JP5709121B2 - 複数の波長を用いたレーザアブレーション - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119(e)条の下で、2007年3月21日に出願された「Laser Ablation Using Multiple Wavelengths」と題する米国仮特許出願第60/896228号からの利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は概して微細回路の非接触式修復に関し、特にアクティブマトリクス型液晶ディスプレイパネルの修復に関する。
液晶(LC)ディスプレイの製造において、薄いガラスの大きく透明なプレートが、薄膜トランジスタ(TFT)アレイを成膜する基板として使用される。通常、一枚のガラス基板内にはいくつかの独立したTFTアレイが含まれており、しばしばTFTパネルと呼ばれる。また、アクティブマトリクス型LCD、すなわちAMLCDは、全サブピクセルでトランジスタまたはダイオードを利用する種類のディスプレイを含み、よってTFTデバイスを含むが、そのようなガラス基板はAMLCDパネルと呼ばれる場合もある。フラットパネルディスプレイも任意のOLED技術を利用して製造されてよく、一般的にはガラス上に製造されるが、プラスチック基板上に製造されてもよい。
TFTパターン成膜は多数の段階で行われるが、それぞれの段階においては、特定の物質(例えば、金属、インジウムスズ酸化物(ITO)、結晶シリコン、アモルファスシリコン等)が前層(またはガラス)の上に所定のパターンに従って成膜される。それぞれの段階は通常、成膜、マスキング、エッチング、剥離等の多数の工程を含む。
これらの段階の間、及び各段階内の様々な工程において、最終LCD製品の電気的及び/または光学的性能に影響を及ぼしかねない多くの製造欠陥が発生する可能性がある。そのような欠陥としては、図1に示すように、ITO112への金属突起110、金属116へのITO突起114、いわゆるマウスバイト118、オープン回路120、トランジスタ124内のショート122、異物126を含むが、これに限定されるものではない。その他の欠陥としては、マスクの問題、エッチング過剰あるいはエッチング不足等がある。
TFT成膜プロセスは厳しく制御されているにもかかわらず、欠陥の発生は避けられない。そのために製品の歩留まりが制限され、製造コストに悪影響を及ぼす。一般的にTFTアレイは、重要な成膜段階に続いて1以上の自動光学検査(AOI)システムを用いて、及び最終的なTFTアレイを試験するためのアレイテスタあるいはアレイチェッカ(AC)とも呼ばれる電気光学検査器によって検査される。通常、AOIシステム及びACシステムは欠陥の座標は提供するが、それらは、キラー欠陥、修復可能な欠陥、あるいはTFTアレイの性能に影響を与えない単なる欠陥(いわゆるプロセス欠陥)として欠陥を分類するために必要な高解像度画像は提供しない。欠陥座標の情報は、アレイセーバ(AS)とも呼ばれるTFTアレイ修復ツールへ送られ、上記の分類は、従来はTFTアレイ修復器のオペレータが手動で行っている。
プレート当りの平均欠陥数は、TFTアレイの製造業者によって、及び製造工場によって異なる可能性がある。一般的には、TFTアレイ製造ラインにおける欠陥レビュー及び修復する能力は、第7世代プレート当たり300から400の欠陥をプロセスできる規模である。一般的には、プレート当たり欠陥の5から10%は修復が必要とされている。
TFTアレイの形状は通常非常に小さいので(サブピクセルサイズは、第7世代プレートから製造される大型40インチLCDテレビ向けには、80μm×240μmから216μm×648μmであってよい)、アレイ修復ツールは、欠陥が修復可能かどうかを決定する欠陥レビューを行うための顕微鏡を備える。顕微鏡の視野は100μm×100μmから2mm×2mmの範囲に及ぶが、通常2.1m×2.4mのプレートサイズに比べて小さい。顕微鏡は精密XYステージ上に設置され、一つの欠陥から他の欠陥へと移送される。欠陥座標は、AOI検査システム及びAC検査システムによって先に実行された検査により求められている。ガラスプレートは、欠陥レビュー及び修復の間、真空チャックによってXYステージ下に固定されている。レビュー後に、修復可能な欠陥は、通常はレーザトリミング、レーザ溶接、あるいはオープンラインのブリッジングといった方法で処置される。
上記一連の一般的事象は、全てのアレイ修復ツールに典型的である。しかしながら、欠陥の数、タイプ、位置、大きさ、程度はしばしばパネルごとに変化するので、判断を下すための手段が、欠陥画像の撮像に続くツール工程のほとんど全てにおいて必要である。例えば、画像がただのニュイサンス欠陥でなく真の欠陥なのかどうか、どのような種類の欠陥が見つかったのか、特定の欠陥は修復が必要なのかどうか、どのような種類の修復が必要なのか、どんな修復パラメータが必要か、次に修復すべき欠陥はどれか、等である。修復ツールの多くは、ツールの動作に人間であるオペレータの判断及び介入とを組み合わせて、こうした欠陥を特定、分類し、そして修復する。
