS107)。このため、図7に示した、通行状態変化計測部 と一時記憶のブロック52の間のデータのやり取り(P1,P2)は繰り返される。この結果、繰り返しの都度、上記の通行状態変化の計測値は一時記憶のブロック52に記憶され、複数の通行状態変化の計測値が蓄積される。
図7に示すように、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶された複数の通行状態変化(顔の動きの変化)の計測値は、通行状態計変化の計測値の履歴として、通行状態変化割合計算部53に与えられる(処理ステップS108)。通行状態変化割合計算部53では「通行状態変化割合」を算出する(処理ステップS109)。この「通行状態変化割合」は顔の動きの変化の程度を判断するための指標であり、通行者12が通行出口11Bの開閉ドア16Bが閉じていることを気づいているか否かを判断するための指標である。通行状態変化割合計算部53で算出された「通行状態変化割合」は、改札機制御部42から与えられる通行状態変化認識命令に基づいて、通行状態変化割合算出結果として改札機制御部42に提供される(処理ステップS110)。こうして、上記の通行状態変化計測の処理ルーチンS100の内容が完了する。
再び、図6に示したフローチャートに戻って、後段の処理ルーチンS100の後に判断ステップS16が実行される。この判断ステップS16では、処理ルーチンS100で求められた「通行状態変化割合」を予め定められた閾値と比較することにより、「通行状態変化割合」が当該閾値以上か否かが判断される。判断ステップS16でYESである場合には、通行者12の顔の動きの変化が大きいことから、通行者12は開閉ドア16Bが閉じていることに気づいているとして、開閉ドア16Bの閉じた状態(「ドアクローズ」)を通常のままの制御で維持して処理を終了する。判断ステップS16でNOである場合には、通行者12の顔の動きの変化が小さいことから、通行者12は開閉ドア16Bが閉じていることに気づいていないとして、開閉ドア16Bの閉じた状態(「ドアクローズ」)を、ドア閉動作が緩和された安全な通行阻止の改札機制御(「安全ドアクローズ」の制御)に変更し(処理ステップS17)、一連の処理を終了する。
図9の(A)は、自動改札機10の機械本体10A内に内蔵されたカメラ14Aの撮像で取得された画像データに基づいて得られる通行者12の顔の画像の変化(4つの顔画像F1,F2,F3,F4)を示し、変化量が小さい顔の動きを示している。4つの顔画像F1〜F4について、図9(A)において左から右に向かって時間(t)が経過している。開閉ドア16Bが閉じた「ドアクローズ」の時点t1を境界にしてその前後の顔画像F3と顔画像F4との間の変化が小さく、自然であり、その変化量が小さいものとなっている。従って、このような場合には、通行者12は開閉ドア16Bが閉じたこと(「ドアクローズ」の状態)を気づいていないということが判明する。
なお図9の(B)は、自動改札機10の機械本体10Aの上方に配置されたカメラ14Bの撮像で取得された画像データに基づいて得られる通行者12の顔の画像の変化(4つの顔画像F11,F12,F13,F14)を示し、変化量が小さい顔の動き(顔画像F13と顔画像F14との関係)を示している。時間軸(t)と「ドアクローズ」の時点t1については、図9の(A)の場合と同じである。
図10の(A)は、図9(A)と同じく自動改札機10の機械本体10A内に内蔵されたカメラ14Aの撮像で取得された画像データに基づいて得られる通行者12の顔の画像の変化(4つの顔画像F1,F2,F3,F4)を示し、変化量が大きい顔の動きを示している。4つの顔画像F1〜F4について、図10(A)では、図9(A)と同様に、左から右に向かって時間(t)が経過しており、開閉ドア16Bが閉じた「ドアクローズ」の時点t1を境界にしてその前後の顔画像F3と顔画像F4との間の変化が大きく、何かに注視して不自然な動きとなり、その変化量が大きいものとなっている。従って、このような場合には、通行者12は開閉ドア16Bが閉じたこと(「ドアクローズ」の状態)を気づいているということが判明する。
なお図10の(B)は、図9(B)と同じく自動改札機10の機械本体10Aの上方に配置されたカメラ14Bの撮像で取得された画像データに基づいて得られる通行者12の顔の画像の変化(4つの顔画像F11,F12,F13,F14)を示し、変化量が大きい顔の動き(顔画像F13と顔画像F14との関係)を示している。時間軸(t)と「ドアクローズ」の時点t1については、図10の(A)の場合と同じである。
