JP5708242B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、希土類磁石の製造方法に関する。
ネオジム磁石(NdFe14B)で代表される希土類磁石は、磁束密度が高く極めて強力な永久磁石として種々の用途に用いられている。
ネオジム磁石は結晶粒サイズが小さい方が保磁力は高くなることが知られている。そこで、結晶粒サイズが50〜100nm程度のナノ多結晶体である磁粉(粉末粒径100μm程度)を焼結することで、ナノ多結晶体を維持しながらバルク体を形成する。ただし、このままでは個々のナノ結晶粒の方位はバラバラで大きな磁化は得られない。そこで、結晶配向させるために、熱間強加工を行なって結晶すべりにより各結晶粒の方位を揃える。
ナノ結晶体を得る典型的な方法として、希土類磁石合金の溶湯を冷却ロール表面に吐出させて急冷する液体急冷法(単ロール法)がある。これにより得られる多数の急冷リボンは実際の冷却速度にバラツキがあるため、非晶質、ナノ結晶質、柱状晶が混在した状態である。ここで、急冷リボンの組織により熱間強加工後の磁気特性が変動するという問題があった。すなわち、典型的には、非晶質の急冷リボンを用いると熱間強加工による配向度が上がり難く、そのため残留磁化を高めることができない、という問題があった。これを回避するためには単磁区粒子径以下(300nm)以下のナノ結晶粒のみから成る急冷リボンを用いることが望ましい。しかし、非晶質、ナノ結晶質、柱状晶の混在した多数の急冷リボンからナノ結晶質の急冷リボンのみを選択的に用いるためには、分別や特殊な冷却速度制御が必要であり、困難である。
希土類磁石合金(典型的にはNdFeB系合金)の主相(典型的にはNd2Fe14B相)は、熱間強加工によるすべり変形に伴い結晶粒が回転し、加工方向に磁化容易軸(c軸)が配向する。しかし、例えば柱状晶のように結晶粒が大きくなると回転角が大きくなるため、同一加工度における配向度は低下してしまう。
このように、急冷リボンの組織によって熱間強加工後の磁気特性が変動するのは、以下の理由によると考えられる。
急冷リボンの組織が不均質(非晶質、ナノ結晶質、柱状晶の混在状態)であると、焼結、熱間強加工の際の熱による粒成長速度が組織の部位によって異なるため、部分的に結晶粒が粗大化してしまう。その結果、加工による配向が進み難くなる。
非晶質の急冷リボンの熱処理によって、均質な組織を得ることは可能である。しかし、結晶核の生成頻度に対して結晶粒成長速度が相対的に速いため、結晶粒の成長が避けられず、平均粒径を100nm以下にすることは難しい。その結果、熱間強加工による配向度が低下してしまう。
粒界相が結晶粒界全体に亘って均一に分布していないと、粒界相による結晶粒間の機械的な分断性が不十分になり、熱間強加工時に主相である結晶粒にかかる圧力が不均一になり、変形に偏りが生じて結晶の回転が部位により変動し配向度が低下する。
特許文献1に、非晶質またはナノ結晶の粉末を圧縮成形して熱間加工し、磁気アニーリングや急速加熱法を用いて、異方性または等方性の希土類磁石を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では組織が不均一であり、高い保磁力が得られないという問題があった。
特開2005−527989号公報
本発明は、焼結前の原料粉末の組織が非晶質であるかナノ結晶質であるかによらず、高い残留磁化と高い保磁力とを同時に達成できる希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、異方性でナノ結晶質の希土類磁石の製造方法であって、
ナノ結晶質および/または非晶質の希土類磁石合金の粉末を準備する工程、
上記粉末を焼結する工程、
得られた焼結体を熱処理する第1熱処理工程、
次いで熱間強加工を行なう工程
を含むことを特徴とする希土類磁石の製造方法を提供する。