図2A及び図2Bは欠陥の修復例を示す断面図である。典型的な層がいくつか示されており、パッシベーション層210は金属回路212を被覆してよく、パッシベーション層210及び金属回路212ともに基板214上に位置する。図2Aに金属突起欠陥110を示す(上方から見た図は図1を参照のこと)。この例においては、欠陥110を特定及び分類した後に、修復レシピが作成、そして実行され、図2Bに示すように、レーザ220を用いて突起を除去する。精密レーザアブレーションまたはレーザマイクロマシニングでは、レーザ特性(波長、パルス幅、エネルギー等)を、除去するべき物質に合わせる必要がある。物質の除去は、典型的なレーザ切断技術またはアブレーション技術を用いた比較的単純なプロセスであり得るが、初めに最適な波長を選択し、次いでレーザエネルギーとプロセスの最適化を注意深く行う。
しかしながら、除去されるべき物質が十分に除去されず、過剰な残余物がプロセス中に発生する場合がある。また、下層が異なる光学特性を持つために、レーザ波長に対して異なる応答をする可能性があるので、下層にダメージを与えずに一つの物質の薄層をきれいに除去する必要がある。そのような薄層に対しては、ビーム断面内の"ホット"スポットによって予想外のダメージを下層に与えたり、あるいはエネルギー密度が小さすぎるために過剰物質を残したりすることがないように、レーザフルエンス(面積当りのエネルギー)はビームの断面にわたって均一でなければならない。基板または他の下層のダメージや、タクトタイムの延長につながることが多いが、残余物をきれいにするために時として複数のパスが用いられることがある。
図3Aは、除去されるべき層310がダメージを受けてはならない層312上にあり、両層とも基板314上に位置することを示す。図3Bは、波長λ1のレーザビーム320を層310に適用することを示す。図3Cは、下層312にはダメージを与えないフルエンスのレーザビーム320で、層310のアブレーションを試みた結果を示す。図に示されるように、層310を形成する物質が残余物330を発生することがあるが、この残余物は、続いて回路を形成する前に除去されねばならない。
残余物が生じないことを確実にするには、いくつかの方法があり得る。従来法の一つは、図3Dに示されるように、より高いフルエンスのレーザビーム320を適用して残余物が発生しないようにするのだが、この方法では下層312にダメージを与える可能性が増大し、図3Eに示すように、より高いフルエンスのために下層312が部分的にアブレーションされることがある。別の従来法においては、図3A、3B、及び3Cにて示される工程では残余物を発生させるが、次いで異なる波長λ2のレーザ322を残余物330に向ける付加工程を導入する(図3F)。この場合、残余物330と下層312とが類似した光学特性を持つ可能性もあるので、下層が同じようにλ2を吸収して、ダメージを受ける危険性がなおもあり得る(図3E)。残余物と下層とが異なる光学特性を持つ場合において、波長λ2を用いる次の工程で残余物を除去するためには、フルエンスが高過ぎるとなお下層にダメージを与え、低過ぎると残余物を十分にアブレーションできない可能性があるので、レーザフルエンスを注意深く制御する必要がある。残余物によって大きさや体積が異なるので、レーザフルエンスは個々に調整する必要がある。即ち、残余物の無いきれいなカットを達成できるプロセスウィンドウは非常に狭いことがあり、こうした残余物除去プロセスの自動化を困難なものとしている。
第1物質のレーザマイクロマシニング及びレーザ欠陥修復においては、一またはそれ以上のレーザ波長の第1の組を、第1物質の吸収特性に合致するように選択する。そして第1の組は、一またはそれ以上のレーザ波長の第2の組と組み合わせて同時に送出される。そして第2の組は、第1物質とレーザ波長の第1の組とのアブレーション作用によって発生し残留している第2物質の吸収特性に合致するように選択される。一またはそれ以上のレーザ波長の第2の組が同時に存在することによって、残留第2物質を除去する。
一実施形態においては、第1物質は、基板の上に形成された物質の層である。別の実施形態においては、第1物質は、基板の上に形成された物質の層に存在する欠陥である。一実施形態においては、第1物質の下に位置する層にダメージを与えないように、レーザビームの第1の波長及び第2の波長を選択する。一実施形態においては、レーザビーム中に存在する第1の波長及び第2の波長それぞれのエネルギー量を変化させる。一実施形態においては、基板はガラス基板である。
従来技術において既知のように、トランジスタアレイを有しパターン描画された大型平面媒体の一部の様々な欠陥を示す上面図である。