図9(A)に示した通行者12の顔画像の動きの変化量と、図10(A)に示した通行者12の顔画像の動きの変化量とを対比すると、図11に示すように、「ドアクローズ」の時点t1の前後の領域で、変化量が小さい顔の動きを示す変化グラフ(A)と、変化量が大きい顔の動きを示す変化グラフ(B)とに、明確に識別することができる。従って、変化グラフ(A)と変化グラフ(B)を識別し得る上記の閾値を設定すれば、顔の動きの変化に基づいて通行者12が開閉ドア16Bが閉じていることに気づいているか否かについての情報を正確に得ることができる。
図9〜図11を参照して説明した通り、自動改札機10の改札通路11に入った直後の通行者12の顔の動きの変化を画像データに基づいて検出することにより、特に「ドアクローズ」の時点t1の前後の顔の動きの変化の大小に基づいて、通行者12が通路出口11B側の開閉ドア16Bが閉じていることに気づいているか否かを高い精度で判別することができる。このため、通行者12の顔の動きの変化を衝突に係る危険度合いの指標として、閉じた開閉ドア16Bに衝突する可能性を予測し、通路出口11Bの開閉ドア16Bの閉動作に基づく通行阻止力を弱めるように変化させる(判断ステップS16、処理ステップS17)。
上記の実施形態に係る自動改札機10の開閉ドア16Bの閉動作の制御では、通行者12の顔の動きの変化を衝突に係る危険度合いの指標としたが、前述した「通行状態変化」の指標としては通行者12の移動速度(移動量)の変化でも良い。
図12を参照して通行者12の移動速度(移動量)の画像変化量に基づく通行状態変化計測に係る処理の流れを説明する。
図12に示されるように、最初の処理ステップS201では、カメラ14Aによる撮像で得た画像データから少なくとも通行者12の身体部分のデータを抽出する。その後、通行者12の身体部分の画像データをメモリ32に一時的に保存する(処理ステップS202)。処理ステップS201,S202は、通行者12が通路入口11Aを通過する短時間の間に所定の時間間隔でくり返して実行される(判断ステップS203)。その結果、任意に設定された所要数のフレームに係る身体部分の画像データがメモリ32に一時的に保存される。
処理ステップS201における通行者12の身体部分のデータ抽出は、カメラ14Aから得られる画像フレームから行われる。メモリ32に保存された所要数の複数の身体部分に係るフレームは、後のフレームの解析に用いられる。
判断ステップS203でNOである場合に、その後の処理ステップS204では予め任意に定められた複数のフレームを読込む。これは、通行者の移動速度(移動量)の変化を検出するため、所定の複数のフレームの身体画像部分に係るフレームをメモリ32から取得することである。通行状態変化計測部51は、一時記憶のブロック52(メモリ32の一部)から画像データを取り込んでいる。その後の処理ステップS205では、読み込んだ複数のフレームに基づいてフレーム間差分データを求め、当該フレーム間差分データ(身体部分の画像データの変化状態)から通行者12の移動速度(移動量)を算出する。算出された移動速度(移動量)が通行状態変化の計測値となる。この計測値は、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶される(処理ステップS206)。処理ステップS204〜S206の処理は所定の短い時間間隔にて繰り返される(判断ステップS207)。
図7に示した通行状態変化計測部51と一時記憶のブロック52の間のデータのやり取り(P1,P2)は繰り返され、この結果、繰り返しの都度、上記の通行状態変化の計測値は一時記憶のブロック52に記憶され、複数の通行状態変化の計測値が蓄積される。
先に図7を参照して説明したように、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶された複数の通行状態変化(移動速度(移動量)の変化)の計測値は、通行状態計変化の計測値の履歴として、通行状態変化割合計算部53に与えられる(処理ステップS208)。通行状態変化割合計算部53では「通行状態変化割合」を算出する(処理ステップS209)。この「通行状態変化割合」は移動速度(移動量)の変化の程度を判断するための指標であり、通行者12が通行出口11Bの開閉ドア16Bが閉じていることを気づいているか否かを判断するための指標である。通行状態変化割合計算部53で算出された「通行状態変化割合」は、改札機制御部42から与えられる通行状態変化認識命令に基づいて、通行状態変化割合算出結果として改札機制御部42に提供される(処理ステップS210)。こうして、通行者12の移動速度(移動量)に基づく通行状態変化計測の処理ルーチンS100の内容が完了する。