本発明の方法によれば、焼結体を熱処理することにより結晶粒界に主相より低融点の粒界相を均一に行き渡らせ、次の熱間強加工で個々の結晶粒に均一に圧力が負荷されるようにして、結晶粒を成す主相を均一に変形(回転)させ磁石全体としての配向度を高める。すなわち、高い配向度により大きな残留磁化が得られ、同時に、低融点の粒界相により主相間の磁気的分断が促進することで保磁力が高まる。
(1)従来法および(2)本発明法について、各処理状態のミクロ組織を比較して模式的に示す。 比較例1で作製した急冷リボンの減磁曲線を示す。 比較例1で作製した焼結体の減磁曲線を示す。 比較例1で作製した強加工磁石の減磁曲線を示す。 比較例2において熱間強加工後に行なった熱処理パターンを示す。 比較例2において熱間強加工した状態およびその後に熱処理した状態について減磁曲線を示す。 実施例において熱間強加工の前に行った熱処理パターンを示す。 実施例において第1熱処理の熱処理温度による焼結体の保磁力の変化を示す。 実施例において第1熱処理による結晶粒の粗大化を示すTEM像。 実施例において熱間強加工した状態およびその後に熱処理(第2熱処理)した状態について減磁曲線を示す。 実施例において第2熱処理の熱処理温度による焼結体の保磁力の変化を示す。
本発明の特徴は、第1熱処理によって低融点相を結晶粒界に偏り無く均一に浸透させることで、1)主相の結晶粒間を磁気的に分断して保磁力を高め、同時に、2)主相の結晶粒間を機械的に分断して熱間強加工の際の主相結晶粒の配向を促進して残留磁化を高めることである。
図1に、(1)熱処理なしの従来法および(2)熱間強加工前に熱処理を行う本発明について、各段階での結晶粒組織を模式的に示す。図の結晶粒内の小さい矢印は結晶方位を表し、結晶粒間の実線が結晶粒界、結晶粒界の位置に白抜きで表したのが主相より低融点の粒界相である。熱間強加工において、図の上下方向に加工圧力を負荷する。
まず、図1(1)に示した従来法の場合、(A)の焼結体を直接熱間強加工して(C)の状態となる。(A)の焼結したままの状態では、粒界相が結晶粒界の部位によって偏在するため、主相(結晶粒)同士が直接接している部分と、間に介在する粒界相(図中白抜きで表示)により主相(結晶粒)間が分断されている部分とが混在する。従来は、この焼結状態から直接に熱間強加工して(C)の状態としていた。主相(結晶粒)は、粒界相で分断されている部分では回転するが、粒界相が存在せず主相(結晶粒)同士が直接接触している部分では回転せず、場合によっては隣接する主相(結晶粒)同士が接合して(図中破線で表示)粗粒化してしまう。そのため、全体として配向度は向上せず、高い残留磁化は得られない。また焼結状態に比べて粗粒化により保磁力も低下する。
これに対して、図1(2)に示した本発明法の場合、従来と同じ(A)の焼結体に熱間強加工の前に熱処理(第1熱処理)を施すことにより、(B)に示したように、粒界相が結晶粒界全体に浸透する。これにより、主相(結晶粒)間の分断が促進した均一な組織が得られる。このような熱処理組織に熱間強加工を施すことにより、個々の主相(結晶粒)が回転し(C)に示すように結晶方位(結晶粒中の小さい矢印)の加工負荷方向に強く配向した高異方性の組織が形成され、大きな残留磁化が得られる。
<希土類磁石合金の組成>
本発明の希土類磁石合金の組成は、下記式で表される。
RaHbFecCodBeMf
ただし、
R:Yを含む1種以上の希土類元素
H:Dy、Tbのうちの1種以上の重希土類元素
M:Ga、Zn、Si、Al、Nb、Zr、Ni、Cu、Cr、Hf、Mo、P、C、Mg、Hg、Ag、Auのうちの1種以上の元素
残部:不可避不純物
であって、下記の関係式を満たす。数値の単位はat%である。
13≦a≦20、
0≦b≦4、
c=100−a−b−d−e−f、
0≦d≦30、
4≦e≦20、
0≦f≦3。
<ミクロ組織>