従来技術において既知のように、修復前の突起物欠陥を有するデバイスの断面図を示す。 従来技術において既知のように、修復後の突起物欠陥を有するデバイスの断面図を示す。
従来技術において既知のように、下層にはダメージを与えないが残余物を生じるレーザフルエンスで、積層中の物質をマイクロマシニングまたはアブレーションする工程を示す。 従来技術において既知のように、下層にはダメージを与えないが残余物を生じるレーザフルエンスで、積層中の物質をマイクロマシニングまたはアブレーションする工程を示す。 従来技術において既知のように、下層にはダメージを与えないが残余物を生じるレーザフルエンスで、積層中の物質をマイクロマシニングまたはアブレーションする工程を示す。
従来技術において既知のように、残余物を除去するのに十分高いが、下層物質を少なくとも部分的にアブレーションするのにも十分高いレーザフルエンスで、積層中の物質をマイクロマシニングまたはアブレーションする工程を示す。 従来技術において既知のように、残余物を除去するのに十分高いが、下層物質を少なくとも部分的にアブレーションするのにも十分高いレーザフルエンスで、積層中の物質をマイクロマシニングまたはアブレーションする工程を示す。
従来技術において既知のように、工程3Cの完了後に残された残余物に対して、波長の異なる第2のレーザを適用する工程を示す。 従来技術において既知のように、工程3Cの完了後に残された残余物に対して、波長の異なる第2のレーザを適用する工程を示す。
本発明の一実施形態における、レーザアブレーション、またはマイクロマシニングシステムにて使用されるレーザ光学サブシステムの概略図を示す。
本発明の別の実施形態における、レーザアブレーション、またはマイクロマシニングシステムにて使用されるレーザ光学サブシステムの概略図を示す。
本発明の一実施形態における、ターゲット物質に同時に作用する少なくとも二つの波長を含むレーザビームの断面図を示す。 本発明の一実施形態における、ターゲット物質に同時に作用する少なくとも二つの波長を含むレーザビームの断面図を示す。 本発明の一実施形態における、ターゲット物質に同時に作用する少なくとも二つの波長を含むレーザビームの断面図を示す。
第1物質のレーザマイクロマシニング及びレーザ欠陥修復においては、一またはそれ以上のレーザ波長の第1の組を、第1物質の吸収特性に合致するように選択する。そして第1の組は、一またはそれ以上のレーザ波長の第2の組と組み合わせて同時に送出される。そして第2の組は、第1物質とレーザ波長の第1の組とのアブレーション作用によって発生し残留している第2物質の吸収特性に合致するように選択される。一またはそれ以上のレーザ波長の第2の組が同時に存在することによって、残留第2物質を除去する。
本発明の一実施形態においては、除去されるべき物質(ターゲット物質)に対して、同時に二つ以上のレーザ波長を装置が送出する。図4は、本発明の一実施形態における、レーザアブレーションまたはマイクロマシニングシステムに配置されたレーザ光学サブシステム400の概略図である。レーザ光学サブシステム400が部分的に示されており、以下を含む。複数の波長を同時に発生可能なレーザ410、レーザ出力を複数の特定の波長のビーム経路に分離するように調整されたハーモニックビームスプリッタの第1の組418(この例においては、442A、444A及び446Aとして示されたそれぞれ波長の異なる三つのレーザビーム)、各々がビーム442A、444A、及び446Aに対応し、各レーザビームのパワーを制御するように調整された減衰器422、424、426、及びレーザビーム442B、444B、446Bを単一のビーム経路440Bに戻すハーモニックビームスプリッタの第2の組458があり、ビーム経路440Bは次にビームエキスパンダ460を通ってビーム成形アパーチャ462上に集まる。ビーム成形アパーチャ462は、ビームをビームコンバイナ466に向け、ビームコンバイナ466はレーザビームとビデオカメラ474及び照明器470の結像経路とを結合する。次いでビームは対物レンズ484を通して基板490上の修復されるべきターゲット物質へと向けられる。一以上の対物レンズ、例えば482、484、及び486は、タレット480のような機械的取り付け手段によって、ビーム経路中に設置されてよい。図4はまた、レーザ用コントローラ408、及び各減衰器用コントローラ(432、434、436)を示す。
レーザコントローラ408は、二またはそれ以上のレーザ波長を制御する。各減衰器(422、424、426)は、それぞれのコントローラ432、434、436によりファームウェアまたはソフトウェアに基づいて個別に制御される。コーティングや基材等のレーザビーム経路用光学部品の特性は全て最適化され、レーザが提供し得る全波長領域に対応する。図4には三つの減衰器が示されているが、レーザが生成可能な波長の数によって、任意の数の減衰器を使用してよいことが理解される。