図13と図14を参照して他の実施形態に係るゲート装置を説明する。この例の場合にも、ゲート装置は自動改札機10であり、さらに通行者12の顔の動きの変化を検出することにより、通行者12が、開閉ドア16Bが閉じていることを気づいているか否かを判断する仕組みの他の例である。図13は前述した図8と同様なフローチャートを示し、図14は前述した図7と同様なブロック図を示す。図14において、図7で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図14に示した制御システムの機能部の構成を示すブロック図では、図7に示された構成においてさらに顔方向のテンプレートが格納されたデータベース61が設けられている。通行状態変化計測部51は、データベース61から必要に応じて顔方向のテンプレートに係るデータを取り出すようにしている。
図13において、最初の処理ステップS301では、カメラ14Aによる撮像で得た画像データから通行者12の顔の画像部分のデータを抽出する。さらにその後、顔の画像部分のデータから顔方向を算出する(処理ステップS302)。その後、通行者12の顔方向に係るデータをメモリ32に一時的に保存する(処理ステップS303、ブロック52)。処理ステップS301〜S303は、通行者12が通路入口11Aを通過する短時間の間に所定の時間間隔でくり返して実行される(判断ステップS304)。その結果、任意に設定された所要数のフレームに係る顔の画像データから得られた顔方向のデータがメモリ32に一時的に保存される。
処理ステップS301における通行者12の顔の画像部分のデータ抽出は、カメラ14Aから得られる画像フレームから行われ、前述した処理ステップS101の場合と実質的に同じである。
次の処理ステップS305では、予め任意に定められたフレーム数前(好ましくは1フレームより前)の顔方向に係るデータを読込む。これは、顔方向の動きの変化の状態を検出するためであり、用意された顔方向テンプレートと比較するためである。図14では、通行状態変化計測部51が一時記憶のブロック52(メモリ32の一部)から顔方向に係るデータを取り込んでいる。その後の処理ステップS306では、読み込んだ顔方向に係るデータと、データベース61から読み出した顔方向テンプレートとを比較・照合し、2つの顔方向の差分を算出する。この顔方向の差分に関する値に基づいて、顔の動きの変化を求め、これを通行状態の変化の計測値とする。この計測値は、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶される(処理ステップS307)。処理ステップS305〜S307の処理は所定の短い時間間隔にて繰り返される(判断ステップS308)。このため、図14に示した、通行状態変化計測部51と一時記憶のブロック52の間のデータのやり取り(P1,P2)は繰り返される。この結果、繰り返しの都度、上記の通行状態変化の計測値は一時記憶のブロック52に記憶され、複数の通行状態変化の計測値が蓄積される。
この実施形態の場合にも、図14に示すように、メモリ32の一時記憶のブロック52に記憶された複数の通行状態変化(顔の動きの変化)の計測値は、通行状態計変化の計測値の履歴として、通行状態変化割合計算部53に与えられる(処理ステップS309)。通行状態変化割合計算部53では「通行状態変化割合」を算出する(処理ステップS310)。この「通行状態変化割合」は顔の動きの変化の程度を判断するための指標であり、通行者12が通行出口11Bの開閉ドア16Bが閉じていることを気づいているか否かを判断するための指標である。通行状態変化割合計算部53で算出された「通行状態変化割合」は、改札機制御部42から与えられる通行状態変化認識命令に基づいて、通行状態変化割合算出結果として改札機制御部42に提供される(処理ステップS311)。こうして、上記の通行状態変化計測の処理ルーチンS100の内容が完了する。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。