本発明の希土類磁石のミクロ組織は、下記の主相(結晶粒)と結晶粒界相(AまたはB)とを備える。
主相(結晶粒) :(RH)(FeCo)14B相
結晶粒界相(A):(RH)(FeCo)相+RH相
結晶粒界相(B):(RH)(FeCo)17相+RH相
ただし、粒界相のRHは、RHと共晶を形成してその融点を下げる添加元素として、Ga、Al、Cu、Mg、Hg、Fe、Co、Ni、Ag、Znのうちの1種以上を含む。
低融点化のための添加元素の添加量は、主相の磁気特性に悪影響を及ぼさない範囲で適宜設定することができる。通常は数%程度以内である。
<第1熱処理>
本発明の特徴は、第1熱処理によって低融点相を結晶粒界に偏り無く均一に浸透させることで、1)主相の結晶粒間を磁気的に分断して保磁力を高め、同時に、2)主相の結晶粒間を機械的に分断して熱間強加工の際の主相結晶粒の配向を促進して残留磁化を高めることである。
第1熱処理の温度は、上記添加元素とRH元素との共晶温度以上であり、主相が粗大化する温度以下である。典型例として、Nd16Fe77.45.4Ga0.5Al0.5Cu0.2の組成を有するNdFeB系希土類磁石の場合、第1熱処理の温度は、550℃〜670℃が望ましく、575℃〜650℃が更に望ましい。
本発明に用いるナノ結晶質および/または非晶質の希土類磁石合金の粉末は、典型的には液体急冷法により作製したリボンを用いることができる。しかし、これに限定する必要はなく、アトマイズ法やHDDR法等によって作製してもよい。
<熱間強加工>
上記の第1熱処理により分断性が向上した等方性ナノ結晶磁石を熱間強加工することによって、高い残留磁化および保磁力を備えた異方性ナノ結晶磁石が得られる。熱間強加工の加工度は、高い配向度が得られように十分高く且つ加工割れが発生しないように十分低く設定できる。通常、数十%程度、望ましくは50%以上である。加工温度、歪速度等も同趣旨で設定することができる。
<第2熱処理>
本発明においては、熱間強加工後に、加工歪を除去して保磁力を高める目的で、任意に熱処理(第2熱処理)を施すことができる。第2熱処理の温度は、第1熱処理の温度と同等であってよい。ただし、熱間強加工の加工歪により粒界相の移動が促進される場合は、第2熱処理温度は第1熱処理温度よりも低温域としてよい。
〔比較例1〕
この比較例では、急冷リボンの組織がナノ結晶質、非晶質、ナノ結晶質+非晶質の混合組織の3種類の場合について、本発明の熱処理を行なわずに焼結体に直接熱間強加工を施して、磁気特性に対する組織の影響を調べた。
<実験方法>
《急冷リボンの作製》
Nd15Fe77Gaを狙い組成としてNd、Fe、FeB、Gaの各原料を秤量し、アーク溶解炉にて溶解し、合金インゴットを作製した。
この合金インゴットを単ロール炉にて高周波で溶解し、銅製の冷却単ロールに噴射して急冷リボンを作製した。表1に単ロール炉の使用条件を示す。
磁気選別により、ナノ結晶質、非晶質の急冷リボンをそれぞれ採取した。
[磁性評価]
採取した急冷リボンの一部をサンプリングし、VSMにより磁気特性を測定した。
その結果、図2に示すように、ナノ結晶急冷リボンは高保磁力(Hc>20kOe)で且つ角形性が良好であること、非晶質急冷リボンは軟磁性であることを確認した。
《焼結》
3種類の急冷リボン(ナノ結晶のみ、非晶質のみ、ナノ結晶+非晶質の混在(7:3))を、SPSにて焼結した。表2に焼結条件を示す。
[磁性評価]
得られた焼結体について、VSMにより磁気特性を測定した。
その結果、図3に示すように、ナノ結晶のみの急冷リボンの焼結体は高保磁力を示し、微細集合組織が維持されていることが分かった。これに対して非晶質のみの急冷リボンの焼結体は保磁力が低く、結晶粒が成長してしまっていると考えられる。ナノ結晶+非晶質の混在した急冷リボンの焼結体は、保磁力は3者のうちで最も高いが、ナノ結晶のみの焼結体に比べて角形性が僅かに低く、非晶質に由来する粗大化した結晶粒が存在しているものと考えられる。