一実施形態においては、レーザ410は、Nd:YAGレーザであってよく、1066nm、532nm、355nm、及び266nmの波長を提供できる。レーザは、ダイオード励起でよく、あるいはフラッシュランプ励起であってもよい。複数波長の出力を持つ他のレーザを用いてもよい。
実施形態のいくつかにおいては、図4に示された複数の波長を発生可能な単一のレーザ410の代わりに、それぞれが、単一だが異なる波長を送出する二またはそれ以上のレーザを使用してもよい。図5に示した実施例500においては、それぞれが、単一だが異なる波長のビーム442A、444A、446Aを送出する三つのレーザ512、514、516が示されている。レーザビーム442A、444A及び446Aは減衰器422、424、426に向けられ、これに応じて減衰器が供給するビーム442B、444B、及び446Bは、ハーモニックビームスプリッタの組458によって結合され、単一のビーム440Bとなる。システム500の残りのビーム送出システムは、図4に示すシステム400と同じである。しかしながら、図4と図5とに示された配置に対する最終結果は同じである。すなわち、少なくとも二つの波長から成る一つのビーム440Bが、ターゲット物質に同時かつ同一直線上に送出される。図4の単一レーザ配置の方が、図5の複数レーザ配置よりも低コストであり、かつ複雑でない。
少なくとも一つの波長を持ったレーザビームをターゲット物質に適用すると、物質が改質され、部分的なアブレーションあるいは組成の変化を起こす。改質した物質は、元のターゲット物質とは異なる吸収特性を持つことがある。本発明においてレーザビームは、改質した物質の吸収特性に最適化された少なくとも第2の波長を更に含む。改質した物質が第2の波長を吸収し、少なくとも部分的なアブレーションが起こる。最終的にはターゲット物質が完全かつきれいに除去される。第1の波長と少なくとも第2の波長が共にレーザビーム中に同時に存在している。特に、フラットパネルディスプレイに見られるような微細回路に使用されるある種の物質は、266ナノメートルの波長を強く吸収する一方で、例えば波長532ナノメートルの可視波長に対しては透過的な場合があり得る。一般的に、金属は可視波長をよく吸収するが、有機層は深紫外(DUV)波長をよく吸収する。
図6A、6B、6Cは、本発明によって物質がどのように除去されるかを示す。図6Aは、下層312にダメージを与えずに層310の機械加工が必要な積層構造を示す。少なくとも二つの波長λ1とλ2とを含む一つのレーザビーム634が、二つの異なる光線630(実線)と632(点線)として図6Bに概略的に示されている。この説明においては、λ1(630)は、層310が感度を有する紫外波長を表してよく、λ2(632)は、層310は透過的だが、例えば金属は特に高い感度を有する可視波長を表してよい。図6Bに概略を示したように、レーザ波長λ1(630)が物質310を部分的にアブレーションし、その結果、改質した物質あるいは残余物330が生じる。そのような残余物は、元素金属に還元された層物質310を含んでよい。レーザビームの波長λ2(632)は、残余物を形成する元素金属の吸収特性に対してより良く適合するように選択されており、レーザ波長λ1(630)を物質330に照射した結果生成するそのような元素金属、またはその他の残余物をアブレーションし、きれいに除去する。図6Bは、物質310はλ2(632)の光線には透過的だが、残余物330はλ2の光線には透過的でないことを概略的に示す。レーザ波長λ2(632)がレーザ波長λ1(630)と共存するので、波長λ2は、レーザ波長λ1(630)が照射されることによって物質330を改質した結果生成されるいかなる残余物も除去する。図6Cは、複数波長のビーム634を適用した後では残余物が生じないことを示す。
本発明の応用例として、フラットパネルディスプレイ(FPD)アレイの製造及び修復が挙げられる。具体的には、FPDプロセスにおける通常の修復では、下層の金属層にダメージを与えることなく、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板上のITO(インジウムスズ酸化物)層の一部を除去する必要がある。Nd:YAGレーザを光源として使用すると、ITO除去に最も適しているのは紫外(UV)波長(266nm)である。もしプロセスが厳しく制御されていない場合(レーザエネルギー、ドウェルタイム、スポットサイズ等)、過剰な量の残余物が発生する可能性がある。特に、残余物はレーザビームによってアブレーションされた時のITO合成物に由来する混合物質を含むことがある。従って、この混合物質からなる残余物の吸収特性が、元々のITOとは大きく異なる場合がある。更に、物質が完全にあるいは部分的に元素金属に還元されることがあるので、初めに適用したUV波長よりも、むしろ可視波長を強く吸収する傾向を示すことがある。