《熱間強加工》
上記の3種類の焼結体に熱間強加工(加工度60%)を施した。表3に、熱間強加工条件を示す。
得られた強加工磁石について、VSMにより磁気特性を測定した。
その結果、図4に示すように、ナノ結晶のみの急冷リボンを原料とした場合は、残留磁化が大幅に向上しており、良好な角形性を有することが分かった。また、非晶質のみの急冷リボンを原料とした場合は、残留磁化の向上が3者のうち最も小さかった。ナノ結晶+非晶質の混在する急冷リボンを原料とした場合は、前2者の中間であった。
〔比較例2〕
この比較例では、急冷リボンの組織がナノ結晶質のみの場合について、焼結体を熱間強加工した後に、熱処理を行なって、磁気特性を調べた。
<実験方法>
《急冷リボンの作製》
Nd16Fe77.45.4Ga0.5Al0.5Cu0.2を狙い組成として原料を秤量し、アーク溶解炉にて溶解し、合金インゴットを作製した。
この合金インゴットを単ロール炉にて高周波で溶解し、銅製の冷却単ロールに噴射して急冷リボンを作製した。表4に単ロール炉の使用条件を示す。
作製した急冷リボンの中から、磁気選別により、ナノ結晶質の急冷リボンを採取した。
《焼結》
得られたナノ結晶質の急冷リボンをSPSにて焼結した。焼結温度:570℃、真空度:10−2Paであった。
《熱間強加工》
焼結体をSPSにて熱間強加工した。加工温度:650℃、加工圧力:100MPa、真空度:10−2Pa、加工度:60%であった。
熱間強加工後にVSMにて磁気特性を測定した。
《熱処理》
得られた強加工体を2mm角に切断し、図5の加熱パターンで熱処理を施した。
熱処理後にVSMにて磁気特性を測定した。
図6に、熱間強加工した状態および熱処理した状態の減磁曲線を示す。
熱処理の有無によらず、ナノ結晶質のみの急冷リボンを原料としたことで、高い残留磁化(Mr=1.18T)が得られた。これは比較例1でも示したように、焼結体の組織が微細且つ均一であるため、熱間強加工により配向が促進された結果であると考えられる。
保磁力は、熱処理により向上している。これは熱間強加工の加工歪が熱処理によって解放されたためである。
〔実施例〕
本実施例では、非晶質のみの液体急冷リボンを原料に用いて、本発明の方法により、熱処理してから熱間強加工を行なって、磁気特性を評価した。なお従来は、非晶質の急冷リボンを原料とした場合は、高い配向度が得られず大きな残留磁化が得られなかった。
<実験方法>
《急冷リボンの作製》
比較例2と同じくNd16Fe77.45.4Ga0.5Al0.5Cu0.2を狙い組成として原料を秤量し、アーク溶解炉にて溶解し、合金インゴットを作製した。
この合金インゴットを単ロール炉にて高周波で溶解し、銅製の冷却単ロールに噴射して急冷リボンを作製した。表5に単ロール炉の使用条件を示す。
作製した急冷リボンの中から、磁気選別により、非晶質の急冷リボンを採取した。
《焼結》
得られた非晶質の急冷リボンをSPSにて焼結した。焼結温度:570℃、真空度:10−2Paであった。
焼結体についてVSMにて磁気特性を測定した。結果を図8に示す。
《熱処理(第1熱処理)》
焼結体の一部を切り取り、525℃〜700℃で熱処理した。
熱処理後にVSMにて磁気特性を測定した。
《熱間強加工》
熱処理後の焼結体(等方性組織)を熱間強加工した。加工温度:650℃、加工圧力:100MPa、真空度:10−2Pa、加工度:60%であった。
熱間強加工後にVSMにて磁気特性を測定した。
《熱処理(第2熱処理)》
得られた強加工体を2mm角に切断し、525℃で30min間熱処理した。
熱処理後にVSMにて磁気特性を測定した。
<実験結果1>
図8に、第1熱処理の熱処理温度による焼結体の保磁力の変化を示す。焼結したままの状態での保磁力を100とした。図示したように、熱処理温度550℃〜670℃の範囲で焼結状態に対して熱処理により保磁力が高まった。これは、熱処理により結晶粒界全体に均一に粒界相が浸透したことで、主相(結晶粒)間の分断性が高まったためであると考えられる。熱処理温度575℃〜650℃で特にその効果が大きい。一方、670℃を超えると結晶粒の粗大化が顕著になり、保磁力が低下する。
本発明において、結晶粒の粗大化はある熱処理温度以上で急激に起こる。ここで、ある処理温度で結晶粒径が1.5倍を超えて成長した場合に粗大化が生じたと定義する。
図9に、第1熱処理の熱処理温度が650℃および700℃の場合の結晶粒組織のSEM像を示す。結晶粒径は、結晶粒30個の長径を測定した平均値である。650℃では結晶粒径は312nm±130nmであったが、これに対して750℃では結晶粒径は501nm±200nmであり、約1.6倍に粗大化している。したがって、粗大化させない上限の熱処理温度は650℃と750℃との間であり、安全サイドでは650℃である。上記の保磁力から求めた上限値670℃は、保磁力がピーク値よりやや低下しているので、軽度の粗大化が起きていると考えられる。
これにより、非晶質リボンを原料とした焼結体において、結晶粒界全体に均一に粒界相を浸透させてに主相(結晶粒)の分断性を確保した均一な組織を得るためには、上記温度範囲で熱処理する必要がある。
<実験結果2>
図10に、熱間強加工した状態およびその後に熱処理(第2熱処理)した状態について減磁曲線を示す。比較例1とは異なり、非晶質急冷リボンを原料としたにもかかわらず、高い残留磁化(Mr=1.15T)が達成されている。この値は、同じ組成のナノ結晶質急冷リボンを原料とした比較例2と同等の高い値である。また、保磁力に関しても比較例2と同等の良好な値が得られている。
図11に、第2熱処理の熱処理温度による保磁力の変化を示す。第1熱処理に比べて、変化曲線が50℃程度低温側にシフトしている。これは熱間強加工の加工歪により粒界相の移動が促進されたためであると考えられる。
このように、本発明によれば、原料としてナノ結晶質のみに限らず、非晶質原料を用いても、焼結体の熱処理(第1熱処理)により粒界相による分断性が向上して均質な結晶粒組織が得られ。強加工時に主相(結晶粒)の個々に均一に応力が負荷されて主相の回転が促進され、磁石全体に亘って強い配向状態が得られ、大きな残留磁化が達成される。
本発明によれば、焼結前の原料粉末の組織が非晶質であるかナノ結晶質であるかによらず、高い残留磁化と高い保磁力とを同時に達成できる希土類磁石の製造方法が提供される。

Claims (5)

  1. 異方性でナノ結晶質の希土類磁石の製造方法であって、
    ナノ結晶質および/または非晶質の希土類磁石合金の粉末を準備する工程、
    上記粉末を焼結型中で焼結する工程、
    得られた焼結体を焼結型から取り出し、熱処理する第1熱処理工程、
    次いで熱間強加工を行なう工程
    を含むことを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  2. 請求項1において、上記熱間強加工を行なう工程の後に、更に熱処理を行なう第2熱処理工程を含むことを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  3. 請求項1または2において、上記第1熱処理工程を550℃〜670℃で行なうことを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  4. 請求項3において、上記第1熱処理工程を575℃〜650℃で行なうことを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項において、上記第2熱処理工程を500℃〜650℃で行なうことを特徴とする希土類磁石の製造方法。
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