従って、そのような残余物を除去するために、本発明に従って、可視(波長532nm)レーザエネルギーをUV(波長266nm)レーザエネルギーと組み合わせる。これら二つのレーザエネルギー波長の組み合わせが同時に送出され、下層の金属にダメージを与えることなくITO物質を完全に除去することが可能となる。特に、ITO層はUV波長に感度を有し、少なくとも部分的にアブレーションまたは除去される一方で、下層の金属層はUVに対しては透過的であり、ダメージも受けなければ、実質的に加熱もされない。残余物は、既に加熱された状態にあり、完全にあるいは部分的に元素金属状態に還元されたITOを含むので可視波長に対して感度を有しており、可視レーザエネルギーがUVレーザエネルギーと同時に存在することで、そのような残余物を完全にアブレーションするには十分である。残余物は高温状態にあるので、UVレーザエネルギーと結合もしくは混合されるべき可視レーザエネルギーの必要量は比較的小さい。可視レーザエネルギー量は、UVレーザエネルギー量よりも小さく、下層にダメージを与えないように調整される。UV波長と可視波長とから成り、可視レーザエネルギーが全体の約20から45%であるようなレーザビームを用いて、下層にダメージを与えることなく残余物を除去できることが実験により示された。
従来行われているように、二つの波長を個別に使用すると効果が低いことが示された。特に、まず266nmのレーザ波長を適用し、続いて残余物質が容易に吸収する532nm波長を適用した場合、第2工程において残余物を除去するために必要な量の532nmエネルギーを適用すると、金属層にダメージを与えることが実験により示される。従来法とは対照的に、本発明によれば、二(またはそれ以上)の波長を同時に適用すると、まだ高温状態にある間に残余物質による吸収が起きるので、第2の波長のエネルギーはごく少量でも除去が可能となる。
上述した説明は、第1物質の層を部分的にマイクロマシニングまたは除去することに関連付けて成されている。しかしながら、第1物質が、異なる物質の層内部または層上に埋め込まれた欠陥形状として存在しており、光学特性が異なるためにレーザエネルギーに対して異なる応答を示すような場合も、第1物質の除去に対して本発明が同様に適用できることが理解される。更には、欠陥が、基板上に形成された複数の異なる物質の積層中に埋め込まれた不純物である可能性もある。
本発明の上述された実施例は一例であり、これに限定されない。様々な代替手段及び均等物が可能である。本発明は、レーザの種類あるいはレーザビーム中に存在する波長の数によって制限されない。本発明は、除去される欠陥の数や種類によって制限されない。本発明は、欠陥を含む物質によっても制限されない。他の付加、置換、あるいは変更は、本発明の開示を考慮すれば自明であり、添付の特許請求項の範囲内に含まれるものと意図される。

Claims (6)

  1. 基板上の第1の物質をマイクロマシニング/修復する方法であって、
    少なくとも1つの第1のレーザ波長および前記少なくとも1つの第1のレーザ波長とはレーザ波長が異なる少なくとも1つの第2のレーザ波長を同時に含むレーザビームを生成する工程と、
    前記第1の物質に対して前記レーザビームを当てて、前記第1の物質の第1の吸収特性に従って選択された前記少なくとも1つの第1のレーザ波長が、前記第1の物質との間でアブレーション作用を生じさせ、前記第1の物質と前記少なくとも1つの第1のレーザ波長との間の前記アブレーション作用によって前記第1の物質が改質されて生成され残留している第2の物質の、前記第1の吸収特性とは異なる第2の吸収特性に従って選択された前記少なくとも1つの第2のレーザ波長が、前記第2の物質を除去する工程と
    を備え
    前記第1のレーザ波長は第1のレーザから送出され、
    前記第2のレーザ波長は前記第1のレーザとは異なる第2のレーザから送出される方法。
  2. 前記第1の物質は、前記基板の上方に形成された物質の層である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の物質は、前記基板の上方に形成された物質の層に存在する欠陥である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記レーザビームの前記第1のレーザ波長及び第2のレーザ波長は、前記第1の物質の下方に位置する層にダメージを与えないように選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記レーザビームに存在する前記少なくとも第1のレーザ波長及び第2のレーザ波長のそれぞれのエネルギー量を変化させる工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
  6. 前記基板はガラス基板である、請求項1に記載の方法。
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